説明

気液分離装置および油水分離装置

【課題】煩雑なメンテナンス作業を行わずに、圧力調整弁からのドレン水等の排出を回避する。
【解決手段】混合流体WAをドレン水Wおよび圧縮空気Aに分離させる気液分離槽12と、分離槽12内が規定圧力に達したときに分離槽12内の分離された圧縮空気Aを放出して圧力を低下させる圧力調整弁51とを備え、分離槽12は、混合流体WAの導入口25、分離されたドレン水Wの送水口、および調整弁51への圧縮空気Aの排気口26が設けられた圧力容器で構成され、分離槽12の排気口26と調整弁51との間には、圧縮空気Aと共に排気口26から排出されたドレン水Wを捕集して排出するドレンフィルタ52が配設され、フィルタ52におけるドレン水Wの排水口は、混合流体WAを供給する供給用配管300に接続用配管50bを介して接続され、配管50bには、フィルタ52から配管50bへのドレン水Wの排出を許容する逆止弁54が配設されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ドレン水および圧縮空気が混ざり合った混合流体をドレン水と圧縮空気とに分離させる気液分離装置、および、気液分離装置において分離されたドレン水を水と油分とに分離させる油水分離装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えば、特公昭63−39799号公報には、アフタークーラー、ドレンセパレータおよびドライヤーなど(以下、これらを総称して「ドレン発生源」ともいう)において発生したドレン水から油分を除去する油水分離装置が開示されている。この場合、ドレン発生源において発生したドレン水は、エアーコンプレッサによる空気の圧縮に際して圧縮空気中に混入した油分を含んだ状態において、圧縮空気の圧力によってドレン発生源から油水分離装置に圧送される。したがって、この種の油水分離装置では、油分を含んだドレン水と圧縮空気とが混ざり合った流体(以下、「混合流体」ともいう)を処理対象として油分を除去する必要がある。
【0003】
一方、上記公報に開示されている油水分離装置は、密閉式油処理槽と油吸着槽とを備えて構成されている。また、この油水分離装置は、密閉式油処理槽の内部空間が、仕切板によって油浮上分離室および水貯槽室の2つの空間に仕切られている。この場合、この密閉式油処理槽では、仕切板の上端部と密閉式油処理槽の天板との間、および仕切板の下端部と密閉式油処理槽の底板との間に隙間が設けられて、油浮上分離室および水貯槽室の両空間が、密閉式油処理槽内の上方部位および下方部位の双方において互いに連通させられている。また、この密閉式油処理槽では、油浮上分離室および水貯槽室の両空間における上方部位(密閉式油処理槽内の上方部位)が圧縮空気室として機能するように構成されると共に、密閉式油処理槽内が規定圧力に達したときに圧縮空気室内の圧縮空気を密閉式油処理槽の外部に排気する安全弁が圧縮空気配管を介して取り付けられている。
【0004】
この油水分離装置では、上記のドレン発生源から混合流体が圧送されたときに、この混合流体が、密閉式油処理槽における油浮上分離室内に導入される。この際には、混合流体が油浮上分離室内において圧縮空気とドレン水(油分を含んだドレン水)とに分離して、ドレン水よりも軽い圧縮空気が油浮上分離室の上方部位(圧縮空気室内)に貯留されると共に、圧縮空気よりも重いドレン水が油浮上分離室の下方部位に貯留された状態となる。また、ドレン水内に混入している油分は、ドレン水(水)よりも軽量のため、その一部が油浮上分離室内においてドレン水から分離してドレン水の水面側に浮上する。これにより、油浮上分離室内には、油分を含んだドレン水、ドレン水から分離した油分、および混合流体から分離した圧縮空気が下方側からこの順で存在する状態となる。
【0005】
また、油浮上分離室の下方部位に貯留されたドレン水は、仕切板の下端部と密閉式油処理槽の底板との間の隙間を通って水貯槽室内に流入し、水貯槽室内に規定量のドレン水が貯留されたときに、水貯槽室内のドレン水が配管を介して油吸着槽に送水される。さらに、油吸着槽に送水されたドレン水は、油吸着槽内を通過させられる際に、油吸着槽内に配設されている油吸着材によって油分が吸着除去される。これにより、ドレン発生源において生成されたドレン水からの油分の除去処理(油水分離処理)が完了し、油吸着槽から処理後のドレン水(綺麗な水)が排水される。一方、ドレン発生源から大量の混合流体が圧送されるなどして、密閉式油処理槽内の圧力が規定圧力に達したときには、上記の安全弁が開放されて、圧縮空気室内の圧縮空気が密閉式油処理槽の外部に排気される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特公昭63−39799号公報(第2−3頁、第1図)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記したように、従来の油水分離装置では、ドレン発生源から圧送された圧縮空気とドレン水との混合流体を密閉式油処理槽内において圧縮空気とドレン水とに分離させ、分離されたドレン水に含まれている油分の一部を密閉式油処理槽内において浮上させて除去すると共に、分離されたドレン水を油吸着槽に送水してそのドレン水に含まれている油分の他の一部を油吸着材によって吸着除去する構成が採用されている。また、従来の油水分離装置では、密閉式油処理槽内の圧力が規定圧力に達したときに、安全弁が機能して、密閉式油処理槽内(圧縮空気室内)の圧縮空気を排気する構成が採用されている。これにより、従来の油水分離装置では、密閉式油処理槽、油吸着槽および各配管内が過剰に高圧となって破損を招く事態が回避されている。
【0008】
しかしながら、従来の油水分離装置には、以下の解決すべき問題点がある。すなわち、従来の油水分離装置に対して、例えば、ドレン発生源から大量の混合流体が圧送されたときには、密閉式油処理槽内における混合流体の分離が不完全な状態において安全弁が機能する(開放される)こととなり、これに起因して、安全弁の排気口から圧縮空気と共にドレン水や油分(以下、「ドレン水等」ともいう)が排出されてしまう。また、ドレン発生源から圧送される混合流体の量がそれほど大量ではないときにおいても、密閉式油処理槽内において分離された圧縮空気には、少量のドレン水等(水滴や油滴)が含まれているため、安全弁の排気口から、このドレン水等が圧縮空気と共に排出されてしまう。したがって、従来の油水分離装置では、安全弁の周囲が、圧縮空気と共に排出されたドレン水等によって汚れてしまうことがあるという問題点が存在する。
