説明

気水分離器及びそれを備えた沸騰水型原子炉

【課題】
簡易な構造を用いて気水分離器外で蒸気に同伴される液適量を減少させると共に、蒸気の通気抵抗の増加を抑制しながら、クオリティの高い条件でのキャリーオーバーを低減することのできる気水分離器を提供すること。
【解決手段】
上記課題を解決するために、本発明は、第二段外筒に第二段排出流路に流入した水を排出する第二段分離水排出口と蒸気を排出する第二段蒸気排出口を設けると共に、前記第二段蒸気排出口が前記第二段分離水排出口よりも高い位置に配置され、かつ、第三段外筒に第三段排出流路に流入した水を排出する第三段分離水排出口と蒸気を排出する第三段蒸気排出口を設けると共に、前記第三段蒸気排出口が前記第三段分離水排出口よりも高い位置に配置されていることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は気水分離器及びそれを備えた沸騰水型原子炉に係り、特に、水と炉心で発生した蒸気を分離するために、炉心上部に配置されているものに好適な気水分離器及びそれを備えた沸騰水型原子炉に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的な沸騰水型原子炉には、水と炉心で発生した蒸気を分離するために、炉心上部に気水分離器が設置されている。この気水分離器では、スワラ(旋回羽根)によって水-蒸気の気液二相流に旋回速度が与えられ、遠心力により気液密度差を利用して水と蒸気が分離される。
【0003】
分離された水は、気水分離器の下方から排水されてダウンカマに戻り、再循環ポンプにより再び炉心へ送られる。一方、分離された蒸気は、蒸気乾燥器を通して更に湿分が取り除かれた後、タービンへ送られる。つまり、炉心で発生させた蒸気から極力湿分を取り除くことにより、発電効率を向上させている。
【0004】
ところで、沸騰水型原子炉の大型化を抑制しながら電気出力を向上するためには、炉心のクオリティを大きくして蒸気発生量を増加させることが有効である。気水分離器に流入する二相流のクオリティが変わると、気水分離性能も変化する。一般的に、クオリティが大きくなり蒸気流量が増加すると、スワラによって二相流に与えられる旋回速度が大きくなり、遠心力が増加して気水分離性能は向上する。
【0005】
改良型沸騰水型原子炉に用いられている三段式の気水分離器では、第一段では蒸気の混入がほとんどない分離水が、第二段及び第三段の気水分離器外筒に設けられた排出口からは、分離水と蒸気が排出される。蒸気流量が大きくなると、第二段及び第三段の排出口から排出される蒸気速度が増加し、分離された水を液滴として巻き込み、そのまま液滴を同伴して蒸気乾燥器へ流入する可能性がある。
【0006】
また、気水分離器出口から分離されずに排出された液滴と上記の蒸気に同伴される液滴は、蒸気乾燥器で分離される。これらの蒸気乾燥器へ流入する液滴量は、蒸気との重量比(キャリーオーバー)として定義され、蒸気乾燥器の仕様により、キャリーオーバーに制限値が設けられている。
【0007】
これらの第二段及び第三段の排出口から排出された蒸気に同伴される液滴を取り除く手段として、気水分離器間を覆う液滴捕獲リングを設置することが、特許文献1に記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開平8−179077号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、上記の液滴捕獲リングを採用した特許文献1においては、気水分離器間を液滴捕獲リングで覆う必要があるため、物量が大きく増加してコストが増加する。また、気水分離器外部を上昇する蒸気に同伴された粒径の小さい液滴を液滴捕獲リングで捕捉しようとすると、液滴捕獲リングの密度が大きくなり蒸気の通気抵抗が大きくなることが懸念される。
【0010】
本発明は上述の点に鑑みなされたもので、その目的とするところは、簡易な構造を用いて気水分離器外で蒸気に同伴される液適量を減少させると共に、蒸気の通気抵抗の増加を抑制しながら、クオリティの高い条件でのキャリーオーバーを低減することのできる気水分離器及びそれを備えた沸騰水型原子炉を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の気水分離器は、上記目的を達成するために、気液二相流を下方から上方に向かって導くスタンドパイプと、該スタンドパイプの上側端面に連通して流路を形成し、前記上側端面の流路断面積よりも上方に向けて流路断面積を拡大するディフューザと、該ディフューザの上側端面に連通して流路を形成する第一段内筒と、該第一段内筒を同心円状に間隔を空けて囲んで環状の流路を形成する第一段外筒と、該第一段外筒の上側端面の内周縁を塞ぐと共に前記第一段内筒よりも小径の円形孔を形成した第一段環状板と、該第一段環状板の前記円形孔を形成している内周縁から下方に向けて円筒状に起立させて前記円形孔を第二段内筒への流路として形成する第一段ピックオフリングと、前記第一段環状板上に設置され流路を形成する前記第二段内筒と、該第二段内筒を同心円状に間隔を空けて囲んで環状の第二段排出流路を形成する第二段外筒と