説明

気泡含有粘弾性組成物、及び感圧性接着テープ又はシート

【課題】 曲面や凹凸面に対して良好な追従性や接着性や、優れた耐反発性を発揮できる感圧性接着剤層や基材を形成するための気泡含有粘弾性組成物を提供する。
【解決手段】 気泡含有粘弾性組成物は、気泡と中空微小球状体を含有し、且つ界面活性剤を含有する粘弾性組成物であって、前記界面活性剤が、分子中にオキシC2-3アルキル基及びフッ素化炭化水素基を有するフッ素系界面活性剤であることを特徴とする。ベースポリマーとして、(メタ)アルキル酸エステルを単量体主成分とするアクリル系ポリマーを含有していてもよい。中空微小球状体としては、中空ガラスバルーンが好適である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、中空微小球状体を有する気泡含有粘弾性組成物に関し、より詳細には、気泡構造及び中空微小球状体を有する感圧性接着剤層や基材として利用可能な粘弾性組成物、及び該粘弾性組成物を用いた感圧性接着テープ又はシートに関する。
【背景技術】
【0002】
感圧性接着テープ又はシートとして、中空微小球状体や気泡構造を有する感圧性接着剤層を有する感圧性接着テープ又はシートは、曲面や凹凸面に対する接着の際に凝集強さ、加工性、耐反発性が必要とされる用途などで、しばしば用いられる。このような感圧性接着テープ又はシートとしては、感圧性接着剤層全体にガラスのミクロバブルを分散させたもの(特許文献1参照)が提案されているが、ガラスのミクロバブルと感圧性接着剤層中のポリマーの間の密着性が高いため、感圧性粘着剤テープの変形に対し応力分散性がなく、凹凸面に対する追従性や接着強さに劣るものであった。このガラスのミクロバブルと感圧性接着剤層中のポリマーとの密着性を低下させるためフッ素系界面活性剤又はシリコン系界面活性剤を添加した感圧性粘着テープ(特許文献2参照)が提案されている。しかし、単にフッ素系界面活性剤又はシリコン系界面活性剤を添加しただけでは充分な接着性が得られない。
【0003】
【特許文献1】特公昭57−17030号公報
【特許文献2】特開平7−48549号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、凝集強さ、耐反発性、接着力に優れた、中空微小球体を有する気泡含有粘弾性組成物を提供することである。本発明は又、該粘弾性組成物を粘着剤層や基材として用いた、凝集強さ、耐反発性、加工性に優れた感圧性接着テープ又はシートを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者らは、前記目的を達成するために鋭意検討した結果、その分子中に特定の構造を有する界面活性剤を用いることにより、中空微小球状体と感圧性粘着剤層中のポリマーとの間の密着性や摩擦が低下し、高い応力分散性が得られ、これにより粘弾性組成物の凝集強さと凹凸面に対する良好な追従性とが同時に実現し、耐反発性、接着力に優れた感圧制接着剤層を形成することが可能であることを見出し、本発明を完成した。
【0006】
すなわち、本発明は、気泡と中空微小球状体を含有し、且つ界面活性剤を含有する気泡含有粘弾性組成物であって、前記界面活性剤が分子中にオキシC2-3アルキレン基及びフッ素化炭化水素基を有することを特徴とするフッ素系界面活性剤である気泡含有粘弾性組成物である。
【0007】
前記フッ素系界面活性剤の割合としては、粘弾性組成物中のベースポリマー100重量部に対して0.01〜5重量部(固形分)であることが好ましい。
【0008】
本発明の気泡含有粘弾性組成物に用いられる中空微小球状体としては、中空ガラスバルーンが好適である。
【0009】
中空微小球状体の含有量としては、気泡含有粘弾性組成物により形成された気泡含有粘弾性層の全体積に対して5〜50体積%であることが好ましい。
【0010】
本発明の気泡含有粘弾性組成物は、ベースポリマーとして、(メタ)アクリル酸エステルを単量体主成分とするアクリル系ポリマーを含有していてもよい。
【0011】
本発明の気泡含有粘弾性組成物に混合される気泡の含有量としては、気泡含有粘弾性組成物全体積に対して5〜50体積%であることが好ましい。
【0012】
本発明の気泡含有粘弾性組成物は、活性エネルギー光線により硬化が可能であることが好ましい。
【0013】
本発明の気泡含有粘弾性組成物は、感圧性接着剤層や基材として利用可能である。
【0014】
本発明は、また、感圧性接着剤層を有している感圧性接着テープ又はシートであって、感圧性接着剤層が、前記気泡含有粘弾性組成物により形成されていることを特徴とする感圧性接着テープ又はシートである。
【0015】
本発明は、さらにまた、基材の少なくとも一方の面に感圧性接着剤層を有している感圧性接着テープ又はシートであって、基材が、前記気泡含有粘弾性組成物により形成されていることを特徴とする感圧性接着テープ又はシートである。
【発明の効果】
【0016】
本発明の中空微小球体を有する気泡含有粘弾性組成物によれば、凝集強さと凹凸面に対する追従性を同時に実現し、接着力が良好である感圧性接着テープ又はシートにおける感圧性接着剤層や基材を形成することが可能である。また、前記気泡含有粘弾性組成物を用いて製造した感圧性接着テープ又はシートは、優れた加工性、凝集強さ、耐反発性を発揮することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
(気泡含有粘弾性組成物)
本発明の気泡含有粘弾性組成物は、気泡と中空微小球状体を含有し、且つ分子中にオキシC2-3アルキレン基及びフッ素化炭化水素基を有するフッ素系界面活性剤を含んでいる。分子中に該構造を有するフッ素系界面活性剤を用いることにより中空微小球状体と粘弾性組成物中のポリマーとの密着性が低下し、応力分散性が発現し、曲面や凹凸面に対する追従性、接着性能が向上する。
【0018】
気泡含有粘弾性組成物に混合可能な気泡量としては接着特性等を損なわない範囲で適宜選択できるが、気泡含有粘弾性組成物全体積に対して通常5〜50体積%(好ましくは10〜40体積%、更に好ましくは12〜30体積%)である。気泡量が5体積%未満であると、応力緩和性が得られにくく、耐反発性に劣ることが多い。また50体積%を超えるとシートを貫通する気泡が形成し、接着性が劣ったり、気泡含有粘弾性組成物層が柔らかくなりすぎ、せん断力が劣ることが多い。
【0019】
気泡含有粘弾性組成物中に混合される気泡は、基本的には、独立気泡タイプの気泡であることが望ましいが、独立気泡タイプの気泡と連続気泡タイプの気泡とが混在していてもよい。
【0020】
また、このような気泡としては、通常、球状の形状を有しているが、いびつな形状の球状を有していてもよい。前記気泡において、その平均気泡径(直径)としては、特に限定されず、例えば、1〜1000μm(好ましくは10〜500μm、さらに好ましくは30〜300μm)の範囲から選択することができる。
【0021】
なお、気泡に含まれる気体成分(気泡を形成するガス成分;「気泡形成ガス」と称する場合がある)としては、特に限定されず、窒素、二酸化炭素、アルゴンなどの不活性ガスの他、空気などの各種気体成分を用いることができる。気泡形成ガスとしては、気泡形成ガスを混合した後に、重合反応等の反応を行う場合は、その反応を阻害しないものを用いることが重要である。気泡形成ガスとしては、反応を阻害しないことや、コスト的観点などから窒素が好適である。
【0022】
(中空微小球状体)
本発明の気泡含有粘弾性組成物の構成成分の一つとして中空微小球状体を用いることにより、例えば、気泡含有感圧接着剤組成物におけるせん断接着力を高めることができ、また、加工性を向上させることができる。中空微小球状体は単独で、又は2種以上組み合わせて使用することができる。
【0023】
本発明に用いる中空微小球状体としては、中空の無機系微小球状体であってもよく、中空の有機系微小球状体であってもよい。具体的には、中空微小球状体において中空の無機系微小球状体としては、例えば、中空ガラスバルーン等のガラス製の中空バルーン;中空アルミナバルーン等の金属化合物性の中空バルーン;中空セラミックバルーン等の磁器製中空バルーンなどが挙げられる。また、中空の有機系微小球状体としては、例えば中空アクリルバルーン、中空の塩化ビニリデンバルーン等の樹脂製の中空バルーンなどが挙げられる。
