説明

気体移送装置

【課題】簡素な構成で、気体浄化部材を通過する気体を制御すること。
【解決手段】第1の気体移送方向(7)に沿って延びる第1移送部(8)の下流側に接続され且つ第2の気体移送方向(11)に向けて屈曲する屈曲部(12)と、屈曲部(12)の下流側且つ第1の気体移送方向(7)の延長線上に配置された第1の排気口(16)と、屈曲部(12)の下流側且つ前記第2の気体移送方向(11)の延長線上に配置された第2の排気口(17)と、第2の排気口(17)を通過する気体を浄化する気体浄化部材(19)と、前記第1の排気口(16)から排気を行う場合に第1の回転数で移送羽根(9a)を回転させると共に、第2の排気口(17)から排気を行う場合に、第1の回転数よりも高い回転数の第2の回転数で移送羽根(9a)を回転させる気体移送装置(1〜19+C1)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、気体移送装置に関する。
【背景技術】
【0002】
画像形成装置において、内部の気体を装置外に移送する気体移送装置を備えた画像形成装置に関し、下記の特許文献1、2に記載の技術が知られている。
【0003】
特許文献1としての特開2009−192679号公報には、画像形成装置の奥側に配置された排気ダクト(31)に排気ファン(33)を配置して排気を行うと共に、フィルタ(34)を配置して熱定着装置で発生するVOC(揮発性有機化合物:Volatile Organic Compounds)ガスを吸着するVOC除去機構(F)が記載されており、フィルタ(34)の温度上昇を低減するために、温度センサ(38)での検知温度(T)が高くなると、冷却エア導入開口(35)を開けてダクト(31)に冷却エアを導入される。
【0004】
特許文献2としての特開2007−310100号公報には、フィルタの目詰まりによる濾過性能の低下を抑えるために、エアー流路(42)中に2つのフィルタ(54,55)と、エアの流れの方向を切り替える複数のシャッタ(56〜58)を配置して、シャッタ(56〜58)の開閉を制御することで、2つのフィルタ(54,55)にエアを通過させる順序と上流下流を逆転させて濾過性能を長期にわたって維持する構成が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2009−192679号公報(「0032」〜「0050」、図2、図4)
【特許文献2】特開2007−310100号公報(「0021」〜「0024」、図5)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、簡素な構成で、気体浄化部材を通過する気体を制御することを技術的課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記技術的課題を解決するために、請求項1記載の発明の気体移送装置は、
吸気口から吸気された気体が移送される気体移送路が内部に形成された移送路形成部材であって、予め設定された第1の気体移送方向に沿って延びる第1移送部と、前記第1移送部の気体移送方向下流側に接続され且つ前記第1の気体移送方向に対して傾斜する第2の気体移送方向に向けて屈曲する屈曲部と、前記屈曲部の下流側且つ前記第1の気体移送方向の延長線上に配置されて気体が排気可能な第1の排気口と、前記屈曲部の下流側且つ前記第2の気体移送方向の延長線上に配置されて気体が排気可能な第2の排気口と、を有する前記移送路形成部材と、
回転可能な移送羽根を有し、前記移送羽根の回転により前記気体移送路内の気体を移送する気体移送部材と、
前記第2の排気口に対応して配置され、前記第2の排気口を通過する気体を浄化する気体浄化部材と、
を備え、
前記第1の排気口から排気を行う場合に、予め設定された第1の回転数で前記移送羽根を回転させると共に、前記第2の排気口から排気を行う場合に、前記第1の回転数よりも高い回転数の第2の回転数で前記移送羽根を回転させること、
を特徴とする。
【0008】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の気体移送装置において、
熱源からの気体が吸気される前記吸気口と、
重力方向で上方に配置されて上方に向けて気体が排気可能な前記第1の排気口と、
水平方向に向けて気体が排気可能な前記第2の排気口と、
を備えたことを特徴とする。
【0009】
請求項3に記載の発明は、請求項1または2に記載の気体移送装置において、
前記第1移送部に配置された前記気体移送部材と、
