説明

気管挿管器具

【課題】気管挿管器具を提供することを課題とする。
【解決手段】気管挿管器具であって、気管内チューブを患者の気管内に入れるために用いられ、棒状カメラと把持部と誘導部と表示器とを含む。棒状カメラは該気管内チューブ内に嵌設され、画像取り込みに用いられる。表示器は棒状カメラと電気的に接続することで、棒状カメラが取り込んだ画像を表示する。誘導部と把持部とが連結し、誘導部は先端と後端とを含み、誘導部の後端が把持部と連結し、且つ棒状カメラ、及び、気管内チューブは可動的に誘導部内に取り付けられる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医療器材に関し、特に、気管挿管器具に関する。
【背景技術】
【0002】
無呼吸状態の患者にとって、気管挿管は呼吸機能を維持する必要な手段であり、患者が命をとりとめるため、施術者は短時間で気管内チューブを患者の気管内に挿入して酸素を提供しなければならない。よって、如何にして迅速且つ効果的に挿管することが、施術者の重要な課題の一つとなっている。実務上、施術者の大半は、カメラが設けられた気管挿管器具を利用して患者の気管位置を確認してから気管内チューブを患者の気管内に挿入する。例えば、特許文献1及び特許文献2で開示されている気管挿管器具は、現在幅広く使用されている気管挿管器具であり、この2種類の気管挿管器具はカメラを気管内チューブのガイド溝側辺に取り付け、施術者がカメラを通じて患者の気管開口部を目視にて確認してからカメラ側辺にある気管内チューブを患者の気管内に押し込む。
【0003】
特許文献2で開示されているカメラが設けられた気管挿管器具は挿管プロセスに役立つが、使用において、やはり克服を必要とする不便な箇所がある。時に患者の身体構造の違いに制限され、この種の気管挿管器具の視野はカメラが気管内チューブのガイド溝側辺に位置することで生じる視差或いは挿入する気管内チューブが邪魔することにより、気管開口部の位置を目視にて確認できず、施術者は正確に気管内チューブを患者の気管内に挿入できなくなる。2010年に発表された非特許文献1内でも現在施術者が通常使う気管挿管器具は、やはり正確に挿管できないリスクがあると指摘されている。
【0004】
そこで、気管挿管が患者の生存に関わることに鑑み、挿管の流れをより一層簡便化と正確化させることができる気管挿管器具を提供する必要があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】米国特許公告番号4,306,547
【特許文献2】米国特許公開番号2007/0106121
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】麻醉学術誌(Acta Anaethesiologica Scandinavica 2010;54(9):1050-61)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、挿管の流れをより一層簡便化と正確化させることができる気管挿管器具を提供することを主な目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため、本発明の気管挿管器具には棒状カメラと把持部と誘導部と表示器とを含む。棒状カメラが気管内チューブ内に嵌設され、画像の取込みに用いられる。表示器は棒状カメラと電気的に接続することで、棒状カメラが取り込んだ画像を表示する。誘導部と把持部とが連結し、誘導部には先端と後端とを含み、誘導部の後端が把持部と連結し、且つ棒状カメラ及び気管内チューブは誘導部内に可動的に取り付けられる。
【0009】
本発明の一実施例によれば、本発明の気管挿管器具には棒状カメラに設けられ、気管内チューブと嵌合して棒状カメラと気管内チューブとが同時に移動させるための嵌合具を更に含む。
【0010】
本発明の別の一実施例によれば、棒状カメラは剛性材料からなり、気管内チューブの移動時、棒状カメラが気管内チューブの移動方向を誘導させることができる。
【0011】
本発明の構造は新規であり、産業上への利用に提供でき、且つ確かに進歩性を有するため、法律に基づいて発明特許を出願する。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の気管挿管器具の一実施例と気管内チューブの構造立体分解図である。
【図2】本発明の気管挿管器具の一実施例の使用状態を示す図の一である。
【図3】本発明の気管挿管器具の一実施例の使用状態を示す図の二である。
【図4】本発明の気管挿管器具の別の一実施例と気管内チューブの構造立体分解図である。
【図5】本発明の気管挿管器具の別の一実施例と気管内チューブの構造立体分解図である。
【図6】本発明の気管挿管器具の更なる一実施例のハードウェア構成図である。
【図7】本発明の気管挿管器具の更なる一実施例と気管内チューブの構造立体分解図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の上記目的とその他の目的、特徴及び長所を更に明確に分かりやすくするため、具体的実施例を添付図面に基づいて説明する。
【0014】