【0009】
この場合、安全弁の排気口からドレン水等が排出される事態を回避するために、例えば、密閉式油処理槽と安全弁との間に、ドレン水等を捕集するフィルタを設ける構成を採用することも考えられる。しかしながら、そのような構成を採用したとしても、フィルタにおいて捕集したドレン水等を、単にフィルタの外部に排水するだけでは、排水されたドレン水等によってフィルタの周囲が汚れてしまう。また、フィルタ排水口にホース等を接続して、フィルタから排水されるドレン水等をバケツなどの容器体に貯留する使用方法を採用することで、フィルタの周囲がドレン水等で汚れる事態を回避できる可能性もある。しかしながら、容器体内に貯留したドレン水等は、油分を除去するまで排水溝等に排水することができないため、容器体内に貯留したドレン水等を対象とする油水分離処理を別途実行する必要がある。
【0010】
さらに、フィルタにおいて捕集したドレン水等をフィルタ内に貯留しておく構成を採用することもできる。しかしながら、この構成においても、フィルタの周囲が汚れる事態を回避することができるものの、フィルタ内に貯留したドレン水等の量が最大貯留量に達したときには、その後に捕集したドレン水等が再び圧縮空気と混ざり合った状態で安全弁に向かって圧送されて、安全弁の排気口から圧縮空気と共に排出されてしまう。したがって、ドレン水等をフィルタ内に貯留する構成を採用した場合には、フィルタ内に貯留されるドレン水等が最大貯留量に達する前に、このドレン水等をフィルタから定期的に排水して、そのドレン水等を対象とする油水分離処理を別途実行するという非常に煩雑なメンテナンス作業が必要となる。
【0011】
本発明は、かかる問題点に鑑みてなされたものであり、煩雑なメンテナンス作業を必要とすることなく、圧力調整弁からドレン水等が排出される事態を回避し得る気液分離装置および油水分離装置を提供することを主目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記目的を達成すべく、請求項1記載の気液分離装置は、ドレン水および圧縮空気が混ざり合った混合流体を当該ドレン水および当該圧縮空気に分離させる気液分離槽と、当該気液分離槽内の圧力が規定圧力に達したときに当該気液分離槽内の前記分離された圧縮空気を放出して当該気液分離槽内の圧力を低下させる圧力調整弁とを備えて構成された気液分離装置であって、前記気液分離槽は、前記混合流体を導入する導入口、前記分離されたドレン水を送水する送水口、および前記分離された圧縮空気を前記圧力調整弁に向けて排気する排気口が設けられた圧力容器で構成され、前記気液分離槽における前記排気口と前記圧力調整弁との間、および当該圧力調整弁における前記圧縮空気の放出口の少なくとも一方には、前記分離された圧縮空気と共に前記排気口から排出された前記ドレン水を捕集して排出するドレンフィルタが配設され、前記ドレンフィルタにおける前記ドレン水の排水口は、前記気液分離槽における前記導入口に接続されて前記混合流体を当該気液分離槽に供給する供給用配管と、当該気液分離槽とのいずれかに接続用配管を介して接続され、前記接続用配管には、前記ドレンフィルタから当該接続用配管への向きの前記ドレン水の排出を許容する逆止弁が配設されている。
【0013】
また、請求項2記載の油水分離装置は、請求項1記載の気液分離装置と、前記気液分離槽における前記送水口に接続されて当該気液分離槽から送水された前記ドレン水を水分および油分に分離させる油水分離処理部とを備えて構成されている。
【0014】
さらに、請求項3記載の油水分離装置は、請求項2記載の油水分離装置において、前記油水分離処理部は、前記ドレン水に含まれている前記油分を吸着して除去するフィルタを備えて構成されている。
【0015】
また、請求項4記載の油水分離装置は、ドレン水および圧縮空気が混ざり合った混合流体を当該ドレン水および当該圧縮空気に分離させる気液分離槽と、当該気液分離槽内の圧力が規定圧力に達したときに当該気液分離槽内の前記分離された圧縮空気を放出して当該気液分離槽内の圧力を低下させる圧力調整弁と、前記気液分離槽から送水された前記ドレン水を水分および油分に分離させる油水分離処理部とを備えて構成された油水分離装置であって、前記気液分離槽は、前記混合流体を導入する導入口、前記分離されたドレン水を前記油水分離処理部に向けて送水する送水口、および前記分離された圧縮空気を前記圧力調整弁に向けて排気する排気口が設けられた圧力容器で構成され、前記気液分離槽における前記排気口と前記圧力調整弁との間、および当該圧力調整弁における前記圧縮空気の放出口の少なくとも一方には、前記分離された圧縮空気と共に前記排気口から排出された前記ドレン水を捕集して排出するドレンフィルタが配設され、前記ドレンフィルタにおける前記ドレン水の排水口は、前記ドレン水の流路における前記気液分離槽の前記送水口から前記油水分離処理部における前記水分および前記油分の最終分離処理位置よりも上流側の位置までの間の任意の位置に接続用配管を介して接続され、前記ドレンフィルタの前記排水口および接続用配管のいずれかには、規定量の前記ドレン水が貯留されたときに当該貯留されたドレン水の通過を許容するドレントラップが配設されている。
【0016】
さらに、請求項5記載の油水分離装置は、請求項4記載の油水分離装置において、前記油水分離処理部は、前記ドレン水に含まれている前記油分を吸着して除去するフィルタを備えて構成されている。
【発明の効果】
【0017】
請求項1記載の気液分離装置によれば、気液分離槽における排気口から圧縮空気と共に排出されたドレン水を捕集して排出するドレンフィルタを、気液分離槽における排気口と圧力調整弁との間、および圧力調整弁における圧縮空気の放出口の少なくとも一方に配設すると共に、ドレンフィルタにおける排水口を、気液分離槽における導入口に接続された供給用配管と、気液分離槽とのいずれかに接続用配管を介して接続したことにより、気液分離槽内の圧縮空気を圧力調整弁から放出する際に、その圧縮空気に含まれているドレン水がドレンフィルタによって確実に捕集されるため、圧力調整弁の周囲がドレン水によって汚れる事態を確実に回避することができる。また、この気液分離装置によれば、ドレンフィルタにおいて捕集したドレン水が気液分離槽内に再び導入されるため、例えば、ドレンフィルタにおいて捕集したドレン水を貯留しておいて手動で排水する構成とは異なり、煩雑なメンテナンス作業が不要となるだけでなく、貯留したドレン水を排水するのを忘れて最大貯留量を超えたドレン水が圧縮空気と共に排出される事態を確実に回避することができる。
