気液加圧溶解混合器
【課題】 コストを低減できる気液加圧溶解混合器を提供する。
【解決手段】 水および空気の混合流が導入される導入口を有し、内部で気液溶解が行われる上部通路3Aと、上部通路3Aの下方に間隔を隔てて配置され、気液溶解された加圧液が貯留されるとともに加圧液の外部への取出口を有する下部通路3Bと、上部通路3Aの後端から下方に立ち下がるとともに、上下部通路3A、3Bを上下方向に連通する立ち下がり通路3Cとから気液加圧溶解混合器3を構成する。各通路3A、3B、3Cは、それぞれ角パイプを所定の長さに切断することにより構成されており、上部通路3Aの後端および下部通路3Cの上端、ならびに立ち下がり通路3Cの下端および下部通路3Bの後端がそれぞれ溶接により接合されている(接合面W1およびW2)。
【解決手段】 水および空気の混合流が導入される導入口を有し、内部で気液溶解が行われる上部通路3Aと、上部通路3Aの下方に間隔を隔てて配置され、気液溶解された加圧液が貯留されるとともに加圧液の外部への取出口を有する下部通路3Bと、上部通路3Aの後端から下方に立ち下がるとともに、上下部通路3A、3Bを上下方向に連通する立ち下がり通路3Cとから気液加圧溶解混合器3を構成する。各通路3A、3B、3Cは、それぞれ角パイプを所定の長さに切断することにより構成されており、上部通路3Aの後端および下部通路3Cの上端、ならびに立ち下がり通路3Cの下端および下部通路3Bの後端がそれぞれ溶接により接合されている(接合面W1およびW2)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、加圧下で気液溶解を行う気液加圧溶解混合器に関し、詳細には、接合長さを短くしてコストを低減した気液加圧溶解混合器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、気体を液体に溶解させる気液溶解混合器が用いられている。たとえば特開平9−173804号公報に示す気液溶解混合器は、同公報の図18および図20に示すように、隔壁を隔てて上下に配置され、気体が充填された上部および下部通路を有しており、上部通路には、外部から液体を供給するためのノズルが設けられ、下部通路には、液体を外部に取り出すための流出口が設けられている。
【0003】
運転時には、ノズルから上部通路内に液体が噴射され、加圧状態下で気液溶解が行われた後、気体が溶解した液体が下部通路の流出口から取り出されている。
【0004】
気液溶解混合器の各通路は、たとえば板金を折り曲げて溶接することにより構成されている。図10および図11は、このようにして構成された従来の気液溶解混合器を示している。図10(a)は気液溶解混合器の側面図、同図(b)はその正面図、図11は断面図である。
【0005】
これらの図に示すように、気液溶解混合器100は、板金101、102をそれぞれコ字状に折り曲げて上下に重ね合わせ、板金101の下端縁を板金102の上面に溶接するとともに、板金101、102の前後端にそれぞれエンドプレート101e、101fおよび102e、102fを配置して、これらのエンドプレートを板金101、102に溶接し、さらに、板金102の下部にボトムプレート102gを配置して、これを板金102の下端縁に溶接することにより構成されている。
【0006】
このようにコ字状に折り曲げられた板金101、102によって、それぞれ上部通路101Aおよび下部通路102Aが形成されている。また、エンドプレート101eには、液体供給用のノズル101cが取り付けられ、エンドプレート102eには、液体流出用の流出口102cが取り付けられている。板金102の上面には、開孔102aが穿孔されており、開孔102aを介して上部通路101Aおよび下部通路102Aが連通している。
【特許文献1】特開平9−173804号公報(図18および図20参照)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
前記従来の気液溶解混合器は、板金で構成されており、したがって、たとえば板金101、102を長手方向にわたって溶接する必要があり、このため、溶接長さ(溶接周長)が長くなって、生産性が悪く、コストが高かった。
【0008】
本発明が解決しようとする課題は、コストを低減できる気液加圧溶解混合器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
請求項1の発明に係る気液加圧溶解混合器は、外部から少なくとも液体が導入される導入口を有し、内部で気液溶解が行われる第1の通路と、第1の通路の下方に第1の通路から間隔を隔てて配置され、気液溶解された加圧液が貯留されるとともに加圧液の外部への取出口を有する第2の通路と、第1の通路の後端から下方に立ち下がるとともに、第1、第2の通路を上下方向に連通する第3の通路とを備えており、第1、第2および第3の通路がそれぞれ中空材から構成されており、第1の通路の後端および第3の通路の上端、ならびに第3の通路の下端および第2の通路の後端が接合されている。
【0010】
請求項1の発明によれば、第1、第2および第3の通路がそれぞれ中空材から構成されており、このため、各通路を成形するための曲げ加工が不要である。また、第1の通路から間隔を隔てて第2の通路を設けるとともに、第1、第2の通路を上下方向に連通する第3の通路を設け、第1の通路の後端および第3の通路の上端、ならびに第3の通路の下端および第2の通路の後端をそれぞれ接合するようにしたので、第1および第2の通路の全長にわたって接合する必要がなくなり、これにより、接合長さを短くでき、コストを低減できる。
【0011】
なお、従来は接合長さが長かったため、溶接により接合する際には、溶接時の板金の変形を防止するために、板金の板厚を或る程度厚くする必要があったが、本願発明では、接合長さが短くなったことで、溶接により接合する際には、板厚の薄い材料の使用が可能になり、これにより、コストを一層低減できる。
【0012】