以下、本発明の気管挿管器具の実施例を図1〜図4を参照しながら説明する。図1は本発明の気管挿管器具の一実施例と気管内チューブの構造立体分解図である。図2は本発明の気管挿管器具の一実施例の使用状態を示す図の一である。図3は本発明の気管挿管器具の一実施例の使用状態を示す図の二である。図4は本発明の気管挿管器具の別の一実施例と気管内チューブの構造立体分解図である。
【0015】
本発明の一実施例によれば、図1に示すように本発明の気管挿管器具1には、棒状カメラ10と把持部20と誘導部30と嵌合具40と表示器50とを含む。棒状カメラ10は気管内チューブ90内に嵌設されることで気管内チューブ90を棒状カメラ10が撮影する気管開口部位置に正確に挿入できるよう確保し、且つ棒状カメラ10は画像取り込み(例えば患者の気管開口部の画像)に用いられる。表示器50は棒状カメラ10が取り込んだ画像を表示するため棒状カメラ10と電気的に接続している。図1に示すように、誘導部30と把持部20とが連結し、誘導部30には先端31と後端32とガイド溝34を含み、誘導部30の後端32が把持部20と連結し、ガイド溝34が誘導部30の先端31部位に設けられ、且つ棒状カメラ10及び気管内チューブ90は誘導部30のガイド溝34内に可動的に取り付けられる。本実施例の誘導部30の先端31には突出部311を更に含み、ガイド溝34が突出部311まで延伸せず、且つ誘導部30の後端32に通路321が形成されることで、気管内チューブ90及び棒状カメラ10が比較的容易な方法でガイド溝34内に置かれる(図2と図3)。嵌合具40は棒状カメラ10に設けられ、気管内チューブ90と嵌合して棒状カメラ10が気管内チューブ90と同時に移動され(図3)、並びに棒状カメラ10と気管内チューブ90が移動時両者の相対位置が変わらないように確保する(棒状カメラ10の移動時ずっと気管内チューブ90内に位置する)。
【0016】
本実施例の棒状カメラ10は、ホースで、その先端に撮影レンズ及び発光照明装置(例えばLED灯)が設けられ、且つ表示器50が把持部20と連結するが、本発明はこれに限定されないものとする。図4に示すように、気管挿管器具1bの表示器50も棒状カメラ10のみと連結するが把持部20と分離することもできる。誘導部30の外観は、後端32から先端31へ延伸する屈曲の円弧形で、屈曲の円弧度は人体の口咽頭の気道(oral cavity)の円弧度に適合する。本実施例の誘導部30内の各部材は一体成形して連結する。本実施例の嵌合具40は、プラスチックプラグであるが、本発明は上記実施例に限定されないものとする。嵌合具40もその他の材質からなることができ、且つ棒状カメラ10及び気管内チューブ90に嵌設できる部材はいずれも適用される。
【0017】
図2に示すように、本発明の気管挿管器具1を使用する時、誘導部30が患者100の舌根に当接し、この時ガイド溝34内にある棒状カメラ10は気管内チューブ90と一緒に患者100の口の中に入り込むことができる。誘導部30の突出部311も誘導と指向の働きがあり、棒状カメラ10と気管内チューブ90が正確に気管開口部方向へ前進させることができる。施術者は棒状カメラ10と気管内チューブ90を患者100の喉の奥まで押し込むだけで、表示器50を通じて患者100の気管110の正確な位置を目視にて確認されるまで、気管内チューブ90を押進して気管内チューブ90を嵌合具40から分離させ、また気管内チューブ90を気管110内に留置できる。
【0018】
本発明の気管挿管器具1は、視野がカメラの視差或いは挿入した気管内チューブが邪魔することにより、気管開口部の位置を目視にて確認できない状況を避けることができ、同時に挿管過程中の患者100の気道組織を傷付けることを避けることができる。次に、本発明の気管挿管器具1は、棒状カメラ10を気管内チューブ90に置くため、誘導部30の体積を減らして誘導部30を更に患者100の口の中に入りやすく、口が小さく、顎関節がきつすぎ又は舌が大きすぎる患者へも誘導部30を入れることができない状況がなくなる。また、棒状カメラ10を気管内チューブ90に置き、棒状カメラ10は気管内チューブ90と一緒に気管110内に入り込ませることで、挿管の都度に正確に気管内チューブ90を気管110内に入れることができるため、ミスするリスクがない。
【0019】
以下、本発明の気管挿管器具の別の一実施例と気管内チューブの構造分解を図5を参照しながら説明する。
【0020】
本実施例の気管挿管器具1aと気管挿管器具1との相違点は、気管挿管器具1aの誘導部30aは舌圧子35とストッパー33とを含み、舌圧子35とストッパー33とが実質的に直角に交わる。本実施例の気管挿管器具1aの棒状カメラ10aは、着脱できるように把持部20と連結する。棒状カメラ10aは剛性材料からなり、自身が一定の屈曲度を持ち、気管内チューブ90の移動時、棒状カメラ10が気管内チューブ90の移動方向を誘導できる。同時に本実施例の気管内チューブ90及び棒状カメラ10は舌圧子31及びストッパー33が形成される区域内に収容される。且つ気管内チューブ90及び棒状カメラ10は舌圧子31及びストッパー33が形成される区域内に移動できる。気管挿管器具1aの使用と作動方式は、気管挿管器具1と同様とするため、記述を省略し、図2と図3を参照する。
【0021】
以下、本発明気管挿管器具の別の一実施例を図6と図7を参照しながら説明する。図6は、本発明の気管挿管器具の更なる一実施例のハードウェア構成図である。図7は、本発明の気管挿管器具の更なる一実施例と気管内チューブの構造立体分解図である。
