気相蒸着のためのフィルムカセットを非装填するための装置及び方法
本発明は気相蒸着のためのフィルムカセットを非装填するための装置及び方法である。コーティングされたフィルムがフィルムカセットから搬送され、即座に保護フィルムに積層される間、コーティングされたフィルムに触れること、折り目がつくこと又はクラックが入ることを最小化する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本明細書中に開示される発明の対象物は、全て本願と同時期に出願され、全て本発明の譲受人に譲渡された以下の同時係属出願に開示されかつ特許請求される。
気相蒸着のためのフィルムカセット(CL−4584)、
気相蒸着のための装填されたフィルムカセット(CL−4818)
気相蒸着のためのフィルムカセットを作製するための方法(CL−4819)、
気相蒸着のための装置(CL−4821)、および
気相蒸着のためのフィルムカセットを装填するための装置及び方法(CL−4820)
【0002】
本発明は、気相蒸着プロセス時にフィルム基材を支持するためのフィルムカセットと、カセットを作製するための方法と、気相蒸着プロセスを使用して基材上に1つ以上の材料を堆積させるための装置と、カセットを装填及び非装填するための装置及び方法とに関する。
【背景技術】
【0003】
手頃な薄膜太陽電池モジュールを製造するためには、工業的な長さのウルトラバリアフィルムのロール(10から200メートル又はそれを上回るオーダーの)及び約350〜1650mmの幅が必要とされる。許容可能なウルトラバリアフィルムであれば薄膜太陽電池モジュールの光起電層内への水蒸気及び/又は酸素の侵入を5×10−4g−H2O/m2−dayよりも低い水蒸気透過率に制限できるはずである。水蒸気又は酸素の侵入はモジュールの光起電層を急速に破壊しがちであるため有害である。
【0004】
現在、ロールツーロール法を使用してわずか10−3g−H2O/m2−dayの水蒸気透過率を有する(食用のスナック製品の袋用に使用されるものなどの)コーティングされたフィルムを製造することが可能である。利用可能なロールツーロール技術を使用して有機発光ダイオード(OLEDの)用の工業的な長さのウルトラバリアフィルムのロールを製造するという試みは、フィルムがウルトラバリアとして有効となるために必要な閾値(5×10−4g−H2O/m2−day単位)を大幅に下回り、不成功となることが判明した。
【0005】
OLED用のコーティングされたウルトラバリアフィルムのロールツーロール製造におけるこれら従前の試みでは、フィルム基材の表面上に原子層堆積として公知のプロセスなどの化学又は気相蒸着を使用して材料が堆積された。従前のロールツーロール製造の試み時では、プロセスローラが基材の全面に接触し、基材上に表面引っかき傷を生成する。更に、基材はそれが1つのローラから別のローラに案内される際にかなりの曲げに耐えるため、堆積されたバリアコーティング中に更なるクラックを生成する。そのような引っかき傷、摩耗、折り目又はクラックは、あらゆる堆積されたバリアコーティングの、水分又は酸素の進入を防ぐ能力を破壊する。
【0006】
化学バッチプロセス現像時にハロゲン化銀フィルムの全長(一般に幅35から100mmの間)を支持することができるフィルムカセットは写真技術において公知である。そのようなカセットは現像されるフィルムを一般に渦巻状の様式で支持する。渦巻状に巻かれたカセットでは、処理されるフィルムはフィルムの表面に触れられることなくカセットの渦巻状の溝内に縁に沿って保持される。そのような先行技術のフィルムカセットの代表例は、Hewes Photographic Equipment Manufactures(Bedfordshire、England)により販売された金属カセット及びPaterson Photographic Limited(West Midlands、England)により販売されたプラスチックカセットである。
【0007】
金属線(ステンレス鋼)又は一般に入手できるプラスチックの渦巻状に巻かれたカセットのいずれかを100mmを超える幅を有するフィルムでの使用のためにスケーリングすることには困難がある。
【0008】
写真処理液が渦巻状に巻かれた写真フィルムの巻回間の間隔に浸透することを可能にするために、これらのハロゲン化銀カセットのスポーク間の間隔に対してリブのピッチが大きいこと(約2.5〜6.5%)が理想的であるが、そのような高いピッチ対スポーク間の間隔の比率はウルトラバリア用のフィルムの工業的なロールの加工には非常に非効率である。そのような大きなリブのピッチ対スポーク間の間隔を有するカセット上には短い長さのフィルムのみが担持されうる。
【0009】
線の曲がり/溶接におけるわずかな変化又はプラスチックカセットの射出成形におけるフローラインがエンドプレートの歪みを引き起こすため、100mmよりも広い金属線カセット及び低温プラスチックカセットの作製は困難であることがわかっている。これらの構造的な歪みはフィルムを装填することを困難にするであろう。また、フィルムが渦巻状の溝から脱落する傾向を有するであろう。
【0010】
金属線カセットはより厳しい蒸着の処理条件をとりうるが、特に約6mmよりも小さいリブのピッチでは室温から処理温度で膨張するため、その対称なリブの幾何学的形状(1:1のアスペクト比)はフィルムを保持するのに十分に広くない。プラスチックカセットはプラスチックの熱変形温度を大幅に上回る、より厳しい蒸着の処理条件で歪む。加えて、いくつかのプラスチックカセットのセルフスレッディング特性によりフィルム基材がカセットの柔らかいプラスチックリブに沿って摺動する際に屑を生成する。
【0011】
したがって、上記に鑑み、蒸着プロセス時に、加工時のフィルム表面の引っかきを最小化しかつ装填及び非装填時にフィルム又はコーティングの折り目がつくこと又はクラックが入ることの危険性を最小化する方式で、渦巻状に巻かれたフィルム基材の工業的な長さのロールを縁に沿って支持することができるフィルムカセットを提供し、そのように、工業的な長さのウルトラバリアフィルムの製造を可能にすることが有利と考えられる。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0012】
一態様において、本発明は気相蒸着プロセス時にフィルム基材の全長を支持するためのカセットに関する。カセットはその上に取り付けられる第1及び第2のエンドプレートを有する中心シャフトを含む。各エンドプレートは複数の角度的に間隔をおいて配置されるスポークがそこから放射状に広がる中心ハブを含む。スポークは、シャフトの軸に対して実質的に垂直に配向される基準面上にある内部表面を有する。スポークの内部表面は向かい合って配置され、かつ基準面間に画定される所定のスポーク間の間隔だけ離間して配置される。
【0013】
各エンドプレートはその上のスポークの内部表面に取り付けられる渦巻状のリブを有する。各渦巻状のリブは所定の数の均等に間隔をおいて配置される巻回及びそれに対応する所定のピッチを有する。渦巻状のリブの隣接する巻回間の間隔は各エンドプレート上にフィルムの縁端を収容することができる渦巻状の溝を画定する。
【0014】
各リブは半径方向の面にシャフトの軸を含む断面形状を有する。断面形状は実質的に直線の主縁端を有する。各リブは、所定の幅寸法と、所定の平均厚さ寸法と、少なくとも2:1の幅対厚さのアスペクト比とを示す。一実施形態において、リブの断面形状は実質的に矩形であり、かつその自由端部に付加的なフロースポイラを含んでもよい。別実施形態において、各リブの断面形状は実質的にくさび形である。
【0015】
スポーク間の間隔は少なくとも300ミリメートル(300mm)であり、また、気相堆積温度においてフィルム基材が示す幅寸法を超える。各エンドプレート上のリブの幅寸法はスポーク間の間隔の約0.5%から約2.0%の間である。
【0016】
他の態様において、本発明は所定の長さのフィルム基材が装填されたカセット及び装填されたカセットが中に受容されるインサートを有する蒸着装置に関する。
【0017】
更に別の態様において、本発明はフィルムカセットを装填するための装置及び方法、並びにフィルムカセットを非装填し、それを即座に保護カバーシートに積層するための装置及び方法に関する。
【0018】
本発明は、添付の図と関連付けて解釈され、本出願の一部を形成する以下の詳細な説明からより詳細に理解される。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明によるフィルムカセットを利用するガス流体蒸着プロセスを使用してフィルム基材をコーティングするための装置の様式化した概略図である。
【図2】図1の蒸着装置内に使用される任意の拡散プレートの立面図である。
【図3】ガス流体への曝露中にフィルム基材の全長を支持するための本発明によるフィルムカセットを示す、図1及び図4の断面線3−3に沿って切った断面図である。
【図4】図3の図線4−4に沿って切った立面図である。
【図5】カセットにより受容される際のフィルム基材の縁端を示す、また、フィルム基材がカセットにより支持される際にフィルム基材の隣接する巻回間に画定される、拡散プレートを通って流れ通路内に入る蒸気の流れを示す、図4の断面線5−5に沿って切った断面図である。
【図6】蒸着プロセス時にカセットにより受容される際、並びに完成した基材がカセットから取り外される際のフィルム基材の縁端間の相対的な位置を示す全般的に図5に類似する断面図である。
【図7A】フィルムカセットのリブの代替的な断面形状を示す断面図である。
【図7B】フィルムカセットのリブの代替的な断面形状を示す断面図である。
【図8A】カセットのためのエンドプレート及び2つのエンドプレートを含むカセットを製造するための本発明による方法のステップを示す線図である。
【図8B】カセットのためのエンドプレート及び2つのエンドプレートを含むカセットを製造するための本発明による方法のステップを示す線図である。
【図9A】フィルムカセットを装填するための本発明による装置を示す線図である。
【図9B】フィルムカセットを装填するための本発明による装置を示す線図である。
【図9C】フィルムカセットを装填するための本発明による装置を示す線図である。
【図10】フィルムカセットを非装填し、それを即座に保護カバーシートに積層するための本発明による装置を示す線図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下の詳細な説明中、図面の全ての図における同様の参照符号は同様の要素を示す。
【0021】
図1は、所定の連続的な長さのフィルム基材Fをガス流体蒸着プロセスを使用して1つ以上の材料でコーティングするための、(全体として参照符号10で示される)本発明によるインサートの様式化した概略図である。同様に本発明によるカセット100によりインサート10内に支持されているロール形態のフィルム基材Fが図に示される。
【0022】
インサート10は気相蒸着装置内において工業的な長さのウルトラバリアフィルム、すなわち5×10−4g−H2O/m2−dayよりも低い水蒸気透過率を有するフィルムの製作のために有用である。ウルトラバリアフィルムはそれ自体太陽電池モジュールの受光面を保護するのに有用である。そのようなウルトラバリアフィルムを製造するため、原子層堆積などのプロセスを使用して高分子フィルム基材の両面上に(アルミナAl2O3などの)透明な材料が堆積される。ポリエチレンテレフタレート(PET)上へのアルミナAl2O3の原子層堆積の気相堆積温度は摂氏約80から120度までの範囲内である。
【0023】
フィルム基材Fの工業用のロール(つまり工業的規模の太陽電池モジュールの製造のプロセスにおいて使用できるフィルムロール)は10から200メートル又はそれを上回る(10から200m)オーダーの最小長さを有するべきである。好ましくは、フィルムFは約0.002インチから約0.010インチまでの範囲内の(約0.05から約0.25ミリメートル)及びより好ましくは0.005インチ(0.13ミリメートル)のオーダーの厚さを有する。そのような用途のためのフィルム基材Fは少なくとも300ミリメートル(300mm)から約1650ミリメートル(1650mm)までの範囲内の所定の名目的な幅寸法W(すなわち室温における幅寸法)を有してもよい。また、基材Fの幅寸法は堆積プロセス時の熱的影響のために0.4から0.6パーセントのオーダーで増加してもよいと理解される。
【0024】
図1及び図3に図で提案されるように、並びに本明細書中で発展されるように、カセット100の構造的な特徴は、フィルム基材Fがカセット100により縁に沿って支持されると、フィルムFの渦巻状に巻かれたロールの隣接する巻回Tが、それを通って気相蒸気が伝播できる、開いた(すなわち塞がれていない)流体誘導路Cを画定するような大きさに作られ、かつ配置される。そのような塞がれていないチャネルはコーティングが不連続性を形成されることなくフィルムの両面上に堆積されることを確実にするために不可欠である。
【0025】
また、フィルムが装填される及びカセットから非装填される間に折り目又はクラックを発生させる可能性のある曲げ、表面摩耗及び/又は他の力がかかることを防ぐことも重要である。そのような摩耗、折り目又はクラック(ナノメートル寸法のクラックでさえも)は蒸着プロセスにより堆積されるウルトラバリアの保護効果を失わせる可能性がある。本発明によるカセット100の構造的な特徴のサイズ及び配置は、また、この目的を念頭において選択される。
【0026】
図1に図示されるように、気相蒸着装置で使用するためのインサート10は、加工流体入口ポート14及び加工流体出口ポート16を有する圧力容器12を含む。インサート10を使用してもよい適切な原子層堆積装置はPlanar Systems Inc.(Hillsboro、Oregon)から入手できる「Planar 400」又は「Planar 800」として公知の装置である。
【0027】
分岐流案内部18が加工流体入口ポート14に連結される。流れの矢印26により示されるように、分岐流案内部18はガス流体の層流をカセット100の第1のエンドプレート106−1の方へ案内しかつ均等に分配するための役割を果たす。分岐流案内部18はエンドプレート106−1の外部表面に接するか又はエンドプレート106−1の外部表面から所定の近接した距離内にある。
【0028】
収束流案内部28が、カセット100の反対端に配置されるエンドプレート106−2に隣接してインサート10内に配置されてもよい。流れの矢印30により示されるように、収束流案内部28はエンドプレート106−2から出口ポート16に出る蒸気を導くための役割を果たす。好ましくは、収束流案内部28はエンドプレート106−2の外部表面に接するか又はエンドプレート106−2の外部表面まで所定の近接した距離にある。
【0029】
図示された実施形態において、分岐流案内部18はエンドプレート106−1に面して係合するか又はエンドプレート106−1から近接した距離内にある任意の拡散プレート22を含む。拡散プレート22は図2に立面図で示され、渦巻状の形状で配置される複数の開口部22Pを含む。プレートはアルミニウム又はチタンなどのアルミナに類似する熱膨張係数を有する材料から製造されてもよい。
【0030】
図3は、フィルムカセット100の側立面図を全体的に断面で示す。カセット100は、第1のエンドプレート106−1及び第2のエンドプレート106−2が取り付けられる中心シャフト102を含む。
【0031】
