説明

気液二相流発生方法及びその装置

【課題】気液混合管内で、液体と気体が激突することがないため、キャリブレイションの発生を防止することができ、気液二相流で管路を洗浄する場合に、静かで、且つ、振動の発生を大幅に減少させる。
【解決手段】出口3aを備えた気液混合管3と、該気液混合管3に空気Aを供給する気体供給手段7と、該気液混合管3に水Wを供給し旋回流WSを形成させる液体供給手段5と、を備えた気液二相流発生装置1において、前記気体供給手段7は、前記気液混合管3の中心3c方向に空気Aを供給する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、食品、医療品、化学品、化粧品などの製造プラント等に用いられる、気液二相流発生方法及びその装置であり、更に述べると、前記製造プラント等の管路内を定置洗浄方法(CIP)で汚れを洗浄除去する場合等に用いる、気液二相流発生方法及びその装置に関する。
【背景技術】
【0002】
食品、医療品、化学品、化粧品などの製造プラントでは、装置の分解洗浄等で清浄な状態を維持しており、機器類等を接続する管路の洗浄はきわめて重要であり、かつ頻繁に洗浄が行なわれている。
【0003】
従来、このような管路内の洗浄として、(1)洗浄液を流すことによって配管内に付着、残留している汚れ等を洗浄除去する水洗方法と、(2)洗浄液と空気を加えて管内に強く付着した汚れ等を確実に洗浄出来る気液二相流洗浄方法、が知られている。
【0004】
前記気液二相流洗浄方法として、(1)管路内で旋回する液体に気体を混合させて気液二相流(環状流)発生させ気液混合流による洗浄方法と、(2)管路内を流れる気液混合流における洗浄液の液空塔速度(m/sec)及び気液混相流におけるガス空塔速度(m/sec)を一定以上にすることにより、管路内で液体と気体が大きな衝撃波となり高い洗浄効果を得る洗浄方法、提案されている。
【0005】
【特許文献1】特開平06−190255号公報
【特許文献2】特開平06−285447号公報
【特許文献3】特開2002−66486号公報
【特許文献4】特開2002−361056号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
食品、医療品、化学品、化粧品などの製造プラントには、管径が大きく、且つ、複雑な分岐が数多く存在していることがある。この様な場合には、前記気液二相流洗浄方法(装置)では、単に液体と気体を管路内で混合させて気液二相流(環状流)を発生させると、液体に気体が激突し、該管路内でキャリブレイションが発生する。そのため、該管路全体に衝撃音と振動が発生し、作業環境が悪化するとともに、前記管路の接続部でのシール漏れなどの不具合が発生することがある。
【0007】
本発明は、上記事情に鑑み、騒音や振動の減少化することを図ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この発明は、出口を備えた気液混合管と、該気液混合管に気体を供給する気体供給手段と、該気液混合管に液体を供給し旋回流を形成させる液体供給手段と、を備えた気液二相流発生装置において、 前記気体供給手段は、前記気液混合管の中心線方向に気体を供給することを特徴とする。
【0009】
この発明の前記気体供給手段は、前記気液混合管内に同心状に配置された空気供給管であることを特徴とする。この発明の前記空気供給管の先端部が、ノズルであることを特徴とする。この発明の前記ノズルは、前記気液混合管の出口側に位置していることを特徴とする。この発明の前記気体供給手段は、逆流する液体を自動排水するためのフロート式ドレン装置を介して前記気液混合管に接続されていることを特徴とする。
【0010】
この発明は、気液混合管内に液体を供給して旋回流を形成し、該旋回流に気体を混合せしめて前記気液混合管の出口から混合旋回流を放出させる気液二相流発生方法において、 前記気体は、前記液体の旋回流の中心方向(気液混合管の中心線方向)に向かって供給されることを特徴とする。
【0011】
この発明は、前記気液混合管内に空気供給管を同心状に設け、前記液体の旋回流を該空気供給管の外側を通すとともに、前記気液混合管の出口側で該旋回流と該空気供給管から放出された気体とを混合して混合旋回流にすることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
この発明は、以上のように構成したので、気液混合管内で、液体と気体が激突することがない。そのため、該気液混合管内におけるキャリブレイションの発生を防止することができるので、気液二相流で被洗浄配管の管路を洗浄する場合に、静かで、且つ、振動の発生が大幅に減少、又は、無くなる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
この発明の第1実施の形態を図1〜図4により説明する。
気液二相流発生装置1は、気液混合管3を備えており、該気液混合管3には、液体供給手段5と気体供給手段7とが設けられている。
【0014】
前記液体供給手段5は、前記管3に対して接線方向の液体供給口5aを備えており、該液体供給口5aを通って前記管3内に圧送された液体、例えば、水Wは、前記管3内で渦(旋回流)WSを巻きながら出口3aに向って進行する。
この液体供給口5aは、気液混合管3の後端部側に設けられているが、その配設位置は、空気の供給が行われる入口3bよりも下流側である。
【0015】
前記気体供給手段7は、前記気液混合管路3の入口3bに連結されて、該管3の中心軸3C方向に気体、例えば、空気Aを供給するものであり、気体、例えば、空気Aを清浄にするエアーフイルタ11と、空気の供給量を調節する減圧弁13と、を備えている。このエアーフイルタ11は、気液混合管3内の水Wが逆流した場合に自動排出させるためのフロート式ドレン装置9を介して前記気液混合管3の入口3bに連結されている。
【0016】
次に、本実施の形態の作動について説明する。
被洗浄配管、即ち、洗浄しようとする配管(図示省略)に、気液混合管の出口3aを挿着した後、スイッチ(図示省略)をオンにし、液体供給手段5及び気体供給手段7を駆動させる。
【0017】
そうすると、液体供給手段5のポンプが起動し、設定量の水Wが水槽から液体供給口5aを通って前記管3内に供給される。この水Wの供給量として、例えば、3〜4L/min.が採用される。
前記配管3内に供給された水Wは、液体供給口5aが接線方向に向いているため、旋回流WSとなりながら出口3aに向って進む。
【0018】
気体供給手段7の減圧弁13は、空気Aの供給量を設計量に規制する。この空気Aの設計量として、例えば、600L/min.であり、この空気量は、水Wの設計量に対し、例えば、200倍、に設定される。
【0019】
減圧弁13を通過した空気Aは、エアーフイルタ11により綺麗にされた後、整流(中心軸3C方向の流れ)となって気液混合管3内に供給される。
そして、前記空気Aは、該気液混合管3の中心線3C方向に沿って進行するが、進行途中において前記旋回流WSに接触する。
【0020】
この時、前記旋回流WSは、内側のエネルギが外側のエネルギよりも小さいので、前記空気Aは、前記旋回流WSに巻き込まれ、吸い込まれるようにしながら混合され、混合旋回流MSとなる。そのため、両者WS、Aが混合される際に強く衝突することは無いので、該気液混合管3内でキャリブレーションが発生することはない。
【0021】
この様にして生成された混合旋回流MSが、気液混合管3の出口3aから前記被洗浄配管内に放出されると、該被洗浄配管の内壁面を擦りながら進行し、付着物等を剥離させて綺麗にする。
この時、気液二相流発生装置1では、従来例と異なり、激しい騒音や振動が発生しないため、快適な作業環境で、能率よく洗浄作業を行うことができる
【0022】
この発明の第2実施の形態を図5により説明するが、図1〜図4と同一図面符号は、その名称も機能も同一である。
この実施の形態と第1実施の形態との相違点は、気体供給手段7の空気供給管7Aが気液混合管3の内部に同心状に挿入され、二重管構造となっていることである。
【0023】
前記空気供給管7Aは、旋回流WSの旋回に支障をきたさないように、前記気液混合管3の管径より充分小さな管径に形成され、例えば、前記管7Aの管径dは、気液混合管3の管径Dの1/5の大きさに形成されている。
又、前記空気供給管7Aの出口16は、液体供給手段5の液体供給口5aの下流側(気液混合管3の出口3a側)に位置しており、前記出口16から放出された空気Aは、気液混合管3の出口3a側で旋回流WSに巻き込まれ、吸い込まれるようにしながら混合され、混合旋回流MSとなる。
【0024】
この発明の第3実施の形態を図6により説明するが、図1〜図5と同一図面符号は、その名称も機能も同一である。
この実施の形態と第2実施の形態との相違点は、気体供給手段7の空気供給管7Aの出口16が、ノズル状18となっていることである。このノズル18は、ノズル状20に形成されている気液混合管3の出口3aの近傍に位置している。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明の第1実施の形態の概略を示す正面図である。
【図2】拡大側面図である。
【図3】拡大正面図である。
【図4】本発明の気液二相流発生装置のフローチャートを示す図である。
【図5】本発明の第2実施の形態の概略を示す拡大正面図で、図1に対応する図である。
【図6】本発明の第3実施の形態の概略を示す拡大正面図で、図1に対応する図である。
【符号の説明】
【0026】
1 気液二相流発生装置
3 気液混合管
3a 出口
3b 入口
5 液体供給手段
5a 液体供給口
7 気体供給手段
7A 空気供給管
16 空気供給管の出口
W 水
A 空気
WS 旋回流
MS 混合旋回流

