説明

気象・海象情報送信システム、気象・海象情報送信装置及び船舶用通信装置

【課題】気象及び海象に係る警報及び注意報等が発令された場合に、これらの気象・海象情報を航海中の船舶、船舶を管理する管理会社、及び管理会社の管理担当者等へ迅速に且つ正確に知らせることができる気象・海象情報送信システム、並びにこの気象・海象情報送信システムを構成する気象・海象情報送信装置及び船舶用通信装置の提供。
【解決手段】船舶30に船舶用通信装置30aを設け、管理会社20に陸上用通信装置20aを設ける。気象庁100から気象・海象情報をサービス提供会社10のサーバ装置10aが取得した場合に、船舶用通信装置30a、陸上用通信装置20a及び携帯電話機50へ気象・海象情報を電子メールにて送信する。また、サーバ装置10aが提供するホームページに陸上用通信装置20aからアクセスすることにより、気象・海象情報及び船舶30の位置情報等の詳細な情報を閲覧できるようにする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、気象又は海象に係る情報を船舶又は船舶を管理する会社などへ送信する気象・海象情報送信システム、並びにこの気象・海象情報送信システムを構成する気象・海象情報送信装置及び船舶用通信装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、航海中の船舶及びこの船舶を管理する会社(以下、管理会社という)の間で、通信衛星を利用した通信又は携帯電話網を利用した通信等により、船舶のエンジンなどの機関に関する機関情報、船舶の動静に関する動静情報及び船舶の現在位置を示す位置情報等の船舶情報を送受信する通信システムが実用化されている。また、船舶には船内LAN(Local Area Network)が搭載され、船舶情報を電子的に作成し、電子化された船舶情報を船舶に設置されているコンピュータから管理会社に設置されているコンピュータへ送信するシステムが開発されている。
【0003】
特許文献1においては、船舶に設置されているパーソナルコンピュータが通信衛星及び衛星基地局を介して船舶情報を船舶情報仲介装置へ送信し、船舶情報仲介装置が受信した船舶情報を各船舶の管理会社毎に定められた書式に編集し、編集した船舶情報を管理会社に設置されているパーソナルコンピュータへ送信する構成とすることにより、船舶から送信される船舶情報に書式情報が含まれないため、船舶情報を安価に送信することができる船舶情報仲介システム及び船舶情報仲介装置が提案されている。
【0004】
一方、船舶においては、台風、暴風、強風、風、うねり、着氷及び濃霧等の気象・海象の変化が航海に与える影響は大きいため、これらの気象・海象に係る情報(以下、気象・海象情報という)、特に警報及び注意報等の情報を迅速に且つ正確に取得する必要がある。気象・海象情報は気象庁又は民間の気象事業者等が提供しており、船舶の管理会社はこれらから気象・海象情報を取得し、取得した情報から例えば台風警報の圏内を航海している船舶へ、通信衛星による通信又は携帯電話網による通信等を利用して警告を発していた。
【特許文献1】特開2001−283145号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、船舶の管理会社が多数の船舶を管理している場合、警報の圏内を航海している船舶を特定するために時間を要し、また、警報の圏内を航海している船舶が多数存在する場合には、全船舶へ通信を行って警告を発する必要があるため時間を要する。よって、気象・海象情報を取得してからこの情報が必要な船舶へ情報が伝達されるまでに時間がかかるという問題があった。特許文献1に記載の船舶情報仲介システム及び船舶情報仲介装置においては、このような気象・海象情報に関しては言及されていない。
【0006】
本発明は、斯かる事情に鑑みてなされたものであって、その目的とするところは、船舶の位置情報を取得して他の装置へ送信し、他の装置から送信された情報を受信することができる船舶用通信装置を船舶に設置すると共に、気象庁又は民間の気象事業者等が提供する気象・海象情報を取得し、船舶用通信装置から送信された位置情報を受信し、船舶が気象・海象情報の対象地域内に位置するか否かを判定して、対象地域内の船舶の船舶用通信装置へ気象・海象情報を送信する気象・海象情報送信装置を備える構成とすることにより、船舶へ気象・海象情報を迅速且つ正確に送信することができる気象・海象情報送信システムを提供することにある。
【0007】
また本発明の他の目的とするところは、気象・海象情報を受信した場合に船舶用通信装置が報知を行う構成とすることにより、気象・海象情報が受信されたことを船員に確実に認識させることができる気象・海象情報送信システムを提供することにある。
【0008】
また本発明の他の目的とするところは、気象・海象情報送信装置が気象・海象情報を送信する場合に、船舶が位置する地域に係る気象・海象情報のみを抽出して送信する構成とすることにより、各船舶に不必要な情報を送信せず、必要な情報のみを船舶用通信装置へ送信することができる気象・海象情報送信システムを提供することにある。
【0009】
また本発明の他の目的とするところは、気象・海象情報送信装置からの情報を受信し、船舶用通信装置へ情報を送信することができる陸上用通信装置を陸上に設置する構成とすることにより、船舶を管理する陸上の管理会社が、気象・海象情報に応じて各船舶と通信を行うことができる気象・海象情報送信システムを提供することにある。
【0010】
また本発明の他の目的とするところは、気象・海象情報送信装置から陸上用通信装置へ電子メールとして気象・海象情報を送信する構成とすることにより、陸上の管理会社へ迅速に気象・海象情報を送信することができる気象・海象情報送信システムを提供することにある。
【0011】
また本発明の他の目的とするところは、気象・海象情報送信装置から陸上用通信装置へホームページのデータとして気象・海象情報を送信する構成とすることにより、陸上の管理会社へ詳細な情報を確実に送信することができる気象・海象情報送信システムを提供することにある。
【0012】
また本発明の他の目的とするところは、地図上に船舶の位置及び気象・海象情報を示す画像情報を作成し、作成した画像情報を陸上用通信装置へ送信する構成とすることにより、管理会社が船舶の位置及び気象・海象情報を把握しやすい気象・海象情報送信システムを提供することにある。
【0013】
また本発明の他の目的とするところは、気象・海象情報送信装置が陸上用通信装置へ情報を送信する場合に、気象・海象情報と共に陸上用通信装置から船舶用通信装置への情報送信を行う機能を起動するための情報を送信する構成とすることにより、管理会社が陸上用通信装置から簡単に船舶への情報送信を行うことができる気象・海象情報送信システムを提供することにある。
【0014】
また本発明の他の目的とするところは、気象・海象情報送信装置から携帯用通信装置へ気象・海象情報を送信する構成とすることにより、携帯用通信装置を所有する例えば管理会社の担当者へ、気象・海象情報を迅速に且つ確実に送信することができる気象・海象情報送信システムを提供することにある。
【0015】
また本発明の他の目的とするところは、気象・海象情報送信装置が気象・海象情報として警報又は注意報に係る情報を送信する構成とすることにより、緊急性の高い警報又は注意報を迅速に且つ確実に送信することができる気象・海象情報送信システムを提供することにある。
【0016】
また本発明の他の目的とするところは、気象庁又は民間の気象事業者等が提供する気象・海象情報を取得し、船舶の位置情報を受信し、船舶が気象・海象情報の対象地域内に位置するか否かを判定して、対象地域内の船舶へ気象・海象情報を送信する構成とすることにより、船舶へ気象・海象情報を迅速且つ正確に送信することができる気象・海象情報送信装置を提供することにある。
【0017】
また本発明の他の目的とするところは、気象・海象情報を送信する場合に、船舶の位置する地域に係る気象・海象情報のみを抽出して送信する構成とすることにより、各船舶に不必要な情報を送信せず、必要な情報のみを船舶用通信装置へ送信することができる気象・海象情報送信装置を提供することにある。
