説明

気相反応物を有するマイクロ波アシスト有機反応を行うための方法および装置

有機化合物の水素添加を加速させる方法を提供する。この方法は、マイクロ波空洞における水素添加に適切な少なくとも1つの反応物を収容するためのマイクロ波透過反応容器を配置することと、前記反応容器をパージすることと、前記反応容器に水素ガスを充填することと、前記空洞内ならびに前記容器およびその内容物に、前記反応物における化学変化を生じさせるために十分な時間の間連続単一モードのマイクロ波放射を加えることとを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、概して、マイクロ波アシスト化学の分野に関し、特にマイクロ波アシスト水素添加反応に関する。
【背景技術】
【0002】
学術分野および商業分野において多数のマイクロ波アシスト化学の技術が公知である。特定の物質を加熱する(あるいはエネルギーを供給する)ためにマイクロ波はいくつかの重要な利点を有する。特に、マイクロ波が結合可能な物質、最も典型的には極性分子またはイオン種と相互作用するとき、マイクロ波はそのような種に大量の運動エネルギーを即座に生成することができ、このため、種々の化学反応を開始させる、または加速させる十分なエネルギーを供給することができる。マイクロ波は所望の種と瞬間的に反応することができるので、マイクロ波は、周辺環境を加熱する必要がないという点においても伝導加熱よりも有利である。
【0003】
「マイクロ波」という用語は、約1ミリメートル(1mm)から1メートル(1m)の間の波長であるとともに約300から300,000メガヘルツ(MHz)の間の電磁スペクトラムの部分をいう。これらは、勿論、任意の境界であるが、赤外線(IR)の周波数より低く、かつ、無線周波数と呼ばれる周波数より高いものであるとして、マイクロ波を数値化するのに役立つ。周波数と波長とが反比例の関係にあることは十分立証されているが、このことを考えると、マイクロ波は、赤外線よりも長いが無線周波数の波長よりも短い波長を有するともいえる。
【0004】
マイクロ波は、そのような波長およびエネルギーをもっているため、確実な反応、または比較的大きなサンプル量での反応、またはその両方を生じさせるのに歴史的にみて最も有用であるとされてきた。別の言い方をすれば、大部分のマイクロ波の波長は、マイクロ波が印加される空洞内に、マルチモードの状態を作り出す傾向がある。これは、多数の種類の化学反応においてほとんど不利になることはないか、または全く不利になることはない。マイクロ波の技術は、消化または乾燥減量(loss−on−drying)水分内容分析のような反応に対して商業的によく確立されている。
【0005】
しかしながら、少ない材料のサンプルに適用される場合、比較的確実でマルチモードのマイクロ波技術は、成功しにくい傾向がある。化学反応の規模を拡大することを明白な目標とする化学技術もあるが、多くの実験室および研究技術では、少ないサンプルで化学反応を実行することがしばしば必要であったり有利であったりする。例えば、少ないサンプルでしか入手できない化合物もある。反応物のコストが原因となり、大口のサンプルをためらう場合もあるであろう。コンビナトリアルケミストリーのような他の技術は、少ないサンプルを多数使用して大量の情報を迅速に集め、その後、これらの結果を、医薬品またはそれらの有用な先駆物質の好ましい候補のような所望の答えが得られるよう調整する。
【0006】
他の種類のマイクロ波アシスト技術(例えば、乾燥、消化等)に適するより大きなマルチモードの空洞を有するマイクロ波装置は、空洞における出力密度パターンが比較的不均一であるため、一般的に少なめの有機サンプルにはあまり適当でない。
【0007】
従って、マイクロ波アシスト化学へさらに焦点を合わせたアプローチが求められ、これが、この目的に適う装置の改良につながってきた。例えば、譲受人(CEM Corporation、Matthews、3100 Smith Farm Road、NC 28106)のDISCOVER(登録商標)、EXPLORER(登録商標)、VOYAGER(登録商標)、NAVIGATORTM、LIBERTYTMおよびINVESTIGATORTMの下で販売されている市販の装置では、少ないサンプルと、化学合成のような高度な反応とに適する単一モードに焦点を合わせたマイクロ波装置を提供してきた。
【0008】
しかしながら、そのような単一モード装置の大成功は、関連する問題を生み出してきた。特に、単一モード装置により提供される出力密度の改善は、少ないサンプルに著しい加熱を引き起こす可能性がある。これには、場合によっては望ましくない過熱が含まれる。一つ以上の反応物が気相にある場合、そのような過熱は派生的な問題を引き起こす可能性がある。そのような反応の一つに水素添加がある。
【0009】
当業者に公知のように、アルケンは典型的に、水素(H)および触媒の存在下で反応してアルカンを形成する。この反応は、水素添加反応として公知である。一般的な水素添加は動物の脂肪または野菜油の固化であり、室温で硬くなり安定性が増す。脂肪または油分子の不飽和脂肪酸部分における炭素−炭素二重結合に(触媒の存在下で)水素が加えられる。水素添加反応はまた、石油の精製においても重要である。分解によるガソリンの生産は破壊的な水素添加(水素化分解)を伴い、そこでは大きな分子がより小さな分子へ分解され水素と反応させられる。
【0010】