、該第二段外筒の上側端面の内周縁を塞ぐと共に前記第二段内筒よりも小径の円形孔を形成した第二段環状板と、前記第二段環状板上に設置され流路を形成する第三段内筒と、前記第二段環状板の前記円形孔を形成している内周縁から下方に向けて円筒状に起立させて前記円形孔を前記第三段内筒への流路として形成する第二段ピックオフリングと、前記第三段内筒を同心円状に間隔を空けて囲んで環状の第三段排出流路を形成する第三段外筒と、該第三段外筒の上側端面の内周縁を塞ぐと共に、前記第三段内筒よりも小径の円形孔を形成した第三段環状板と、該第三段環状板の前記円形孔を形成している内周縁から下方に向けて円筒状に起立させて前記円形孔を気水分離器出口流路として形成する第三段ピックオフリングと、気液二相流の流路の軸中心を通るハブ及び前記ハブを中心にして放射状に取り付ける複数の旋回羽根を含み、前記旋回羽根の径方向に内側縁が前記ハブに固定されており、前記ディフューザの内壁又は前記第一段内筒の内壁に前記旋回羽根の径方向に外側縁が固定されているスワラを備えた気水分離器において、前記第二段外筒に前記第二段排出流路に流入した水を排出する第二段分離水排出口と蒸気を排出する第二段蒸気排出口を設けると共に、前記第二段蒸気排出口が前記第二段分離水排出口よりも高い位置に配置され、かつ、前記第三段外筒に前記第三段排出流路に流入した水を排出する第三段分離水排出口と蒸気を排出する第三段蒸気排出口を設けると共に、前記第三段蒸気排出口が前記第三段分離水排出口よりも高い位置に配置されていることを特徴とする。
【0012】
また、本発明の沸騰水型原子炉は、上記目的を達成するために、原子炉圧力容器と、該原子炉圧力容器内に設けられ、複数の燃料集合体が装荷された炉心と、該炉心が配置されるシュラウドと、前記原子炉圧力容器内の前記炉心の上方に配置され、前記炉心で発生した蒸気と水の気水混合流を蒸気と水に分離する気水分離器と、該気水分離器の上方に位置し、該気水分離器で分離された湿り蒸気を乾燥させる蒸気乾燥器と、該蒸気乾燥器で乾燥された蒸気をタービンに供給する主蒸気配管と、前記原子炉圧力容器とシュラウド間に形成され、前記気水分離器で分離された水が循環するダウンカマと、該ダウンカマの下方に配置され、該ダウンカマ内の水を前記炉心に供給するインターナルポンプ又はジェットポンプとを備えた沸騰水型原子炉において、前記気水分離器は、上記した構成の気水分離器であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、簡易な構造を用いて気水分離器外で蒸気に同伴される液適量を減少させると共に、蒸気の通気抵抗の増加を抑制しながら、クオリティの高い条件でのキャリーオーバーを低減することのできるため、低コストで気水分離性能の低下を抑制して沸騰水型原子炉の出力を増加させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の気水分離器が適用される沸騰水型原子炉の概略構造を示す縦断面図である。
【図2】従来の気水分離器を示す縦断面図である。
【図3】従来の気水分離器におけるクオリティとキャリーオーバーの関係の一例を示す特性図である。
【図4】本発明の気水分離器の実施例1を示す縦断面図である。
【図5】実施例1における気水分離器の第二段排出流路出口付近を示す拡大断面図である。
【図6】本発明の気水分離器の実施例1を示す正面図である。
【図7】本発明の気水分離器の実施例2を示す正面図である。
【図8】実施例2における第二段蒸気排出口及び第三段分離水排出口における蒸気の鉛直上向きの速度分布を示す図である。
【図9】本発明の気水分離器の実施例3を示す正面図である。
【図10】本発明の気水分離器の実施例4を示す正面図である。
【図11】実施例4における第二段排出流路内を第二段内筒側から透過した斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図示した実施例に基づいて本発明の気水分離器、特に、沸騰水型原子炉に適用される気水分離器について説明する。
【実施例1】
【0016】
先ず、本実施例の気水分離器を説明する前に、この気水分離器が適用される沸騰水型原子炉の概略構造について、図1を用いて説明する。
【0017】
図1は、改良型沸騰水型原子炉(以下、ABWRという)を示すものである。
【0018】
該図に示す如く、ABWRは、原子炉圧力容器3を有し、この原子炉圧力容器3の内部に炉心シュラウド2が設置され、複数の燃料集合体(図示せず)が装荷された炉心5が炉心シュラウド2内に配置されている。また、原子炉圧力容器3内の炉心5の上方には、炉心5で発生した蒸気と水の気水混合流を蒸気と水に分離する気水分離器6が配置され、この気水分離器6の上方には、気水分離器6で分離された湿り蒸気を乾燥させる蒸気乾燥器7が配置されている。更に、原子炉圧力容器3と炉心シュラウド2の間に形成される環状のダウンカマ4の下方には、炉心5に水を供給するためのインターナルポンプ10(再循環ポンプ)が配置されており、このインターナルポンプ10を運転することにより、ダウンカマ4にある冷却水が炉心5へ供給される。
【0019】
