説明

気相プロセス流のオンライン分析方法

プロセス流のオンライン分析方法であって、プロセス流が水蒸気改質器への供給流又は水蒸気改質器からの出口流であり、プロセス流が少なくとも200℃の温度であり、プロセス流の成分が気相中にあり、かつ本方法は、(a)該プロセス流からの後流を取り出すこと;(b)該後流をその露点よりも高い温度に冷却すること;(c)該プロセス流のNIR吸収成分を特徴付けるスペクトルを得るために、冷却された後流を近赤外(NIR)分光法により分析すること;及び(d)該プロセス流の1以上のNIR吸収成分の濃度及び/又は分圧を決定するために、ケモメトリックス法を用いてNIRスペクトル法からの確立された較正モデルと得られたスペクトルを相関させることを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、近赤外分光法(NIR)を利用する炭化水素の水蒸気改質における気相プロセス流のオンライン分析に関する。
【背景技術】
【0002】
メタノール等の化学物質の生成用の合成ガスは、通常触媒存在下における炭化水素、一般的にはナフサ又は天然ガス、の水蒸気改質から得られていた。水蒸気改質反応によって生成された合成ガスは、一酸化炭素、水素、及び二酸化炭素の混合物を含む。通常、一酸化炭素と生成された水素の分子比は、メタノールの生成等の下流の化学プロセスで使用するのに最適ではない。したがって、該改質反応で共に生成された二酸化炭素を除去し、改質器に戻して所定量を再利用するのが通常である。改質器の供給原料への二酸化炭素の添加は、一酸化炭素と水素の分子比を変動させる。再利用された二酸化炭素の量を注意深く制御することにより、所定の一酸化炭素と水素の比率を達成することができる。慣行上は、二酸化炭素の分離は、溶媒(一般的には水性アルカノールアミン)で吸収ストリッピングし、改質器への再利用に必要な圧力に到達する圧縮によって達成される。水蒸気改質反応で生成された二酸化炭素の量を調整又は最小限にすることができれば、有利である。
【0003】
水蒸気改質反応への供給成分は、水(水蒸気)、炭化水素、及び任意に二酸化炭素である。該供給成分は、一般には、少なくとも500℃の温度に予め加熱され、少なくとも15bargの圧力で改質器に供給される。これらの条件下では、供給成分はガスとして存在する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の気相分析方法は、ガスクロマトグラフィーである。しかしながら、ガスクロマトグラフィーが使用される場合、水蒸気などの幾つかの成分の凝縮が生じる場合があり、許容し得る精度の成分データを得ることを困難にすることが明らかとなった。したがって、分析時において、気相中のプロセス流を維持することが非常に望ましい。しかしながら、水蒸気改質器での温度のような非常に高い温度に耐えることができる分析機器は、容易に利用することはできず、あるいはそのような機器は高価であるため、そのような温度のプロセス流に関する分析を行うことは望ましくない。
【課題を解決するための手段】
【0005】
したがって、本発明はプロセス流のオンライン分析方法であって、該プロセス流が水蒸気改質器への供給流、又は水蒸気改質器からの出口流であり、該プロセス流が少なくとも200℃の温度であり、該プロセス流の成分が気相中にあり、かつ該方法は、
(a)該プロセス流からの後流(slipstream)を取り出すこと;
(b)該後流をその露点よりも高い温度に冷却すること;
(c)該プロセス流のNIR吸収成分を特徴付けるスペクトルを得るために、冷却された後流を近赤外(NIR)分光法により分析すること;及び
(d)該プロセス流の1以上のNIR吸収成分の濃度及び/又は分圧を決定するために、ケモメトリックス法を用いてNIRスペクトル法からの確立された較正モデルと得られたスペクトルを相関させることを含む方法を提供する。
【0006】
一般的には、炭化水素の水蒸気改質における成分である水蒸気、炭化水素、及び任意に二酸化炭素は、高温及び高圧で改質器に供給される。炭化水素は例えばナフサ又は天然ガスであってもよい。天然ガスは主にメタンであるが、少量のエタン及びプロパン等の低級脂肪族炭化水素を含んでもよい。したがって、プロセス流は成分に水蒸気、メタン、及び二酸化炭素を含み得る。二酸化炭素は、二酸化炭素を含有する再利用流れ、又は他の供給源からのものであってもよい。好都合なことに、後流は二酸化炭素再利用供給の関連プロセスの前の段階で供給流から改質器へ運び出すことができる。
