説明

気液供給装置及びその気液供給装置を備えた改質装置

【課題】液体の蒸気と気体とによる処理を安定して行い得る気液供給装置、及び、水蒸気による原燃料ガスの改質処理を安定して行い得る改質装置を提供する。
【解決手段】熱を発生させる熱発生部と共に収納容器1内に設けられて、供給される液体Wを熱発生部にて発生する熱を用いて加熱して蒸発させる処理装置Eに、液体Wと気体Gを供給する気液供給装置Sであって、外部から収納容器1内に挿通されて処理装置Eに接続され、液体Wと気体Gを共に処理装置Eに流動させる気液供給管4が備えられ、その気液供給管4の内壁4wには、液体Wの供給部位4eから処理装置Eまでの管長手方向全長にわたって、液体Wと気体Gとのうちの液体Wを内壁4wに付着させて管長手方向に流動させる混相流動部Cが備えられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、熱を発生させる熱発生部と共に収納容器内に設けられて、供給される液体を前記熱発生部にて発生する熱を用いて加熱して少なくとも蒸発させる処理装置に、液体と液体とは別物質の気体を供給する気液供給装置、及び、その気液供給装置を備えた改質装置に関する。
【背景技術】
【0002】
かかる気液供給装置は、例えば、燃料電池に備えられる気化器に液体と気体とを供給するためのものであり、処理装置を熱発生部により加熱した状態で、その処理装置に液体と気体を供給して液体を蒸発させ、生成される蒸気と気体とはその処理装置の下流側で改質等の所定の処理を受ける。
この種の気液供給装置が備えられる前述の改質装置は、水と炭化水素系の原燃料ガスが供給されて、水を加熱して蒸発させると共に、その水蒸気により原燃料ガスを改質処理して、水素を含む改質ガスを生成する。
【0003】
このような気液供給装置において、従来は、液体供給管及び気体供給管が外部から収納容器内に挿通されて処理装置に接続され、液体供給管により液体を処理装置に流動させ、並びに、気体供給管により気体を処理装置に流動させるように構成されていた(例えば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−243597号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
このような気液供給装置では、処理装置において少なくとも蒸発あるいはその下手で液体の蒸気と気体とにより所定の処理を行うために、処理装置における液体の蒸気の量と気体の量との比率を所定の比率に調整すべく、処理装置に供給される液体及び気体夫々の供給量を調整する必要がある。
一方、気体供給管と液体供給管とを、装置構成の簡素化やコストダウン等のため、又、管からの放熱損失の抑制によるエネルギ効率向上を図るため、共通の単一の供給管とすることが考えられる。
ところが、単一の供給管で液体と気体との両方を供給すると、供給管が外部から収納容器内に挿通されて処理装置に接続されているので、供給管において収納容器内に位置する部分も熱発生部により加熱されることになり、その部分を流動する液体も加熱されることになる。
そして、供給管を流動する液体が処理装置の手前で蒸発して、所謂突沸が発生すると、液体蒸気の体積が急激に増大することによって、供給管においてその突沸部位よりも下流側の部分を流動している液体が急激に処理装置に供給され、突沸の後は一時的に液体の供給が途切れる又は供給量が少なくなるので、処理装置に供給される液体の供給量が大きく変動することになり、処理装置で生成される液体の蒸気の量も大きく変動することになる。
それによって、処理装置における液体の蒸気の量と気体の量との比率が所定の比率から大きく変動することになり、処理装置での処理が適正に行われなくなる虞があった。
【0006】
又、そのような気液供給装置を備えた改質装置では、液体供給管を流動する水が上述のように処理装置の手前で突沸を起こすと、処理装置における水蒸気の量と原燃料ガスの量との比率が所定の比率から大きく変動することになるので、原燃料ガスの改質処理を安定して行うことができなくなる虞があった。
【0007】