【0018】
また本発明の他の目的とするところは、地図上に船舶の位置及び気象・海象情報を示す画像情報を作成し、作成した画像情報を陸上に設置された通信装置へ送信する構成とすることにより、管理会社が船舶の位置及び気象・海象情報を把握しやすい気象・海象情報装置システムを提供することにある。
【0019】
また本発明の他の目的とするところは、陸上に設置された通信装置へ気象・海象情報を送信する場合に、気象・海象情報と共に陸上に設置された通信装置から船舶に設置された通信装置への情報送信を行う機能を起動するための情報を送信する構成とすることにより、管理会社が陸上用通信装置から簡単に船舶への情報送信を行うことができる気象・海象情報送信システムを提供することにある。
【0020】
また本発明の他の目的とするところは、他の装置から送信されて受信した情報が気象・海象情報であるか否かを判定し、この情報が気象・海象情報である場合に報知を行う構成とすることにより、気象・海象情報が受信されたことを船員に確実に認識させることができる船舶用通信装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0021】
第1発明に係る気象・海象情報送信システムは、船舶に設置され、船舶の位置に係る位置情報を取得する位置情報取得手段、取得した位置情報を送信する送信手段、及び情報を受信する受信手段を有する船舶用通信装置と、気象又は海象に係る気象・海象情報を取得する気象・海象情報取得手段、前記船舶用通信装置から送信された位置情報を受信する受信手段、取得した気象・海象情報及び受信した位置情報を基に船舶が気象・海象情報の対象となる地域内に位置するか否かを判定する判定手段、及び前記地域内に位置すると判定された船舶へ気象・海象情報を送信する送信手段を有する気象・海象情報送信装置とを備え、前記気象・海象情報送信装置が気象・海象情報を取得した場合に、気象・海象情報の対象となる地域内に位置する船舶の前記船舶用通信装置へ気象・海象情報を送信するようにしてあることを特徴とする。
【0022】
本発明においては、船舶に船舶用通信装置を設けて、気象・海象情報送信装置との通信を行う。船舶用通信装置は、例えばGPS(Global Positioning System)を搭載して船舶の位置情報を取得し、気象・海象情報送信装置へ送信する。気象・海象情報送信装置は、船舶の位置情報を受信し、気象庁又は民間の気象事業者等が提供する気象・海象情報を取得し、船舶が気象・海象情報の対象地域内に位置するか否かを判定して、対象地域内の船舶の船舶用通信装置へ気象・海象情報を送信する。船舶用通信装置及び気象・海象情報送信装置の間の通信は、通信衛星又は携帯電話網等を利用した例えば電子メールシステムにより行うことができる。よって、気象庁又は民間の気象事業者等が、例えば気象・海象に係る警報を発した場合に、警報圏内の船舶へ自動的に情報を送信できる。
【0023】
また、第2発明に係る気象・海象情報送信システムは、前記船舶用通信装置が、前記気象・海象情報送信装置からの気象・海象情報を受信した場合に報知を行う報知手段を有することを特徴とする。
【0024】
本発明においては、気象・海象情報送信装置が送信した気象・海象情報を受信した場合に、船舶用通信装置が例えば警告音又は警告ランプ等を用いた報知を行う。これにより、船舶に乗船している船員が気象・海象情報の受信を見落とす可能性が低くなる。
【0025】
また、第3発明に係る気象・海象情報送信システムは、前記気象・海象情報送信装置が、前記船舶用通信装置へ気象・海象情報を送信する場合に、前記気象・海象情報取得手段が取得した気象・海象情報から前記船舶用通信装置が設置された船舶の位置する地域に係る気象・海象情報を抽出する抽出手段を有し、該抽出手段が抽出した気象・海象情報を前記船舶用通信装置へ送信するようにしてあることを特徴とする。
【0026】
本発明においては、気象・海象情報送信装置が気象・海象情報を送信する場合に、船舶の位置する地域に係る気象・海象情報のみを抽出して送信する。気象庁又は民間の気象事業者等が提供する気象・海象情報は、例えば日本近海の全ての気象及び海象に関する情報を含んだものであるため、全ての情報を船舶へ送信した場合には、船舶にて多くの情報から必要な情報を検索しなければならない。よって、予め必要な情報のみを抽出して船舶へ送信することにより、船舶にて情報検索を行う必要がなく、また、情報量が少なくなるため通信コストを低減できる。
【0027】
また、第4発明に係る気象・海象情報送信システムは、陸上に設置され、前記気象・海象情報送信装置が送信した情報を受信する受信手段と、前記船舶用通信装置へ情報を送信する送信手段とを有する陸上用通信装置を備え、前記気象・海象情報送信装置は、前記陸上用通信装置へ気象・海象情報を送信する送信手段を有し、前記船舶用通信装置は、前記陸上用通信装置から送信された情報を受信する受信手段を有することを特徴とする。
【0028】
本発明においては、陸上の例えば船舶の管理会社に、気象・海象情報送信装置が送信する情報を受信することができ、また、船舶用通信装置へ情報を送信することができる陸上用通信装置を設置する。気象・海象情報送信装置と陸上用通信装置との間の通信は、インターネットなどを使用して、例えば電子メール及びWebブラウザによるホームページの表示等を利用することができ、陸上用通信装置と船舶用通信装置との間の通信は、通信衛星又は携帯電話網等をして、例えば電子メールにより行うことができる。また、気象・海象情報送信装置から陸上用通信装置へ送信する気象・海象情報は、気象庁又は民間の気象事業者等が提供する気象・海象情報と同程度の情報量の気象・海象情報であってもよく、管理会社が管理する船舶に関係する情報のみを抽出した気象・海象情報であってもよい。気象・海象情報を取得した管理会社は、例えば警報に対する対応策又は船舶の航路等を検討し、船舶への通信を行って指示を与えることができる。
【0029】
また、第5発明に係る気象・海象情報送信システムは、前記気象・海象情報送信装置の送信手段が、前記陸上用通信装置へ気象・海象情報を電子メールとして送信するようにしてあることを特徴とする。
【0030】
本発明においては、気象・海象情報送信装置から陸上用通信装置へ気象・海象情報を送信する場合に、電子メールとして気象・海象情報を送信する。陸上用通信装置では電子メールの受信を検出して通知することができるため、例えば警報又は注意報等の緊急性の高い情報の受信をユーザに迅速に且つ確実に知らせることができる。
【0031】
また、第6発明に係る気象・海象情報送信システムは、前記気象・海象情報送信装置の送信手段が、前記陸上用通信装置へ気象・海象情報をホームページのデータとして送信するようにしてあることを特徴とする。
【0032】
本発明においては、気象・海象情報送信装置から陸上用通信装置へ気象・海象情報を送信する場合に、ホームページのデータとして気象・海象情報を送信する。ホームページでは気象・海象情報を図又は表等により示すことが容易であるため、ユーザが詳細な情報を認識しやすい形で提供できる。
【0033】
また、第7発明に係る気象・海象情報送信システムは、前記気象・海象情報送信装置が、地図上に船舶の位置及び気象・海象情報を示す画像情報を作成する作成手段を有し、前記陸上用通信装置へ前記作成手段が作成した画像情報を送信するようにしてあることを特徴とする。
【0034】
本発明においては、気象・海象情報送信装置が陸上用通信装置への送信を行う場合に、地図上に船舶の位置及び気象・海象情報を示す画像情報を作成し、作成した画像情報を送信する。例えば、ホームページ上にこれらの画像を表示して、管理会社からWebブラウザを用いて閲覧可能とする。これにより、管理会社が船舶の位置及び気象・海象情報を把握しやすくなる。
【0035】
また、第8発明に係る気象・海象情報送信システムは、前記気象・海象情報送信装置が、前記陸上用通信装置の送信手段を起動するための情報を前記気象・海象情報と共に送信するようにしてあり、前記陸上用通信装置は、前記気象・海象情報送信装置から送信された前記起動するための情報に基づいて前記送信手段を起動し、前記船舶用通信装置へ情報を送信するようにしてあることを特徴とする。
【0036】