請求項2の発明では、請求項1において、第1、第2および第3の通路が略コ字状に配設されている。
【0013】
請求項3の発明では、請求項1または2において、余剰気体を排出するための上方に延びる第4の通路が第2の通路の先端に設けられている。
【発明の効果】
【0014】
以上のように、本発明に係る気液加圧溶解混合器によれば、第1、第2および第3の通路がそれぞれ中空材から構成されており、第1の通路から間隔を隔てて第2の通路を設け、第1、第2の通路を上下方向に連通する第3の通路を設けるとともに、第1の通路の後端および第3の通路の上端、ならびに第3の通路の下端および第2の通路の後端を接合するようにしたので、第1および第2の通路の全長にわたって接合する必要がなくなり、これにより、接合長さを短くでき、コストを低減できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明の実施例を添付図面に基づいて説明する。
【0016】
図1ないし図9Cは、本発明の一実施例による気液加圧溶解混合器を説明するための図であって、図1は本実施例による気液加圧溶解混合器が適用された微細気泡製造装置の概略構成図、図2は混気ポンプおよび気液加圧溶解混合器の正面図、図3はその側面図、図4は気液加圧溶解混合器の作動を説明するための内部構造図、図5(a)は気液加圧溶解混合器の側面図、同図(b)はその正面図、図6は気液加圧溶解混合器の断面図、図7および図8は気液加圧溶解混合器を構成する各角パイプの材料取りの一例を示す図、図9Aは気液加圧溶解混合器をドッグバスに一体に取り付けて全体をユニット化した装置の平面図、図9Bはその正面図、図9Cは右側面図である。
【0017】
図1に示すように、微細気泡製造装置1は、液体(ここでは水)および気体(ここでは空気)を吸引してこれらの混合流を吐出する混気ポンプ2と、混気ポンプ2から吐出された水および空気の混合流が導入されるとともに、水中に微細気泡(マイクロバブル)の気泡核を発生させることにより、空気を水中に溶解・混合させる気液加圧溶解混合器(ミキシングボックス)3と、気液加圧溶解混合器3に接続され、減圧器としての固定絞りを有するシャワーヘッド4とを備えている。
【0018】
混気ポンプ2の吸入側には、水を吸入するための配管20と、空気を吸入するための配管21とがコネクタ22を介して接続されている。配管20の先端には、ストレーナ20aが接続されている。ストレーナ20aとしては、メンテナンス性の観点から、たとえば円盤ストレーナなどのように、配管を分解せずに外部から容易に洗浄できるものが好ましい。ストレーナ20aは、たとえばドッグバス等のペット用洗浄槽や浴槽などに浸漬されている。配管21には、先端側から順に、フィルタ21a、逆止弁21b、絞り21cが接続されている。ここで、逆止弁21bは、混気ポンプ2の停止時に、フィルタ21a側に流体が逆流するのを防止するために設けられている。また、絞り21cは、流入する空気量を制限するために設けられている。
【0019】
気液加圧溶解混合器3は、各々水平方向に配設されかつ上下方向の間隔を隔てて対向配置された上部通路(第1の通路)3Aおよび下部通路(第2の通路)3Bと、上部通路3Aの後端から下方に立ち下るとともに、上下部通路3A、3Bを連結する立下り通路(第3の通路)3Cとを有しており、全体が正面視略コ字状に形成されている。また、下部通路3Bの先端には、上方に短く延びる通路(第4の通路)3Dが設けられている。
【0020】
気液加圧溶解混合器3が略コ字状に形成されることにより、図2および図3に示すように、気液加圧溶解混合器3の側方のスペースに混気ポンプ2を配置することで、装置全体を小型化できる。また、このとき、気液加圧溶解混合器3の上部通路3A、下部通路3Bおよび立下り通路3C間に形成される空間3Sを配管のためのスペースとして有効利用することにより、装置全体をさらに小型化できる。
【0021】
上部通路3Aの先端と混気ポンプ2の吐出側との間には、混気ポンプ2から吐出された水および空気の混合流を上部通路3Aに導くための配管23およびノズル23aが配設されており、上部通路3Aの先端には、コネクタ(導入口)23bが接続されている。ノズル23aは、水および空気の混合流を所定の流速(好ましくは5〜15m/s)の噴流(ジェット水流)WAとして上部通路3A内に流入させるために設けられている(図4参照)。なお、図4では、図示の便宜上、ノズル23aが上部通路3Aの先端に直接取り付けられた状態が示されている。
【0022】
気液加圧溶解混合器3の下部通路3Bの先端には、当該気液加圧溶解混合器3内で処理されて、空気が加圧溶解された加圧水を流出させるための配管30がコネクタ(取出口)30aを介して接続されている(図4参照)。配管30には、シャワーヘッド4が接続されている。下部通路3Bの下部には、ドレン用の配管31がコネクタ31aを介して接続されている。配管31は、装置の未使用時に気液加圧溶解混合器3内部に残った水を抜くためのものである。
【0023】
気液加圧溶解混合器3の上部通路3Aの上部には、排気用の配管33がコネクタ33cを介して接続されている(図4参照)。この配管33は、当該微細気泡製造装置1の停止時に、気液加圧溶解混合器3の内部で膨張しようとする気体を抜くためのものであり、配管33の先端にはサイレンサー33aが接続されている。また、配管33の途中には、電磁弁33bが設けられている。電磁弁33bや混気ポンプ2は、混気ポンプ2の上方で気液加圧溶解混合器3の側方の領域200(図3参照)に配置される制御部によって、電源の投入(ON)および切断(OFF)の制御が行われる。電磁弁33bは、図示するように、たとえば2ポート2位置切換弁であって、この場合、電源をONしたときに、管路が開いてサイレンサー33a側への排気が行われるようになっている。また、電磁弁33bの「開」動作は、好ましくは、混気ポンプ2のOFF動作と連動するようになっている。逆に言うと、混気ポンプ2のON動作時には、電磁弁33bが「閉」となって、管路が閉じた状態になっている。