【0018】
また、請求項2記載の油水分離装置によれば、請求項1記載の気液分離装置と、気液分離槽における送水口に接続されて気液分離槽から送水されたドレン水を水分および油分に分離させる油水分離処理部とを備えて構成したことにより、ドレンフィルタにおいて捕集されたドレン水が供給用配管を介して供給される混合流体から分離したドレン水と共に油水分離処理(浄化処理)されるため、ドレンフィルタにおいて捕集したドレン水だけを別個に油水分離処理(浄化処理)する必要がない分だけ、利用者の負担を十分に軽減することができる。
【0019】
さらに、請求項3,5記載の油水分離装置によれば、ドレン水に含まれている油分を吸着して除去するフィルタを備えて油水分離処理部を構成したことにより、大量の油分を吸着して浄化能力が低下したときに、このフィルタを新しいフィルタに交換するだけで、油水分離装置によるドレン水の油水分離処理(浄化処理)を継続して実行することができる。この場合、油分を吸着して除去する「吸着分離式のフィルタ」以外のフィルタとして、「科学的凝集沈殿分離式のフィルタ」が存在する。この「科学的凝集沈殿分離式のフィルタ」では、油分を取り除く処理によって2次産廃(浮上物や沈殿物)が発生し、この2次産廃を別途処理する必要が生じるのに対し、本願発明におけるフィルタのような「吸着分離式のフィルタ」では、上記の2次産廃が発生せず、油吸着材を例えば焼却処理するだけで済むため、交換作業後の後処理を容易に実行することができる。
【0020】
また、請求項4記載の油水分離装置によれば、気液分離槽における排気口から圧縮空気と共に排出されたドレン水を捕集して排出するドレンフィルタを、気液分離槽における排気口と圧力調整弁との間、および圧力調整弁における圧縮空気の放出口の少なくとも一方に配設すると共に、ドレンフィルタにおける排水口を、ドレン水の流路における気液分離槽の送水口から油水分離処理部における最終分離処理位置よりも上流側の位置までの間の任意の位置に接続用配管を介して接続したことにより、気液分離槽内の圧縮空気を圧力調整弁から放出する際に、その圧縮空気に含まれているドレン水がドレンフィルタによって確実に捕集されるため、圧力調整弁の周囲がドレン水によって汚れる事態を確実に回避することができる。また、この油水分離装置によれば、ドレンフィルタにおいて捕集したドレン水が混合流体から分離されたドレン水と共に油水分離処理部に導入されるため、例えば、ドレンフィルタにおいて捕集したドレン水を貯留しておいて手動で排水する構成とは異なり、煩雑なメンテナンス作業が不要となるだけでなく、貯留したドレン水を排水するのを忘れて最大貯留量を超えたドレン水が圧縮空気と共に排出される事態を確実に回避することができる。さらに、ドレンフィルタにおいて捕集したドレン水だけを別個に油水分離処理(浄化処理)する必要がない分だけ、利用者の負担を十分に軽減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の実施の形態に係る油水分離装置1の構成を示す構成図である。
【図2】本発明の実施の形態に係る油水分離装置1における圧力調整装置15の構成を示すブロック図である。
【図3】本発明の他の実施の形態に係る油水分離装置1A,1Bの構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、添付図面を参照して、本発明に係る気液分離装置および油水分離装置の実施の形態について説明する。
【0023】
図1に示す油水分離装置1は、「気液分離装置」の「気液分離槽」や「圧力調整弁」が「油水分離処理部」と一体的に構成された処理装置であって、一例として、エアーコンプレッサ100によって生成された圧縮空気中から圧縮空気除湿装置200によって除去されたドレン水W(油分や粉塵等を含んだ汚れたドレン水)を浄化する処理を実行可能に構成されている。この油水分離装置1は、ベース部11、気液分離槽12、前処理フィルタ13、後処理フィルタ14および圧力調整装置15を備え、後述するように、設置状態においては、圧縮空気除湿装置200から油水分離装置1にドレン水を供給するための供給用配管300が気液分離槽12に接続されると共に、浄化処理後の綺麗なドレン水Wを排水溝等に排水するための排水用ホース400が後処理フィルタ14に接続される。ベース部11は、図示しないアンカーボルトによって油水分離装置1の設置場所に固定されることにより、設置場所からの油水分離装置1の移動や転倒を防止する。
【0024】
気液分離槽12は、ドレン水Wおよび圧縮空気Aが混ざり合った混合流体WAをドレン水Wおよび圧縮空気Aに分離させるための分離槽であって、有底円筒状の外筒21と、外筒21内に配設された無底円筒状の内筒22と、外筒21の上方開口部を閉塞する仕切板23を備えて構成されている。この気液分離槽12は、内筒22の内側に前処理フィルタ13を収容可能に構成され、かつ、外筒21の上方に後処理フィルタ14を取り外し可能に取り付けることができるように構成されている。この場合、外筒21の上端部には、後処理フィルタ14を取り付けるためのフランジ21aが設けられている。また、外筒21の高さ方向における中央部には、供給用配管300を接続可能に構成されて供給用配管300を介して混合流体WAを導入する導入口25が設けられている。さらに、外筒21の高さ方向における上端部側には、接続用配管50aを接続可能に構成されて気液分離槽12内において分離された圧縮空気Aを圧力調整装置15に向けて排気する排気口26が設けられている。
【0025】
また、外筒21の高さ方向における下端部側には、油水分離装置1に対する清掃作業時や、油水分離装置1を他の設置場所に移動させるときなどに、気液分離槽12内のドレン水Wを排水するための排水口27が設けられている。この場合、排水口27には、一例として、手動で開閉操作が可能な排水弁27aが取り付けられている。この気液分離槽12では、主として、外筒21と内筒22との間の空間が「分離槽」として機能するように構成されると共に、外筒21の底板と内筒22の下端部との間にドレン水Wの通過を許容する隙間22aが設けられて、混合流体WAから分離したドレン水Wが、外筒21と内筒22との間の空間から内筒22の内側の空間(前処理フィルタ13が設置されている空間)に向けて隙間22aを通過して送水される。したがって、この気液分離槽12では、内筒22の下端部側に設けられた隙間22aの部位が、「分離されたドレン水を送水する送水口」として機能する。
