説明

気液接触用充填材、及び冷却塔

【課題】散布された冷却水を効率よく全て捕捉して、気液接触用充填材を構成する気液接触用シート表面に膜厚が均一で流下速度が均一な液膜の濡壁を形成でき、熱交換効率がよく、小型化、省エネルギー化等が可能な気液接触用充填材、及び冷却塔を提供すること。
【解決手段】気液接触用シート27を多数枚配置し、冷却水により気液接触用シート27の板面に濡壁を形成し、濡壁と外気流の直接接触に伴う潜熱作用により冷却水の温度を下げる気液接触用充填材16であって、冷却水捕捉部29は、各気液接触用シート27の上端から下方の所定範囲に裏表面に凹凸する冷却水捕捉用屈曲部を設けると共に、表面凸部と裏面凸部の間には鉛直方向に見通せる空間がない構成とし、冷却水捕捉部から下方には、冷却水が気液接触用シート27の裏表面に膜厚が均一で流下速度が均一な濡壁が形成できる凹凸面を形成した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、垂直に配置されて複数の気液接触用シートの板面に沿い液体を流下させ、濡壁を形成し、該濡壁と外気流の直接接触に伴う潜熱作用で熱交換により液体の温度を下げる冷却塔、及び該冷却塔に用いる気液接触用充填材に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の気液接触用充填材としては特許文献1乃至特許文献3に開示されたものがある。特許文献1に開示された気液接触用充填材では、散水装置で散布された冷却水によりシートの表面に水膜を形成し流下させるために、冷却水を捕捉する方法として、シートの上部に、その表面側及び裏面側に交互に突出させるか、又は同一の面にのみ突出させた水滴捕捉部を充填材本体の幅方向に沿って所定間隔で多数列設し、このような列を垂直方向にも所定間隔で複数形成したものである。
【0003】
また、特許文献2に開示されたものは、隣接する充填板の頂部縁が所定ピッチで以って略水平に屈曲し形成された散布水受けが各充填板の長手方向で熱交換器の奥行方向に沿い左右交互に間隔をおいて設けてあり、前記散布水受の各先端部は隣接する充填板の頂部縁乃至散布水受と接合乃至当接したものである。
【0004】
また、特許文献3に開示された充填材は、水平線の方向へ蛇行して形成された波板を1つおきに180°回転させて重ね合わせて組み立てた構造の充填材で、波板が背中又は腹合わせで部分的に当接した形状であり、鉛直方向に見通せる空間が無くした構造である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開昭53−58485号公報
【特許文献2】特開2004−278863号公報
【特許文献3】特開昭59−14598号公報
【特許文献4】特開2001−59695号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に開示された気液接触用充填材では、部分的に散布水捕捉部が形成されているため、散布水捕捉部で全散布水を捕捉することができないという問題がある。また、冷却水の多くが途中まで水滴として落下しまうという問題もある。
【0007】
また、特許文献2に開示された気液接触用充填材は、特許文献1の気液接触用充填材と同様、部分的に散布水捕捉部が形成されていて全散布水を捕捉できないという問題がある。
【0008】
また、特許文献3に開示された気液接触用充填材は、鉛直方向に見通せる空間がないため、全ての散布された冷却水を捕捉することになるが、捕捉されてシート上を流下する際に冷却水は波板の各溝に沿い集合流となり易く、シート表面全体に水膜を形成することが難しく、水膜の厚みと流れる速度を均一にすることができないという問題がある。
【0009】
