説明

気体燃料の低位発熱量およびウォッベ指数を測定するための方法、センサ、およびシステム

【課題】気体燃料の低位発熱量を測定するための方法を提供すること。
【解決手段】方法は、気体燃料を空気と混合して、可燃性混合気を提供することを含む。混合気は、一定の温度で保たれる第1のマイクロホットプレート(50)の流れ表面(52)をわたって流れるように送られる。第1のマイクロホットプレート流れ表面から混合気への対流および伝導熱伝達による、第1のマイクロホットプレート流れ表面の一定の温度を保つために必要とされるパワーの変化が測定される。混合気は、一定の温度で保たれる第2のマイクロホットプレート(60)の流れ表面(62)をわたって流れるように送られる。混合気は、第2のマイクロホットプレート流れ表面をわたって流れるときに燃焼される。混合気の燃焼による、第2のマイクロホットプレート流れ表面の一定の温度を保つために必要とされるパワーの変化が測定される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に、ガスタービンエンジン性能を監視することに関し、より詳細には、気体燃料に関する低位発熱量およびウォッベ指数を測定するための方法およびシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
液化天然ガス(LNG)またはパイプライン天然ガスとLNGとのブレンド、ならびに様々な低BTU気体燃料で確実に動作することができるガス燃焼タービンおよび往復機関に対する要求が高まっている。したがって、エンジン性能が燃料特性に適切に合致することを保証するために、これらの燃料の低位発熱量(LHV)および/またはウォッベ指数を求めるための迅速かつ安価な方法およびシステムが求められている。
【0003】
気体燃料のLHVおよび/またはウォッベ指数を求めるための既存の方法は、燃料成分を分離するためのガラス毛細管システムと、成分を定量的に同定するための熱伝導率検出器(TCD)および/または炎イオン化検出器(FID)とを有するガスクロマトグラフ(GC)システムの使用を含む。しかし、従来のGCシステムは、いくつかの欠点を有する。GCシステムは比較的高価であり、典型的には約20,000.00USドル以上の費用がかかる。さらに、GCシステムは操作が難しく、相当な訓練を必要とする。さらに、GC応答は、通常は数分の解析時間が必要とされるので、比較的遅い。
【0004】
気体燃料のLHVおよび/またはウォッベ指数を求めるための別の方法は、燃料のウォッベ指数と密度および動粘度との間に存在する相関に基づく。さらに別の方法は、燃料品質の尺度を得るために熱量計を使用することを含む。例えば、燃料気体の熱伝導率と発熱量との間の相関を利用することが可能である。この相関は、主にメタンから構成される典型的な天然ガスで存在する。しかし、燃料組成が変化するとき、測定精度に関わる問題が生じる場合がある。
【0005】
ウォッベ指数(W)は、一般に使用される燃料品質測定値であり、以下の式によって与えられる。
【0006】
【数1】

ここで、SGは、測定される燃料の比重である。この相関を使用して、広範囲の燃料のウォッベ指数を測定することができる。しかし、この方法には欠点がある。H、CO、および/またはLPGなどいくつかの気体が高い濃度で存在する場合、この相関が保たれない。
【特許文献1】米国特許第6,786,716号公報
【特許文献2】米国特許第5,834,627号公報
【非特許文献1】M. SETO, H. MUTO and Y. KAJIO; 1995 International Gas Research Conference; "Development of Calorie Transmitter For Quick Response Calorific Value Control", 10 pages
【非特許文献2】DR. R. HEB and DR. D. ALTEMARK; 1996 International Gas Research Conference; "Flameless System for the Measurement of the Gross Calorific Value and the Wobbe Number of Fuel Gases", 11 pages