を備え、
前記気体移送部材から前記第1の気体移送方向に延びる直線上に前記屈曲部の内面が非干渉且つ前記第1の排気口が配置された
ことを特徴とする。
【0010】
前記技術的課題を解決するために、請求項4に記載の発明の気体移送装置は、
吸気口から吸気された気体が移送される気体移送路が内部に形成された移送路形成部材であって、予め設定された第1の気体移送方向に沿って延びる第1移送部と、前記第1移送部の気体移送方向下流側に接続され且つ前記第1の気体移送方向に対して傾斜する第2の気体移送方向に向けて屈曲する屈曲部と、前記屈曲部の下流側且つ前記第1の気体移送方向の延長線上に配置されて気体が排気可能な第1の排気口と、前記屈曲部の下流側且つ前記第2の気体移送方向の延長線上に配置されて気体が排気可能な第2の排気口と、を有する前記移送路形成部材と、
回転可能な移送羽根を有し、前記移送羽根の回転により前記気体移送路内の気体を移送する気体移送部材と、
前記第2の排気口に対応して配置され、前記第2の排気口を通過する気体を浄化する気体浄化部材と、
を備え、
画像形成の動作設定に応じて、予め設定された第1の回転数で前記移送羽根を回転させる設定と、前記第1の回転数よりも高い回転数の第2の回転数で前記移送羽根を回転させる設定とを切り替えること、
を特徴とする。
【0011】
請求項5に記載の発明は、請求項4に記載の気体移送装置において、
前記動作設定が、多色の画像を形成する動作の場合に、前記第1の回転数で前記移送羽根を回転させる設定とし、
前記動作設定が、単色の画像を形成する動作の場合に、前記第2の回転数で前記移送羽根を回転させる設定とする
ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
請求項1、4に記載の発明によれば、気体移送部材の回転数を制御して排気口を変更する構成を有しない場合に比べて、簡素な構成で、気体浄化部材を通過する気体を制御することができる。
請求項2に記載の発明によれば、熱源からの高温の気体の対流を利用して重力方向で上方に配置された第1の排気口から排気をすることができる。
請求項3に記載の発明によれば、前記気体移送部材から前記第1の気体移送方向に延びる直線上に屈曲部の内面が干渉する構成に比べて、第1の排気口から気体が排気されやすくすることができる。
請求項5に記載の発明によれば、多色の画像形成時に低速で移送羽根が回転され、多色の場合に比べて画像形成速度が高速化されやすい単色の画像形成時に高速で移送羽根を回転させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】図1は本発明の実施例1の画像形成装置の説明図である。
【図2】図2は実施例1の気体移送装置の説明図であり、画像形成装置を斜め後方から見た図である。
【図3】図3は実施例1の気体移送装置の説明図であり、気体移送路の要部断面説明図である。
【図4】図4は実施例1の作用説明図であり、図4Aはカラー印刷が行われる場合の気体の流れの説明図、図4Bはモノクロ印刷が行われる場合の気体の流れの説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
次に図面を参照しながら、本発明の実施の形態の具体例である実施例を説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
なお、以後の説明の理解を容易にするために、図面において、前後方向をX軸方向、左右方向をY軸方向、上下方向をZ軸方向とし、矢印X,−X,Y,−Y,Z,−Zで示す方向または示す側をそれぞれ、前方、後方、右方、左方、上方、下方、または、前側、後側、右側、左側、上側、下側とする。
また、図中、「○」の中に「・」が記載されたものは紙面の裏から表に向かう矢印を意味し、「○」の中に「×」が記載されたものは紙面の表から裏に向かう矢印を意味するものとする。
なお、以下の図面を使用した説明において、理解の容易のために説明に必要な部材以外の図示は適宜省略されている。
【実施例1】
【0015】
図1は本発明の実施例1の画像形成装置の説明図である。
図1において、本発明の画像形成装置の一例としての複写機Uは、複写機本体U1と、複写機本体U1の上端に支持された自動原稿搬送装置U2とを有する。