本発明においては、気象・海象情報送信装置が陸上用通信装置へ気象・海象情報の送信を行う場合に、気象・海象情報と共に陸上用通信装置から船舶用通信装置への情報送信を行う機能を起動するための情報を送信する。例えばホームページ上に気象・海象情報及び位置情報を表示し、管理会社からWebブラウザを用いて閲覧できるようにし、表示された船舶の中の一の船舶を選択した場合にその船舶への電子メールを送信するためのプログラムを起動するようにする。これにより、管理会社から船舶へ簡単に通信を行うことができる。
【0037】
また、第9発明に係る気象・海象情報送信システムは、前記気象・海象情報送信装置が送信した情報を受信する受信手段を有する携帯用通信装置を備え、前記気象・海象情報送信装置は、前記携帯用通信装置へ気象・海象情報を送信する送信手段を有することを特徴とする。
【0038】
本発明においては、気象・海象情報送信装置から携帯用通信装置へ気象・海象情報を送信する。管理会社の担当者が陸上用通信装置の周囲にいない場合であっても、担当者が所有する携帯電話機又はPDA(Personal Digital Assistants)等へ気象・海象情報を送信することができるため、緊急性の高い気象・海象情報を担当者が見落とすことがない。
【0039】
また、第10発明に係る気象・海象情報送信システムは、前記気象・海象情報は、気象又は海象の警報又は注意報に係る情報であることを特徴とする。
【0040】
本発明においては、気象・海象情報として警報又は注意報に係る情報を、気象・海象情報送信装置が船舶用通信装置、陸上用通信装置又は携帯用通信装置等へ送信する。警報又は注意報等の気象・海象情報は緊急性が高いため、これを迅速に且つ確実に送信する。
【0041】
また、第11発明に係る気象・海象情報送信装置は、気象又は海象に係る気象・海象情報を取得する気象・海象情報取得手段と、船舶に設置された通信装置から送信された位置情報を受信する受信手段と、取得した気象・海象情報及び受信した位置情報を基に、船舶が気象・海象情報の対象となる地域内に位置するか否かを判定する判定手段と、前記地域内に位置すると判定された船舶の通信装置へ気象・海象情報を送信する送信手段とを備えることを特徴とする。
【0042】
本発明においては、気象・海象情報送信装置は、船舶の位置情報を受信し、気象庁又は民間の気象事業者等が提供する気象・海象情報を取得し、船舶が気象・海象情報の対象地域内に位置するか否かを判定して、対象地域内の船舶の通信装置へ気象・海象情報を送信する。よって、気象庁又は民間の気象事業者等が、例えば気象・海象に係る警報を発した場合に、警報圏内の船舶へ自動的に情報を送信できる。
【0043】
また、第12発明に係る気象・海象情報送信装置は、前記通信装置へ気象・海象情報を送信する場合に、前記気象・海象情報取得手段が取得した気象・海象情報から前記通信装置が設置された船舶が位置する地域に係る気象・海象情報を抽出する抽出手段を備え、前記送信手段は、前記抽出手段が抽出した気象・海象情報を前記通信装置へ送信するようにしてあることを特徴とする。
【0044】
本発明においては、気象・海象情報を船舶の通信装置へ送信する場合に、船舶の位置する地域に係る気象・海象情報のみを抽出して送信する。予め必要な情報のみを抽出して船舶へ送信することにより、船舶にて多くの情報から必要な情報を検索する必要がなく、また、情報量が少なくなるため通信コストを低減できる。
【0045】
また、第13発明に係る気象・海象情報送信装置は、陸上に設置された通信装置へ気象・海象情報を送信する送信手段と、地図上に船舶の位置及び気象・海象情報を示す画像情報を作成する作成手段とを備え、前記送信手段は、前記作成手段が作成した画像情報を前記通信装置へ送信するようにしてあることを特徴とする。
【0046】
本発明においては、陸上の通信装置への送信を行う場合に、地図上に船舶の位置及び気象・海象情報を示す画像情報を作成し、作成した画像情報を送信する。例えば、ホームページ上にこれらの図面を表示して、管理会社からWebブラウザを用いて閲覧可能とする。これにより、管理会社が船舶の位置及び気象・海象情報を把握しやすくなる。
【0047】
また、第14発明に係る気象・海象情報送信装置は、陸上に設置された通信装置へ気象・海象情報を送信する送信手段と、陸上に設置された通信装置が船舶に設置された通信装置と通信を行うための情報を作成する作成手段とを備え、前記送信手段は、船舶に設置された通信装置と通信を行うための情報を、気象・海象情報と共に送信するようにしてあることを特徴とする。
【0048】
本発明においては、陸上の通信装置への送信を行う場合に、気象・海象情報と共に陸上の通信装置から船舶の通信装置への情報送信を行う機能を起動するための情報を送信する。例えばホームページ上に気象・海象情報及び位置情報を表示し、管理会社からWebブラウザを用いて閲覧できるようにし、表示された船舶の中の一の船舶を選択した場合にその船舶への電子メールを送信するためのメール送信ソフトウェアを起動するようにする。これにより、管理会社から船舶へ簡単に通信を行うことができる。
【0049】
また、第15発明に係る船舶用通信装置は、船舶に設置され、船舶の位置に係る位置情報を取得する位置情報取得手段と、取得した位置情報を他の装置へ送信する送信手段と、他の装置から送信された情報を受信する受信手段とを備える船舶用通信装置において、前記受信手段が受信した情報が気象・海象情報であるか否かを判定する判定手段と、受信した情報が前記判定手段により気象・海象情報であると判定された場合に報知を行う報知手段とを備えることを特徴とする。
【0050】
本発明においては、船舶用通信装置が例えばGPSを搭載して船舶の位置情報を取得して他の装置へ送信し、他の装置から送信された情報を受信して、受信した情報が気象・海象情報であるか否かを判定し、受信した情報が気象・海象情報である場合に、例えば警告音又は警告ランプ等を用いた報知を行う。これにより、船舶に乗船している船員が気象・海象情報の受信を見落とす可能性が低くなる。
【発明の効果】
【0051】
第1発明による場合は、船舶の位置情報を取得して他の装置へ送信し、他の装置から送信された情報を受信することができる船舶用通信装置を船舶に設置すると共に、気象庁又は民間の気象事業者等が提供する気象・海象情報を取得し、船舶用通信装置から送信された位置情報を受信し、船舶が気象・海象情報の対象地域内に位置するか否かを判定して、対象地域内の船舶の船舶用通信装置へ気象・海象情報を送信する気象・海象情報送信装置を備える構成とすることにより、気象庁又は民間の気象事業者等が、例えば気象・海象に係る警報を発した場合に、警報圏内の船舶へ自動的に情報を送信できるため、船舶へ気象・海象情報を迅速且つ正確に送信することができる。よって、管理会社の船舶の管理負担を軽減することができると共に、船舶の航海の安全性を高めることができる。
【0052】
また、第2発明による場合は、気象・海象情報を受信した場合に船舶用通信装置が報知を行う構成とすることにより、船舶に乗船している船員が気象・海象情報の受信を見落とす可能性が低くなり、気象・海象情報を船員に確実に認識させることができる。よって、船舶の航海の安全性を高めることができる。
【0053】
また、第3発明による場合は、気象・海象情報送信装置が気象・海象情報を送信する場合に、船舶が位置する地域に係る気象・海象情報のみを抽出して送信する構成とすることにより、必要な情報のみを抽出して船舶へ送信することができ、船舶にて情報検索を行う必要がないため、船舶側で気象・海象情報送信システムを利用する場合の利便性を向上できる。また、送信する情報の情報量が少なくなるため、通信コストを低減できる。
【0054】
また、第4発明による場合は、気象・海象情報送信装置からの情報を受信し、船舶用通信装置へ情報を送信することができる陸上用通信装置を陸上に設置する構成とすることにより、気象・海象情報を陸上用通信装置により受信した管理会社は、例えば警報に対する対応策又は船舶の航路等を検討し、船舶への通信を行って指示を与えることができるため、船舶の管理を確実に行うことができると共に、船舶の航海の安全性を高めることができる。
【0055】
