説明

気液接触用充填物とその充填物を充填したガス洗浄塔

【課題】従来のラシヒリングを規則充填した場合と同じような流体の流れの整流作用と気液接触作用を期待でき、しかも、その敷設作業を短時間のうちに確実に行うことのできる気液接触用充填物とその充填物を充填したガス洗浄塔の提供。
【解決手段】気体と液体との接触を促進するために使用される気液接触用充填物であって、複数の筒状部2が、その軸心Cに直交する方向に並べられて一体化された充填物ユニット1からなり、その充填物ユニット1が、隣接する充填物ユニット1に対して筒状部2の軸心Cに直交する方向で連結可能なユニット用連結部3を備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、気体と液体との接触を促進するために使用される気液接触用充填物とその充填物を充填したガス洗浄塔に関する。
【背景技術】
【0002】
気液接触用充填物には、気体と液体との接触を促進する作用が要求され、場合によっては、その気液接触促進作用に加えて、気体の整流作用も要求される。
このような要求を満たすものとして、従来、木製ハードルと称される格子状の充填物が知られている(適切な特許文献等が見当たらないため、特許文献等を挙げることはできない)。しかし、従来の木製ハードルは、部品の種類と点数が多く、製作のために多くの加工を必要とするため、加工や組み立てに多くの時間を要し、費用が高くなるという欠点がある。
その他、木製ハードルに比べて費用的に安いものとして、図24に示すような円筒形の充填物、つまり、ラシヒリング2Aが知られている(適切な特許文献等が見当たらないため、図示する)。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、従来のラシヒリング2Aは、単一の円筒体で構成されているため、気体を整流しようとすると、図25に示すように、多数のラシヒリング2Aを同じ方向に向けて整然と規則正しく並べて敷設する必要があり、その作業に多くの時間を要するという問題がある。
【0004】
本発明は、このような従来の問題点に着目したもので、その目的は、従来のラシヒリングを規則正しく並べて敷設した場合と同じような作用を期待でき、しかも、その敷設作業を短時間のうちに確実に行うことのできる気液接触用充填物とその充填物を充填したガス洗浄塔を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の第1の特徴構成は、気体と液体との接触を促進するために使用される気液接触用充填物であって、複数の筒状部が、その軸心に直交する方向に並べられて一体化された充填物ユニットからなり、その充填物ユニットが、前記軸心に直交する方向に並べた隣接する充填物ユニットに対して連結可能なユニット用連結部を備えているところにある。
【0006】
本発明の第1の特徴構成によれば、複数の筒状部が、その軸心に直交する方向に並べられて一体化された充填物ユニットからなるため、複数の筒状部を備えた充填物ユニットを敷設するだけで済み、場合によっては、充填物ユニットを複数並べて敷設したり、上下多段に積み重ねて敷設するだけで済み、気液接触用充填物の敷設作業を短時間のうちに確実に行うことができ、費用の低廉化を図ることができる。
そして、その充填物ユニットが、筒状部の軸心に直交する方向に並べた隣接する充填物ユニットに対して連結可能なユニット用連結部を備えているので、複数の充填物ユニットを並べて敷設する場合、例えば、連結部材を別途使用するのに比べて、それ自体で複数の充填物ユニットを一体に連結できるため、充填物ユニットに備えられたユニット用連結部を使用して隣接する充填物ユニットどうしを連結することにより、所望どおりの気液接触用充填物を簡単、容易に作製することができる。