【0026】
また、上記の仕切板23の中央部には、後述するようにして前処理フィルタ13を接続するための円筒状の接続用配管23aが配設されている。さらに、接続用配管23aには、後述するように、気液分離槽12から後処理フィルタ14を取り外す際に、後処理フィルタ14内のドレン水Wを油水分離装置1の外部に排水するための排水弁23bが接続されている。なお、この気液分離槽12では、後述するようにして気液分離槽12と後処理フィルタ14との間に挟み込まれるようにして仕切板23が外筒21に取り付けられることにより、外筒21および仕切板23によって「圧力容器」が形成されるように構成されている。
【0027】
前処理フィルタ13は、後処理フィルタ14と相まって「油水分離処理部」としての「フィルタ」を構成する。この前処理フィルタ13は、油水分離装置1による油水分離処理(浄化処理)のうちの前処理(粗処理)を実行するためのフィルタであって、一例として、容器体31および蓋体32で構成される収納容器内にエマルション破壊シート33、油吸着材34、不織布35が充填されている。この場合、容器体31は、一例として、ポリプロピレンを用いたブロー成形処理によって有底円筒状に加工された後に、その底部に導入口31aが開口されている。また、蓋体32は、一例としてポリエチレンを用いた射出成型処理によって所望の形状に加工されている。この場合、蓋体32には、前処理フィルタ13による処理が完了したドレン水Wを排水する排水口32aが形成されると共に、上記の仕切板23に設けられた接続用配管23aを挿通可能な円筒体が立設されている。
【0028】
この前処理フィルタ13は、複数枚のエマルション破壊シート33、油吸着材34および複数枚の不織布35が容器体31の底部側からこの順で充填された状態において容器体31の上方開口部に蓋体32が取り付けられて構成されている。エマルション破壊シート33は、一例として、アミン系のエマルジョン破壊シートで構成されている。このエマルション破壊シート33は、後述するように導入口31aから容器体31内に導入されるドレン水Wに含まれているエマルション化した油分を破壊して油分と水分とに分離させるためのシートであると共に、充填されている油吸着材34が導入口31aから前処理フィルタ13(容器体31)の外部に押し出されるのを阻止するための仕切りとしても機能する。
【0029】
油吸着材34は、極く小さな空隙を有する油吸着材であって、一例として、綿状に加工されたポリプロピレンで構成されて、ドレン水Wに含まれる油分を吸着する。この場合、綿状に加工されたポリプロピレンに代えて、ポリプロピレンの繊維を編んだ細紐や、ポリプロピレンの薄板を小さく裁断した小片を容器体31内に充填する構成を採用することもできる。不織布35は、一例として、ポリプロピレンの繊維で構成されている。この不織布35は、充填されている油吸着材34が蓋体32の排水口32aから前処理フィルタ13(容器体31)の外部に押し出されるのを阻止するための仕切りとして機能すると共に、油吸着材34と同様にして、ドレン水Wに含まれる油分を吸着する油吸着材としても機能する。
【0030】
一方、後処理フィルタ14は、油水分離装置1による油水分離処理のうちの後処理(本処理)を実行するためのフィルタであって、一例として、筒体41、天板42および仕切板46で構成される空間内にエマルション破壊シート43、油吸着材44および不織布45が充填されている。筒体41は、気液分離槽12における外筒21と同径の円筒状に形成されると共に、その下端部には、後処理フィルタ14を気液分離槽12と連結するためのフランジ41aが設けられている。天板42は、筒体41の上方開口部を閉塞するように筒体41に固定された円板であって、その中央部には、排水用ホース400を接続可能に構成されて後処理フィルタ14による処理が完了したドレン水Wを排水する排水口42aが形成されている。
【0031】
この場合、エマルション破壊シート43は、前処理フィルタ13のエマルション破壊シート33と同様に構成され、油吸着材44は、前処理フィルタ13の油吸着材34と同様に構成され、不織布45は、前処理フィルタ13の不織布35と同様に構成されている。仕切板46は、一例として、ステンレススチールで形成された円板に、ドレン水Wの通過を許容する多数の孔が形成されている。この仕切板46は、筒体41および天板42で構成される容器体内に充填されたエマルション破壊シート43、油吸着材44および不織布45に偏りが生じたり、これらが容器体内から押し出されたりするのを阻止するように、筒体41の内壁面に係合させられている。
【0032】
圧力調整装置15は、図2に示すように、圧力調整弁51、ドレンフィルタ52、ドレントラップ53および逆止弁54が一体的に構成されている。この場合、本例の油水分離装置1では、圧力調整装置15のドレンフィルタ52が気液分離槽12の排気口26に接続用配管50aを介して接続されると共に、圧力調整装置15の逆止弁54が接続用配管50bを介して供給用配管300に接続されている。なお、「圧力調整弁」、「ドレンフィルタ」、「ドレントラップ」および「逆止弁」については、本例の油水分離装置1における圧力調整装置15のように、これらが一体化されている構成に限定されるものではなく、別個独立して構成された「圧力調整弁」、「ドレンフィルタ」、「ドレントラップ」および「逆止弁」を、接続用配管を介して相互に接続して圧力調整装置15と同様に機能させる構成を採用することもできる。
【0033】
圧力調整弁51は、気液分離槽12内の圧力(主として、圧縮空気圧力)が規定圧力に達したときに、気液分離槽12内の圧縮空気Aを油水分離装置1の外部に放出して気液分離槽12内の圧力を低下させる。ドレンフィルタ52は、気液分離槽12における排気口26と圧力調整弁51との間に位置するように配設されて、圧縮空気Aと共に排気口26から排出されたドレン水Wを捕集して排出する。ドレントラップ53は、ドレンフィルタ52から排出されたドレン水Wを貯留すると共に、規定量のドレン水Wが貯留されたときに貯留されたドレン水Wの通過を許容する。逆止弁54は、ドレンフィルタ52から接続用配管50bへの向きのドレン水Wの排出を許容しつつ、圧縮空気除湿装置200から気液分離槽12に向かって供給用配管300内を圧送されている混合流体WAが接続用配管50bを介して圧力調整装置15内に逆流するのを阻止する。
