説明

気管支拡張剤ツロブテロールを皮膚から投与するための塩酸ツロブテロールを含む経皮治療システム

【課題】ツロブテロールの経皮吸収製剤の提供。
【解決手段】概ね水蒸気に不透過性の裏層、活性物質のツロブテロールを含む少なくとも1つのマトリクス層、および、除去可能な保護層を含む経皮治療システムであり、マトリクスがポリアクリレート感圧接着剤をベースとし、活性物質として、ツロブテロールをその塩である塩酸ツロブテロールの形で含むことを特徴とする。更に透過促進添加剤として1種または2種以上の脂肪酸、好ましくはラウリル酸、ミリスチン酸またはオレイン酸をマトリクス層に配合する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、気管支拡張剤であるツロブテロールの皮膚を介した投与を可能にする、塩酸ツロブテロールを含む経皮治療システムに関する。本経皮医薬製剤は、喘息疾患の治療に好適である。
ツロブテロールは、β−交感神経刺激剤グループの医薬物質である。この医薬剤は、例えば気管支内の、横紋筋以外の筋のβ−レセプター対して主に活性を持つ。気管支筋の緊張を軽減し、気管支筋の弛緩をもたらす特性を有することにより、ツロブテロールは、喘息疾患の治療に用いられている。
【背景技術】
【0002】
経口投与形態の他に、喘息治療に首尾よく用いることができる経皮適用システムもまた、文献から知られている。ツロブテロールを含む経皮治療システムは、例えば、JP 63-10716 A、US 5 254 348、US 5 312 627、US 5 571 530およびUS 5 639 472に記載されている。
US 5 254 348は、経皮治療システムで、そのツロブテロール含有マトリクスがスチレン−1,3−ジエン−スチレンブロックコポリマーまたはスチレン−イソプレン−スチレンブロックコポリマーをベースに作製したものを開示している。
【0003】
US 5 312 627には、気管支拡張作用を有する活性物質、例えばツロブテロールの投与に好適な経皮治療システムが記載されている。マトリクスポリマーとして、ポリイソブチレンが用いられている。
US 5 571 530にも同様に、活性物質のツロブテロールを含み、この活性物質がポリイソブチレンの混合物で作製したポリマーマトリクス中に存在する経皮組成物が記載されている。
【0004】
US 5 639 472によると、経皮吸収に好適なツロブテロール含有組成物が知られている。この組成物は、プラスターの感圧接着層中にツロブテロールが溶解形態および結晶形態の両方で存在することを特徴とする。
最後に、EP 0 922 453 A2には、ツロブテロールの経皮投与のための装置が開示されている。この投与形態はツロブテロールを完全な溶解条件で、遊離活性物質ベースで(as free active substance base)少なくとも5質量%含有する感圧接着アクリレートを含む。この活性物質は溶解状態で維持され、結晶化による作用の損失を生じない。
EP 0 922 453 A2には、ツロブテロールの塩、さらには塩酸塩を用いる可能性についての提案は見出されない。
【0005】
上記のツロブテロール含有経皮治療システムにおいて、ツロブテロールは遊離塩基として好ましく用いられており、その理由は、遊離塩基はその疎水性により容易に皮膚を介して吸収されることが可能であるが、ツロブテロールの塩(例えば塩酸ツロブテロール)はより親水性が強く、皮膚浸透能力に乏しいからである。この理由から、塩酸ツロブテロールは、従来経口治療にのみ用いられ、経皮投与には用いられなかった。US 5 254 348のみが、一般的な意味で、ツロブテロールの薬学的に許容される塩にも言及しているが、しかし、塩の親水性または乏しい皮膚浸透能力の問題について詳しく扱ってはいなかった。
【0006】
皮膚浸透能力の乏しさを別にすれば、塩酸ツロブテロールを遊離塩基の代わりに用いることはいくつかの顕著な利点を提供する。第一に、塩酸ツロブテロールは喘息治療にとても長い間、はるかに大きな規模で用いられてきた。これは、この活性物質の毒性学および薬理学に関する極めて膨大な資料を利用することができることを意味する。第二に、塩酸ツロブテロールは世界的に大規模で用いられているため、遊離塩基に比べ、商業的により有利な条件で、より多数の供給元から得ることができる。また、日本薬局方(JP XIII)にモノグラフ的な記載があることも利点と考えられる。したがって−ツロブテロールの場合とは対照的に−すでに世界的な承認のために利用可能な医薬品質標準が存在する。