一方、炉心5では、核分裂により発生した熱で冷却水が沸騰し、蒸気と水の二相流状態となる。炉心5で発生した気液二相流は気水分離器6に流入し、気水分離器6内にあるスワラにより旋回速度が与えられ、この旋回速度により二相流に遠心力が作用し、水と蒸気の密度差により水と蒸気が分離される。気水分離器6を通過した二相流は、蒸気乾燥器7に流入し更に湿分が取り除かれる。
【0020】
このようにして、湿分0.1重量パーセント以下に抑えた蒸気を、主蒸気配管8を通してタービン(図示せず)に送り発電を行っている。
【0021】
図2を用いて気水分離器6の構成について詳しく説明する。
【0022】
図2に示す如く、気水分離器6は、気液二相流を下方から上方に向かって導くスタンドパイプ61と、スタンドパイプ61の上側端面に連通して流路を形成し、前記上側端面の流路断面積よりも上方に向けて流路断面積を拡大するディフューザ62と、ディフューザ62の上側端面に連通して流路を形成する第一段内筒64と、第一段内筒64を同心円状に間隔を空けて囲んで環状の流路50を形成する第一段外筒66と、第一段外筒66の上側端面の内周縁を塞ぐと共に、第一段内筒64よりも小径の円形孔を形成した第一段環状板67と、第一段環状板67の前記円形孔を形成している内周縁から下方に向けて円筒状に起立させて円形孔を第二段内筒68への流路として形成する第一段ピックオフリング65と、第一段環状板67上に設置され流路を形成する前記第二段内筒68と、第二段内筒68を同心円状に間隔を空けて囲んで環状の第二段排出流路51を形成する第二段外筒70と、第二段外筒70の上側端面の内周縁を塞ぐと共に前記第二段内筒68よりも小径の円形孔を形成した第二段環状板71と、第二段環状板71の前記円形孔を形成している内周縁から下方に向けて円筒状に起立させて前記円形孔を第三段内筒72への流路として形成する第二段ピックオフリング69と、第二段環状板71上に設置され流路を形成する前記第三段内筒72と、第三段内筒72を同心円状に間隔を空けて囲んで環状の第三段排出流路52を形成する第三段外筒74と、第三段外筒74の上側端面の内周縁を塞ぐと共に、前記第三段内筒72よりも小径の円形孔を形成した第三段環状板75と、第三段環状板75の前記円形孔を形成している内周縁から下方に向けて円筒状に起立させて前記円形孔を気水分離器出口流路として形成する第三段ピックオフリング73と、気液二相流の流路の軸中心を通るハブ101及びハブ101を中心にして放射状に取り付ける複数の旋回羽根102を含み、旋回羽根102の径方向に内側縁がハブ101に固定されており、ディフューザ62の内壁又は第一段内筒64の内壁に旋回羽根102の径方向に外側縁が固定されているスワラ63とで構成されている。
【0023】
スワラ63は、ハブ101と呼ばれる円柱状の構造物に二相流に旋回速度を与えるための旋回羽根102が複数取り付けられており、旋回羽根102の外側縁は、ディフューザ62に固定されている。このため、スワラ63自身は回転することなく、スワラ63を通過した流体が回転するようになっている。
【0024】
旋回羽根102は、スワラ63の入口では鉛直方向と平行になっており、スワラ63の出口に向かって鉛直方向に対する角度を増していく。即ち、スワラ63の入口では鉛直方向と平行になっているが、そこからスワラ63の出口に向かって鉛直方向に対する角度を増しながら旋回できる形状になっている。旋回羽根102は、スワラ出口の旋回羽根102の鉛直方向に対する角度をスワラ出口角度と呼び、このスワラ出口角度が大きいほど、流体の大きな旋回速度を与えることができる。
【0025】
炉心5からの気液二相流はクオリティが約14%であり、スタンドパイプ61に流入した二相流は、スタンドパイプ61の内壁面に液膜を形成し、中心部を蒸気が流れ、その蒸気中に液滴が浮遊している環状噴霧流になっている。スワラ63により気液二相流に旋回速度を与えると、気液密度差による遠心力の違いにより、壁面の液膜内に混在していた蒸気が中心部の蒸気側へ移動すると共に、蒸気中に浮遊していた液滴が壁面へ移動し液膜に取り込まれる。第一段内筒64の壁面に形成された液膜は、第一段ピックオフリング65により、第一段内筒64と第一段外筒66で形成された第一段排出流路50を通って気水分離器6の外に排出される。第一段排出流路50から排出された水は、再びダウンカマ4に流入しインターナルポンプ10により炉心5へ送られる。
【0026】
一方、第一段内筒64で壁面に到達しなかった蒸気中の液滴は、第二段内筒68又は第三段内筒72で壁面に到達し、第二段ピックオフリング69又は第三段ピックオフリング73から第二段排出流路51又は第三段排出流路52を通って気水分離器6の外へ排出される。第三段ピックオフリング73を通過するまでに内筒壁面に到達しなかった液滴は、そのまま蒸気と共に気水分離器出口55から流出する。
【0027】
気水分離器6の性能指標の一つにキャリーオーバーがあり、気水分離器6から流出した流体中に含まれる液の重量率として定義される。
【0028】
蒸気質量流量をWg(kg/s)、液質量流量をWl(kg/s)とすると、キャリーオーバーCOは、次式で表される。
【0029】
CO=Wl/(Wg+Wl)×100(%) (1)