【0024】
図4に示すように、気液加圧溶解混合器3の上部通路3Aに対するノズル23aの取付位置は、ノズル23aから噴出するジェット水流WAが上部通路3A内の水面WLに干渉する位置が好ましい。これにより、上部通路3A内では、水と空気が完全な混合状態となって、気液溶解および気泡核の生成が効率的に行われる。
【0025】
上部通路3Aの水平方向長さLは、ノズル23aからのジェット水流WAが失速しない長さにするのが好ましい。この長さLは、ジェット水流WAの流速をuとし、ノズル23aの取付高さをhとするとき、次式により求まる。
L<0.45u√h
【0026】
下部通路3Bの水平方向長さL’は、下部通路3Bの入口(図4右端)で底に沈んだ大きめの気泡が下部通路3Bを左方に移動する間に上昇し得る十分な長さを有していればよい。この長さL’は、下部通路3B内の流速をw、気泡の上昇速度をv、下部通路3Bの高さをkとするとき、次式により求まる。
L’>kw/v
【0027】
立下り通路3Cの鉛直方向長さは、気泡の生成にほとんど影響を与えないことが実験的に確認されているため、任意の長さでよい。
【0028】
通路3Dは、その管路全体の50%以上が上方に突出しているのが好ましい。通路3Dの上部には、コネクタ32bが接続されている。コネクタ32bには、気液加圧溶解混合器3内の余剰気体(余気)を排出するための空気抜き弁32aを介して配管32が接続されている(図4参照)。
【0029】
図1ないし図3に示すように、排気用の配管33を気液加圧溶解混合器3の最も高い位置に接続したのは、第1に、空気が上方から抜きやすいためであり、第2に、仮に配管33を低い位置に接続した場合、装置の設置状態によっては装置停止後にサイホンの原理で気液加圧溶解混合器3内部の水が外部に流れ続けることになるので、これを防止するためである。
【0030】
シャワーヘッド4は、配管30の先端に固定された接続金具にネジ止め固定されるようになっている。シャワーヘッド4の端部と接続金具との間には、固定絞り(図示せず)が介装されている。
【0031】
気液加圧溶解混合器3は、図5および図6に示すように、たとえば角パイプを所定の長さに切断したものを溶接により接合することによって構成されている。すなわち、上部通路3Aを構成する角パイプ部分は、一端がパイプ中心線に対して45度をなす斜め方向に切断されており(切断面W1)、下部通路3Bおよび立ち下がり通路3Cをそれぞれ構成する各角パイプ部分はいずれも両端がパイプ中心線に対して45度をなす斜め方向に切断されている(切断面W2、W3および切断面W1、W2)。また、通路3Dを構成する角パイプ部分は、一端がパイプ中心線に対して45度をなす斜め方向に切断されている(切断面W3)。このように、角パイプを用いて各通路を構成することにより、板金の曲げ加工が不要になる。
【0032】
各切断面W1、W2およびW3はまた、溶接による接合面を示している。すなわち、この場合には、上部通路3Aの後端および立ち下り通路3Bの上端、立ち下り通路3Bの下端および下部通路3Bの後端、ならびに下部通路3Bの先端および通路3Dの下端がそれぞれ溶接により接合されている。
【0033】
これにより、上部および下部通路3A、3Bの全長にわたって溶接する必要がなくなり、これにより、溶接長さを短くでき、コストを低減できる。
【0034】
なお、従来は溶接長さが長かったため、溶接時の板金の変形を防止するために、板金の板厚を或る程度厚くする必要があったが、本実施例では、溶接長さが短くなったことで、板厚の薄い材料の使用が可能になる。これにより、コストを一層低減できる。
【0035】
ここで、気液加圧溶解混合器3を製作する際の各角パイプの材料取りの一例を図7および図8を用いて説明する。
【0036】
まず、図8に示すように、一本の角パイプ50を用意し、これを端から順に、部分I、II、III、IVに切断していく。このとき、各部分の切断面がパイプ中心線に対してなす角度は、鋭角側で測って、45度、−45度、45度になるようにする。また、角パイプ50とは別個に、コネクタ23bが固定されたエンドプレート3e、およびコネクタ32bが固定されたエンドプレート3fをそれぞれ用意する。
【0037】
次に、角パイプ50を切断して得られた各部分I、II、III、IVを、図7に示すように配置して、隣り合う各部分の合わせ面W1、W2およびW3を溶接により接合する。これにより、各部分I、II、III、IVがそれぞれ上部通路3A、立ち下り通路3C、下部通路3B、通路3Dを構成することになる。また、部分Iの先端側の開口には、エンドプレート3eが配置されて、溶接により部分Iに接合される。同様に、部分IVの先端側の開口には、エンドプレート3fが配置されて、溶接により部分IVに接合される。このようにして、気液加圧溶解混合器3が製作される。
【0038】
次に、上述のように構成された気液加圧溶解混合器3の作動について説明する。
【0039】
配管20、21から吸引された水および空気は、コネクタ22で合流して、混気ポンプ2内に流入する。混気ポンプ2内に流入した水および空気は、混気ポンプ2で加圧され、配管23およびノズル23aを通って気液加圧溶解混合器3内に噴出される。このとき、噴出される水および空気の混合流の流速は、好ましくは、5〜15m/sに設定される。
【0040】
気液加圧溶解混合器3の上部通路3Aの内部では、加圧状態下で空気が水に徐々に溶解して気液溶解が起こる。このとき、析出気泡の元となる気泡核(粒径1μm以下の微小気泡)が形成される。気泡核を含む水は、立下り通路3Cを通って下方に落下し、下部通路3B内に流入する。
【0041】
下部通路3B内では、水に溶解できなかった余剰気体35が、通路3Dを通る間に上方に移動し、空気抜き弁32aを通って外部に排出されることにより、空気が加圧溶解した、気泡核を含む加圧水が余剰気体から分離されることになる。
【0042】