当該分野では、気相を含む有機反応はしばしば長時間を要するとともに、水素ガス爆発の可能性が高く、危険であることが公知である。(例えば)水素添加反応を行うのが難しい理由の一つは、水素ガスで作業を行わなければならないことにある。当業者に公知のように、水素ガスはほとんどの場合加圧下で保存され、極めて引火性が高いガスである。このように引火性が高いため、水素ガスは、長時間の反応に対し望ましくない試薬となっている。
【0011】
従来の水素添加反応は、典型的には、水素雰囲気内で気圧において行われる。水素雰囲気はしばしば、水素を満たした風船を、水素添加反応物を収容する丸底フラスコに取り付けることにより得ることができる。
【0012】
約5気圧までの圧力かつ約80℃の温度下であれば、攪拌器型器具の中で触媒使用の水素添加が実行されることもよくある。米国イリノイ州MolineのParr Instrument Companyから入手可能な水素添加器具は、そのような技術を例示するものであり、(改良、付属物および関連する向上はあるが)1920年代に始まった基本的な設計を表す。Parrによれば、「取り扱う材料は、触媒とともに水素貯蔵器に連結された反応瓶の中に密閉される。ボトルを排気することによりまたは水素で流すことにより、空気が除去される。その後貯蔵器から圧力が加えられ、反応を開始するために瓶が激しく攪拌される。もし必要であれば、この処理の間、瓶は加熱するかまたは冷却することもできる。反応が所望の点に達した後、攪拌器が停止され、瓶は排気されて生成物および触媒が回収される」(www.parrinstruments.com)。
【0013】
この種類の水素添加反応は、大抵、遅い反応速度および低い反応収率を有する。例えば、典型的なコレステロールの水素添加は、およそ24時間かかり、約70%未満の収率を示す。
【0014】
上述したように反応時間が長時間になると、研究者を加圧された水素ガスに長時間さらすことになるかも知れず、よって水素ガスに伴う問題の生じる機会が増える。加えて、そのような長時間の反応時間を有する反応は、継続的に監視するのが困難である。
【0015】
反応時間および水素ガスへの露出を減らすべく、水素添加反応のためにマイクロ波技術を利用する試みが以前からあったが、大方が転移水素添加に集中した。「転移」反応とは、加圧下で維持される水素ガスで作業を行うのではなく、in situで水素ガスを生成することにより実行される水素添加反応をいう。水素ガスのin situ生成のための一般的な技術は、ギ酸を利用する。この技術には、長い反応時間と低い収率という欠点がある。
【0016】
Heller他によって非特許文献1に開示された、マイクロ波アシスト水素添加反応を行うための別の技術は、圧力約25バール(すなわち飽和系)、温度約125℃、および反応時間約1時間で水素ガスを利用して、ピリジン−2−カルボン酸を水素添加してピペコロイック酸を得る。上記反応は、最小体積約20mLかつ最大体積約200mLを含むものであった。同様に、Hellerの方法を利用するピペリジニウムを水素添加したところ、20バール、60℃で1.5時間進行した。脱ベンジル化は典型的に約2時間の反応時間を要した。アジ水素添加は典型的に約3時間の反応時間を要した。また、ストリキニーネの水素添加は典型的に約2時間続いた。
【0017】
この技術により結果的に反応時間は減少したが、必要とされる圧力では、実験室における水素ガス爆発の可能性が大きくなる。加えて、反応時間も1時間超と長くなってしまうので、水素ガス爆発の可能性が大きくなる。
【非特許文献1】Heller他、Tetrahedron Letters 46 (2005) 1247
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0018】
一形態において、本発明は有機化合物の水素添加を加速させる方法である。前記方法は、マイクロ波空洞における水素添加に適する少なくとも1つの反応物を収容するマイクロ波透過反応容器を置くこと、前記反応容器をパージすること、前記反応容器に水素ガスを充填すること、および、前記空洞内ならびに前記容器およびその内容物に、前記反応物における化学変化を生じさせるのに十分な時間、連続単一モードのマイクロ波放射を加えることを含む。
【0019】
別の形態において、本発明はマイクロ波空洞に水素添加反応物を収容するマイクロ波透過反応容器を置くこと、前記反応容器をパージすること、前記反応容器に水素ガスを充填すること、および、前記空洞内ならびに前記容器およびその内容物に、前記反応物における化学変化を生じさせるのに十分な温度で、連続単一モードのマイクロ波放射を加えることを含む、有機化合物の水素添加を加速させる方法である。
【0020】
さらに別の形態において、本発明は、マイクロ波空洞内ならびに前記空洞内のマイクロ波透過容器およびその内容物に、連続単一モードのマイクロ波放射を加える供給源を含む、マイクロ波アシスト水素添加反応を行うための機器である。前記器具は、前記容器に水素ガスを充填するための手段と、前記容器を排気するための少なくとも一つの排気口と、をさらに含む。
【0021】
別の形態において、本発明は水素添加反応を実行する方法を改善するものである。前記改善は、水素添加反応物を収容する反応容器に水素ガスを充填することと、マイクロ波空洞内の前記反応容器およびその内容物に、水素添加反応を生じさせるのに十分な温度および時間、連続単一モードのマイクロ波放射を加えることと、を含む。
【0022】
本発明の前述および他の形態および実施形態は、添付の図面とともに以下の詳細な説明により、一層明確となるであろう。
【0023】