本発明は、かかる実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、液体の蒸気と気体とによる処理を安定して行い得る気液供給装置、及び、水蒸気による原燃料ガスの改質処理を安定して行い得る改質装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る気液供給装置は、熱を発生させる熱発生部と共に収納容器内に設けられて、供給される液体を前記熱発生部にて発生する熱を用いて加熱して少なくとも蒸発させる処理装置に、液体と液体とは別物質の気体を供給するものであって、
その特徴構成は、外部から前記収納容器内に挿通されて前記処理装置に接続され、液体と気体を共に前記処理装置に流動させる気液供給管が備えられ、
その気液供給管の内壁には、液体の供給部位から前記処理装置までの管長手方向全長にわたって、液体と気体とのうちの液体を内壁に付着させて管長手方向に流動させる混相流動部が備えられている点にある。
【0009】
上記特徴構成によれば、液体と気体とのうちの液体が混相流動部を気液供給管の内壁に付着した状態(管内壁面を濡らした状態)で集中的に流動して、気液供給管における毛細管状部よりも内方側の部分に空間が形成されるので、液体が混相流動部により気液供給管の内壁に実質上付着する状態で流動し、且つ、気体が気液供給管における混相流動部の内方側の空間を流動する形態で、液体と気体が気液供給管を共に流動して処理装置に供給される。
【0010】
ところで、気液供給管が外部から収納容器内に挿通されて処理装置に接続されているので、気液供給管において収納容器内に位置する部分も熱発生部により加熱されて、その部分の混相流動部を内壁に付着した状態で流動している液体も加熱されることになる。
そして、混相流動部を内壁に付着した状態で流動している液体が気液供給管における処理装置の手前で蒸発しても、気液供給管における混相流動部の内方側には気体が流動している空間が存在していて、蒸気がその空間に拡散するので、混相流動部におけるそのような液体の蒸発部位よりも下流側の部分を流動している液体が処理装置に急激に押し込まれるのを抑制することができる。それによって、処理装置に供給される液体の量と気体の量との比率が変動するのを抑制することができるので、処理装置における液体の蒸気の量と気体の量との比率が所定の比率から変動するのを抑制することができる。
従って、液体の蒸気と気体とによる処理を安定して行い得る気液供給装置を提供することができるようになった。
【0011】
又、処理装置に対して1本の管により液体と気体とを供給するので、従来のように液体供給管と気体供給管との2本の管により液体と気体を供給するものと比べて、構成の簡略化を図ることができるので、気液供給装置の低廉化を図ることができ、又、管からの放熱損失を抑制することができるので、エネルギ効率の向上も図ることができる。
【0012】
本発明に係る気液供給装置の更なる特徴構成は、
前記混相流動部が、前記気液供給管の内壁における周方向全周にわたって備えられている点にある。
【0013】
上記特徴構成によれば、混相流動部が気液供給管の内壁における周方向全周にわたって備えられていて、液体を気液供給管の内壁の全周又はその周方向における極力広い範囲にわたって付着した状態で処理装置へ流動させることができる。
つまり、液体を気液供給管の内壁に付着した状態で流動させるにしても、その流動量をより一層多くすることができて、処理装置への液体の供給量の調整範囲を広くすることができるので、処理装置への液体と気体との供給量比率の設定範囲を広くすることが可能となる。
従って、処理装置への液体と気体との供給量比率が種々の比率の気液供給装置に対応することができる。
【0014】
本発明に係る気液供給装置の更なる特徴構成は、
前記混相流動部が、液体を毛細管現象により前記気液供給管の内壁に付着させて流動させる毛細管状部にて構成されている点にある。
【0015】
上記特徴構成によれば、液体が、毛細管状部を毛細管現象により流動する形態で、気液供給管の内壁に付着状態で流動する。
つまり、毛細管現象によって液体を重力に逆らって流動させることができるので、混相流動部を毛細管状部により構成することにより、液体を気液供給管の内壁に付着した状態で流動させることを効果的に実現することができる。
【0016】
本発明に係る気液供給装置の更なる特徴構成は、
前記混相流動部が、前記気液供給管の内壁を親水化処理した親水化部にて構成されている点にある。
【0017】