前記自動原稿搬送装置U2は、複写しようとする複数の原稿Giが重ねて収容される原稿収容部の一例としての原稿給紙トレイTG1を有している。前記原稿給紙トレイTG1に収容された複数の各原稿Giは、順次複写機本体U1上端の透明な原稿台の一例としてのプラテンガラスPG上の複写位置を通過して、原稿排出部の一例としての原稿排紙トレイTG2に排出される。前記自動原稿搬送装置U2は、後端部に設けた左右方向に延びる回転軸により前記複写機本体U1に対して回転可能であり、原稿Giを利用者が手でプラテンガラスPG上に置く際に上方に回転移動される。
【0016】
前記複写機Uは、利用者が複写開始等の作動指令信号を入力操作する操作部UIを有している。
前記操作部UIは、表示器や、入力部の一例としての複写開始ボタン、テンキー等を有している。
複写機本体U1上面の透明なプラテンガラスPGの下方には、画像読取部の一例としてのスキャナ部U1aが配置されており、スキャナ部U1aの下方に配置された画像記録部の一例としてのプリンタ部U1bが配置されている。前記スキャナ部U1aの内部には、露光光学系Aが左右方向に移動可能に支持されている。
前記露光光学系Aは、その移動および停止が、位置検出部材の一例としての露光系レジセンサSpの検出信号により制御され、通常時は、図1に示す初期位置、いわゆるホームポジションに停止している。
【0017】
前記自動原稿搬送装置U2によりプラテンガラスPG上面の露光位置を通過する原稿Giまたは手動でプラテンガラスPG上に置かれた原稿からの反射光は、前記露光光学系Aを介して、撮像素子CCDで赤:R、緑:G、青:Bの電気信号に変換される。
画像処理部IPSは、撮像素子CCDから入力される前記RGBの電気信号を黒:K、イエロー:Y、マゼンタ:M、シアン:Cの画像データに変換して一時的に記憶し、前記画像データを、予め設定された時期に潜像形成用の画像データとして、書込駆動回路の一例としてのレーザ駆動回路DLに出力する。
レーザ駆動回路DLは、入力された画像データに応じて、書込信号の一例としてのレーザ駆動信号を潜像形成装置ROSに出力する。
【0018】
潜像形成装置ROSの下方には、像穂自体の一例としての感光体PRが配置されている。感光体PRは矢印Ya方向に回転駆動され、その表面は、帯電器CRにより一様に帯電された後、潜像書込位置Q1において潜像形成装置ROSの、書込光の一例としてのレーザビームLにより露光走査されて静電潜像が形成される。多色画像いわゆるカラー画像を形成する場合は、黒:K,イエロー:Y,マゼンタ:M,シアン:Cの4色の画像に対応した静電潜像が順次形成され、単色画像、いわゆるモノクロ画像の場合は黒:K画像に対応した静電潜像のみが形成される。
【0019】
前記静電潜像が形成された感光体PR表面は回転移動して現像領域Q2、1次転写領域Q3を順次通過する。
感光体PRの右方には、回転式、いわゆるロータリ式の現像装置Gが配置されている。前記現像装置Gは、回転軸Gaの回転に伴って現像領域Q2に順次回転移動する黒:K,イエロー:Y,マゼンタ:M,シアン:Cの4色の現像器GK,GY,GM,GCを有している。前記各色の現像器GK,GY,GM,GCは、前記現像領域Q2に現像剤を搬送する現像剤保持体の一例としての現像ロールGRを有しており、現像領域Q2を通過する感光体PR上の静電潜像を、可視像の一例としてのトナー像に現像する。
前記各現像器GK,GY,GM,GCには、現像剤の消費に応じて、現像剤収容容器の一例としてのトナーカートリッジTcから、新規の現像剤が補給されるように構成されている。
【0020】
前記感光体PRの下方には、像保持体の一例であって中間転写体の一例としての中間転写ベルトBが配置されている。前記中間転写ベルトBは、駆動部材の一例としてのベルト駆動ロールRd、張力付与部材の一例としてのテンションロールRt、蛇行防止部材の一例としてのウォーキングロールRw、従動部材の一例としてのアイドラロールRfおよび2次転写対向部材の一例としてのバックアップロールT2a、1次転写部材の一例としての1次転写ロールT1により回転移動可能に支持されている。
前記各ロールRd,Rt,Rw,Rf,T2aにより、実施例1の中間転写支持部材の一例としてのベルト支持ロールRd+Rt+Rw+Rf+T2aが構成されており、
前記中間転写ベルトB、ベルト支持ロールRd+Rt+Rw+Rf+T2a、1次転写ロールT1等により実施例1の中間転写装置B+Rd+Rt+Rw+Rf+T2a+T1が構成されている。
【0021】
フルカラー画像を形成する場合、潜像書込位置Q1において第1色目の静電潜像が形成され、現像領域Q2において1色目のトナー像Tnが形成される。このトナー像Tnは、1次転写領域Q3を通過する際に、1次転写ロールT1によって中間転写ベルトB上に静電的に1次転写される。その後同様にして、第1色目のトナー像Tnを担持した中間転写ベルトB上に、第2色目、第3色目、第4色目のトナー像Tnが順次重ねて1次転写され、最終的にフルカラーの多重トナー像が中間転写ベルトB上に形成される。