本発明は、以下、添付図面を参照してより十分に説明されるが、添付図面には本発明の全ての実施形態ではなくそのいくつかが示されている。実際には、この発明は、多くの異なる形態に具体化されることができ、ここに記載されている実施形態に限定されるものと解釈されるべきではない。むしろ、これらの実施形態は、この開示が、適用される法的要件を満足するように提供されている。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
本発明は、マイクロ波アシスト水素添加反応のような、気相反応物でマイクロ波アシスト化学反応を行うための方法および装置である。マイクロ波アシスト水素添加反応は、水素添加反応を行うための従来方法よりも高い収率、より安全な反応、より短い反応時間を提供することができる。よって、ここで説明する水素添加は、限定的なものではなく、本発明の有用な例示である。
【0025】
別段の記載がない限り、ここで使用される(技術および科学用語を含む)全ての用語は、本発明が属する技術分野における当業者によって通常理解されるのと同じ意味を有する。さらに、一般的に使用される辞書で定義されているような用語は、本開示の当該分野の文脈における意味と一致する意味を有すると解釈されるべきであって、本明細書において明示的にそのように定義されていない限り、理想的なまたは過度に形式的な意味に解釈されないことが理解されるであろう。
【0026】
本発明を説明する際、いくつかの技術およびステップが開示されていることが理解されるであろう。これらのそれぞれは個々の利点を有しており、それぞれが、別の開示された技術の一つまたはそれ以上、あるいは場合によっては全てと同時に使用されることもできる。従って、わかりやすくするため、この説明では、不必要に、個々のステップのあらゆる可能な組み合わせを繰り返すことを差し控える。しかしながら、そのような組み合わせは完全に本発明および請求の範囲の範囲内であるという理解をもって、本明細書および請求の範囲は読まれるべきである。
【0027】
図1は、本発明の一実施形態の概略図である。この形態によれば、本発明は、概して10で指定される、マイクロ波アシスト化学反応を行うための機器である。機器10は、マイクロ波アシスト化学反応を行うための、好ましくは、閉鎖マイクロ波空洞である、マイクロ波空洞12を含む。例示的な実施形態では、マイクロ波空洞12は、関係のある供給源により発生される波長の単一モードをサポートする、実質的に円筒形の空洞である。
【0028】
機器10はさらに、空洞12内でおよび容器16およびその内容物にマイクロ波放射を加えるための、ダイオード14で例示される供給源を含む。装置はまた、マイクロ波放射を所望の方向に向けるための、前記供給源および空洞と連結する導波管34を含んでもよい。装置はまた、容器16およびその内容物の温度を監視するための温度監視手段20を含む。温度監視手段は、図1に示されるように光ファイバセンサ22を含んでもよい。例示的な実施形態では、温度監視手段は、温度計、熱電対、高温計および光学温度検出器の一つまたはそれ以上から選択される。
【0029】
図1は、わかりやすくするためにこれらの要素を別々に例示しているが、一本の光ファイバ線が、供給源から容器までの両方の照明波長の伝播とともに、観察用の可視アクセスの提供に使用されてもよいことが、当然理解されるだろう。従って、図1は、本発明のこの形態および他の形態に限定するものではなく、説明および例示のためのものである。
【0030】
機器10はまた、容器に水素ガスを充填するための手段を含んでもよい。例示的な実施形態では、充填手段は水素ガスタンク24を含む。本発明によると、反応容器に水素ガスを充填するための当該分野で公知の他の手段も有用であると考えられる。
【0031】
例示的な実施形態では、機器10はまた、充填手段24と容器16との間に、容器16内への水素ガスの流れを制御するための少なくとも一つの弁26を含んでもよい。機器10はまた、容器16を排気するための排気口28を含んでもよい。一つの実施形態では、弁26は、容器16の充填および排気の両方が可能であってもよい。
【0032】
例示的な実施形態では、タンク24と容器16との間の水素圧力の直接制御を可能とするため、タンク24にまたはタンク24の近傍に遮断弁30が位置していてもよい。そのような直接制御は、付加的な安全手段として望ましい場合もある。前述したように、当業者であればわかることだが、水素ガスの扱いは本来的に難しいものである。従って、前述した遮断弁30のような付加的な安全手段がしばしば望まれる。
【0033】
適切にかつ成功裡に反応を実行するために、弁26および30は、個々に、共同で、または重複的に、供給源タンク24からの水素の圧力、従って水素の量を制限する能力を提供する。同様に、容器16は、化学量論的反応を完了近くまたは完了まで行わせるのに必要な圧力を扱う能力がなければならない。
【0034】
別の実施形態では、機器10は圧力センサ32を含んでもよい。圧力センサ32は、水素添加反応の圧力を監視するために、容器16およびその内容物と通信を行ってもよい。図1の概略図は、圧力センサ32が空洞の外側にあって弁26、30から離れているとして示しているが、この位置は例示であり本発明を限定するものではないことが理解されるだろう。
【0035】