【0024】
中空微小球状体の粒径(平均粒子径)としては特に制限されないが、例えば1〜500μm(好ましくは5〜200μm、さらに好ましくは10〜100μm)の範囲から選択することができる。
【0025】
中空微小球状体の比重としては、特に限定されないが、例えば、0.1〜0.8g/cm3(好ましくは0.12〜0.5g/cm3)の範囲から選択することができる。中空微小球状体の比重が0.1g/cm3よりも小さいと、中空微小球状体を気泡含有粘弾性組成物中に配合して混合する際に、浮き上がりが大きくなり、均一に分散させること難しくなり、一方、0.8g/cm3よりも大きいと、高価になり、コストが高くなる。
【0026】
中空微小球状体の使用量としては、特に限定されず、例えば、気泡含有粘弾性組成物により形成された気泡含有粘弾性層の全体積に対して5〜50容積%(体積%)、好ましくは10〜50容積%、さらに好ましくは15〜40容積%となるような範囲から選択することができる。中空微小球状体の使用量が気泡含有粘弾性組成物により形成された気泡含有粘弾性層全体積に対して5容積%未満となるような使用量であると、中空微小球状体を添加した効果が低く、一方、50容積%を超えるような使用量であると、例えば、気泡含有粘弾性層が気泡含有感圧性接着剤層である場合、気泡含有感圧接着剤層による接着力が低下する。
【0027】
(フッ素系界面活性剤)
フッ素系界面活性剤としては分子中にオキシC2-3アルキレン基及びフッ素化炭化水素基を有するフッ素系界面活性剤が用いられる。オキシC2-3アルキレン基は式:−R−O−(Rは炭素数2又は3の直鎖状又は分岐鎖状のアルキレン基)で表される。分子中にオキシC2-3アルキレン基を有することにより、中空微小球体と気泡含有粘弾性層中のベースポリマーとの密着度や摩擦抵抗が低減され、応力分散性が発現する。そのため、本発明の気泡含有粘弾性組成物を用いて感圧性接着剤層を形成した場合は、高い接着性が得られる。フッ素化炭化水素基を有することにより上記摩擦抵抗等の低減効果に加えて、気泡混合性及び気泡安定性を高める効果も得られる。フッ素系界面活性剤はオキシC2-3アルキレン基及びフッ素化炭化水素基を有していれば特に限定されないが、ベースポリマーに対する分散性の観点から非イオン型界面活性剤が好ましい。また、分子中にオキシエチレン基(−CH2CH2O−)、オキシプロピレン基[−CH2CH(CH3)O−]等の何れか1種を有していてもよく、2種以上を有していてもよい。なお、フッ素系界面活性剤は、単独で、又は2種以上組み合わせて使用することができる。
【0028】
フッ素化炭化水素基としては、特に制限されないがパーフルオロ基が好適であり、該パーフルオロ基は、1価であってもよく、2価以上の多価であっても良い。また、フッ素化炭化水素基は二重結合や三重結合を有していても良く、直鎖でも枝分かれ構造や環式構造を有していても良い。フッ素化炭化水素基の炭素数としては特に限定されず、1又は2以上、好ましくは3〜30、さらに好ましくは4〜20である。これらのフッ素化炭化水素基が界面活性剤分子中に1種又は2種以上導入されている。オキシC2-3アルキレン基としては、末端の酸素原子に水素原子が結合したアルコール、他の炭化水素基と結合したエーテル、カルボニル基を介して他の炭化水素基と結合したエステル等、何れの形態でも良い。また、環式エーテル類やラクトン類等、環状構造の一部に該構造を有する形態でもよい。
【0029】
フッ素系界面活性剤の構造としては特に制限されないが、例えば、オキシC2-3アルキレン基を有する単量体及びフッ素化炭化水素基を有する単量体をモノマー成分として含む共重合体を好適に用いることができる。このような共重合体としては、ブロック共重合体、グラフト共重合体など、様々な構造が考えられるが、何れも好適に用いられる。
【0030】
ブロック共重合体(主鎖にオキシC2-3アルキレン基及びフッ素化炭化水素基を有する共重合体)としては、例えば、ポリオキシエチレンパーフルオロアルキルエーテル、ポリオキシエチレンパーフルオロアルキレート、ポリオキシプロピレンパーフルオロアルキルエーテル、ポリオキシイソプロピレンパーフルオロアルキルエーテル、ポリオキシエチレンソルビタンパーフルオロアルキレート、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブロックコポリマーパーフルオロアルキレート、ポリオキシエチレングリコールパーフルオロアルキレート等である。
【0031】
グラフト共重合体(側鎖にオキシC2-3アルキレン基及びフッ素化炭化水素基を有する共重合体)としては、モノマー成分として少なくとも、ポリオキシアルキレン基を有するビニル系化合物及びフッ素化炭化水素基を有するビニル系化合物を含む共重合体、特に、アクリル系共重合体が好適に用いられる。ポリオキシアルキレン基を有するビニル系化合物としては、例えば、ポリオキシエチレン(メタ)アクリレート、ポリオキシプロピレン(メタ)アクリレート、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレン(メタ)アクリレートなどのポリオキシアルキレン(メタ)アクリレートが挙げられる。フッ素化炭化水素基を有するビニル系化合物としては、例えば、パーフルオロブチル(メタ)アクリレート、パーフルオロイソブチル(メタ)アクリレート、パーフルオロペンチル(メタ)アクリレートなどのパーフルオロアルキル(メタ)アクリレート等、フッ素化炭化水素を含有する(メタ)アクリル酸エステルが挙げられる。
【0032】
フッ素系界面活性剤は、分子中に上記構造の他に脂環式炭化水素基や芳香族炭化水素基などの構造を有していてもよく、ベースポリマーへの分散性を阻害しない範囲内でカルボキシル基、スルホン酸基、シアノ基、アミド基、アミノ基等様々な官能基を有していてもよい。例えばフッ素系界面活性剤がビニル系共重合体である場合は、モノマー成分として、ポリオキシアルキレン基を有するビニル系化合物及びフッ素化炭化水素基を有するビニル系化合物と共重合可能なモノマー成分が用いられてもよい。このようなモノマーは単独で又は2種以上組み合わせて使用することができる。
【0033】
上記共重合可能なモノマー成分としては、例えば、(メタ)アクリル酸ウンデシル、(メタ)アクリル酸ドデシルなどの(メタ)アクリル酸C1-20アルキルエステル;シクロペンチル(メタ)アクリレートなどの脂環式炭化水素基を有する(メタ)アクリル酸エステル;フェニル(メタ)アクリレートなどの芳香族炭化水素基を有する(メタ)アクリル酸エステルが好適に用いられる。その他、マレイン酸、クロトン酸等のカルボキシル基含有単量体;ビニルスルホン酸ナトリウムなどのスルホン酸基含有単量体;スチレン、ビニルトルエンなどの芳香族ビニル化合物;エチレン、ブタジエンなどのオレフィン又はジエン類;ビニルアルキルエーテルなどのビニルエーテル類;アクリルアミド等のアミド基含有単量体;(メタ)アクリロイルモルホリンなどのアミノ基含有単量体;(メタ)アクリル酸メチルグリシジルなどのグリシジル基含有単量体;2−メタクリロイルオキシエチルイソシアネートなどのイソシアネート基含有単量体などが挙げられる。さらにまた、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジビニルベンゼンなどの多官能性共重合性単量体(多官能モノマー)が用いられてもよい。
【0034】
フッ素系界面活性剤の分子量は特に制限されないが、重量平均分子量が20000未満(例えば500以上、20000未満)であると粘弾性組成物中のベースポリマーと中空微小球状体との間の密着性や摩擦抵抗を低減する効果が高い。さらに重量平均分子量20000以上(例えば20000〜100000、好ましくは22000〜80000、さらに好ましくは24000〜60000)のフッ素系界面活性剤を併用すると、気泡の混合性や、混合された気泡の安定性が高まる。
【0035】