【0007】
水蒸気改質反応は一酸化炭素、水素、未変換の炭化水素、及び二酸化炭素を含む出口流を生成する。したがって、プロセス流は成分に一酸化炭素、水素、メタン、及び二酸化炭素を含み得る。一般的には、商慣行上では、二酸化炭素は出口流から分離され、少なくとも二酸化炭素の一部は改質器に戻して再利用される。好都合なことに、後流は出口流からの二酸化炭素の分離前の段階で改質器からの出口流から取り出すことができる。
【0008】
水蒸気改質器は市販品等の適した改質器ユニットであり、単一通過又は二段階の改質器であってもよい。一般的には、改質器はアルミナ担持酸化ニッケル等の従来の水蒸気改質触媒で充填された並列の管束を有する燃焼炉である。
【0009】
本発明の方法では、プロセス流の成分は気相中にあるが、該成分は圧力下にもある。該プロセス流の温度及び圧力は、水蒸気改質プロセスの性質に依存する。本発明の方法は少なくとも200℃、200〜500℃の範囲のような、例えば200〜350℃の温度である水蒸気改質器への供給流及び/又は水蒸気改質器からの出口流を分析するのに適している。該プロセス流は大気圧であるか又はこれより高く、例えば10barg〜100bargの範囲のような少なくとも10bargの圧力であり得る。
【0010】
後流はプロセス流の一部からなる。後流の容積は臨界的ではないが、後流の冷却が行われる速度は後流の容積の減少に伴って増加する。後流のより速い冷却は本発明の方法により頻繁に実行することができる。
【0011】
後流の冷却は空冷によって行うことができる。あるいは、後流の冷却は水ジャケットの使用によって行うことができる。
【0012】
後流をその露点、すなわち後流の成分が凝縮し始める温度よりも高い温度に冷却することによって、該後流の成分は気相中で維持される。したがって、分析時における成分の凝縮が回避されるので、本発明は高精度の成分データの測定を可能にする。
【0013】
実際、後流はその露点よりも高い少なくとも20℃の温度に適切に冷却され、流れの冷点の形成を回避する。適切には、後流は200〜300℃の温度で維持される。
【0014】
近赤外(NIR)分光法を用いて、分光(スペクトル)の近赤外部分を吸収する分子を特徴付けることができる。NIR分光法は、定性分析及び定量分析を可能とする。NIR分析計は市販されている。NIR分析計の主な構成要素は検出器、光源、検出器に光信号を転送する手段、及び分光計を含む。該検出器は、光源に光信号を転送するための手段、及び分光計に連結される。
【0015】
波長10000〜4000cm−1の光は当技術分野で公知の適切な手段によって検出器に転送される。一般的には、そのような転送手段は光ファイバーケーブル、例えば低OHシリカ光ファイバーケーブル、を含む。適切には、高温の利用において、光ファイバーケーブルは200℃より高い温度で劣化しにくいコーティングで被覆される。例えば、光ファイバーケーブルはポリイミド素材、又は金等の金属で被覆されてもよい。
【0016】
該光源は特に重要であるとは考えられず、例えば石英ハロゲン光源、又は近赤外発光ダイオードであってもよい。
【0017】
後流の分析は近赤外領域(10000cm−1〜4000cm−1)で作動する検出器で行なわれる。
【0018】
本発明の方法における使用においては、成分は気相中にあり、フローセルタイプの検出器を使用するのが好ましい。フローセルは例えばSpecac社から市販されている。
【0019】
NIRフローセルの選択は、冷却された後流の温度及び圧力条件下で成分の分析が達成することができるようなものにすべきである。例えば、該フローセルは後流の露点よりも高い温度まで電子的に加熱することができる。本発明の方法に使用するのに適切なNIRフローセルは、タイフーンTセル(Typhoon−T cell)(Specac社製)を含む。
【0020】
適切には、フローセルの本体はステンレス鋼等級316L、二相ステンレス鋼、又はハステロイCのような高品質ステンレス鋼で作製される。
【0021】
