説明

気象情報処理機器および気象情報処理システム

【課題】さまざまな環境下において、移動体のユーザの間で気象状況の変化の周知方を図ることができる気象情報処理機器を提供する。
【解決手段】 気象情報処理機器は、車両Qに搭載されるものであって、第1演算処理要素110と第2演算処理要素120とを備える。第1演算処理要素110は、車両Q1が接している気象状況を表わす気象状況変数dを断続的に測定する。そして、当該気象状況変数の今回測定値dが基準値に対して所定値ε以上の乖離度を生じた場合、当該乖離度を表わす気象変化検知情報を生成する。第2演算処理要素120は、他の車両Q2に搭載されている他の気象情報処理機器に対して、当該気象変化検知情報を送信し、当該気象変化検知情報に応じた第1気象情報を出力させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、移動体に搭載される気象情報処理機器および気象情報処理機器を搭載した移動体とナビサーバとにより構成される気象情報処理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車両とナビサーバとから構成される天候検出システムが知られている(例えば特許文献1参照)。
【0003】
当該天候検出システムにおいては、車両にプローブ情報と天候データとを検出するセンサを設け、当該検出されたプローブ情報および天候データを、ナビ装置を介してナビサーバに送信する。そしてナビサーバでは、受信したプローブ情報および天候データに基づいて当該車両の存在する地域の天候状況を検出する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平11−223674号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、近年、地球環境の変化によって、いわゆるゲリラ豪雨と呼ばれる気象現象に代表されるような局地的かつ急速な気象変化の発生頻度が高まっている。かかる局地的かつ急速な気象変化が発生に対しては、ナビサーバによる気象情報の更新のタイミングが気象変化の速度に追いつかない、あるいは、車両がナビサーバに接続し更新情報を入手するための時間間隔の設定によっては気象変化の速度に追いつかない等の事情が存在する。そのため、車両等の移動体のユーザは、当該気象状態の変化をリアルタイムに把握することが困難となる場合が考えられる。
【0006】
そこで、本発明は、さまざまな環境下において、移動体のユーザの間で気象状況の変化の周知方を図ることができる気象情報処理機器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を解決するための第1発明の気象情報処理機器は、移動体に搭載される気象情報処理機器であって、当該移動体が接している気象状況を表わす気象状況変数を断続的に測定し、当該気象状況変数の今回測定値が基準値に対して所定値以上の乖離度を生じた場合、当該乖離度を表わす気象変化検知情報を生成するように構成されている第1演算処理要素と、前記移動体以外の他の移動体に搭載されている他の気象情報処理機器に対して、当該気象変化検知情報を送信し、当該気象変化検知情報に応じた第1気象情報を当該他の気象情報処理機器に出力させるように構成されている第2演算処理要素とを備えることを特徴とする。
【0008】
第1発明の気象情報処理機器によれば、移動体が接している気象状況を表わす当該気象状況変数の今回測定値が基準値に対して所定値以上の乖離度を生じた場合、当該乖離度を表わす気象変化検知情報が生成される。そして、気象変化検知情報が、当該移動体の気象情報処理機器と通信可能な範囲に存在する他の移動体に搭載されている他の気象情報処理機器に対して送信される。これにより、気象変化検知情報に応じた第1気象情報を当該他の移動体に搭載されている他の気象情報処理機器に出力させることができるので、当該他の移動体のユーザに気象の変化を認識させることができる。
【0009】
すなわち、移動体が接している気象状況が基準値から見て所定値以上変化した場合、当該移動体に搭載されている気象情報処理機器との通信可能な範囲に存在する他の気象情報処理機器が搭載されている他の移動体のユーザに対して当該気象状況の変化を認識させることができる。そして、他の移動体のユーザに気象状況の変化に応じた対応措置をとらせることができる。
【0010】
また、第2発明の気象情報処理機器は、第1発明の気象情報処理機器において、前記第1演算処理要素は、前記基準値として、前記気象状況変数の前回測定値、今回測定値および前回測定値の乖離度が前記所定値以上になった時点における当該前回測定値を表わす気象変化前測定値、または、外部気象情報源から受信した天気予報情報により表わされる前記気象状態変数の値の、少なくともいずれか1つを用いて前記気象変化検知情報を生成するように構成されていることを特徴とする。
【0011】
第2発明の気象情報処理機器によれば、前記気象状況変数の今回測定値が前回測定値に対して所定値以上の乖離度を生じた場合、前記今回測定値が当該乖離度が前記所定値以上になった時点における当該前回測定値を表わす気象変化前測定値に対して所定値以上の乖離度を生じた場合、または、前記今回測定値が外部気象情報源から受信した天気予報情報により表わされる前記気象状態変数の値に対して所定値以上の乖離度を生じた場合に当該乖離度を表わす気象変化検知情報が生成される。
【0012】
すなわち、移動体が接している気象状況が、前回測定値または天気予報情報からみて所定値以上乖離した場合、当該移動体に搭載されている気象情報処理機器との通信可能な範囲に存在する他の気象情報処理機器が搭載されている他の移動体のユーザに対して当該気象状況の変化を認識させることができる。また、気象状況変数の測定は断続的に行われることから、移動体が接している気象状況が、前記気象変化前測定値または天気予報情報からみてある程度乖離している間は、継続的に気象変化検知情報が生成され続けることから、他の移動体のユーザに対して当該気象状況の変化が継続していることを認識させることができる。そして、他の移動体のユーザに気象状況の変化に応じた対応措置をとらせることができる。