オキシC2-3アルキレン基及びフッ素化炭化水素基を有し、且つ重量平均分子量20000未満のフッ素系界面活性剤の具体例としては、商品名「フタージェント251」(株式会社ネオス製)、商品名「FTX−218」(株式会社ネオス製)、商品名「メガファックF−477」(大日本インキ化学工業株式会社製)、商品名「メガファックF−470」(大日本インキ化学工業株式会社製)、商品名「サーフロンS−381」(セイケミカル株式会社製)、商品名「サーフロンS−383」(セイケミカル株式会社製)、商品名「サーフロンS−393」(セイケミカル株式会社製)、商品名「サーフロンKH−20」(セイケミカル株式会社製)、商品名「サーフロンKH−40」(セイケミカル株式会社製)などが挙げられる。オキシC2-3アルキレン基及びフッ素化炭化水素基を有し、且つ重量平均分子量20000以上であるフッ素系界面活性剤の具体例としては、商品名「エフトップEF−352」(株式会社ジェムコ製)、商品名「エフトップEF−801」(株式会社ジェムコ製)、商品名「ユニダインTG−656」(ダイキン工業株式会社製)などが挙げられ、何れも本発明に好適に用いることができる。
【0036】
フッ素系界面活性剤の使用量(固形分)としては、特に制限されないが、例えば、気泡含有粘弾性組成物のベースポリマーを形成するための全モノマー成分[特に(メタ)アクリル酸アルキルエステルを単量体主成分とするアクリル系ポリマーを形成するための全モノマー成分]100重量部に対して0.01〜5重量部(好ましくは0.02〜3重量部、さらに好ましくは0.03重量部〜1重量部)の範囲で選択することができる。0.01部未満であると接着性能に対する効果が得られず、5重量部を超えると、接着性能が低下する。
【0037】
(ベースポリマー)
気泡含有粘弾性組成物におけるベースポリマーとしては、特に限定されない。気泡含有粘弾性組成物が気泡を含有する感圧性接着剤組成物(気泡含有感圧性接着剤組成物)である場合、例えば、公知の感圧性接着剤(粘着剤)(例えば、アクリル系感圧性接着剤、ゴム系感圧性接着剤、ビニルアルキルエーテル系感圧性接着剤、シリコーン系感圧性接着剤、ポリエステル系感圧性接着剤、ポリアミド系感圧性接着剤、ウレタン系感圧性接着剤、フッ素系感圧性接着剤、エポキシ系感圧性接着剤など)におけるベースポリマーから適宜選択して用いることができる。すなわち、本発明の粘弾性組成物が用いられた気泡含有感圧性接着剤組成物は、アクリル系感圧性接着剤、ゴム系感圧性接着剤、ビニルアルキルエーテル系感圧性接着剤、シリコーン系感圧性接着剤、ポリエステル系感圧性接着剤、ポリアミド系感圧性接着剤、ウレタン系感圧性接着剤、フッ素系感圧性接着剤、エポキシ系感圧性接着剤などの公知の感圧性接着剤が用いられた組成であってもよい。
【0038】
一方、気泡含有粘弾性組成物が気泡を含有する基材である場合、前記気泡含有感圧性接着剤組成物におけるベースポリマーと同様のポリマーから適宜選択して用いることができる。
【0039】
ベースポリマーは、単独で又は2種以上組み合わせて使用することができる。ベースポリマーとしては公知のアクリル系感圧性接着剤におけるベースポリマーを好適に用いることができる。公知のアクリル系感圧性接着剤では、通常、ベースポリマーとして、アクリル系ポリマー[特に(メタ)アクリル酸エステルを単量体成分とするアクリル系ポリマー]を含有している。該アクリル系ポリマーにおいて、(メタ)アクリル酸アルキルエステルを好適に用いることができる。前記アクリル系ポリマーにおける(メタ)アクリル酸アルキルエステルとしては、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸s−ブチル、(メタ)アクリル酸t−ブチル、(メタ)アクリル酸ペンチル、(メタ)アクリル酸イソペンチル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸ヘプチル、(メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸イソオクチル、(メタ)アクリル酸ノニル、(メタ)アクリル酸イソノニル、(メタ)アクリル酸デシル、(メタ)アクリル酸イソデシル、(メタ)アクリル酸ウンデシル、(メタ)アクリル酸ドデシル、(メタ)アクリル酸トリデシル、(メタ)アクリル酸テトラデシル、(メタ)アクリル酸ペンタデシル、(メタ)アクリル酸ヘキサデシル、(メタ)アクリル酸ヘプタデシル、(メタ)アクリル酸オクタデシル、(メタ)アクリル酸ノナデシル、(メタ)アクリル酸エイコシル、などの(メタ)アクリル酸C1-20アルキルエステル[好ましくは(メタ)アクリル酸C2-14アルキルエステル、さらに好ましくは(メタ)アクリル酸C2-10アルキルエステル]などが挙げられる。
【0040】
また、(メタ)アクリル酸アルキルエステル以外の(メタ)アクリル酸エステルとしては、例えば、シクロペンチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソボロニル(メタ)アクリレート等の脂環式炭化水素基を有する(メタ)アクリル酸エステルなどが挙げられる。
【0041】
なお、(メタ)アクリル酸エステルはアクリル系ポリマーの単量体主成分として用いられているので、(メタ)アクリル酸エステル[特に(メタ)アクリル酸アルキルエステル]の割合は、例えば、アクリル系ポリマーを調整するためのモノマー成分全量に対して60重量%以上(好ましくは80重量%以上)であることが重要である。
【0042】
前記アクリル系ポリマーでは、モノマー成分として、極性基含有単量体や多官能性単量体などの各種共重合性単量体が用いられてもよい。モノマー成分として共重合性単量体を用いることにより、例えば、被着体への接着力を向上させたり、接着剤(感圧性接着剤)の凝集力を高めたりすることができる。共重合性単量体は単独で、又は2種以上組み合わせて使用することができる。
【0043】
前記極性基含有単量体としては、例えば、(メタ)アクリル酸、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸、クロトン酸、イソクロトン酸などのカルボキシル基含有単量体又はその無水物(無水マレイン酸など);(メタ)アクリル酸ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシブチル等の(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキルなどの水酸基含有単量体;アクリルアミド、メタアクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、N−メトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N−ブトキシメチル(メタ)アクリルアミドなどのアミド基含有単量体;(メタ)アクリル酸アミノエチル、(メタ)アクリル酸ジメチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸t−ブチルアミノエチル、などのアミノ基含有単量体;(メタ)アクリル酸グリシジル、(メタ)アクリル酸メチルグリシジルなどのグリシジル基含有単量体;アクリロニトリルやメタアクリロニトリルなどのシアノ基含有単量体;N−ビニル−2−ピロリドン、(メタ)アクリロイルモルホリンの他、N−ビニルピリジン、N−ビニルピペリドン、N−ビニルピリミジン、N−ビニルピペラジン、N−ビニルピロール、N−ビニルイミダゾール、N−ビニルオキサゾール等の複素環含有ビニル系単量体などが挙げられる。極性基含有単量体としてはアクリル酸等のカルボキシル基含有単量体又はその無水物が好適である。
【0044】
極性基含有単量体の使用量としては、アクリル系ポリマーを調整するためのモノマー成分全量に対して30重量%以下(例えば1〜30重量%)であり、好ましくは3〜20重量%である。極性基含有単量体の使用量が30重量%を超えると、例えば、アクリル系感圧性接着剤の凝集力が高くなりすぎ、感圧接着性が低下するおそれがある。また、極性基含有単量体の使用量が少なすぎると(例えばアクリル系ポリマーを調整するためのモノマー成分全量に対して1重量%未満であると)アクリル系感圧接着剤の凝集力が低下し、高いせん断力が得られなくなる。
【0045】