また、第5発明による場合は、気象・海象情報送信装置から陸上用通信装置へ電子メールとして気象・海象情報を送信する構成とすることにより、陸上用通信装置では電子メールの受信を検出して通知することができ、緊急性の高い情報の受信をユーザに迅速に且つ確実に知らせることができるため、船舶の管理を確実に行うことができると共に、船舶の航海の安全性を高めることができる。
【0056】
また、第6発明による場合は、気象・海象情報送信装置から陸上用通信装置へホームページのデータとして気象・海象情報を送信する構成とすることにより、ユーザが詳細な情報を認識しやすい形で気象・海象情報を提供できるため、管理会社側で気象・海象情報送信システムを利用する場合の利便性を向上できる。
【0057】
また、第7発明による場合は、地図上に船舶の位置及び気象・海象情報を示す画像情報を作成し、作成した画像情報を陸上用通信装置へ送信する構成とすることにより、管理会社が船舶の位置及び気象・海象情報を把握しやすくなるため、管理会社側で気象・海象情報送信システムを利用する場合の利便性を向上できる。
【0058】
また、第8発明による場合は、気象・海象情報送信装置が陸上用通信装置へ情報を送信する場合に、気象・海象情報と共に陸上用通信装置から船舶用通信装置への情報送信を行う機能を起動するための情報を送信する構成とすることにより、管理会社が陸上用通信装置から簡単に船舶への情報送信を行うことができるため、管理会社側で気象・海象情報送信システムを利用する場合の利便性を向上できる。
【0059】
また、第9発明による場合は、気象・海象情報送信装置から携帯用通信装置へ気象・海象情報を送信する構成とすることにより、管理会社の担当者が陸上用通信装置の周囲にいない場合であっても、担当者が所有する携帯用通信装置へ気象・海象情報を送信することができるため、担当者へ気象・海象情報をより確実に送信することができ、船舶の管理を確実に行うことができると共に、船舶の航海の安全性を高めることができる。
【0060】
また、第10発明による場合は、気象・海象情報送信装置が気象・海象情報として警報又は注意報に係る情報を船舶用通信装置、陸上用通信装置又は携帯用通信装置等へ送信する構成とすることにより、緊急性の高い警報又は注意報を迅速に且つ確実に送信することができるため、船舶の航海の安全性を高めることができる。
【0061】
また、第11発明による場合は、気象庁又は民間の気象事業者等が提供する気象・海象情報を取得し、船舶の位置情報を受信し、船舶が気象・海象情報の対象地域内に位置するか否かを判定して、対象地域内の船舶へ気象・海象情報を送信する構成とすることにより、気象庁又は民間の気象事業者等が、例えば気象・海象に係る警報を発した場合に、警報圏内の船舶へ自動的に情報を送信できるため、船舶へ気象・海象情報を迅速且つ正確に送信することができる。よって、管理会社の船舶の管理負担を軽減することができると共に、船舶の航海の安全性を高めることができる。
【0062】
また、第12発明による場合は、気象・海象情報を送信する場合に、船舶の位置する地域に係る気象・海象情報のみを抽出して送信する構成とすることにより、各船舶に不必要な情報を送信せず、必要な情報のみを船舶用通信装置へ送信することができ、船舶にて情報検索を行う必要がないため利便性を向上でき、また、送信する情報の情報量が少なくなるため、通信コストを低減できる。
【0063】
また、第13発明による場合は、地図上に船舶の位置及び気象・海象情報を示す画像情報を作成し、作成した画像情報を陸上に設置された通信装置へ送信する構成とすることにより、管理会社が船舶の位置及び気象・海象情報を把握しやすくなるため、利便性を向上できる。
【0064】
また、第14発明による場合は、陸上に設置された通信装置へ気象・海象情報を送信する場合に、気象・海象情報と共に陸上に設置された通信装置から船舶に設置された通信装置への情報送信を行う機能を起動するための情報を送信する構成とすることにより、管理会社から船舶へ簡単に通信を行うことができるため、利便性を向上できる。
【0065】
また、第15発明による場合は、他の装置から送信されて受信した情報が気象・海象情報であるか否かを判定し、気象・海象情報である場合に報知を行う構成とすることにより、船舶に乗船している船員が気象・海象情報の受信を見落とす可能性が低くなり、気象・海象情報を船員に確実に認識させることができる。よって、船舶の航海の安全性を高めることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0066】
以下、本発明をその実施の形態を示す図面に基づき具体的に説明する。図1は、本発明に係る気象・海象情報送信システムの概略を示す模式図である。図において10は、本発明に係る気象・海象情報送信システムを利用したサービスを提供するサービス提供会社である。サービス提供会社10にはサーバ装置10aが設置されており、サーバ装置10aは、通信衛星40又は無線通信中継装置41等を介して、海洋を航海する複数の船舶30に設置された船舶用通信装置30aと無線通信を行うことができ、船舶30を陸上から管理する複数の管理会社20にそれぞれ設置された陸上用通信装置20aとネットワークNW1を介して通信を行うことができるようにしてある。船舶30内には船内LANが設けてあり、船舶用通信装置30aは船内LANにより警報器30b及び図示しない計測器等が接続されている。また、サーバ装置10aは、ネットワークNW1を介して気象庁100のコンピュータ(図示せず)に接続され、気象庁100が提供する気象・海象情報を取得できるようにしてある。更に、サーバ装置10aは、無線通信中継装置41を介して複数の携帯電話機50との間で無線通信を行うことができるようにしてある。
【0067】
本実施の形態に係る気象・海象情報送信システムでは、台風警報、暴風警報、強風警報、風警報、うねり警報、着氷警報及び濃霧警報等の気象・海象情報を気象庁100から取得したサーバ装置10aが、これらの警報の圏内を航海している船舶30の船舶用通信装置30aへ電子メールとして自動的に送信すると共に、船舶30を管理している管理会社20の陸上用通信装置20a及び管理会社20の担当者が所有する携帯電話機50へ電子メールとして自動的に送信するようにしてある。また、サーバ装置10aは、船舶30の位置情報を含む船舶情報と、気象庁100から取得した気象・海象情報との詳細な情報を、管理会社20の陸上用通信装置20aに備えられたWebブラウザを利用して閲覧可能なホームページとして送信している。なお、このホームページは、パスワード入力などのユーザ認証により、特定の管理会社20のみが閲覧可能となるようにしてある。
【0068】
ネットワークNW1は所謂インターネットを構成するものであるが、電話回線、無線回線又は光回線等を含むものであってもよい。無線通信中継装置41は所謂携帯電話網を構成するための装置であり、ネットワークNW1の一部又は全部が携帯電話網を利用する構成であってもよく、また、ネットワークNW1の一部又は全部が通信衛星40を利用する構成であってもよい。ネットワークNW1と、サーバ装置10a及び船舶用通信装置30aの間の通信とは、複数の通信手段又は通信経路の中から適した手段又は経路を選択することができる。また、図1においては管理会社20、船舶30及び携帯電話機50をそれぞれ2つずつ図示してあるが、これに限定されるものではなく、それぞれ任意の数であってよい。
【0069】
図2は、本発明に係る気象・海象情報送信システムを構成する船舶用通信装置30aの構成を示すブロック図である。船舶用通信装置30aは、GPS受信部32、無線通信インタフェース33及び34、船内通信インタフェース35、RAM36、ハードディスク37、表示部38、並びに操作部39と、これらを制御するCPU31とを備えており、各部がバスを介してそれぞれ接続されている。
【0070】
GPS受信部32は、図示しないGPS衛星から所定の信号を受信するものであり、GPS受信部32が受信する信号を基に、CPU31が船舶30の現在の緯度及び経度等の位置情報を算出するようにしてある。また、無線通信インタフェース33及び34は、図1に示した通信衛星40及び無線通信中継装置41との間で通信を行うものであり、通信衛星40又は無線通信中継装置41のいずれを用いて通信を行うかをCPU31が通信状況により判断するようにしてある。船内通信インタフェース35は、船舶30内の各機器間を接続するネットワークNW2を介して、警報器30b及びその他の計測器30c等と通信を行うものである。ネットワークNW2は、所謂船内LANである。