【発明の概要】
【0007】
従って、本発明の目的は、ツロブテロールをその塩である塩酸ツロブテロールの形で投与することが可能で、塩酸ツロブテロールを用いることに伴う利点を有する経皮投与形態を提供することである。さらに、このような経皮投与形態で、治療的適用を保証するのに十分な皮膚浸透速度を得ることを意図する。
この目的は、驚くべきことに、請求項1に記載の経皮治療システムにより達成された。本発明の経皮治療システムは、概ね水蒸気不透性の支持層、少なくとも1層の活性物質含有マトリクス層、および、除去可能な保護層を含む構造を有する。本発明の医薬製品はツロブテロールをその塩である塩酸ツロブテロールの形で含み、この活性物質は、ポリアクリレート感圧接着剤をベースに作られたポリマーマトリクス中に存在する。
【0008】
本発明の適用システム(図1参照)により、塩酸ツロブテロールを用いた場合、ツロブテロールのヒト皮膚を介したin vitroでの透過速度として、300μg/cm・dを超える透過速度を達成した。この物質が、活性剤の比較的親水性である塩の形態であるということを考えると、これは驚くべき高い透過速度である。塩酸ツロブテロールは、TTSからの放出後、ツロブテロールの遊離塩基の形で皮膚を透過すると推測される。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の適用システムにより皮膚標本を通過したツロブテロール量の測定をHPLCで行った結果を示す。
【0010】
本発明の投与形態により、経口投与での通例である1日量0.5〜6mgの塩酸ツロブテロールを、経皮ルートを介しても投与できる。経皮投与の1日量は2〜4mgの範囲にあることが好ましい。適用期間は、3日まで、およびそれを越えて延長してもよい。従って、ここに記載した塩酸ツロブテロール含有経皮治療システムは、その活性物質放出特徴により、治療的使用、例えば、喘息疾患の場合に好適である。
マトリクスの活性物質の内容または活性物質濃度は、広範に変えることができる。本発明の好ましい態様では、塩酸ツロブテロールの質量含有率は、活性物質含有マトリクスの総質量に対し、2.5〜20%の範囲、好ましくは5〜10%の範囲にある。
【0011】
1つのマトリクス層または少なくとも1つが塩酸ツロブテロールを含有する2つ以上のマトリクス層の基剤(base structure)は、ポリアクリレート感圧接着剤をベースに作製する。この目的に好適なポリマーまたはポリマー混合物は当業者に知られている;まず最初に考えるべきことは、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸およびポリメチルメタクリル酸およびそれらの誘導体、ならびに、アクリル酸エステルコポリマーである。マトリクスの機械的特徴(例えば、粘着性、弾力性)を特別な要求に適合させるために、さらなるポリマー、例えばポリ酢酸ビニル、シリコンポリマー、ポリイソブチレン、ポリイソプレンまたはスチレン含有ブロックコポリマーを加えることが可能である。
【0012】
活性物質含有マトリクスのポリマー組成物が、側鎖にアミノ官能基を有するポリマーを含む、本発明の態様により、特に良好な結果を得ることができた。このポリマーの質量比率(mass portion)は、活性物質含有マトリクスの質量に対し、合計で2〜20%、好ましくは10〜16%に達する。好ましくは、アミノ官能基を含むポリマーとして、モノマーが1:2:1のモル比で存在するブチルメタクリレート−(2−ジメチルアミノエチル)−メチルメタクリレートコポリマー(=Eudragit(登録商標)E−100)を用いる。
【0013】
最も単純なケースでは、本発明の経皮システムは、−支持層および保護層の他に−ただ1つの活性物質含有マトリクス層を含む。しかし、とりわけ好ましい態様は、同様に塩酸ツロブテロールを含む第二のマトリクス層を特徴とする。この場合には、2つの活性剤含有層は互いに積層されている。活性物質ロード(load)の程度は、両層で同じになるように選択してもよいが、また、異なるように選んでもよい。通常は、2つの活性物質含有層は、同内容の添加剤を含む。しかし、ある適用においては、2つの層が、添加剤の内容に関して互いに異なっていることが有利かもしれない。また、マトリクスに異なるポリマー組成物を選ぶことも可能である。
【0014】