一実施形態では、供給源14は、空洞12内に連続単一モードのマイクロ波放射を伝搬させる。マイクロ波の性質は良く理解されている波動伝搬の法則に従うものであるため、単一モードの生成は、ほとんどの場合、供給源14によって生成される波長での単一モードをサポートする幾何学的形状を有する空洞12を設計することにより達成される。例えば、米国では、2450メガヘルツ(MHz)が、研究室でのマイクロ波使用のために用意された規制周波数(波長)の一つである。ここで使用され、かつこの分野で一般的に良く理解されているように、「モード」という用語は、許可された(すなわち物理の法則に関して)空洞内での電磁場パターンをいう。
【0036】
マイクロ波のモードは、一般的に、TEn,l,m指定(TEは磁場を表す)によって呼ばれ、ここで下付き文字は伝搬方向におけるゼロの数を示す。単一モードをサポートできる空洞12は、当該分野において示されており、マイクロ波およびその伝搬に精通する者に一般的に理解されている。単一モードのマイクロ波放射を伝搬させるための例示的な空洞12が、参照することによりここに援用される米国特許第6,288,379号に示されている。
【0037】
本発明の他の形態と矛盾しない適切なマイクロ波供給源14であれば使用可能である。マグネトロン、クライストロン、またはガンダイオード等の固体供給源のような典型的な供給源が本発明において使用可能である。例示的な実施形態では、連続マイクロ波放射の印加は、前に援用した米国特許第6,288,379号に示されるように、共振インバータスイッチング電力供給を用いて達成される。よって、「連続」という用語はここでは絶対的な意味ではなく説明的な意味に使用され、約60ヘルツより大きな周波数で供給源を駆動しながら供給源から放射を加えることをいう。より好ましくは供給源は約600ヘルツより大きな周波数で駆動され、より一層好ましくは約6000ヘルツより大きな周波数で駆動され、そして最も好ましくは約10,000ヘルツと約250,000ヘルツとの間の周波数で駆動される。このことにより、’379号特許に説明されているように、50サイクル交流(ヨーロッパで典型的)または60サイクル交流(米国で標準)で使用される従来の装置よりも、より長い時間より均一なレベルで出力を加えることが可能となる。
【0038】
図1はまた、コイル44として概略的に示される冷却機構を示している。好ましい実施形態では、冷却システムは、譲受人共通の米国特許第6,744,024号、および、同時係属中かつ譲受人共通の米国特許出願公開第20060039838号に記載されているものと同一または同等である。冷却機構は、マイクロ波エネルギーの印加の間、容器内の温度を加減または制御する。コイル(または同等の冷却機構)44と容器16との間の物理的な接続が、ライン45によって概略的に示されており、コイル(または同等物)44はライン46を介してプロセッサ36と信号通信を行う。明確さのため、図1はコイル44が空洞12の外側にあるものとして示しており、金属部品と空洞12内の単一モードとの干渉を避けるため、これが通常の位置である。よって、ライン45は典型的に、空洞12内の波動モードと干渉することなく、冷却空気または他の流体を運搬可能なマイクロ波透過材料で形成されている。しかしながら、コイル44が外部に位置するのは、例示的な説明であって限定的なものではない。
【0039】
本発明はさらに、温度センサ20と圧力センサ32との一つまたは両方と信号通信を行うプロセッサ36を含んでもよい。プロセッサ36は、広く入手可能で良く認識されているプロセッサの中から選択可能であり、パーソナルコンピュータに一般的に使用されているIntel(登録商標)(カリフォルニア州サンタクララ)のPentium(登録商標)またはCoreTM Duoシリーズ、または、AMD(登録商標)(カリフォルニア州サニーベイル)のような他の供給元から出されている機能的に同等なプロセッサ等がある。場合によっては、所望の制御機能を実行するために市販のデスクトップまたはラップトップコンピュータをソフトウェアでプログラムすることも可能である。一方、別の状況では、同じ目的のために前もってプログラムされた読み出し専用メモリ(ROM)と協働させてプロセッサを使用することも可能である。何れの場合でも、当業者は、必要以上の実験をすることなく、関係のあるプロセッサを入手して使用することができる。制御回路およびロジックならびに関連する装置およびシステムについて一般的に考察したものは多くあり、出典としてよく使われているものの一つには、Dorf,The Electrical Engineering Handbook,第2編、(1997,CRC Press)、1104〜1107ページ、セクション43.6〜43.7がある。
【0040】
例示的な実施形態では、さらに反応の温度の監視を可能にするため、装置はまた温度表示部38を含んでもよい。さらに反応の圧力の監視を可能にするため、装置はさらに圧力表示部40を含んでもよい。
【0041】
別の例示的な実施形態では、プロセッサ36は温度センサ20と信号通信を行い、監視される温度に応じてマイクロ波供給源14を制御することができる。
【0042】
別の例示的な実施形態では、プロセッサ36は、監視される圧力に応じてマイクロ波供給源14を制御するために、圧力センサ32と信号通信を行う。
【0043】
別の言い方をすれば、プロセッサ36は、容器16およびその内容物の温度および/または圧力の監視される変化に応じて、マイクロ波供給源14の出力を低下または増大させるようにプログラムされてもよい。従って、監視される温度および/または圧力に応じて、供給源14が自動的に遮断または調整されてもよい。一つの実施形態では、温度および/または圧力が閾値レベルに達したときにマイクロ波供給源14を調整するように、プロセッサ36がプログラムされてもよい。
【0044】