【0071】
また、RAM36は、CPU31が演算処理又は制御処理等を行う場合に用いられる記憶素子であり、SRAM又はDRAM等で構成されている。ハードディスク37はCPU31にて動作するプログラム及び種々のデータを記憶しており、ネットワークNW2を介して得られる計測器30cからのデータがハードディスク37に記憶されるようにしてある。表示部38は、液晶ディスプレイ又はCRTディスプレイ等の表示装置により構成されるものであり、種々の情報を表示することができる。操作部39はキーボード及びマウス等を備えてユーザの操作を受け付けるようにしてあり、ユーザが操作部39へ与えた操作はCPU31へ伝えられ、CPU31は与えられた操作内容に応じて処理を行うようにしてある。
【0072】
ネットワークNW2を介して船舶用通信装置30aに接続される警報器30bは、図示は省略するが、警報音を出力するブザーと、赤色、青色及び黄色の光をそれぞれ発する3つのランプとを備えており、船舶用通信装置30aから与えられる動作命令に応じて警報音の出力及びランプの発光を行うようにしてある。また、計測器30cは、船舶に搭載されたエンジン及びボイラー等の機関の動作状況、又は風速、風向及び船速等の船舶の動静を計測し、計測結果を機関情報又は動静情報としてネットワークNW2を介して船舶用通信装置30aに送信するようにしてある。
【0073】
GPS受信部32が受信した信号を基に算出した位置情報、並びに計測器30cにより取得した船舶の機関情報及び動静情報等は、無線通信インタフェース33又は34から通信衛星40又は無線通信中継装置41を介して、船舶情報として定期的にサーバ装置10aへ電子メールにて送信されるようにしてある。
【0074】
図3は、本発明に係る気象・海象情報送信システムを構成するサーバ装置10aの構成を示すブロック図である。サーバ装置10aは、無線通信インタフェース12及び13、陸上用通信インタフェース14、RAM15、表示部16、操作部17及びハードディスク18と、これらを制御するCPU11とを備えており、各部がバスを介してそれぞれ接続されている。
【0075】
無線通信インタフェース12及び13は、通信衛星40及び無線通信中継装置41との間で通信を行うものであり、通信衛星40又は無線通信中継装置41のいずれを用いて通信を行うかをCPU11が通信状況により判断するようにしてある。また、陸上用通信インタフェース14は、上述のネットワークNW1に接続するためのものであり、ネットワークNW1を介して管理会社20及び気象庁100等との間で通信を行うことができるようにしてある。なお、無線通信中継装置41を利用して通信を行う場合、陸上用通信インタフェース14及びネットワークNW1を介して無線通信中継装置41まで有線で接続し、無線通信中継装置41から船舶30へ無線通信を行う構成としてもよい。
【0076】
RAM15は、CPU11が演算処理又は制御処理等を行う場合に用いられる記憶素子であり、SRAM又はDRAM等で構成されている。表示部16は、液晶ディスプレイ又はCRTディスプレイ等の表示装置により構成されるものであり、種々の情報を表示することができる。操作部17は、キーボード及びマウス等を備えてユーザの操作を受け付けるようにしてあり、ユーザが操作部17へ与えた操作はCPU11へ伝えられ、CPU11は与えられた操作内容に応じて処理を行うようにしてある。
【0077】
また、ハードディスク18は、CPU11にて動作するプログラムを記憶すると共に、気象・海象情報の送信を行うために必要な種々のデータを記憶している。ハードディスク18が記憶しているデータには、船舶情報DB(データベース)18a、地図情報DB18b、認証情報DB18c及び気象・海象情報DB18d等が含まれる。船舶情報DB18aには、複数の船舶30の船舶用通信装置30aから送信された船舶30の位置情報を含む船舶情報が記憶されており、地図情報DB18bには船舶30の位置情報を図示するための地図情報が記憶されている。また、認証情報DB18cには、サーバ装置10aが送信する情報に陸上用通信装置20aからアクセスするための認証情報が記憶されており、気象・海象情報DB18dには、気象庁100が提供する気象・海象情報が記憶されている。
【0078】
気象庁100とサーバ装置10aとの間の通信は、例えばネットワークNW1を介したFTP(File Transfer Protocol)方式の通信で行われる。気象庁100は、気象衛星及び各地の気象観測所等から得られる情報を基に気象及び海象に係る警報、例えば台風警報、暴風警報、強風警報、風警報、うねり警報、着氷警報及び濃霧警報を発し、このときにサーバ装置10aに気象・海象情報として警報の詳細が記載されたファイルをサーバ装置10aへFTP通信により送信する。
【0079】
図4は、気象庁100からサーバ装置10aへ送信される気象・海象情報の一例を示す模式図である。図示のように、気象・海象情報はテキスト形式のファイルで気象庁100からサーバ装置10aへ送信される。本例では、沖縄の海上で12日の3時に観測されたデータを基に、12日の5時15分に発表された台風警報及び風警報に関する気象・海象情報を示してある。台風警報の範囲は沖縄東方海上及び沖縄南方海上であり、風警報の範囲は東シナ海南部である。また、気象庁100が提供する気象・海象情報には、その他に台風の位置、風速及び進路等の詳細な情報が含まれている。
【0080】
気象庁100から気象・海象情報を受信したサーバ装置10aは、受信した気象・海象情報をハードディスク18の気象・海象情報DB18dに記憶すると共に、船舶情報DB18aに記憶されている情報を基に、警報の対象地域に位置する船舶30を検索し、この船舶30の船舶用通信装置30aへ通信衛星40及び無線通信中継装置41を介した電子メールにより気象・海象情報を送信するようにしてある。
【0081】
図5は、本発明に係る気象・海象情報送信システムのサーバ装置10aから船舶用通信装置30aへ送信される気象・海象情報の一例を示す模式図であり、沖縄東方海上に位置する船舶30である”渦潮丸”へ送信される気象・海象情報の例を示してある。サーバ装置10aから船舶用通信装置30aへ気象・海象情報として送信される電子メールには、件名に船舶名、警報種別、警報コードが記載され、本文に警報の詳細が記載される。本例では、船舶名として渦潮丸が記載され、警報種別として海上台風警報が記載され、警報コードとしてコード2002が記載されている。なお、警報コードは、サーバ装置10aの気象・海象情報DB18dに関連付けられた識別子である。気象・海象情報として船舶用通信装置30aへ送信される電子メールの本文の内容は、図4に示す気象庁100からの気象・海象情報の内容と同じものではなく、図5に示すように渦潮丸に関連する情報、即ち沖縄東方海上に関する情報のみを抽出してある。
【0082】
また、気象庁100から気象・海象情報を受信したサーバ装置10aは、船舶30を管理する管理会社20の陸上用通信装置20a及び携帯電話機50へ電子メールにより気象・海象情報を送信するようにしてある。陸上用通信装置20aへ送信する気象・海象情報の内容は、気象庁100が提供する気象・海象情報と略同じ内容であってもよく、管理会社20が管理する船舶30に関連する情報のみを抽出した内容であってもよい。携帯電話機50へ送信する気象・海象情報の内容は、船舶30へ送信する気象・海象情報と略同じ程度の内容であることが望ましいが、気象庁100が提供するものと略同じ内容であってもよい。
【0083】