【0034】
この油水分離装置1の設置に際しては、まず、気液分離槽12の外筒21と一体化しているベース部11を設置場所に固定すると共に、気液分離槽12の導入口25に供給用配管300を接続する。なお、組立て手順に関する理解を容易とするために、上記の前処理フィルタ13に対するエマルション破壊シート33、油吸着材34および不織布35の充填作業や、後処理フィルタ14に対するエマルション破壊シート43、油吸着材44および不織布45の充填作業については既に完了しているものとする。次いで、接続用配管50aを介して、気液分離槽12の排気口26および圧力調整装置15のドレンフィルタ52を相互に接続すると共に、接続用配管50bを介して、圧力調整装置15の逆止弁54および供給用配管300を相互に接続する。
【0035】
続いて、前処理フィルタ13における蓋体32の排水口32aに気液分離槽12における仕切板23の接続用配管23aを挿入して仕切板23に前処理フィルタ13を取り付けた状態において、前処理フィルタ13の容器体31を気液分離槽12の内筒22内に挿入するようにして、外筒21におけるフランジ21aの上に仕切板23を載置する。これにより、前処理フィルタ13の取り付けが完了する。次いで、フランジ41aを下向きにした状態の後処理フィルタ14を、外筒21におけるフランジ21aの上に載置した仕切板23の上に載置して、仕切板23を挟み込んだ状態で両フランジ21a,41aをボルト締めする。これにより、後処理フィルタ14の取り付けが完了し、気液分離槽12、前処理フィルタ13、後処理フィルタ14および圧力調整装置15が一体化される。この後、後処理フィルタ14の排水口42aに排水用ホース400を接続することにより、油水分離装置1の設置が完了する。
【0036】
このように設置が完了した油水分離装置1においては、気液分離槽12における外筒21と内筒22との間において混合流体WAが分離することで生じたドレン水Wが、隙間22a、内筒22の内側空間、前処理フィルタ13の導入口31a、容器体31内(エマルション破壊シート33、油吸着材34および不織布35の充填部位)、前処理フィルタ13の排水口32a、仕切板23の接続用配管23a、および後処理フィルタ14の筒体41内(エマルション破壊シート43、油吸着材44および不織布45の充填部位)をこの順で通過して、後処理フィルタ14の排水口42aから排水用ホース400に排水される「ドレン水の流路」が形成されている。したがって、圧縮空気除湿装置200から供給用配管300を介して油水分離装置1に混合流体WAが供給されることにより、上記の「ドレン水の流路」を通過する各過程においてドレン水Wが浄化される。
【0037】
具体的には、油分や粉塵を含んだドレン水Wと圧縮空気Aとが混ざり合った状態の混合流体WAが圧縮空気除湿装置200から供給用配管300を介して供給されたときに、この混合流体WAは、導入口25から気液分離槽12における外筒21と内筒22との間の空間に導入される。この際に、混合流体WAにおいて圧縮空気Aよりも重いドレン水Wが下方に移動し、かつ、混合流体WAにおいてドレン水Wよりも軽い圧縮空気Aが上方に移動することにより、外筒21と内筒22との間の空間において、混合流体WAがドレン水Wと圧縮空気Aとに分離される。また、ドレン水Wに含まれる油分は、水分よりも軽いため、混合流体WAから分離したドレン水Wに含まれる油分のうちの一部(比較的大きな油滴の状態で混合流体WA内に含まれていた油分等)が、外筒21と内筒22との間の空間においてドレン水Wから分離する。
【0038】
一方、油分の一部が分離したドレン水Wは、内筒22の下端部側に設けられた隙間22aを通過して内筒22の内部空間に流入する。この場合、供給用配管300を介して圧縮空気除湿装置200から混合流体WAが圧送されて気液分離槽12内が高圧となっているため、内筒22内に流入したドレン水Wが前処理フィルタ13の導入口31aから容器体31内に導入される。この際には、エマルジョン化した状態でドレン水Wに含まれている油分の一部がエマルション破壊シート33を通過する際に破壊されて油分と水分とに分離すると共に、エマルション破壊シート33を通過したドレン水Wに含まれている油分の一部が、油吸着材34や不織布35の充填部位を通過する際に油吸着材34や不織布35によって吸着されて除去される。これにより、前処理フィルタ13による前処理(粗処理)が完了したドレン水Wが蓋体32の排水口32aから仕切板23の接続用配管23a内に排水されて後処理フィルタ14に向かって油水分離装置1内を移動させられる。
【0039】
また、前処理フィルタ13から排水されたドレン水Wは、筒体41の下方開口部位から後処理フィルタ14内に導入され、仕切板46に設けられた孔を通過して、エマルション破壊シート43、油吸着材44および不織布45の充填部位に流入する。この際には、エマルジョン化した状態でドレン水Wに含まれている油分の一部がエマルション破壊シート43を通過する際に破壊されて油分と水分とに分離すると共に、エマルション破壊シート43を通過したドレン水Wに含まれている油分の一部が、油吸着材44や不織布45の充填部位を通過する際に油吸着材44や不織布45によって吸着されて除去される。これにより、後処理フィルタ14による後処理(本処理)が完了した綺麗なドレン水Wが天板42の排水口42aから排水用ホース400内に排水されて、排水用ホース400から排水溝等に排水される。これにより、油水分離装置1によるドレン水Wの浄化処理が完了する。
【0040】
一方、この油水分離装置1では、例えば、圧縮空気除湿装置200から大量の混合流体WAが圧送されるなどして、気液分離槽12内の圧力が規定圧力に達したときに、外筒21、筒体41および天板42や、圧力調整装置15、排水弁23b,27aなどが内圧によって破損することのないように、圧力調整装置15が気液分離槽12内の圧縮空気Aを油水分離装置1の外部に放出することで内圧を低下させる。具体的には、気液分離槽12内が規定圧力に達したときに、接続用配管50aおよびドレンフィルタ52を介して気液分離槽12に接続されている圧力調整弁51が開放される。この際には、気液分離槽12内において混合流体WAから分離されて気液分離槽12の上方部位に貯留されている圧縮空気Aが排気口26から接続用配管50aに排気される。
【0041】