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、上記従来技術の課題を解決することを目的の一つとする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
一態様では、本発明は、気体燃料の低位発熱量を測定するための方法を提供する。方法は、気体燃料を空気と混合して、可燃性混合気を提供することを含む。混合気は、一定の温度で保たれる第1のマイクロホットプレートの流れ表面をわたって流れるように送られる。第1のマイクロホットプレート流れ表面から混合気への対流および伝導熱伝達による第1のマイクロホットプレート流れ表面の一定の温度を保つために必要とされるパワーの変化が測定される。混合気は、一定の温度で保たれる第2のマイクロホットプレートの流れ表面をわたって流れるように送られる。混合気は、第2のマイクロホットプレート流れ表面をわたって流れるときに燃焼される。混合気の燃焼による第2のマイクロホットプレート流れ表面の一定の温度を保つために必要とされるパワーの変化が測定される。
【0009】
別の態様では、本発明は、気体燃料の低位発熱量を測定するためのセンサを提供する。センサは、チャンバを画定するエンクロージャを含む。チャンバは、チャンバに可燃性混合気を供給するように構成された混合気供給ラインと流れ連絡する(流体が通過可能なように接続する)。第1のマイクロホットプレートが、チャンバ内部に位置決めされ、少なくとも1つの流れ表面を含む。少なくとも1つの流れ表面は、チャンバを通って流れる混合気に接触するように構成される。第2のマイクロホットプレートが、チャンバ内部に、第1のマイクロホットプレートに対して位置決めされる。第2のマイクロホットプレートは、混合気の燃焼を開始するように構成された触媒コーティング材料で被覆された少なくとも1つの流れ表面を含む。センサ排気部が、チャンバと流れ連絡する。
【0010】
別の態様では、本発明は、気体燃料の低位発熱量を測定するためのシステムを提供する。システムは、可燃性混合気を提供するために、空気の流量と気体燃料の流量との少なくとも一方を制御するように構成された流量制御デバイスを含む。センサが、流量制御デバイスと流れ連絡する。センサは、少なくとも1つの流れ表面を有する第1のマイクロホットプレートを含む。第1のマイクロホットプレートは、第1のマイクロホットプレートから、少なくとも1つの流れ表面をわたって流れる混合気への対流および伝導熱損失を測定するように構成される。第2のマイクロホットプレートが、第1のマイクロホットプレートに対して位置決めされる。第2のマイクロホットプレートは、燃焼生成物を生成するために混合気の燃焼を開始するように構成された触媒コーティング材料で被覆された少なくとも1つの流れ表面を含む。第2のマイクロホットプレートは、さらに、混合気の燃焼の熱を測定するように構成される。センサ排気部が、センサと流れ連絡し、燃焼生成物の体積流量を測定するように構成される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
本発明は、気体燃料に関する低位発熱量(LHV)およびウォッベ指数を測定するための方法、センサ、およびシステムを提供する。本明細書では、工業環境で使用されるガスタービンエンジンの文脈で方法およびシステムを説明するが、本明細書で説明する方法およびシステムを他の燃焼システム適用例で利用することもできることが企図されている。さらに、本明細書に記載する原理および教示は、天然ガス、ガソリン、灯油、ディーゼル燃料、およびジェット燃料など様々な可燃性燃料を使用するガスタービンエンジンに適用可能である。したがって、本明細書における以下の説明は、限定ではなく、単に例示として記載される。
【0012】
図1および2を参照すると、気体燃料の低位発熱量およびウォッベ指数を測定するためのシステム10が、本明細書で以後「混合気」と呼ぶ可燃性燃料と空気との混合物の流量を制御する流量制御デバイス12を含む。一実施形態では、空気と燃料との比率は、当量比Fが1未満(希薄な流れ混合物)となるように固定される。流量制御デバイス12は、少なくとも1つの空気入口14を含み、空気の供給を空気供給ライン16を通して送る。圧力調整器18が、流量制御デバイス12を通る空気の圧力を調整する。オリフィスプレート20が、調整器18と流れ連絡するオリフィス22を画定する。オリフィス22を通る背圧は、オリフィス22を通る空気流がチョークされるように、圧力調整器18を使用して調節される。オリフィス22の上流での圧力を下流での圧力よりも十分に高くすることで、オリフィス22を通って流れる空気の速度は実質的に一定となる。この流れは「チョークされた」流れと呼ばれる。チョークされた空気流の状態を維持することによって、空気の質量流量は、チョークされていない空気流に比べてかなり安定に保たれる。
