説明

気体混合装置およびシステム

【課題】気体の混合比率の変更を、応答時間を短く、且つ精度良く行えるようにする。
【解決手段】気体混合装置10は、互いに並列に配置され、各々が酸素と空気の供給を受けて当該酸素と空気を通過させる複数の合流弁23と、これら複数の合流弁23の各々の下流に一つずつ配置され、合流弁23を通過した酸素と空気の混合気体を送り出す複数のマイクロポンプ24と、これら複数のマイクロポンプ24の下流において、当該複数のマイクロポンプ24の各々から送り出された気体を合流させる合流部25と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、呼吸補助装置などに用いられる気体混合装置およびシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
医療現場において、人工呼吸器などの呼吸補助装置が用いられている。この呼吸補助装置には、自発呼吸のない患者(全身麻酔、心肺蘇生中、重篤な患者)に用いる調節換気(Controlled Ventilation)方式、患者の自発呼吸に合わせて気道に陽圧(正圧)を作り出す補助換気(Assisted Ventilation)方式、補助換気と調節換気を組み合わせた部分的補助換気(Assist/Control)方式、気道の供給する気体を5〜40Hzの頻度で振動させて、1〜2ml/kgの非常に少ない1回換気量を実現する高頻度振動換気(high frequency oscillation)方式など、種々の方式が採用される。
【0003】
いずれの方式の呼吸補助装置においても、酸素ボンベなどを利用して、気道に酸素を供給する。呼吸補助装置の機種によっては、酸素ボンベの酸素を大気中の空気と混合する気体混合装置を備えているものがある(例えば、特許文献1参照)。この気体混合装置は、酸素ボンベから放出される酸素の流量を調整することによって酸素と空気の混合比率を変更する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004−298554号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
このような気体混合装置において、酸素と空気の混合比率を精度良く変更するには、ある程度の応答時間を要する。しかしながら、人命にかかわる医療現場では、時間を掛けずに適切な処置を行わなければならない。すなわち、上記の気体混合装置の場合、酸素と空気の混合比率を、少しでも時間を掛けずに精度良く変更できる必要がある。このような必要性は、酸素と空気を混合する装置に限らず、その他の気体を混合する装置に共通して存する。
【0006】
本発明は上記問題点に鑑みてなされたものであり、気体の混合比率の変更を、応答時間を短く、且つ精度良く行う気体混合装置およびシステムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者の鋭意研究により、上記目的は以下の手段によって達成される。
【0008】
即ち、上記目的を達成する本手段は、互いに並列に配置され、各々が複数種類の気体の供給を受けて該気体を通過させる複数の合流弁と、前記複数の合流弁の各々の下流に一つずつ配置され、前記合流弁を通過した気体を送り出す複数のマイクロポンプと、前記複数のマイクロポンプの下流において、該複数のマイクロポンプの各々から送り出された気体を合流させる合流部と、を備えることを特徴とする、気体混合装置である。
【0009】
上記発明において、上記目的を達成する気体混合装置における前記複数の合流弁の各々は、前記複数種類の気体の流量の割合を調整することを特徴とすることが好ましい。
【0010】
あるいは、上記発明において、上記目的を達成する気体混合装置における前記複数の合流弁の各々は、通過させる気体の種類を切り替えることを特徴とすることが好ましい。
【0011】