図6は、本発明に係る気象・海象情報送信システムを構成する陸上用通信装置20aの構成を示すブロック図である。陸上用通信装置20aは、演算及び各部の制御等を行うCPU21と、CPU21が演算処理及び制御処理等を行うためのデータを記憶するRAM22と、CPU21にて動作するプログラム及び各種データを記憶するハードディスク23と、液晶ディスプレイ又はCRTディスプレイ等の表示装置による表示部24と、キーボード及びマウス等を有する操作部25と、ネットワークNW1に接続するための陸上用通信インタフェース26とを備える構成である。この構成は、ネットワークに接続可能な一般的なパーソナルコンピュータ(以下、PCという)の構成であり、陸上用通信装置20aとしては、電子メールを送受信するプログラム及びインターネットに接続してホームページを閲覧するWebブラウザを備えるデスクトップ型PC又はノート型PC等を利用することができる。
【0084】
気象庁100から気象・海象情報を受信したサーバ装置10aは、上述のように電子メールにより船舶30の船舶用通信装置30a、管理会社20の陸上用通信装置20a及び携帯電話機50へ気象・海象情報を送信するのみでなく、陸上用通信装置20aから閲覧可能なホームページとして気象・海象情報を送信するようにしてある。ユーザは、陸上用通信装置20aにてWebブラウザを起動してサーバ装置10aにアクセスすることにより、詳細な気象・海象情報の送信を要求し、ホームページを閲覧することができるようにしてある。また、このときのアクセスはパスワードなどの入力を要求する認証システムにより保護されており、認証のために必要なデータがサーバ装置10aのハードディスク18の認証情報DB18cに記憶されている。
【0085】
図7は、本発明に係る気象・海象情報送信システムによりホームページとして送信される気象・海象情報の一表示例を示す説明図である。図示の表示例においては、日本近海が複数の地域に分割された地図画像上に、船舶30の位置が図示されると共に、分割された地域に警報が発令されている場合には、この地域が色分けして(ただし、図7においては各色をハッチングで代用して図示してある)表示されるようにしてある。また、図示は省略するが、ユーザは表示された地図の任意の範囲を拡大表示することができるようにしてあり、このときに用いられる地図データはサーバ装置10aのハードディスク18の地図情報DB18bに記憶してある。
【0086】
また、本表示例では、図4に示した気象・海象情報を反映し、沖縄東方海上及び沖縄南方海上に台風警報が発令され、東シナ海南部に風警報が発令された場合を示してある。沖縄東方海上を2隻の船舶30が航海中であり、東シナ海南部を1隻の船舶30が航海中である場合を示している。また、警報が発令されていない地域には、三陸沖西部を1隻の船舶30が航海中であり、釧路沖を1隻の船舶30が航海中である。
【0087】
図8は、本発明に係る気象・海象情報送信システムによりホームページとして送信される気象・海象情報の他の表示例を示す説明図である。陸上用通信装置20aの表示部24には、Webブラウザ上に図8に示す表が表示されるようにしてある。この表には、船舶30から位置情報を取得した”日付”及び”時刻”と、船舶30の”船舶名”と、船舶30が航海している”海域”と、この海域に発令されている”警報”と、船舶30の”船速”及び”方位”と、船舶30が航海中であるか停泊中であるか否かを示す”動静”と、船舶30への注意喚起メールを送信するための”連絡”との9個の項目が記載されている。
【0088】
このホームページ及び表はHTML(HyperText Markup Language)によるものであり、”船舶名”、”海域”及び”警報”の項目の各要素にはハイパーリンクが埋め込まれており、陸上用通信装置20aの表示部24に表示されたこの表の各要素を、例えば操作部25のマウスを用いて選択することにより、より詳細な情報を表示するようにしてある。また、マウスを用いて”連絡”の項目の”注意喚起”を選択した場合には、電子メールを送信するためのプログラムが起動するようにしてあり、電子メールの送信先として自動的に各船舶30が指定されるようにしてある。なお、管理会社20の陸上用通信装置20aから船舶30の船舶用通信装置30aへ電子メールを送信する場合には、ネットワークNW1を介してサーバ装置10aへ電子メールのデータを送信し、サーバ装置10aから通信衛星40又は無線通信中継装置41を介して船舶用通信装置30aへ電子メールを送信する構成としてもよく、あるいは、陸上用通信装置20aから直接に無線通信中継装置41を介して船舶用通信装置30aへ電子メールを送信する構成としてもよい。
【0089】
なお、図7及び図8に示した表示例はいずれか一方のみを表示するのではなく、両方を表示してもよい。このように、気象・海象情報を画像又は表等により船舶情報と関連付けて表示することによって、多くの情報を管理会社20の担当者が把握しやすくなる。また、管理会社20の担当者が所有する携帯電話機50へ電子メールを送信するため、担当者が管理会社20内にいない場合であっても、自宅のPCなどを利用して気象・海象情報及び船舶情報を確認することができる。
【0090】
図9及び図10は、本発明に係る気象・海象情報送信システムのサーバ装置10aのCPU11が電子メールを送信する場合に行う処理の手順を示すフローチャートである。まず、CPU11は、気象庁100からの気象・海象情報を受信したか否かを調べる(ステップS1)。このときに受信する気象・海象情報が図4に例示したものである。気象・海象情報を受信していない場合(S1:NO)、気象庁100から気象・海象情報が送信され、これを受信するまで待機する。気象・海象情報を受信した場合(S1:YES)、ハードディスク18の気象・海象情報DB18dに受信した情報を追加して更新する(ステップS2)。
【0091】
次いで、ハードディスク18から船舶情報DB18aを読み出し(ステップS3)、船舶情報に含まれる船舶30の位置情報から気象・海象情報に含まれる警報の範囲内に位置する船舶30を検索して(ステップS4)、警報の範囲内に位置する船舶30が存在するか否かを調べ(ステップS5)、船舶30が存在する場合には(S5:YES)、処理対象を最初に検索された船舶30に設定し(ステップS6)、対象の船舶30に関連する気象・海象情報、即ち対象の船舶30が位置する地域に発令されている警報に係る情報を抽出して(ステップS7)、抽出された情報を対象の船舶30へ電子メールにて送信する(ステップS8)。このときに送信する電子メールが図5に例示したものである。送信後、検索された全船舶30について電子メールの送信を終了したか否かを調べ(ステップS9)、全船舶30へ電子メールの送信を終了していない場合には(S9:NO)、処理対象を次に検索された船舶30に設定し(ステップS10)、ステップS7へ戻って、送信用の気象・海象情報の抽出及び電子メールの送信を繰り返し行う。
【0092】
全船舶30への電子メールの送信が終了した場合(S9:YES)、受信した気象・海象情報に含まれる警報の範囲内に位置する船舶30を管理する管理会社20を検索する(ステップS11)。これは船舶情報DB18aを検索することで行うようにしてある。次いで、処理対象を最初に検索された管理会社20に設定し(ステップS12)、対象の管理会社20に関連する気象・海象情報、即ち管理会社20が管理する全船舶30に関連する気象・海象情報を抽出し(ステップS13)、抽出された情報を対象の管理会社20へ電子メールにて送信する(ステップS14)。また、サーバ装置10aには管理会社20の担当者が所有する携帯電話機50のメールアドレスが登録されており、対象の管理会社20の登録された全ての携帯電話機50へ抽出された情報を電子メールにて送信する(ステップS15)。
【0093】
次いで、検索された全ての管理会社20について電子メールの送信を終了したか否かを調べ(ステップS16)、全ての管理会社20へ電子メールの送信を終了していない場合には(S16:NO)、処理対象を次に検索された管理会社20に設定し(ステップS17)、ステップS13へ戻って、送信用の気象・海象情報の抽出及び電子メールの送信を繰り返し行う。
【0094】
ステップS5にて警報の範囲内に位置する船舶30が存在しない場合(S5:NO)、及び、ステップS16にて検索された全ての管理会社20について電子メールの送信を終了した場合(S16:YES)、気象庁100から受信した気象・海象情報を基に、ホームページの更新処理を行って(ステップS18)、処理を終了し、気象庁100から新たな気象・海象情報を受信するまで待機する。なお、図示は省略するが、ホームページの更新処理は、気象・海象情報を受信した場合のほかに、船舶30から位置情報などを受信した場合にも行われる。