図示された実施形態において、各エンドプレート106−1、106−2は、複数の角度的に間隔をおいて配置されるスポーク106Sがそこから放射状に広がる中心ハブ106Hを含む略円形の部材である。スポーク102Sの半径方向外側の端部は外側リム106Mにより連結されてもよい。シャフト102は各ハブ106H内の開口部を通って延在する。配置されると、ハブ106Hはシャフト102に接着剤又は締結具108により便利に固設される。好ましくは、シャフト102に沿う各エンドプレート106−1、106−2の位置は調節可能に選択可能である。
【0032】
シャフト102はその上に第1の端部及び第2の端部102A、102B並びにそれを通って延在する基準軸102Rを有する細長い中空の部材である。シャフト102は好ましくはアルミニウム又はチタンで製作されるが、処理温度に耐えることのできる他のあらゆる適切に剛性のある金属又は高分子材料が使用されてもよい。シャフト102の表面はシャフトの長さに沿って所定の距離102Dで延在するスロット102Sにより遮られる。スロット102Sは基準軸102Rに平行する。
【0033】
リム106M及び各スポーク106Sは、その上にそれぞれ外部表面106EM及び106ES並びにそれぞれ内部表面106IM及び106ISを有する。リム106Mの外部表面106EMはそれに分岐流案内部18及び(設けられるとすれば)収束流案内部が接してもよい便利な表面としての役割を果たす。
【0034】
リムの内部表面106IM及び106IS及び各エンドプレート上のスポークは互いに対して向かい合って配置される。図示された実施形態において、各エンドプレート106−1、106−2の内部表面106IM、106ISは各々の基準面112−1、112−2上にある。各エンドプレート106−1、106−2は、スポーク106Sの少なくとも内部表面106ISに取り付けられる渦巻状のリブ106Rを有する。リム106Mの内部表面106IMは、リムの表面106IMがリブ106Rの端部を越えて内側に延在しない限り、場合によっては基準面112−1、112−2からずれてもよい。基準面112−1、112−2はシャフト102の軸102Rに対して実質的に垂直に配向される。
【0035】
シャフト102上の所望の位置に固設されるエンドプレート106−1、106−2により、所定の軸方向のスポーク間の間隔114が向かい合う基準面112−1、112−2間に画定される。カセットがエンドプレート間に所望の所定のスポーク間の間隔114を示すように構成されると、ハブ及びシャフトは、スポーク間の間隔114がエンドプレートの外周まわりにおいて4分の1ミリメートルから3ミリメートル(0.25〜3mm)を超えて変化しないように固設されるべきである。
【0036】
シャフト102の外径は、ハブ及びシャフトがエンドプレート間に半径方向に均一な表面を示すように、エンドプレート106−1、106−2のハブ106Hの外径に半径方向に等しくあるべきである。この目的のため、図示された実施形態におけるシャフト102はシャフト102上の向かい合う基準面112−1、112−2間に配置されるスリーブ110を有する。スリーブ100はハブ106Hの外形と同じ外径を有する。スリーブ110にはシャフト102内のスロット102Sと位置が合ったスロットが設けられる。
【0037】
示されたように、各エンドプレート106−1、106−2は、スポーク106Sの少なくとも内部表面106ISに取り付けられる渦巻状のリブ106Rを有する。リブの一部は、また、リム106Mの内部表面106IMに取り付けられてもよい。各エンドプレート106−1、106−2上の渦巻状のリブ106Rは、所定のピッチ寸法116を有する、所定の数の均等に間隔をおいて配置される巻回を有する。ピッチ寸法116はエンドプレート上の特定の位置角においてシャフト102の軸102Rに対して半径方向に測定される。例えば、ピッチ寸法116は渦巻状のリブの隣接する巻回の中心間でとられてもよい。
【0038】
渦巻状のリブ106Rの隣接する巻回間の空いた間隔118は、各エンドプレート106−1、106−2上に連続的な渦巻状の溝106Gを画定する。溝106Gは、第1の、外側の端部106F及び第2の、内側の端部106N(図4)を有する。エンドプレート上の渦巻状の溝106Gは各々の溝の第1の端部と第2の端部106F、106Nが軸方向に揃うように配列される。
【0039】
各リブ106Rは半径方向の面にシャフトの軸を含む断面形状を有する。概して、リブ106Rの断面形状は、図5、図7A、図7Bにおそらく最も良く示されるような実質的に直線の主縁端を示す。各エンドプレート上のリブ106Rは所定の幅寸法106W及び所定の平均厚さ寸法106Tを有する。幅寸法106Wは、リブ106Rがリブの自由端部で取り付けられるスポーク106Sの内部表面106ISから(すなわち基準面112−1、112−2から)測定され、かつシャフトの軸に平行する方向にとられる。所定の最小厚さ寸法106Tはシャフトの軸102に対して半径方向に測定される。平均厚さ寸法はリブの幅を横切る所定の数の点で測ったリブの厚さ寸法の平均である。本発明によれば、リブは少なくとも2:1の幅対平均厚さのアスペクト比を有する。
【0040】
図3から図6に示される本発明の実施形態において、各リブ106Rは実質的に矩形の断面形状を有する。実質的に矩形とは、リブの断面形状の主縁端が実質的にリブの全幅に沿って実質的に互いに平行し、かつ厚さ寸法106Tが実質的にリブの全幅にわたり実質的に均一であることを意味する。所望であれば、リブの自由端部は丸い縁端を有してもよい。
【0041】
実質的に矩形の断面を有するリブの変形実施形態が図7Aに示される。そのような変形されたリブはその自由端部に配置されるフロースポイラ106Pを含む。フロースポイラ106Pの目的は本明細書中に詳述する。
【0042】
本発明によるリブは、また、実質的にくさび形の断面形状106Dを示すよう構成されてもよい。そのようなリブの代替的に構成される実施形態は図7Bに関連して示され、かつ記載される。
【0043】
上に言及されたように、本発明によれば、カセット100の種々の構造的な特徴は以下の範囲内の寸法を示すような大きさに作られ、かつ配置される。
【0044】
スポーク間の間隔114はカセットにより支持されるフィルム基材の名目的な幅寸法と少なくとも同じ大きさである。したがって、概して、本発明によるカセットは少なくとも約300ミリメートル(300mm)であるスポーク間の間隔114を有する。
【0045】
加えて、スポーク間の間隔114は、また、気相堆積温度においてフィルム基材Fが示す幅寸法を超えるため、基材Fがカセット上に受容されると、離間距離106C(図3)が基材Fの縁端とスポークの内部表面間に画定される。
【0046】
各エンドプレート上のリブ106Rの幅寸法106Wもまた重要である。以下の表1により示されるように、本発明によれば、幅寸法106Wはスポーク間の間隔の約0.5%から約2.0%までの範囲内とすべきである。
【0047】
【表1】
【0048】
上で定義された範囲内のリブ幅106W及びスポーク間の間隔114を有するカセットを構成することの効果は図5及び図6から理解されうる。
【0049】
図6に提案されるように、定義された範囲内の幅寸法106Wを有するリブ106Rを有するカセットは、渦巻状の溝106G内に受容されると特定の剛性を有するフィルム基材Fが縁に沿って支持され、たるんだり、又はそうでなければフィルムFの隣接する巻回T間に画定される流体誘導路Cを塞ぐことはないことが保証される。約500mmを超えるフィルム幅を有するフィルムロールの自由外側端部は軸方向に延在する補強材V(図3)により設けられる支持を必要としてもよい。
【0050】
離間距離106Cは処理温度におけるフィルムの処理時の熱膨張によるフィルムの幅寸法のいかなる拡張にも適応する。フィルムに縁に沿う支持を設けることは、フィルムが操作者に触れられ、フィルムの表面上に不要な有機物が残りうる可能性も最小化する。フィルムの縁に沿う支持は破損/屑及びフィルムの歩留りロスを最小化してもよい。
【0051】
本発明によるカセット100を通過する蒸気の流れの経路は図5に最も良く示される。フィルムFの剛性のため、フィルムの縁端はフィルムの長さ全体を通してリブの同じ表面に接触していなくてもよいことが可能であることに留意されたい。したがって、図5に提案されるように、フィルムFの縁端はリブの半径方向内側又は半径方向外側表面のどちらかに接するか又はリブの隣接する巻回間の間隔内に存在してもよい。
【0052】
現在、気相蒸着装置は拡散機構に依存して、コーティングされる表面に接触するガス流体を搬送している。しかしながら、拡散をベースとした処理は、フィルム上に1つの層をコーティングするのに相対的に長いサイクル時間を必要とする。本発明のインサート10を使用することでコーティングのサイクル時間を削減することができる。
【0053】
図1に関連して記載されたように、インサート10はエンドプレート106−1に面して接触した状態で、又はエンドプレート106−1から近接した距離内に配置される拡散プレート22を有する分岐流案内部18を含む。図5の流れの矢印により示されるように、分岐流案内部18の存在はガス流体の層流26を拡散プレート22内の通路22Pの方へ均等に案内し、かつ分配する役割を果たす。プロセスガスの層流は通路22Pを通って押し出される際に加速し、プレートを出て、拡散プレート22とリブ106R間にある(スポークの軸方向寸法により画定される)間隔に入る際に乱流に変わる。層から乱流への変換は流れの矢印27の扇状に広がる配列により示される。エンドプレート106−1内に渦巻状の溝を画定する間隔をおいて配置される開口部118を通ってフィルムFの隣接する巻回T間に形成される流路Cの方へ導かれるのはこのガスの乱流27である。プレート22をエンドプレート106−1と接触関係に(又はその近接した距離内に)配置することによりガスの漏れが最小化する。
【0054】
したがって、拡散プレート22と共に分岐流案内部18を使用する場合、ガスはリブ118間の間隔内及び流れの矢印28により示されるような半径方向並びに軸方向の流れ成分の両方を有するチャネルC内に流れる。流路C内への半径方向の流れの成分はガス内に担持される前駆体を基材と直に接触させるために必要とされる。前駆体ガスが基材に衝突する際、非常にわずかな比率の前駆体ガスのみが基材に実際に吸収されるため、吸収の可能性を高め、したがって、チャネルCを通る流れをより効率的にし、かつ適切なウルトラバリア層が成長するための全体的なサイクル時間を削減するため、流れの半径方向の成分が必要とされる。層流のみでは、前駆体のほとんどが基材に顕著な影響を及ぼすことなく流路の全長を通過することとなり、全体的なコーティング効率が低下することに留意されたい。
【0055】
図7A又は図7Bに示すような変形されたリブの形態がエンドプレート106−1上に利用される場合は拡散プレート22が省略されてもよい。リブ106Rがこれらの図に示すように構成される場合、流れ案内部18からの層流はそれがチャネルCに入ると乱流に変換される。変換はフロースポイラ106P(図7A)又はリブのくさび形状106D(図7B)のいずれかにより実施される。
【0056】
更に、定義された範囲内のスポーク間の間隔114はフィルム表面を過度に曲げることなくフィルムが溝内に挿入されることを可能にする。これは図6に示される。これは、それがカセット内に装填される際に折り目又はクラックがフィルム上に形成する危険性もしくはフィルムがカセットから非装填される際に基材上のコーティングにクラックが入る危険性の両方が最小化することを意味する。
【0057】
要するに、カセットを本発明による大きさにすることにより、スポーク間の間隔114及びリブ幅106Wの両方は、フィルムが処理温度の全温度範囲を通して膨張する際にたるむことなくそれを縁に沿って支持するほど十分に広いが、フィルムが挿入され、かつカセットから取り外される際にはフィルムの圧縮を最小化するほど十分に狭く、したがって折り目がつくこと又はクラックが入ることを軽減する。
【0058】
それによって支持されうるフィルムのロールの長さの点におけるカセットの容量はピッチ寸法及びリブの厚さ寸法106Rに左右される。リブは、最大のガス流体が流れることを可能とすると共に、最大長さの装填されたフィルムを装填又は非装填中に破損しないように尚十分に強くするほど可能な限り薄い。
【0059】
リブのピッチとフィルム長さ間の関係は表2において表にされる。
【0060】
【表2】
【0061】
リブのピッチとスポーク間の間隔との関係は表3に説明される。概して、各渦巻状のリブのピッチはスポーク間の間隔の約1.2%よりも小さく、より好ましくは、スポーク間の間隔の約0.5%よりも小さい。各エンドプレート上のリブ106Rの寸法106Tはピッチの約50パーセントよりも小さい。より広いフィルムを収容するためにはスポーク間の間隔が増すため、リブのピッチ、したがって、チャネルCの半径方向の寸法は、チャネルCの同じ流れ抵抗を維持するために比例して増加されるべきである。
【0062】
【表3】
【0063】
記載されたように、フィルムFのロールがカセット100上に渦巻状に巻かれると、フィルムの隣接する巻回間の間隔は協働して、エンドプレート間のカセットを軸方向に横切って延在するガス流路Cを画定する。図4及び図5において最も良くわかるように、各エンドプレート上の角度的に隣接するスポーク106S間に露出する各渦巻状の溝106Gの一部はガス流路C内へのガス流体の移入又は移出用の複数の開口部118を画定する。スポーク106Sの角度寸法は、溝の露出する部分の面積範囲(すなわち開口部118の総面積)がエンドプレートの所定の面積の少なくとも50パーセントであるように選択される。
【0064】
カセット100は、ポリカーボネート、液晶、ポリイミド、アセタール共重合体、ナイロン6、ポリプロピレン及びポリエーテルエーテルケトン(PEEK)などの高温高分子材料から製造されてもよい。カセットは、また、金属又はセラミックから製作されてもよい。
【0065】
フィルムとカセット間のこすれはカセット内の屑の生成につながるおそれがある。屑はフィルムの摩耗及び/又はカセットの材料の摩耗により発生しうる。
【0066】
この屑はフィルム上に形成されるコーティングの特性を低下させるおそれがある。そのようなこすれ及び屑の生成を最小化するため、各エンドプレート上の少なくとも渦巻状のリブ106Rは適切なセラミック又は他の保護材の硬い、耐摩耗性の層120でコーティングされる。コーティング120の厚さは約100から約2000オングストロームの範囲内にある。
【0067】
Al2O3、TiO2、ZrO2、HfO2及びSiO2などのコーティング材は原子層堆積プロセスを使用して塗布されてもよい。SiN又はSiCのコーティングは化学蒸着法により塗布されてもよい。コーティングがアルミナの場合、コーティング厚さは約100から約1000オングストロームまでの範囲内にある。
【0068】
コーティングは約50マイクロメートル(50マイクロメートル)よりも低い所定の表面粗さ及びショアD30を超える硬度を有する。好ましいケースにおいて、コーティングはエンドプレート全体の表面上に設けられる。
【0069】
別の態様において本発明は、摂氏80度又はそれを上回る温度でガス流体に曝露中にフィルムの全長を支持することができる本発明によるカセットのエンドプレート(例えばエンドプレート106−1、106−2)を作製するための方法に関する。エンドプレート及び2つのエンドプレートから作製されるカセットは高分子フィルム上の無機コーティングの原子層堆積のための方法において特に有用である。
【0070】
上述のように、エンドプレートは、中心ハブ106Hと、外側リム106Mと、リブ106Rとを含む。中心ハブ106H及び外側リム106Rは間隔をおいて配置されるスポーク106Sにより連結される。リブは外側リムの近くの中心ハブから延在する渦巻状の形態である。リブは間隔をおいて配置されるスポークの内部表面に対して取り付けられ、外側リムの近くに渦巻の端部を有する。