本発明は上述の点に鑑みてなされたもので、気液接触用充填材上に散布された冷却水を効率よく全て捕捉して、該気液接触用充填材を構成する気液接触用シート表面に膜厚が均一で流下速度が均一な液膜の濡壁を形成でき、熱交換効率がよく、小型化、省エネルギー化等が可能な気液接触用充填材、及び該気液接触用充填材を用いた冷却塔を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記の課題を解決するために、本発明は、鉛直方向に配置された気液接触用シートを水平方向に等間隔で多数枚配置し、上端部に散布される冷却水を捕捉する冷却水捕捉部を備え、該冷却水捕捉部で捕捉した冷却水が気液接触用シートの板面に沿い流下する濡壁を形成し、該濡壁と外気流の直接接触に伴う潜熱作用で熱交換により冷却水の温度を下げる気液接触用充填材であって、冷却水捕捉部は、各気液接触用シートの上端から下方の所定範囲に同形状で裏表面に凹凸する冷却水捕捉用屈曲部を設けると共に、各冷却水捕捉用屈曲部の表面凸部と隣接する冷却水捕捉用屈曲部の裏面凸部の間には鉛直方向に見通せる空間がない構成とし、各気液接触用シートの冷却水捕捉部から下方には、冷却水捕捉部で捕捉した冷却水が当該気液接触用シートの裏表面に膜厚が均一で流下速度が均一な濡壁が形成できる凹凸面を形成したことを特徴とする。
【0011】
また、本発明は、上記気液接触用充填材において、各気液接触用シートの幅方向両端部に同形状で裏表面に内側下方に向って所定角度で傾斜する凹凸する外気流導入用屈曲部を設けると共に、各外気流導入用屈曲部の凸部が隣接する外気流導入用屈曲部の凸部と当接することにより、当該気液接触用シート両側部と隣接する気液接触用シート両側部の間に外気流導入用孔が形成されるようにしたことを特徴とする。
【0012】
また、本発明は、上記気液接触用充填材において、多数の外気流導入用孔で形成された外気導入部正面はハニカム形状であることを特徴とする。
【0013】
また、本発明は、上記気液接触用充填材において、気液接触用シートはプラスチック素材で一体成形された構成であることを特徴とする。
【0014】
また、本発明は、上記気液接触用充填材において、各気液接触用シートの所定位置には、気液接触用シートを水平方向に配列した場合、気液接触用シート間に等間隔を維持するたるための所定高さ寸法を有する突起部を設けたことを特徴とする。
【0015】
また、本発明は、上記気液接触用充填材において、各気液接触用シートの所定位置には、該気液接触用シートを吊り下げるための吊下用パイプが挿通する吊下用穴が形成されていることを特徴とする。
【0016】
また、本発明は、冷却塔枠体を備え、該冷却塔枠体の所定位置にファンが配置され、更に該冷却塔枠体内の所定位置に気液接触用充填材、及び該気液接触用充填材上部に散水槽が配置され、該散水槽から散布された冷却水が気液接触用充填材を構成する気液接触用シートの板面に沿い流下する濡壁を形成し、ファンの運転により気液接触用充填材内に導入された外気流が濡壁と直接接触しそれに伴う潜熱作用で熱交換により冷却水の温度を下げる冷却塔において、気液接触用充填材に上記気液接触用充填材のいずれかを用いることを特徴とする。
【0017】
また、本発明は上記冷却塔において、気液接触用充填材に各気液接触用シートの所定位置に吊下用穴が形成され気液接触用充填材を用い、各気液接触用シートには2箇所の所定位置に吊下用穴が形成されており、該吊下用穴のそれぞれに前記吊下用パイプを挿通し、該吊下用パイプを冷却塔枠体に固定し、気液接触用充填材の各気液接触用シートを冷却塔枠体内に吊り下げ配置したことを特徴とする。
【0018】
また、本発明は上記冷却塔において、吊下用パイプは、その両端と中間の3点で冷却塔枠体に支持する構成とし、該両端の支持構造は、吊下用パイプの内径よりも小さい外径の短管を前記吊下用パイプ両端に差し込み固定し、該短管を吊下用パイプの両端に差し込み支持し、且つ該吊下用パイプをその両端の何れか一方にスライドさせることにより、該吊下用パイプは他方端と中間点の二点で支持され、一方端の支持は解除される構成とし、この状態で該支持が解除され該吊下用パイプの一方端に気液接触用シートの吊下用穴を挿通し、該気液接触用シートを該吊下用パイプに吊り下げ組み込むことができるようにし、気液接触用充填材の全ての気液接触用充填材を吊り下げた後、吊下用パイプをスライドさせ該吊下用パイプの両端の短管を冷却塔枠体に固定された支持部材に設けた挿通穴に挿通して支持するように構成したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0019】