【0022】
図6に示すように、本発明の気管挿管器具1cは、プロセッサ60と受信モジュール140と携帯電話モジュール80とメモリ120と送信モジュール130とを含む。プロセッサ60、受信モジュール140、携帯電話モジュール80及びメモリ120は、それぞれ表示器50と電気的に接続(例えば、プロセッサ60などの電子素子を表示器50の筐体内に入れる)し、且つ送信モジュール130が棒状カメラ10と接続する。本実施例において、表示器50が独立して設置したディスプレイスクリーンであり、棒状カメラ10が取り込んだ画像は送信モジュール130を通じて受信モジュール140に伝送してから表示器50を通じて画像を表示する。その他、携帯電話モジュール80はスピーカ81とマイク82とを備え、施術者は携帯電話モジュール80を通じて救急救命士と会話することができる。メモリ120は棒状カメラ10が取り込んだ画像及び必要なコントロールプログラムを記憶するために用いられる。プロセッサ60は、上記動作を実行するために用いられる。受信モジュール140と送信モジュール130は、例えばブルートゥースのような無線通信装置とすることができる。メモリ120もメモリカードとすることができる。本発明の気管挿管器具1、1a、或いは1bも前記の各モジュールと装置を設置することができる。本発明は本実施例に限定されない。
【0023】
上記をまとめ、本発明は、目的、手段及び効果を問わず、いずれも従来の技術の特徴とは異なり、審査官は、何卒ご再審の上、速やかに特許査定賜りますようお願いする次第であります。ただし、上記の多くの実施例は、説明の便宜のためだけに挙げた例であり、本発明が主張する権利範囲は、上記実施例に限定されることなく、当然特許請求事項の範囲で記載されるものを基準とする。
【符号の説明】
【0024】
1、1a、1b、1c 気管挿管器具
10、10a 棒状カメラ
20 把持部
30、30a 誘導部
31 先端
311 突出部
32 後端
321 通路
33 ストッパー
34 ガイド溝
35 舌圧子
40 嵌合具
50 表示器
60 プロセッサ
80 携帯電話モジュール
81 スピーカ
82 マイク
90 気管内チューブ
100 患者
110 気管
120 メモリ
130 送信モジュール
140 受信モジュール


【特許請求の範囲】
【請求項1】
気管内チューブを患者の気管内に入れるために用いられ、
画像の取り込みに用いられ、また、前記気管内チューブ内に嵌設される棒状カメラと、
把持部と、
前記棒状カメラと電気的に接続することで、前記棒状カメラが取り込んだ前記画像を表示する表示器と、
前記把持部と連結し、先端と後端とを備え、前記後端が前記把持部と連結し、且つ、前記棒状カメラ、及び、該気管内チューブがその中に可動的に取り付けられる誘導部と、
を含むことを特徴とする気管挿管器具。
【請求項2】
前記誘導部には、前記気管内チューブ、及び、前記棒状カメラを収容するためのガイド溝を更に含むことを特徴とする請求項1に記載の気管挿管器具。
【請求項3】
前記ガイド溝は、前記誘導部の前記先端部位に設けられ、前記気管内チューブ、及び、前記棒状カメラを前記ガイド溝内に置かれるため、前記誘導部の前記後端に通路を形成させることを特徴とする請求項2に記載の気管挿管器具。
【請求項4】
前記先端には、突出部を更に含み、且つ、前記ガイド溝が前記突出部まで延伸していないことを特徴とする請求項3に記載の気管挿管器具。
【請求項5】
前記気管挿管器具には、前記棒状カメラに設けられ、前記気管内チューブと嵌合するための嵌合具を更に含むことを特徴とする請求項4に記載の気管挿管器具。
【請求項6】
前記誘導部には、舌圧子とストッパーとを含み、前記舌圧子と前記ストッパーが実質的に直角に交わることを特徴とする請求項1に記載の気管挿管器具。
【請求項7】
前記気管内チューブ、及び、前記棒状カメラは、前記舌圧子と前記ストッパーが形成される区域内に収容することを特徴とする請求項6に記載の気管挿管器具。
【請求項8】
前記棒状カメラは、剛性材料からなり、前記気管内チューブの移動時、前記気管内チューブの移動方向を誘導させることができることを特徴とする請求項7に記載の気管挿管器具。
【請求項9】
前記棒状カメラは、着脱できるように前記把持部と連結することを特徴とする請求項8に記載の気管挿管器具。
【請求項10】
プロセッサと受信モジュールと携帯電話モジュールとメモリと送信モジュールとを更に含み、前記プロセッサと前記受信モジュールと前記携帯電話モジュールと前記メモリとがそれぞれ前記表示器と電気的に接続し、前記送信モジュールが前記棒状カメラと接続することを特徴とする請求項5、或いは、請求項9に記載の気管挿管器具。
【請求項11】
前記表示器は、前記把持部と連結することを特徴とする請求項10に記載の気管挿管器具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2013−56141(P2013−56141A)
【公開日】平成25年3月28日(2013.3.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−10048(P2012−10048)
【出願日】平成24年1月20日(2012.1.20)
【出願人】(512017154)