適切には、セル窓は、近赤外線において透明であり、冷却された後流の条件下で化学的に耐性があり機械的に丈夫である材料で構成される。適切なセル窓の材料は例えばサファイアである。
【0022】
該セル窓は冷却された後流の温度及び圧力に耐えることができるシーリング材によってフローセルの本体に付着される。例えば、適切なエポキシ系のシーラントを使用してもよい。
【0023】
使用するセル光路長は分析される成分の特定の圧力及び温度に依存する。スペクトルの強度を増加させることにより吸収強度と濃度の間に非線形相関が生じる。非線形相関は分析結果に誤りを生じる可能性があるため望ましくない。したがって、適切には、分析された成分のスペクトルは1.5吸収ユニット未満の吸収が生じていることを示す。
【0024】
スペクトルの強度は圧力につれて増加する。したがって、分析される成分の圧力が増加すると、セル光路長はこれに対応して減少するに違いない。例えば、分析される成分の圧力が12〜25bargの範囲にある場合、セル光路長は5〜10cmの範囲にあり得る。一般的には、天然ガス水蒸気改質器への供給流及び天然ガス水蒸気改質器からの出口流はおよそ17bargの圧力であり、したがって、7.5cmのような7.0〜8.0cmの範囲のセル光路長は水蒸気、メタン、二酸化炭素、及び近赤外線において吸収する他の成分の定量化を可能にする。
【0025】
多くのタイプのNIR分光計は市販されており本発明の方法で用いることができる。例えば、NIR分光計はフーリエ変換型赤外分光計(FTIR分光計)、又はダイオードアレイ分光計であってもよい。当技術分野で周知のように、高分解能のFTIR分光計の操作は、歪みのないスペクトルを提供するが、低分解能の操作はプロセス流の成分のより頻度の高い分析を可能にする。適切には、測定の頻度はプロセス制御の達成を可能にすることに有効である。FTIR分光計を用いて、0.1〜2cm−1の範囲の分解能がおよそ30秒の頻度で歪みのないスペクトルを達成することができることが分かった。しかしながら、4〜16cm−1の範囲のような4cm−1より高い分解能での操作により、より速い反応時間を達成することができる。
【0026】
水、メタン、及び二酸化炭素を定量化することができるスペクトル領域は、7500〜4800cm−1である。
【0027】
得られたスペクトルはNIR分光計に記録される。分析された各々の成分の濃度及び/又は分析された各々の成分の分圧の直接的な値を簡単に計算するために、該スペクトルはケモメトリックス法を用いてプロセス流成分の参考データと関連付けられる。使用することができる方法は、部分最小二乗法(PLS)、多重線形回帰(MLR)、及び主成分回帰(PCR)を含む。PLS型分析用のソフトウェアは、例えばGalactic社のGRAMSソフトウェア及びMathsoft社のMATLABのように、市販されている。MATLABはMLR及びPCRタイプ分析のために用いられてもよい。
【0028】
一般的には、天然ガスの水蒸気改質では、水蒸気改質器への供給流は、メタン、二酸化炭素、及び水蒸気を含む。較正混合物は混合流れ技術によってオフラインで生成することができる。混合流れ技術では、ガス状成分は所定の圧力下において液体成分と混合され、所定温度に加熱されることによって、蒸気混合物を形成する。その後、該蒸気混合物はスペクトルを生成するためにNIRフローセルに通過させる。液体及びガス流の制御は、マスフローコントローラにより行うことができる。液体は流れの拍動を回避するためにヘリウムで気圧調節されたステンレス鋼ボトルから供給することができる。NIRフローセルからの蒸気返送物は冷却されノックアウトボトル(knock out bottle)に回収された液体凝縮物である。その後、ガスを用いて、通気孔に送られる前のシステム圧力を制御することができる。続いて、蒸気混合物から生成されたNIRスペクトルを用いて、較正モデルを確立する。
【0029】