上記特徴構成によれば、液体が、親水化部を伝って膜状に流動する形態で、気液供給管の内壁に付着した状態で流動する。
つまり、気液供給管の内壁を親水化処理すると、液体が内壁に極めて良くなじんで膜状に拡がるので、液体を気液供給管の内壁に付着した状態で重力に逆らって流動させることが可能となる。
そこで、混相流動部を気液供給管の内壁を親水化処理した親水化部にて構成することにより、液体を気液供給管の内壁に付着状態で流動させることを効果的に実現することができる。
【0018】
本発明に係る気液供給装置の更なる特徴構成は、
前記気液供給管における液体の供給部位に、供給される液体を内壁に沿って管周方向に拡げる拡散部が設けられている点にある。
【0019】
上記特徴構成によれば、気液供給管における液体の供給部位から供給された液体は、拡散部によって内壁の管周方向に拡げられて、混相流動部の基端にその周方向の全周又は略全周にわたって供給されるので、液体は、混相流動部の基端からその周方向全周又は略全周にわたって内壁に付着した状態で処理装置に向かって流動する。
つまり、液体が混相流動部により気液供給管の内壁に付着状態で流動し、且つ、気体が気液供給管における混相流動部の内方側の空間を流動する形態で、気液供給管を通して液体と気体を共に流動させることをより一層的確に行わせることができる。
【0020】
本発明に係る改質装置は、これまで説明してきた気液供給装置を備えたものであって、
その特徴構成は、
供給される水を加熱して蒸発させる気化器、及び、供給される炭化水素系の原燃料ガスを前記気化器にて生成された水蒸気にて改質処理する改質器を前記処理装置として備え、
前記気化器及び前記改質器が、前記改質器にて改質処理された改質ガスと酸素含有ガスとが供給されて発電する燃料電池部、及び、その燃料電池部から排出される排改質ガスと排酸素含有ガスとを混合させて燃焼させる前記熱発生部としての燃焼部と共に、前記収納容器内に配設され、
前記気液供給管が外部から前記収納容器内に挿通されて前記気化器に接続されて、水と原燃料ガスを共に前記気液供給管により前記気化器に流動させるように構成され、
前記気化器から前記改質器へ水蒸気及び原燃料ガスの流動が可能なように構成され、
前記気化器が、前記燃焼部での燃焼により発生する燃焼熱を用いて水を加熱して蒸発させるように構成され、並びに、前記改質器が、前記燃焼熱を用いて原燃料ガスの改質処理を行うように構成されている点にある。
【0021】
上記特徴構成によれば、収納容器内に改質器、燃料電池部及び燃焼部が設けられ、燃料電池部により、改質器にて改質処理された改質ガスと外部から供給される酸素含有ガスとを発電反応させて発電させ、燃焼部では、燃料電池部から排出される排改質ガスと排酸素含有ガスとを混合させて、排改質ガス中の可燃成分を燃焼させる。
気化器では、燃焼部での燃焼により発生する燃焼熱を用いて、水を加熱して蒸発させ、改質器では、燃焼部での燃焼により発生する燃焼熱を用いて、原燃料ガスを水蒸気により改質処理する。
そして、水が混相流動部により気液供給管の内壁に付着状態で流動し、且つ、原燃料ガスが気液供給管における混相流動部の内方側の空間を流動する形態で、水と原燃料ガスが気液供給管を共に流動して気化器に供給されるので、先に気液供給装置について説明したのと同様の作用で、気化器に供給される水の量と原燃料ガスの量との比率が変動するのを抑制することができるので、改質器における水蒸気の量と原燃料ガスの量との比率が所定の比率から変動するのを抑制することができる。
従って、水蒸気による原燃料ガスの改質処理を安定して行い得る改質装置を提供することができるようになった。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】実施形態に係る改質装置を備えた燃焼電池発電装置の全体概略構成を示すブロック図
【図2】第1実施形態に係る気液供給装置の要部の一部切り欠き図
【図3】第1実施形態に係る気液供給装置の連結部を示す断面図
【図4】第1実施形態に係る気液供給装置の気液供給管の横断面図
【図5】第2実施形態に係る気液供給装置の気液供給管の横断面図
【図6】第3実施形態に係る気液供給装置の気液供給管の横断面図
【図7】第4実施形態に係る気液供給装置の気液供給管の横断面図
【図8】第5実施形態に係る気液供給装置の気液供給管の横断面図