【0013】
同様に、天然ガスなど気体燃料の供給が、少なくとも1つの燃料入口24および燃料供給ライン26を通して送られる。圧力調整器28が、流量制御デバイス12を通る気体燃料の圧力を調整する。オリフィスプレート30が、調整器28と流れ連絡するオリフィス32を形成する。オリフィス32を通る背圧は、オリフィス32を通る気体燃料の流れがチョークされるように、圧力調整器28を使用して調節される。オリフィス32の上流での圧力を下流での圧力よりも十分に高くすることで、オリフィス32を通って流れる気体燃料の速度は実質的に一定となり、例えば「チョークされた」流れとなる。チョークされた気体燃料の流れの状態を維持することによって、気体燃料の質量流量は、チョークされていない気体燃料の流れに比べてかなり安定に保たれる。気体燃料の密度が変化する場合、質量流量が変化する可能性がある。しかし、質量流量の変動は、気体燃料およびチョークされた流れの密度を仮定して、簡単に計算される。
【0014】
流量制御デバイス12、より具体的には圧力調整器28は、気体燃料の質量流量を制御するように構成され、気体燃料の質量流量と空気供給ライン16からの空気の質量流量とのバランスをとって、選択された空燃比を実現する。追加として、または別法として、圧力調整器18が、空気の質量流量を制御するように構成され、空気の質量流量と燃料供給ライン26からの気体燃料の質量流量とのバランスをとって、選択された空燃比を実現する。さらに、流量制御デバイス12は、少なくとも約200℃まで上がる温度を有する高温燃料の流れを制御するのに適しており、微粒子やタールなど汚染物質を有する燃料のフィルタを使用する。
【0015】
一実施形態では、バイパス34が、燃料供給ライン26と流れ連絡する。バイパス34は、可変ニードル弁36によって動作制御され、望みに応じて、バイパス34を通る燃料流量の増加を提供または許可して、下流に位置決めされたセンサに適切な量の燃料を提供する。例えば、オリフィス32は、燃料供給ライン26を通る燃料の流れを小さな値まで下がるように制御する場合があり、燃料入口24と下流に位置決めされたセンサとの間の全体距離により、センサ応答時間が望ましくなく増大する。センサ応答時間を短縮するために、可変ニードル弁36が活動化されて開き、バイパス34を通る燃料の流れの増加を提供して、センサに適切な量の燃料を供給する。
【0016】
空気の供給と燃料の供給とが、配管接合部40で合わされて混合される。主空気燃料供給ライン42が、配管接合部40で空気供給ライン16および燃料供給ライン26のそれぞれと流れ連絡する。一実施形態では、混合気に関する空気の比率および/または気体燃料の比率は、混合気が可燃性になるように選択される。主空気燃料供給ライン42は、主空気燃料供給ライン42と流れ連絡するセンサ45を通るように混合気を送る。一実施形態では、センサ45は、チャンバ48を内部に画定するエンクロージャ46を含む。
【0017】
センサ45は、第1の、または基準マイクロホットプレート50と、基準マイクロホットプレート50に対して位置決めされた第2の、または触媒マイクロホットプレート60とを含む。図1および2に示されるように、基準マイクロホットプレート50および触媒マイクロホットプレート60は、チャンバ48内部に位置決めされる。一実施形態では、基準マイクロホットプレート50は、図1に矢印63によって示されるチャンバ48を通る混合気の流れの方向に対して、触媒マイクロホットプレート60と直列に位置合わせされる。代替実施形態では、基準マイクロホットプレート50は、図2に矢印64によって示されるチャンバ48を通る混合気の流れの方向に対して、触媒マイクロホットプレート60と並列に位置合わせされる。図1および2に示される際、単純化のために、2つのマイクロホットプレート、例えば基準マイクロホットプレート50および触媒マイクロホットプレート60が示されている。しかし、センサ45は、燃焼変換効率を高めるために、任意の適切な数の基準マイクロホットプレート50および/または触媒マイクロホットプレート60を含むことができる。任意の適切な数の基準マイクロホットプレート50および/または触媒マイクロホットプレート60を、チャンバ48内部の混合気の流れの方向に対して並列および/または直列に使用することができることは、当業者に明らかであり、本明細書で提供される教示によって示される。