本発明はよれば、冷却水捕捉部を各気液接触用シートの上端から下方の所定範囲の裏表面に凹凸する冷却水捕捉用屈曲部を設けると共に、各冷却水捕捉用屈曲部の表面凸部は隣接する冷却水捕捉用屈曲部の裏面凸部の間に鉛直方向に見通せる空間がない構成としたので、散布される冷却水の全ては冷却水捕捉部で補足され、該冷却水捕捉部から下方の気液接触用シートの裏表面に膜厚が均一で流下速度が均一な濡壁が形成され、該濡壁と外気流の直接接触に伴う潜熱作用が効率的に行われ、高効率の熱交換が実現できる。その結果、本発明に係る気液接触用充填材を用いた冷却塔は、同じ冷却能力を従来の冷却塔に比較し、小型化、省資源化・省スペース化と価格の低減化が可能となる。
【0020】
また、本発明に係る気液接触用充填材を用いた冷却塔は、大きさが同等であれば、従来の冷却塔に比較し、外気流の抵抗が小さくなるから、外気流導入のために必要なファン動力が小さくなり、省エネルギー化と騒音値の低減化が可能となる。
【0021】
更に、気液接触用充填材を構成する気液接触用シートを冷却塔枠体内に水平方向に等間隔で配置するのに、気液接触用シートを吊下用パイプに吊り下げて配置し、接着剤を使用しないので、気液接触用シートを分離した状態で搬送し、冷却塔の設置現場で接着剤を使用することなく、組立てることができるから、接着剤中の溶剤が空気中に拡散することなく、作業環境を悪化させることがない。また、接着剤を使用を使用しないことから、冷却塔の分解作業も容易となる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】図1は本発明に係る冷却塔の概略構成を示す図である。
【図2】図2は本発明に係る気液接触用充填材の平面構成を示す図である。
【図3】図3は図2X−X断面を示す図である。
【図4】図4は図3の気液接触用充填材の冷却水捕捉部の拡大図である。
【図5】図5(a)は気液接触用充填材の一部外観を、図5(b)は気液接触用充填材内の外気流と濡壁流を示す図である。
【図6】図6は気液接触用充填材を吊り下げる吊下用パイプの支持構造を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の実施の形態について、詳細に説明する。図1は本発明に係る冷却塔の概略構成を示す断面図である。本冷却塔10は冷却塔枠体11を備え、該冷却塔枠体11内の上部中央部にファン13を配置している。冷却塔枠体11の中央部は外気流が通る外気流通路14となっており、該外気流通路14の両側の冷却塔枠体11内に気液接触用充填材16、16が配置されている。気液接触用充填材16、16の上部にはそれぞれ散水槽17、17が配置されている。該散水槽17の底部には多数の散水用孔が形成されている。
【0024】
散水槽17内の冷却水101は、上記散水用孔を通して、気液接触用充填材16の頂部に散水される。散水された冷却水101は、後に詳述するように気液接触用充填材16を構成する気液接触用シートの表面に水膜を形成し矢印Aに示すよう流下し、冷却塔枠体11の外気流通路14の下端に設けた落し込み水槽19内に流入する。落し込み水槽19内の冷却水101は循環ポンプ20により循環配管22を通って、前記散水槽17、17に供給され、冷却水は循環するようになっている。
【0025】
モータ23を起動することにより、ファン13が回転し、該ファン13の回転により外部の空気が外気流として矢印Bに示すように気液接触用充填材16の外気流入部24を通って気液接触用充填材16内(気液接触用充填材16を構成する気液接触シートと気液接触シートの間の空間内)に流入する。該流入した外気流は、後に詳述するように、気液接触用シートの表面に形成された水膜からなる濡壁に直接接触し、その潜熱作用によって冷却水は冷却し、気液接触用充填材16の外気流出部26を通って外気流通路14内に流入し、更に外気流通路14から外部に放出される。
【0026】