この際に、圧縮空気除湿装置200から大量の混合流体WAが圧送されているときには、気液分離槽12内における混合流体WAの分離が不完全な状態となっていることがあり、このような状態においては、排気口26から圧縮空気Aと共にドレン水W(油分等を含んだドレン水W)が圧力調整装置15に向かって排出されることがある。また、気液分離槽12内に導入される混合流体WAの量が少量の場合においても、極少量のドレン水W(小さな水滴や油滴)を含んだ圧縮空気Aが排気口26から圧力調整装置15に向かって排出されることがある。したがって、この油水分離装置1(圧力調整装置15)では、気液分離槽12の排気口26から圧縮空気Aと共に排出されたドレン水Wをドレンフィルタ52において捕集することで、ドレン水Wが圧縮空気Aと共に圧力調整弁51から排出される事態を回避する構成が採用されている。
【0042】
具体的には、ドレン水Wを含んだ圧縮空気Aが排気口26から排出されたときには、この圧縮空気Aがドレンフィルタ52を通過する際に圧縮空気Aに含まれているドレン水Wがドレンフィルタ52によって捕集される。また、捕集されたドレン水Wは、ドレンフィルタ52からドレントラップ53に落下して貯留される。これにより、ドレン水Wを含まない圧縮空気Aが圧力調整弁51に向かって流れて圧力調整弁51の放出口から大気に放出される。また、ドレントラップ53に規定量のドレン水Wが貯留されたときには、このドレン水Wがドレントラップ53から排水されて逆止弁54を通過して接続用配管50bに流入する。さらに、接続用配管50bに流入したドレン水Wは、供給用配管300内に流入し、圧縮空気除湿装置200から圧送される混合流体WAと共に導入口25から気液分離槽12内に導入される。これにより、ドレンフィルタ52において捕集されたドレン水Wが圧力調整弁51から排水されることなく、他のドレン水Wと共に油分を除去されて浄化される。
【0043】
また、この油水分離装置1では、長期に亘る使用によって前処理フィルタ13や後処理フィルタ14の油分等の除去能力が低下したときに、この前処理フィルタ13や後処理フィルタ14を新しい前処理フィルタ13や新しい後処理フィルタ14に交換することで、気液分離槽12や圧力調整装置15を設置場所から運び出すことなく、ドレン水Wの浄化処理を再び実行することができるように構成されている。具体的には、まず、供給用配管300を介しての混合流体WAの供給を停止させた状態において、後処理フィルタ14の排水口42aから排水用ホース400を取り外す。次いで、気液分離槽12における仕切板23の接続用配管23aに設けられた排水弁23bを開放操作する。この際には、後処理フィルタ14内のドレン水Wが自重によって後処理フィルタ14内を逆流して、排水弁23bから油水分離装置1の外部に排水される。この際に、排水されたドレン水Wによって油水分離装置1の設置場所が汚れることのないように、排水弁23bの下方にバケツ等の容器体を設置してドレン水Wを収容する。
【0044】
続いて、ドレン水Wの排水が完了した後処理フィルタ14を気液分離槽12から取り外した後に、仕切板23と共に前処理フィルタ13を外筒21(フランジ21a)から取り外す。この際に、前処理フィルタ13内のドレン水Wは、自重によって前処理フィルタ13内を逆流して導入口31aから内筒22内に排水される。次いで、仕切板23から前処理フィルタ13を取り外した後に、新しい前処理フィルタ13を仕切板23に取り付ける。続いて、前述した設置手順と同様の手順で仕切板23および新しい後処理フィルタ14を外筒21(フランジ21a)に取り付ける。この後、後処理フィルタ14の排水口42aに排水用ホース400を接続することにより、前処理フィルタ13および後処理フィルタ14の交換作業が完了して、油水分離装置1の使用準備が整う。
【0045】
このように、この油水分離装置1によれば、気液分離槽12における排気口26から圧縮空気Aと共に排出されたドレン水Wを捕集して排出するドレンフィルタ52を、気液分離槽12における排気口26と圧力調整弁51との間、および圧力調整弁51における圧縮空気Aの放出口の少なくとも一方(この例では、排気口26と圧力調整弁51との間)に配設すると共に、ドレンフィルタ52における排水口を、気液分離槽12における導入口25に接続された供給用配管300と気液分離槽12とのいずれか(この例では、供給用配管300)に接続用配管50bを介して接続したことにより、気液分離槽12内の圧縮空気Aを圧力調整弁51から放出する際に、その圧縮空気Aに含まれているドレン水Wがドレンフィルタ52によって確実に捕集されるため、圧力調整弁51の周囲がドレン水Wによって汚れる事態を確実に回避することができる。また、この油水分離装置1によれば、ドレンフィルタ52において捕集したドレン水Wが気液分離槽12内に再び導入されるため、例えば、ドレンフィルタにおいて捕集したドレン水Wを貯留しておいて手動で排水する構成とは異なり、煩雑なメンテナンス作業が不要となるだけでなく、貯留したドレン水Wを排水するのを忘れて最大貯留量を超えたドレン水Wが圧縮空気Aと共に排出される事態を確実に回避することができる。
【0046】
また、この油水分離装置1によれば、気液分離槽12および圧力調整装置15を備えて構成された「気液分離装置」と、前処理フィルタ13および後処理フィルタ14を備えて構成されて気液分離槽12から送水されたドレン水Wを水分および油分に分離させる(油分を除去する)「油水分離処理部」とを備えて構成したことにより、ドレンフィルタ52において捕集されたドレン水Wが供給用配管300を介して供給される混合流体WAから分離したドレン水Wと共に油水分離処理(浄化処理)されるため、ドレンフィルタ52において捕集したドレン水Wだけを別個に油水分離処理(浄化処理)する必要がない分だけ、利用者の負担を十分に軽減することができる。
【0047】
さらに、この油水分離装置1によれば、ドレン水Wに含まれている油分を吸着して除去する「フィルタ(油吸着材34,44)」を備えて「油水分離処理部」を構成したことにより、大量の油分を吸着して浄化能力が低下したときに、この「フィルタ」を新しい「フィルタ」に交換するだけで、油水分離装置1によるドレン水Wの油水分離処理(浄化処理)を継続して実行することができる。この場合、上記の油吸着材34,44のように油分を吸着して除去する「吸着分離式のフィルタ」以外のフィルタとして、「科学的凝集沈殿分離式のフィルタ」が存在する。この「科学的凝集沈殿分離式のフィルタ」では、油分を取り除く処理によって2次産廃(浮上物や沈殿物)が発生し、この2次産廃を別途処理する必要が生じるのに対し、この油水分離装置1におけるフィルタのような「吸着分離式のフィルタ」では、上記の2次産廃が発生せず、油吸着材34,44を例えば焼却処理するだけで済むため、交換作業後の後処理を容易に実行することができる。