単色のモノカラー画像を形成する場合には1個の現像器のみを使用し、単色トナー像が中間転写ベルトB上に1次転写される。
1次転写後、感光体PR表面は、残留トナーが除電器JRにより除電され、感光体清掃器の一例としての感光体クリーナCL1により、残留現像剤が除去される。
【0022】
前記バックアップロールT2aの下方には、2次転写部材の一例としての2次転写ロールT2bが前記バックアップロールT2aに対して離隔した位置と接触した位置との間で移動可能に配置されている。前記バックアップロールT2aおよび2次転写ロールT2bの接触領域により2次転写領域Q4が形成されている。
前記バックアップロールT2aには、現像装置Gで使用するトナーの帯電極性と逆極性の2次転写電圧が電源回路Eから供給され、前記電源回路Eは制御部の一例としてのコントローラCにより制御される。
前記バックアップロールT2aおよび2次転写ロールT2bにより、実施例1の2次転写器T2が構成されている。
【0023】
複写機本体U1の下部には、媒体収容容器の一例としての給紙トレイTR1、TR2が着脱可能に支持されている。給紙トレイTR1,TR2に収容された媒体の一例としての記録シートSは、複写動作が開始されると、予め設定された時期に取出部材の一例としてのピックアップロールRpにより取り出される。ピックアップロールRpで取出された記録シートSは、捌き部材の一例としてのさばきロールRsで1枚づつ分離されて、媒体搬送路の一例としての給紙路SH1に配置された搬送部材の一例としての複数の搬送ロールRaにより搬送される。搬送ロールRaで搬送された記録シートSは、転写供給時期調整部材の一例としてのレジロールRrに搬送される。前記レジロールRrに搬送された記録シートSは、前記1次転写された多重トナー像または単色トナー像が2次転写領域Q4に移動する時期に合わせて、転写前案内部材の一例としての転写前シートガイドSG1を介して2次転写領域Q4に搬送される。
【0024】
前記2次転写領域Q4において前記2次転写器T2は、中間転写ベルトB上のトナー像を記録シートSに静電的に2次転写する。2次転写後の中間転写ベルトBは、中間転写清掃器の一例としてのベルトクリーナCL2により残留トナーが除去され、2次転写ロールT2aは2次転写清掃器の一例としての2次転写クリーナCL3により清掃される。
なお、前記2次転写ロールT2bおよびベルトクリーナCL2は、中間転写ベルトBと接触、離間可能に支持されており、カラー画像が形成される場合には最終色の未定着トナー像が中間転写ベルトBに1次転写されるまで、中間転写ベルトBから離隔している。また、2次転写ロールクリーナCL3は、前記2次転写ロールT2bと一緒に中間転写ベルトBに対して離接移動を行う。
【0025】
トナー像が2次転写された記録シートSは、転写後案内部材の一例としての転写後シートガイドSG2や、媒体搬送部材の一例としてのシート搬送ベルトBHにより、定着装置Fに搬送される。実施例1のシート搬送ベルトBHの内部には、吸引器の一例として、空気を吸引する吸引ファンBH1が配置されており、シート搬送ベルトBHに形成された図示しない複数の孔を介して空気を吸引することで、2次転写領域Q4通過後の記録シートSをシート搬送ベルトBHに吸着、保持して下流側に搬送する。
【0026】
定着装置Fは、加熱定着部材の一例としての加熱ロールFhと、加圧定着部材の一例としての加圧ロールFpとを有し、加熱ロールFhの内部には熱源としての図示しないヒータが配置されている。そして、前記加熱ロールFhと加圧ロールFpとの接触領域である定着領域Q5を記録シートSが通過する際に、ヒータの熱と加圧ロールFpによる加圧により、記録シートS表面の未定着トナー像が加熱定着される。前記加熱ロールFhの左上方には、定着領域Q5よりも回転方向上流側に、離型剤供給器の一例としてのオイル塗布装置Ftが配置されており、加熱ロールFhから記録シートSを剥離しやすくするためのオイルが加熱ロールFh表面に塗布される。前記加熱ロールFhの右上方には、定着領域Q5よりも回転方向下流側に、加熱ロールFh表面を清掃する定着清掃器の一例としてのクリーニングウェブFwが配置されている。
【0027】