【図9】別実施形態に係る気液供給装置の拡散部を示す図
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、図面に基づいて、本発明の実施の形態を説明する。
〔第1実施形態〕
先ず、第1実施形態を説明する。
図1は、本発明に係る改質装置Rを備えた燃料電池発電装置の全体概略構成を示すブロック図である。
改質装置Rには、本発明に係る気液供給装置Sが備えられている。
この気液供給装置Sは、熱を発生させる熱発生部Bと共に収納容器1内に設けられて、供給される液体Wを熱発生部Bにて発生する熱を用いて加熱して蒸発させる処理装置Eに、液体Wと気体Gを供給するように構成されている。
【0024】
改質装置Rは、供給される水(液体の一例)Wを加熱して蒸発させる気化器2、及び、供給される炭化水素系の原燃料ガス(気体の一例)Gを気化器2にて生成された水蒸気にて改質処理する改質器3を前記処理装置Eとして備えて構成されている。
つまり、この実施形態では、この気液供給装置Sは、液体として水Wを、気体として原燃料ガスGをそれぞれ処理装置Eに供給するように構成されている。
【0025】
図1に基づいて、本願独特の気液供給装置Sについて説明を加える。
この気液供給装置Sには、外部から収納容器1内に挿通されて処理装置Eに接続され、水Wと原燃料ガスGを共に処理装置Eに流動させる気液供給管4が備えられている。
更に、この気液供給装置Sには、気液供給管4の基端部に設けられた連結部5、その連結部5に連結された改質水供給管6及び原燃料ガス供給管7、改質室水タンク8内の水Wを改質水供給管6を通して気液供給管4に供給する改質水ポンプ9、原燃料ガスGを原燃料ガス供給管7を通して気液供給管4に供給する昇圧ポンプ10、並びに、原燃料ガス供給管7を流動する原燃料ガスGを脱硫する脱硫器11が備えられている。
【0026】
そして、改質水ポンプ9の作用により改質室水タンク8内の水Wが改質水供給管6を流動して連結部5から気液供給管4に供給され、並びに、昇圧ポンプ10の作用により、原燃料ガスGが原燃料ガス供給管7を流動して脱硫器11にて脱硫されたのち連結部5から気液供給管4に供給されて、この気液供給管4を通して水Wと原燃料ガスGを共に処理装置Eに流動させる構成となっている。
【0027】
図1に基づいて、燃料電池発電装置について説明を加える。
前記気化器2及び前記改質器3が、改質器3にて改質処理された改質ガスと酸素含有ガスとしての空気が供給されて発電する燃料電池部21、及び、その燃料電池部21から排出される排改質ガスと排空気とを混合させて燃焼させる前記熱発生部Bとしての燃焼部22と共に、前記収納容器1内に配設されている。
気液供給管4が外部から収納容器1内に挿通されて気化器2に接続されて、水Wと原燃料ガスGを共に気液供給管4により気化器2に流動させるように構成され、又、気化器2から改質器3へ水蒸気及び原燃料ガスGの流動が可能なように構成されている。
そして、気化器2が、燃焼部22での燃焼により発生する燃焼熱を用いて水Wを加熱して蒸発させるように構成され、並びに、改質器3が、燃焼部22で発生する燃焼熱を用いて原燃料ガスGの改質処理を行うように構成されている。
この実施形態では、気化器2と改質器3とが、気化器2から改質器3へ水蒸気及び原燃料ガスGが流動可能な状態で、一体的に構成されている。
【0028】
ちなみに、原燃料ガスがメタンガスを主成分とする天然ガスである場合は、メタンガスと水蒸気とが下記の反応式にて改質反応して、水素ガスと一酸化炭素ガスを含む改質ガスが生成される。
CH4+H2O→CO+3H2
【0029】
上記改質反応を適切に起こさせることが可能な流量比率で改質器3へ水蒸気と原燃料ガスGとが供給されるように、気化器2に供給される水Wと原燃料ガスGとの流量比率である気液流量比率が予め設定されている。
そして、気化器2へ水Wと原燃料ガスGを設定気液流量比率で供給すべく、制御部(図示省略)によって改質水ポンプ9及び昇圧ポンプ10夫々の作動が制御されるように構成されている。
【0030】
改質器4にて生成された改質ガスは、改質ガス供給路23を通して燃料電池部21へ供給される。
燃料電池部21は、改質ガスが通流する燃料通流部24と空気が通流する空気通流部25とを備えた複数の固体酸化物型のセル26を電気的に直列接続された状態で備えたセルスタックにて構成されている。