沸騰水型原子炉では、蒸気乾燥器7の性能を保証するため、気水分離器6のキャリーオーバーを制限している。
【0030】
第二段排出流路51及び第三段排出流路52には蒸気と分離水が流入し、第二段排出流路出口103及び第三段排出流路出口104から排出される。蒸気流量が少ない(クオリティが小さい)ときは、気水分離器6外部の蒸気の流速が小さいため、気水分離器6外に排出された分離水は、重力により落下し炉水5に戻される。このため、キャリーオーバーのほとんどは、分離されずにセパレータ出口から流出した液滴である。
【0031】
蒸気流量が多い(クオリティが大きい)ときは、気水分離器6外部の蒸気流速が大きくなり、蒸気と液滴間の抗力が液滴にかかる重力に打ち勝つようになり、液滴が蒸気に同伴されて蒸気乾燥器7に流入するようになる。
【0032】
図3にクオリティとキャリーオーバーの関係の一例を示す。該図に示す如く、クオリティが大きくなるとキャリーオーバーが増加するのは、この原理によるものである。
【0033】
そして、本発明の実施例1では、図4乃至図6に示すように、第二段排出口を、それぞれ第二段蒸気排出口93と第二段分離水排出口91に分け、この第二段蒸気排出口93を第二段分離水排出口91よりも上方に配置したものである。このとき、第二段分離水排出口91の断面積は、第二段蒸気排出口93の断面積よりも小さくしている。
【0034】
また、第二段蒸気排出口93には、この第二段蒸気排出口93の縁に沿って第二段排出流路51側に突出した突起物が設けられ、該突起物の先端が第二段蒸気排出口93の流路を塞がない方向に折り曲げられて第二段外筒70との間で溝状の流路であるラッパ管状の第二段突起溝81が設けられている。即ち、第二段突起溝81は、後述する液膜25が勢いよく流下し、第二段排出流路51の底部で第二段外筒70側に巻き上がった際に、第二段蒸気排出口93に巻き上がった液膜が流入しないように突出していること、及び第二段外筒70側を流下した液膜が第二段突起溝81に衝突し、該第二段突起溝81に沿って流れて第二段排出流路51の底部に到達するのを案内する溝であれば良い。
【0035】
次に、このように構成した実施例1における作用について説明する。
【0036】
第一段内筒64で分離されなかった液滴は、第二段内筒68に流入する。遠心力によって第二段内筒68壁に到達した液滴は、第二段内筒68壁面上に液膜23を形成し、第二段ピックオフリング69によって第二段排出流路51へ誘導される。誘導された液膜23は、そのまま第二段内筒68壁に沿って第二段排出流路51内の第二段内筒68壁側を流下する液膜25となる。また、一部の液膜23は慣性により第二段内筒68壁を離脱し、第二段環状板71に衝突して、そのまま第二段排水流路51内の第二段外筒70壁側を流下する液膜26となる。
【0037】
第二段内筒68壁側を流下した液膜25は、そのまま第二段排水流路51の底部へ到達し、第二段分離水排出口91から分離水21が気水分離器6外へ排出され、炉水5に戻される。液膜25が勢いよく流下し、第二段排水流路51の底部で第二段外筒70側へ巻き上がった場合でも、第二段蒸気排出口93に設けた第二段突起溝81に遮断されるため、第二段内筒68壁側を流下した液膜25が第二段蒸気排出口93から直接流出することはない。
【0038】
第二段外筒70側を流下した液膜26は、第二段蒸気排出口93に設けた第二段突起溝81に衝突し、第二段突起溝81に沿って流れて第二段排水流路51の底部に到達し、第二段分離水排出口91から気水分離器6外へ排出され炉水5に戻される。このため、第二段外筒70側を流下した液膜26も第二段蒸気排出口93から直接流出することはない。
【0039】
従って、第二段排出流路51に流入した蒸気と水が分離されて各排出口から流出し、更に、第二段蒸気排出口93を第二段分離水排出口91よりも上方に配置しているので、第二段分離水排出口91から排出された分離水21が、第二段蒸気排出口93から排出された蒸気31と接することがないため、分離水21が蒸気31の流れに捕獲されることがない。蒸気流速が大きい場合でも、蒸気に同伴されて蒸気乾燥器7まで運ばれる液滴量を格段に低減できるため、高クオリティ条件でもキャリーオーバーを大幅に低下させることができる。
【0040】
液流量が少ない場合は、第二段分離水排出口91からも蒸気が流出する。第二段分離水排出口91の断面積は、第二段蒸気排出口93の断面積よりも小さく、更に、液の流出面積分、蒸気の流路面積が小さくなるため、蒸気に対する流動抵抗が大きくなっている。このため、蒸気は第二段蒸気排出口93のほうにより多く流れ、第二段分離水排出口91を流出する蒸気量は少ない。
【0041】
従って、第二段分離水排出口91を流れる蒸気が存在しても、その流量は少ないため、蒸気に随伴されて蒸気乾燥器7へ流れていく液滴はほとんど発生しない。
【0042】
また、実施例1では、第三段排出流路52にも前述した第二段排出流路51と同様な構造を用いている。即ち、第三段排出口を、第三段蒸気排出口94と第三段分離水排出口92に分け、第三段蒸気排出口94を第三段分離水排出口92よりも上方に配置し、第三段蒸気排出口94の第三段排出流路52側に、第三段蒸気排出口94の縁に沿って、上述した第二段突起溝81と同様な構成のラッパ管状の第三段突起溝82を設け、そして、第三段分離水排出口92の断面積は、第三段蒸気排出口94の断面積よりも小さくしている。