トナー像が定着された記録シートSは、定着領域Q5下流側の媒体搬送路の一例としてのシート排出路SH2により、媒体排出部材の一例としてのシート排出ローラRhに搬送され、複写機本体U1の側壁に形成された排出口Kaから外部に排出される。
シート排出路SH2には、排出ローラRhの上流側に、媒体搬送路の一例としてのシート反転路SH3が接続されており、その接続部には切替部材の一例としての切替ゲートG1が設けられている。前記切替ゲートG1はシート排出路SH2を搬送されてきた記録シートを、前記排出ローラRh側またはシート反転路SH3側のいずれかに選択的に切り替える。
【0028】
前記シート反転路SH3には、媒体搬送路の一例としてのシート循環路SH4が接続されており、その接続部には切替部材の一例としての切替ゲートG2が設けられている。前記切替ゲートG2は前記切替ゲートG1からシート反転路SH3を搬送されてきたシートをそのまま通過させるとともに、一旦通過してから搬送方向が逆転して搬送、いわゆるスイッチバックしてきた記録シートSを、シート循環路SH4側に向かわせる。シート循環路SH4に搬送されたシートは、給紙路SH1を通って、表裏が反転した状態で2次転写領域Q4に再送される。
前記符号SH1〜SH4で示された要素によりシート搬送路SHが構成されている。また、前記符号Rp,Rs,Rr,Ra,SG1,SG2,BHで示された要素によりシート搬送装置SHが構成されている。
【0029】
(気体移送装置の説明)
図2は実施例1の気体移送装置の説明図であり、画像形成装置を斜め後方から見た図である。
図3は実施例1の気体移送装置の説明図であり、気体移送路の要部断面説明図である。
図2、図3において、複写機本体U1の後部には、移送路形成部材の一例としての排気ダクト1が支持されている。実施例1の排気ダクト1は、内部に気体移送路の一例としての排気路1aが形成されており、定着装置Fの上部に対応する位置から上方に向けて延びている。前記排気ダクト1の下端部は、吸気口の一例として、複写機本体U1の後壁2に形成されて定着装置Fからの空気を吸気可能な吸気口3に接続されている。
前記排気ダクト1は、吸気口3から後方に延びる上流端部6を有する。上流端部6の後端には、第1の気体移送方向の一例としての弱風方向7に沿って、後ろに行くに連れて斜め上方向に延びる第1移送部の一例としての主ダクト部8が接続されている。
前記主ダクト部8内には、気体を移送する気体移送部材の一例として、定着排気ファン9が配置されている。実施例1の定着排気ファン9は、回転可能な移送羽根9aを有し、移送羽根9aの回転により気体を弱風方向7に沿って移送する。
【0030】
主ダクト8の後上端には、弱風方向7に沿った斜め上方向から、弱風方向7に対して傾斜する第2の気体移送方向の一例としての強風方向11に沿って後方向に、連続的に屈曲した形状の屈曲部12が接続されている。
図3において、実施例1の屈曲部12は、弱風方向7に沿って延びる上流上壁12aと、重力方向に沿って延びて上方に行くに連れて上流上壁12aとの間隔が狭くなる上流下壁12bと、上流上壁12aの上端から強風方向11に沿って後方に延びる下流上壁12cと、上流下壁12bの上端から後方に湾曲する下流下壁12dとを有する。すなわち、屈曲部12の内部において、排気路1aは、上流上壁12aおよび上流下壁12bに挟まれた上流側の狭窄部1bと、下流上壁12cおよび渦流下壁12dに挟まれた下流側の屈曲排出部1cと、を有する。
【0031】
前記屈曲部12の後端には、排気部14が形成されている。排気部14には、第1の排気口の一例として、主ダクト部8の弱風方向7の延長線上である上面に形成された直接排気口16と、第2の一例として屈曲部12の強風方向11の延長線上である後面に形成された浄化排気口17とが設けられている。
実施例1の直接排気口16は、定着排気ファン9から弱風方向7の延長線上に配置されており、直接排気口16と定着排気ファン9との間を接続し且つ屈曲部12の各壁面12a〜12dに非干渉で、弱風方向7に沿った直線18が存在するように配置されている。
また、前記浄化排気口17の前側には、気体浄化部材の一例としてのフィルタ19が配置されている。実施例1のフィルタ19は、VOCや紙粉等の微粒子を除去可能な従来公知のフィルタを使用しており、例えば、活性炭や活性炭を基材としたフィルタを好適に使用可能である。
【0032】
図3において、実施例1の定着排気ファン9は、コントローラCの移送制御手段C1からの制御信号に基づいて、移送羽根9aの回転数、すなわち回転速度が制御される。
実施例1の移送制御手段C1は、排気口判別手段C1Aと、第1回転数記憶手段C1Bと、第2回転数記憶手段C1Cと、回転数設定手段C1Dとを有する。