図示は省略するが、セル26は、燃料極と空気極との間に固体電解質層を備えた固体酸化物型に構成され、燃料通流部24を改質ガスが通流することで燃料極に改質ガスが供給され、空気通流部25を空気が通流することで空気極に空気が供給される。
そして、そのような燃料電池部21が、複数のセル26が燃料通流部24の改質ガス排出口24e及び空気通流部25の空気排出口25eが上向きになる姿勢で横方向に並ぶ状態で、収納容器1内に配設されている。
ちなみに、セル26としては、燃料通流部24及び空気通流部25を備えた各種の形状や構成のセルが使用可能であり、その形状や構成については上記に限定されるものではない。
【0031】
図1に示すように、燃料電池部21には、改質器3から改質ガス供給路23を通して供給される改質ガスを受け入れるガスマニホールド27が備えられており、複数のセル26は、ガスマニホールド27の上方側に上述のように並ぶ状態で配置され、ガスマニホールド27と複数のセル26における燃料通流部24の下端のガス導入口(図示省略)とが連通接続されている。そして、ガスマニホールド27に供給された改質ガスが複数のセル26夫々の燃料通流部24に対して下端のガス導入口から供給されて、各燃料通流部24を下方側から上方側に通流して発電反応に供され、その発電反応に供されたのちの排改質ガスが上端の改質ガス排出口24eから排出される。
【0032】
収納容器1には、空気導入口28が設けられると共に、その空気導入口28に、空気供給路29が接続されて、ブロア30の作動により、空気が空気供給路29を通して収納容器1内に供給される。
複数のセル26夫々における空気通流部25の下端部近傍には、収納容器1内と空気通流部25内とを連通する空気供給孔(図示省略)が設けられている。そして、複数のセル26夫々の空気通流部25には収納容器1内の空気がこの空気供給孔を通して供給されて、各空気通流部25を下方側から上方側に通流して発電反応に供され、その発電反応に供されたのちの排空気が上端の空気排出口25eから排出される。
【0033】
各セル26の燃料通流部24の改質ガス排出口24eから排出される排改質ガスと空気通流部25の空気排出口25eから排出される排空気とを燃焼させる燃焼空間が、燃料電池部21の上方に隣接して設けられて、この燃焼空間により、燃焼部22が構成されている。
そして、一体構成された気化器2及び改質器3が、燃焼部22の上方に隣接して設けられている。
【0034】
収納容器1には、燃焼部22にて発生した燃焼ガスを外部に排出させる排出部31が下面部等に形成されている。そして、収納容器1内には、排出部31から外部に排出される燃焼排ガス中の一酸化炭素ガスを除去する燃焼触媒部32(例えば、白金系触媒)が備えられている。
【0035】
気液供給装置Sについて、更に説明を加える。
図2に示すように、本発明では、気液供給管4の内壁4wには、水Wの供給部位としての気液供給管4の基端4eから処理装置E(具体的には気化器2の入口)までの管長手方向全長にわたって、水Wと原燃料ガスGとのうちの水Wを内壁4wに付着させて管長手方向に流動させる混相流動部Cが備えられている。
【0036】
この実施形態では、混相流動部Cが、気液供給管4の内壁4wにおける周方向全周にわたって備えられている。
又、混相流動部Cが、水Wを毛細管現象により気液供給管4の内壁4wに付着させて流動させる毛細管状部12にて構成されている。
更に、気液供給管4における水Wの供給部位である基端4eに、供給される水Wを内壁4wに沿って管周方向に拡げる拡散部Dが設けられている。
【0037】
図3及び図4にも示すように、この実施形態では、気液供給管4の内壁4wには、基端4eから気化器2の入口までの管長手方向全長にわたって一連に連なる微細な多数の溝4gが管周方向に並ぶ状態で形成されている。
各溝4gは、水Wを毛細管現象により管長手方向に流動させることが可能な形状に形成され、各溝4gの幅は微細である。
そして、これら多数の溝4gからなる溝群により、毛細管状部12が構成されている。
尚、図2〜図4では、各溝4gが明瞭に示されるように、各溝4gの幅及び深さは、気液供給管4の径や管壁の厚さに対して、大きく強調されて記載されており、気液供給管4の径や管壁の厚さと溝4gの幅や深さとの関係は、実際の関係を示すものではない。