「容器」という用語はここでは本発明の機器および方法の形態の両方に関して使用されているが、本発明はいかなる特定の大きさまたは形状の容器にも限定されないことは理解されるだろう。加えて、容器という用語は、フロー・スルー・システムを含む、反応物を扱うための他の物理的な構成を含み得る。一般的に、水素添加反応は典型的に、反応物の一つとして水素ガスを含むため、容器または容器系は、他の反応物と共に水素ガスを収容するために密閉される。水素ガスを収容する最も典型的な方法は、密閉容器を使用することである。しかし、ここで説明される方法ステップの残りと一貫して動作するという条件で、より大きな密閉系または他の何らかの同等の構成における開放容器も含むことができる。この明細書の他でも記載されているように、容器は、上昇した温度(通常約200℃まで)で、予想される圧力(通常数気圧まで)に耐えることができなければならない。本件譲受人から入手可能なものなど、例示的な容器はマイクロ波の技術分野で良く理解されている。
【0045】
図1はまた、概略的に示されるいくつかの経路を含み、いくつか(すなわち、管またはチューブ)はガス流連通のためであり、いくつか(電線または無線装置)は電気または信号通信のためであり、いくつか(光ファイバ)は光通信のためである。よって、17で指定されるラインは、水素タンク24から弁30を通って弁26へのガス流経路を表す。同様のガス流管21は、排気口28と弁26とを連通させる。第三のガス流管23は、弁26と容器16とを連通させる。光ライン25および27は、容器16と温度モニタ20とを通信させる。電気または信号ラインは、圧力センサ32とプロセッサ36とを(ライン33)、プロセッサ36と供給源14とを(ライン35)、プロセッサ36と温度センサ20とを(ライン37)、プロセッサ36と表示部38とを(ライン41)、そしてプロセッサ36と表示部40とを(ライン43)、それぞれ通信させる。
【0046】
別の形態では、本発明は、気相反応物を含む有機反応を加速させる方法である。水素添加に関して、上記方法は、水素添加に適する少なくとも一つの反応物を収容するマイクロ波透過反応容器を、マイクロ波空洞に置くことを含む。上記置くステップの前または後に反応容器はパージされ、その後水素ガスを充填されてもよい。空洞に容器が置かれた後、上記方法はさらに、反応物が所望の収率に水素添加されるまで、空洞内におよび容器およびその内容物へ、連続単一モードのマイクロ波放射を加えることを含む。
【0047】
ここで使われているように、「パージ」という用語は、反応容器から不要なガスを出して空にし、通常は水素である所望の反応物ガス(または複数種類のガス)で置き換える、適切なステップをいう。いくつかの場合には、パージステップは、真空タイプのポンプを使用して容器のガスを空にし(またはほとんど空にし)、一方、別の場合には、所望のパージガスまたは反応物ガスのみが残るように、他のガスを置き換えるような方法でパージガスが加えられる。
【0048】
当業者には当然のことながら、水素添加反応は、水素の一原子が二重結合の各原子に付加される付加反応である。例えば、水素の一原子が、炭素−炭素二重結合の各炭素原子に付加されることができる。
【0049】
水素添加に適する反応物は、二重または三重結合を有する反応物を含む。従って、一般的な水素添加反応物はしばしばアルケンまたはアルキンである。炭素原子と窒素原子との間のような二重結合を含む他の反応物もまた、本発明において有用と考えられる。よって、当業者は、有用な水素添加反応物が分かるだろう。
【0050】
一実施形態では、マイクロ波空洞において水素添加反応物を収容するマイクロ波透過反応容器を置くステップは、少なくとも一つの水素添加触媒をさらに収容するマイクロ波透過容器を置くことを含む。当業者に公知のように、一般的な水素添加触媒は白金、ニッケル、パラジウム、ロジウム、ルテニウム、およびそれらの組合せを含むが、これらに限定されるものではない。当該分野で公知の他の水素添加触媒もまた、本発明において有用と考えられる。
【0051】
別の実施形態では、前記方法はマイクロ波透過容器に反応物を置くことを含み、マイクロ波放射の印加前に密閉可能な耐圧容器の中に前記反応物を置くことを潜在的に含むが、必ずしも含むわけではない。その後容器およびその内容物はマイクロ波空洞の中へ置かれ、同時に外部から容器を冷却しながら、マイクロ波放射、好ましくは連続単一モードのマイクロ波放射が、空洞内で容器およびその内容物へ加えられる。
【0052】
一実施形態では、容器の気体の純度をさらに確保するため、反応容器をパージするステップは、1回より多く行われてもよい。例えば、空洞内でマイクロ波放射を加える前に、2回またはそれ以上の回数、反応容器をパージして水素を充填してもよい。
【0053】
一実施形態では、反応容器に水素ガスを充填するステップは、少なくとも一つの水素添加反応物に関して化学量論的な量の水素ガスを反応容器に充填することを含んでもよい。例えば、水素添加される二重結合のHに対する比が約1:1となるのに十分な量の水素ガスを反応容器に充填してもよい。
【0054】
所望のまたは適切な化学量論量の決定は、十分に当業者の技術の範囲内である。良く理解されているように、固体または液体反応物の化学量論量は、典型的に、グラムおよび分子量、または(例えば、液体)濃度、体積および分子量に基づき評価される。気体に対しては、理想気体の法則または良く理解された理想気体の法則の派生を用いて、量が計算される。従って、一旦容器の容積が定義または測定されれば、容器内の気体の量は圧力に直接比例する。
【0055】