加圧水は、コネクタ30aから配管30を通って気液加圧溶解混合器3の外部に取り出され、シャワーヘッド4に導入される。加圧水は、シャワーヘッド4の固定絞りを通るときに急激に減圧され、その結果、過飽和状態となっていた気体が析出することで、シャワーヘッド4内に、粒径が数μから数十μの微細気泡(マイクロバブル)が発生して、これらの微細気泡が水中に均一に分散した気泡水が生成される。気泡水は、シャワーヘッド4の多数のノズル孔から噴出する。
【0043】
シャワーヘッド4から放出される気泡水は、多量の微細気泡を含んでいるので、このような気泡水を体に浴びることで、体表面の汚れが微細気泡とともに除去される。また、このとき、微細気泡の粒径が毛穴よりも小さいため、微細気泡が毛穴の奥まで入り込んで、毛穴内部の洗浄も行える。
【0044】
このように本実施例によれば、上部通路3A、下部通路3B、立ち下がり通路3Cおよび通路3Dが角パイプを所定の長さに切断することにより構成されているため、各通路を成形するための曲げ加工が不要である。また、上部通路3Aの後端および立ち下がり通路3Cの上端、ならびに立ち下がり通路3Cの下端および下部通路3Bの後端がそれぞれ溶接により接合されるので、上部および下部通路3A、3Bの全長にわたって溶接する必要がなくなり、これにより、溶接長さを短くでき、コストを低減できる。
【0045】
ところで、従来は溶接長さが長かったため、溶接時の板金の変形を防止するために、板金の板厚を或る程度厚くする必要があったが、本実施例では、溶接長さが短くなったことで、板厚の薄い材料の使用が可能になり、これにより、コストを一層低減できる。
【0046】
なお、前記実施例では、気液加圧溶解混合器3に液体および気体の混合流が導入される例を示したが、本発明の適用はこれに限定されない。気液加圧溶解混合器3の内部に気体を充填した状態で、外部から液体のみを導入するようにしてもよい。
【0047】
また、前記実施例では、上部通路3A、下部通路3Bおよび立ち下がり通路3Cが角パイプから構成された例を示したが、本発明の適用は角パイプには限定されず、円筒状のパイプでもよく、さらに、中空材であれば、任意の断面形状のものを採用し得る。
【0048】
次に、図9Aないし図9Cは、本発明による気液加圧溶解混合器をドッグバス等の浴槽に一体に取り付けて全体をユニット化した例を示しており、図9Aは当該ユニットの平面図、図9Bは正面図、図9Cは右側面図である。なお、これらの図において、前記各実施例と同一符号は同一または相当部分を示しているが、図示の便宜上、配管の一部は省略している。
【0049】
前記実施例では、気液加圧溶解混合器3の上部通路3A、下部通路3Bおよび立下り通路3Cが同一面内に配置されて全体がコ字状に配設された例を示したが、ここでは、図9Aないし図9Cに示すように、気液加圧溶解混合器3’の上部通路3’A、下部通路3’Bおよび立下り通路3’Cは同一面内に設けられていない。各図に示すような向きにX軸、Y軸およびZ軸をそれぞれとるとき、上部通路3’AはX軸方向に配設され、下部通路3’BはY軸方向に配設され、立下り通路3’CはZ軸方向に配設されている。
【0050】
気液加圧溶解混合器3’の各通路3’A、3’B、3’Cをこのような向きに配設することにより、吐出側の配管30はドッグバス5の正面側の側面に沿って配設され、給水側の配管23はドッグバス5の右側の側面に沿って配設されるので、各配管23、30が互いに干渉することなく、配管を行えるようになるとともに、ドッグバス5の角部を有効利用してユニット全体をコンパクトに構成できるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【図1】本発明の一実施例による気液加圧溶解混合器を含む微細気泡製造装置の概略構成図である。
【図2】微細気泡製造装置を構成する混気ポンプおよび気液加圧溶解混合器の正面図である。
【図3】微細気泡製造装置を構成する混気ポンプおよび気液加圧溶解混合器の側面図である。
【図4】気液加圧溶解混合器の作動を説明するための内部構造図である。
【図5】(a)は気液加圧溶解混合器の側面図、(b)はその正面図である。
【図6】気液加圧溶解混合器の断面図である。
【図7】気液加圧溶解混合器を構成する各角パイプの材料取りの一例を示す図である。
【図8】気液加圧溶解混合器を構成する各角パイプの材料取りの一例を示す図である。
【図9A】微細気泡製造装置をドッグバスに一体に取り付けて全体をユニット化した装置の平面図である。
【図9B】図9Aの装置の正面図である。
【図9C】図9Aの装置の右側面図である。
【図10】(a)は従来の気液加圧溶解混合器の側面図、(b)はその正面図である。
【図11】従来の気液加圧溶解混合器の断面図である。
【符号の説明】
【0052】
3: 気液加圧溶解混合器
3A: 上部通路(第1の通路)
3B: 下部通路(第2の通路)
3C: 立下り通路(第3の通路)
3D: 通路(第4の通路)
23b: コネクタ(導入口)
30a: コネクタ(取出口)
【技術分野】
【0001】
本発明は、加圧下で気液溶解を行う気液加圧溶解混合器に関し、詳細には、接合長さを短くしてコストを低減した気液加圧溶解混合器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、気体を液体に溶解させる気液溶解混合器が用いられている。たとえば特開平9−173804号公報に示す気液溶解混合器は、同公報の図18および図20に示すように、隔壁を隔てて上下に配置され、気体が充填された上部および下部通路を有しており、上部通路には、外部から液体を供給するためのノズルが設けられ、下部通路には、液体を外部に取り出すための流出口が設けられている。
【0003】
運転時には、ノズルから上部通路内に液体が噴射され、加圧状態下で気液溶解が行われた後、気体が溶解した液体が下部通路の流出口から取り出されている。
【0004】