【0018】
図1を参照すると、一実施形態では、基準マイクロホットプレート50は、珪素のフレームから懸垂された窒化珪素メンブレンを含む。基準マイクロホットプレート50は、アルミナ材料から製造される。代替実施形態では、基準マイクロホットプレート50は、当業者に知られており、本明細書で提供される教示によって示される任意の適切な材料から製造される。混合気がマイクロホットプレート50の流れ表面52をわたって流れるとき、基準マイクロホットプレート50からの熱が混合気に伝達される。
【0019】
次いで、混合気は、触媒マイクロホットプレート60をわたって流れる。一実施形態では、触媒マイクロホットプレート60は、珪素のフレームから懸垂された窒化珪素メンブレンを含む。触媒マイクロホットプレート60の少なくとも一部分が触媒で被覆される。混合気は、触媒コーティングの表面をわたって流れるとき、触媒コーティングとの接触によって燃焼を開始され、燃焼の熱が、触媒マイクロホットプレート60に関するパワー要件を低減する。
【0020】
他の代替実施形態では、担持触媒コーティング材料が、流れ表面62上で、触媒マイクロホットプレート60の担持材料に塗布される。触媒および動作温度の特定の選択は、用途によって決まる。触媒は、例えば、貴金属、添加剤(例えば銅)を有する貴金属、半導体酸化物、および/またはヘキサアルミネート材料にすることができる。触媒は、アルミナ、ヘキサアルミネート、ジルコニア、セリア、チタニア、または含水金属酸化物(例えば含水酸化チタン(HTO)、シリカドープ含水酸化チタン(HTO:Si)、およびシリカドープ含水酸化ジルコニウム(HZO:Si))など高温安定であり高表面積の材料で担持することができる。これらの担持触媒は、良好な安定性および反応性を有し、厳しい燃焼条件から触媒マイクロホットプレート60を隔離することによって信頼性の問題および故障モードを緩和する助けとなる。一実施形態では、触媒マイクロホットプレート60は、アルミナマトリックスで担持されたPtまたはPdなどの貴金属を含むアルミナ担持触媒を含む。
【0021】
担持触媒は、混合気の流れにさらされる触媒マイクロホットプレート60の流れ表面62の上に堆積することができる。一実施形態では、触媒は、十分な触媒活性を提供するのに十分に厚く、しかし、燃焼される気体との接触時にマイクロホットプレート表面と触媒表面との間の適当な熱伝達を可能にするのに十分に薄い。一貫した性能を実現するために、触媒の確実な堆積が望まれる。触媒は、当技術分野で知られており、本明細書で提供される教示によって示される任意の適切なプロセスを使用して、触媒マイクロホットプレート60の流れ表面62の上に堆積される。
【0022】
基準マイクロプレート50および/または触媒マイクロプレート60を製造するための他の適切な材料は、2004年9月7日にGardner他に発行された米国特許第6,786,716号に開示されており、その開示は、全体を参照として本明細書に組み込む。他の代替実施形態では、基準マイクロホットプレート50および/または触媒マイクロホットプレート60が、当業者に知られており、本明細書で提供される教示によって示される任意の適切な担持材料および/またはコーティング材料を含む。
【0023】
温度制御回路70が、基準マイクロホットプレート50および/または触媒マイクロホットプレート60を作動制御できるように接続される。温度制御回路70は、基準マイクロホットプレート50および/または触媒マイクロホットプレート60を実質的に一定の温度で保つ。温度制御回路70は、設定された抵抗、したがって設定された温度を保つために、基準マイクロホットプレート50および/または触媒マイクロホットプレート60へのパワーを変えることによって基準マイクロホットプレート50および/または触媒マイクロホットプレート60の能動制御を容易にする。
【0024】