他の実施形態では、反応容器に水素ガスを充填するステップは、少なくとも一つの水素添加反応物に関して化学量論よりも大きい量の水素ガスを反応容器に充填することを含んでもよい。別の言い方をすれば、水素添加される二重結合のHに対する比が1:1よりも小さくなるように水素ガスを反応容器に充填してもよい。
【0056】
単に反応物の部分的な水素添加が望まれるさらに他の実施形態では、少なくとも一つの水素添加反応物に関して化学量論よりも少ない量の水素ガスを反応容器に充填してもよい。例えば、水素添加される二重結合のHに対する比が約1:1よりも大きくなるのに十分な量の水素ガスを反応容器に充填してもよい。
【0057】
本方法は、反応容器の温度を監視するステップをさらに含んでもよい。温度監視ステップは、温度プローブ、または、当該分野で公知の他の温度監視手段を利用して行われてもよい。
【0058】
前記方法は典型的に、容器およびその内容物を約60℃と180℃との間の温度まで加熱することを含み、上限は容器16の温度および圧力許容量によって表される。大抵の状況では、容器は、約200℃までの温度における必要な圧力に耐えるだろう。勿論、より丈夫な容器を使うこともできるが、ある点において、温度の上昇は、所望の水素添加よりも分解反応を引き起こすだろう。よって、温度および圧力の上限は、ほとんどの場合、機器または容器の物理的な限界ではなく、反応物および生成物によって決定される。
【0059】
一実施形態では、連続単一モードのマイクロ波放射を加えるステップは、約50%水素添加よりも大きく、より好ましくは約75%水素添加よりも大きく、最も好ましくは約90%水素添加よりも大きい収率を生じさせるのに十分な時間、空洞内ならびに容器およびその内容物に、連続単一モードのマイクロ波放射を加えることを含んでもよい。例示的な実施形態では、空洞内で連続単一モードのマイクロ波放射を加えるステップは、約100%水素添加の収率を生じさせるのに十分な時間、空洞内ならびに容器およびその内容物に、連続単一モードのマイクロ波放射を加えることを含む。
【0060】
少なくとも一つの実施形態では、反応物における化学反応を生じさせるのに十分な時間、連続単一モードのマイクロ波放射を加えるステップは、約2分から25分の間、連続単一モードのマイクロ波放射を加えることを含んでもよい。
【0061】
別の実施形態では、前記方法は、反応物を所望の収率に水素添加させるのに十分な温度を発生するために、空洞内ならびに容器およびその内容物に、連続単一モードのマイクロ波放射を加えることを含む。一実施形態では、化学変化を生じさせるのに十分な温度で、連続単一モードのマイクロ波放射を加えるステップは、連続単一モードのマイクロ波放射を利用することにより、容器内容物を約60℃と180℃との間の温度に加熱することを含む。
【0062】
前記方法はまた、反応物をマイクロ波透過容器内に置くこと、および、容器および内容物をマイクロ波空洞内へ置くことの両方のために、種々のロボットによる移動を用いるステップを含んでもよい。
【0063】
本発明は、観察される変化に応じて、自動または手動で、マイクロ波放射を加減する能力を提供する。マイクロ波放射は、監視される温度変化、視覚的に監視される変化、またはその両方に応じて加減されてもよい。加えて、所定の監視される変化に応じて、自動または手動で、マイクロ波放射を加減することが好ましい場合もある。
【0064】
一形態において、本発明は、マイクロ波アシスト水素添加反応を実行する方法である。前記方法は、水素添加混合物−しばしば反応物である−をマイクロ波透過容器内に置くこと、容器およびその内容物をマイクロ波空洞内に置くこと、および、空洞内ならびに容器およびその内容物に連続単一モードのマイクロ波放射を加えることを含む。
【0065】
勿論、「反応物」という用語はここで頻繁に使用されるが、前記方法は出発物質に限定されるものではなく、如何なる適切な混合物にも適用可能であることは理解されるだろう。
【0066】
一実施形態において、マイクロ波出力は容器内の反応物における監視される変化に応じて、手動でまたは自動で調整されてもよい。さらに、マイクロ波出力は、温度センサによって監視される変化に応じて、または、圧力センサによって監視される変化に応じて調整されてもよい。
【0067】
前記方法はまた、容器、好ましくは耐圧容器内に反応物を置くこと、および、マイクロ波放射を加えるステップの前に容器を密閉することを含んでもよい。マイクロ波放射を加えるステップは、好ましくは、前述したように連続単一モードのマイクロ波放射を加えることを含む。
【0068】
別の形態において、本発明は、水素添加反応を実行する方法を改善するものである。前記改善は、水素添加反応物を収容する反応容器に水素ガスを充填すること、および、水素添加反応を生じさせるのに十分な温度および時間、反応容器およびその内容物に連続単一モードのマイクロ波放射を加えることを含む。
【0069】
一実施形態において、前記方法は、水素添加反応を触媒することをさらに含んでもよい。例示的な触媒は、ニッケル(Ni)、白金(Pt),パラジウム(Pd)および他の貴金属および金属の組合せを含む。加えて、種々の適切な水素添加触媒は、当業者には公知であり、必要以上の実験をすることなく、認識できるものである。
【0070】
前記方法はまた、反応容器に水素ガスを充填するステップの前に、反応容器を少なくとも一回パージするステップを含む。
【0071】