【0048】
なお、「気液分離装置」および「油水分離装置」の構成は、上記した油水分離装置1の構成に限定されるものではない。例えば、ドレンフィルタ52において捕集したドレン水Wを、接続用配管50bを介して供給用配管300に流入させる構成(「気液分離槽における導入口に接続されて混合流体を気液分離槽に供給する供給用配管」に「ドレンフィルタにおけるドレン水の排水口」を「接続用配管」を介して接続した構成の例)の油水分離装置1を例に挙げて説明したが、ドレンフィルタ52において捕集したドレン水Wを気液分離槽12に流入させる構成(「ドレンフィルタ52におけるドレン水の排水口」を「接続用配管50b」を介して「気液分離槽12」に直接接続した構成の例:図示せず)を採用することもできる。このような構成においても、上記の油水分離装置1と同様の効果を奏することができる。
【0049】
また、図3に示す油水分離装置1A,1Bのように、一例として、気液分離槽12a、前処理フィルタ13aおよび後処理フィルタ14aを別体に構成して、気液分離槽12aおよび前処理フィルタ13aを送水用配管70によって相互に接続すると共に、前処理フィルタ13aおよび後処理フィルタ14aを送水用配管80によって相互に接続した状態において、圧力調整装置15から排水されたドレン水Wを送水用配管70に流入させるために圧力調整装置15を接続用配管60aによって送水用配管70に接続する構成(油水分離装置1A)や、圧力調整装置15から排水されたドレン水Wを送水用配管80に流入させるために圧力調整装置15を接続用配管60bによって送水用配管80に接続する構成(油水分離装置1B)を採用することもできる。なお、この油水分離装置1A,1Bにおいて前述した油水分離装置1を構成する要素と同一の機能を有するものについては、同一の符号を付して重複する説明を省略する。
【0050】
この場合、油水分離装置1A,1Bにおける気液分離槽12aは、油水分離装置1における気液分離槽12と同様に機能する「気液分離槽」の他の一例であって、油水分離装置1における気液分離槽12と同様にして、導入口25や排気口26が設けられると共に、混合流体WAから分離されたドレン水Wを前処理フィルタ13aに向けて送水するための送水口(気液分離槽12における隙間22aに相当する構成要素:図示せず)が設けられている。また、前処理フィルタ13aおよび後処理フィルタ14aは、「油水分離処理部」としての「フィルタ」の他の一例であって、油水分離装置1における前処理フィルタ13および後処理フィルタ14と同様にして、エマルション破壊シート33,43、油吸着材34,44および不織布35,45が充填されて構成されている。これらの気液分離槽12a、前処理フィルタ13aおよび後処理フィルタ14は、それぞれ独立して構成されている点を除き、その具体的な機能等は、油水分離装置1における気液分離槽12、前処理フィルタ13および後処理フィルタ14と同様のため、その詳細な説明を省略する。
【0051】
この油水分離装置1A,1Bでは、気液分離槽12aにおいて混合流体WAが分離することで生じたドレン水Wが、気液分離槽12aの送水口(送水用配管70の接続部位)、送水用配管70、前処理フィルタ13a、送水用配管80および後処理フィルタ14aをこの順で通過して、後処理フィルタ14aの排水口(排水用ホース400の接続部位)から排水用ホース400内に排水される「ドレン水の流路」が形成されている。したがって、圧縮空気除湿装置200から供給用配管300を介して油水分離装置1A,1Bに混合流体WAが供給されることにより、上記の「ドレン水の流路」を通過する各過程においてドレン水Wが浄化される。
【0052】
このように、この油水分離装置1A,1Bによれば、気液分離槽12aにおける排気口26から圧縮空気Aと共に排出されたドレン水Wを捕集して排出するドレンフィルタ52を、気液分離槽12aにおける排気口26と圧力調整弁51との間、および圧力調整弁51における圧縮空気Aの放出口の少なくとも一方(この例では、排気口26と圧力調整弁51との間)に配設すると共に、ドレンフィルタ52における排水口を、ドレン水Wの流路における気液分離槽12aの送水口から油水分離処理部における最終分離処理位置よりも上流側の位置までの間の任意の位置(油水分離装置1Aでは、送水用配管70、油水分離装置1Bでは、送水用配管80)に接続用配管60aまたは接続用配管60bを介して接続したことにより、前述した油水分離装置1と同様にして、圧力調整弁51の周囲がドレン水Wによって汚れる事態を確実に回避することができる。また、この油水分離装置1A,1Bによれば、ドレンフィルタ52において捕集したドレン水Wが混合流体WAから分離されたドレン水Wと共に前処理フィルタ13aまたは後処理フィルタ14aに導入されるため、例えば、ドレンフィルタにおいて捕集したドレン水Wを貯留しておいて手動で排水する構成とは異なり、煩雑なメンテナンス作業が不要となるだけでなく、貯留したドレン水Wを排水するのを忘れて最大貯留量を超えたドレン水Wが圧縮空気Aと共に排出される事態を確実に回避することができる。さらに、ドレンフィルタ52において捕集したドレン水Wだけを別個に油水分離処理(浄化処理)する必要がない分だけ、利用者の負担を十分に軽減することができる。
【0053】
また、この油水分離装置1A,1Bによれば、ドレン水Wに含まれている油分を吸着して除去する「フィルタ」を備えて「油水分離処理部」を構成したことにより、前述した油水分離装置1と同様の効果を奏することができる。
【0054】
なお、気液分離槽12aおよび前処理フィルタ13aを相互に接続する送水用配管70や、前処理フィルタ13aおよび後処理フィルタ14aを相互に接続する送水用配管80に接続用配管60a,60bを接続した構成の油水分離装置1A,1Bを例に挙げて説明したが、「ドレンフィルタ52におけるドレン水の排水口」を接続するのは、油水分離装置1A,1Bにおける送水用配管70,80の位置に限定されない。具体的には、気液分離槽12aにおけるドレン水Wの送水口から、後処理フィルタ14aにおける油吸着材44や不織布45による油分吸着処理が完了する位置よりも上流側の位置までの間の任意の位置に接続用配管60aを接続する構成を採用することができる。より具体的には、一例として、前処理フィルタ13aにおけるドレン水の流路に沿った中間部位に接続用配管60aを接続したり、後処理フィルタ14aにおけるドレン水の流路に沿った中間部位に接続用配管60bを接続したりすることができる。このような構成を採用した場合においても、上記の油水分離装置1A,1Bと同様の効果を奏することができる。