一実施形態では、温度制御回路70は、基準マイクロホットプレート50および/または触媒マイクロホットプレート60を実質的に一定の温度で保つために必要とされる(電流および/または電圧による)パワーを測定する。例えば、基準マイクロホットプレート50からの熱が混合気に伝達され、マイクロホットプレート50を実質的に一定の温度で保つために必要とされるマイクロホットプレート50に供給されるパワーの変化を監視することによって、対流および伝導パワー損失が測定可能となる。さらに、燃焼による外部加熱が流れ表面62の温度を上昇させようとするとき、それを補償するように回路パワーが低下する。したがって、温度制御回路70は、触媒マイクロホットプレート60を実質的に一定の温度で保つ。一実施形態では、コンピュータ80が、温度制御回路70とインターフェースされて、センサ45内部で取られた測定値を監視および/または記録する。気体燃料のエネルギー含量は、基準マイクロホットプレート50から測定される対流および伝導熱損失と、混合気が触媒マイクロホットプレート60をわたって流れるときに混合気の燃焼中に測定される放熱とを組み合わせることによって得られる。
【0025】
基準マイクロホットプレート50および/または触媒マイクロホットプレート60に供給されるパワーの全体的な変化は、LHVに直接関係付けられる。基準マイクロホットプレート50および/または触媒マイクロホットプレート60の時間応答は、ミリ秒のオーダーである。したがって、LHVはリアルタイムで測定される。さらに、対流および伝導パワー損失によるパワーの変化と、放熱によるパワーの変化とを測定することによって、燃料のエネルギー含量(Δパワー)が求められる。100%燃焼が行われる場合、LHVの直接の測定値が得られる。100%未満の燃焼変換効率では、LHVを求めるために較正が行われる。
【0026】
センサ45内部での混合気の燃焼により生じる燃焼生成物は、センサ排気部90を通して送られ、その後、排気部出口92を通して大気に排気される。センサ排気部90は、流量制御システム12とのフィードバックデバイスとして働き、それにより、流量制御システム12は、基準マイクロホットプレート50および/または触媒マイクロホットプレート60をわたる質量流量の小さな変動を補正することができる。一実施形態では、センサ排気部90は、コンピュータ80と連絡する。質量流量値およびエネルギー含量の測定値を用いて、燃料のLHVおよびウォッベ指数がコンピュータ80によって計算される。計算される不連続の従来のGCシステム測定値とは対照的に、センサ45は、LHVおよびウォッベ指数の直接的かつ連続的な測定値を提供する。さらに、センサ45は、従来のGCシステムに比べて比較的安価である。さらに、既知の量の燃料がセンサ45内部で完全に燃焼される場合、放出される熱の量を求めることができる。次いで、この情報を使用して、燃料のLHVを直接求めることができる。この技法の利点は、燃料組成および/または相関に関するアプリオリな仮定が必要とされないことである。
【0027】
一実施形態では、気体燃料の低位発熱量を測定するための方法が提供される。この方法は、気体燃料を空気と混合して、可燃性混合気を提供することを含む。混合気は、基準マイクロホットプレート50の流れ表面52をわたって流れるように送られる。対流および伝導熱伝達による基準マイクロホットプレート50に供給されるパワーの変化が、一定の温度を保つために必要とされる。基準マイクロホットプレートに供給されるパワーの変化は、温度制御回路70によって記録される。温度制御回路70が、流れ表面52を実質的に一定の温度で保つ。
【0028】
混合気は、触媒マイクロホットプレート60の流れ表面62をわたって流れるように送られる。混合気は、流れ表面62をわたって流れるときに燃焼される。混合気の燃焼による触媒マイクロホットプレート60に供給されるパワーの変化が、一定の温度を保つために必要とされる。触媒マイクロホットプレート60に供給されるパワーの変化は、温度制御回路70によって記録される。温度制御回路70が、流れ表面62を実質的に一定の温度で保つ。
【0029】
空気の流量と気体燃料の流量との少なくとも一方が、混合気の空燃比を制御するために調整される。一実施形態では、基準マイクロホットプレート50および触媒マイクロホットプレート60に供給されるパワーの総変化が求められ、気体燃料の低位発熱量が測定される。さらに、測定された低位発熱量と質量流量測定値とを用いて、気体燃料のウォッベ指数が求められる。
【0030】