連続単一モードのマイクロ波放射を加えるステップは、約60℃と180℃との間の温度で、より好ましくは約65℃と85℃との間の温度で、連続単一モードのマイクロ波放射を加えることを含んでもよい。さらに、連続単一モードのマイクロ波放射を加えるステップは、約2分から25分の時間、連続単一モードのマイクロ波放射を加えることを含んでもよい。
【0072】
前記方法は、水素添加反応の温度を監視すること、および、監視される温度変化に応じて、自動または手動でマイクロ波出力を調整することをさらに含んでもよい。同様に、前記方法はまた、水素添加反応の圧力を監視すること、および、監視される圧力変化に応じてマイクロ波出力を調整することを含んでもよい。
【0073】
本機器および方法は、水素添加反応を行うためのより効率的な方針を提供する。本方法は、従来の水素添加技術および以前開発されたマイクロ波アシスト水素添加技術の両方について、反応時間を短縮し、収率を向上させる。さらに、本方法は、温度を低下させ、かつ水素ガスへの露出時間を減らすことにより、爆発性の水素ガスで作業を行う際の安全性を改善する。
【実施例】
【0074】
本機器および方法を用いて、多数の水素添加反応を行った。これらの反応のうちいくつかを、それらの反応条件および収率とともに、以下に示す。別段の記載がない限り、各反応は、水素添加される反応物および1%触媒充填に対して、化学量論量の水素により進行した。
【0075】
図面で用いられているように、略語Pd/Cは、炭素担体上のパラジウム金属触媒を指す。略語EtOHはエチルアルコールを指し、略語EtOAcは酢酸エチルを指す。略語μλはマイクロ波の印加を指す。本件の譲受人である米国ノースカロライナ州マシューズのCEM Corporationから入手可能なPowerMAXTM単一モード容量マイクロ波機器を用いて、同時冷却を実行した。
【0076】
【化1】

【0077】
【化2】

【0078】
【化3】

図面、明細書、および実施例において、本発明の好ましい実施形態が説明されてきた。そして、特定の用語が用いられてきたが、それらは一般的かつ説明的な意味でのみ使用され、限定の目的で使用されない。本発明の範囲は、請求の範囲において規定される。
【図面の簡単な説明】
【0079】
【図1】図1は、本発明の一実施形態に従う機器の要素の概略図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
気相反応物を含む有機反応を加速させる方法であって、
少なくとも1つの反応物を収容するマイクロ波透過反応容器をマイクロ波空洞へ導入することと、
該反応容器をパージすることと、
該反応容器に気相反応物を充填することと、
該反応が所望の収率に進行するまで、該空洞内ならびに該容器およびその内容物に、連続単一モードのマイクロ波放射を加えることと
を含む、方法。
【請求項2】
前記空洞内へ、水素添加されるべき化合物を収容する容器を導入することと、
前記反応容器に水素ガスを充填することと、
該化合物が所望の収率に水素添加されるまで、該空洞内ならびに該容器およびその内容物に、連続単一モードのマイクロ波放射を加えることと
を含む、請求項1に記載の有機反応を加速させる方法。
【請求項3】
前記反応を触媒することを含む、請求項1に記載の有機反応を加速させる方法。
【請求項4】
水素添加触媒を用いて前記反応を触媒することを含む、請求項2に記載の有機反応を加速させる方法。
【請求項5】
パラジウム触媒を用いて前記反応を触媒することを含む、請求項4に記載の有機反応を加速させる方法。
【請求項6】
前記反応容器をパージするステップは、該反応容器を2回以上パージすることを含む、請求項1に記載の有機反応を加速させる方法。
【請求項7】
前記反応容器に水素ガスを充填するステップは、水素添加に適する該容器内の少なくとも1つの反応物に対して化学量論である水素ガスの量を該反応容器に充填することを含む、請求項2に記載の有機化合物の水素添加を加速させる方法。
【請求項8】
前記反応容器に水素ガスを充填するステップは、水素添加に適する前記少なくとも1つの反応物に対して化学量論よりも大きい水素ガスの量を該反応容器に充填することを含む、請求項2に記載の有機化合物の水素添加を加速させる方法。
【請求項9】
水素添加反応物を収容する前記反応容器の温度を監視するステップをさらに含む、請求項1に記載の有機反応を加速させる方法。
【請求項10】
前記反応物における化学変化を生じさせるのに十分な時間、前記空洞内ならびに前記容器およびその内容物に、連続単一モードのマイクロ波放射を加えるステップは、50%水素添加よりも大きい収率を生じさせるのに十分な時間、該空洞内ならびに該容器およびその内容物に、連続単一モードのマイクロ波放射を加えることを含む、請求項2に記載の有機化合物の水素添加を加速させる方法。
【請求項11】
前記反応物における化学変化を生じさせるのに十分な時間、前記空洞内ならびに前記容器およびその内容物に、連続単一モードのマイクロ波放射を加えるステップは、約75%水素添加よりも大きい収率を生じさせるのに十分な時間、該空洞内ならびに該容器およびその内容物に、連続単一モードのマイクロ波放射を加えることを含む、請求項2に記載の有機化合物の水素添加を加速させる方法。
【請求項12】
前記反応物における化学変化を生じさせるのに十分な時間、前記空洞内ならびに前記容器およびその内容物に、連続単一モードのマイクロ波放射を加えるステップは、約90%水素添加よりも大きい収率を生じさせるのに十分な時間、該空洞内ならびに該容器およびその内容物に、連続単一モードのマイクロ波放射を加えることを含む、請求項2に記載の有機化合物の水素添加を加速させる方法。
【請求項13】