気液溶解混合器の各通路は、たとえば板金を折り曲げて溶接することにより構成されている。図10および図11は、このようにして構成された従来の気液溶解混合器を示している。図10(a)は気液溶解混合器の側面図、同図(b)はその正面図、図11は断面図である。
【0005】
これらの図に示すように、気液溶解混合器100は、板金101、102をそれぞれコ字状に折り曲げて上下に重ね合わせ、板金101の下端縁を板金102の上面に溶接するとともに、板金101、102の前後端にそれぞれエンドプレート101e、101fおよび102e、102fを配置して、これらのエンドプレートを板金101、102に溶接し、さらに、板金102の下部にボトムプレート102gを配置して、これを板金102の下端縁に溶接することにより構成されている。
【0006】
このようにコ字状に折り曲げられた板金101、102によって、それぞれ上部通路101Aおよび下部通路102Aが形成されている。また、エンドプレート101eには、液体供給用のノズル101cが取り付けられ、エンドプレート102eには、液体流出用の流出口102cが取り付けられている。板金102の上面には、開孔102aが穿孔されており、開孔102aを介して上部通路101Aおよび下部通路102Aが連通している。
【特許文献1】特開平9−173804号公報(図18および図20参照)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
前記従来の気液溶解混合器は、板金で構成されており、したがって、たとえば板金101、102を長手方向にわたって溶接する必要があり、このため、溶接長さ(溶接周長)が長くなって、生産性が悪く、コストが高かった。
【0008】
本発明が解決しようとする課題は、コストを低減できる気液加圧溶解混合器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
請求項1の発明に係る気液加圧溶解混合器は、外部から少なくとも液体が導入される導入口を有し、内部で気液溶解が行われる第1の通路と、第1の通路の下方に第1の通路から間隔を隔てて配置され、気液溶解された加圧液が貯留されるとともに加圧液の外部への取出口を有する第2の通路と、第1の通路の後端から下方に立ち下がるとともに、第1、第2の通路を上下方向に連通する第3の通路とを備えており、第1、第2および第3の通路がそれぞれ中空材から構成されており、第1の通路の後端および第3の通路の上端、ならびに第3の通路の下端および第2の通路の後端が接合されている。
【0010】
請求項1の発明によれば、第1、第2および第3の通路がそれぞれ中空材から構成されており、このため、各通路を成形するための曲げ加工が不要である。また、第1の通路から間隔を隔てて第2の通路を設けるとともに、第1、第2の通路を上下方向に連通する第3の通路を設け、第1の通路の後端および第3の通路の上端、ならびに第3の通路の下端および第2の通路の後端をそれぞれ接合するようにしたので、第1および第2の通路の全長にわたって接合する必要がなくなり、これにより、接合長さを短くでき、コストを低減できる。
【0011】
なお、従来は接合長さが長かったため、溶接により接合する際には、溶接時の板金の変形を防止するために、板金の板厚を或る程度厚くする必要があったが、本願発明では、接合長さが短くなったことで、溶接により接合する際には、板厚の薄い材料の使用が可能になり、これにより、コストを一層低減できる。
【0012】
請求項2の発明では、請求項1において、第1、第2および第3の通路が略コ字状に配設されている。
【0013】
請求項3の発明では、請求項1または2において、余剰気体を排出するための上方に延びる第4の通路が第2の通路の先端に設けられている。
【発明の効果】
【0014】
以上のように、本発明に係る気液加圧溶解混合器によれば、第1、第2および第3の通路がそれぞれ中空材から構成されており、第1の通路から間隔を隔てて第2の通路を設け、第1、第2の通路を上下方向に連通する第3の通路を設けるとともに、第1の通路の後端および第3の通路の上端、ならびに第3の通路の下端および第2の通路の後端を接合するようにしたので、第1および第2の通路の全長にわたって接合する必要がなくなり、これにより、接合長さを短くでき、コストを低減できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明の実施例を添付図面に基づいて説明する。
【0016】
図1ないし図9Cは、本発明の一実施例による気液加圧溶解混合器を説明するための図であって、図1は本実施例による気液加圧溶解混合器が適用された微細気泡製造装置の概略構成図、図2は混気ポンプおよび気液加圧溶解混合器の正面図、図3はその側面図、図4は気液加圧溶解混合器の作動を説明するための内部構造図、図5(a)は気液加圧溶解混合器の側面図、同図(b)はその正面図、図6は気液加圧溶解混合器の断面図、図7および図8は気液加圧溶解混合器を構成する各角パイプの材料取りの一例を示す図、図9Aは気液加圧溶解混合器をドッグバスに一体に取り付けて全体をユニット化した装置の平面図、図9Bはその正面図、図9Cは右側面図である。
【0017】
図1に示すように、微細気泡製造装置1は、液体(ここでは水)および気体(ここでは空気)を吸引してこれらの混合流を吐出する混気ポンプ2と、混気ポンプ2から吐出された水および空気の混合流が導入されるとともに、水中に微細気泡(マイクロバブル)の気泡核を発生させることにより、空気を水中に溶解・混合させる気液加圧溶解混合器(ミキシングボックス)3と、気液加圧溶解混合器3に接続され、減圧器としての固定絞りを有するシャワーヘッド4とを備えている。
【0018】
混気ポンプ2の吸入側には、水を吸入するための配管20と、空気を吸入するための配管21とがコネクタ22を介して接続されている。配管20の先端には、ストレーナ20aが接続されている。ストレーナ20aとしては、メンテナンス性の観点から、たとえば円盤ストレーナなどのように、配管を分解せずに外部から容易に洗浄できるものが好ましい。ストレーナ20aは、たとえばドッグバス等のペット用洗浄槽や浴槽などに浸漬されている。配管21には、先端側から順に、フィルタ21a、逆止弁21b、絞り21cが接続されている。ここで、逆止弁21bは、混気ポンプ2の停止時に、フィルタ21a側に流体が逆流するのを防止するために設けられている。また、絞り21cは、流入する空気量を制限するために設けられている。