オフライン較正データに加えて、プロセス流から試料を取り出すこととガスクロマトグラフィー等の標準分析方法で、試料を分析することによって、較正モデルの精度の確認及び/又は改善ができる。気相プロセス流のサンプリングは300ml等の適切な容量のステンレス鋼ボトルの使用により実行することができる。使用前に、該ボトルは分析されるプロセス流には存在しない不活性ガスで圧力が除去される。また、不活性ガスの選択はクロマトグラフィーに依存する。適切には、不活性ガスはクリプトンであってもよい。また、少量の溶媒(約5ml)は隔壁によってボトルに注入される。これはボトルの内壁で凝縮する試料成分を定量的に押し流すために必要である。更に、使用される溶媒はそのプロセスにあってはならないし、すべての凝縮成分と混和する必要がある。改質器の供給流の場合では、メタノールは溶媒として適切である。内部標準は計量を容易にするためにメタノール中に存在することができる。プラントに設置された場合、該ボトルはプロセスに応じて非常に短い間(およそ0.5秒)で開かれる。これはボトルに超音波の試料流を提供し、不活性ガス又は溶媒の損失を緩和する。その後、該ボトルをプラントから除去し、ガス及び/又は液体内容物をガスクロマトグラフィーによってオフラインで分析する。ボトルに含まれる液体は除去され、ガスクロマトグラフィーによって分析される。同様に、ガスはガスクロマトグラフィーによって分析される。生じたクリプトンの希釈物から、実際に回収された試料の容積を計算することができる。その後、各々の段階における各々の成分のモル数を算出し、これによってvol%の蒸気濃度を容易に決定することができる。次いで、このデータを用いて較正モデルの精度を確認及び/又は改良することができる。
【0030】
本発明の方法は水蒸気改質器へ供給された又は水蒸気改質器から出るプロセス流の1つ以上のNIR吸収成分の濃度を決定するのに使用することができる。
【0031】
あるいは、本発明の方法は、水蒸気改質器へ供給された又は水蒸気改質器から出るプロセス流の1つ以上のNIR吸収成分の分圧を決定するのに使用することができる。
【0032】
プロセス流が水、メタン、及び二酸化炭素を含む場合には、水、メタン、及び二酸化炭素のうち1つ以上の濃度を決定するために、ケモメトリックス法を用いて、得られたスペクトルは参考データと関連付けられる。そのような成分データが分かれば、必要に応じて、供給成分の流量を調整することができ、それによってプロセスの効率が改善される。
【0033】
あるいは、水、メタン、及び二酸化炭素のうち1つ以上の分圧を決定するために、ケモメトリックス法を用いて、水、メタン、及び二酸化炭素の得られたスペクトルは、参考データと関連付けられる。水素及び窒素等のいくつかのガスは双極子がないので、赤外線を吸収しない。したがって、これらのガスはNIRによって分析することができない。しかしながら、窒素は改質器への供給流中に存在することがあり、また水素は改質器からの出口流中に存在する。従来と同じように、改質器を含む化学プラントは圧力検出器を備えている。変換器等のこれらの圧力検出器はプロセス流の全ガス圧力を決定する。したがって、本発明の方法の使用によって、プロセス流のNIR吸収成分の分圧の合計を決定することができる。本発明のNIR法により決定された圧力値と例えば圧力変換器からの絶対的なガス圧力データの比較によって、残りのガス状成分、例えば窒素及び水素、の圧力を決定することができる。これは天然ガス中に存在する窒素の量が変化する状況、例えば天然ガスの給気源を変更する場合に生じ得る状況においての特定の値である。
【0034】
本発明の方法の1つの利点は、プロセス圧力で、かつプロセス流の露点より高い温度で、迅速に気相プロセス流の成分情報を決定する能力である。本発明を実行する際に、本発明による冷却された後流中の水蒸気及び/又はメタン等の炭化水素、及び/又は二酸化炭素の濃度の測定は、例えば30秒毎の頻度のように連続的であってもよい。
【0035】
本発明の方法を連続的に操作する場合、後流を冷却する温度が一定に維持されるのが好ましい。得られたスペクトルの強度が温度の変化に影響されず、確立された較正モデルへのスペクトルの相関を単純化するので、これは有利である。
【0036】
さらに、本発明の方法を連続的に操作することによって、該方法がプロセス制御を達成するのに適切であることを可能にする。例えば、改質器からの出口流の未転換のメタンの濃度を連続的に監視することによって、改質器へのメタンの流量(濃度)は、生成された一酸化炭素の量を調整して最大限にすることができるので、その結果改質プロセスの効率が改善される。
【0037】