【特許請求の範囲】
【請求項1】
出口を備えた気液混合管と、該気液混合管に気体を供給する気体供給手段と、該気液混合管に液体を供給し旋回流を形成させる液体供給手段と、を備えた気液二相流発生装置において、
前記気体供給手段は、前記気液混合管の中心線方向に気体を供給することを特徴とする気液二相流体発生装置。
【請求項2】
前記気体供給手段は、前記気液混合管内に同心状に配置された空気供給管であることを特徴とする請求項1記載の気液二相流発生装置。
【請求項3】
前記空気供給管の先端部が、ノズルであることを特徴とする請求項2記載の気液二相流体発生装置。
【請求項4】
前記ノズルは、前記気液混合管の出口側に位置していることを特徴とする請求項3記載の気液二相流発生装置。
【請求項5】
前記気体供給手段は、逆流する液体を自動排水するためのフロート式ドレン装置を介して前記気液混合管に接続されていることを特徴とする請求項1、2、3、又は、4記載の気液二相流体発生装置。
【請求項6】
気液混合管内に液体を供給して旋回流を形成し、該旋回流に気体を混合せしめて前記気液混合管の出口から混合旋回流を放出させる気液二相流発生方法において、
前記気体は、前記液体の旋回流の中心線方向に向かって供給されることを特徴とする気液二相流発生方法。
【請求項7】
前記気液混合管内に空気供給管を同心状に設け、前記液体の旋回流を該空気供給管の外側を通すとともに、前記気液混合管の出口側で該旋回流と該空気供給管から放出された気体とを混合して混合旋回流にすることを特徴とする請求項6記載の気液二相流体発生方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2009−202053(P2009−202053A)
【公開日】平成21年9月10日(2009.9.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−44417(P2008−44417)
【出願日】平成20年2月26日(2008.2.26)
【出願人】(504113237)和泉工商株式会社 (4)
【Fターム(参考)】