さらに好ましい態様の変形は、製造直後の状態で、少なくとも1つのマトリクス層が活性物質を含まないことを提供する。例えば、2層性マトリクスの場合、皮膚に面するマトリクス層は活性剤を含まないことができるが、直接その上に位置する第二のマトリクス層(貯蔵層)は塩酸ツロブテロールを含む。製造後および適用期間中、活性物質は、後者の層から、事前に活性物質を含まないマトリクス層に拡散し、この層から皮膚への透過が行われることができる。後者の活性物質パッチの製造は、生産ロジスティック(production logistics)に関しては有利だが、活性物質放出速度がわずかに低いことを許容しなければならない。
ある場合においては、ツロブテロールによる治療を、1つまたは2つ以上の追加的な活性物質による治療と組合わせることが有利かもしれない。この理由のため、少なくとも1つのさらなるマトリクス層が、1つまたは2つ以上の薬学的活性剤を含むさらなる態様が提供される。
【0015】
さらに、塩酸ツロブテロールの放出を向上させるために、マトリクス層に皮膚透過促進添加剤を加えることが可能である。この目的にとりわけ好適なのは、単体または組合せでの、飽和または不飽和脂肪酸、好ましくはラウリル酸、ミリスチン酸またはオレイン酸である。マトリクス層は、マトリクス層の総質量に対し、2〜20%、好ましくは5〜10%の脂肪酸内容を有してもよい。異なる脂肪酸を組合せて用いることは有利かもしれない。透過促進添加剤として好適なのは、さらに、低分子の1価または多価アルコール、脂肪アルコール、脂肪アルコールエステル、ポリオキシエチル脂肪アルコール、脂肪酸エステル(とりわけプロピレングリコールとのモノグリセライドおよびモノエステル)、ならびに、ソルビタン脂肪酸エステルおよびポリオキシエチルソルビタン脂肪酸エステルである。
【0016】
さらに、活性物質含有マトリクス層は、可塑剤、粘着剤、粘着促進添加剤、安定剤、増量剤および類似の添加剤を含んでもよい。この目的に好適な物質は当業者に知られている。
さらなる好ましい態様では、塩酸ツロブテロール含有経皮活性物質パッチの活性物質含有マトリクスは、少なくとも120g/mの単位面積あたり重量を有する。このような並外れたマトリクスの層厚は、特に、24時間を超える期間中、一定した高放出速度を保証する。
【0017】
実質的に水不透性の支持層および剥離可能な保護層に用いることができる材料は、当業者に知られている。支持層には、特に強固で拡散抵抗性であることを特徴とするポリマーフィルム、なかでもポリエステルが好適であるが、それ以外では、ポリ塩化ビニル、エチレン酢酸ビニル、酢酸ビニル、ポリエチレン、ポリプロピレン、セルロース誘導体およびその他多数などの、ほとんどのその他のいかなる皮膚耐容性プラスチック(skin-tolerable plastic)も好適である。特殊なケースでは、支持層は、例えば金属、または二酸化ケイ素、二酸化アルミニウムまたは当業者に知られている同様な物質など、その他の拡散阻止添加剤の蒸着による、追加のオーバーレイと共に供給されてもよい。外観を改善するために、支持層の外面に皮膚色のワニスを塗布したり、また、支持層をその他の方法で処理してもよい。
選択した材料の強度および透過性により、フィルム様の支持層の厚さは、通常8〜80μmである。しかし、特殊な目的においては、支持層を、これらの数値よりも厚くまたは薄く調節してもよい。
【0018】
パッチの適用前に除去される剥離可能な保護層は、好ましくは、ポリエステル材料(例えばポリエチレンテレフタレートフィルム)で作製するが、ポリ塩化ビニル、エチレン酢酸ビニル、酢酸ビニル、ポリエチレン、ポリプロピレンまたはセルロース誘導体などの、その他のいかなる皮膚耐容性プラスチックを用いてもよい。特殊なケースでは、金属、または二酸化ケイ素、酸化アルミニウムおよびそれらと同様なものなどの、その他の拡散阻止添加剤の蒸着を行ってもよい。いずれのケースでも、化合物を剥離しやすい状態に維持するために、例えばシリコンまたはフッ素含有プラスチックなどの剥離性材料(dehesive materials)により、接着性マトリクスに面した側の表面被覆を提供する必要がある。
【0019】
とりわけ長期の保存期間の後、塩酸ツロブテロール含有TTSがわずかに黄変することがある;さらに、数ヶ月後、わずかな再結晶化が、塩酸ツロブテロールのある種の過飽和(oversaturation)の兆候として観察された。こうした不要な変化を回避するために、酸化防止剤および金属イオン錯化剤の分野の様々な添加剤を試験した。フェノール系酸化防止剤および多価酸(またはその塩)の組合せにより、黄変を特に効果的に抑制できることが見出された。酸化防止剤として、ブチルヒドロキシトルエン(BHT)またはブチルヒドロキシアニソール(BHA)が好んで用いられる。酸としては、クエン酸またはエチレンジアミン四酢酸(EDTA)またはその塩、例えばEDTA二ナトリウムなどが好んで用いられる。驚くべきことに、上記の酸化防止剤および錯化剤を加えることにより、変色が抑制されるだけでなく、同時に再結晶化も生じないことが見出された。