【0055】
また、「気液分離槽における排気口と圧力調整弁との間、および圧力調整弁における圧縮空気の放出口の少なくとも一方」の一例として、気液分離槽12(または、気液分離槽12a)における排気口26と圧力調整弁51との間にドレンフィルタ52を設けた圧力調整装置15を備えた油水分離装置1,1A,1Bを例に挙げて説明したが、「ドレンフィルタ」の配設位置はこれに限定されない。具体的には、上記の構成に代えて、「圧力調整弁51の放出口」に「ドレンフィルタ52」を設ける構成や、「気液分離槽12(または、気液分離槽12a)における排気口26と圧力調整弁51との間」および「圧力調整弁51の放出口」の双方に「ドレンフィルタ52」を設ける構成を採用することもできる(図示せず)。このような構成においても、上記の油水分離装置1,1A,1Bと同様の効果を奏することができる。
【0056】
さらに、前処理フィルタ13,13aによる前処理の後に、後処理フィルタ14,14aによる後処理を実施する(前処理および後処理の2段階で油分を除去する)構成の油水分離装置1,1A,1Bを例に挙げて説明したが、前処理および後処理を分けずに、「気液分離槽」において分離されたドレン水Wが、1つの「フィルタ」を1回だけ通過する際に油分が除去される構成や、3つの「フィルタ」を1回ずつ通過する際に油分が除去される構成を採用することもできる。また、「フィルタ」に代えて、または、「フィルタ」に加えて、比重差によって油分と水分とを分離させる「油水分離槽」を「油水分離処理部」として備えて「油水分離装置」を構成することもできる(図示せず)。
【符号の説明】
【0057】
1,1A,1B 油水分離装置
12,12a 気液分離槽
13,13a 前処理フィルタ
14,14a 後処理フィルタ
15 圧力調整装置
21 外筒
22 内筒
22a 隙間
23 仕切板
23a 接続用配管
23b,27a 排水弁
25 導入口
26 排気口
27 排水口
33,43 エマルション破壊シート
34,44 油吸着材
35,45 不織布
41 筒体
42 天板
42a 排水口
50a,50b,60a,60b 接続用配管
51 圧力調整弁
52 ドレンフィルタ
53 ドレントラップ
54 逆止弁
70,80 送水用配管
300 供給用配管
400 排水用ホース
A 圧縮空気
W ドレン水
WA 混合流体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ドレン水および圧縮空気が混ざり合った混合流体を当該ドレン水および当該圧縮空気に分離させる気液分離槽と、当該気液分離槽内の圧力が規定圧力に達したときに当該気液分離槽内の前記分離された圧縮空気を放出して当該気液分離槽内の圧力を低下させる圧力調整弁とを備えて構成された気液分離装置であって、
前記気液分離槽は、前記混合流体を導入する導入口、前記分離されたドレン水を送水する送水口、および前記分離された圧縮空気を前記圧力調整弁に向けて排気する排気口が設けられた圧力容器で構成され、
前記気液分離槽における前記排気口と前記圧力調整弁との間、および当該圧力調整弁における前記圧縮空気の放出口の少なくとも一方には、前記分離された圧縮空気と共に前記排気口から排出された前記ドレン水を捕集して排出するドレンフィルタが配設され、
前記ドレンフィルタにおける前記ドレン水の排水口は、前記気液分離槽における前記導入口に接続されて前記混合流体を当該気液分離槽に供給する供給用配管と、当該気液分離槽とのいずれかに接続用配管を介して接続され、
前記接続用配管には、前記ドレンフィルタから当該接続用配管への向きの前記ドレン水の排出を許容する逆止弁が配設されている気液分離装置。
【請求項2】
請求項1記載の気液分離装置と、前記気液分離槽における前記送水口に接続されて当該気液分離槽から送水された前記ドレン水を水分および油分に分離させる油水分離処理部とを備えて構成されている油水分離装置。
【請求項3】
前記油水分離処理部は、前記ドレン水に含まれている前記油分を吸着して除去するフィルタを備えて構成されている請求項2記載の油水分離装置。
【請求項4】
ドレン水および圧縮空気が混ざり合った混合流体を当該ドレン水および当該圧縮空気に分離させる気液分離槽と、当該気液分離槽内の圧力が規定圧力に達したときに当該気液分離槽内の前記分離された圧縮空気を放出して当該気液分離槽内の圧力を低下させる圧力調整弁と、前記気液分離槽から送水された前記ドレン水を水分および油分に分離させる油水分離処理部とを備えて構成された油水分離装置であって、
前記気液分離槽は、前記混合流体を導入する導入口、前記分離されたドレン水を前記油水分離処理部に向けて送水する送水口、および前記分離された圧縮空気を前記圧力調整弁に向けて排気する排気口が設けられた圧力容器で構成され、
前記気液分離槽における前記排気口と前記圧力調整弁との間、および当該圧力調整弁における前記圧縮空気の放出口の少なくとも一方には、前記分離された圧縮空気と共に前記排気口から排出された前記ドレン水を捕集して排出するドレンフィルタが配設され、
前記ドレンフィルタにおける前記ドレン水の排水口は、前記ドレン水の流路における前記気液分離槽の前記送水口から前記油水分離処理部における前記水分および前記油分の最終分離処理位置よりも上流側の位置までの間の任意の位置に接続用配管を介して接続され、
前記ドレンフィルタの前記排水口および接続用配管のいずれかには、規定量の前記ドレン水が貯留されたときに当該貯留されたドレン水の通過を許容するドレントラップが配設されている油水分離装置。
【請求項5】
前記油水分離処理部は、前記ドレン水に含まれている前記油分を吸着して除去するフィルタを備えて構成されている請求項4記載の油水分離装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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