【0071】
エンドプレートは、ポリカーボネート、液晶、ポリイミド、アセタール共重合体、ナイロン6、ポリプロピレン及びPEEKなどの高分子材料から形成される。エンドプレートが使用されてもよいコーティング処理は摂氏80度又はそれを上回る温度で機能するため、ポリマーはこれらの温度において使用に供されるのに適切であろう。選択されるポリマーは低圧において摂氏80度を上回る熱変形温度を有するべきである。
【0072】
エンドプレートを作製するための方法は図8Aに概略的に示される。方法における第1のステップはコーティングされていないエンドプレートを成形することである。例えば、成形装置203から出るフィラメント202がベースプレート201上に堆積されてエンドプレートの蓄積が開始される。エンドプレートは、ラピッドプロトタイピング、粉末焼結,射出成形又はレーザ重合などの公知の技術により形成されてもよい。ラピッドプロトタイピングでは、プロトタイピング機械がCAD図面からデータを読み取り、液体、粉末、フィラメント又はシート材料の連続する層を敷きエンドプレートなどの物体を蓄積する。粉末焼結では、粉末が金型内に注入され加熱により固められる。射出成形では、溶融ポリマーが金型内に注入される。レーザ重合では、レーザビームがパターンで照射されポリマーを蒸気から堆積させる。例えば、Stratasys「Vantage」モデルのFDMとしてStratasys, Inc.(Eden Prairie、MN)から入手できる熱溶融積層造形装置が使用されてもよい。
【0073】
図8Aに示すような任意の第2のステップにおいて、残留応力を低減するためにエンドプレートは熱処理される。図では、エンドプレート106−1、106−2は炉204内に配置されている。業界標準(Blue−M)の対流炉が使用されてもよい。
【0074】
適切な熱処理温度はエンドプレートが使用されうる無機コーティング堆積プロセスの温度を少なくとも20度上回る。例えば、ウルトラバリアを形成するために使用される原子層堆積プロセスは最低摂氏80度で機能する。したがって、そのようなエンドプレートの熱処理温度は最低摂氏100度であろう。
【0075】
方法の次のステップは、高分子エンドプレートを、アルミナ、窒化ケイ素、炭化ケイ素、TiO2、ZrO2、HfO2及びSiO2などの無機コーティングでコーティングすることである。コーティングがアルミナの場合、コーティング厚さは約100から約1000オングストロームまでの範囲内にある。
【0076】
これは図8Aに概略的に示される。エンドプレート106−1、106−2はコーティング装置205内に配置される。このコーティングは、フィルムの全長がカセット内に装填又は非装填されるときにエンドプレートの損耗により屑が生成されないよう高分子エンドプレートの表面を平滑化及び硬化させるために使用される。無機コーティングの表面粗さは約50マイクロメートル(50マイクロメートル)よりも低くすべきであり、かつ無機コーティングの硬度はショアDスケールで30を超えるべきである。屑はカセット内のフィルムに塗布されるコーティング内に欠陥を引き起こすおそれがある。コーティングシステム205はエンドプレート上の無機コーティングの堆積のために使用される化学蒸着、物理蒸着又はプラズマ蒸着などの公知の技術に変化をもたらしうる。コーティングの厚さは100から2000オングストロームであってもよく、アルミナでは好ましくは100から1000オングストロームである。コーティングはPlanar P−400A原子層堆積用プラットフォームを使用して堆積されてもよい。
【0077】
本発明の別の態様は、摂氏80度又はそれを上回る温度を有するガス流体への曝露中にフィルムの全長を支持するためのカセット(例えばカセット100)を作製するための方法である。カセット100はそれぞれ上記されたような方法で作製される2つのエンドプレートを含む。カセットを作製する方法は、図8Bに示すように中心シャフト102の各端部102A、102Bの近くに各エンドプレート106−1、106−2を取り付けるステップを更に含む。中心シャフト102は、また、金属又はエンドプレートと同じ高分子で製作されてもよい。エンドプレートの中心ハブ内の穴は中心シャフトの直径にしっかりと合うような大きさに作られてもよい。図8Bに示すように、エンドプレートは中心シャフトの端部の近くに取り付けられる。
【0078】
図8Bに示されるカセットを作製する方法の次のステップはリブ106Rの渦巻の端部を揃えることである。エンドプレートの両方の溝の渦巻の端部106Fは中心シャフトに対して同じ軸方向位置にあるべきである。これはフィルムの装填及び非装填をリブの渦巻の内側の間隔内に収容するために必要である。エンドプレートの1つは渦巻の端部が揃うまでシャフトを中心に回転する。リブの渦巻の端部を揃えた後、エンドプレートは締結具108(止めねじなどの)又は接着剤により中心シャフトに固設されてもよい。カセット内へのフィルムの装填を容易にするため中心シャフトにはフィルムの端部をしっかりと固定するスロットが付けられてもよい。中心シャフト内のスロットの寸法は約100から約1550ミリメートル(100から1550mm)までの範囲内であってもよい。
【0079】
本発明の別の態様は、気相蒸着プロセスのためのフィルムカセット100を装填するための装置及び方法である。装置は図9A、9B及び9Cに示される。
【0080】
装置は上述のような気相蒸着プロセス時にフィルムFの長さを支持するための非装填されたカセット100を含む。非装填されたカセット100はそれ自体が軸102Rを有する中心シャフト102を含む。シャフトは軸方向に延在するスロット102Sを含む。非装填されたカセット100は、また、シャフト102に取り付けられる第1及び第2のエンドプレート106−1、106−2を含む。各エンドプレート106−1、106−2は渦巻状の溝106Gを有する。各エンドプレート内の渦巻状の溝106Gは軸方向に揃えられる。エンドプレート106−1、106−2は所定のスポーク間の間隔114で離間して配置される。カセットは、カセットが中心シャフトの軸102Rを中心として自由に回転することを可能にするカセット取付スタンド301内に取り付けられる。カセット取付スタンド301は横方向のアライメントのために調節されうる。横方向のアライメント調節の技術の例はシャフト102上のワッシャ又はOリングの挿入であろう。横方向のアライメントでは非装填されたカセットのエンドプレートの縁端を基準面306に対して動かす。供給ロール303の中心点とカセットのシャフト102は両軸に垂直かつ両中心点を通過する基準面306上で約3ミリメートル以内に位置合わせされるべきである。装置は、また、フィルム303の供給ロールを支持する供給ロール取付スタンド302を含む。供給ロール303は軸304を有する。供給ロール304の軸は非装填されたカセット102Rの軸から所定の距離をおいて配置される。供給ロール304の軸と非装填されたカセット102Rの軸間の距離はコーティングされるフィルムFの幅により選択される。供給ロール303の軸と非装填されたカセット100間の距離はフィルムFの幅の約0.25倍と3倍の間とすべきである。
【0081】
カセット取付スタンド301及び供給ロール取付スタンド302は両方とも軸を有する。これらの軸はトラム(x−方向)及び水平(z−方向)において0.5度で平行すべきである。軸304、305のトラム方向におけるミスアライメントの可能性が図9Bに示される。軸304、308の水平方向におけるミスアライメントの可能性が図9Cに示される。取付スタンドは軸の平行度を調節するための機械的な機構を含んでもよい。
【0082】
軸の平行度を調節するための機械的な機構の例には整準ねじ、ジャッキボルト及びシムを含む。
【0083】
所望であれば、スタンド301、302はそれ自体が底板300に取り付けられうる。
【0084】
フィルムFは供給ロール303の上部から取られ、図9Aに示すように底部で非装填されたカセット100に入る。フィルムの前縁はテーパ状であり、非装填されたカセット100のシャフト102上のスロット102S内に挿入される。
【0085】
テンションデバイス307がフィルム303の供給ロールに連結される。フィルムをカセット内に装填する間、フィルムFは、フィルムがカセット上に巻かれる際にフィルムの表面に折り目を生成することなく供給フィルムの縁端が両エンドプレート内の渦巻状の溝内に捕捉されたままとなるように張力をかけられる。テンションデバイスの例には小型ブレーキ、空気ブレーキ、磁粉クラッチ、キャリパブレーキ及びドラムブレーキを含む。動的テンションもまた使用されうる。テンションデバイス307はフィルム幅1ミリメートル毎に約0.02から0.36ニュートンの範囲内でフィルムFに滑らかに張力をかけることが可能でなければならない。
【0086】
本発明は更に気相蒸着プロセスのためのフィルムカセットを装填するための方法に関する。フィルムFの引っかきをなくすため、フィルムに接触するロールを使用する従来のフィルムアライメント及びテンション技術を使用することはできない。加えて、この方法は平行におけるアライメント及び許容オフセット距離に対して従来のウェブハンドリング方法よりもより厳しい基準を必要とする。フィルムFの引っかき又は折り目がつくことを回避するためにはこれらの要件の両方ともが満たされなければならない。
【0087】
方法の第1のステップはフィルムの供給ロール303を第1の取付スタンド302上に取り付けることである。フィルム303の供給ロールはテーパ状の自由端部を有する。供
給ロールは軸304及び軸304に垂直かつ供給ロールの中心点を通過する基準面306を有する。
【0088】
方法の次のステップは第1の取付スタンドから所定の距離309をおいて配置される第2の取付スタンド上に非装填されたフィルムカセット100を取り付けることである。非装填されたフィルムカセットは軸102R及び軸に垂直かつ非装填されたカセットの中心点を通過する中心基準面306を有する。非装填されたカセットは軸方向に延在するスロット102Sを有する中心シャフト102を含む。非装填されたカセットは、また、シャフト102に取り付けられる第1の106−1及び第2の106−2エンドプレートも含む。各エンドプレートは渦巻状の溝102Gを有する。各エンドプレート内の渦巻状の溝102Gは軸方向に揃えられる。エンドプレートは所定のスポーク間の間隔114で間隔をおいて配置される。取り付けられた供給ロール及び取り付けられたカセットは図9A及び図9Bに見られる。
【0089】
方法の第3のステップはフィルムFのテーパ状の自由端部を非装填されたカセット100の中心シャフト102内のスロット102R内に挿入することである。フィルムFは、図9Aに示すように、供給ロール303の上部からカセット100の底部までの経路をとるべきである。フィルムの自由端部からフィルムの非テーパ状の部分(すなわち幅全体)までのテーパの長さは15から20センチメートルとすべきである。非テーパ状の縁端及びテーパ状の縁端間の角度は15から30度の範囲内とすべきである。
【0090】
方法の第4のステップは各ロール上の中心基準面306(図9Bに示される)を所定の許容オフセット距離内までに位置合わせすることである。許容オフセット距離は、供給ロール軸304に垂直な面と供給ロール303の中心点を通過する面の間、並びに非装填されたカセット軸102Rとカセットシャフト102の中心点の間の距離である。所定の許容オフセット距離は約3ミリメートルである。このアライメントはワッシャ、供給ロール取付スタンド302と供給ロール303間、並びにカセット取付スタンド301と非装填されたカセット100間にOリング又はシムを挿入することにより達成されてもよい。
【0091】
方法の第5のステップは供給ロールの軸と非装填されたカセットの軸をトラム(x方向)及び水平(z−方向)の両方において互いに対して0.5度内の平行度で位置合わせすることである。アライメントは図9B及び図9Cに示される。このアライメントは取付スタンドに関連する水平ねじ、ジャックボルト又はシムを調節することにより達成されうる。
【0092】
方法の第6のステップはフィルム内に所定の張力をかけることである。張力は供給ロール303に位置するテンションデバイス307により付与される。テンションデバイス307の例には小型ブレーキ、磁粉クラッチ、キャリパブレーキ及びドラムブレーキを含む。動的テンションもまた使用されうる。フィルムFはフィルム幅1ミリメートル毎に約0.02から0.36ニュートンの範囲内で張力をかけられる。
【0093】
方法の第7のステップは、フィルムFをフィルムFの表面に折り目又は引っかきを生成することなく両エンドプレート106−1、106−2内の渦巻状の溝102G内に引っ張り、非装填されたカセット100を供給ロール303に対して回転させることである。非装填されたカセットはフィルムFに触れない限りは手動で回転させてもよい。
【0094】
約500ミリメートルを超えるフィルム幅については、軸方向に延在する補強材V(図3内)が既に装填されたカセット内のフィルムFの外側端部の周りに挿入される。この補強材は取り扱い及びコーティングの堆積時にカセットからのフィルムFの巻戻りを最小化する。
【0095】
本発明の別の態様はフィルムカセットを気相蒸着プロセスから非装填し、それを保護フィルムに積層してウルトラバリアコーティングの引っかきを最小化するための装置及び方法である。フィルムFの引っかきをなくすため、フィルムに接触するロールを使用する従来のフィルムアライメント及びテンション技術を使用することはできない。コーティングされたフィルムを積層まで保護するため、フィルムの1つの表面上のフィルムウルトラバリアコーティングUに触れることを回避する装置が必要である。この装置は図10に示される。
【0096】
非装填装置は気相蒸着プロセスから装填されたカセット100を支持するカセット取付スタンド401を含む。装填されたカセット100は軸方向に延在するスロット102Sを有する中心シャフト102を含む。装填されたカセット100はシャフト102に取り付けられる第1の106−1及び第2の106−2エンドプレートを更に含む。各エンドプレートはその中に渦巻状の溝102Gを有する。各エンドプレート内の渦巻状の溝102Gは軸方向に揃えられる。エンドプレートは所定のスポーク間の間隔114で間隔をおいて配置される。コーティングされたフィルムFは渦巻状の溝102Gにより支持される。フィルムは自由外側端部を有する。装填されたカセットは軸102Rを有する中心シャフト102を更に含む。
【0097】
非装填装置は装填されたカセット100に連結されるテンションデバイスブレーキ402を更に含む。テンションデバイスは、磁粉ブレーキ、空気ブレーキ又は摩擦ブレーキなどのアクティブなテンションデバイスである。テンションデバイスはロードセル412を含む。そのようなブレーキ及びロードセルを備えた一体型のテンションデバイスはDover Flexo Electronics(Rochester、NH)から入手してもよい。フィルムは1ミリメートル毎に0.175から0.50ニュートンの間の張力をかけられるべきである。
【0098】
非装填装置は保護フィルム404のロールを支持する取付スタンド403を更に含む。保護フィルムは自由端部を有する。保護フィルムは接着剤を用いて室温又はそれを上回る温度で後に積層されうるいかなる高分子であってもよい。太陽電池モジュールにおけるバリア層としての使用については、FEP、ETFE及びPFAなどのフルオロポリマー保護フィルムが望ましい。フルオロポリマー保護フィルムは積層されるためにはコロナ処理されていなければならない(Enercon Surface Treatment Inc.(Germantown、WI))。