【0043】
このように、第三段排出流路52を第二段排出流路51と同様な機構とすることで、蒸気32は第三段蒸気排出口94から、分離水22は第三段分離水排出口92からそれぞれ排出することができる。
【0044】
従来の第三段排出口104では、同じ第三段排出口104から蒸気と分離水が排出され、分離水は第三段から排出される蒸気32に第二段から排出された蒸気33が合流したより流速の大きい蒸気34の流れに巻き込まれるため、蒸気流に随伴されて蒸気乾燥器まで流れていく可能性が高くなる。
【0045】
しかし、上述した実施例1では、第三段分離水排出口92から排出された分離水22は、第二段蒸気排出口93から排出された蒸気33のみにさらされるため、蒸気流に随伴する分離水が少なくなり、キャリーオーバーが低下する。
【0046】
以上のように、実施例1によれば、簡易な構造を用いて気水分離器外で蒸気に同伴される液適量を減少させることができると共に、蒸気の通気抵抗の増加を抑制しながら、クオリティの高い条件でのキャリーオーバーを低減することのできるため、低コストで気水分離性能の低下を抑制して沸騰水型原子炉の出力を増加させることができる。
【実施例2】
【0047】
本発明の気水分離器の実施例2について、図7を用いて説明する。
【0048】
図7に示す如く、実施例2の気水分離器6は、第二段蒸気排出口93と第三段分離水排出口92の開口部が鉛直方向に重ならないように、第三段分離水排出口92を周方向に2つに分け、第二段蒸気排出口93と鉛直方向に重ならないように第三段分離水排出口92a及び92を配置したものである。また、第二段分離水排出口も周方向に2つに分けられて第二段分離水排出口91a、91bが配置されている。
【0049】
前述したように、図6に示した実施例1の構成では、第三段分離水排出口92から排出された分離水22は、第二段蒸気排出口93から排出された蒸気31の流速が大きいと随伴されて蒸気乾燥器7まで運ばれる可能性がある。一方、第二段蒸気排出口93から排出された蒸気31は、上方に流れるときに排出口形状により周方向に分布が生じる。
【0050】
即ち、図8に示すように、第二段蒸気排出口93直後では、第二段蒸気排出口93の左右の縁で速度0、中央でピークとなる速度分布をもつ。第二段蒸気排出口93を出た後は、速度分布が第二段蒸気排出口93の幅よりも拡がるが、蒸気が第三段分離水排出口92a、92bの高さに到達したときも分布は残っており、周方向に第二段蒸気排出口93の開口部から最も離れている位置において蒸気流速が最も小さくなっている。
【0051】
従って、周方向のこの位置に第三段分離水排出口92a、92bを配置すると、第二段蒸気排出口93から排出された蒸気31に分離水22a、22bが随伴される割合が最も小さくなり、キャリーオーバーをさらに低下させることができる。
【0052】
このような実施例2によれば、上述した実施例1と同様な効果が得られることは勿論、キャリーオーバーをさらに低下させることができるので、更なる効果が期待できる。
【実施例3】
【0053】
本発明の気水分離器の実施例3について、図9を用いて説明する。
【0054】
図9に示す如く、実施例3の気水分離器6は、上述した実施例2の構成に加え、第二段蒸気排出口93及び第三段蒸気排出口94上方の第二段排出流路51及び第三段排出流路52側に、第二段蒸気排出口93及び第三段蒸気排出口94の中央から左右両端に向かって斜め下方(下向き)に延びるラッパ管状の第二段突起溝81及び第三段突起溝82を設けたものである。
【0055】
通常、第二段出流路51及び第三段排出流路52に流入した水のうち、第二段外筒70壁及び第三段外筒74側を流下した水は、第二段突起溝81及び第三段突起溝82に衝突するため、第二段蒸気排出口93及び第三段蒸気排出口94から直接外部へ排出されることはない。
【0056】
ところが、第二段突起溝81及び第三段突起溝82に衝突した水が、第二段蒸気排出口93及び第三段蒸気排出口94脇へスムーズに流れない場合には、第二段突起溝81及び第三段突起溝82の水がオーバーフローして該突起溝を乗り越え、第二段蒸気排出口93及び第三段蒸気排出口94から蒸気と一緒に排出される可能性がある。
【0057】
そこで、実施例3では、第二段排出流路51及び第三段排出流路52側を流下した水を、第二段蒸気排出口93及び第三段蒸気排出口94の脇へスムーズに流すために、第二段蒸気排出口93及び第三段蒸気排出口94の中央から左右両端方向に斜め下方に延びる第二段突起溝81及び第三段突起溝82を設けたものである。
【0058】
このような実施例3の構成によれば、第二段外筒70及び第三段外筒74側を流下した水は、第二段突起溝81及び第三段突起溝82に衝突した後、該第二段突起溝81及び第三段突起溝82に沿って第二段蒸気排出口93及び第三段蒸気排出口94の脇にスムーズに流れ、第二段排出流路51及び第三段排出流路52の底面に到達し、第二段分離水排出口91a、91b及び第三段分離水排出口92a、92bから外部へ排出される。