前記多官能性単量体としては、例えば、ヘキサンジオール(メタ)アクリレート、(ポリ)エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、(ポリ)プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、テトラメチロールメタントリ(メタ)アクリレート、アリル(メタ)アクリレート、ビニル(メタ)アクリレート、ジビニルベンゼン、エポキシアクリレート、ポリエステルアクリレート、ウレタンアクリレート、ジブチル(メタ)アクリレート、ヘキシジル(メタ)アクリレートなどが挙げられる。
【0046】
多官能性単量体の使用量としては、アクリル系ポリマーを調整するためのモノマー成分全量に対して2重量%以下(例えば、0.01〜2重量%)であり、好ましくは0.02〜1重量%である。多官能性単量体の使用量がアクリル系ポリマーを調整するためのモノマー成分全量に対して2重量%を超えると、例えばアクリル系感圧性接着剤の凝集力が高くなりすぎ、感圧接着性が低下するおそれがある。また、多官能性単量体の使用量が少なすぎると(例えばアクリル系ポリマーを調整を調整するためのモノマー成分全量に対して0.01重量%未満であると)、例えば、アクリル系感圧接着剤の凝集力が低下する。
【0047】
また、極性基含有単量体や多官能性単量体以外の共重合性単量体としては、例えば、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニルなどのビニルエステル類、スチレンビニルトルエンなどの芳香族ビニル化合物、エチレン、ブタジエン、イソプレン、イソブチレンなどのオレフィン又はジエン類;ビニルアルキルエーテルなどのビニルエーテル類;塩化ビニル、(メタ)アクリル酸メトキシエチル、(メタ)アクリル酸エトキシエチルなどの(メタ)アクリル酸アルコキシアルキル系モノマー;ビニルスルホン酸ナトリウムなどのスルホン酸基含有単量体;2−ヒドロキシエチルアクリロイルフォスフェートなどのリン酸基含有単量体;シクロヘキシルマレイミド、イソプロピルマレイミドなどのイミド基含有単量体;2−メタクリロイルオキシエチルイソシアネートなどのイソシアネート基含有単量体;フッ素原子含有(メタ)アクリレート、ケイ素原子含有(メタ)アクリレートなどが挙げられる。
【0048】
(重合開始剤)
本発明では、前記ベースポリマーとしてアクリル系ポリマーの調整に際して(すなわち、気泡含有感圧性接着剤層や気泡含有基材等の気泡含有粘弾性組成物による層(「気泡含有粘弾性層」と称する場合がある)の形成に際して、熱重合開始剤や光重合開始剤(光開始剤)などの重合開始剤を用いた、熱や活性エネルギー光線による硬化反応を利用することができる。すなわち、気泡含有粘弾性組成物には熱重合開始剤や光重合開始剤などの重合開始剤が含まれてもよい。従って、気泡含有粘弾性組成物は、熱やエネルギー光線により硬化が可能である。このように重合開始剤(熱重合開始剤や光重合開始剤など)が含まれていると熱や活性エネルギー光線による硬化が可能となり、そのため、気泡が混合された状態で硬化させて気泡含有粘弾性組成物(気泡含有感圧性接着剤層や気泡含有基材など)を形成させることにより、気泡が安定して含有された構造を有する気泡含有粘弾性層を容易に形成することができる。
【0049】
このような重合開始剤としては、重合時間を短くすることができる利点などから、光重合開始剤を好適に用いることができる。すなわち、活性エネルギー光線を用いた重合を利用して、安定した気泡構造を有する気泡含有感圧性接着剤層を形成することが好ましい。
なお、重合開始剤は、単独で又は2種以上組み合わせて使用することができる。
【0050】
前記重合開始剤としては、特に限定されず、例えば、ベンゾインエーテル系光重合開始剤、アセトフェノン系光重合開始剤、α−ケトール系光重合開始剤、芳香族スルホニルクロリド系光重合開始剤、光活性オキシム系光重合開始剤、ベンゾイン系光重合開始剤、ベンジル系光重合開始剤、ベンゾフェノン系光重合開始剤、ケタール系光重合開始剤、チオキサントン系光重合開始剤などを用いることができる。
【0051】
具体的には、ベンゾインエーテル系光重合開始剤としては、例えば、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインプロピルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン、アニソールメチルエーテルなどが挙げられる。アセトフェノン系光重合開始剤としては、例えば、2,2−ジエトキシアセトフェノン、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、4−フェノキシジクロロアセトフェノン、4−(t−ブチル)ジクロロアセトフェノンなどが挙げられる。α−ケトール系光重合開始剤としては、例えば、2−メチル−2−ヒドロキシプロピオフェノン、1−[4−(2−ヒドロキシエチル)フェニル]−2−メチルプロパン−1−オンなどが挙げられる。芳香族スルホニルクロリド系光重合開始剤としては、例えば、2−ナフタレンスルホニルクロライドなどが挙げられる。光活性オキシム系光重合開始剤としては、例えば、1−フェニル−1,1−プロパンジオン−2−(o−エトキシカルボニル)−オキシムなどが挙げられる。
【0052】
また、ベンゾイン系光重合開始剤には、例えば、ベンゾインなどが含まれる。ベンジル系光重合開始剤には、例えば、ベンジルなどが含まれる。ベンゾフェノン系光重合開始剤は、例えば、ベンゾフェノン、ベンゾイル安息香酸、3、3′−ジメチル−4−メトキシベンゾフェノン、ポリビニルベンゾフェノン、α−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトンなどが含まれる。ケタール系光重合開始剤には、例えば、チオキサントン、2−クロロチオキサントン、2−メチルチオキサントン、2,4−ジメチルチオキサントン、イソプロピルチオキサントン、2,4−ジイソプロピルチオキサントン、ドデシルチオキサントンなどが含まれる。
【0053】
光重合開始剤の使用量としては、特に限定されないが、例えば、気泡含有感圧性接着剤組成物中のベースポリマーを形成するための全モノマー成分[特に(メタ)アクリル酸エステルを単量体の主成分とするアクリル系ポリマーを形成するための全モノマー成分]100重量部に対して0.01〜5重量部(好ましくは0.05〜3重量部)の範囲から選択することができる。
【0054】
光重合開始剤の活性化に際しては、活性エネルギー光線を気泡含有粘弾性組成物に照射することが重要である。このような活性エネルギー光線としては、例えば、α線、β線、γ線、中性子線、電子線などの電離性放射線や、紫外線などが挙げられ、特に紫外線が好適である。また、活性エネルギー光線の照射エネルギーや、その照射時間などは特に限定されず、光重合開始剤を活性させて、モノマー成分の反応を生じさせることができればよい。
【0055】
なお、前記熱重合開始剤としては、例えば、アゾ系重合開始剤[例えば、2,2′−アゾビスイソブチロニトリル、2,2′−アゾビス−2−メチルブチロニトリル、2,2′−アゾビス(2−メチルプロピオン酸)ジメチル、4,4′−アゾビス−4−シアノバレリアン酸、アゾビスイソバレロニトリル、2,2′−アゾビス(2−アミジノプロパン)ジヒドロクロライド、2,2′−アゾビス[2−(5−メチル−2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]ジヒドロクロライド、2,2′−アゾビス(2−メチルプロピオンアミジン)二硫酸塩、2,2′−アゾビス(N,N′−ジメチレンイソブチルアミジン)ジヒドロクロライドなど]、過酸化物系重合開始剤(例えば、ジベンゾイルペルオキシド、t−ブチルペルマレエートなど)、レドックス系重合開始剤などが挙げられる。熱重合開始剤の使用量としては特に限定されず、従来、重合開始剤として利用可能な範囲であればよい。
【0056】
(他の成分)