【0020】
この理由により、本発明の可能な最良の態様に関して、酸化防止剤の群からの少なくとも1つの添加剤、好ましくはフェノール化合物、より好ましくはブチルヒドロキシトルエンまたはブチルヒドロキシアニソールを含み、ならびに、さらに、金属イオン錯化剤の群からの少なくとも1つのさらなる添加剤、好ましくはクエン酸またはエチレンジアミン四酢酸、とりわけ好ましくはエチレンジアミン四酢酸二ナトリウム塩(NaEDTA)を含む、ツロブテロール含有TTSを提供する。
以下において、本発明を例により説明する。これらの例は如何なる意味でも本発明を限定するものではない。
【実施例】
【0021】

表1に列挙した本発明の経皮治療システムは、すべて、支持層、塩酸ツロブテロール含有貯蔵層(第一マトリクス層として)および随意的に活性物質を含まない、皮膚に面した感圧接着剤層を含む構造を有する。皮膚に面したマトリクスまたは感圧接着剤層は、除去可能な保護フィルムで被覆されている。
「随意的に活性物質を含まない」とは、皮膚に面した層が製造中塩酸ツロブテロールをロードされておらず(not loaded)、したがって、初期状態で活性物質を含まないことを意味する。製造後および適用中に、貯蔵層から、活性物質を含まない皮膚に面した層を通して、皮膚の方向へ向かう活性物質の拡散が起こり、ついで、活性物質が皮膚を透過する。
【0022】
活性物質含有マトリクス層を調整するために、最初に塩酸ツロブテロール(ツロブテロール−HCl)をエタノールに溶解した。次に、マトリクスポリマーを含むその他の成分を通常の有機溶剤の好適な量でこの溶液に加えた。
次に、有機溶剤をシリコン化ポリエチレンテレフタレートフィルム(厚さ100μm)上に、フィルム用ハンドプルフレーム(hand pull frame for films)で塗布し、排気オーブン(exhaust air oven)内で10分間、80℃で乾燥した。
こうして得た貯蔵層と皮膚に面する層を互いに機械的に積層し、貯蔵層の保護フィルムを除去し、この層を恒常的な支持層としてのポリエチレンテレフタレートフィルム(厚さ15μm)で被覆した。
【0023】
表1に従って調整した適用システム例の、ツロブテロールによる経皮治療における好適性は、摘出ヒト全層皮膚モデルで試験した。試験は当業者に知られたフランツ(Franz)の改良透過セル(modified permeation cells)を用いて32℃で実行した。
皮膚標本を通過したツロブテロール量の測定をHPLCで行った。結果を図1に示す。
表示した数値は、それぞれn=3の皮膚標本の平均値および標準偏差を示す。
【0024】
例1および2は、皮膚に面する層が初期状態で活性剤を含まない構造を示している。製造後、活性物質の拡散はこの層の中にも生じる。この構造は、生産ロジスティック(production logistics)については有利だが、in vitroで得られたヒト皮膚を通しての放出速度は、システムが全体としてツロブテロール−HClをより少ない総量でしかロード(load)できないために、比較的低くなっている。
【0025】
例3および4では、ツロブテロール−HClは両層に同濃度含まれている。総ロード(load)は、例1および2よりも多い。これは、顕著に高いin vitroでの放出能力に反映されている。
例3は、その放出速度に関して例4よりもわずかに優れている。例4に比べEudragit(登録商標)E100の割合がわずかに低いことが、同様に明らかに、放出能力についてプラスの効果を有している。
【0026】
4例すべてにおいて、活性剤のツロブテロールに関して線形の放出挙動が得られ、少なくとも72時間まで維持されていることは強調されるべきである(図1)。
例5は本発明の可能な最良の態様に対応する剤形を示す。皮膚に面した層ならびに貯蔵層の両方がフェノール系酸化防止剤(ブチルヒドロキシトルエン、BHT)およびエチレンジアミン四酢酸(二ナトリウム塩)の組合せを含み、それにより、TTSの黄変および活性物質であるツロブテロールの保存期間中の再結晶化が確実に防止される。
【0027】
【表1】

*アルミニウムイオンにより架橋(0.05質量パーセント)
**貯蔵層と皮膚に面した層の合計に対する。
BHT=ブチルヒドロキシトルエン;NaEDTA=エチレンジアミン四酢酸、二ナトリウム塩