【0059】
従って、実施例3では、第二段突起溝81及び第三段突起溝82からのオーバーフローがなくなるので、キャリーオーバーを確実に低下させることができる。
【0060】
よって、上述した実施例1と同様な効果が得られることは勿論、キャリーオーバーをさらに低下させることができるので、更なる効果が期待できる。
【0061】
なお、第二段蒸気排出口93及び第三段蒸気排出口94の上縁を上に凸形状にして、その上縁に沿って第二段排出流路51及び第三段排出流路52側に第二段突起溝81及び第三段突起溝82を設けてもよい。また、円管から第二段外筒70及び第三段外筒74を製作する場合には、第二段蒸気排出口93及び第三段蒸気排出口94を形成した後、縁を第二段出流路51及び第三段排出流路52側に折り曲げることにより第二段突起溝81及び第三段突起溝82が形成できるため、新たに突起溝を溶接等により取り付ける必要がなくなる効果がある。
【実施例4】
【0062】
本発明の気水分離器の実施例4について、図10及び図11を用いて説明する。
【0063】
図10及び図11に示す如く、実施例4の気水分離器6は、実施例3の構成に加え、第三段分離水排出口92がなく、第二段環状板71に連通穴98a、98bを設け、その連通穴98a、98bから第二段分離水排出口91a、91bの近傍まで延びる連通管99a、99bを設けたものである。このとき、第三段蒸気排出口94の下端は、第二段環状板71よりも上方に配置されている。
【0064】
このような実施例4の構成によれば、第三段排出流路52で底部に流下した水は、連通穴98a、98bから連通管99a、99bを通って第二段排出流路51の底部へ導かれる。連通管99a、99bで第二段排出流路51の底部に導かれた分離水は、第二段ピックオフリング65から第二段排出流路51に流入した分離水と合流して第二段分離水排出口91a、91bから外部へ排出される。
【0065】
このように第三段排出流路52に流入した分離水を、第二段分離水排出口91a、91bから排出することには次のメリットがある。
【0066】
即ち、実施例3のように、第三段分離水排出口92a、92bから分離水22を排出させると、分離水22が第二段蒸気排出口93から排出され上昇する蒸気31にさらされるため、蒸気流速が大きい場合には、分離水22の一部が蒸気31に随伴して蒸気乾燥器7へと流れていくことが懸念される。
【0067】
これに対して、実施例4では、分離水が蒸気に晒されない第二段分離水排出口91a、91bから分離水をまとめて排出することができるため、蒸気に随伴されて蒸気乾燥器7へ流れていく分離水を大幅に低減することができる。
【0068】
このような実施例4のような構成としても、上述した実施例と同様な効果を得ることができる。
【0069】
なお、連通管99a、99bの出口は、第二段蒸気排出口93の下端よりも低い位置にあったほうがよい。即ち、連通管99a、99bの出口が、第二段蒸気排出口93の下端よりも高い位置にあると、連通管99a、99bの出口から流出する分離水が蒸気に随伴され、第二段蒸気排出口93から流出して、そのまま蒸気乾燥器まで流れていく可能性がある。
【0070】
そこで、連通管99a、99bの出口を第二段蒸気排出口93よりも低い位置にすれば、連通管99a、99b内を流下した分離水が気水分離器外の蒸気流れに晒されることがなく、そのまま第二段排出流路51の底部に落下するので、分離水を蒸気流れに晒すことなく確実に第二段分離水排出口91a、91bから排出することができる。
【符号の説明】
【0071】
2…炉心シュラウド、3…原子炉圧力容器、4…ダウンカマ、5…炉心、6…気水分離器、7…蒸気乾燥器、8…主蒸気配管、10…インターナルポンプ、21…第二段分離水排出口から排出される分離水、22…第三段分離水排出口から排出される分離水、23…第二段内筒内側に形成された液膜、24…第三段内筒内側に形成された液膜、25…第二段内筒排出流路側に形成された液膜、26…第二段外筒内側に形成された液膜、27…第三段内筒排出流路側に形成された液膜、28…第三段外筒内側に形成された液膜、31…第二段蒸気排出口から排出される蒸気、32…第三段蒸気排出口から排出される蒸気、33…第二段外筒外側を上昇する蒸気、34…第三段外筒外側を上昇する蒸気、50…第一段排出流路、51…第二段排出流路、52…第三段排出流路、55…気水分離器出口、61…スタンドパイプ、62…ディフューザ、63…スワラ、64…第一段内筒、65…第一段ピックオフリング、66…第一段外筒、67…第一段環状板、68…第二段内筒、69…第二段ピックオフリング、70…第二段外筒、71…第二段環状板、72…第三段内筒、73…第三段ピックオフリング、74…第三段外筒、75…第三段環状板、81…第二段突起溝、82…第三段突起溝、91、91a、91b…第二段分離水排出口、92、92a、92b…第三段分離水排出口、93…第二段蒸気排出口、94…第三段蒸気排出口、98a、98b…連通穴、99a、99b…連通管、101…ハブ、102…旋回羽根、103…第二段排出流路出口、104…第三段排出流路出口。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