その上、各充填物ユニットの筒状部を同じ方向に向けて整然と規則正しく並べて安定よく敷設することができ、しかも、従来のラシヒリングを規則正しく並べて敷設した場合と同じような気液接触促進作用と気体整流作用を期待することができるとともに、合成樹脂などで簡単に製作できるため、木製ハードルに比べて短期間かつ廉価に製作することができる。
【0007】
本発明の第2の特徴構成は、前記筒状部が、円筒形であるところにある。
【0008】
本発明の第2の特徴構成によれば、充填物ユニットの筒状部が、円筒形であるため、複数の円筒形の筒状部を短時間のうちに整然と規則正しく並べたり、上下に積み重ねて敷設することができるとともに、従来のラシヒリングと全く同じ気液接触促進作用と気体整流作用を期待することができる。
【0009】
本発明の第3の特徴構成は、前記円筒形の筒状部が、その軸心に沿って延びる板状の仕切り板を筒状部の内部空間内に一体的に備え、その仕切り板が、前記軸心方向視において放射状に配置されているところにある。
【0010】
本発明の第3の特徴構成によれば、円筒形の筒状部が、その軸心に沿って延びる板状の仕切り板を筒状部の内部空間内に一体的に備え、その仕切り板が、筒状部の軸心方向視において放射状に配置されているので、例えば、レッシングリングを規則正しく並べて敷設したようになり、ラシヒリングを並べた場合よりも気液接触面積を大きくして、優れた気液接触促進作用を期待することができる。
【0011】
本発明の第4の特徴構成は、前記複数の筒状部が、その軸心に沿って延びる平板部を介して一体化されているところにある。
【0012】
本発明の第4の特徴構成によれば、複数の筒状部が、その軸心に沿って延びる平板部を介して一体化されているので、隣接する筒状部の間には、平板部の介在により比較的大きな空間を確保することができ、そのため、たとえ処理液中に固形物が含まれている場合でも、その固形物が筒状部間に詰まるおそれが少なく、固形物による気液接触用充填物の閉塞を抑制して、所望どおりの気液接触促進作用と気体整流作用を期待することができる。
【0013】
本発明の第5の特徴構成は、前記筒状部が、その軸心方向視において六角形であり、その六角形の筒状部が、ハニカム形状に配置されているところにある。
【0014】
本発明の第5の特徴構成によれば、筒状部が、その軸心方向視において六角形であり、その六角形の筒状部が、ハニカム形状に配置されているので、ハニカム形状に配置された六角形の筒状部により、所望どおりの気液接触促進作用と気体整流作用を期待することができるとともに、上下方向で位置をずらせて多段に積み重ねる場合には、上下方向での位置ずれの状態を確認し易く、敷設作業の能率化を図ることができる。
そして、筒状部の軸心方向視において六角形であるため、三角形や四角形などに比べて隅部の開き角度が大きくなり、たとえ処理液中に固形物が含まれている場合でも、固形物が隅部に詰まって閉塞することが少ない。
【0015】
本発明の第6の特徴構成は、前記筒状部が、その軸心に直交する方向に開口する溝形の切欠き部を筒状部の下方周部または上方周部に備えているところにある。
【0016】
本発明の第6の特徴構成によれば、筒状部が、その軸心に直交する方向に開口する溝形の切欠き部を筒状部の下方周部または上方周部に備えているので、筒状体内を通流する気体の流れに不均一があっても、溝形の切欠き部を通じて気体の横方向への流れが起こり、再分散が行われて均一化が図られ、気液接触促進作用が向上する。
【0017】
本発明の第7の特徴構成は、前記充填物ユニットが、前記筒状部の軸心方向視において回転対称形であり、前記ユニット用連結部が、その回転対称形の充填物ユニットに対して回転対称位置に配置されているところにある。
【0018】
本発明の第7の特徴構成によれば、充填物ユニットが、筒状部の軸心方向視において回転対称形であり、ユニット用連結部が、その回転対称形の充填物ユニットに対して回転対称位置に配置されているので、充填物ユニットを並べて敷設する場合、充填物ユニットの方向に気を配る必要もなく、充填物ユニットに備えられたユニット用連結部を使用して隣接する充填物ユニットどうしを連結することにより、所望どおりの気液接触用充填物を簡単、容易に作製することができ、敷設作業の能率化を図ることができる。