上述した方法およびシステムは、費用対効果が高く正確で連続的な、気体燃料に関する低位発熱量のオンライン測定を容易にする。より具体的には、この方法およびシステムは、従来のGCシステムが数分毎に単一の読取りしか生成することができないのに対して、低位発熱量の連続的な読取りを容易にする。その結果、気体燃料に関する低位発熱量を信頼可能に、かつ効率的に求めることができる。
【0031】
気体燃料に関する低位発熱量を測定するための方法およびシステムの例示的な実施形態を詳細に上述した。方法および/システムは、本明細書で説明した特定の実施形態に限定されず、方法の段階および/またはシステムの構成要素を、本明細書で説明した他の段階および/または構成要素から独立して個々に利用することもできる。さらに、説明した方法の段階および/またはシステム構成要素を、他の方法および/またはシステム内で定義することや、他の方法および/またはシステムと組み合わせて使用することもでき、本明細書で説明した方法およびシステムのみで実施されるものとは限定されない。
【0032】
本発明を様々な特定の実施形態に関して説明してきたが、特許請求の範囲の精神および範囲内で修正を施して本発明を実施することもできることを当業者は理解されよう。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】気体燃料に関する低位発熱量および/またはウォッベ指数を測定するためのシステムの概略図である。
【図2】気体燃料に関する低位発熱量および/またはウォッベ指数を測定するための代替システムの概略図である。
【符号の説明】
【0034】
10 システム
12 流量制御デバイス
14 空気入口
16 空気供給ライン
18 圧力調整器
20 オリフィスプレート
22 オリフィス
24 燃料入口
26 燃料供給ライン
28 圧力調整器
30 オリフィスプレート
32 オリフィス
34 バイパス
36 可変ニードル弁
40 配管接合部
42 燃料供給ライン
45 センサ
46 エンクロージャ
48 チャンバ
50 基準マイクロホットプレート
52 流れ表面
60 触媒マイクロホットプレート
62 流れ表面
63 矢印
64 矢印
70 温度制御回路
80 コンピュータ
90 センサ排気部
92 排気部出口

【特許請求の範囲】
【請求項1】
気体燃料の低位発熱量を測定するためのセンサ(45)であって、
チャンバ(48)を画定するエンクロージャ(46)であって、前記チャンバが、前記チャンバに可燃性混合気を供給するように構成された混合気供給ライン(42)と流れ連絡するエンクロージャ(46)と、
前記チャンバ内部に位置決めされ、少なくとも1つの流れ表面(52)を備える第1のマイクロホットプレート(50)であって、前記少なくとも1つの流れ表面が、前記チャンバを通って流れる前記混合気に接触するように構成された第1のマイクロホットプレート(50)と、
前記チャンバ内部に、前記第1のマイクロホットプレートに対して位置決めされた第2のマイクロホットプレート(60)であって、前記混合気の燃焼を開始するように構成された触媒コーティング材料で被覆された少なくとも1つの流れ表面(62)を備える第2のマイクロホットプレート(60)と、
前記チャンバと流れ連絡するセンサ排気部(90)と
を備えるセンサ(45)。
【請求項2】
前記第1のマイクロホットプレート(50)が、前記第1のマイクロホットプレートから前記混合気への対流および伝導熱損失による、実質的に一定の温度を保つために必要とされるパワーの変化を測定するように構成され、前記第2のマイクロホットプレート(60)が、前記混合気の燃焼による、実質的に一定の温度を保つために必要とされるパワーの変化を測定するように構成された請求項1記載のセンサ(45)。
【請求項3】
前記第1のマイクロホットプレート(50)が、前記混合気の流れの方向に対して前記第2のマイクロホットプレート(60)と直列に並べられている請求項1記載のセンサ(45)。
【請求項4】
前記第1のマイクロホットプレート(50)が、前記混合気の流れの方向に対して前記第2のマイクロホットプレート(60)と並列に位置合わせされた請求項1記載のセンサ(45)。
【請求項5】
さらに、前記第1のマイクロホットプレート(50)および前記第2のマイクロホットプレート(60)のそれぞれと動作制御連絡する温度制御回路(70)を備え、前記温度制御回路が、前記第1のマイクロホットプレートおよび前記第2のマイクロホットプレートを実質的に一定の温度で保つように構成された請求項1記載のセンサ(45)。