【0099】
非装填装置は、コーティングされたフィルムF及び保護フィルム405の自由端部が積層体407を形成するようにそれらが中に挿入されるニップロール406を更に含む。ニップロール406は室温又はそれを上回る温度で作動されるべきである。ニップロールにかかる荷重はフィルム幅1ミリメートル毎に0.10ニュートンを超えるべきである。ニップロール及びテンションデバイスは積層体の丸まりを最小化するために作動されるべきである。
【0100】
非装填装置はニップロールから積層体を回収するための巻き取りロール408を更に含む。
【0101】
巻き取りロール408は巻き取りロール張力制御デバイス409に連結される。巻き取り張力制御デバイスはMagPowr Inc.(Oklahoma City、OK)より入手されうるようなロードセルで制御されてもよい。積層体407の張力はフィルム幅1ミリメートル毎に0.10ニュートンを超えるべきである。
【0102】
非装填装置は、保護フィルムのロール404とニップロール406間にある、保護フィルム404に接着剤を塗布するための接着剤コータ410を更に含む。接着剤コータはスロットダイコータ、グラビアコータ又はリバースグラビアコータであってもよい。コータは特定の用途のために選択される接着剤に適切でなければならない。アルミナコーティングされたPET基材に積層される片面がコロナ処理されたFEP保護フィルムについては、nationalStarch(Bridgewater、NJ)より商標Duro−Takで入手できる接着剤が使用される。スロットダイコータはEgan Film and Coating Systems & Blow Molding Systems(Somerville、New Jersey)から入手できる。接着剤コータは、また、保護フィルムに固体接着剤を塗布してもよい。
【0103】
非装填装置は接着剤コータとラミネータ間に位置する接着剤を乾燥するための任意の乾燥機411を更に含む。乾燥パラメータは選択された接着剤に依存する。
【0104】
本発明は、また、気相蒸着プロセスのためのフィルムカセット100を非装填する、及びそれを保護フィルムに積層するための方法に関する。この方法の説明は図10を参照のこと。フィルム上の汚れ又は屑はこの方法に害を及ぼす。この方法はクリーンルーム環境内で実施されるか又は積層ステップの前にクリーナーが設けられるべきである。この方法におけるロールは、カセットニップロールとその間の全てのロール間のトラム(x)方向及び水平(z)方向における平行度並びに横方向のアライメントを含む装填方法について、上述のように位置合わせされるべきである。
【0105】
方法の第1のステップはコーティングされたフィルムFを保持する装填されたカセット100を用意することである。装填されたカセット100は、軸方向に延在するスロット102Sを有する中心シャフト102と、シャフト102に取り付けられる第1の106−1及び第2の106−2エンドプレートとを含む。各エンドプレートはその中に渦巻状の溝102Gを有する。各エンドプレート内の渦巻状の溝102Gは軸方向に揃えられる。エンドプレート106−1、106−2は所定のスポーク間の間隔114で離間して配置される。コーティングされたフィルムFは渦巻状の溝102Gにより支持されかつ自由端部を有する。動作環境を設定するためコーティングされたフィルムの自由端部に犠牲リーダ(sacrificial leader)が接合されてもよい。
【0106】
方法の次のステップは保護フィルム404のロールを用意することである。保護フィルム404は室温又はそれを上回る温度で挟み積層されうるいかなる高分子であってもよい。太陽電池モジュールにおけるバリア層としての使用については、FEP、ETFE及びPFAなどのフルオロポリマー保護フィルムが望ましい。フルオロポリマー保護フィルムは積層されるためにはコロナ処理されていなければならない(Enercon Surface Treatment Inc(Germantown、WI))。
【0107】
方法の第3のステップはコーティングされた保護フィルムを形成するために保護フィルムに接着剤を塗布することである。接着剤は接着剤コータ410により塗布される。接着剤コータ410はスロットダイコータ、グラビアコータ及びリバースグラビアコータであってもよい。コータ410は特定の用途のために選択される接着剤に適切でなければならない。アルミナコーティングされたPET基材に積層される片面がコロナ処理されたFEP保護フィルムについては、durotac 80−1194(National Starch(Bridgewater、NJ))接着剤が、Egan Film and Coating Systems & Blow Molding Systemsより入手できるスロットダイコータと共に使用される。
【0108】
特にフルオロポリマーでは、接着剤内などに可燃性の溶剤が存在する場合に空電除去装
置が使用されるべきである。
【0109】
第4のステップにおいて、接着剤は乾燥機411内において乾燥される。乾燥温度は摂氏約60度を上回るべきである。乾燥条件は選択された接着剤で変わる。
【0110】
方法の第5のステップは積層体407を形成するためにコーティングされたフィルム及びコーティングされた保護フィルムを積層することである。これは接着剤でコーティングされた保護フィルム及びコーティングされたフィルムをニップロール406内に給送することにより行われる。ニップロール406は室温又はそれを上回る温度で作動されるべきである。ニップロール406にかかる荷重はフィルム幅1ミリメートル毎に0.10ニュートンを上回るべきである。ニップロール406(温度及び圧力)及びテンションデバイス412は選択された特定の材料について積層体の丸まりを最小化するために作動されるべきである。積層体の丸まりは接着剤、フィルム基材特性、保護フィルム特性、温度、圧力及びフィルム張力に依存する。当業者は選択される材料にとって最適なプロセスパラメータを決定することができる。
【0111】
第6のステップにおいて、積層体は巻き取りロール408上で回収される。巻き取りロール408は巻き取りロール張力制御デバイス409により制御される。巻き取り張力制御デバイス409はMagPowr Inc.(Oklahoma City、OK)より得られうるような制御されるロードセルであってもよい。積層体407の張力はフィルム幅1ミリメートル毎に0.12ニュートンを超えるべきである。積層体に印加される張力にはフィルム基材上の無機コーティングが破断する上限がある。この限界は無機コーティング材及びその厚さに依存する。
【実施例】
【0112】
以下の実施例は原子層堆積プロセス時にフィルム基材を支持するための本発明によるカセットの使用の結果を示す。
【0113】
例1
Hopewell、VAのDuPont Teijin Filmsから得られる厚さ0.005インチのコーティングされていないポリエチレンテレフタレート(PET)のプラスチックフィルムが図3〜図6に示すように約62mmの内径及び約200mmの外径を有する渦巻状のカセット上に手動で装填された。ポリカーボネートから製作される、渦巻状に溝が付けられたエンドプレートを備えたカセットは渦巻状の溝間に4.0mmのピッチを有し、カセットの幅は約350mmであった。渦巻状のリブの巻回間の間隔(すなわち図3における溝の半径方向の幅を画定する間隔118)は2.5mmであった。リブの厚さは1.5ミリメートル及びリブの幅は6.5ミリメートルであった。4mmのピッチを有するカセット上に完全に巻かれたコーティングされていないポリエチレンテレフタレートの長さは約7メートルであった。PETフィルムを備えたこのカセットは原子層堆積(ALD)によりAl2O3バリア層の薄膜コーティングをPETの両面上に堆積させるための反応器(Planar P400A)内に装填された。ALDコーティングの前にPETのプラスチックフィルムに吸収されるあらゆる残留水分を除去するために、ALD堆積の前にALD反応器内の温度は100℃まで上げられ、そこで3時間保持された。
【0114】
Al2O3のALD堆積のため、反応器は100℃で維持された。Al2O3のALD堆積のために使用される反応物又は前駆体はトリメチルアルミニウム蒸気及び水蒸気であった。これらの前駆体はALD反応器内に順次導入され、それは窒素ガスで連続的にパージされかつ機械的なポンプで約1トルのバックグラウンド圧力(反応物又は前駆体なし)まで加圧された。窒素ガスは反応物のキャリアとして、また、パージガスとして使用され
た。より具体的には、PET基材に窒素ガスに担持される水蒸気を4秒間投与し、続いて反応器を流動窒素で20秒間パージングした。次に、基材に窒素ガスに担持されるトリメチルアルミニウム蒸気を4秒間投与し、続いて流動窒素で20秒間パージを行った。この反応シーケンスによりPET基材の両面にAl2O3の層を生成した。反応シーケンスは200回繰り返され、厚さがPET基材の両面で厚さ約29nmになるよう光学偏光解析法により決定され、長さが7メートルである、Al2O3バリア層が形成された。
【0115】
カセット上でコーティングされたALDコーティングされたAl2O3フィルムを通る水蒸気の透過を評価するため、フィルムが解かれ、7メートル長のPETの中央から2つのサンプルが切り取られた(約100mm×100mm)。更に、カセットの外側又はより大きな径の部分の近くでコーティングされた2つのサンプル(約100mm×100mm)が切り取られた。全4つのサンプルの水蒸気透過率(WVTR)は市販の計測器(MOCON Aquatran−1(Minneapolis、MN))で測定された。この測定器は5×10−4g−H2O/m2−dayのWVTR感度を有する。検査された全4つのサンプルはこの限度を下回った。つまりそれらのWVTRは5×10−4g−H2O/m2−dayよりも低かった。これは4mmピッチのカセット全体にわたる均一かつ高品質なAl2O3のコーティングに合致する。
【0116】
例2
例1に記載された実験は渦巻状の溝間に2mmのピッチを有するカセットで繰り返された。リブの厚さは1.0ミリメートル及びリブの幅は6.5ミリメートルであった。つまりこのカセット上に装填されたコーティングされていないPETは幅350mm×長さ約14メートルであった。(すなわち図3における溝の半径方向の幅を画定する間隔118)は1.0mmであった。PETがコーティングされていない2mmの渦巻をALD反応器内に装填し、PETに吸収される残留水蒸気を除去するためALD反応器内において100℃で加熱し、続いてPETの両面上に100℃でAl2O3のALD堆積を行った。ALD堆積プロセスは窒素ガスに担持される水蒸気を8秒間投与すること、続いて、反応器を流動窒素で50秒間パージングすることからなっていた。2mmピッチのカセット上のPET基材は、次に、窒素ガスに担持されるトリメチルアルミニウム蒸気を8秒間投与され、続いて流動窒素で50秒パージされた。この反応シーケンスによりPET基材の両面にAl2O3の層を生成した。反応シーケンスは200回繰り返され、厚さがPET基材の両面で厚さ約30nmになるよう光学偏光解析法により決定され、長さが14メートルであるAl2O3バリア層が形成された。
【0117】
ALDコーティングされたPETをカセットから解いた後の4つのサンプルについて水蒸気透過率(WVTR)が測定された。2つのサンプルは解かれたPETの中間から測定されると共に、2つのサンプルは渦巻の外径の近くの位置でコーティングされたPETからとられた。全4つの測定値はMOCON Aquatran−1測定器の感度の5×10−4g−H2O/m2−dayを下回った。つまりそれらのWVTRは5×10−4g−H2O/m2−dayよりも低かった。これは2mmピッチのカセット全体にわたる均一かつ高品質なAl2O3のコーティングに合致する。
【0118】
これらの実施例は全て本発明により記載されるような装填されかつ蒸着装置内で処理されるカセットの使用により5×10−4g−H2O/m2−dayよりも低い水蒸気透過率を有する優れたバリアフィルムが生成されることを実証する。
【0119】
上述の本発明の教示の利点を得る当業者はそれに多くの変更を施すことが可能である。かかる変更は添付する請求項に定義される本発明の範囲内に包含されるものとする。
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本明細書中に開示される発明の対象物は、全て本願と同時期に出願され、全て本発明の譲受人に譲渡された以下の同時係属出願に開示されかつ特許請求される。
気相蒸着のためのフィルムカセット(CL−4584)、
気相蒸着のための装填されたフィルムカセット(CL−4818)
気相蒸着のためのフィルムカセットを作製するための方法(CL−4819)、
気相蒸着のための装置(CL−4821)、および
気相蒸着のためのフィルムカセットを装填するための装置及び方法(CL−4820)
【0002】
本発明は、気相蒸着プロセス時にフィルム基材を支持するためのフィルムカセットと、カセットを作製するための方法と、気相蒸着プロセスを使用して基材上に1つ以上の材料を堆積させるための装置と、カセットを装填及び非装填するための装置及び方法とに関する。
【背景技術】
【0003】
手頃な薄膜太陽電池モジュールを製造するためには、工業的な長さのウルトラバリアフィルムのロール(10から200メートル又はそれを上回るオーダーの)及び約350〜1650mmの幅が必要とされる。許容可能なウルトラバリアフィルムであれば薄膜太陽電池モジュールの光起電層内への水蒸気及び/又は酸素の侵入を5×10−4g−H2O/m2−dayよりも低い水蒸気透過率に制限できるはずである。水蒸気又は酸素の侵入はモジュールの光起電層を急速に破壊しがちであるため有害である。
【0004】
現在、ロールツーロール法を使用してわずか10−3g−H2O/m2−dayの水蒸気透過率を有する(食用のスナック製品の袋用に使用されるものなどの)コーティングされたフィルムを製造することが可能である。利用可能なロールツーロール技術を使用して有機発光ダイオード(OLEDの)用の工業的な長さのウルトラバリアフィルムのロールを製造するという試みは、フィルムがウルトラバリアとして有効となるために必要な閾値(5×10−4g−H2O/m2−day単位)を大幅に下回り、不成功となることが判明した。
【0005】
OLED用のコーティングされたウルトラバリアフィルムのロールツーロール製造におけるこれら従前の試みでは、フィルム基材の表面上に原子層堆積として公知のプロセスなどの化学又は気相蒸着を使用して材料が堆積された。従前のロールツーロール製造の試み時では、プロセスローラが基材の全面に接触し、基材上に表面引っかき傷を生成する。更に、基材はそれが1つのローラから別のローラに案内される際にかなりの曲げに耐えるため、堆積されたバリアコーティング中に更なるクラックを生成する。そのような引っかき傷、摩耗、折り目又はクラックは、あらゆる堆積されたバリアコーティングの、水分又は酸素の進入を防ぐ能力を破壊する。
【0006】
化学バッチプロセス現像時にハロゲン化銀フィルムの全長(一般に幅35から100mmの間)を支持することができるフィルムカセットは写真技術において公知である。そのようなカセットは現像されるフィルムを一般に渦巻状の様式で支持する。渦巻状に巻かれたカセットでは、処理されるフィルムはフィルムの表面に触れられることなくカセットの渦巻状の溝内に縁に沿って保持される。そのような先行技術のフィルムカセットの代表例は、Hewes Photographic Equipment Manufactures(Bedfordshire、England)により販売された金属カセット及びPaterson Photographic Limited(West Midlands、England)により販売されたプラスチックカセットである。