【0019】
本発明の第8の特徴構成は、前記充填物ユニットが、前記筒状部の軸心方向視において、前記ユニット用連結部を介して同形状の充填物ユニットの複数を巴形に連結可能に構成され、その連結された巴形の複合ユニットが、前記軸心に直交する方向に並べた隣接する巴形の複合ユニットに対して連結可能な複合用連結部を備えているところにある。
【0020】
本発明の第8の特徴構成によれば、充填物ユニットが、筒状部の軸心方向視において、ユニット用連結部を介して同形状の充填物ユニットの複数を巴形に連結可能に構成されているので、充填物ユニット自体は、例えば、比較的小型の型枠を用いて廉価に製作し得るにもかかわらず、その充填物ユニットを巴形に連結することにより、より大きな巴形の複合ユニットを容易に製作することができる。
そして、その巴形の複合ユニットは、例えば、工場などで充填物ユニットを予め連結して製作することができ、かつ、あたかも大きなひとつの充填物ユニットと同様に扱うことができるため、現場での敷設作業の簡素化と時間短縮を図ることができる。
さらに、その巴形の複合ユニットが、隣接する巴形の複合ユニットに対して連結可能な複合用連結部を備えているので、複合用連結部を使用して隣接する巴形の複合ユニットどうしを連結することも可能となり、非常に大きな気液接触用充填物を短時間のうちに容易に敷設することができる。
【0021】
本発明の第9の特徴構成は、前記ユニット用連結部が、前記筒状部の軸心に直交する方向から、前記充填物ユニットどうしを連結する横移動連結部からなるところにある。
【0022】
本発明の第9の特徴構成によれば、隣接する充填物ユニットどうしを連結するユニット用連結部が、筒状部の軸心に直交する方向から、充填物ユニットどうしを連結する横移動連結部からなるので、隣接する充填物ユニットどうしを上下方向へ相対移動させて連結する必要がなく、筒状部の軸心に直交する横方向へ相対移動させることにより、充填物ユニットどうしを確実に連結することができる。それによって、充填物ユニットどうしの連結作業が容易となり、充填物ユニットの敷設作業の時間短縮を図ることができる。
【0023】
本発明の第10の特徴構成は、前記複合用連結部が、前記筒状部の軸心に直交する方向から、前記巴形の複合ユニットどうしを連結する横移動連結部からなるところにある。
【0024】
本発明の第10の特徴構成によれば、隣接する巴形の複合ユニットどうしを連結する複合用連結部が、筒状部の軸心に直交する方向から、複合ユニットどうしを連結する横移動連結部からなるので、隣接する複合ユニットどうしを上下方向へ相対移動させて連結する必要がなく、筒状部の軸心に直交する横方向へ相対移動させることにより、複合ユニットどうしを確実に連結することができる。それによって、巴形の複合ユニットどうしの連結作業が容易となり、巴形の複合ユニットの敷設作業の時間短縮を図ることができる。
【0025】
本発明の第11の特徴構成は、前記充填物ユニットが、可撓性と弾力性を備え、前記ユニット用連結部が、前記充填物ユニットどうしを互いに捩じりながら連結して弾性力による復元力で嵌合する捩じり連結部からなるところにある。
【0026】
本発明の第11の特徴構成によれば、隣接する充填物ユニットどうしを連結するユニット用連結部が、充填物ユニットの可撓性と弾力性を有効に利用して充填物ユニットどうしを互いに捩じりながら連結する捩じり連結部からなるので、隣接する充填物ユニットどうしを相対的に捩じることにより、充填物ユニットどうしを確実に連結することができる。
そして、充填物ユニットの可撓性と弾力性を利用した捩じり連結部であるがゆえに、いったん連結されると、充填物ユニットどうしはその復元力によって容易に連結解除されることがなく、したがって、敷設現場以外の場所、例えば、充填物の製作工場において、予め複数の充填物ユニットどうしを連結した状態で敷設現場にまで搬送することが可能となり、敷設作業をより一層能率的に行うことができる。