本発明の気泡含有粘弾性組成物には、前記成分(フッ素系界面活性剤、ベースポリマー、中空微小球状体、重合開始剤など)の他に、気泡含有粘弾性組成物の用途に応じて、適宜な添加剤が含まれていてもよい。例えば、気泡含有粘弾性組成物が、気泡含有感圧性接着剤層である場合、気泡含有感圧性接着剤層を形成するための感圧性接着剤の種類に応じて、架橋剤(例えば、ポリイソシアネート系架橋剤、シリコーン系架橋剤、エポキシ系架橋剤、アルキルエーテル化メラミン系架橋剤など)、粘着付与剤(例えば、ロジン誘導体樹脂、ポリテルペン樹脂、石油樹脂、油溶性フェノール樹脂などからなる常温で固体、半固体、あるいは液状のもの)、可塑剤、充填剤、老化防止剤、着色剤(顔料や染料など)などの適宜な添加剤を含んでもよい。例えば、光重合開始剤を用いて気泡含有粘弾性層を形成する場合、該気泡含有粘弾性層を着色するために、光重合を阻害されない程度の顔料(着色顔料)を使用することができる。気泡含有粘弾性層の着色として黒色が望まれる場合は、例えば、カーボンブラックを用いることができる。着色顔料としてのカーボンブラックの使用量としては、着色度合いや、光重合反応を阻害しない観点から、例えば、気泡含有粘弾性組成物中のベースポリマーを形成するための全モノマー[特に(メタ)アクリル酸エステルを単量体とするアクリル系ポリマーを形成するための全モノマー成分]100重量部に対して0.15重量部以下(例えば0.001〜0.15重量部)好ましくは0.02〜0.1重量部の範囲から選択することが望ましい。
【0057】
本発明では、気泡含有粘弾性組成物中に気泡を安定的に混合して存在させるために、気泡は気泡含有粘弾性組成物中に最後の成分として配合し混合させることが好ましく、特に、気泡を混合する前の気泡含有粘弾性組成物([気泡含有粘弾性前駆体」と称する場合がある;例えば、気泡含有粘弾性組成物が気泡含有感圧性接着剤組成物である場合、感圧性接着剤前駆体)の粘度を高くすることが好ましい。気泡含有粘弾性前駆体(感圧性接着剤前駆体など)の粘度としては、混合された気泡を安定的に保持することが可能な粘度であれば特に限定されないが、例えば、粘度計としてBH粘度計を用いて、ローター:No.5ローター、回転数:10rpm、測定温度:30℃の条件で測定された粘度としては、5〜50Pa・s(好ましくは10〜40Pa・s)であることが望ましい。気泡含有粘弾性前駆体の粘度(BH粘度計、No.5ローター、10rpm、30℃)が、5Pa・s未満であると、粘度が低すぎて、混合した気泡がすぐに合一して系外に抜けてしまう場合があり、一方、50Pa・sを超えていると、気泡含有粘弾性層を形成する際に粘度が高すぎて困難となる。
【0058】
なお、気泡含有粘弾性前駆体の粘度は、例えば、アクリルゴム、増粘性添加剤などの各種ポリマー成分を配合する方法、ベースポリマーを形成するためのモノマー成分[例えば、アクリル系ポリマーを形成させるための(メタ)アクリル酸エステルなどのモノマー成分など]を一部重合させる方法などにより、調整することができる。具体的には、例えば、ベースポリマーを形成するためのモノマー成分[例えば、アクリル系ポリマーを形成させるための(メタ)アクリル酸エステルなどのモノマー成分など]と、重合開始剤(例えば、光重合開始剤など)とを混合してモノマー混合物を調整し、該モノマー混合物に対して重合開始剤の種類に応じた重合反応を行って、一部のモノマー成分のみが重合した組成物(シロップ)を調製した後、該シロップにフッ素系界面活性剤と中空微小球状体と、必要に応じて各種添加剤とを配合して、気泡を安定的に含有することが可能な適度な粘度を有する気泡含有粘弾性前駆体を調製することができる。そして、この気泡含有粘弾性前駆体に、気泡を導入して混合させることにより、気泡を安定的に含有している気泡含有粘弾性組成物を得ることができる。なお、前記シロップの調製に際しては、モノマー混合中に、予め、フッ素系界面活性剤や、中空微小球状体が適宜配合されてもよい。
【0059】
気泡を混合する方法としては特に限定されず、公知の気泡混合方法を利用することができる。例えば、装置の例としては、中央部に貫通孔を持った円盤上に、細かい歯が多数ついたステータと、歯のついているステータとを対向しており、円盤上にステータと同様の細かい歯がついているロータとを備えた装置などが挙げられる。この装置におけるステータ上の歯とロータ上の歯との間に気泡含有粘弾性前駆体を導入し、ロータを高速回転させながら、貫通孔を通して気泡を形成させるためのガス成分(気泡形成ガス)を気泡含有粘弾性前駆体中に導入させることにより、気泡形成ガスが気泡含有粘弾性前駆体中に細かく分散され混合された気泡含有粘弾性組成物を得ることができる。
【0060】
なお、気泡の合一を抑制又は防止するためには、気泡の混合から、気泡含有粘弾性層の形成までの行程を一連の工程として連続的に行うことが好ましい。すなわち、前述のようにして気泡を混合させて気泡含有粘弾性組成物を調製した後、続いて、該気泡含有粘弾性組成物を用いて、公知の感圧性接着剤層の形成方法を利用して気泡含有粘弾性層を形成することが好ましい。
【0061】
(感圧性接着テープ又はシート)
本発明の感圧性接着テープ又はシートは、前記気泡含有粘弾性組成物により形成された気泡含有感圧性接着剤層および/又は気泡含有基材を有している。このような感圧性接着テープ又はシートとしては、両面が接着面(粘着面)となっている両面感圧性接着テープ又はシートの形態を有していてもよく、片面のみが接着面となっている感圧性接着テープ又はシートの形態を有していてもよい。具体的には感圧性接着テープ又はシートとしては、気泡含有粘弾性組成物により形成された気泡含有粘弾性層が気泡含有感圧性接着剤層である場合、例えば、図1(a)又は(b)で示されるように、(1)基材の少なくとも一方の面に気泡含有接着剤層が形成され且つ基材の両面側に粘着面が形成された構成の気泡含有感圧性接着剤層を有する基材付き両面感圧性接着テープ又はシート(気泡含有感圧性接着剤層を有する基材付き両面粘着テープ又はシート)、図1(c)で示されるように、(2)基材の一方の面に気泡含有感圧性接着剤層が形成された構成の気泡含有感圧性接着剤層を有する基材付き感圧性接着テープ又はシート(気泡含有感圧性接着剤層を有する基材付き片面粘着テープ又はシート)、図1(d)で示されるように、(3)気泡含有感圧性接着剤層のみから形成された構成の気泡含有感圧性接着剤層を有する基材レス両面感圧性接着テープ又はシート(気泡含有感圧性接着剤層を有する基材レス両面感圧性接着テープ又はシート)などが挙げられる。
【0062】
図1は本発明の感圧性接着テープ又はシートの例を部分的に示す概略断面図である。図1において、1、11、12、13は、それぞれ、気泡含有感圧性接着剤層を有する感圧性接着テープ又はシート、2は気泡含有感圧性接着剤層、3は基材(気泡非含有基材)、4は感圧性接着剤層(気泡非含有感圧性接着剤層)である、図1(a)で示される気泡含有感圧性接着剤層を有する感圧性接着テープ又はシートは、気泡非含有基材3の両面に気泡含有感圧性接着剤層2が形成された構成を有している。図1(b)で示される気泡含有感圧性接着剤層を有する感圧性接着テープ又はシート11は、気泡非含有基材3の一方の面に気泡含有感圧性接着剤層2が形成され且つ他方の面に気泡非含有感圧性接着剤層4が形成された構成を有している。図1(c)で示される気泡含有感圧性接着剤層を有する感圧性接着テープ又はシート12は、気泡非含有基材3の片面に気泡含有感圧性接着剤層2が形成された構成を有している。図1(d)で示される気泡含有感圧性接着剤層を有する感圧性接着テープ又はシート13は、気泡含有感圧性接着剤層2のみにより形成された構成を有している。
【0063】
なお、気泡含有接着剤層を有する感圧性接着テープ又はシートが、図1(a)や(b)で示されるように、基材付き両面粘着テープ又はシートである場合、図1(a)で示されるように、基材の両面に形成された感圧性接着剤層(粘着剤層)が気泡含有感圧性接着剤層であってもよく、また、図1(b)で示されるように、基材の一方の面に形成された感圧性接着剤層が、気泡を含有していない感圧性接着剤層(「気泡非含有感圧性接着剤層」と称する場合がある)であってもよい。また、図1(a)〜(c)で示されるように、(1)気泡含有基材の少なくとも一方の面に感圧性接着剤層が形成され且つ基材の両側面に粘着剤面が形成された構成の気泡含有基材を有する基材付き両面感圧性接着テープ又はシート(気泡含有基材を有する基材付き両面粘着テープ又はシート)、図2(b)で示されるように、(2)気泡含有基材の一方の面に感圧性接着剤層が形成された構成の気泡含有基材を有する基材付き感圧性接着テープ又はシート(気泡含有基材を有する基材付き片面粘着テープ又はシート)などが挙げられる。