【0007】
金属線(ステンレス鋼)又は一般に入手できるプラスチックの渦巻状に巻かれたカセットのいずれかを100mmを超える幅を有するフィルムでの使用のためにスケーリングすることには困難がある。
【0008】
写真処理液が渦巻状に巻かれた写真フィルムの巻回間の間隔に浸透することを可能にするために、これらのハロゲン化銀カセットのスポーク間の間隔に対してリブのピッチが大きいこと(約2.5〜6.5%)が理想的であるが、そのような高いピッチ対スポーク間の間隔の比率はウルトラバリア用のフィルムの工業的なロールの加工には非常に非効率である。そのような大きなリブのピッチ対スポーク間の間隔を有するカセット上には短い長さのフィルムのみが担持されうる。
【0009】
線の曲がり/溶接におけるわずかな変化又はプラスチックカセットの射出成形におけるフローラインがエンドプレートの歪みを引き起こすため、100mmよりも広い金属線カセット及び低温プラスチックカセットの作製は困難であることがわかっている。これらの構造的な歪みはフィルムを装填することを困難にするであろう。また、フィルムが渦巻状の溝から脱落する傾向を有するであろう。
【0010】
金属線カセットはより厳しい蒸着の処理条件をとりうるが、特に約6mmよりも小さいリブのピッチでは室温から処理温度で膨張するため、その対称なリブの幾何学的形状(1:1のアスペクト比)はフィルムを保持するのに十分に広くない。プラスチックカセットはプラスチックの熱変形温度を大幅に上回る、より厳しい蒸着の処理条件で歪む。加えて、いくつかのプラスチックカセットのセルフスレッディング特性によりフィルム基材がカセットの柔らかいプラスチックリブに沿って摺動する際に屑を生成する。
【0011】
したがって、上記に鑑み、蒸着プロセス時に、加工時のフィルム表面の引っかきを最小化しかつ装填及び非装填時にフィルム又はコーティングの折り目がつくこと又はクラックが入ることの危険性を最小化する方式で、渦巻状に巻かれたフィルム基材の工業的な長さのロールを縁に沿って支持することができるフィルムカセットを提供し、そのように、工業的な長さのウルトラバリアフィルムの製造を可能にすることが有利と考えられる。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0012】
一態様において、本発明は気相蒸着プロセス時にフィルム基材の全長を支持するためのカセットに関する。カセットはその上に取り付けられる第1及び第2のエンドプレートを有する中心シャフトを含む。各エンドプレートは複数の角度的に間隔をおいて配置されるスポークがそこから放射状に広がる中心ハブを含む。スポークは、シャフトの軸に対して実質的に垂直に配向される基準面上にある内部表面を有する。スポークの内部表面は向かい合って配置され、かつ基準面間に画定される所定のスポーク間の間隔だけ離間して配置される。
【0013】
各エンドプレートはその上のスポークの内部表面に取り付けられる渦巻状のリブを有する。各渦巻状のリブは所定の数の均等に間隔をおいて配置される巻回及びそれに対応する所定のピッチを有する。渦巻状のリブの隣接する巻回間の間隔は各エンドプレート上にフィルムの縁端を収容することができる渦巻状の溝を画定する。
【0014】
各リブは半径方向の面にシャフトの軸を含む断面形状を有する。断面形状は実質的に直線の主縁端を有する。各リブは、所定の幅寸法と、所定の平均厚さ寸法と、少なくとも2:1の幅対厚さのアスペクト比とを示す。一実施形態において、リブの断面形状は実質的に矩形であり、かつその自由端部に付加的なフロースポイラを含んでもよい。別実施形態において、各リブの断面形状は実質的にくさび形である。
【0015】
スポーク間の間隔は少なくとも300ミリメートル(300mm)であり、また、気相堆積温度においてフィルム基材が示す幅寸法を超える。各エンドプレート上のリブの幅寸法はスポーク間の間隔の約0.5%から約2.0%の間である。
【0016】
他の態様において、本発明は所定の長さのフィルム基材が装填されたカセット及び装填されたカセットが中に受容されるインサートを有する蒸着装置に関する。
【0017】
更に別の態様において、本発明はフィルムカセットを装填するための装置及び方法、並びにフィルムカセットを非装填し、それを即座に保護カバーシートに積層するための装置及び方法に関する。
【0018】
本発明は、添付の図と関連付けて解釈され、本出願の一部を形成する以下の詳細な説明からより詳細に理解される。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明によるフィルムカセットを利用するガス流体蒸着プロセスを使用してフィルム基材をコーティングするための装置の様式化した概略図である。
【図2】図1の蒸着装置内に使用される任意の拡散プレートの立面図である。
【図3】ガス流体への曝露中にフィルム基材の全長を支持するための本発明によるフィルムカセットを示す、図1及び図4の断面線3−3に沿って切った断面図である。
【図4】図3の図線4−4に沿って切った立面図である。
【図5】カセットにより受容される際のフィルム基材の縁端を示す、また、フィルム基材がカセットにより支持される際にフィルム基材の隣接する巻回間に画定される、拡散プレートを通って流れ通路内に入る蒸気の流れを示す、図4の断面線5−5に沿って切った断面図である。
【図6】蒸着プロセス時にカセットにより受容される際、並びに完成した基材がカセットから取り外される際のフィルム基材の縁端間の相対的な位置を示す全般的に図5に類似する断面図である。
【図7A】フィルムカセットのリブの代替的な断面形状を示す断面図である。
【図7B】フィルムカセットのリブの代替的な断面形状を示す断面図である。
【図8A】カセットのためのエンドプレート及び2つのエンドプレートを含むカセットを製造するための本発明による方法のステップを示す線図である。
【図8B】カセットのためのエンドプレート及び2つのエンドプレートを含むカセットを製造するための本発明による方法のステップを示す線図である。
【図9A】フィルムカセットを装填するための本発明による装置を示す線図である。
【図9B】フィルムカセットを装填するための本発明による装置を示す線図である。
【図9C】フィルムカセットを装填するための本発明による装置を示す線図である。
【図10】フィルムカセットを非装填し、それを即座に保護カバーシートに積層するための本発明による装置を示す線図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下の詳細な説明中、図面の全ての図における同様の参照符号は同様の要素を示す。
【0021】
図1は、所定の連続的な長さのフィルム基材Fをガス流体蒸着プロセスを使用して1つ以上の材料でコーティングするための、(全体として参照符号10で示される)本発明によるインサートの様式化した概略図である。同様に本発明によるカセット100によりインサート10内に支持されているロール形態のフィルム基材Fが図に示される。
【0022】
インサート10は気相蒸着装置内において工業的な長さのウルトラバリアフィルム、すなわち5×10−4g−H2O/m2−dayよりも低い水蒸気透過率を有するフィルムの製作のために有用である。ウルトラバリアフィルムはそれ自体太陽電池モジュールの受光面を保護するのに有用である。そのようなウルトラバリアフィルムを製造するため、原子層堆積などのプロセスを使用して高分子フィルム基材の両面上に(アルミナAl2O3などの)透明な材料が堆積される。ポリエチレンテレフタレート(PET)上へのアルミナAl2O3の原子層堆積の気相堆積温度は摂氏約80から120度までの範囲内である。
【0023】
フィルム基材Fの工業用のロール(つまり工業的規模の太陽電池モジュールの製造のプロセスにおいて使用できるフィルムロール)は10から200メートル又はそれを上回る(10から200m)オーダーの最小長さを有するべきである。好ましくは、フィルムFは約0.002インチから約0.010インチまでの範囲内の(約0.05から約0.25ミリメートル)及びより好ましくは0.005インチ(0.13ミリメートル)のオーダーの厚さを有する。そのような用途のためのフィルム基材Fは少なくとも300ミリメートル(300mm)から約1650ミリメートル(1650mm)までの範囲内の所定の名目的な幅寸法W(すなわち室温における幅寸法)を有してもよい。また、基材Fの幅寸法は堆積プロセス時の熱的影響のために0.4から0.6パーセントのオーダーで増加してもよいと理解される。
【0024】
図1及び図3に図で提案されるように、並びに本明細書中で発展されるように、カセット100の構造的な特徴は、フィルム基材Fがカセット100により縁に沿って支持されると、フィルムFの渦巻状に巻かれたロールの隣接する巻回Tが、それを通って気相蒸気が伝播できる、開いた(すなわち塞がれていない)流体誘導路Cを画定するような大きさに作られ、かつ配置される。そのような塞がれていないチャネルはコーティングが不連続性を形成されることなくフィルムの両面上に堆積されることを確実にするために不可欠である。
【0025】
また、フィルムが装填される及びカセットから非装填される間に折り目又はクラックを発生させる可能性のある曲げ、表面摩耗及び/又は他の力がかかることを防ぐことも重要である。そのような摩耗、折り目又はクラック(ナノメートル寸法のクラックでさえも)は蒸着プロセスにより堆積されるウルトラバリアの保護効果を失わせる可能性がある。本発明によるカセット100の構造的な特徴のサイズ及び配置は、また、この目的を念頭において選択される。
【0026】
図1に図示されるように、気相蒸着装置で使用するためのインサート10は、加工流体入口ポート14及び加工流体出口ポート16を有する圧力容器12を含む。インサート10を使用してもよい適切な原子層堆積装置はPlanar Systems Inc.(Hillsboro、Oregon)から入手できる「Planar 400」又は「Planar 800」として公知の装置である。
【0027】
分岐流案内部18が加工流体入口ポート14に連結される。流れの矢印26により示されるように、分岐流案内部18はガス流体の層流をカセット100の第1のエンドプレート106−1の方へ案内しかつ均等に分配するための役割を果たす。分岐流案内部18はエンドプレート106−1の外部表面に接するか又はエンドプレート106−1の外部表面から所定の近接した距離内にある。
【0028】
収束流案内部28が、カセット100の反対端に配置されるエンドプレート106−2に隣接してインサート10内に配置されてもよい。流れの矢印30により示されるように、収束流案内部28はエンドプレート106−2から出口ポート16に出る蒸気を導くための役割を果たす。好ましくは、収束流案内部28はエンドプレート106−2の外部表面に接するか又はエンドプレート106−2の外部表面まで所定の近接した距離にある。
【0029】
図示された実施形態において、分岐流案内部18はエンドプレート106−1に面して係合するか又はエンドプレート106−1から近接した距離内にある任意の拡散プレート22を含む。拡散プレート22は図2に立面図で示され、渦巻状の形状で配置される複数の開口部22Pを含む。プレートはアルミニウム又はチタンなどのアルミナに類似する熱膨張係数を有する材料から製造されてもよい。
【0030】
図3は、フィルムカセット100の側立面図を全体的に断面で示す。カセット100は、第1のエンドプレート106−1及び第2のエンドプレート106−2が取り付けられる中心シャフト102を含む。
【0031】
図示された実施形態において、各エンドプレート106−1、106−2は、複数の角度的に間隔をおいて配置されるスポーク106Sがそこから放射状に広がる中心ハブ106Hを含む略円形の部材である。スポーク102Sの半径方向外側の端部は外側リム106Mにより連結されてもよい。シャフト102は各ハブ106H内の開口部を通って延在する。配置されると、ハブ106Hはシャフト102に接着剤又は締結具108により便利に固設される。好ましくは、シャフト102に沿う各エンドプレート106−1、106−2の位置は調節可能に選択可能である。
【0032】
シャフト102はその上に第1の端部及び第2の端部102A、102B並びにそれを通って延在する基準軸102Rを有する細長い中空の部材である。シャフト102は好ましくはアルミニウム又はチタンで製作されるが、処理温度に耐えることのできる他のあらゆる適切に剛性のある金属又は高分子材料が使用されてもよい。シャフト102の表面はシャフトの長さに沿って所定の距離102Dで延在するスロット102Sにより遮られる。スロット102Sは基準軸102Rに平行する。
【0033】
リム106M及び各スポーク106Sは、その上にそれぞれ外部表面106EM及び106ES並びにそれぞれ内部表面106IM及び106ISを有する。リム106Mの外部表面106EMはそれに分岐流案内部18及び(設けられるとすれば)収束流案内部が接してもよい便利な表面としての役割を果たす。
【0034】
リムの内部表面106IM及び106IS及び各エンドプレート上のスポークは互いに対して向かい合って配置される。図示された実施形態において、各エンドプレート106−1、106−2の内部表面106IM、106ISは各々の基準面112−1、112−2上にある。各エンドプレート106−1、106−2は、スポーク106Sの少なくとも内部表面106ISに取り付けられる渦巻状のリブ106Rを有する。リム106Mの内部表面106IMは、リムの表面106IMがリブ106Rの端部を越えて内側に延在しない限り、場合によっては基準面112−1、112−2からずれてもよい。基準面112−1、112−2はシャフト102の軸102Rに対して実質的に垂直に配向される。
【0035】
シャフト102上の所望の位置に固設されるエンドプレート106−1、106−2により、所定の軸方向のスポーク間の間隔114が向かい合う基準面112−1、112−2間に画定される。カセットがエンドプレート間に所望の所定のスポーク間の間隔114を示すように構成されると、ハブ及びシャフトは、スポーク間の間隔114がエンドプレートの外周まわりにおいて4分の1ミリメートルから3ミリメートル(0.25〜3mm)を超えて変化しないように固設されるべきである。
【0036】
シャフト102の外径は、ハブ及びシャフトがエンドプレート間に半径方向に均一な表面を示すように、エンドプレート106−1、106−2のハブ106Hの外径に半径方向に等しくあるべきである。この目的のため、図示された実施形態におけるシャフト102はシャフト102上の向かい合う基準面112−1、112−2間に配置されるスリーブ110を有する。スリーブ100はハブ106Hの外形と同じ外径を有する。スリーブ110にはシャフト102内のスロット102Sと位置が合ったスロットが設けられる。
【0037】
示されたように、各エンドプレート106−1、106−2は、スポーク106Sの少なくとも内部表面106ISに取り付けられる渦巻状のリブ106Rを有する。リブの一部は、また、リム106Mの内部表面106IMに取り付けられてもよい。各エンドプレート106−1、106−2上の渦巻状のリブ106Rは、所定のピッチ寸法116を有する、所定の数の均等に間隔をおいて配置される巻回を有する。ピッチ寸法116はエンドプレート上の特定の位置角においてシャフト102の軸102Rに対して半径方向に測定される。例えば、ピッチ寸法116は渦巻状のリブの隣接する巻回の中心間でとられてもよい。
【0038】