気液二相流を下方から上方に向かって導くスタンドパイプと、該スタンドパイプの上側端面に連通して流路を形成し、前記上側端面の流路断面積よりも上方に向けて流路断面積を拡大するディフューザと、該ディフューザの上側端面に連通して流路を形成する第一段内筒と、該第一段内筒を同心円状に間隔を空けて囲んで環状の流路を形成する第一段外筒と、該第一段外筒の上側端面の内周縁を塞ぐと共に前記第一段内筒よりも小径の円形孔を形成した第一段環状板と、該第一段環状板の前記円形孔を形成している内周縁から下方に向けて円筒状に起立させて前記円形孔を第二段内筒への流路として形成する第一段ピックオフリングと、前記第一段環状板上に設置され流路を形成する前記第二段内筒と、該第二段内筒を同心円状に間隔を空けて囲んで環状の第二段排出流路を形成する第二段外筒と、該第二段外筒の上側端面の内周縁を塞ぐと共に前記第二段内筒よりも小径の円形孔を形成した第二段環状板と、前記第二段環状板上に設置され流路を形成する第三段内筒と、前記第二段環状板の前記円形孔を形成している内周縁から下方に向けて円筒状に起立させて前記円形孔を前記第三段内筒への流路として形成する第二段ピックオフリングとを少なくとも備え、気液二相流の流路の軸中心を通るハブ及び前記ハブを中心にして放射状に取り付ける複数の旋回羽根を含み、前記旋回羽根の径方向に内側縁が前記ハブに固定されており、前記ディフューザの内壁又は前記第一段内筒の内壁に前記旋回羽根の径方向に外側縁が固定されているスワラを備えた気水分離器において、
前記第二段外筒に前記第二段排出流路に流入した水を排出する第二段分離水排出口と蒸気を排出する第二段蒸気排出口を設けると共に、前記第二段蒸気排出口が前記第二段分離水排出口よりも高い位置に配置されていることを特徴とする気水分離器。
【請求項2】
請求項1に記載の気水分離器において、
前記第二段蒸気排出口の縁に沿って前記第二段排出流路へ突出した突起物が設けられ、該突起物の先端が前記第二段蒸気排出口の流路を塞がない方向に折り曲げられて前記第二段外筒との間で溝状の流路である突起溝が形成されていることを特徴とする気水分離器。
【請求項3】
気液二相流を下方から上方に向かって導くスタンドパイプと、該スタンドパイプの上側端面に連通して流路を形成し、前記上側端面の流路断面積よりも上方に向けて流路断面積を拡大するディフューザと、該ディフューザの上側端面に連通して流路を形成する第一段内筒と、該第一段内筒を同心円状に間隔を空けて囲んで環状の流路を形成する第一段外筒と、該第一段外筒の上側端面の内周縁を塞ぐと共に前記第一段内筒よりも小径の円形孔を形成した第一段環状板と、該第一段環状板の前記円形孔を形成している内周縁から下方に向けて円筒状に起立させて前記円形孔を第二段内筒への流路として形成する第一段ピックオフリングと、前記第一段環状板上に設置され流路を形成する前記第二段内筒と、該第二段内筒を同心円状に間隔を空けて囲んで環状の第二段排出流路を形成する第二段外筒と、該第二段外筒の上側端面の内周縁を塞ぐと共に前記第二段内筒よりも小径の円形孔を形成した第二段環状板と、前記第二段環状板上に設置され流路を形成する第三段内筒と、前記第二段環状板の前記円形孔を形成している内周縁から下方に向けて円筒状に起立させて前記円形孔を前記第三段内筒への流路として形成する第二段ピックオフリングと、前記第三段内筒を同心円状に間隔を空けて囲んで環状の第三段排出流路を形成する第三段外筒と、該第三段外筒の上側端面の内周縁を塞ぐと共に、前記第三段内筒よりも小径の円形孔を形成した第三段環状板と、該第三段環状板の前記円形孔を形成している内周縁から下方に向けて円筒状に起立させて前記円形孔を気水分離器出口流路として形成する第三段ピックオフリングと、気液二相流の流路の軸中心を通るハブ及び前記ハブを中心にして放射状に取り付ける複数の旋回羽根を含み、前記旋回羽根の径方向に内側縁が前記ハブに固定されており、前記ディフューザの内壁又は前記第一段内筒の内壁に前記旋回羽根の径方向に外側縁が固定されているスワラを備えた気水分離器において、
前記第二段外筒に前記第二段排出流路に流入した水を排出する第二段分離水排出口と蒸気を排出する第二段蒸気排出口を設けると共に、前記第二段蒸気排出口が前記第二段分離水排出口よりも高い位置に配置され、かつ、前記第三段外筒に前記第三段排出流路に流入した水を排出する第三段分離水排出口と蒸気を排出する第三段蒸気排出口を設けると共に、前記第三段蒸気排出口が前記第三段分離水排出口よりも高い位置に配置されていることを特徴とする気水分離器。
【請求項4】
請求項3に記載の気水分離器において、
前記第二段蒸気排出口及び前記第三段蒸気排出口の縁に沿って前記第二段排出流路及び前記第三段排出流路へ突出した突起物がそれぞれ設けられ、該突起物の先端が前記第二段蒸気排出口及び前記第三段蒸気排出口の流路を塞がない方向に折り曲げられて前記第二段外筒及び前記第三段外筒との間で溝状の流路である突起溝が形成されていることを特徴とする気水分離器。
【請求項5】
請求項3又は4に記載の気水分離器において、
前記第三段分離水排出口は、前記第二段蒸気排出口の開口部と鉛直方向に重ならないように周方向に分けて配置されていることを特徴とする気水分離器。