【0064】
図2は、本発明の感圧性接着テープ又はシートの例を部分的に示す概略断面図である。図2において、14、15は、それぞれ、気泡含有基材を有する感圧性接着テープ又はシート、5は気泡含有基材、6は感圧接着剤層である。図2(a)で示される気泡含有基材を有する感圧性接着テープ又はシート14は、気泡含有基材5の両面に感圧性接着剤層6が形成された構成を有している。図2(b)で示される気泡含有基材を有する感圧性接着テープ又はシート15は、気泡含有基材5の片面に感圧性接着剤層6が形成された構成を有している。
【0065】
なお、図2(a)や(b)で示される気泡含有基材を有する感圧性接着テープ又はシートにおいて、感圧性接着剤層は、気泡含有粘弾性組成物により形成された気泡含有感圧性接着剤層であってもよく、気泡非含有感圧性接着剤層であってもよい。また、気泡含有基材を有する基材付き両面粘着テープ又はシートにおいて、2つの感圧性接着剤層は、同一の感圧性接着剤層であってもよく、異なる感圧性接着剤層であってもよい。すなわち、気泡含有基材を有する基材付き両面粘着テープ又はシートは、両面側の感圧性接着剤層が、気泡含有感圧性接着剤層である構成、一方の側の感圧性接着剤層が気泡含有感圧性接着剤層であり、且つ、他方の側の感圧性接着剤層が気泡非含有感圧性接着剤層である構成、両面側の感圧性接着剤層が気泡非含有感圧性接着剤層である構成のいずれかの構成を有していてもよい。
【0066】
また、感圧性接着テープ又はシートは、ロール状に巻回された形態で形成されていてもよく、シートが積層された形態で形成されていてもよい。すなわち、本発明の感圧性接着テープ又はシートは、シート状、テープ状などの形態を有することができる。なお、感圧性接着テープ又はシートがロール状に巻回された形態を有している場合、例えば、気泡含有感圧性接着剤層などの感圧性接着剤層をセパレータや基材の背面側に形成された剥離処理層により保護した状態でロール状に巻回することにより作製することができる。
【0067】
(気泡含有粘弾性層)
気泡含有粘弾性組成物により形成された気泡含有粘弾性層(気泡含有感圧性接着剤層や気泡含有基材)は、前述のように、気泡含有粘弾性組成物を用いて、公知の感圧性接着剤層や気泡含有基材の形成方法を利用して形成することができる。例えば、気泡含有粘弾性組成物を、所定の面上に塗布し、必要に応じて乾燥や硬化等を行うことにより、気泡含有感圧性接着剤層や気泡含有基材等の気泡含有粘弾性層を形成することができる。なお、気泡含有粘弾性層の形成に際しては、前述のように、加熱や活性エネルギー光線の照射により、硬化させることが好ましい。すなわち、熱重合開始剤や光重合開始剤などの重合開始剤を含有する気泡含有粘弾性組成物を用い、該気泡含有粘弾性組成物を、所定の面上に塗布した後、加熱や、活性エネルギー光線の照射を行って、気泡を安定的に保持した状態で硬化させることにより、気泡含有感圧性接着剤層や気泡含有基材等の気泡含有粘弾性層を好適に形成することができる。
【0068】
気泡含有粘弾性層(気泡含有粘弾性接着剤層や気泡含有基材)の厚みとしては、特に制限されず、例えば、200〜5000μm(好ましくは300〜4000μm、さらに好ましくは400〜3000μm)の範囲から選択することができる。気泡含有粘弾性層の厚みが200μmよりも小さいと、クッション性が低下して、曲面や凹凸面に対する接着性が低下し、5000μmよりも大きいと、均一な厚みの層又はシートが得られにくくなる。
【0069】
なお、気泡含有粘弾性層は、単層、複層のいずれの形態を有していてもよい。
【0070】
(基材)
気泡含有感圧性接着剤層を有する感圧性接着テープ又はシートにおいて、基材が気泡非含有基材である場合、基材としては、例えば、紙などの紙系基材;布、不職布、ネットなどの繊維系基材;金属箔、金属板などの金属系基材;プラスチックのフィルムやシートなどのプラスチック系基材;ゴムシートなどのゴム系基材;発泡シートなどの発泡体やこれらの積層体(特に、プラスチック系基材と他の基材との積層体や、プラスチックフィルム(又はシート)同士の積層体など)等の適宜な薄葉体を用いることができる。このようなプラスチックのフィルムやシートにおける素材としては、例えば、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)等のα−オレフィンをモノマー成分とするオレフィン系樹脂;ポリエチレンテレフタラート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリブチレンテレフタラート(PBT)等のポリエステル系樹脂;ポリ塩化ビニル(PVC);酢酸ビニル系樹脂;ポリフェニレンスルフィド(PPS);ポリアミド(ナイロン)、全芳香族ポリアミド(アラミド)等のアミド系樹脂;ポリイミド系樹脂;ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)などが挙げられる。これらの素材は単独で又は2種以上組み合わせて使用することができる。
【0071】
なお、基材として、プラスチック系基材が用いられる場合は、延伸処理等により伸び率などの変形性を制御してもよい。また、基材としては。気泡含有感圧性接着剤層が活性エネルギー光線による硬化により形成される場合は、活性エネルギー光線の透過を阻害しないものを使用することが好ましい。
【0072】
基材の厚さは、強度や柔軟性、使用目的などに応じて適宜に選択でき、例えば、一般的には1000μm以下(例えば1〜1000μm)、好ましくは1〜500μm、さらに好ましくは3〜300μm程度であるが、これらに限定されない。なお、基材は単層の形態を有していてもよく、積層された形態を有していてもよい。
【0073】
基材の表面は、気泡含有感圧性接着剤層等との密着性を高めるため、慣用の表面処理、例えば、コロナ処理、クロム酸処理、オゾン暴露、火炎暴露、高圧電撃暴露、イオン化放射線処理等の化学的又は物理的方法による酸化処理等が施されていてもよく、下塗り剤や剥離剤等によるコーティング処理等が施されていてもよい。
【0074】
(気泡非含有感圧性接着剤層)
なお、気泡含有感圧性接着剤層及び/又は気泡含有基材を有する感圧性接着テープ又はシートにおいて、感圧性接着剤層として気泡非含有感圧性接着剤層を有する場合(例えば、気泡含有感圧性接着剤層を有する感圧性接着テープ又はシートが基材付き両面粘着テープ又はシートであり、基材の一方の面に気泡含有感圧性接着剤層が形成され、且つ基材の他方の面に気泡非含有感圧性接着剤層が形成されている場合)、前記気泡非含有感圧性接着剤層は、公知の感圧性接着剤(例えば、アクリル系感圧性接着剤、ゴム系感圧性接着剤、ビニルアルキルエーテル系感圧性接着剤、シリコーン系感圧性接着剤、ポリエステル系感圧性接着剤、ポリアミド系感圧性接着剤、ウレタン系感圧性接着剤、フッ素系感圧性接着剤、エポキシ系感圧性接着剤など)を用いて、公知の感圧性接着剤層の形成方法を利用して形成することができる、また、気泡非含有感圧性接着剤層の厚みは、特に限定されず、目的や使用方法などに応じて適宜選択することができる。
【0075】
(セパレータ)
本発明では、気泡含有感圧性接着剤層や気泡非含有感圧性接着剤層等の感圧性接着剤層の接着面(粘着面)を保護するために、セパレータ(剥離ライナー)が用いられていてもよい。すなわち、セパレーターは必ずしも設けられていなくてもよい。なお、セパレータは、該セパレータにより保護されている接着面を利用する際に(すなわち、セパレータにより保護されている感圧性接着剤層に被着体を貼着する際に)はがされる。
【0076】
このようなセパレータとしては、慣用の剥離紙などを利用できる。具体的には、セパレータとしては、例えば、剥離処理剤による剥離処理層を少なくとも一方の表面に有する基材の他、フッ素系ポリマー(例えば、ポリテトラフルオロエチレン、ポリクロロトリフルオロエチレン、ポリフッ化ビニル、ポリフッ化ビニリデン、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体、クロロフルオロエチレン−フッ化ビニリデン共重合体等)からなる低接着性基材や、無極性ポリマー(例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン等のオレフィン系樹脂など)からなる低接着性基材などを用いることができる。なお、セパレータは、気泡含有感圧性接着剤層を支持するための基材として用いることも可能である。