【請求項6】
前記温度制御回路(70)が、実質的に一定の温度を保つために、前記第1のマイクロホットプレート(50)および前記第2のマイクロホットプレート(60)のそれぞれに供給されるパワーを変えるように構成された請求項5記載のセンサ(45)。
【請求項7】
気体燃料の低位発熱量を測定するためのシステム(10)において、
可燃性混合気を提供するために、空気の流量と気体燃料の流量との少なくとも一方を制御するように構成された流量制御デバイス(12)と、
前記流量制御デバイスと流れ連絡するセンサ(45)と、
前記センサと流れ連絡するセンサ排気部(90)と、を有し、
前記センサ(45)は、少なくとも1つの流れ表面(52)を含む第1のマイクロホットプレート(50)であって、前記第1のマイクロホットプレートから前記少なくとも1つの流れ表面をわたって流れる前記混合気への対流および伝導熱損失を測定するように構成された第1のマイクロホットプレート(50)と、
前記第1のマイクロホットプレートに対して位置決めされた第2のマイクロホットプレート(60)であって、燃焼生成物を生成するために前記混合気の燃焼を開始するように構成された触媒コーティング材料で被覆された少なくとも1つの流れ表面(62)を備え且つ前記混合気の燃焼の熱を測定するように構成された第2のマイクロホットプレート(60)と、を備え、
前記センサ排気部(90)は、前記燃焼生成物の体積流量を測定するように構成されている、システム(10)。
【請求項8】
前記流量制御デバイス(12)が、さらに、
空気供給ライン(16)と、
前記空気供給ラインと流れ連絡し、空気の圧力を制御するように構成された第1の圧力調整器(18)と、
前記空気供給ラインと混合気供給ラインとの間の流れ連絡を提供する第1のオリフィス(22)を画定する第1のオリフィスプレート(20)であって、前記第1のオリフィスが、チョークされた空気の流れを前記混合気供給ライン(42)に提供するように構成された第1のオリフィスプレート(20)と、
気体燃料供給ライン(26)と、
前記気体燃料供給ラインと流れ連絡し、気体燃料の圧力を制御するように構成された第2の圧力調整器(28)と、
前記気体燃料供給ラインと混合気供給ラインとの間の流れ連絡を提供する第2のオリフィス(32)を画定する第2のオリフィスプレート(30)であって、前記第2のオリフィスが、チョークされた気体燃料の流れを前記混合気供給ラインに提供するように構成された第2のオリフィスプレート(30)と
を備える請求項7記載のシステム(10)。
【請求項9】
さらに、前記第1のマイクロホットプレート(50)および前記第2のマイクロホットプレート(60)のそれぞれと動作制御連絡する温度制御回路(70)を備え、前記温度制御回路が、前記第1のマイクロホットプレートおよび前記第2のマイクロホットプレートを実質的に一定の温度で保つ請求項7記載のシステム(10)。
【請求項10】
前記流量制御デバイス(12)が、さらに、
空気供給ライン(16)と混合気供給ライン(42)との間の流れ連絡を提供する第1のオリフィス(22)を画定する第1のオリフィスプレート(20)であって、前記第1のオリフィスが、チョークされた空気の流れを前記混合気供給ラインに提供するように構成された第1のオリフィスプレート(20)と、
気体燃料供給ライン(26)と前記混合気供給ラインとの間の流れ連絡を提供する第2のオリフィス(32)を画定する第2のオリフィスプレート(30)であって、前記第2のオリフィスが、チョークされた気体燃料の流れを前記混合気供給ラインに提供するように構成された第2のオリフィスプレート(30)と
を備える請求項7記載のシステム(10)。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2007−101528(P2007−101528A)
【公開日】平成19年4月19日(2007.4.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−205613(P2006−205613)
【出願日】平成18年7月28日(2006.7.28)
【出願人】(390041542)ゼネラル・エレクトリック・カンパニイ (6,332)
【氏名又は名称原語表記】GENERAL ELECTRIC COMPANY
【Fターム(参考)】