表中のパーセンテージは、それぞれのマトリクス層の総質量に対する質量比率(mass portions)(m/m)を表す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
概ね水蒸気不透過性の支持層、活性物質ツロブテロールを含む少なくとも1つの活性物質含有マトリクス、および除去可能な保護層を含む経皮治療システムであって、該マトリクスがポリアクリレート感圧接着剤をベースに作製されており、活性物質として、ツロブテロールをその塩である塩酸ツロブテロールの形で含有することを特徴とする、前記経皮治療システム。
【請求項2】
塩酸ツロブテロールの質量含有率が、活性物質含有マトリクスの質量に対し、2.5〜20%、好ましくは5〜10%であることを特徴とする、請求項1に記載の経皮治療システム。
【請求項3】
活性物質含有マトリクスが、側鎖にアミノ官能基を有するポリマーを含有し、該ポリマーの質量含有率が、活性物質含有マトリクスの質量に対し、2〜20%、好ましくは10〜16%であることを特徴とする、請求項1または2に記載の経皮治療システム。
【請求項4】
アミノ官能基を含むポリマーとして、ブチルメタクリレート−(2−ジメチルアミノエチル)−メチルメタクリレートコポリマーを用いることを特徴とする、請求項3に記載の経皮治療システム。
【請求項5】
第2の塩酸ツロブテロール含有マトリクス層を含むことを特徴とする、請求項1〜4のいずれかに記載の経皮治療システム。
【請求項6】
製造直後の状態で、ポリアクリレート感圧接着剤をベースとし、活性物質を含有しない少なくとも1つのさらなるマトリク層を含むことを特徴とする、請求項1〜5のいずれかに記載の経皮治療システム。
【請求項7】
透過促進添加剤を含有することを特徴とする、請求項1〜6のいずれかに記載の経皮治療システム。
【請求項8】
1種または2種以上の脂肪酸、好ましくはラウリル酸、ミリスチン酸またはオレイン酸をマトリクス層に含有し、該脂肪酸を、マトリクスの総質量に対して2〜20%、好ましくは5〜10%の濃度で含有することを特徴とする、請求項1〜7のいずれかに記載の経皮治療システム。
【請求項9】
塩酸ツロブテロールを、通常1日量である0.5から最大6mgまで、好ましくは2〜4mgで、少なくとも3日間の適用期間にわたり経皮投与できることを特徴とする、請求項1〜8のいずれかに記載の経皮治療システム。
【請求項10】
少なくとも1つのマトリクス層が、1つまたは2つ以上の追加の医薬活性物質を含有することを特徴とする、請求項1〜9のいずれかに記載の経皮治療システム。
【請求項11】
活性物質含有層の単位面積あたり重量が、少なくとも120g/mであることを特徴とする、請求項1〜10のいずれかに記載の経皮治療システム。
【請求項12】
酸化防止剤の群から少なくとも1つの添加剤、好ましくはフェノール化合物、より好ましくはブチルヒドロキシトルエンまたはブチルヒドロキシアニソールを含むことを特徴とする、請求項1〜11のいずれかに記載の経皮治療システム。
【請求項13】
金属イオン錯化剤の群から少なくとも1つのさらなる添加剤、好ましくはクエン酸またはエチレンジアミン四酢酸、より好ましくはエチレンジアミン四酢酸二ナトリウム塩(NaEDTA)を含むことを特徴とする、請求項12に記載の経皮治療システム。
【請求項14】
請求項1〜13のいずれかに記載の経皮治療システムの、喘息および関連した形の疾患(related forms of diseases)の治療処置への使用。

【図1】
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【公開番号】特開2011−252003(P2011−252003A)
【公開日】平成23年12月15日(2011.12.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−171931(P2011−171931)
【出願日】平成23年8月5日(2011.8.5)
【分割の表示】特願2001−531361(P2001−531361)の分割
【原出願日】平成12年10月6日(2000.10.6)
【出願人】(300005035)エルテーエス ローマン テラピー−ジステーメ アーゲー (128)
【復代理人】
【識別番号】100172018
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 俊彦
【Fターム(参考)】