あるいは、上記目的を達成する本手段は、上記気体混合装置と、前記複数の合流弁の各々に対し、第1の気体を供給する気体供給ユニットと、を備え、前記気体供給ユニットは、前記第1の気体の供給源から放出される前記第1の気体の流量を調整する流量調整弁と、前記流量調整弁から前記複数の合流弁までの経路の途中に、または該経路から分岐した箇所に配置されて前記第1の気体が導入され、且つ大気に向けて開口する大気口を有してなるガスチャンバと、前記大気口における流量を検知して、検知した前記流量を信号として出力する流量センサと、前記流量センサから出力された前記信号を受け、該信号に基づいて前記流量調整弁を制御する制御部と、を備えることを特徴とする、気体混合システムである。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、気体の混合比率の変更を、応答時間を短く、且つ精度良く行えるという優れた効果を奏し得る。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】(A)本発明に係る第1実施形態の気体混合装置の構成を示す概略図であり、(B)および(C)は合流弁の構成を示す概略図である。
【図2】(A)はマイクロポンプの構成例を示す断面図であり、(B)は同マイクロポンプの圧力−流量線を示すグラフである。
【図3】同気体混合装置で用いられる制御装置のハード構成を示すブロック図である。
【図4】同気体混合装置で用いられる制御装置の機能構成を示すブロック図である。
【図5】本発明に係る第2実施形態の気体混合システムの構成を示す概略図である。
【図6】同気体混合システムで用いられる制御装置の機能構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面を参照しながら本発明の実施形態の例について詳細に説明する。
【0015】
図1(A)には、本発明に係る第1実施形態の気体混合装置10の構成が例示されている。この気体混合装置10は、第1の気体と第2の気体を混合する装置であり、医療用の呼吸補助装置(図示省略)の一部を構成する。本実施形態では、第1の気体となる酸素と、第2の気体となる空気と、を混合する気体混合装置10を例に説明する。
【0016】
気体混合装置10は、酸素の供給源からの経路を複数(本実施形態では5つ)に分岐する酸素経路分岐部21と、空気の供給源からの経路を複数(本実施形態では5つ)に分岐する空気経路分岐部22と、酸素経路分岐部21および空気経路分岐部22の下流において、酸素と空気のそれぞれの供給を受けてこれらの混合気体を通過させる複数(本実施形態では5つ)の合流弁23と、これら複数の合流弁23の各々の下流に一つずつ配置され、合流弁23を通過した混合気体を送り出す複数(本実施形態では5つ)のマイクロポンプ24と、これら複数のマイクロポンプ24の下流において、当該複数のマイクロポンプ24の各々から送り出された混合気体を合流させる合流部25と、装置全体を統括的に制御する制御ユニット14(図3および図4参照)と、を備えている。
【0017】
合流弁23は、特に種類が限定されることはないが、酸素と空気の流量の割合を調整する弁として、ロータリー式のものを採用できる。具体的に、図1(B)および図1(C)に示されるように、合流弁23は、回転体23aを備えている。この合流弁23は、当該回転体23aを回転させることで、酸素の経路幅Woと空気の経路幅Waを変更する。
【0018】
複数のマイクロポンプ24は、互いに並列に配置されているので、複数のマイクロポンプ24から送り出される混合気体のトータルとしての流量は、駆動させるマイクロポンプ24の数に比例する。
【0019】
これら複数のマイクロポンプ24にはそれぞれ、図2(A)に示されるマイクロポンプ100が採用される。このマイクロポンプ100は、特許文献WO2008/069266で提案されているものであり、一次ブロア室101と、この一次ブロア室101の外側に形成された二次ブロア室102と、を備えている。
【0020】
一次ブロア室101は、振動源となる圧電素子103と、この圧電素子103が固定されたダイヤフラム104と、このダイヤフラム104と共に空間を形成する振動枠105と、を備えている。振動枠105は、一次ブロア室101の内外で流体を移動させる開口106を有している。二次ブロア室102は、ダイヤフラム104側に吸入口107を有すると共に、開口106に対向するように吐出口108を有している。
【0021】
以上のマイクロポンプ100では、圧電素子103によってダイヤフラム104が共振すると、一次ブロア室101と二次ブロア室102との間で流体が移動し、これによる流体抵抗によって振動枠105が共振する。このダイヤフラム104と振動枠105との共振によって、吸入口107から流体が吸い込まれて、吐出口108から流体が放出される。