【0027】
本発明の第12の特徴構成は、上述した第1〜第11の特徴構成のいずれかに記載の気液接触用充填物を充填したガス洗浄塔にある。
【0028】
本発明の第12の特徴構成によれば、上述した第1〜第11の特徴構成のいずれかに記載の気液接触用充填物を充填したガス洗浄塔であるから、ガス充填塔に対して気液接触用充填物の充填作業を短時間のうちに能率良く行うことができ、しかも、気液接触用充填物を充填した状態で、気液接触促進作用と気体整流作用が確実に実行される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0029】
本発明による気液接触用充填物の実施の形態を図面に基づいて説明する。
この気液接触用充填物は、図1に示すように、充填塔、スプレー塔、吸収塔などのような各種のガス洗浄塔Aにおいて、ガス洗浄塔A内の充填層Bに整然と規則正しく、複数段に充填されて、下方から供給される気体Gを整流しながら、その気体と上方から供給される液体Lとの接触を促進するために使用される。
【0030】
気液接触用充填物は、図2に示すように、合成樹脂製の充填物ユニット1からなり、その充填物ユニット1は、複数の円筒形の筒状部2、この実施形態では、9個の円筒形の筒状部2が、その筒状部2の軸心Cに直交する方向に並べられて一体化されて構成され、充填物ユニット1の周部には、筒状部2の軸心Cに直交する方向に並べた隣接する他の充填物ユニット1に対して互いに連結可能な複数個の縦移動連結部3a(ユニット用連結部3の一例)が一体的に設けられている。
縦移動連結部3aは、図4に示すように、先拡がりの突起4と奥拡がりの凹入部5、または、図5に示すように、L字形の突起4とその突起4が嵌入する凹入部5で構成され、いずれの場合も、筒状部2の軸心C方向に沿って縦方向に相対移動させることで、互いに隣接する充填物ユニット1どうしを連結したり連結解除することができる。
【0031】
図2に示す実施形態によれば、筒状部2の軸心Cに直行する方向に並べた多数の充填物ユニット1を縦移動連結部3aによって順次連結することにより、図3に示すように、多数の筒状部2が、筒状部2の軸心Cに直行する方向に整然と規則正しく配置された状態となる。
さらに、縦移動連結部3aが図4または図5に示すような構成であるため、図2において紙面に直行する方向に充填物ユニット1を反転させた状態でも、また、図2において紙面に沿って180度回転させた状態でも連結可能であり、そのため、充填物ユニット1の連結作業が容易となる。
なお、縦移動連結部3aは、隣接する充填物ユニット1との接点の全てに設けても、接点の一部にのみ設けてもよい。
【0032】
図2に示す実施形態では、各筒状部2が直接的に一体化された構成であったが、図6に示すように、各筒状部2どうしを筒状部2の軸心Cに沿って延びる平板部6を介して間接的に一体化して実施することもでき、図示の例では、ひとつの筒状部2から周方向に等角度(60°)で6枚の平板部6が延設されている。
この実施形態では、ユニット用連結部3として縦移動連結部3aが、平板部6の適宜箇所に一体的に設けられている。縦移動連結部3aは、図8に示すように、C字形の湾曲部7、または、図9に示すように、C字形の湾曲部7と半円形の突出部8で構成され、いずれの場合も、筒状部2の軸心C方向に沿って縦方向に相対移動させることで、互いに隣接する充填物ユニット1どうしを連結したり連結解除することができる。
【0033】
図6に示す実施形態によれば、多数の充填物ユニット1を縦移動連結部3aによって順次連結することにより、図7に示すように、多数の筒状部2が、筒状部2の軸心Cに直行する方向に整然と規則正しく配置された状態となり、各筒状部2の間に平板部6の介在により比較的大きな空間が確保されるので、各筒状部2の間に処理液中の固形物が詰まる可能性が少なくなる。