したがって、本発明は、さらに、水蒸気改質プロセスにおけるプロセス制御を達成するための方法であって、該プロセスは水蒸気改質器への供給流又は水蒸気改質器からの出口流であるプロセス流を有し、該プロセス流が少なくとも200℃の温度であり、該プロセス流の成分が気相中にあり、かつ該方法は、
(a)該プロセス流からの後流を取り出すこと;
(b)該後流をその露点よりも高い温度に冷却すること;
(c)該プロセス流のNIR吸収成分を特徴付けるスペクトルを得るために、冷却された後流を近赤外(NIR)分光法により分析すること;及び
(d)該プロセス流の1以上のNIR吸収成分の濃度及び/又は分圧を決定するために、ケモメトリックス法を用いてNIRスペクトル法からの確立された較正モデルと得られたスペクトルを相関させること;及び、
(e)決定された濃度及び/又は分圧に応じて、該供給流中の少なくとも1つの成分の濃度を調整することを含む方法を提供する。
【0038】
水蒸気改質器への供給流、及び/又は水蒸気改質器からの出口流からの後流の近赤外分析から得られた情報に基づく化学プロセスのプロセス制御は、手動又は自動で行われる。好ましくは、近赤外分析から得られたデータはコンピューター化された制御装置に提供され、水蒸気改質器への供給成分を自動的に調整して該成分の所定の流量を達成する。
【0039】
あるいは、該データは表示装置に提供することができ、供給成分の流量を手動で調整するオペレーターによって判断される。
【0040】
本発明の方法を、次の非限定的な実施例により図1及び2を参照して説明する。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】混合流れによって生成された気相混合物の較正モデルを確立するための使用に適した装置の概要を示す。
【図2】二酸化炭素、メタン、及び水の気相混合物のNIRスペクトルを示す。
【発明を実施するための形態】
【0042】
装置は、熱マスフローコントローラ(1)、制御エバポレーターミキサー(controlled evaporator mixer)(CEM)(2)、NIRフローセル(3)、光ファイバーケーブル(4)、及びNIR分光計(5)からなる。
【0043】
使用において、液相中の成分は、ライン(6)を通じて、該成分を蒸発させて蒸気を生成する加熱された制御エバポレーターミキサー(2)に供給される。ガス状成分は、ライン7及び8を通じて、該ガス状成分を気体状の液体と混合する加熱された制御エバポレーターミキサー(2)に供給される。加熱された制御エバポレーターミキサー(2)への液体及びガス状成分の流れは熱マスフローコントローラ(1)によって制御することができる。加熱された制御エバポレーターミキサー(2)で生成された蒸気混合物はNIRフローセル(3)へ送られる。NIRフローセル(3)からの流出物は熱交換器(9)を通過し、液体を不活性化する凝縮器(10)、及びシステムの圧力を制御する圧力調整器(11)を通じて放出される。NIRフローセル(3)は光ファイバーケーブル(4)によってNIR分光計(5)に連結される。NIRフローセル(3)の蒸気混合物は、10000〜4000cm−1の可変解像度で多重走査を用いて、NIR分光計(5)によって分析される。また、対照として窒素下でフローセル、又はファイバーループが用いられる。
【0044】
(混合物における水蒸気、メタン、及び二酸化炭素の濃度の較正モデルの確立)
図1に示す装置配置を用いて、二酸化炭素、水蒸気、及びメタンの較正混合物のNIRスペクトルを生成した。該装置は熱マスフローコントローラ(1)、及び加熱されたBronkhurst(UK)社製の制御エバポレーターミキサー(2)からなる。NIR分光計(5)は、機械計装マルチプレクサーを有し、熱電気的に冷却されたInGaAs検出器及び石英ビームスプリッターが取り付けられたBruker Matrix F FTNIR分光計(Bruker Optics社製)であった。NIR分光計(5)を低OHシリカ光ファイバー(200ミクロンコア/280ミクロン外装、0.29の開口率、350℃まで適用可能なポリイミドコーティング、Sentronic GmbH社製)によってNIRフローセル(3)に連結した。使用されるNIRフローセルはサファイア製の窓及び7.5cmの光路長を有し、50bar及び300℃までの適用可能であるステンレス鋼製のタイフーンTセル(SPECAC社製)であった。フローセル及び蒸気ラインを蒸気混合物の露点より高い温度に電気的に加熱した。