図2は気液接触用充填材の平面図で、図3は図2のX−X断面図である。図示するように、気液接触用充填材16は水平方向に等間隔で配置された多数枚の気液接触用シート27で構成され、上端部には散水槽17から散布された冷却水101を捕捉するための冷却水捕捉部29が設けられている。また、気液接触用充填材16を構成する多数枚の気液接触シートのそれぞれプラスチック素材で一体成形されている。各気液接触用充填材16は接着剤で接着することなく、2本の吊下用パイプ30で吊り下げられ、水平方向に等間隔で配置されている。
【0027】
冷却水捕捉部29は図4に示すように、各気液接触用シート27をその上端から下方の所定範囲に裏面に断面山形の凸部27a、表面に断面山形の凸部27bを形成した凹凸部Aと、表面に断面台形状の凸部27cと凸部27e、該凸部27eに連続して裏面に断面山形の凸部27dを形成した凹凸部Bとを備えた構成である。凹凸部Aの表面凸部27bの頂部は隣接する気液接触用シート27の凹凸部Aの2つの裏面凸部27a、27aの頂部を結んだ線lに達し、凹凸Bの表面凸部27cの頂部と隣接する気液接触用シート27の凹凸部Aの裏面凸部27aの頂部の間には隙間Δdがある。そして断面台形状の凸部27cの下端部には隙間Δdを閉塞する高さの凸部27eが設けられている。上記構成を採用することにより、冷却水捕捉部29は鉛直方向に見通せる空間がない構成となるので、気液接触用充填材16の上に散布された冷却水の全部を捕捉することができる。
【0028】
冷却水捕捉部29を上記のように構成することにより、散水槽17の底部の散水用孔を通って散水された冷却水101の略全部は凹凸部Aの裏面凸部27a、27a、表面凸部27b、及び凹凸部Bの表面凸部27c、27e、裏面凸部27dの面上で捕捉され、冷却水捕捉部29の下方に形成された気液接触用シート27の凹凸の裏表面に沿って、均一な水膜厚の濡壁を形成し、均一速度で流下することになる。気液接触用シート27の気液接触用シート27の下方に形成される裏表面の凹凸は図3では、断面山形状の連続した形状となっているが、膜厚が均一で流下速度が均一な濡壁が形成できる凹凸面であれば、その形状は限定されない。
【0029】
図5(a)は外気流入部24を気液接触用充填材16の一部外観構成を示すで、図5(b)は気液接触用充填材16の外気流入部24と外気流出部26における外気流の流れと冷却水により気液接触用シート27の裏表面に形成された濡壁の流れを示す図である。図5(a)に示すように、気液接触用充填材16の外気流入部24は多数枚の気液接触用シート27を所定間隔で水平方向に配置することによりその正面はハニカム状となっている。そして図5(b)に示すように、外気流入部24の外気入口24aは気液接触用充填材16の気液接触用シート27の裏表面に向って下方に所定角度で傾斜している。また、外気流出部26の外気流出口26aは気液接触用シート27の裏表面から冷却塔枠体11内の外気流通路14(図1参照)に向って上方に所定角度で傾斜(気液接触用シート27の裏表面に向って下方に所定角度で傾斜)している。
【0030】
上記のように外気流入口24aを気液接触用シート27の裏表面に向って下方に所定角度で傾斜させ、外気流出口26aを冷却塔枠体11内の外気流通路14に向って上方に所定角度で傾斜させることにより、冷却水101により気液接触用シート27の裏表面に形成された濡壁103が矢印Aに示すように流下しても、外気流入口24a及び外気流出口26aが気液接触用シート27の裏表面に向って下方に傾斜しているので、濡壁103の冷却水が外気流入部24の外気流入口24a及び外気流出部26の外気流出口26aから流出することはない。よって、冷却塔10が設置されている周辺に冷却水101が飛散して、周囲を濡らすということがない。
【0031】
また、気液接触用充填材16の各気液接触用シート27は吊下用パイプ30で、冷却塔枠体11内の外気流通路14の両側に2本の吊下用パイプ30で吊り下げ配置されている。吊下用パイプ30は図6に示すように両端部を支持部材31、31で支持されている。また、吊下用パイプ30はその中央部も吊下支持部材34で支持されている。吊下支持部材34には吊下用パイプ30が貫通する貫通穴34aが設けられ、吊下用パイプ30はこの貫通穴34aを通って冷却塔枠体11に取り付けられた支持部材31、31で支持されている。吊下用パイプ30の両端部には、該吊下用パイプ30の内径より若干小さい外径の短管36、36が差し込まれ固定されていて、該短管36、36を支持部材31、31に設けられた貫通穴31a、31aに挿通することにより、吊下用パイプ30の両端を支持している。