【0022】
このマイクロポンプ100は、気体を搬送するブロア用途に適しており、逆止弁を用いることなく搬送できる。マイクロポンプ100は、外径が20mm×20mm×2mm程度の箱形状であって極めて小さいものの、入力正弦波を15Vpp(Volt peak to peak)で26kHzとした場合で、最大約1L/分(静圧0Pa時)の空気を搬送でき、また最大約2kPa(流量0L/分)の静圧を得ることができる。
【0023】
一方、マイクロポンプ100は、圧電素子103によるダイヤフラム104の振動で流体を搬送するから、搬送可能な流体の体積に自ずと限界があり、この静圧/流量特性も図2(B)に示されるような直線を示す。すなわち、例えば約1kPaの静圧を得る場合、流量は0.5L/分となる。
【0024】
なお、入力正弦波のVppを10や20に変化させた場合、圧電素子103の振幅が変化するので、流量及び圧力を変化させることができる。すなわち、入力正弦波のVppを滑らかに変化させた場合には、流量及び圧力を滑らかに変化させることができる。あるいは、入力正弦波の周波数を変化させた場合、流量及び圧力を変化させることができる。すなわち、入力正弦波の周波数を滑らかに変化させた場合には、流量及び圧力を滑らかに変化させることができる。ただし、流量及び圧力には、圧電素子103の能力や部材の強度や耐久性によって上限がある。通常は定格のVpp及び周波数で使用される。
【0025】
なお、このでは1つの圧電素子103をダイヤフラム104に貼り付けたモノモルフ(ユニモルフ)構造を紹介しているが、勿論、2つの圧電素子を貼り合わせて振動量を増やすバイモルフ構造を採用することもできる。なお、マイクロポンプ100の構造は、液体の搬送に適した構造など、他にも様々に存在する。従って、本発明では、その目的に応じて最適な構造を採用すれば良い。すなわち、ここで説明したマイクロポンプ100は、逆止弁を用いることなく気体を搬送できるが、このマイクロポンプ100に代えて、吸入口及び吐出口に逆止弁を備えるマイクロポンプを適用しても良い。
【0026】
図3に示されるように、制御ユニット14は、ハード構成として、CPU28と、第1記憶媒体29と、第2記憶媒体30と、第3記憶媒体31と、入力装置32と、表示装置33と、入出力インタフェース34と、バス35と、を備えている。
【0027】
CPU28は、いわゆる中央演算処理装置であり、各種プログラムが実行されて本制御ユニット14の各種機能を実現する。第1記憶媒体29は、いわゆるRAM(ランダム・アクセス・メモリ)であり、CPU28の作業領域として使用される。第2記憶媒体30は、いわゆるROM(リード・オンリー・メモリ)であり、CPU28で実行される基本OSを記憶する。第3記憶媒体31は、磁気ディスクを内蔵したハードディスク装置、CDやDVDやBDを収容するディスク装置、及び不揮発性の半導体フラッシュメモリ装置などで構成されており、CPU28で実行される各種プログラムなど保存される。
【0028】
入力装置32は、入力キーやキーボード、マウスであり、各種情報を入力する。表示装置33は、ディスプレイであり、各種動作状態を表示する。入出力インタフェース34は、マイクロポンプ24を動作させる電源(正弦波の波形)および制御信号が入出力される。更に、この入出力インタフェース34は、外部のパーソナルコンピュータからプログラムなどのデータを取得する。バス35は、CPU28、第1記憶媒体29、第2記憶媒体30、第3記憶媒体31、入力装置32、表示装置33、入出力インタフェース34などを一体的に接続して通信を行う配線となる。
【0029】
図4には、この制御ユニット14に保存される制御プログラムがCPU28で実行されることで得られる機能構成が示されている。制御ユニット14は、機能構成として、ポンプ制御部39と、弁制御部40と、を備える。ポンプ制御部39は、マイクロポンプ24への入力正弦波のVppおよび周波数を、目標となる所望の流量値に近づくように制御する。弁制御部40は、合流弁23を、酸素と空気の割合が目標となる所望の値に近づくように制御する。
【0030】