【0077】
セパレータとしては、例えば、剥離ライナー用基材の少なくとも一方の面に剥離処理層が形成されているセパレーターを好適に用いることができる。このような剥離ライナー用基材としては、ポリエステルフィルム(ポリエチレンテレフタレートフィルム等)、オレフィン系樹脂フィルム(ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム等)、ポリ塩化ビニルフィルム、ポリイミドフィルム、ポリアミドフィルム(ナイロンフィルム)、レーヨンフィルムなどのプラスチック系基材フィルム(合成樹脂フィルム)や紙類(上質紙、和紙、クラフト紙、グラシン紙、合成紙、トップコート紙など)の他、これらを、ラミネートや共押し出しなどにより、複層化したもの(2〜3層の複合体)等が挙げられる。
【0078】
一方、剥離処理層を構成する剥離処理剤としては、特に制限されず、例えば、シリコーン系剥離処理剤、フッ素系剥離処理剤、長鎖アルキル系剥離処理剤などを用いることができる。剥離処理剤は単独で又は2種以上組み合わせて使用することができる。
【0079】
なお、セパレータの厚さや、形成方法などは、特に制限されない。
【0080】
本発明の感圧性接着シート又はテープは、中空微小球状体と粘弾性組成物中のベースポリマーとの摩擦抵抗が少なく、高い応力分散性を有する感圧性接着剤層や気泡含有基材等の気泡含有粘弾性層を有しているので、曲面や凹凸面に対して良好な接着性を発現することができ、また優れた耐反発性を発揮することできる。そのため、前記感圧性接着テープ又はシートは、曲面や凹凸面に貼付する感圧性接着テープ又はシートや、耐反発性を必要とする用途で利用される感圧性接着テープ又はシートとして好適に用いることができる。
【実施例】
【0081】
以下に、実施例に基づいて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例により何ら限定されるものではない。
【0082】
(実施例1)
モノマー成分として、2−エチルヘキシルアクリレート90重量部及びアクリル酸10重量部が混合されたモノマー混合物に、光重合開始剤として、商品名「イルガキュアー651」(チバ・スペシャリティー・ケミカル社製)0.05重量部、商品名「イルガキュアー184」(チバ・スペシャリティー・ケミカル社製)0.05重量部を配合した後、粘度、(BH粘度計No.5ローター、10rpm、測定温度30℃)が約15Pa・sになるまで紫外線を照射して、一部が重合した組成物(シロップ)を作製した。このシロップに1,6−ヘキサンジオールジアクリレートを0.1重量部添加した。さらに、中空ガラスバルーンとして、商品名「セルスターZ−27」(東海工業株式会社製)をシロップの全体積に対して30容積%の割合で添加した。さらに、フッ素系界面活性剤として、商品名「サーフロンS−393」(セイケミカル株式会社製;側鎖にポリオキシエチレン基及びフッ素化炭化水素基を有するアクリル系共重合体、MW=8300)1重量部添加して、感圧性接着剤前駆体を作製した。なお、感圧性接着剤前駆体における中空ガラスバルーンの体積は、該感圧性接着剤前駆体の全体積に対して約23容積%となっている。前記感圧性接着剤前駆体を、中央部に貫通孔をもった円盤上に、細かい歯が多数ついたステータと、歯のついているステータとを対向しており、円盤上にステータと同様の細かい歯がついているロータとを備えた装置を用いて窒素を導入し気泡を混合した。気泡の混合量は吐出してきた液全体積に対して、約15容積%となるように導入し、気泡混合感圧性接着剤組成物を得た。
【0083】
該気泡混合感圧性接着剤組成物を径が19mm、長さ約1.5mのチューブにてウェットラミロールコーターへ導き、片面に剥離処理が施されているポリエチレンテレフタレート製基材の剥離処理面の間に、前記気泡混合性感圧性接着剤を、乾燥及び硬化後の厚さが1.0mmとなるように塗布した。つまりポリエチレンテレフタレート製基材の間に気泡混合感圧性接着剤を挟み込んでいる。ついで照度約5mW/cm2 の紫外線を両面から3分間照射し、気泡混合感圧性接着剤を硬化させて、気泡混合感圧性接着剤による感圧性接着剤を有する感圧性接着シートを作製した。
【0084】
(実施例2)
フッ素系界面活性剤として商品名「サーフロンS−393」(セイケミカル株式会社製;側鎖にポリオキシエチレン基及びフッ素化炭化水素基を有するアクリル系共重合体、MW=8300)0.1重量部、商品名「ユニダインTG656」(ダイキン工業株式会社製;側鎖にポリオキシエチレンポリオキシプロピレン基及びフッ素化炭化水素基を有するアクリル系共重合体、MW=46000)0.1重量部添加した以外は実施例1と同様の処方で感圧性接着シートを作製した。
【0085】
(実施例3)
フッ素系界面活性剤として商品名「サーフロンS−393」(セイケミカル株式会社製;側鎖にポリオキシエチレン基及びフッ素化炭化水素基を有するアクリル系共重合体、MW=8300)0.7重量部、商品名「ユニダインTG656」(ダイキン工業株式会社製;側鎖にポリオキシエチレンポリオキシプロピレン基及びフッ素化炭化水素基を有するアクリル系共重合体、MW=46000)0.1重量部添加した以外は実施例1と同様の処方で感圧性接着シートを作製した。
【0086】
(実施例4)
フッ素系界面活性剤として商品名「サーフロンS−393」(セイケミカル株式会社製;側鎖にポリオキシエチレン基及びフッ素化炭化水素基を有するアクリル系共重合体、MW=8300)1.5重量部、商品名「ユニダインTG656」(ダイキン工業株式会社製;側鎖にポリオキシエチレンポリオキシプロピレン基及びフッ素化炭化水素基を有するアクリル系共重合体、MW=46000)0.1重量部添加した以外は実施例1と同様の処方で感圧性接着シートを作製した。
【0087】
(実施例5)
フッ素系界面活性剤として商品名「サーフロンS−393」(セイケミカル株式会社製;側鎖にポリオキシエチレン基及びフッ素化炭化水素基を有するアクリル系共重合体、MW=8300)3.0重量部、商品名「ユニダインTG656」(ダイキン工業株式会社製;側鎖にポリオキシエチレンポリオキシプロピレン基及びフッ素化炭化水素基を有するアクリル系共重合体、MW=46000)0.1重量部添加した以外は実施例1と同様の処方で感圧性接着シートを作製した。
【0088】
(実施例6)
フッ素系界面活性剤として商品名「サーフロンS−393」(セイケミカル株式会社製;側鎖にポリオキシエチレン基及びフッ素化炭化水素基を有するアクリル系共重合体、MW=8300)0.7重量部、商品名「ユニダインTG656」(ダイキン工業株式会社製;側鎖にポリオキシエチレンポリオキシプロピレン基及びフッ素化炭化水素基を有するアクリル系共重合体、MW=46000)0.1重量部添加し、中空ガラスバルーンとして商品名「セルスターZ−27」(東海工業株式会社製)をシロップ全体積に対して10容量%の割合で添加した以外は実施例1と同様の処方で感圧性接着シートを作製した。
【0089】
(実施例7)
フッ素系界面活性剤として商品名「サーフロンS−393」(セイケミカル株式会社製;側鎖にポリオキシエチレン基及びフッ素化炭化水素基を有するアクリル系共重合体、MW=8300)0.7重量部、商品名「ユニダインTG656」(ダイキン工業株式会社製;側鎖にポリオキシエチレンポリオキシプロピレン基及びフッ素化炭化水素基を有するアクリル系共重合体、MW=46000)0.1重量部添加し、中空ガラスバルーンとして商品名「セルスターZ−27」(東海工業株式会社製)をシロップ全体積に対して20容量%の割合で添加した以外は実施例1と同様の処方で感圧性接着シートを作製した。
【0090】
(実施例8)
フッ素系界面活性剤として商品名「サーフロンS−393」(セイケミカル株式会社製;側鎖にポリオキシエチレン基及びフッ素化炭化水素基を有するアクリル系共重合体、MW=8300)0.7重量部、商品名「ユニダインTG656」(ダイキン工業株式会社製;側鎖にポリオキシエチレンポリオキシプロピレン基及びフッ素化炭化水素基を有するアクリル系共重合体、MW=46000)0.1重量部添加し、中空ガラスバルーンとして商品名「セルスターZ−27」(東海工業株式会社製)をシロップ全体積に対して40容量%の割合で添加した以外は実施例1と同様の処方で感圧性接着シートを作製した。