【0032】
上記のように吊下用パイプ30は、その両端部が支持部材31、31で支持され、更に中央部が吊下支持部材34で支持され、計3点で支持されている。吊下用パイプ30は矢印Dに示すようにスライドできる構成となっており、例えば図6に示すように左側にスライドさせ、吊下用パイプ30の端部に差し込まれた、短管36が右側の支持部材31から外れた状態でも、左側の支持部材31と吊下支持部材34との2点で安定的に支持されている。よつて、この状態で、各気液接触用シート27の所定位置に設けられた2個の吊下用穴に吊下用パイプ30を通すことにより、各気液接触用シート27を吊下用パイプ30に吊り下げ状態で組み付けることができ、組み付け作業が容易となる。なお、吊下用パイプ30は支持部材31、31を介して冷却塔枠体11に固定されている。
【0033】
気液接触用シート27の表面の所定位置には、図5(a)に示すように、各気液接触用シート27の表面の所定位置には所定高さ寸法の突起部27fが設けられており、吊下用パイプ30に吊り下げた気液接触用シート27と気液接触用シート27との間の間隔が気液接触用シート27fの高さ寸法に維持されるようになっている。
【0034】
以上、本発明の実施形態例を説明したが、本発明は上記実施形態例に限定されるものではなく、特許請求の範囲、及び明細書と図面に記載された技術的思想の範囲内において種々の変形が可能である。なお、直接明細書及び図面に記載がない何れの形状や構造であっても、本願発明の作用効果を奏する以上、本願発明の技術範囲である。
【産業上の利用可能性】
【0035】
本発明は、冷却水捕捉部を各気液接触用シートの上端から下方の所定範囲の裏表面に凹凸する冷却水捕捉用屈曲部を設けると共に、各冷却水捕捉用屈曲部の表面凸部は隣接する冷却水捕捉用屈曲部の裏面凸部の間に鉛直方向に見通せる空間がない構成としたので、散布される冷却水の全ては冷却水捕捉部で補足され、該冷却水捕捉部から下方の気液接触用シートの裏表面に膜厚が均一で流下速度が均一な濡壁が形成され、該濡壁と外気流の直接接触に伴う潜熱作用が効率的に行われ、高効率の熱交換が実現できる。従って、本発明に係る気液接触用充填材を用いた冷却塔は、同じ冷却能力を従来の冷却塔に比較し、小型化、省資源化・省スペース化と価格の低減化が可能となる冷却塔の気液接触用充填材として利用することができる。
【符号の説明】
【0036】
10 冷却塔
11 冷却塔枠体
13 ファン
14 外気流通路
16 気液接触用充填材
17 散水槽
19 落し込み水槽
20 循環ポンプ
22 循環配管
23 モータ
24 外気流入部
26 外気流出部
27 気液接触用シート
29 冷却水捕捉部
30 吊下用パイプ
31 支持部材
33 ブラケット
34 吊下支持部材
36 短管
101 冷却水
102 熱源
103 濡壁

【特許請求の範囲】
【請求項1】
鉛直方向に配置された気液接触用シートを水平方向に等間隔で多数枚配置し、上端部に散布される冷却水を捕捉する冷却水捕捉部を備え、該冷却水捕捉部で捕捉した冷却水が前記気液接触用シートの板面に沿い流下する濡壁を形成し、該濡壁と外気流の直接接触に伴う潜熱作用で熱交換により前記冷却水の温度を下げる気液接触用充填材であって、
前記冷却水捕捉部は、前記各気液接触用シートの上端から下方の所定範囲の裏表面に凹凸する冷却水捕捉用屈曲部を設けると共に、各冷却水捕捉用屈曲部の表面凸部と隣接する冷却水捕捉用屈曲部の裏面凸部の間には鉛直方向に見通せる空間がない構成とし、
前記各気液接触用シートの前記冷却水捕捉部から下方には、前記冷却水捕捉部で捕捉した冷却水が当該気液接触用シートの裏表面に膜厚が均一で流下速度が均一な濡壁が形成できる凹凸面を形成したことを特徴とする気液接触用充填材。
【請求項2】