【0045】
水蒸気、メタン、及び二酸化炭素の較正混合物を次のように調製した。水(0〜10g/時間)を蒸発し、制御エバポレーターミキサーでメタン(0〜3nl/時間)及び二酸化炭素(0〜3nl/時間)と混合し、200〜280℃、15〜20baraの全圧でフローセルに供給した。これによって、8〜12baraの水蒸気、2〜6baraのメタン、及び1〜4baraの二酸化炭素を含む、蒸気混合物を生成した。混合物のNIRスペクトルは、対照として計測温度で窒素下でのフローセルを用いて、2つの波数分解能で10000〜4000の波数を記録した。
【0046】
図2では、全圧17.05bara及び240℃の下で、二酸化炭素(2.60bara)、メタン(3.64bara)、及び水蒸気(10.81bara)の吸収の領域を示す試料スペクトルを示す[純粋な成分スペクトルは、パシフィックノースウエスト国立研究所、米国エネルギー省(Richland. Washington)から出版されるような商業出版物で知ることができる]。生成されたNIRスペクトルから得られたデータを用いて較正モデルを確立した。過剰の水の吸収(9500〜7400、7100〜5520、及び5160〜4925の波数)を回避するスペクトル領域を用いて、PLSplus\IQケモメトリックスソフトウェア(Thermo Electron社製)によって、メタン、水、二酸化炭素、及び温度の部分最小二乗較正モデルを構築した。
【0047】
(実施例1)
およそ278℃の温度、かつおよそ17bargの圧力の下で、水蒸気、二酸化炭素、及びメタンを含む水蒸気改質器供給流からの後流を250〜260℃の温度に空冷し、その後、上述したタイプのNIR分光計、NIRフローセル、及び光ファイバーケーブルを用いて、30秒の間隔で2つの波数分解能で10000〜4000の波数のNIRスペクトルを記録することにより分析した。改質器供給流中の各々の成分(メタン、水蒸気、及び二酸化炭素)の濃度を決定するために、部分最小二乗較正モデルを、生成されたNIRスペクトルに適用した。成分(メタン、水蒸気、及び二酸化炭素)の決定された濃度に応じて、改質器への供給流中のメタンの濃度を調整することができた。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
プロセス流のオンライン分析方法であって、該プロセス流が水蒸気改質器への供給流、又は水蒸気改質器からの出口流であり、該プロセス流が少なくとも200℃の温度であり、該プロセス流の成分が気相中にあり、かつ該方法は、
(a)該プロセス流からの後流を取り出すこと;
(b)該後流をその露点よりも高い温度に冷却すること;
(c)該プロセス流のNIR吸収成分を特徴付けるスペクトルを得るために、冷却された後流を近赤外(NIR)分光法により分析すること;及び
(d)該プロセス流の1以上のNIR吸収成分の濃度及び/又は分圧を決定するために、ケモメトリックス法を用いてNIRスペクトル法からの確立された較正モデルと得られたスペクトルを相関させることを含む方法。
【請求項2】
前記プロセス流が水蒸気、メタン、及び二酸化炭素の成分を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記プロセス流が一酸化炭素、水素、メタン、及び二酸化炭素の成分を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記プロセス流が更に窒素を含む、請求項1乃至3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記プロセス流の温度が200〜500℃の範囲である、請求項1乃至4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記後流が、二酸化炭素再利用供給の関連プロセスの前の段階で、供給流から得られる、請求項1乃至5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記後流が、出口流からの二酸化炭素の分離前の段階で、出口流から得られる、請求項1乃至5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記後流が露点よりも高い少なくとも20℃の温度に冷却される、請求項1乃至7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