【0095】
図11は、本発明に係る気象・海象情報送信システムの船舶用通信装置30aのCPU31が電子メールを受信する場合に行う処理の手順を示すフローチャートである。まず、CPU31は、電子メールを受信したか否かを調べ(ステップS31)、電子メールを受信していない場合には(S31:NO)、電子メールを受信するまで待機する。電子メールを受信した場合(S31:YES)、電子メールの件名を取得する(ステップS32)。
【0096】
取得した件名から電子メールの内容が、”台風警報”、”暴風警報”、”強風警報”又は”風警報”の4つの風に関する警報であるか否かを調べ(ステップS33)、風に関する警報である場合には(S33:YES)、警報器30bへ動作命令を送信して赤色のランプを点灯させる(ステップS34)。また、電子メールの内容が風に関する警報でない場合(S33:NO)、うねり警報、着氷警報又は濃霧警報の3つの他の警報であるか否かを調べ(ステップS35)、その他の警報である場合には(S35:YES)、警報器30bへ動作命令を送信して黄色のランプを点灯させる(ステップS36)。
【0097】
ステップS34にて赤色のランプを点灯させた後、ステップS36にて黄色のランプを点灯させた後、又はステップS35にて電子メールの内容がその他の警報でない場合(S35:NO)、警報器30bへ動作命令を送信して青色のランプを点灯させ(ステップS37)、警報器30bへ動作命令を送信してブザーによる警報音を出力して(ステップS38)、処理を終了する。なお、警報器30bのランプの点灯及びブザーの出力は、警報器30bに設けられた停止ボタンを押下することにより、又は、船舶用通信装置30aから停止命令を警報器30bへ送信することにより停止させることができるようにしてある。
【0098】
図12は、本発明に係る気象・海象情報送信システムのサーバ装置10aのCPU11がホームページのデータを送信する場合に行う処理の手順を示すフローチャートである。まず、CPU11は、陸上用通信装置20aからのホームページの閲覧要求があるか否かを調べ(ステップS51)、閲覧要求がない場合には(S51:NO)、陸上用通信装置20aから閲覧要求を与えられるまで待機する。ホームページの閲覧要求がある場合(S51:YES)、ユーザID及びパスワードの送信を要求し、送信されたユーザID及びパスワードが正しいものであるか否かをハードディスク18の認証情報DB18cに記憶された情報を基に判断し、これに応じて閲覧の許可を与える認証処理、所謂ログイン処理を行って(ステップS52)、認証に成功したか否かを調べる(ステップS53)。
【0099】
認証に失敗した場合(S53:NO)、エラーメッセージを陸上用通信装置20aへ送信し(ステップS54)、処理を終了する。認証に成功した場合(S53:YES)、閲覧を要求されたホームページのデータを送信する(ステップS55)。その後、陸上用通信装置20aから閲覧の終了要求が与えられたか否かを調べ(ステップS56)、閲覧の終了要求が与えられていない場合(S56:NO)、ステップS55へ戻り、陸上用通信装置20aからの要求に応じてデータの送信を継続して行う。閲覧の終了要求が与えられた場合(S56:YES)、ステップS52にて与えた閲覧の許可を取り消す処理、所謂ログアウト処理を行って(ステップS57)、処理を終了する。
【0100】
なお、陸上用通信装置20aが行う処理は、通常の電子メール受信処理及びWebブラウザを用いた通常のホームページ閲覧処理であるため、フローチャートの図示は省略する。また、携帯電話機50の電子メール受信処理についてもフローチャートの図示は省略する。
【0101】
以上の構成の気象・海象情報送信システムは、気象庁100から気象・海象の警報に係る情報を取得した場合に、船舶30に設置された船舶用通信装置30a、管理会社20に設置された陸上用通信装置20a及び管理会社20の担当者が所有する携帯電話機50へ自動的に気象・海象情報を記載した電子メールを送信するため、警報が発令された場合に迅速に且つ確実にこれを知らせることができる。また、船舶用通信装置30aへ送信する電子メールの内容を、図5に示すように、各船舶30に関係する最小限の内容とすることで、通信コストを低減することができる。また、電子メールを受信した船舶用通信装置30aが、電子メールが気象・海象情報であるか否かを判定し、警報器30bを動作させる構成とすることで、船舶30の船員に警報の発令を確実に知らせることができる。
【0102】
また、サーバ装置10aがホームページにより、図7に示すような地図上に船舶30の位置情報と気象・海象情報とを表示することによって、陸上用通信装置20aのユーザにわかりやすく情報を伝えることができる。また、サーバ装置10aが図8に示すような表をホームページにて表示することによって、陸上用通信装置20aのユーザにわかりやすく情報を伝えることができる。また、表中の特定項目を選択することで船舶30への電子メール送信を行うことができる構成、即ち、送信手段としての電子メール送信プログラムを起動するための情報をホームページの情報と共にサーバ装置10aから陸上用通信装置20aへ送信し、これに基づいて陸上用通信装置20aから船舶用通信装置30aへ電子メールの送信を行うことができる構成とすることによって、管理会社20が管理する船舶30へ簡単に且つ確実にメールを送信できる。また、これらをホームページとして送信する構成とすることによって、管理会社20内の陸上用通信装置20aのみでなく、管理会社20の担当者が緊急時に自宅のPCなどを用いて情報を確認することができる。
【0103】
なお、本実施の形態においては、気象・海象情報として台風警報、暴風警報、強風警報、風警報、うねり警報、着氷警報及び濃霧警報等の警報情報を扱う構成としたが、これに限るものではなく、その他の注意報又は天気予報等の気象・海象情報を扱う構成としてもよい。また、気象・海象情報の取得を気象庁100から行う構成としたが、これに限るものではなく、その他の民間の気象事業者から取得する構成としてもよい。また、気象庁100とサーバ装置10aとのデータの授受をFTP方式の通信により行う構成としたが、これに限るものではなく、例えば電子メールなどの他の方式による通信を用いてもよい。また、気象・海象情報の送信方法として電子メール及びホームページを利用する構成としたが、これに限るものではなく、ファクシミリなどの他のデータ送信方法を利用する構成であってもよい。また、図4及び図5に示した気象・海象情報は一例であってこれに限るものではない。また、図7及び図8に示したホームページの表示は一例であってこれに限るものではない。また、船舶用通信装置30aは、サーバ装置10aから警報に関する電子メールを受信した場合に、警報器30bを動作させる構成としたが、これに限るものではなく、例えば管理会社20の陸上用通信装置20aからの電子メールを受信した場合にも警報器30bを動作させる構成としてもよく、その他の場合に警報器30bを動作させる構成としてもよい。また、サーバ装置10aは1つの装置が全ての処理を行う構成としたが、これに限るものではなく、例えばメールの送受信とホームページのデータの送信とを別のサーバ装置により行うなど、複数のサーバ装置で役割を分担する構成であってもよい。また、船舶30に設けられる警報器30bがブザーと3つのランプとを備える構成としたが、これに限るものではなく、例えばランプを1つのみ備える構成であってもよく、ランプ又はブザーのいずれかのみを備える構成としてもよく、又はこれ以外の構成であってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0104】
【図1】本発明に係る気象・海象情報送信システムの概略を示す模式図である。
【図2】本発明に係る気象・海象情報送信システムを構成する船舶用通信装置の構成を示すブロック図である。
【図3】本発明に係る気象・海象情報送信システムを構成するサーバ装置の構成を示すブロック図である。
【図4】気象庁からサーバ装置へ送信される気象・海象情報の一例を示す模式図である。