そして、この実施形態においても、図6において紙面に直行する方向に充填物ユニット1を反転させた状態で連結することも、また、図6において紙面に沿って180度回転させた状態で連結することも可能である。
【0034】
図2および図6に示す実施形態では、各筒状部2が円筒形、換言すると、ラシヒリングであったが、図10に示すように、円筒形の筒状部2が、その軸心Cに沿って延びる1枚の板状の仕切り板9を筒状部2の内部空間内に一体的に備え、その仕切り板9が、筒状部2の軸心C方向視において放射状に配置された構成、換言すると、レッシングリングにすることもできる。
さらに、図11に示すように、円筒形の筒状部2が、その軸心Cに沿って延びる3枚の板状の仕切り板9を筒状部2の内部空間内に一体的に備え、その仕切り板9が、筒状部2の軸心C方向視において放射状に配置された構成にすることもできる。
いずれの場合にも、図2に示すように、各筒状部2を直接的に一体化し、または、図6に示すように、各筒状部2どうしを平板部6を介して間接的に一体化して実施することになり、ユニット用連結部3としては、例えば、縦移動連結部3aを採用することになる。
【0035】
これまでの実施形態では、筒状部2が円筒形であったが、図12に示すように、各筒状部2が、その軸心C方向視において六角形で、その六角形の筒状部2が、ハニカム形状になるように配置して実施することもできる。
この場合にも、ユニット用連結部3としては、例えば、縦移動連結部3aを採用することになる。
【0036】
これまでの実施形態では、円筒形または六角形の筒状部2が、その軸心C方向の全長にわたって完全に筒状を維持した構成であったが、筒状体2の一部に軸心Cに直交する方向に開口する溝形の切欠き部を設けることも可能である。
例えば、図6に示す実施形態の場合であれば、図13および図14に示すように、各筒状部2の下方周部に軸心Cに直行する方向に開口する溝形の切欠き部10を設けたり、または、図示はしないが、各筒状部2の上方周部に同様の切欠き部10を設けることができる。
このような溝形の切欠き部10は、特に図6に示す実施形態に限るものではなく、図2および図10〜図12に示す実施形態においても、同じような切欠き部を設けて実施することができる。
【0037】
充填物ユニット1に一体化される筒状部2の個数については、特に制限はなく、任意に選択することができる。
例えば、図15および図16に示すように、16個の筒状部2を平板部6により一体化して充填物ユニット1を構成することもできる。
特に、図16に示す実施形態では、充填物ユニット1が、筒状部2の軸心C方向視において回転対称形であり、縦移動連結部3a、または、後述する横移動連結部3bあるいは捩じり連結部3cからなるユニット用連結部3が、その回転対称形の充填物ユニット1に対して回転対称位置に配置されているので、充填物ユニット1を並べて敷設する際、充填物ユニット1の方向に気を配る必要がなく、充填物ユニット1の敷設作業を能率良く行うことができる。
【0038】
さらに、図17に示す実施形態では、4個の筒状部2を平板部6により一体化して充填物ユニット1が構成され、その充填物ユニット1の3個が、図18に示すように配置した状態で、図19に示すように、筒状部2の軸心C方向視において、ユニット用連結部3を介して三つ巴形に連結可能に構成されている。この充填物ユニット1には、ユニット用連結部3として、充填物ユニット1どうしを互いに捩じりながら連結および連結解除する捩じり連結部3cと他の位置決め連結部3dが備えられている。
ユニット用連結部3としての捩じり連結部3cは、図20に示すように、互いに対をなす突起11と筒体12により構成され、合成樹脂製の充填物ユニット1が備えている可撓性と弾力性を利用して、充填物ユニット1どうしを互いに捩じりながら連結して弾力性による復元力で嵌合連結し、かつ、連結解除可能に構成されている。したがって、いったん連結すると、充填物ユニット1どうしは容易に連結解除されることがなく、例えば、充填物の製作工場において、予め複数の充填物ユニット1どうしを捩じり連結部3cで連結した状態で敷設現場にまで搬送することが容易となる。