渦巻状のリブ106Rの隣接する巻回間の空いた間隔118は、各エンドプレート106−1、106−2上に連続的な渦巻状の溝106Gを画定する。溝106Gは、第1の、外側の端部106F及び第2の、内側の端部106N(図4)を有する。エンドプレート上の渦巻状の溝106Gは各々の溝の第1の端部と第2の端部106F、106Nが軸方向に揃うように配列される。
【0039】
各リブ106Rは半径方向の面にシャフトの軸を含む断面形状を有する。概して、リブ106Rの断面形状は、図5、図7A、図7Bにおそらく最も良く示されるような実質的に直線の主縁端を示す。各エンドプレート上のリブ106Rは所定の幅寸法106W及び所定の平均厚さ寸法106Tを有する。幅寸法106Wは、リブ106Rがリブの自由端部で取り付けられるスポーク106Sの内部表面106ISから(すなわち基準面112−1、112−2から)測定され、かつシャフトの軸に平行する方向にとられる。所定の最小厚さ寸法106Tはシャフトの軸102に対して半径方向に測定される。平均厚さ寸法はリブの幅を横切る所定の数の点で測ったリブの厚さ寸法の平均である。本発明によれば、リブは少なくとも2:1の幅対平均厚さのアスペクト比を有する。
【0040】
図3から図6に示される本発明の実施形態において、各リブ106Rは実質的に矩形の断面形状を有する。実質的に矩形とは、リブの断面形状の主縁端が実質的にリブの全幅に沿って実質的に互いに平行し、かつ厚さ寸法106Tが実質的にリブの全幅にわたり実質的に均一であることを意味する。所望であれば、リブの自由端部は丸い縁端を有してもよい。
【0041】
実質的に矩形の断面を有するリブの変形実施形態が図7Aに示される。そのような変形されたリブはその自由端部に配置されるフロースポイラ106Pを含む。フロースポイラ106Pの目的は本明細書中に詳述する。
【0042】
本発明によるリブは、また、実質的にくさび形の断面形状106Dを示すよう構成されてもよい。そのようなリブの代替的に構成される実施形態は図7Bに関連して示され、かつ記載される。
【0043】
上に言及されたように、本発明によれば、カセット100の種々の構造的な特徴は以下の範囲内の寸法を示すような大きさに作られ、かつ配置される。
【0044】
スポーク間の間隔114はカセットにより支持されるフィルム基材の名目的な幅寸法と少なくとも同じ大きさである。したがって、概して、本発明によるカセットは少なくとも約300ミリメートル(300mm)であるスポーク間の間隔114を有する。
【0045】
加えて、スポーク間の間隔114は、また、気相堆積温度においてフィルム基材Fが示す幅寸法を超えるため、基材Fがカセット上に受容されると、離間距離106C(図3)が基材Fの縁端とスポークの内部表面間に画定される。
【0046】
各エンドプレート上のリブ106Rの幅寸法106Wもまた重要である。以下の表1により示されるように、本発明によれば、幅寸法106Wはスポーク間の間隔の約0.5%から約2.0%までの範囲内とすべきである。
【0047】
【表1】
【0048】
上で定義された範囲内のリブ幅106W及びスポーク間の間隔114を有するカセットを構成することの効果は図5及び図6から理解されうる。
【0049】
図6に提案されるように、定義された範囲内の幅寸法106Wを有するリブ106Rを有するカセットは、渦巻状の溝106G内に受容されると特定の剛性を有するフィルム基材Fが縁に沿って支持され、たるんだり、又はそうでなければフィルムFの隣接する巻回T間に画定される流体誘導路Cを塞ぐことはないことが保証される。約500mmを超えるフィルム幅を有するフィルムロールの自由外側端部は軸方向に延在する補強材V(図3)により設けられる支持を必要としてもよい。
【0050】
離間距離106Cは処理温度におけるフィルムの処理時の熱膨張によるフィルムの幅寸法のいかなる拡張にも適応する。フィルムに縁に沿う支持を設けることは、フィルムが操作者に触れられ、フィルムの表面上に不要な有機物が残りうる可能性も最小化する。フィルムの縁に沿う支持は破損/屑及びフィルムの歩留りロスを最小化してもよい。
【0051】
本発明によるカセット100を通過する蒸気の流れの経路は図5に最も良く示される。フィルムFの剛性のため、フィルムの縁端はフィルムの長さ全体を通してリブの同じ表面に接触していなくてもよいことが可能であることに留意されたい。したがって、図5に提案されるように、フィルムFの縁端はリブの半径方向内側又は半径方向外側表面のどちらかに接するか又はリブの隣接する巻回間の間隔内に存在してもよい。
【0052】
現在、気相蒸着装置は拡散機構に依存して、コーティングされる表面に接触するガス流体を搬送している。しかしながら、拡散をベースとした処理は、フィルム上に1つの層をコーティングするのに相対的に長いサイクル時間を必要とする。本発明のインサート10を使用することでコーティングのサイクル時間を削減することができる。
【0053】
図1に関連して記載されたように、インサート10はエンドプレート106−1に面して接触した状態で、又はエンドプレート106−1から近接した距離内に配置される拡散プレート22を有する分岐流案内部18を含む。図5の流れの矢印により示されるように、分岐流案内部18の存在はガス流体の層流26を拡散プレート22内の通路22Pの方へ均等に案内し、かつ分配する役割を果たす。プロセスガスの層流は通路22Pを通って押し出される際に加速し、プレートを出て、拡散プレート22とリブ106R間にある(スポークの軸方向寸法により画定される)間隔に入る際に乱流に変わる。層から乱流への変換は流れの矢印27の扇状に広がる配列により示される。エンドプレート106−1内に渦巻状の溝を画定する間隔をおいて配置される開口部118を通ってフィルムFの隣接する巻回T間に形成される流路Cの方へ導かれるのはこのガスの乱流27である。プレート22をエンドプレート106−1と接触関係に(又はその近接した距離内に)配置することによりガスの漏れが最小化する。
【0054】
したがって、拡散プレート22と共に分岐流案内部18を使用する場合、ガスはリブ118間の間隔内及び流れの矢印28により示されるような半径方向並びに軸方向の流れ成分の両方を有するチャネルC内に流れる。流路C内への半径方向の流れの成分はガス内に担持される前駆体を基材と直に接触させるために必要とされる。前駆体ガスが基材に衝突する際、非常にわずかな比率の前駆体ガスのみが基材に実際に吸収されるため、吸収の可能性を高め、したがって、チャネルCを通る流れをより効率的にし、かつ適切なウルトラバリア層が成長するための全体的なサイクル時間を削減するため、流れの半径方向の成分が必要とされる。層流のみでは、前駆体のほとんどが基材に顕著な影響を及ぼすことなく流路の全長を通過することとなり、全体的なコーティング効率が低下することに留意されたい。
【0055】
図7A又は図7Bに示すような変形されたリブの形態がエンドプレート106−1上に利用される場合は拡散プレート22が省略されてもよい。リブ106Rがこれらの図に示すように構成される場合、流れ案内部18からの層流はそれがチャネルCに入ると乱流に変換される。変換はフロースポイラ106P(図7A)又はリブのくさび形状106D(図7B)のいずれかにより実施される。
【0056】
更に、定義された範囲内のスポーク間の間隔114はフィルム表面を過度に曲げることなくフィルムが溝内に挿入されることを可能にする。これは図6に示される。これは、それがカセット内に装填される際に折り目又はクラックがフィルム上に形成する危険性もしくはフィルムがカセットから非装填される際に基材上のコーティングにクラックが入る危険性の両方が最小化することを意味する。
【0057】
要するに、カセットを本発明による大きさにすることにより、スポーク間の間隔114及びリブ幅106Wの両方は、フィルムが処理温度の全温度範囲を通して膨張する際にたるむことなくそれを縁に沿って支持するほど十分に広いが、フィルムが挿入され、かつカセットから取り外される際にはフィルムの圧縮を最小化するほど十分に狭く、したがって折り目がつくこと又はクラックが入ることを軽減する。
【0058】
それによって支持されうるフィルムのロールの長さの点におけるカセットの容量はピッチ寸法及びリブの厚さ寸法106Rに左右される。リブは、最大のガス流体が流れることを可能とすると共に、最大長さの装填されたフィルムを装填又は非装填中に破損しないように尚十分に強くするほど可能な限り薄い。
【0059】
リブのピッチとフィルム長さ間の関係は表2において表にされる。
【0060】
【表2】
【0061】
リブのピッチとスポーク間の間隔との関係は表3に説明される。概して、各渦巻状のリブのピッチはスポーク間の間隔の約1.2%よりも小さく、より好ましくは、スポーク間の間隔の約0.5%よりも小さい。各エンドプレート上のリブ106Rの寸法106Tはピッチの約50パーセントよりも小さい。より広いフィルムを収容するためにはスポーク間の間隔が増すため、リブのピッチ、したがって、チャネルCの半径方向の寸法は、チャネルCの同じ流れ抵抗を維持するために比例して増加されるべきである。
【0062】
【表3】
【0063】
記載されたように、フィルムFのロールがカセット100上に渦巻状に巻かれると、フィルムの隣接する巻回間の間隔は協働して、エンドプレート間のカセットを軸方向に横切って延在するガス流路Cを画定する。図4及び図5において最も良くわかるように、各エンドプレート上の角度的に隣接するスポーク106S間に露出する各渦巻状の溝106Gの一部はガス流路C内へのガス流体の移入又は移出用の複数の開口部118を画定する。スポーク106Sの角度寸法は、溝の露出する部分の面積範囲(すなわち開口部118の総面積)がエンドプレートの所定の面積の少なくとも50パーセントであるように選択される。
【0064】
カセット100は、ポリカーボネート、液晶、ポリイミド、アセタール共重合体、ナイロン6、ポリプロピレン及びポリエーテルエーテルケトン(PEEK)などの高温高分子材料から製造されてもよい。カセットは、また、金属又はセラミックから製作されてもよい。
【0065】
フィルムとカセット間のこすれはカセット内の屑の生成につながるおそれがある。屑はフィルムの摩耗及び/又はカセットの材料の摩耗により発生しうる。
【0066】
この屑はフィルム上に形成されるコーティングの特性を低下させるおそれがある。そのようなこすれ及び屑の生成を最小化するため、各エンドプレート上の少なくとも渦巻状のリブ106Rは適切なセラミック又は他の保護材の硬い、耐摩耗性の層120でコーティングされる。コーティング120の厚さは約100から約2000オングストロームの範囲内にある。
【0067】
Al2O3、TiO2、ZrO2、HfO2及びSiO2などのコーティング材は原子層堆積プロセスを使用して塗布されてもよい。SiN又はSiCのコーティングは化学蒸着法により塗布されてもよい。コーティングがアルミナの場合、コーティング厚さは約100から約1000オングストロームまでの範囲内にある。
【0068】
コーティングは約50マイクロメートル(50マイクロメートル)よりも低い所定の表面粗さ及びショアD30を超える硬度を有する。好ましいケースにおいて、コーティングはエンドプレート全体の表面上に設けられる。
【0069】
別の態様において本発明は、摂氏80度又はそれを上回る温度でガス流体に曝露中にフィルムの全長を支持することができる本発明によるカセットのエンドプレート(例えばエンドプレート106−1、106−2)を作製するための方法に関する。エンドプレート及び2つのエンドプレートから作製されるカセットは高分子フィルム上の無機コーティングの原子層堆積のための方法において特に有用である。
【0070】
上述のように、エンドプレートは、中心ハブ106Hと、外側リム106Mと、リブ106Rとを含む。中心ハブ106H及び外側リム106Rは間隔をおいて配置されるスポーク106Sにより連結される。リブは外側リムの近くの中心ハブから延在する渦巻状の形態である。リブは間隔をおいて配置されるスポークの内部表面に対して取り付けられ、外側リムの近くに渦巻の端部を有する。
【0071】
エンドプレートは、ポリカーボネート、液晶、ポリイミド、アセタール共重合体、ナイロン6、ポリプロピレン及びPEEKなどの高分子材料から形成される。エンドプレートが使用されてもよいコーティング処理は摂氏80度又はそれを上回る温度で機能するため、ポリマーはこれらの温度において使用に供されるのに適切であろう。選択されるポリマーは低圧において摂氏80度を上回る熱変形温度を有するべきである。
【0072】
エンドプレートを作製するための方法は図8Aに概略的に示される。方法における第1のステップはコーティングされていないエンドプレートを成形することである。例えば、成形装置203から出るフィラメント202がベースプレート201上に堆積されてエンドプレートの蓄積が開始される。エンドプレートは、ラピッドプロトタイピング、粉末焼結,射出成形又はレーザ重合などの公知の技術により形成されてもよい。ラピッドプロトタイピングでは、プロトタイピング機械がCAD図面からデータを読み取り、液体、粉末、フィラメント又はシート材料の連続する層を敷きエンドプレートなどの物体を蓄積する。粉末焼結では、粉末が金型内に注入され加熱により固められる。射出成形では、溶融ポリマーが金型内に注入される。レーザ重合では、レーザビームがパターンで照射されポリマーを蒸気から堆積させる。例えば、Stratasys「Vantage」モデルのFDMとしてStratasys, Inc.(Eden Prairie、MN)から入手できる熱溶融積層造形装置が使用されてもよい。
【0073】
図8Aに示すような任意の第2のステップにおいて、残留応力を低減するためにエンドプレートは熱処理される。図では、エンドプレート106−1、106−2は炉204内に配置されている。業界標準(Blue−M)の対流炉が使用されてもよい。
【0074】
適切な熱処理温度はエンドプレートが使用されうる無機コーティング堆積プロセスの温度を少なくとも20度上回る。例えば、ウルトラバリアを形成するために使用される原子層堆積プロセスは最低摂氏80度で機能する。したがって、そのようなエンドプレートの熱処理温度は最低摂氏100度であろう。
【0075】
方法の次のステップは、高分子エンドプレートを、アルミナ、窒化ケイ素、炭化ケイ素、TiO2、ZrO2、HfO2及びSiO2などの無機コーティングでコーティングすることである。コーティングがアルミナの場合、コーティング厚さは約100から約1000オングストロームまでの範囲内にある。
【0076】
これは図8Aに概略的に示される。エンドプレート106−1、106−2はコーティング装置205内に配置される。このコーティングは、フィルムの全長がカセット内に装填又は非装填されるときにエンドプレートの損耗により屑が生成されないよう高分子エンドプレートの表面を平滑化及び硬化させるために使用される。無機コーティングの表面粗さは約50マイクロメートル(50マイクロメートル)よりも低くすべきであり、かつ無機コーティングの硬度はショアDスケールで30を超えるべきである。屑はカセット内のフィルムに塗布されるコーティング内に欠陥を引き起こすおそれがある。コーティングシステム205はエンドプレート上の無機コーティングの堆積のために使用される化学蒸着、物理蒸着又はプラズマ蒸着などの公知の技術に変化をもたらしうる。コーティングの厚さは100から2000オングストロームであってもよく、アルミナでは好ましくは100から1000オングストロームである。コーティングはPlanar P−400A原子層堆積用プラットフォームを使用して堆積されてもよい。
【0077】