次に、気体混合装置10の制御例について説明する。制御ユニット14は、合流弁23を制御することで、酸素と空気の流量の割合を調整する。具体的には、酸素の流量を増加させる場合、図2(B)に示されるように、酸素の経路幅Woを空気の経路幅Waより大きくする。一方、酸素の流量を減少させる場合、図2(C)に示されるように、酸素の経路幅Woを空気の経路幅Waより小さくする。
【0031】
また、気体混合装置10で生成される混合気体の流量を増減させる場合には、制御ユニット14は、駆動させるマイクロポンプ24の数を変更するように制御する。
【0032】
以上説明したように、気体混合装置10によれば、酸素と空気の混合比率の変更を、応答時間を短く、且つ精度良く行える。
【0033】
図5には、第2実施形態の気体混合システム50の構成が例示されている。なお、第1実施形態と第2実施形態は、同一又は類似する部分が多いので、これらの説明は省略すると共に、ここでは第1実施形態と異なる点を中心に説明する。
【0034】
気体混合システム50は、気体混合装置10と、この気体混合装置10に酸素を供給する酸素供給ユニット11と、気体混合装置10に空気を供給する空気供給ユニット12と、装置全体を統括的に制御する制御ユニット14と、を備えている。
【0035】
ただし、気体混合システム50は、制御ユニット14に代えて、気体混合装置10、酸素供給ユニット11、および空気供給ユニット12の各々を個別に制御する複数の制御部を備えるようにしてもよい。この場合、複数の制御部は、互いに連携して一体となってシステム全体を統括的に制御する。
【0036】
酸素供給ユニット11は、酸素ボンベ15と共に用いられ、その酸素ボンベ15に圧縮して閉じ込められている酸素を気体混合ユニット13に供給する。具体的に、酸素供給ユニット11は、酸素ボンベ15から放出される酸素の流量を調整する流量調整弁16と、この流量調整弁16から気体混合ユニット13までの経路の途中に配置されて酸素が導入され、且つ大気に向けて開口する大気口17aを有してなるガスチャンバ17と、大気口17aにおける流量、すなわち、ガスチャンバ17内から大気に放出される流量を検知して、検知した流量をセンシング信号として出力する流量センサ18と、を備えている。
【0037】
流量調整弁16は、流量センサ18のセンシング信号などに基づいて、ガスチャンバ17内が大気圧程度の圧力となるように制御される。この流量調整弁16は、特に種類が限定されることはなく、電動弁や、応答速度が速い電磁弁などを採用できる。
【0038】
ガスチャンバ17は、所定の広がりを有する空間であり、酸素ボンベ15から酸素が放出された場合に、流量調整弁16から気体混合ユニット13までの経路内の気圧が急激に変動することを防止する緩衝空間として機能する。なお、本実施形態では、ガスチャンバ17を、流量調整弁16から気体混合ユニット13までの経路の途中に配置したが、当該経路から分岐した箇所に配置してもよい。
【0039】
このガスチャンバ17内の圧力は、酸素ボンベ15から酸素が導入されることによって増加する。一方、このガスチャンバ17内の圧力は、当該ガスチャンバ17内の酸素を大気口17aから大気に放出することや、気体混合ユニット13へ放出することによって減少する。すなわち、ガスチャンバ17内の圧力は、酸素ボンベ15から導入される酸素の流量と、大気口17aから大気に放出される酸素の流量と、気体混合ユニット13へ放出される酸素の流量と、の割合によって増加したり減少したりする。
【0040】
本実施形態では、流量調整弁16を制御して、酸素ボンベ15から導入される酸素の流量を調整し、ガスチャンバ17内の圧力が大気圧程度で一定となるように保つ。なお、大気口17aから大気に放出される酸素の流量は、ガスチャンバ17内の圧力の影響を受けるものであり、ガスチャンバ17内の圧力増加に伴って増加する。すなわち、本実施形態では、ガスチャンバ17内の圧力が大気圧程度で一定となるように、大気口17aから大気に放出される酸素の流量を一定に保つ。
【0041】
酸素ボンベ15から導入される酸素の流量は、流量調整弁16によって調整される。大気口17aから大気に放出される酸素の流量は、ガスチャンバ17内の圧力の影響を受けるものであり、直接調整することはできないが、ガスチャンバ17内の圧力が低下する場合に減少する。気体混合ユニット13へ放出される酸素の流量は、気体混合ユニット13で混合気体を生成する際に用いる酸素の量の影響を受けるものであり、直接調整することはできないが、気体混合ユニット13で混合気体を生成する際に用いる酸素の量を制御することで、気体混合ユニット13へ放出される酸素の流量を間接的に調整できる。