排気口判別手段C1Aは、排気を行う排気口16,17の判別を行う。実施例1の排気口判別手段C1Aは、第1の回転数で定着排気ファン9を回転させる動作設定の一例としてのカラー印刷が行われる場合には、主として直接排気口16から排気を行うと判別する。また、第2の回転数で定着排気ファン9を回転させる動作設定の一例としてのモノクロ印刷が行われる場合には、主として浄化排気口17から排気を行うと判別する。なお、実施例1の複写機Uでは、モノクロ印刷は1分間当たり50枚の印刷を行うように設定されており、カラー印刷は1分間当たり14.5枚の印刷を行うように設定されている。
【0033】
第1回転数記憶手段C1Bは、直接排気口16から排気を行う場合の移送羽根9aの回転数である第1の回転数の一例としての弱風回転数を記憶する。
第2回転数記憶手段C1Cは、浄化排気口17から排気を行う場合の移送羽根9aの回転数であって、弱風回転数よりも回転数が高い第2の回転数の一例としての強風回転数を記憶する。なお、前記弱風回転数および強風回転数は、実験等により予め測定された数値が設定されている。
回転数設定手段C1Dは、排気口判別手段C1Aの判別結果に基づいて、定着排気ファン9の移送羽根9aの回転数を、動作設定に応じた弱風回転数または強風回転数の設定にする。
そして、実施例1の移送制御手段C1は、設定された回転数で定着排気ファン9の回転を制御して、排気路1aの気体の風量、すなわち、排気量を制御して、排出される排気口16,17の切り替え、すなわち、風向の制御を行う。
前記符号1〜19を付した部材や移送制御手段C1等により、実施例1の気体移送装置1〜19+C1が構成されている。
【0034】
(実施例1の作用)
図4は実施例1の作用説明図であり、図4Aはカラー印刷が行われる場合の気体の流れの説明図、図4Bはモノクロ印刷が行われる場合の気体の流れの説明図である。
前記構成を備えた実施例1の複写機Uは、カラー印刷が行われる場合には、定着排気ファン9が弱風回転数で低速回転される。したがって、図4Aに示すように、排気路1a内の気体は、弱風方向7に沿って、低速で移送される。よって、排気路1a内を流れる気体の流れは、乱流となりにくく、いわゆる層流に近い流れとなり、定着排気ファン9の送風方向である弱風方向7に沿った流れが流れの中心となる。したがって、屈曲部12を通過した流れも弱風方向7に沿った流れが主となり、強風方向11に沿った流れよりも多くなる。
よって、屈曲部12を通過した流れは、弱風方向7の延長線上に配置された直接排気口16から多くが排気され、浄化排気口17からの排気量は直接排気口16からの排気量に比べて少なくなる。特に、実施例1では、定着排気ファン9から弱風方向7の延長線上において、屈曲部12の壁面12a〜12dに非干渉な直線18が存在する位置に直接排気口16が配置されており、定着排気ファン9からの気体の流れが、直接排気口16に流れ込みやすくなっている。
【0035】
一方、モノクロ印刷が行われる場合には、定着排気ファン9が強風回転数で高速回転される。したがって、図4Bに示すように、排気路1a内の気体は、高速で移送される。よって、排気路1a内を流れる気体の流れは、屈曲部12の上流壁12a,12bから下流壁12c,12dに差し掛かる際に、乱流となりやすく屈曲排出部1cの出口において、下流壁12c,12dに沿った強風方向11に沿った流れとなりやすくなっている。特に、実施例1では、屈曲部12では、屈曲排出部1cに向かう上流側の狭窄部1bで排気路1aの流れに垂直な断面積が小さくなり、気体が圧縮されており、屈曲排出部1cの出口において、下流壁12c,12dに沿った強風方向11に沿った流れとなりやすくなっている。
したがって、屈曲部12を通過した流れは、強風方向11の延長線上に配置された浄化排気口17から多くが排気され、直接排気口16からの排気量は浄化排気口17からの排気量に比べて少なくなる。
【0036】
したがって、実施例1の複写機Uでは、単位時間当たりの印刷枚数が比較的少ないカラー印刷では、定着装置FにおけるVOCの発生量が比較的少なくなっており、フィルター19を通過させずに排気を行っても、法的な規制値をVOCの量が超えない場合、定着排気ファン9が低速回転をして、直接排気口16から排気が行われる。そして、1分間あたりの印刷枚数が比較的多いモノクロ印刷では、定着装置FにおけるVOCの発生量が比較的多くなっており、定着排気ファン9が高速回転をして、フィルター19を通過させてVOCを除去した後、浄化排気口17から排気される。