冷却された後流が200〜300℃の範囲の温度で維持される、請求項1乃至8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記プロセス流が10〜100bargの範囲の圧力である、請求項1乃至9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記ケモメトリックス法が部分最小二乗法、多重線形回帰、及び主成分回帰から選択される、請求項1乃至10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
前記近赤外分光法がNIR分光計、光ファイバーケーブル、及びNIRフローセルからなる装置を用いて行われる、請求項1乃至11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
前記NIR分光計がフーリエ変換赤外分光計である、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記フーリエ変換赤外分光計が0.1〜2cm−1の範囲の分解能で用いられる、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記光ファイバーケーブルが低OHシリカ光ファイバーケーブルである、請求項12乃至14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
前記光ファイバーケーブルがポリイミド材料又は金属で被覆されている、請求項12乃至15のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
前記NIRフローセルがステンレス鋼製の本体及びサファイア製の窓からなる、請求項12乃至16のいずれか一項に記載の方法。
【請求項18】
前記NIRフローセルが5〜10cmの範囲の光路長である、請求項12乃至17のいずれか一項に記載の方法。
【請求項19】
前記光路長が7.0〜8.0cmの範囲である、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
分析された成分のスペクトルが1.5吸収ユニット未満の吸収である、請求項1乃至19のいずれか一項に記載の方法。
【請求項21】
水蒸気改質プロセスにおけるプロセス制御を達成するための方法であって、該プロセスは水蒸気改質器への供給流又は水蒸気改質器からの出口流であるプロセス流を有し、該プロセス流が少なくとも200℃の温度であり、該プロセス流の成分が気相中にあり、かつ該方法は、
(a)該プロセス流からの後流を取り出すこと;
(b)該後流をその露点よりも高い温度に冷却すること;
(c)該プロセス流のNIR吸収成分を特徴付けるスペクトルを得るために、冷却された後流を近赤外(NIR)分光法により分析すること;及び
(d)該プロセス流の1以上のNIR吸収成分の濃度及び/又は分圧を決定するために、ケモメトリックス法を用いてNIRスペクトル法からの確立された較正モデルと得られたスペクトルを相関させること;及び、
(e)決定された濃度及び/又は分圧に応じて、該供給流中の少なくとも1つの成分の濃度を調整することを含む方法。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2010−530067(P2010−530067A)
【公表日】平成22年9月2日(2010.9.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−511714(P2010−511714)
【出願日】平成20年5月23日(2008.5.23)
【国際出願番号】PCT/GB2008/001778
【国際公開番号】WO2008/152351
【国際公開日】平成20年12月18日(2008.12.18)
【出願人】(591001798)ビーピー ケミカルズ リミテッド  (66)
【氏名又は名称原語表記】BP CHEMICALS LIMITED
【Fターム(参考)】