【0019】
気液加圧溶解混合器3は、各々水平方向に配設されかつ上下方向の間隔を隔てて対向配置された上部通路(第1の通路)3Aおよび下部通路(第2の通路)3Bと、上部通路3Aの後端から下方に立ち下るとともに、上下部通路3A、3Bを連結する立下り通路(第3の通路)3Cとを有しており、全体が正面視略コ字状に形成されている。また、下部通路3Bの先端には、上方に短く延びる通路(第4の通路)3Dが設けられている。
【0020】
気液加圧溶解混合器3が略コ字状に形成されることにより、図2および図3に示すように、気液加圧溶解混合器3の側方のスペースに混気ポンプ2を配置することで、装置全体を小型化できる。また、このとき、気液加圧溶解混合器3の上部通路3A、下部通路3Bおよび立下り通路3C間に形成される空間3Sを配管のためのスペースとして有効利用することにより、装置全体をさらに小型化できる。
【0021】
上部通路3Aの先端と混気ポンプ2の吐出側との間には、混気ポンプ2から吐出された水および空気の混合流を上部通路3Aに導くための配管23およびノズル23aが配設されており、上部通路3Aの先端には、コネクタ(導入口)23bが接続されている。ノズル23aは、水および空気の混合流を所定の流速(好ましくは5〜15m/s)の噴流(ジェット水流)WAとして上部通路3A内に流入させるために設けられている(図4参照)。なお、図4では、図示の便宜上、ノズル23aが上部通路3Aの先端に直接取り付けられた状態が示されている。
【0022】
気液加圧溶解混合器3の下部通路3Bの先端には、当該気液加圧溶解混合器3内で処理されて、空気が加圧溶解された加圧水を流出させるための配管30がコネクタ(取出口)30aを介して接続されている(図4参照)。配管30には、シャワーヘッド4が接続されている。下部通路3Bの下部には、ドレン用の配管31がコネクタ31aを介して接続されている。配管31は、装置の未使用時に気液加圧溶解混合器3内部に残った水を抜くためのものである。
【0023】
気液加圧溶解混合器3の上部通路3Aの上部には、排気用の配管33がコネクタ33cを介して接続されている(図4参照)。この配管33は、当該微細気泡製造装置1の停止時に、気液加圧溶解混合器3の内部で膨張しようとする気体を抜くためのものであり、配管33の先端にはサイレンサー33aが接続されている。また、配管33の途中には、電磁弁33bが設けられている。電磁弁33bや混気ポンプ2は、混気ポンプ2の上方で気液加圧溶解混合器3の側方の領域200(図3参照)に配置される制御部によって、電源の投入(ON)および切断(OFF)の制御が行われる。電磁弁33bは、図示するように、たとえば2ポート2位置切換弁であって、この場合、電源をONしたときに、管路が開いてサイレンサー33a側への排気が行われるようになっている。また、電磁弁33bの「開」動作は、好ましくは、混気ポンプ2のOFF動作と連動するようになっている。逆に言うと、混気ポンプ2のON動作時には、電磁弁33bが「閉」となって、管路が閉じた状態になっている。
【0024】
図4に示すように、気液加圧溶解混合器3の上部通路3Aに対するノズル23aの取付位置は、ノズル23aから噴出するジェット水流WAが上部通路3A内の水面WLに干渉する位置が好ましい。これにより、上部通路3A内では、水と空気が完全な混合状態となって、気液溶解および気泡核の生成が効率的に行われる。
【0025】
上部通路3Aの水平方向長さLは、ノズル23aからのジェット水流WAが失速しない長さにするのが好ましい。この長さLは、ジェット水流WAの流速をuとし、ノズル23aの取付高さをhとするとき、次式により求まる。
L<0.45u√h
【0026】
下部通路3Bの水平方向長さL’は、下部通路3Bの入口(図4右端)で底に沈んだ大きめの気泡が下部通路3Bを左方に移動する間に上昇し得る十分な長さを有していればよい。この長さL’は、下部通路3B内の流速をw、気泡の上昇速度をv、下部通路3Bの高さをkとするとき、次式により求まる。
L’>kw/v
【0027】
立下り通路3Cの鉛直方向長さは、気泡の生成にほとんど影響を与えないことが実験的に確認されているため、任意の長さでよい。
【0028】
通路3Dは、その管路全体の50%以上が上方に突出しているのが好ましい。通路3Dの上部には、コネクタ32bが接続されている。コネクタ32bには、気液加圧溶解混合器3内の余剰気体(余気)を排出するための空気抜き弁32aを介して配管32が接続されている(図4参照)。
【0029】
図1ないし図3に示すように、排気用の配管33を気液加圧溶解混合器3の最も高い位置に接続したのは、第1に、空気が上方から抜きやすいためであり、第2に、仮に配管33を低い位置に接続した場合、装置の設置状態によっては装置停止後にサイホンの原理で気液加圧溶解混合器3内部の水が外部に流れ続けることになるので、これを防止するためである。
【0030】
シャワーヘッド4は、配管30の先端に固定された接続金具にネジ止め固定されるようになっている。シャワーヘッド4の端部と接続金具との間には、固定絞り(図示せず)が介装されている。
【0031】
気液加圧溶解混合器3は、図5および図6に示すように、たとえば角パイプを所定の長さに切断したものを溶接により接合することによって構成されている。すなわち、上部通路3Aを構成する角パイプ部分は、一端がパイプ中心線に対して45度をなす斜め方向に切断されており(切断面W1)、下部通路3Bおよび立ち下がり通路3Cをそれぞれ構成する各角パイプ部分はいずれも両端がパイプ中心線に対して45度をなす斜め方向に切断されている(切断面W2、W3および切断面W1、W2)。また、通路3Dを構成する角パイプ部分は、一端がパイプ中心線に対して45度をなす斜め方向に切断されている(切断面W3)。このように、角パイプを用いて各通路を構成することにより、板金の曲げ加工が不要になる。