本発明の別の態様は、摂氏80度又はそれを上回る温度を有するガス流体への曝露中にフィルムの全長を支持するためのカセット(例えばカセット100)を作製するための方法である。カセット100はそれぞれ上記されたような方法で作製される2つのエンドプレートを含む。カセットを作製する方法は、図8Bに示すように中心シャフト102の各端部102A、102Bの近くに各エンドプレート106−1、106−2を取り付けるステップを更に含む。中心シャフト102は、また、金属又はエンドプレートと同じ高分子で製作されてもよい。エンドプレートの中心ハブ内の穴は中心シャフトの直径にしっかりと合うような大きさに作られてもよい。図8Bに示すように、エンドプレートは中心シャフトの端部の近くに取り付けられる。
【0078】
図8Bに示されるカセットを作製する方法の次のステップはリブ106Rの渦巻の端部を揃えることである。エンドプレートの両方の溝の渦巻の端部106Fは中心シャフトに対して同じ軸方向位置にあるべきである。これはフィルムの装填及び非装填をリブの渦巻の内側の間隔内に収容するために必要である。エンドプレートの1つは渦巻の端部が揃うまでシャフトを中心に回転する。リブの渦巻の端部を揃えた後、エンドプレートは締結具108(止めねじなどの)又は接着剤により中心シャフトに固設されてもよい。カセット内へのフィルムの装填を容易にするため中心シャフトにはフィルムの端部をしっかりと固定するスロットが付けられてもよい。中心シャフト内のスロットの寸法は約100から約1550ミリメートル(100から1550mm)までの範囲内であってもよい。
【0079】
本発明の別の態様は、気相蒸着プロセスのためのフィルムカセット100を装填するための装置及び方法である。装置は図9A、9B及び9Cに示される。
【0080】
装置は上述のような気相蒸着プロセス時にフィルムFの長さを支持するための非装填されたカセット100を含む。非装填されたカセット100はそれ自体が軸102Rを有する中心シャフト102を含む。シャフトは軸方向に延在するスロット102Sを含む。非装填されたカセット100は、また、シャフト102に取り付けられる第1及び第2のエンドプレート106−1、106−2を含む。各エンドプレート106−1、106−2は渦巻状の溝106Gを有する。各エンドプレート内の渦巻状の溝106Gは軸方向に揃えられる。エンドプレート106−1、106−2は所定のスポーク間の間隔114で離間して配置される。カセットは、カセットが中心シャフトの軸102Rを中心として自由に回転することを可能にするカセット取付スタンド301内に取り付けられる。カセット取付スタンド301は横方向のアライメントのために調節されうる。横方向のアライメント調節の技術の例はシャフト102上のワッシャ又はOリングの挿入であろう。横方向のアライメントでは非装填されたカセットのエンドプレートの縁端を基準面306に対して動かす。供給ロール303の中心点とカセットのシャフト102は両軸に垂直かつ両中心点を通過する基準面306上で約3ミリメートル以内に位置合わせされるべきである。装置は、また、フィルム303の供給ロールを支持する供給ロール取付スタンド302を含む。供給ロール303は軸304を有する。供給ロール304の軸は非装填されたカセット102Rの軸から所定の距離をおいて配置される。供給ロール304の軸と非装填されたカセット102Rの軸間の距離はコーティングされるフィルムFの幅により選択される。供給ロール303の軸と非装填されたカセット100間の距離はフィルムFの幅の約0.25倍と3倍の間とすべきである。
【0081】
カセット取付スタンド301及び供給ロール取付スタンド302は両方とも軸を有する。これらの軸はトラム(x−方向)及び水平(z−方向)において0.5度で平行すべきである。軸304、305のトラム方向におけるミスアライメントの可能性が図9Bに示される。軸304、308の水平方向におけるミスアライメントの可能性が図9Cに示される。取付スタンドは軸の平行度を調節するための機械的な機構を含んでもよい。
【0082】
軸の平行度を調節するための機械的な機構の例には整準ねじ、ジャッキボルト及びシムを含む。
【0083】
所望であれば、スタンド301、302はそれ自体が底板300に取り付けられうる。
【0084】
フィルムFは供給ロール303の上部から取られ、図9Aに示すように底部で非装填されたカセット100に入る。フィルムの前縁はテーパ状であり、非装填されたカセット100のシャフト102上のスロット102S内に挿入される。
【0085】
テンションデバイス307がフィルム303の供給ロールに連結される。フィルムをカセット内に装填する間、フィルムFは、フィルムがカセット上に巻かれる際にフィルムの表面に折り目を生成することなく供給フィルムの縁端が両エンドプレート内の渦巻状の溝内に捕捉されたままとなるように張力をかけられる。テンションデバイスの例には小型ブレーキ、空気ブレーキ、磁粉クラッチ、キャリパブレーキ及びドラムブレーキを含む。動的テンションもまた使用されうる。テンションデバイス307はフィルム幅1ミリメートル毎に約0.02から0.36ニュートンの範囲内でフィルムFに滑らかに張力をかけることが可能でなければならない。
【0086】
本発明は更に気相蒸着プロセスのためのフィルムカセットを装填するための方法に関する。フィルムFの引っかきをなくすため、フィルムに接触するロールを使用する従来のフィルムアライメント及びテンション技術を使用することはできない。加えて、この方法は平行におけるアライメント及び許容オフセット距離に対して従来のウェブハンドリング方法よりもより厳しい基準を必要とする。フィルムFの引っかき又は折り目がつくことを回避するためにはこれらの要件の両方ともが満たされなければならない。
【0087】
方法の第1のステップはフィルムの供給ロール303を第1の取付スタンド302上に取り付けることである。フィルム303の供給ロールはテーパ状の自由端部を有する。供
給ロールは軸304及び軸304に垂直かつ供給ロールの中心点を通過する基準面306を有する。
【0088】
方法の次のステップは第1の取付スタンドから所定の距離309をおいて配置される第2の取付スタンド上に非装填されたフィルムカセット100を取り付けることである。非装填されたフィルムカセットは軸102R及び軸に垂直かつ非装填されたカセットの中心点を通過する中心基準面306を有する。非装填されたカセットは軸方向に延在するスロット102Sを有する中心シャフト102を含む。非装填されたカセットは、また、シャフト102に取り付けられる第1の106−1及び第2の106−2エンドプレートも含む。各エンドプレートは渦巻状の溝102Gを有する。各エンドプレート内の渦巻状の溝102Gは軸方向に揃えられる。エンドプレートは所定のスポーク間の間隔114で間隔をおいて配置される。取り付けられた供給ロール及び取り付けられたカセットは図9A及び図9Bに見られる。
【0089】
方法の第3のステップはフィルムFのテーパ状の自由端部を非装填されたカセット100の中心シャフト102内のスロット102R内に挿入することである。フィルムFは、図9Aに示すように、供給ロール303の上部からカセット100の底部までの経路をとるべきである。フィルムの自由端部からフィルムの非テーパ状の部分(すなわち幅全体)までのテーパの長さは15から20センチメートルとすべきである。非テーパ状の縁端及びテーパ状の縁端間の角度は15から30度の範囲内とすべきである。
【0090】
方法の第4のステップは各ロール上の中心基準面306(図9Bに示される)を所定の許容オフセット距離内までに位置合わせすることである。許容オフセット距離は、供給ロール軸304に垂直な面と供給ロール303の中心点を通過する面の間、並びに非装填されたカセット軸102Rとカセットシャフト102の中心点の間の距離である。所定の許容オフセット距離は約3ミリメートルである。このアライメントはワッシャ、供給ロール取付スタンド302と供給ロール303間、並びにカセット取付スタンド301と非装填されたカセット100間にOリング又はシムを挿入することにより達成されてもよい。
【0091】
方法の第5のステップは供給ロールの軸と非装填されたカセットの軸をトラム(x方向)及び水平(z−方向)の両方において互いに対して0.5度内の平行度で位置合わせすることである。アライメントは図9B及び図9Cに示される。このアライメントは取付スタンドに関連する水平ねじ、ジャックボルト又はシムを調節することにより達成されうる。
【0092】
方法の第6のステップはフィルム内に所定の張力をかけることである。張力は供給ロール303に位置するテンションデバイス307により付与される。テンションデバイス307の例には小型ブレーキ、磁粉クラッチ、キャリパブレーキ及びドラムブレーキを含む。動的テンションもまた使用されうる。フィルムFはフィルム幅1ミリメートル毎に約0.02から0.36ニュートンの範囲内で張力をかけられる。
【0093】
方法の第7のステップは、フィルムFをフィルムFの表面に折り目又は引っかきを生成することなく両エンドプレート106−1、106−2内の渦巻状の溝102G内に引っ張り、非装填されたカセット100を供給ロール303に対して回転させることである。非装填されたカセットはフィルムFに触れない限りは手動で回転させてもよい。
【0094】
約500ミリメートルを超えるフィルム幅については、軸方向に延在する補強材V(図3内)が既に装填されたカセット内のフィルムFの外側端部の周りに挿入される。この補強材は取り扱い及びコーティングの堆積時にカセットからのフィルムFの巻戻りを最小化する。
【0095】
本発明の別の態様はフィルムカセットを気相蒸着プロセスから非装填し、それを保護フィルムに積層してウルトラバリアコーティングの引っかきを最小化するための装置及び方法である。フィルムFの引っかきをなくすため、フィルムに接触するロールを使用する従来のフィルムアライメント及びテンション技術を使用することはできない。コーティングされたフィルムを積層まで保護するため、フィルムの1つの表面上のフィルムウルトラバリアコーティングUに触れることを回避する装置が必要である。この装置は図10に示される。
【0096】
非装填装置は気相蒸着プロセスから装填されたカセット100を支持するカセット取付スタンド401を含む。装填されたカセット100は軸方向に延在するスロット102Sを有する中心シャフト102を含む。装填されたカセット100はシャフト102に取り付けられる第1の106−1及び第2の106−2エンドプレートを更に含む。各エンドプレートはその中に渦巻状の溝102Gを有する。各エンドプレート内の渦巻状の溝102Gは軸方向に揃えられる。エンドプレートは所定のスポーク間の間隔114で間隔をおいて配置される。コーティングされたフィルムFは渦巻状の溝102Gにより支持される。フィルムは自由外側端部を有する。装填されたカセットは軸102Rを有する中心シャフト102を更に含む。
【0097】
非装填装置は装填されたカセット100に連結されるテンションデバイスブレーキ402を更に含む。テンションデバイスは、磁粉ブレーキ、空気ブレーキ又は摩擦ブレーキなどのアクティブなテンションデバイスである。テンションデバイスはロードセル412を含む。そのようなブレーキ及びロードセルを備えた一体型のテンションデバイスはDover Flexo Electronics(Rochester、NH)から入手してもよい。フィルムは1ミリメートル毎に0.175から0.50ニュートンの間の張力をかけられるべきである。
【0098】
非装填装置は保護フィルム404のロールを支持する取付スタンド403を更に含む。保護フィルムは自由端部を有する。保護フィルムは接着剤を用いて室温又はそれを上回る温度で後に積層されうるいかなる高分子であってもよい。太陽電池モジュールにおけるバリア層としての使用については、FEP、ETFE及びPFAなどのフルオロポリマー保護フィルムが望ましい。フルオロポリマー保護フィルムは積層されるためにはコロナ処理されていなければならない(Enercon Surface Treatment Inc.(Germantown、WI))。
【0099】
非装填装置は、コーティングされたフィルムF及び保護フィルム405の自由端部が積層体407を形成するようにそれらが中に挿入されるニップロール406を更に含む。ニップロール406は室温又はそれを上回る温度で作動されるべきである。ニップロールにかかる荷重はフィルム幅1ミリメートル毎に0.10ニュートンを超えるべきである。ニップロール及びテンションデバイスは積層体の丸まりを最小化するために作動されるべきである。
【0100】
非装填装置はニップロールから積層体を回収するための巻き取りロール408を更に含む。
【0101】
巻き取りロール408は巻き取りロール張力制御デバイス409に連結される。巻き取り張力制御デバイスはMagPowr Inc.(Oklahoma City、OK)より入手されうるようなロードセルで制御されてもよい。積層体407の張力はフィルム幅1ミリメートル毎に0.10ニュートンを超えるべきである。
【0102】
非装填装置は、保護フィルムのロール404とニップロール406間にある、保護フィルム404に接着剤を塗布するための接着剤コータ410を更に含む。接着剤コータはスロットダイコータ、グラビアコータ又はリバースグラビアコータであってもよい。コータは特定の用途のために選択される接着剤に適切でなければならない。アルミナコーティングされたPET基材に積層される片面がコロナ処理されたFEP保護フィルムについては、nationalStarch(Bridgewater、NJ)より商標Duro−Takで入手できる接着剤が使用される。スロットダイコータはEgan Film and Coating Systems & Blow Molding Systems(Somerville、New Jersey)から入手できる。接着剤コータは、また、保護フィルムに固体接着剤を塗布してもよい。
【0103】
非装填装置は接着剤コータとラミネータ間に位置する接着剤を乾燥するための任意の乾燥機411を更に含む。乾燥パラメータは選択された接着剤に依存する。
【0104】
本発明は、また、気相蒸着プロセスのためのフィルムカセット100を非装填する、及びそれを保護フィルムに積層するための方法に関する。この方法の説明は図10を参照のこと。フィルム上の汚れ又は屑はこの方法に害を及ぼす。この方法はクリーンルーム環境内で実施されるか又は積層ステップの前にクリーナーが設けられるべきである。この方法におけるロールは、カセットニップロールとその間の全てのロール間のトラム(x)方向及び水平(z)方向における平行度並びに横方向のアライメントを含む装填方法について、上述のように位置合わせされるべきである。
【0105】
方法の第1のステップはコーティングされたフィルムFを保持する装填されたカセット100を用意することである。装填されたカセット100は、軸方向に延在するスロット102Sを有する中心シャフト102と、シャフト102に取り付けられる第1の106−1及び第2の106−2エンドプレートとを含む。各エンドプレートはその中に渦巻状の溝102Gを有する。各エンドプレート内の渦巻状の溝102Gは軸方向に揃えられる。エンドプレート106−1、106−2は所定のスポーク間の間隔114で離間して配置される。コーティングされたフィルムFは渦巻状の溝102Gにより支持されかつ自由端部を有する。動作環境を設定するためコーティングされたフィルムの自由端部に犠牲リーダ(sacrificial leader)が接合されてもよい。
【0106】
方法の次のステップは保護フィルム404のロールを用意することである。保護フィルム404は室温又はそれを上回る温度で挟み積層されうるいかなる高分子であってもよい。太陽電池モジュールにおけるバリア層としての使用については、FEP、ETFE及びPFAなどのフルオロポリマー保護フィルムが望ましい。フルオロポリマー保護フィルムは積層されるためにはコロナ処理されていなければならない(Enercon Surface Treatment Inc(Germantown、WI))。