【0091】
(実施例9)
フッ素系界面活性剤として商品名「サーフロンS−393」(セイケミカル株式会社製;側鎖にポリオキシエチレン基及びフッ素化炭化水素基を有するアクリル系共重合体、MW=8300)0.7重量部、商品名「ユニダインTG656」(ダイキン工業株式会社製;側鎖にポリオキシエチレンポリオキシプロピレン基及びフッ素化炭化水素基を有するアクリル系共重合体、MW=46000)0.1重量部添加し、気泡の混合量は吐出してきた液全体積に対して、約8容量%とした以外は実施例1と同様の処方で感圧性接着シートを作製した。
【0092】
(実施例10)
フッ素系界面活性剤として商品名「サーフロンS−393」(セイケミカル株式会社製;側鎖にポリオキシエチレン基及びフッ素化炭化水素基を有するアクリル系共重合体、MW=8300)0.7重量部、商品名「ユニダインTG656」(ダイキン工業株式会社製;側鎖にポリオキシエチレンポリオキシプロピレン基及びフッ素化炭化水素基を有するアクリル系共重合体、MW=46000)0.1重量部添加し、気泡の混合量は吐出してきた液全体積に対して、約35容量%とした以外は実施例1と同様の処方で感圧性接着シートを作製した。
【0093】
(比較例1)
商品名「サーフロンS−393」(セイケミカル株式会社製)の代わりに、商品名「サーフロンSC−101」(セイケミカル株式会社製;分子中にオキシC2-3アルキレン基を含まないアクリル系共重合体、MW=6000)1.0重量部を添加した以外は実施例1と同様の処方で感圧性接着シートを作製した。
【0094】
(比較例2)
フッ素系界面活性剤を添加しなかった以外は実施例1と同様の処方で感圧性接着シートを作製した。界面活性剤が添加されていないため、気泡の安定性が悪く気泡合一が起こり、シートを貫通する穴が多く見られた。
【0095】
(比較例3)
フッ素系界面活性剤として商品名「サーフロンS−393」(セイケミカル株式会社製;側鎖にポリオキシエチレン基及びフッ素化炭化水素基を有するアクリル系共重合体、MW=8300)0.7重量部、商品名「ユニダインTG656」(ダイキン工業株式会社製;側鎖にポリオキシエチレンポリオキシプロピレン基及びフッ素化炭化水素基を有するアクリル系共重合体、MW=46000)0.1重量部添加し、中空ガラスバルーンを添加しなかった以外は実施例1と同様の処方で感圧性接着シートを作製した。
【0096】
(試験評価)
実施例、比較例で得た感圧性接着シートについて以下の試験を行った。試験結果を表1に示す。
【0097】
(接着力)
得られた感圧性接着シートを幅25mm、長さ100mmに切断した。得られたサンプル片の片面のポリエチレンテレフタレート製剥離ライナーをはがし、そこに剥離処理を施していない厚さ50μmのポリエチレンテレフタレート基材を貼り合わせた。粒度280番の研磨紙で磨いだSUS板の表面をトルエンで拭き取り、そこにサンプルを重さ5kg重のローラーを片道圧着してサンプルを貼り付けた。23℃で30分間放置後、23℃65%RHの雰囲気下で剥離に要する力を測定した(180度ピール、引張速度50mm/min)。
【0098】
(せん断力)
感圧性接着シートを25mm×25mmの形に切り取った。SUS板の表面を粒度280番の研磨紙で磨いてトルエンで表面を拭き取った。切り取ったサンプルの片方の剥離ライナーをはがし、その面をSUS板に、重さ5kg重のローラーを片道圧着してサンプルを貼り付けた。ついで、もう一方の剥離ライナーをはがし、さらにSUS板を重さ5kgのローラーを片道圧着してサンプルを貼り付け、試験片を得た。試験片を23℃30分間放置後、23℃、65%RHの雰囲気下でせん断方向に剥離するに要する力を測定した(引張速度:50mm/min)。
【0099】
(口開き試験)
サンプルの作製は以下のように行った。ジェラルミン板(15mm×75mm)に感圧性接着シート(10mm×50mm)を5kgローラーで片道圧着した。室温で24時間放置後、表面を粒度280番の研磨紙で磨き、トルエンで拭き取ったSUS板を5kgローラーで片道圧着し、ジェラルミン板−感圧性接着シート−SUS板の3層からなる試験片を作製した。試験片を24時間室温に放置後、該サンプルの端を図3で示されるように、強制的に1.5mm押し開き、温度40±2℃に調整された恒温水槽中に100時間放置し、はがれの有無を確認した。はがれなかったものを『○』、はがれたものを『×』とした。
【0100】
【表1】

【図面の簡単な説明】
【0101】
【図1】本発明の感圧性接着テープ又はシートの例を部分的に示す概略断面図である。
【図2】本発明の感圧性接着テープ又はシートの例を部分的に示す概略断面図である。
【図3】実施例に係わる耐反発性の評価方法における口開き試験を示す概略図である。
【符号の説明】
【0102】
1 気泡含有感圧性接着剤層を有する感圧性接着テープ又はシート
11 気泡含有感圧性接着剤層を有する感圧性接着テープ又はシート
12 気泡含有感圧性接着剤層を有する感圧性接着テープ又はシート
13 気泡含有感圧性接着剤層を有する感圧性接着テープ又はシート
14 気泡含有素材を有する感圧性接着テープ又はシート
15 気泡含有素材を有する感圧性接着テープ又はシート
2 気泡含有感圧性接着剤層
3 基材(気泡非含有基材)
4 感圧性接着剤層(気泡非含有感圧性接着剤層)
5 気泡含有基材
6 感圧接着剤層
7a 感圧性接着剤層
7b 上面側の被着体(ジュラルミン板)
7c 下面側の被着体(SUS板)
7d スペーサー
7e ネジ穴
7f ネジ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
気泡と中空微小球状体を含有し且つ界面活性剤を含有する粘弾性組成物であって、前記界面活性剤が、分子中にオキシC2-3アルキレン基及びフッ素化炭化水素基を有するフッ素系界面活性剤であることを特徴とする気泡含有粘弾性組成物。
【請求項2】
フッ素系界面活性剤の割合が粘弾性組成物中のベースポリマー100重量部に対して0.01〜5重量部(固形分)である請求項1に記載の気泡含有粘弾性組成物。
【請求項3】
中空微小球状体が中空ガラスバルーンである請求項1又は2に記載の気泡含有粘弾性組成物。
【請求項4】
中空微小球状体の含有量が5〜50体積%である請求項1〜3の何れかの項に記載の気泡含有粘弾性組成物。
【請求項5】
ベースポリマーとして(メタ)アクリル酸アルキルエステルを単量体主成分とするアクリル系ポリマーを含有している請求項1〜4の何れかの項に記載の気泡含有粘弾性組成物。
【請求項6】
気泡の含有量が5〜50体積%である請求項1〜5の何れかの項に記載の気泡含有粘弾性組成物。
【請求項7】
活性エネルギー光線により硬化が可能である請求項1〜6の何れかの項に記載の気泡含有粘弾性組成物。
【請求項8】
感圧性接着剤層として利用可能である請求項1〜7の何れかの項に記載の気泡含有粘弾性組成物。
【請求項9】
基材として利用可能である請求項1〜7の何れかの項に記載の気泡含有性粘弾性組成物。
【請求項10】
感圧性接着剤層を有している感圧性接着テープ又はシートであって、感圧性接着剤層が、請求項8記載の気泡含有粘弾性組成物により形成されている感圧性接着テープ又はシート。
【請求項11】
基材の少なくとも一方の面に感圧性接着剤層を有している感圧性接着テープ又はシートであって、基材が、請求項9記載の気泡含有粘弾性組成物により形成されている感圧性接着テープ又はシート。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2006−22189(P2006−22189A)
【公開日】平成18年1月26日(2006.1.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−201071(P2004−201071)
【出願日】平成16年7月7日(2004.7.7)
【出願人】(000003964)日東電工株式会社 (5,557)
【Fターム(参考)】