【図5】本発明に係る気象・海象情報送信システムのサーバ装置から船舶用通信装置へ送信される気象・海象情報の一例を示す模式図である。
【図6】本発明に係る気象・海象情報送信システムを構成する陸上用通信装置の構成を示すブロック図である。
【図7】本発明に係る気象・海象情報送信システムによりホームページとして送信される気象・海象情報の一表示例を示す説明図である。
【図8】本発明に係る気象・海象情報送信システムによりホームページとして送信される気象・海象情報の他の表示例を示す説明図である。
【図9】本発明に係る気象・海象情報送信システムのサーバ装置のCPUが電子メールを送信する場合に行う処理の手順を示すフローチャートである。
【図10】本発明に係る気象・海象情報送信システムのサーバ装置のCPUが電子メールを送信する場合に行う処理の手順を示すフローチャートである。
【図11】本発明に係る気象・海象情報送信システムの船舶用通信装置のCPUが電子メールを受信する場合に行う処理の手順を示すフローチャートである。
【図12】本発明に係る気象・海象情報送信システムのサーバ装置のCPUがホームページのデータを送信する場合に行う処理の手順を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0105】
10 サービス提供会社
10a サーバ装置(気象・海象情報送信装置)
11 CPU
12、13 無線通信インタフェース
14 陸上用通信インタフェース
18 ハードディスク
20 管理会社
20a 陸上用通信装置
21 CPU
26 陸上用通信インタフェース
30 船舶
30a 船舶用通信装置
30b 警報器(報知手段)
31 CPU
32 GPS受信部(位置情報取得手段)
33、34 無線通信インタフェース(送信手段、受信手段)
35 船内通信インタフェース
40 通信衛星
41 無線通信中継装置
50 携帯電話機(携帯用通信装置)
100 気象庁

【特許請求の範囲】
【請求項1】
船舶に設置され、船舶の位置に係る位置情報を取得する位置情報取得手段、取得した位置情報を送信する送信手段、及び情報を受信する受信手段を有する船舶用通信装置と、
気象又は海象に係る気象・海象情報を取得する気象・海象情報取得手段、前記船舶用通信装置から送信された位置情報を受信する受信手段、取得した気象・海象情報及び受信した位置情報を基に船舶が気象・海象情報の対象となる地域内に位置するか否かを判定する判定手段、及び前記地域内に位置すると判定された船舶へ気象・海象情報を送信する送信手段を有する気象・海象情報送信装置と
を備え、
前記気象・海象情報送信装置が気象・海象情報を取得した場合に、気象・海象情報の対象となる地域内に位置する船舶の前記船舶用通信装置へ気象・海象情報を送信するようにしてあること
を特徴とする気象・海象情報送信システム。
【請求項2】
前記船舶用通信装置は、前記気象・海象情報送信装置からの気象・海象情報を受信した場合に報知を行う報知手段を有する請求項1に記載の気象・海象情報送信システム。
【請求項3】
前記気象・海象情報送信装置は、
前記船舶用通信装置へ気象・海象情報を送信する場合に、前記気象・海象情報取得手段が取得した気象・海象情報から前記船舶用通信装置が設置された船舶の位置する地域に係る気象・海象情報を抽出する抽出手段を有し、
該抽出手段が抽出した気象・海象情報を前記船舶用通信装置へ送信するようにしてある請求項1又は請求項2に記載の気象・海象情報送信システム。
【請求項4】
陸上に設置され、
前記気象・海象情報送信装置が送信した情報を受信する受信手段と、
前記船舶用通信装置へ情報を送信する送信手段と
を有する陸上用通信装置を備え、
前記気象・海象情報送信装置は、前記陸上用通信装置へ気象・海象情報を送信する送信手段を有し、
前記船舶用通信装置は、前記陸上用通信装置から送信された情報を受信する受信手段を有する請求項1乃至請求項3のいずれか1つに記載の気象・海象情報送信システム。
【請求項5】
前記気象・海象情報送信装置の送信手段は、前記陸上用通信装置へ気象・海象情報を電子メールとして送信するようにしてある請求項4に記載の気象・海象情報送信システム。
【請求項6】
前記気象・海象情報送信装置の送信手段は、前記陸上用通信装置へ気象・海象情報をホームページのデータとして送信するようにしてある請求項4又は請求項5に記載の気象・海象情報送信システム。
【請求項7】
前記気象・海象情報送信装置は、
地図上に船舶の位置及び気象・海象情報を示す画像情報を作成する作成手段を有し、
前記陸上用通信装置へ前記作成手段が作成した画像情報を送信するようにしてある請求項4乃至請求項6のいずれか1つに記載の気象・海象情報送信システム。
【請求項8】
前記気象・海象情報送信装置は、前記陸上用通信装置の送信手段を起動するための情報を前記気象・海象情報と共に送信するようにしてあり、
前記陸上用通信装置は、前記気象・海象情報送信装置から送信された前記起動するための情報に基づいて前記送信手段を起動し、前記船舶用通信装置へ情報を送信するようにしてある請求項4乃至請求項7のいずれか1つに記載の気象・海象情報送信システム。
【請求項9】
前記気象・海象情報送信装置が送信した情報を受信する受信手段を有する携帯用通信装置を備え、
前記気象・海象情報送信装置は、前記携帯用通信装置へ気象・海象情報を送信する送信手段を有する請求項1乃至請求項8のいずれか1つに記載の気象・海象情報送信システム。
【請求項10】
前記気象・海象情報は、気象又は海象の警報又は注意報に係る情報である請求項1乃至請求項9のいずれか1つに記載の気象・海象情報送信システム。
【請求項11】
気象又は海象に係る気象・海象情報を取得する気象・海象情報取得手段と、
船舶に設置された通信装置から送信された位置情報を受信する受信手段と、
取得した気象・海象情報及び受信した位置情報を基に、船舶が気象・海象情報の対象となる地域内に位置するか否かを判定する判定手段と、
前記地域内に位置すると判定された船舶の通信装置へ気象・海象情報を送信する送信手段と
を備えることを特徴とする気象・海象情報送信装置。
【請求項12】
前記通信装置へ気象・海象情報を送信する場合に、前記気象・海象情報取得手段が取得した気象・海象情報から前記通信装置が設置された船舶が位置する地域に係る気象・海象情報を抽出する抽出手段を備え、
前記送信手段は、前記抽出手段が抽出した気象・海象情報を前記通信装置へ送信するようにしてある請求項11に記載の気象・海象情報送信装置。
【請求項13】
陸上に設置された通信装置へ気象・海象情報を送信する送信手段と、
地図上に船舶の位置及び気象・海象情報を示す画像情報を作成する作成手段と
を備え、
前記送信手段は、前記作成手段が作成した画像情報を前記通信装置へ送信するようにしてある請求項11又は請求項12に記載の気象・海象情報送信装置。
【請求項14】
陸上に設置された通信装置へ気象・海象情報を送信する送信手段と、
陸上に設置された通信装置が船舶に設置された通信装置と通信を行うための情報を作成する作成手段と
を備え、
前記送信手段は、船舶に設置された通信装置と通信を行うための情報を、気象・海象情報と共に送信するようにしてある請求項11乃至請求項13のいずれか1つに記載の気象・海象情報送信装置。
【請求項15】
船舶に設置され、
船舶の位置に係る位置情報を取得する位置情報取得手段と、
取得した位置情報を他の装置へ送信する送信手段と、
他の装置から送信された情報を受信する受信手段と
を備える船舶用通信装置において、
前記受信手段が受信した情報が気象・海象情報であるか否かを判定する判定手段と、
受信した情報が前記判定手段により気象・海象情報であると判定された場合に報知を行う報知手段と
を備えることを特徴とする船舶用通信装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2007−279915(P2007−279915A)
【公開日】平成19年10月25日(2007.10.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−103474(P2006−103474)
【出願日】平成18年4月4日(2006.4.4)
【出願人】(391013092)渦潮電機株式会社 (10)
【Fターム(参考)】