【0032】
各切断面W1、W2およびW3はまた、溶接による接合面を示している。すなわち、この場合には、上部通路3Aの後端および立ち下り通路3Bの上端、立ち下り通路3Bの下端および下部通路3Bの後端、ならびに下部通路3Bの先端および通路3Dの下端がそれぞれ溶接により接合されている。
【0033】
これにより、上部および下部通路3A、3Bの全長にわたって溶接する必要がなくなり、これにより、溶接長さを短くでき、コストを低減できる。
【0034】
なお、従来は溶接長さが長かったため、溶接時の板金の変形を防止するために、板金の板厚を或る程度厚くする必要があったが、本実施例では、溶接長さが短くなったことで、板厚の薄い材料の使用が可能になる。これにより、コストを一層低減できる。
【0035】
ここで、気液加圧溶解混合器3を製作する際の各角パイプの材料取りの一例を図7および図8を用いて説明する。
【0036】
まず、図8に示すように、一本の角パイプ50を用意し、これを端から順に、部分I、II、III、IVに切断していく。このとき、各部分の切断面がパイプ中心線に対してなす角度は、鋭角側で測って、45度、−45度、45度になるようにする。また、角パイプ50とは別個に、コネクタ23bが固定されたエンドプレート3e、およびコネクタ32bが固定されたエンドプレート3fをそれぞれ用意する。
【0037】
次に、角パイプ50を切断して得られた各部分I、II、III、IVを、図7に示すように配置して、隣り合う各部分の合わせ面W1、W2およびW3を溶接により接合する。これにより、各部分I、II、III、IVがそれぞれ上部通路3A、立ち下り通路3C、下部通路3B、通路3Dを構成することになる。また、部分Iの先端側の開口には、エンドプレート3eが配置されて、溶接により部分Iに接合される。同様に、部分IVの先端側の開口には、エンドプレート3fが配置されて、溶接により部分IVに接合される。このようにして、気液加圧溶解混合器3が製作される。
【0038】
次に、上述のように構成された気液加圧溶解混合器3の作動について説明する。
【0039】
配管20、21から吸引された水および空気は、コネクタ22で合流して、混気ポンプ2内に流入する。混気ポンプ2内に流入した水および空気は、混気ポンプ2で加圧され、配管23およびノズル23aを通って気液加圧溶解混合器3内に噴出される。このとき、噴出される水および空気の混合流の流速は、好ましくは、5〜15m/sに設定される。
【0040】
気液加圧溶解混合器3の上部通路3Aの内部では、加圧状態下で空気が水に徐々に溶解して気液溶解が起こる。このとき、析出気泡の元となる気泡核(粒径1μm以下の微小気泡)が形成される。気泡核を含む水は、立下り通路3Cを通って下方に落下し、下部通路3B内に流入する。
【0041】
下部通路3B内では、水に溶解できなかった余剰気体35が、通路3Dを通る間に上方に移動し、空気抜き弁32aを通って外部に排出されることにより、空気が加圧溶解した、気泡核を含む加圧水が余剰気体から分離されることになる。
【0042】
加圧水は、コネクタ30aから配管30を通って気液加圧溶解混合器3の外部に取り出され、シャワーヘッド4に導入される。加圧水は、シャワーヘッド4の固定絞りを通るときに急激に減圧され、その結果、過飽和状態となっていた気体が析出することで、シャワーヘッド4内に、粒径が数μから数十μの微細気泡(マイクロバブル)が発生して、これらの微細気泡が水中に均一に分散した気泡水が生成される。気泡水は、シャワーヘッド4の多数のノズル孔から噴出する。
【0043】
シャワーヘッド4から放出される気泡水は、多量の微細気泡を含んでいるので、このような気泡水を体に浴びることで、体表面の汚れが微細気泡とともに除去される。また、このとき、微細気泡の粒径が毛穴よりも小さいため、微細気泡が毛穴の奥まで入り込んで、毛穴内部の洗浄も行える。
【0044】
このように本実施例によれば、上部通路3A、下部通路3B、立ち下がり通路3Cおよび通路3Dが角パイプを所定の長さに切断することにより構成されているため、各通路を成形するための曲げ加工が不要である。また、上部通路3Aの後端および立ち下がり通路3Cの上端、ならびに立ち下がり通路3Cの下端および下部通路3Bの後端がそれぞれ溶接により接合されるので、上部および下部通路3A、3Bの全長にわたって溶接する必要がなくなり、これにより、溶接長さを短くでき、コストを低減できる。
【0045】
ところで、従来は溶接長さが長かったため、溶接時の板金の変形を防止するために、板金の板厚を或る程度厚くする必要があったが、本実施例では、溶接長さが短くなったことで、板厚の薄い材料の使用が可能になり、これにより、コストを一層低減できる。
【0046】
なお、前記実施例では、気液加圧溶解混合器3に液体および気体の混合流が導入される例を示したが、本発明の適用はこれに限定されない。気液加圧溶解混合器3の内部に気体を充填した状態で、外部から液体のみを導入するようにしてもよい。
【0047】
また、前記実施例では、上部通路3A、下部通路3Bおよび立ち下がり通路3Cが角パイプから構成された例を示したが、本発明の適用は角パイプには限定されず、円筒状のパイプでもよく、さらに、中空材であれば、任意の断面形状のものを採用し得る。
【0048】
次に、図9Aないし図9Cは、本発明による気液加圧溶解混合器をドッグバス等の浴槽に一体に取り付けて全体をユニット化した例を示しており、図9Aは当該ユニットの平面図、図9Bは正面図、図9Cは右側面図である。なお、これらの図において、前記各実施例と同一符号は同一または相当部分を示しているが、図示の便宜上、配管の一部は省略している。
【0049】