【0039】
なお、ユニット用連結部3としての位置決め連結部3dは、図21に示すように、湾曲部13と突出部14で構成され、図中の矢印方向に押し付けあうことにより、隣接する充填物ユニット1どうしが位置決めされるように構成されている。
そして、この実施形態では、図19に示すように、3個の充填物ユニット1を三つ巴形に連結した状態で、その三つ巴形の複合ユニットが、筒状部2の軸心Cに直交する方向に並べた隣接する三つ巴形の複合ユニットに対して連結可能な複合用連結部3Aとして機能する位置決め連結部3dを備えているので、三つ巴形の複合ユニットどうしを互いに連結して非常に大きな気液接触用充填物を製作することができる。
【0040】
ユニット用連結部3および複合用連結部3Aとしては、これまでに記述した構成のもの以外にも種々の構成を採用することができ、例えば、図22に示すように、上下一対のピン15とピン15が嵌入する上下一対の筒体16により構成し、図中の矢印方向へ相対移動させて連結および連結解除可能に構成することもでき、この図22の連結部3は、縦移動連結部3aの一例である。
また、図23に示すように、側面が開口し、かつ、上下中間部に切欠き17を有する筒体18と、切欠き17に嵌入する環状部19を上下中間部に有し、かつ、筒体18に嵌入する円柱部20により構成し、図中の矢印方向、つまり、筒状部2の軸心Cに直交する横方向へ相対移動させて連結および連結解除可能に構成することもでき、この図23の連結部3は、横移動連結部3bの一例である。
【0041】
〔別実施形態〕
これまでの実施形態では、筒状部2の軸心C方向視において種々の外形を有する充填物ユニット1を示したが、充填物ユニット1の外形については、特に制限はなく、これまでに記述した以外の外形を有する充填物ユニット1を採用することもできる。特に、図17〜図19には、筒状部2の軸心C方向視において、3個の充填物ユニット1を三つ巴形に連結可能に構成した例を示したが、例えば、2個の充填物ユニット1を二つ巴形に連結可能に構成するなど、各種形状の充填物ユニット1の複数個を巴形に連結可能に構成することもでき、それによって、より大きな充填物の複合ユニットを製作することができる。
【0042】
また、充填物ユニット1は、合成樹脂により構成する以外、例えば、セラミックスなどの他の材料により一体的に構成することもできる。
さらに、複数の筒状体2をセラミックスで一体的に構成し、そのセラミックス製の筒状体2に合成樹脂製の連結部3を接着により取り付けるなど、筒状体2と連結部3を異なる材料で構成することもできる。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】ガス洗浄塔の概略構成図
【図2】気液接触用充填物を構成する充填物ユニットの一実施形態を示す平面図
【図3】図2の充填物ユニットの連結状態を示す平面図
【図4】連結部の一実施形態を示す平面図
【図5】連結部の他の実施形態を示す平面図
【図6】充填物ユニットの他の実施形態を示す平面図
【図7】図6の充填物ユニットの連結状態を示す平面図
【図8】連結部の他の実施形態を示す平面図
【図9】連結部の他の実施形態を示す平面図
【図10】筒状部の他の実施形態を示す斜視図
【図11】筒状部の他の実施形態を示す斜視図
【図12】充填物ユニットの他の実施形態を示す平面図
【図13】充填物ユニットの他の実施形態を示す平面図
【図14】図13におけるa−a線断面図
【図15】充填物ユニットの他の実施形態を示す平面図
【図16】充填物ユニットの他の実施形態を示す平面図
【図17】充填物ユニットの他の実施形態を示す平面図
【図18】図17の充填物ユニットの連結過程を示す平面図
【図19】図17の充填物ユニットの連結状態を示す平面図