請求項1に記載の気液接触用充填材において、
前記各気液接触用シートの幅方向両端部に同形状で裏表面に内側下方に向って所定角度で傾斜する凹凸する外気流導入用屈曲部を設けると共に、各外気流導入用屈曲部の凸部が隣接する外気流導入用屈曲部の凸部と当接することにより、当該気液接触用シート両側部と隣接する気液接触用シート両側部の間に外気流導入用孔が形成されるようにしたことを特徴とする気液接触用充填材。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の気液接触用充填材において、
多数の前記外気流導入用孔で形成される外気導入部正面はハニカム形状であることを特徴とする気液接触用充填材。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれか1項に記載の気液接触用充填材において、
前記気液接触用シートはプラスチック素材で一体成形された構成であることを特徴とする気液接触用充填材。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれか1項に記載の気液接触用充填材において、
前記各気液接触用シートの所定位置には、前記気液接触用シートを水平方向に配列した場合、前記気液接触用シート間に前記等間隔を維持するたるための所定高さ寸法を有するの突起部を設けたことを特徴とする気液接触用充填材。
【請求項6】
請求項1乃至5のいずれか1項に記載の気液接触用充填材において、
前記各気液接触用シートの所定位置には、該気液接触用シートを吊り下げるための吊下用パイプが挿通する吊下用穴が形成されていることを特徴とする気液接触用充填材。
【請求項7】
冷却塔枠体を備え、該冷却塔枠体の所定位置にファンが配置され、更に該冷却塔枠体内の所定位置に気液接触用充填材、及び該気液接触用充填材上部に散水槽が配置され、該散水槽から散布された冷却水が前記気液接触用充填材を構成する気液接触用シートの板面に沿い流下する濡壁を形成し、前記ファンの運転により前記気液接触用充填材内に導入された外気流が前記濡壁と直接接触しそれに伴う潜熱作用で熱交換により冷却水の温度を下げる冷却塔において、
前記気液接触用充填材に請求項1乃至6のいずれか1項に記載の気液接触用充填材を用いることを特徴とする冷却塔。
【請求項8】
請求項7に記載の冷却塔において、
前記気液接触用充填材に請求項6に記載の気液接触用充填材を用い、
前記各気液接触用シートには2箇所の所定位置に前記吊下用穴が形成されており、該吊下用穴のそれぞれに前記吊下用パイプを挿通し、該吊下用パイプを前記冷却塔枠体に固定し、前記気液接触用充填材の各気液接触用シートを前記冷却塔枠体内に吊り下げ配置したことを特徴とする冷却塔。
【請求項9】
請求項7に記載の冷却塔において、
前記吊下用パイプは、その両端と中間の3点で前記冷却塔枠体に支持する構成とし、該両端の支持構造は、前記吊下用パイプの内径よりも小さい外径の短管を吊下用パイプ両端指し込み固定し、該吊下用パイプをその両端の何れか一方にスライドさせることにより、該吊下用パイプは他方端と中間点の二点で支持され、一方端の支持は解除される構成とし、この状態で該支持が解除され該吊下用パイプの一方端に前記気液接触用シートの吊下用穴を挿通し、該気液接触用シートを該吊下用パイプに吊り下げ組込むことができるようにし、前記気液接触用充填材の全ての気液接触用充填材を吊り下げた後、前記吊下用パイプをスライドさせ該吊下用パイプの両端の前記短管を前記冷却塔枠に固定された支持部材に設けた挿通穴に挿通して支持する構成したことを特徴とする冷却塔。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−137606(P2011−137606A)
【公開日】平成23年7月14日(2011.7.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−298252(P2009−298252)
【出願日】平成21年12月28日(2009.12.28)
【出願人】(000000239)株式会社荏原製作所 (1,477)