【0038】
図2に示すように、連結部5は、軸心が同心で対向する2つの接続口5a,5bと、軸心がそれら2つの接続口5a,5bの軸心に直交する1つの接続口5cとの3つの接続口を有するティーズ状の継手部材にて構成されている。
そして、連結部5における同心状の2つの接続口5a,5bのうちの一方の接続口5aに、気液供給管4の基端4eが接続され、他方の接続口5bに原燃料ガス供給管7の先端が接続され、残りの接続口5cに改質水供給管6の先端が接続されている。
【0039】
更に、図2及び図3に示すように、連結部5には、気液供給管4の基端4eを挿通して内嵌させる内嵌通路5d、その内嵌通路5dの基端に連なると共に、その内嵌通路5dよりもやや大径で且つ内嵌通路5dの軸心方向に沿う方向での長さが短い扁平環状の拡散空間5e、及び、接続口5cに接続された改質水供給管6と拡散空間5eを連通させると共に、内嵌通路5dの軸心方向に沿う方向での長さが拡散空間5eと同等の扁平状の改質水導入路5fが形成されている。
拡散空間5eには、環状の多孔状リング13が嵌め込まれ、この多孔状リング13により、拡散部Dが構成されている。
ている。
ちなみに、多孔状リング13は、例えば、多孔状の焼結金属にて形成される。
【0040】
そして、水Wは、改質水ポンプ9により改質水供給管6を圧送され、扁平状の改質水導入路5fを通過して多孔状リング13に対して径方向の外方側から圧力がかけられて押し込まれる。そのように改質水ポンプ9により圧力がかけられて多孔状リング13に押し込まれた水Wは、その多孔状リング13を周方向全周に拡がって気液供給管4の内壁4wの毛細管状部12の基端にその周方向全周にわたって供給され、その毛細管状部12を周方向全周にわたって気液供給管4の内壁4wに付着する状態で毛細管作用により気化器2側に向かって流動して、気化器2に供給される。
一方、原燃料ガスGは、昇圧ポンプ10により、原燃料ガス供給管7を圧送されて気液供給管4の基端4eに供給され、その気液供給管4における毛細管状部12の内方側の空間を気化器2側に向かって流動して気化器2に供給される。
つまり、水Wが毛細管状部12により気液供給管4の内壁4wに付着する状態で流動し、原燃料ガスGが気液供給管4における毛細管状部12の内方側の空間を流動する形態で、水Wと原燃料ガスGが気液供給管4を共に流動して気化器2に供給される。
【0041】
従って、毛細管状部12を内壁4wに付着する状態で流動している水Wが気液供給管4における気化器2の手前で蒸発しても、気液供給管4における毛細管状部12の内方側には原燃料ガスGが流動している空間が存在して、水蒸気がその空間に拡散する状態で水Wが蒸発するので、毛細管状部12におけるそのような水Wの蒸発部位よりも下流側の部分を流動している水Wが気化器2に急激に押し込まれるのを抑制することができる。それによって、気化器2に供給される水Wの量と原燃料ガスGの量との比率が変動するのを抑制することができるので、気化器2から改質器3へ供給される水蒸気の供給量と原燃料ガスGの供給量との比率が予め設定された比率から変動するのを抑制することができるようになり、改質器3における原燃料ガスGの改質処理を安定して行わせることができる。
【0042】
以下、本発明の第2〜第5の実施形態を説明するが、各実施形態は混相流動部Cの別の実施形態を説明するものであって、改質装置Rを備えた燃焼電池発電装置の構成は上記の第1実施形態と同様であるので、各実施形態では、燃焼電池発電装置の構成の説明を省略する。
【0043】
〔第2実施形態〕
図5に示すように、第2実施形態の混相流動部Cは、上記の第1実施形態と同様に毛細管状部12にて構成されているが、この毛細管状部12が、金網を円筒状に成形した円筒状金網体14にて構成されている。
この円筒状金網体14は、その外径が気液供給管4の内径よりもやや大きくなるように成形され、この円筒状金網体14が縮径状態で気液供給管4に内嵌されることにより、円筒状金網体14が、その弾性によって気液供給管4の内壁4wに当接する状態でその気液供給管4内に保持されている。
【0044】
円筒状金網体14は、水Wを毛細管現象により気液供給管4の内壁4wに付着した状態で管長手方向に流動させることが可能なように、微細なワイヤにより微細なメッシュサイズに形成されている。