前記実施例では、気液加圧溶解混合器3の上部通路3A、下部通路3Bおよび立下り通路3Cが同一面内に配置されて全体がコ字状に配設された例を示したが、ここでは、図9Aないし図9Cに示すように、気液加圧溶解混合器3’の上部通路3’A、下部通路3’Bおよび立下り通路3’Cは同一面内に設けられていない。各図に示すような向きにX軸、Y軸およびZ軸をそれぞれとるとき、上部通路3’AはX軸方向に配設され、下部通路3’BはY軸方向に配設され、立下り通路3’CはZ軸方向に配設されている。
【0050】
気液加圧溶解混合器3’の各通路3’A、3’B、3’Cをこのような向きに配設することにより、吐出側の配管30はドッグバス5の正面側の側面に沿って配設され、給水側の配管23はドッグバス5の右側の側面に沿って配設されるので、各配管23、30が互いに干渉することなく、配管を行えるようになるとともに、ドッグバス5の角部を有効利用してユニット全体をコンパクトに構成できるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【図1】本発明の一実施例による気液加圧溶解混合器を含む微細気泡製造装置の概略構成図である。
【図2】微細気泡製造装置を構成する混気ポンプおよび気液加圧溶解混合器の正面図である。
【図3】微細気泡製造装置を構成する混気ポンプおよび気液加圧溶解混合器の側面図である。
【図4】気液加圧溶解混合器の作動を説明するための内部構造図である。
【図5】(a)は気液加圧溶解混合器の側面図、(b)はその正面図である。
【図6】気液加圧溶解混合器の断面図である。
【図7】気液加圧溶解混合器を構成する各角パイプの材料取りの一例を示す図である。
【図8】気液加圧溶解混合器を構成する各角パイプの材料取りの一例を示す図である。
【図9A】微細気泡製造装置をドッグバスに一体に取り付けて全体をユニット化した装置の平面図である。
【図9B】図9Aの装置の正面図である。
【図9C】図9Aの装置の右側面図である。
【図10】(a)は従来の気液加圧溶解混合器の側面図、(b)はその正面図である。
【図11】従来の気液加圧溶解混合器の断面図である。
【符号の説明】
【0052】
3: 気液加圧溶解混合器
3A: 上部通路(第1の通路)
3B: 下部通路(第2の通路)
3C: 立下り通路(第3の通路)
3D: 通路(第4の通路)
23b: コネクタ(導入口)
30a: コネクタ(取出口)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
加圧下で気液溶解を行うための気液加圧溶解混合器であって、
外部から少なくとも液体が導入される導入口を有し、内部で気液溶解が行われる第1の通路と、
前記第1の通路の下方に前記第1の通路から間隔を隔てて配置され、気液溶解された加圧液が貯留されるとともに加圧液の外部への取出口を有する第2の通路と、
前記第1の通路の後端から下方に立ち下がるとともに、前記第1、第2の通路を上下方向に連通する第3の通路とを備え、
前記第1、第2および第3の通路が、それぞれ中空材から構成されており、前記第1の通路の後端および前記第3の通路の上端、ならびに前記第3の通路の下端および前記第2の通路の後端が接合されている、
ことを特徴とする気液加圧溶解混合器。
【請求項2】
請求項1において、
前記第1、第2および第3の通路が略コ字状に配設されている、
ことを特徴とする気液加圧溶解混合器。
【請求項3】
請求項1または2において、
前記第2の通路の先端には、余剰気体を排出するための、上方に延びる第4の通路が設けられている、
ことを特徴とする気液加圧溶解混合器。
【請求項1】
加圧下で気液溶解を行うための気液加圧溶解混合器であって、
外部から少なくとも液体が導入される導入口を有し、内部で気液溶解が行われる第1の通路と、
前記第1の通路の下方に前記第1の通路から間隔を隔てて配置され、気液溶解された加圧液が貯留されるとともに加圧液の外部への取出口を有する第2の通路と、
前記第1の通路の後端から下方に立ち下がるとともに、前記第1、第2の通路を上下方向に連通する第3の通路とを備え、
前記第1、第2および第3の通路が、それぞれ中空材から構成されており、前記第1の通路の後端および前記第3の通路の上端、ならびに前記第3の通路の下端および前記第2の通路の後端が接合されている、
ことを特徴とする気液加圧溶解混合器。
【請求項2】
請求項1において、
前記第1、第2および第3の通路が略コ字状に配設されている、
ことを特徴とする気液加圧溶解混合器。
【請求項3】
請求項1または2において、
前記第2の通路の先端には、余剰気体を排出するための、上方に延びる第4の通路が設けられている、
ことを特徴とする気液加圧溶解混合器。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9A】
【図9B】
【図9C】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9A】
【図9B】
【図9C】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2009−72663(P2009−72663A)
【公開日】平成21年4月9日(2009.4.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−242481(P2007−242481)
【出願日】平成19年9月19日(2007.9.19)
【出願人】(000000309)IDEC株式会社 (188)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年4月9日(2009.4.9)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年9月19日(2007.9.19)
【出願人】(000000309)IDEC株式会社 (188)
【Fターム(参考)】
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