よって、実施例1の複写機Uでは、定着排気ファン9の回転数の制御がされて、フィルター19を通過させる必要がある場合には、気体がフィルター19を通過し、フィルター19を通過させる必要が無い場合には、気体がフィルター19を通過しない。したがって、常時フィルターに気体を通過させる従来の構成に比べて、定着ファン9の回転数の制御という比較的簡易な構成で、フィルター19を通過する気体が制御され、フィルター19の劣化が低減され、フィルター19が長寿命化されて、交換頻度が低減される。
【0037】
また、実施例1の複写機Uでは、熱源であるヒータを有する定着装置Fからの排気は、室温に対して高温になっており、空気の対流で上方に移動しやすくなっている。これに対して、実施例1の直接排気口16は重力方向に対して上方に配置されており、低速で移送される場合に、定着排気ファン9の移送に加えて、対流も利用して効率的に直接排気口16から排気されやすくなっている。
【0038】
(変更例)
以上、本発明の実施例を詳述したが、本発明は、前記実施例に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲で、種々の変更を行うことが可能である。本発明の変更例(H01)〜(H09)を下記に例示する。
(H01)前記実施例において、画像形成装置の一例として複写機Uを例示したが、これに限定されず、プリンタ、FAX、あるいはこれら複数の機能を備えた複合機等に適用可能である。また、多色の画像形成装置に限定されず、単色いわゆるモノクロの画像形成装置により構成することも可能である。さらに、現像装置Gとして、回転式の現像装置を例示したが、これに限定されず、各色毎に像保持体、帯電器、現像器、潜像形成装置等を有する構成、いわゆるタンデム式の画像形成装置に適用したり、1つの像保持体に対して、4つの現像器がそれぞれ接触、離間する構成、いわゆるリトラクト式の画像形成装置等、従来公知の任意の方式の画像形成装置に適用可能である。
【0039】
(H02)前記実施例において、気体移送部材の一例としての定着排気ファン9を排気路1a内に配置する構成を例示したが、これに限定されず、画像形成装置の本体の内部に配置したり、屈曲部12に配置する構成とすることも可能である。
(H03)前記実施例において、主ダクト部8の上流端に吸気口3が配置される構成としたが、吸気口3から主ダクト部8までの間に複数のダクトが接続された構成としたり、定着装置F以外の部材からのダクトが合流する構成とすることも可能である。また、主ダクト部8で別のダクトが合流する構成とすることも可能である。
【0040】
(H04)前記実施例において、定着装置Fからの排気路1aに関する構成を例示したが、これに限定されず、定着装置F以外の部材における気体移送路に実施例1の構成を適用することも可能である。例えば、帯電器CR近傍で発生しやすいオゾンや舞い上がった現像剤を排気するための気体移送路等に適用することも可能である。
(H05)前記実施例において、例示した具体的な数値等は、設計や仕様等に応じて、適宜変更可能である。
(H06)前記実施例において、カラー印刷時とモノクロ印刷時で定着排気ファン9の回転数を変更する構成を例示したが、カラー印刷やモノクロ印刷のような動作設定、いわゆるモードに限定されず、例えば、使用される媒体の種類や画像の解像度、印刷される画像の濃度等の動作設定、いわゆる、モードやパラメータ等に応じて、回転数を変更する構成とすることも可能である。具体的には、媒体の種類が「厚紙」の場合に「普通紙」の場合に比べて低速で媒体の搬送を行う場合には、定着排気ファン9も低速回転数とし、媒体の種類が「普通紙」の場合には高速回転数に設定するといった構成とすることも可能である。他にも、画像濃度が高い場合には、濃度が低い場合に比べて高速で回転させたり、解像度が高い場合には、解像度が低い場合に比べて、高速で回転させることも可能である。
【0041】
(H07)前記実施例において、直接排出口16を重力方向上方に配置して対流を利用する構成とすることが望ましいが、設計等に応じて、直接排出口16や浄化排出口17の位置は、重力方向の下向きや斜め下向き等、任意の方向に設定することが可能である。
(H08)前記実施例において、定着排気ファン9から弱風方向7の延長線上において、屈曲部12の壁面12a〜12dに非干渉な直線18が存在する位置に直接排気口16を配置する構成が望ましいが、直線18が存在しなくても、定着排気ファン9の回転数制御に応じて、気体が通過する排気口の風量の増減の制御可能であれば、屈曲部12の屈曲の程度や長さを任意に変更可能である。