尚、図5では、円筒状金網体14が明瞭に示されるように、ワイヤ径及びメッシュサイズは、気液供給管4の径や管壁の厚さに対して大きく強調されて記載されており、気液供給管4の径や管壁の厚さと円筒状金網体14のワイヤ径やメッシュサイズとの関係は、実際の関係を示すものではない。
【0045】
〔第3実施形態〕
図6に示すように、第3実施形態の混相流動部Cは、上記の第1実施形態と同様に毛細管状部12にて構成されているが、この毛細管状部12が、円筒状のワイヤ集合体15により構成されている。
円筒状のワイヤ集合体15は、その内側に設けられたコイル16によって、気液供給管4の内壁4wに当接する状態でその気液供給管4内に保持されている。
【0046】
ワイヤ集合体15は、水Wを毛細管現象により気液供給管4の内壁4wに付着させた状態で管長手方向に流動させることが可能なように、多数の微細なワイヤを凝集させた状態で円筒状に成形して構成されている。
尚、図6では、ワイヤ集合体15が明瞭に示されるように、ワイヤ径及びワイヤ間の隙間は、気液供給管4の径や管壁の厚さに対して大きく強調されて記載されており、気液供給管4の径や管壁の厚さとワイヤ集合体15のワイヤ径やワイヤ間の隙間との関係は、実際の関係を示すものではない。
【0047】
〔第4実施形態〕
図7に示すように、第4実施形態の混相流動部Cは、上記の第1実施形態と同様に毛細管状部12にて構成されているが、この毛細管状部12が、多孔状円筒体17により構成されている。
多孔状円筒体17は、その外径が気液供給管4に内嵌可能なように気液供給管4の内径と略同径に構成されて、気液供給管4に内嵌されることにより、気液供給管4の内壁4wに当接する状態でその気液供給管4内に保持されている。
【0048】
多孔状円筒体17は、水Wを毛細管現象により気液供給管4の内壁4wに付着させた状態で管長手方向に流動させることが可能なように、気液供給管4の基端4eから気化器2までの管長手方向全長にわたる水Wの微細な通流経路を多数備えるように形成されている。ちなみに、多孔状円筒体17は、焼結金属、多孔状セラミック等の多孔状体により形成される。
【0049】
〔第5実施形態〕
図8に示すように、第5実施形態の混相流動部Cは、気液供給管4の内壁4wを親水化処理した親水化部18にて構成されている。
この親水化部18は、水Wが気液供給管4の内壁4wに付着して流動可能なように濡れ性を向上させるように処理したものである。
親水化処理は種々の手法により可能であり、例えば、気液供給管4の内壁4wを機械的又は化学的に粗面化する手法、あるいは、気液供給管4の内壁4wに親水性を有する親水性材(有機高分子材等)から成る膜を形成する手法等を採用することができる。
【0050】
〔別実施形態〕
次に別実施形態を説明する。
(イ) 拡散部Dの具体構成は、上記の第1〜第5の各実施形態において例示した多孔状リング13に限定されるものではない。例えば、図9に示すように、連結部5の拡散空間5eに嵌め込み可能な歯付座金状リング19を用いることができる。尚、図9の(a)は歯付座金状リング19の正面図、図9の(b)は歯付座金状リング19の側面図である。
ちなみに、歯付座金状リング19としては、例えばJISB1255規格のものを用いることができる。
【0051】
(ロ) 上記の第1〜第5の各実施形態では、混相流動部Cを、気液供給管4の内壁4wにおける周方向全周にわたって備える場合について例示したが、気液供給管4の内壁4wにおける周方向の一部に備えても良い。但し、気液供給管4を流動する水Wの全量を気液供給管4の内壁4wに付着した状態で流動させるようにするには、混相流動部Cを、気液供給管4の内壁4wにおける周方向の極力広い範囲にわたって備えるのが好ましい。
【0052】
(ハ) 混相流動部Cを構成する毛細管状部12の具体例は、上記の第1〜第4の各実施形態で例示した例に限定されるものではない。例えば、微細な金属ワイヤのフェルト状体を円筒状に成形した円筒状フェルト体を用いることができる。
【0053】
(ニ) 上記の第1〜第5の各実施形態では、気化器2と改質器3とを一体的に構成する場合について例示したが、気化器2と改質器3とを別体に構成して、それら別体の気化器2と改質器3とを水蒸気と原燃料ガスとの混合気を流動させる管路で接続しても良い。
【0054】