【請求項6】
請求項3乃至5のいずれかに記載の気水分離器において、
前記第二段蒸気排出口及び前記第三段蒸気排出口の上端縁に沿った前記突起溝は、前記第二段蒸気排出口及び前記第三段蒸気排出口の中央部から両端に向かって斜め下向きに延びる傾斜を持たせて配置されていることを特徴とする気水分離器。
【請求項7】
気液二相流を下方から上方に向かって導くスタンドパイプと、該スタンドパイプの上側端面に連通して流路を形成し、前記上側端面の流路断面積よりも上方に向けて流路断面積を拡大するディフューザと、該ディフューザの上側端面に連通して流路を形成する第一段内筒と、該第一段内筒を同心円状に間隔を空けて囲んで環状の流路を形成する第一段外筒と、該第一段外筒の上側端面の内周縁を塞ぐと共に前記第一段内筒よりも小径の円形孔を形成した第一段環状板と、該第一段環状板の前記円形孔を形成している内周縁から下方に向けて円筒状に起立させて前記円形孔を第二段内筒への流路として形成する第一段ピックオフリングと、前記第一段環状板上に設置され流路を形成する前記第二段内筒と、該第二段内筒を同心円状に間隔を空けて囲んで環状の第二段排出流路を形成する第二段外筒と、該第二段外筒の上側端面の内周縁を塞ぐと共に前記第二段内筒よりも小径の円形孔を形成した第二段環状板と、前記第二段環状板上に設置され流路を形成する第三段内筒と、前記第二段環状板の前記円形孔を形成している内周縁から下方に向けて円筒状に起立させて前記円形孔を前記第三段内筒への流路として形成する第二段ピックオフリングと、前記第三段内筒を同心円状に間隔を空けて囲んで環状の第三段排出流路を形成する第三段外筒と、該第三段外筒の上側端面の内周縁を塞ぐと共に、前記第三段内筒よりも小径の円形孔を形成した第三段環状板と、該第三段環状板の前記円形孔を形成している内周縁から下方に向けて円筒状に起立させて前記円形孔を気水分離器出口流路として形成する第三段ピックオフリングと、気液二相流の流路の軸中心を通るハブ及び前記ハブを中心にして放射状に取り付ける複数の旋回羽根を含み、前記旋回羽根の径方向に内側縁が前記ハブに固定されており、前記ディフューザの内壁又は前記第一段内筒の内壁に前記旋回羽根の径方向に外側縁が固定されているスワラを備えた気水分離器において、
前記第二段外筒に前記第二段排出流路に流入した水を排出する第二段分離水排出口と蒸気を排出する第二段蒸気排出口を設けると共に、前記第二段蒸気排出口が前記第二段分離水排出口よりも高い位置に配置され、かつ、前記第三段外筒に蒸気を排出する第三段蒸気排出口を設け、該第三段蒸気排出口の下端は前記第二段環状板よりも上方に位置していると共に、前記第二段環状板に連通孔が設けられ、かつ、該連通孔から流下する分離水を前記第二段排出流路の下方に導く連通管を前記第二段排出流路内に設けたことを特徴とする気水分離器。
【請求項8】
請求項7に記載の気水分離器において、
前記連通管の下端は、前記第二段蒸気排出口の下端よりも下方に配置されていることを特徴とする気水分離器。
【請求項9】
請求項7又は8に記載の気水分離器において、
前記第二段蒸気排出口及び前記第三段蒸気排出口の縁に沿って前記第二段排出流路及び前記第三段排出流路へ突出した突起物がそれぞれ設けられ、該突起物の先端が前記第二段蒸気排出口及び前記第三段蒸気排出口の流路を塞がない方向に折り曲げられて前記第二段外筒及び前記第三段外筒との間で溝状の流路である突起溝が形成されていることを特徴とする気水分離器。
【請求項10】
請求項7乃至9のいずれかに記載の気水分離器において、
前記第二段蒸気排出口及び前記第三段蒸気排出口の上端縁に沿った前記突起溝は、前記第二段蒸気排出口及び前記第三段蒸気排出口の中央部から両端に向かって斜め下向きに延びる傾斜を持たせて配置されていることを特徴とする気水分離器。
【請求項11】
原子炉圧力容器と、該原子炉圧力容器内に設けられ、複数の燃料集合体が装荷された炉心と、該炉心が配置されるシュラウドと、前記原子炉圧力容器内の前記炉心の上方に配置され、前記炉心で発生した蒸気と水の気水混合流を蒸気と水に分離する気水分離器と、該気水分離器の上方に位置し、該気水分離器で分離された湿り蒸気を乾燥させる蒸気乾燥器と、該蒸気乾燥器で乾燥された蒸気をタービンに供給する主蒸気配管と、前記原子炉圧力容器とシュラウド間に形成され、前記気水分離器で分離された水が循環するダウンカマと、該ダウンカマの下方に配置され、該ダウンカマ内の水を前記炉心に供給するインターナルポンプ又はジェットポンプとを備えた沸騰水型原子炉において、
前記気水分離器は、請求項1乃至10のいずれかに記載の気水分離器であることを特徴とする沸騰水型原子炉。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2013−3085(P2013−3085A)
【公開日】平成25年1月7日(2013.1.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−137243(P2011−137243)
【出願日】平成23年6月21日(2011.6.21)
【出願人】(507250427)日立GEニュークリア・エナジー株式会社 (858)