(H09)前記実施例において、高速回転数と低速回転数の2段階の回転数で切り替える構成を例示したが、これに限定されず、3段階以上または連続的に回転数を制御、変更する構成とすることで、フィルタを通過させる気体と、通過させない気体の比率を制御することも可能である。
【符号の説明】
【0042】
1…移送路形成部材、
1〜19+C1…気体移送装置、
1a…気体移送路、
3…吸気口、
7…第1の気体移送方向、
8…第1移送部、
9…気体移送部材、
9a…移送羽根、
11…第2の気体移送方向、
12…屈曲部、
16…第1の排気口、
17…第2の排気口、
19…気体浄化部材、
C1…移送制御手段、
S…媒体、
U…画像形成装置、
U1b…画像記録部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
吸気口から吸気された気体が移送される気体移送路が内部に形成された移送路形成部材であって、予め設定された第1の気体移送方向に沿って延びる第1移送部と、前記第1移送部の気体移送方向下流側に接続され且つ前記第1の気体移送方向に対して傾斜する第2の気体移送方向に向けて屈曲する屈曲部と、前記屈曲部の下流側且つ前記第1の気体移送方向の延長線上に配置されて気体が排気可能な第1の排気口と、前記屈曲部の下流側且つ前記第2の気体移送方向の延長線上に配置されて気体が排気可能な第2の排気口と、を有する前記移送路形成部材と、
回転可能な移送羽根を有し、前記移送羽根の回転により前記気体移送路内の気体を移送する気体移送部材と、
前記第2の排気口に対応して配置され、前記第2の排気口を通過する気体を浄化する気体浄化部材と、
を備え、
前記第1の排気口から排気を行う場合に、予め設定された第1の回転数で前記移送羽根を回転させると共に、前記第2の排気口から排気を行う場合に、前記第1の回転数よりも高い回転数の第2の回転数で前記移送羽根を回転させること、
を特徴とする気体移送装置。
【請求項2】
熱源からの気体が吸気される前記吸気口と、
重力方向で上方に配置されて上方に向けて気体が排気可能な前記第1の排気口と、
水平方向に向けて気体が排気可能な前記第2の排気口と、
を備えたことを特徴とする請求項1に記載の気体移送装置。
【請求項3】
前記第1移送部に配置された前記気体移送部材と、
を備え、
前記気体移送部材から前記第1の気体移送方向に延びる直線上に前記屈曲部の内面が非干渉且つ前記第1の排気口が配置された
ことを特徴とする請求項1または2に記載の気体移送装置。
【請求項4】
吸気口から吸気された気体が移送される気体移送路が内部に形成された移送路形成部材であって、予め設定された第1の気体移送方向に沿って延びる第1移送部と、前記第1移送部の気体移送方向下流側に接続され且つ前記第1の気体移送方向に対して傾斜する第2の気体移送方向に向けて屈曲する屈曲部と、前記屈曲部の下流側且つ前記第1の気体移送方向の延長線上に配置されて気体が排気可能な第1の排気口と、前記屈曲部の下流側且つ前記第2の気体移送方向の延長線上に配置されて気体が排気可能な第2の排気口と、を有する前記移送路形成部材と、
回転可能な移送羽根を有し、前記移送羽根の回転により前記気体移送路内の気体を移送する気体移送部材と、
前記第2の排気口に対応して配置され、前記第2の排気口を通過する気体を浄化する気体浄化部材と、
を備え、
画像形成の動作設定に応じて、予め設定された第1の回転数で前記移送羽根を回転させる設定と、前記第1の回転数よりも高い回転数の第2の回転数で前記移送羽根を回転させる設定とを切り替えること、
を特徴とする気体移送装置。
【請求項5】
前記動作設定が、多色の画像を形成する動作の場合に、前記第1の回転数で前記移送羽根を回転させる設定とし、
前記動作設定が、単色の画像を形成する動作の場合に、前記第2の回転数で前記移送羽根を回転させる設定とする
ことを特徴とする請求項4に記載の気体移送装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−9534(P2012−9534A)
【公開日】平成24年1月12日(2012.1.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−142534(P2010−142534)
【出願日】平成22年6月23日(2010.6.23)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】