(ホ) 熱発生部Bの具体構成は、上記の第1〜第5の各実施形態において例示した如き燃焼部22に限定されるものではない。
例えば、処理装置Eを加熱するように設けられたバーナや、電気ヒータでも良い。
【0055】
(ヘ) 液体W及び気体Gを供給する対象の処理装置としては、上記の実施形態において例示した気化器2と改質器3とにより構成されるものに限定されるものではなく、種々のものが適用可能である。
又、液体及び気体夫々の具体例の組み合わせは、上記の実施形態において例示した水及び炭化水素系の原燃料ガスの組み合わせに限定されるものではなく、適用される処理装置の種類に応じた種々の組み合わせのものを用いることができる。
【産業上の利用可能性】
【0056】
以上説明したように、液体の蒸気と気体とによる処理を安定して行い得る気液供給装置、及び、水蒸気による原燃料ガスの改質処理を安定して行い得る改質装置を提供することができる。
【符号の説明】
【0057】
1 収納容器
2 気化器
3 改質器
4 気液供給管
4e 水(液体)の供給部位
4w 内壁
12 毛細管状部
17 親水化部
21 燃料電池部
22 燃焼部
B 熱発生部
C 混相流動部
D 拡散部
E 処理装置
G 原燃料ガス(気体)
S 気液供給装置
W 水(液体)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱を発生させる熱発生部と共に収納容器内に設けられて、供給される液体を前記熱発生部にて発生する熱を用いて加熱して少なくとも蒸発させる処理装置に、液体と液体とは別物質の気体を供給する気液供給装置であって、
外部から前記収納容器内に挿通されて前記処理装置に接続され、液体と気体を共に前記処理装置に流動させる気液供給管が備えられ、
その気液供給管の内壁には、液体の供給部位から前記処理装置までの管長手方向全長にわたって、液体と気体とのうちの液体を内壁に付着させて管長手方向に流動させる混相流動部が備えられている気液供給装置。
【請求項2】
前記混相流動部が、前記気液供給管の内壁における周方向全周にわたって備えられている請求項1に記載の気液供給装置。
【請求項3】
前記混相流動部が、液体を毛細管現象により前記気液供給管の内壁に付着させて流動させる毛細管状部にて構成されている請求項1又は2に記載の気液供給装置。
【請求項4】
前記混相流動部が、前記気液供給管の内壁を親水化処理した親水化部にて構成されている請求項1又は2に記載の気液供給装置。
【請求項5】
前記気液供給管における液体の供給部位に、供給される液体を内壁に沿って管周方向に拡げる拡散部が設けられている請求項1〜4のいずれか1項に記載の気液供給装置。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか1項に記載の気液供給装置を備えた改質装置であって、
供給される水を加熱して蒸発させる気化器、及び、供給される炭化水素系の原燃料ガスを前記気化器にて生成された水蒸気にて改質処理する改質器を前記処理装置として備え、
前記気化器及び前記改質器が、前記改質器にて改質処理された改質ガスと酸素含有ガスとが供給されて発電する燃料電池部、及び、その燃料電池部から排出される排改質ガスと排酸素含有ガスとを混合させて燃焼させる前記熱発生部としての燃焼部と共に、前記収納容器内に配設され、
前記気液供給管が外部から前記収納容器内に挿通されて前記気化器に接続されて、水と原燃料ガスを共に前記気液供給管により前記気化器に流動させるように構成され、
前記気化器から前記改質器へ水蒸気及び原燃料ガスの流動が可能なように構成され、
前記気化器が、前記燃焼部での燃焼により発生する燃焼熱を用いて水を加熱して蒸発させるように構成され、並びに、前記改質器が、前記燃焼熱を用いて原燃料ガスの改質処理を行うように構成されている改質装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2011−192545(P2011−192545A)
【公開日】平成23年9月29日(2011.9.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−58174(P2010−58174)
【出願日】平成22年3月15日(2010.3.15)
【出願人】(000000284)大阪瓦斯株式会社 (2,453)
【Fターム(参考)】