【0107】
方法の第3のステップはコーティングされた保護フィルムを形成するために保護フィルムに接着剤を塗布することである。接着剤は接着剤コータ410により塗布される。接着剤コータ410はスロットダイコータ、グラビアコータ及びリバースグラビアコータであってもよい。コータ410は特定の用途のために選択される接着剤に適切でなければならない。アルミナコーティングされたPET基材に積層される片面がコロナ処理されたFEP保護フィルムについては、durotac 80−1194(National Starch(Bridgewater、NJ))接着剤が、Egan Film and Coating Systems & Blow Molding Systemsより入手できるスロットダイコータと共に使用される。
【0108】
特にフルオロポリマーでは、接着剤内などに可燃性の溶剤が存在する場合に空電除去装
置が使用されるべきである。
【0109】
第4のステップにおいて、接着剤は乾燥機411内において乾燥される。乾燥温度は摂氏約60度を上回るべきである。乾燥条件は選択された接着剤で変わる。
【0110】
方法の第5のステップは積層体407を形成するためにコーティングされたフィルム及びコーティングされた保護フィルムを積層することである。これは接着剤でコーティングされた保護フィルム及びコーティングされたフィルムをニップロール406内に給送することにより行われる。ニップロール406は室温又はそれを上回る温度で作動されるべきである。ニップロール406にかかる荷重はフィルム幅1ミリメートル毎に0.10ニュートンを上回るべきである。ニップロール406(温度及び圧力)及びテンションデバイス412は選択された特定の材料について積層体の丸まりを最小化するために作動されるべきである。積層体の丸まりは接着剤、フィルム基材特性、保護フィルム特性、温度、圧力及びフィルム張力に依存する。当業者は選択される材料にとって最適なプロセスパラメータを決定することができる。
【0111】
第6のステップにおいて、積層体は巻き取りロール408上で回収される。巻き取りロール408は巻き取りロール張力制御デバイス409により制御される。巻き取り張力制御デバイス409はMagPowr Inc.(Oklahoma City、OK)より得られうるような制御されるロードセルであってもよい。積層体407の張力はフィルム幅1ミリメートル毎に0.12ニュートンを超えるべきである。積層体に印加される張力にはフィルム基材上の無機コーティングが破断する上限がある。この限界は無機コーティング材及びその厚さに依存する。
【実施例】
【0112】
以下の実施例は原子層堆積プロセス時にフィルム基材を支持するための本発明によるカセットの使用の結果を示す。
【0113】
例1
Hopewell、VAのDuPont Teijin Filmsから得られる厚さ0.005インチのコーティングされていないポリエチレンテレフタレート(PET)のプラスチックフィルムが図3〜図6に示すように約62mmの内径及び約200mmの外径を有する渦巻状のカセット上に手動で装填された。ポリカーボネートから製作される、渦巻状に溝が付けられたエンドプレートを備えたカセットは渦巻状の溝間に4.0mmのピッチを有し、カセットの幅は約350mmであった。渦巻状のリブの巻回間の間隔(すなわち図3における溝の半径方向の幅を画定する間隔118)は2.5mmであった。リブの厚さは1.5ミリメートル及びリブの幅は6.5ミリメートルであった。4mmのピッチを有するカセット上に完全に巻かれたコーティングされていないポリエチレンテレフタレートの長さは約7メートルであった。PETフィルムを備えたこのカセットは原子層堆積(ALD)によりAl2O3バリア層の薄膜コーティングをPETの両面上に堆積させるための反応器(Planar P400A)内に装填された。ALDコーティングの前にPETのプラスチックフィルムに吸収されるあらゆる残留水分を除去するために、ALD堆積の前にALD反応器内の温度は100℃まで上げられ、そこで3時間保持された。
【0114】
Al2O3のALD堆積のため、反応器は100℃で維持された。Al2O3のALD堆積のために使用される反応物又は前駆体はトリメチルアルミニウム蒸気及び水蒸気であった。これらの前駆体はALD反応器内に順次導入され、それは窒素ガスで連続的にパージされかつ機械的なポンプで約1トルのバックグラウンド圧力(反応物又は前駆体なし)まで加圧された。窒素ガスは反応物のキャリアとして、また、パージガスとして使用され
た。より具体的には、PET基材に窒素ガスに担持される水蒸気を4秒間投与し、続いて反応器を流動窒素で20秒間パージングした。次に、基材に窒素ガスに担持されるトリメチルアルミニウム蒸気を4秒間投与し、続いて流動窒素で20秒間パージを行った。この反応シーケンスによりPET基材の両面にAl2O3の層を生成した。反応シーケンスは200回繰り返され、厚さがPET基材の両面で厚さ約29nmになるよう光学偏光解析法により決定され、長さが7メートルである、Al2O3バリア層が形成された。
【0115】
カセット上でコーティングされたALDコーティングされたAl2O3フィルムを通る水蒸気の透過を評価するため、フィルムが解かれ、7メートル長のPETの中央から2つのサンプルが切り取られた(約100mm×100mm)。更に、カセットの外側又はより大きな径の部分の近くでコーティングされた2つのサンプル(約100mm×100mm)が切り取られた。全4つのサンプルの水蒸気透過率(WVTR)は市販の計測器(MOCON Aquatran−1(Minneapolis、MN))で測定された。この測定器は5×10−4g−H2O/m2−dayのWVTR感度を有する。検査された全4つのサンプルはこの限度を下回った。つまりそれらのWVTRは5×10−4g−H2O/m2−dayよりも低かった。これは4mmピッチのカセット全体にわたる均一かつ高品質なAl2O3のコーティングに合致する。
【0116】
例2
例1に記載された実験は渦巻状の溝間に2mmのピッチを有するカセットで繰り返された。リブの厚さは1.0ミリメートル及びリブの幅は6.5ミリメートルであった。つまりこのカセット上に装填されたコーティングされていないPETは幅350mm×長さ約14メートルであった。(すなわち図3における溝の半径方向の幅を画定する間隔118)は1.0mmであった。PETがコーティングされていない2mmの渦巻をALD反応器内に装填し、PETに吸収される残留水蒸気を除去するためALD反応器内において100℃で加熱し、続いてPETの両面上に100℃でAl2O3のALD堆積を行った。ALD堆積プロセスは窒素ガスに担持される水蒸気を8秒間投与すること、続いて、反応器を流動窒素で50秒間パージングすることからなっていた。2mmピッチのカセット上のPET基材は、次に、窒素ガスに担持されるトリメチルアルミニウム蒸気を8秒間投与され、続いて流動窒素で50秒パージされた。この反応シーケンスによりPET基材の両面にAl2O3の層を生成した。反応シーケンスは200回繰り返され、厚さがPET基材の両面で厚さ約30nmになるよう光学偏光解析法により決定され、長さが14メートルであるAl2O3バリア層が形成された。
【0117】
ALDコーティングされたPETをカセットから解いた後の4つのサンプルについて水蒸気透過率(WVTR)が測定された。2つのサンプルは解かれたPETの中間から測定されると共に、2つのサンプルは渦巻の外径の近くの位置でコーティングされたPETからとられた。全4つの測定値はMOCON Aquatran−1測定器の感度の5×10−4g−H2O/m2−dayを下回った。つまりそれらのWVTRは5×10−4g−H2O/m2−dayよりも低かった。これは2mmピッチのカセット全体にわたる均一かつ高品質なAl2O3のコーティングに合致する。
【0118】
これらの実施例は全て本発明により記載されるような装填されかつ蒸着装置内で処理されるカセットの使用により5×10−4g−H2O/m2−dayよりも低い水蒸気透過率を有する優れたバリアフィルムが生成されることを実証する。
【0119】
上述の本発明の教示の利点を得る当業者はそれに多くの変更を施すことが可能である。かかる変更は添付する請求項に定義される本発明の範囲内に包含されるものとする。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
気相蒸着プロセスのためのフィルムカセットをアンロードするための装置であって、
気相蒸着プロセスのための装填されたカセットを支持するカセット取付スタンドであって、前記装填されたカセットは、縁に沿って支持された、コーティングされたフィルムの渦巻状に巻かれた巻きを有し、前記フィルムは自由端部を有する、カセット取付スタンドと、
前記カセットに連結されるテンションデバイスと、
保護フィルムのロールのための取付スタンドであって、前記保護フィルムは自由端部を有する、取付スタンドと、
前記コーティングされたフィルム及び前記保護フィルムの前記自由端部を受容することができ、それによって積層体を形成するニップロールと、
前記ニップロールから前記積層体を回収するための巻き取りロールと、
前記保護フィルムのロールと前記ニップロール間にある前記保護フィルムに接着剤を塗布することができる接着剤コータと、を含む、装置。
【請求項2】
前記接着剤コータは前記保護フィルムに液体接着剤を塗布し、前記装置は、
前記接着剤コータとラミネータ間に位置する前記液体接着剤を乾燥するための乾燥機を更に含む、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記接着剤コータは前記保護フィルムに固体接着剤を塗布する、請求項1に記載の装置。
【請求項4】
気相蒸着プロセスのためのフィルムカセットをアンロードするための方法であって、
コーティングされたフィルムを保持する装填されたカセットを用意するステップであって、前記装填されたカセットは、
その中に形成される軸方向に延在するスロットを有する中心シャフトと、
前記シャフトに取り付けられる第1及び第2のエンドプレートであって、各エンドプレートはその中に渦巻状の溝を有し、各エンドプレート内の前記渦巻状の溝は軸方向に揃えられる、第1及び第2のエンドプレートと、を含み、
前記エンドプレートは所定のスポーク間の間隔だけ離間して配置され、
コーティングされたフィルムは前記渦巻状の溝により支持され、前記フィルムは自由端部を有する、装填されたカセットを用意するステップと、
保護フィルムのロールを用意するステップと、
前記保護フィルムに接着剤を塗布してコーティングされた保護フィルムを形成するステップと、
場合により、前記コーティングされた保護フィルムを乾燥するステップと、
前記コーティングされたフィルムと前記コーティングされた保護フィルムを積層して積層体を形成するステップと、
巻き取りロール上に前記積層体を回収するステップと、を含む、フィルムカセットをアンロードするための方法。
【請求項1】
気相蒸着プロセスのためのフィルムカセットをアンロードするための装置であって、
気相蒸着プロセスのための装填されたカセットを支持するカセット取付スタンドであって、前記装填されたカセットは、縁に沿って支持された、コーティングされたフィルムの渦巻状に巻かれた巻きを有し、前記フィルムは自由端部を有する、カセット取付スタンドと、
前記カセットに連結されるテンションデバイスと、
保護フィルムのロールのための取付スタンドであって、前記保護フィルムは自由端部を有する、取付スタンドと、
前記コーティングされたフィルム及び前記保護フィルムの前記自由端部を受容することができ、それによって積層体を形成するニップロールと、
前記ニップロールから前記積層体を回収するための巻き取りロールと、
前記保護フィルムのロールと前記ニップロール間にある前記保護フィルムに接着剤を塗布することができる接着剤コータと、を含む、装置。
【請求項2】
前記接着剤コータは前記保護フィルムに液体接着剤を塗布し、前記装置は、
前記接着剤コータとラミネータ間に位置する前記液体接着剤を乾燥するための乾燥機を更に含む、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記接着剤コータは前記保護フィルムに固体接着剤を塗布する、請求項1に記載の装置。
【請求項4】
気相蒸着プロセスのためのフィルムカセットをアンロードするための方法であって、
コーティングされたフィルムを保持する装填されたカセットを用意するステップであって、前記装填されたカセットは、
その中に形成される軸方向に延在するスロットを有する中心シャフトと、
前記シャフトに取り付けられる第1及び第2のエンドプレートであって、各エンドプレートはその中に渦巻状の溝を有し、各エンドプレート内の前記渦巻状の溝は軸方向に揃えられる、第1及び第2のエンドプレートと、を含み、
前記エンドプレートは所定のスポーク間の間隔だけ離間して配置され、
コーティングされたフィルムは前記渦巻状の溝により支持され、前記フィルムは自由端部を有する、装填されたカセットを用意するステップと、
保護フィルムのロールを用意するステップと、
前記保護フィルムに接着剤を塗布してコーティングされた保護フィルムを形成するステップと、
場合により、前記コーティングされた保護フィルムを乾燥するステップと、
前記コーティングされたフィルムと前記コーティングされた保護フィルムを積層して積層体を形成するステップと、
巻き取りロール上に前記積層体を回収するステップと、を含む、フィルムカセットをアンロードするための方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7A】
【図7B】
【図8A】
【図8B】
【図9A】
【図9B】
【図9C】
【図10】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7A】
【図7B】
【図8A】
【図8B】
【図9A】
【図9B】
【図9C】
【図10】
【公表番号】特表2013−503264(P2013−503264A)
【公表日】平成25年1月31日(2013.1.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−527085(P2012−527085)
【出願日】平成22年8月31日(2010.8.31)
【国際出願番号】PCT/US2010/047237
【国際公開番号】WO2011/026073
【国際公開日】平成23年3月3日(2011.3.3)
【出願人】(390023674)イー・アイ・デュポン・ドウ・ヌムール・アンド・カンパニー (2,692)
【氏名又は名称原語表記】E.I.DU PONT DE NEMOURS AND COMPANY
【Fターム(参考)】
【公表日】平成25年1月31日(2013.1.31)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年8月31日(2010.8.31)
【国際出願番号】PCT/US2010/047237
【国際公開番号】WO2011/026073
【国際公開日】平成23年3月3日(2011.3.3)
【出願人】(390023674)イー・アイ・デュポン・ドウ・ヌムール・アンド・カンパニー (2,692)
【氏名又は名称原語表記】E.I.DU PONT DE NEMOURS AND COMPANY
【Fターム(参考)】
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