【0042】
流量センサ18は、特に種類が限定されることはなく、電気式(電磁式)、機械式(羽根車式、浮き子式、カルマン式、コリオリ式)、超音波式、熱式など、様々なタイプのものを採用できる。
【0043】
空気供給ユニット12は、大気中の空気を気体混合ユニット13に供給する。具体的に、空気供給ユニット12は、大気中の空気を送り出すポンプ19と、このポンプ19から気体混合ユニット13までの経路の途中に配置された逆止弁20と、を備えている。
【0044】
ポンプ19は、特に種類が限定されることはなく、ファンを回転させて気体を送り出すブロアや、ピストンを往復運動させて気体を送り出すシリンダポンプなどを採用できる。逆止弁20は、気体混合ユニット13からポンプ19への逆流を防止する。
【0045】
なお、本実施形態では、大気口17aの大きさは一定としたが、大気口17aの大きさを広狭させる絞り弁(図示省略)を備えるようにしてもよい。この絞り弁は、流量センサ18のセンシング信号などに基づいて、流量調整弁16と共に制御される。これにより、例えば、大気口17aを広げることで、大気に放出される酸素の流量が増加するので、酸素ボンベ15から放出される酸素の流量が増加した場合であっても、ガスチャンバ17内の圧力が増加することが防止される。また、大気口17aを狭めることで、大気に放出される酸素の流量が減少するので、酸素ボンベ15から放出される酸素の流量が減少した場合であっても、気体混合ユニット13へ放出される酸素の流量が減少することが防止される。
【0046】
気体混合ユニット13は、第1実施形態の気体混合装置10の構造部分と同様の構成からなる。すなわち、気体混合ユニット13は、酸素供給ユニット11からの経路を複数(本実施形態では5つ)に分岐する酸素経路分岐部21と、空気供給ユニット12からの経路を複数(本実施形態では5つ)に分岐する空気経路分岐部22と、複数(本実施形態では5つ)の合流弁23と、複数(本実施形態では5つ)のマイクロポンプ24と、合流部25と、を備えている(図1(A)参照)。
【0047】
制御ユニット14における第3記憶媒体31(図3参照)は、更に、流量センサ18のセンシング信号に基づくセンシングデータが保存される。入出力インタフェース34(図3参照)は、更に、流量センサ18のセンシング信号が入出力されると共に、外部のパーソナルコンピュータに対してセンシング信号を出力する。
【0048】
図5に示されるように、制御ユニット14は、機能構成として更に、センシング部38を備える。センシング部38は、流量センサ18のセンシング信号を常に取得して弁制御部40に伝達する。ポンプ制御部39は、更に、ポンプ19を、目標となる所望の流量値に近づくように制御する。弁制御部40は、更に、センシング部38のセンシング信号を参照して、流量調整弁16への制御信号を、目標となる所望の流量値に近づくように制御する。
【0049】
次に、酸素供給ユニット11の制御例について説明する。
【0050】
制御ユニット14には、ガスチャンバ17内の気圧が大気圧程度の場合における大気口17aでの流量が予め記憶されている。制御ユニット14は、このデータを基準として、流量センサ18のセンシング信号に基づいて、大気口17aでの流量が、ガスチャンバ17内の気圧が大気圧程度の場合より多いか否か、すなわち、基準より多いか否かを判断する。基準より多いと判断する場合には、制御ユニット14は、流量調整弁16を制御して、酸素ボンベ15から放出される酸素の流量を減少させる。この制御を常に行うことで、ガスチャンバ17内の気圧を大気圧程度の圧力に保つことができる。
【0051】
次に、気体混合ユニット13の制御例について説明する。
【0052】
上述のように、ガスチャンバ17内の圧力を大気圧程度で一定にするために、制御ユニット14は、流量調整弁16を制御して酸素ボンベ15から放出される酸素の流量を増減させるので、流量調整弁16の制御に対応して合流弁23を制御することで、酸素と空気の流量の割合を調整する。具体的には、酸素ボンベ15から放出される酸素の流量を増加させた場合、図2(C)に示されるように、酸素の経路幅Woを空気の経路幅Waより小さくする。一方、酸素ボンベ15から放出される酸素の流量を減少させた場合、図2(B)に示されるように、酸素の経路幅Woを空気の経路幅Waより大きくする。