【図20】連結部の他の実施形態を示す平面図
【図21】連結部の他の実施形態を示す平面図
【図22】連結部の他の実施形態を示す斜視図
【図23】連結部の他の実施形態を示す斜視図
【図24】従来のラシヒリングを示す斜視図
【図25】従来のラシヒリングの敷設状態を示す平面図
【符号の説明】
【0044】
1 充填物ユニット
2 筒状部
C 筒状部の軸心
3 ユニット用連結部
3A 複合用連結部
3b 横移動連結部
3c 捩じり連結部
6 平板部
9 仕切り板
10 切欠き部
A ガス洗浄塔
G 気体
L 液体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
気体と液体との接触を促進するために使用される気液接触用充填物であって、
複数の筒状部が、その軸心に直交する方向に並べられて一体化された充填物ユニットからなり、その充填物ユニットが、前記軸心に直交する方向に並べた隣接する充填物ユニットに対して連結可能なユニット用連結部を備えている気液接触用充填物。
【請求項2】
前記筒状部が、円筒形である請求項1に記載の気液接触用充填物。
【請求項3】
前記円筒形の筒状部が、その軸心に沿って延びる板状の仕切り板を筒状部の内部空間内に一体的に備え、その仕切り板が、前記軸心方向視において放射状に配置されている請求項2に記載の気液接触用充填物。
【請求項4】
前記複数の筒状部が、その軸心に沿って延びる平板部を介して一体化されている請求項1〜3のいずれか1項に記載の気液接触用充填物。
【請求項5】
前記筒状部が、その軸心方向視において六角形であり、その六角形の筒状部が、ハニカム形状に配置されている請求項1に記載の気液接触用充填物。
【請求項6】
前記筒状部が、その軸心に直交する方向に開口する溝形の切欠き部を筒状部の下方周部または上方周部に備えている請求項1〜5のいずれか1項に記載の気液接触用充填物。
【請求項7】
前記充填物ユニットが、前記筒状部の軸心方向視において回転対称形であり、前記ユニット用連結部が、その回転対称形の充填物ユニットに対して回転対称位置に配置されている請求項1〜6のいずれか1項に記載の気液接触用充填物。
【請求項8】
前記充填物ユニットが、前記筒状部の軸心方向視において、前記ユニット用連結部を介して同形状の充填物ユニットの複数を巴形に連結可能に構成され、その連結された巴形の複合ユニットが、前記軸心に直交する方向に並べた隣接する巴形の複合ユニットに対して連結可能な複合用連結部を備えている請求項1〜6のいずれか1項に記載の気液接触用充填物。
【請求項9】
前記ユニット用連結部が、前記筒状部の軸心に直交する方向から、前記充填物ユニットどうしを連結する横移動連結部からなる請求項1〜7のいずれか1項に記載の気液接触用充填物。
【請求項10】
前記複合用連結部が、前記筒状部の軸心に直交する方向から、前記巴形の複合ユニットどうしを連結する横移動連結部からなる請求項8に記載の気液接触用充填物。
【請求項11】
前記充填物ユニットが、可撓性と弾力性を備え、前記ユニット用連結部が、前記充填物ユニットどうしを互いに捩じりながら連結して弾力性による復元力で嵌合する捩じり連結部からなる請求項1〜8のいずれか1項に記載の気液接触用充填物。
【請求項12】
請求項1〜11のいずれか1項に記載の気液接触用充填物を充填したガス洗浄塔。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【公開番号】特開2010−110735(P2010−110735A)
【公開日】平成22年5月20日(2010.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−287871(P2008−287871)
【出願日】平成20年11月10日(2008.11.10)
【出願人】(591027444)大阪ガスエンジニアリング株式会社 (18)
【Fターム(参考)】