前記反応物を前記所望の収率にするのに十分な温度を生じさせるために、前記空洞内ならびに前記容器およびその内容物に、前記連続単一モードのマイクロ波放射を加えることを含む、請求項1に記載の有機反応を加速させる方法。
【請求項14】
前記反応容器および前記少なくとも一つの反応物の温度を加減し制御するために、前記マイクロ波放射を加える間、前記反応容器を冷却することをさらに含む、請求項1に記載の有機反応を加速させる方法。
【請求項15】
前記空洞内ならびに前記容器およびその内容物に、連続単一モードのマイクロ波放射を加えるステップは、前記容器内容物を約60℃と180℃との間の温度に加熱することを含む、請求項2に記載の有機化合物の水素添加を加速させる方法。
【請求項16】
前記所望の反応の完了の際に前記容器を排気することを含む、請求項1に記載の有機反応を加速させる方法。
【請求項17】
気相反応物を含むマイクロ波アシスト有機反応を行うための機器であって、
マイクロ波放射供給源と、
該供給源と連通する空洞であって、該供給源により印加される周波数において単一モードのマイクロ波放射をサポート可能な空洞と、
該空洞にあるマイクロ波透過耐圧容器と、
該容器に制御された量の反応ガスを充填するための手段と、
該容器を排気するための少なくとも一つの排気口と
を含む、機器。
【請求項18】
前記マイクロ波空洞は実質的に円筒形である、請求項17に記載のマイクロ波アシスト反応を行うための機器。
【請求項19】
前記空洞および前記容器内の温度を監視するための手段をさらに含む、請求項17に記載のマイクロ波アシスト反応を行うための機器。
【請求項20】
前記温度監視手段は、温度計、熱電対、高温計および光学温度検出器からなる群から選択される、請求項19に記載のマイクロ波アシスト反応を行うための機器。
【請求項21】
前記監視される温度に応じて前記マイクロ波供給源を制御するための、前記温度監視手段と信号通信を行うプロセッサをさらに含む、請求項19に記載の機器。
【請求項22】
前記容器およびその内容物の温度を制御し加減するための冷却システムをさらに含む、請求項17に記載の機器。
【請求項23】
前記容器およびその内容物の温度を制御し加減するための冷却システムをさらに含む、請求項19に記載の機器。
【請求項24】
前記冷却システムは、前記プロセッサおよび前記温度監視手段に応じて該冷却システムを制御するために該プロセッサと通信を行う、請求項23に記載の機器。
【請求項25】
前記供給源および前記空洞と連通する導波管をさらに含む、請求項17に記載の機器。
【請求項26】
前記容器内への前記反応ガスの流れを制御するための、前記充填手段と前記容器との間の少なくとも一つの弁をさらに含む、請求項17に記載の機器。
【請求項27】
前記反応ガスの流れを方向付けるための、前記充填手段と前記容器との間に位置する圧力制御機器をさらに含む、請求項17に記載の機器。
【請求項28】
温度表示部をさらに含む、請求項19に記載の機器。
【請求項29】
前記容器内の前記圧力を監視するための手段をさらに含む、請求項17に記載の機器。
【請求項30】
水素添加反応を実行する方法において、
水素添加反応物を収容する反応容器に水素ガスを充填することと、
該反応物が所望の収率に水素添加されるまで、該容器およびその内容物に連続単一モードのマイクロ波放射を加えることと
を含む、改善。
【請求項31】
前記水素添加反応を触媒することをさらに含む、請求項30に記載の方法。
【請求項32】
前記反応容器を充填するステップより前に、該反応容器をパージするステップをさらに含む、請求項30に記載の方法。
【請求項33】
約60℃と180℃との間の反応温度を生じさせるために、前記連続単一モードのマイクロ波放射を加えることを含む、請求項30に記載の方法。
【請求項34】
約2分から25分の間、前記連続単一モードのマイクロ波放射を加えることを含む、請求項30に記載の方法。
【請求項35】
前記水素添加反応の温度を監視することをさらに含む、請求項30に記載の方法。
【請求項36】
監視される温度変化に応じて前記マイクロ波出力を調整することをさらに含む、請求項35に記載の方法。
【請求項37】
前記監視される温度変化に応じて前記容器およびその内容物を冷却することを含む、請求項35に記載の方法。
【請求項38】
前記水素添加反応の圧力を監視することをさらに含む、請求項30に記載の方法。
【請求項39】
監視される圧力変化に応じて前記マイクロ波出力を調整することをさらに含む、請求項38に記載の方法。
【請求項40】
前記反応容器に水素ガスを充填するステップは、該反応容器に化学量論量の水素ガスを充填することを含む、請求項30に記載の方法。
【請求項41】
前記反応容器に水素ガスを充填するステップは、該反応容器に過剰の水素ガスを充填することを含む、請求項30に記載の方法。

【図1】
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【公表番号】特表2009−529056(P2009−529056A)
【公表日】平成21年8月13日(2009.8.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−558397(P2008−558397)
【出願日】平成19年3月7日(2007.3.7)
【国際出願番号】PCT/US2007/005931
【国際公開番号】WO2007/103501
【国際公開日】平成19年9月13日(2007.9.13)
【出願人】(508047875)シーイーエム コーポレイション (7)
【Fターム(参考)】