【0053】
以上説明したように、気体混合システム50によれば、酸素を所望の流量を変更しつつ、同時に気道内を大気圧程度の圧力に設定できる。
【0054】
尚、本発明の気体混合装置は、上記した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。また、上記した実施の形態の構成要件を、可能な範囲で他の実施の形態に適用してもよい。
【0055】
すなわち、上記各実施形態において、気体混合装置10は、二種類の気体を混合する装置であるが、三種類以上の気体を混合するようにしてもよい。
【0056】
あるいは、上記各実施形態において、合流弁23の各々は、酸素と空気の流量の割合を調整する弁であるが、通過させる気体の種類を切り替える弁、すなわち、酸素を通過させるか空気を通過させるかを切り替える弁であってもよい。この場合、酸素を通過させる弁の数と、空気を通過させる弁の数と、を変更することによって、トータルとしての酸素と空気の流量の割合を調整する。
【0057】
あるいは、上記第2実施形態では、気道内を大気圧程度の圧力に設定できる場合を例に説明したが、これに限定されず、気道内を所望の圧力に設定できるようにしてもよい。この場合、制御ユニット14に、ガスチャンバ17内の気圧が所望の圧力となる場合における大気口17aでの流量を予め記憶しておけばよい。そして、制御ユニット14は、そのデータを基準として制御するようにすればよい。
【0058】
あるいは、上記第2実施形態において、第1の気体の供給源として酸素ボンベ15を利用したが、当該供給源は、第1の気体を送り出すことができればよく、ポンプなどを利用してもよい。
【符号の説明】
【0059】
10 気体混合装置
11 酸素供給ユニット(気体供給ユニット)
14 制御ユニット(制御部)
15 酸素ボンベ(供給源)
16 流量調整弁
17 ガスチャンバ
17a 大気口
18 流量センサ
23 合流弁
24,100 マイクロポンプ
25 合流部
50 気体混合システム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに並列に配置され、各々が複数種類の気体の供給を受けて該気体を通過させる複数の合流弁と、
前記複数の合流弁の各々の下流に一つずつ配置され、前記合流弁を通過した気体を送り出す複数のマイクロポンプと、
前記複数のマイクロポンプの下流において、該複数のマイクロポンプの各々から送り出された気体を合流させる合流部と、を備えることを特徴とする、
気体混合装置。
【請求項2】
前記複数の合流弁の各々は、前記複数種類の気体の流量の割合を調整することを特徴とする、
請求項1に記載の気体混合装置。
【請求項3】
前記複数の合流弁の各々は、通過させる気体の種類を切り替えることを特徴とする、
請求項1に記載の気体混合装置。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれかに記載の気体混合装置と、
前記複数の合流弁の各々に対し、第1の気体を供給する気体供給ユニットと、を備え、
前記気体供給ユニットは、
前記第1の気体の供給源から放出される前記第1の気体の流量を調整する流量調整弁と、
前記流量調整弁から前記複数の合流弁までの経路の途中に、または該経路から分岐した箇所に配置されて前記第1の気体が導入され、且つ大気に向けて開口する大気口を有してなるガスチャンバと、
前記大気口における流量を検知して、検知した前記流量を信号として出力する流量センサと、
前記流量センサから出力された前記信号を受け、該信号に基づいて前記流量調整弁を制御する制御部と、を備えることを特徴とする、
気体混合システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2013−59384(P2013−59384A)
【公開日】平成25年4月4日(2013.4.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−198260(P2011−198260)
【出願日】平成23年9月12日(2011.9.12)
【出願人】(000138060)株式会社メトラン (23)