【0013】
また、第3発明の気象情報処理機器は、第1発明または第2発明の気象情報処理機器において、前記第1演算処理要素は、前記乖離度と当該乖離度が所定値以上になった時刻および当該時刻における前記移動体の位置のうち少なくとも一方との一または複数の組合せを表わす前記気象変化検知情報を生成するように構成されていることを特徴とする。
【0014】
第3発明の気象情報処理機器によれば、前記乖離度と当該乖離度が所定値以上になった時刻および当該時刻における前記移動体の位置のうち少なくとも一方との一または複数の組合せを表わす前記気象変化検知情報が、他の移動体に搭載されている気象情報処理機器に対して送信される。
【0015】
これにより、当該他の移動体のユーザに気象状況の変化とその変化が生じた時刻や位置とを認識させることができる。よって、他の移動体のユーザに、気象状況の変化とその変化が生じた時刻や位置とに応じた対応措置をとらせることができる。
【0016】
前記課題を解決するための第4の発明の車両間気象情報処理システムは、第1の移動体に搭載される第1気象情報処理機器と、第2の移動体に搭載される第2気象情報処理機器とを備えている車両間気象情報処理システムであって、前記第1気象情報処理機器は、前記第1の移動体の現在位置と前記第1の移動体が接している気象状況を表わす気象状況変数とを測定し、当該気象状況変数の今回測定値が基準値に対して所定値以上の乖離度を生じた場合、当該乖離度と当該乖離度が所定値になった時点の前記第1の移動体の位置との一または複数の組合せを表わす前記気象変化検知情報を生成するように構成されている第1演算処理要素と、前記第2気象情報処理機器に対して、当該気象変化検知情報を送信するように構成されている第2演算処理要素とを備え、前記第2気象情報処理機器は、前記第2の移動体の予測移動軌跡を認識し、当該予測移動軌跡と、前記第1気象情報処理機器から受信した前記気象変化検知情報に含まれる前記第1移動体の前記位置との関連度を評価する演算処理を実行し、当該関連度の評価結果に応じた第1気象情報を出力するように構成されている第3演算処理要素とを備えることを特徴とする
第4発明の車両間気象情報処理システムによれば、第1の移動体が接している気象状況を表わす気象状態変数の今回測定値の基準値からの乖離度が所定値以上になった場合、当該乖離度と当該乖離度が所定値になった時点の前記移動体の位置との一または複数の組合せを表わす前記気象変化検知情報が生成される。そして、当該気象変化検知情報が、当該第1の移動体の気象情報処理機器と通信可能な範囲に存在する第2の移動体の他の気象情報処理機器に対して送信される。
【0017】
そして、第2の移動体は、前記第2の移動体の予測移動軌跡を認識すると共に、当該予測移動軌跡と、前記第1気象情報処理機器から受信した前記気象変化検知情報に含まれる前記第1移動体の前記位置との関連度を評価し、当該関連度の評価結果に応じた第1気象情報を出力する。
【0018】
これにより、当該第2の移動体のユーザに、第2移動体の予測移動軌跡と、気象状況が変化した位置との関連度を認識させることができる。そして、第2の移動体のユーザに、その関連度に応じた対応措置をとらせることができる。
【0019】
また、第4発明の車両間気象情報処理システムにおいて、前記第1演算処理要素は、前記基準値として、前記気象状況変数の前回測定値、今回測定値および前回測定値の乖離度が前記所定値以上になった時点における当該前回測定値を表わす気象変化前測定値、または、外部気象情報源から受信した天気予報情報により表わされる前記気象状態変数の値の、少なくともいずれか1つを用いて前記気象変化検知情報を生成するように構成されてもよい(第5発明)。
【0020】
また、第6発明の車両間気象情報処理システムは、第4発明の車両間気象情報処理システムにおいて、前記第3演算処理要素は、前記予測移動軌跡と、前記気象変化検知情報に含まれる前記乖離度が所定値になった時点の前記第1移動体の前記位置とに加えて、当該乖離度との関連度を評価する演算処理を実行するように構成されていることを特徴とする。
【0021】
第6発明によれば、第2の移動体は、前記第2の移動体の予測移動軌跡を認識すると共に、当該予測移動軌跡と、前記第1気象情報処理機器から受信した前記気象変化検知情報に含まれる前記第1移動体の前記位置と前記乖離度との関連度を評価し、当該関連度の評価結果に応じた第1気象情報を出力する。
【0022】
これにより、当該第2の移動体のユーザに、第2移動体の予測移動軌跡と、気象状況が変化した位置とその変化の程度との関連度を認識させることができる。そして、第2の移動体のユーザに、その関連度に応じた対応措置をとらせることができる。
【0023】
前記課題を解決するための第7の発明の気象情報処理システムは、第1の移動体に搭載される第1気象情報処理機器と、第2の移動体に搭載される第2気象情報処理機器と、当該第1気象情報処理装置および当該第2気象情報処理装置との通信機能を有するサーバとにより構成される気象情報処理システムであって、前記第1気象情報処理装置は、前記第1の移動体の現在位置と前記第1の移動体が接している気象状況を表わす気象状況変数とを測定し、当該気象状況変数の今回測定値が基準値に対して所定値以上の乖離度を生じた場合、当該乖離度と当該乖離度が所定値になった時点の前記第1の移動体の位置との一または複数の組合せを表わす気象変化検知情報を生成するように構成されている第1演算処理要素と、前記サーバに対して、当該気象変化検知情報を送信するように構成されている第2演算処理要素とを備え、前記サーバは、一または複数の前記第1気象情報処理装置から収集された複数の前記気象変化検知情報に基づき、複数のメッシュのうち気象状況が変化したと推測されるメッシュにより構成されるエリアを表わす気象変化エリア情報を生成するように構成されている第1支援演算処理要素と、前記第2気象情報処理装置との通信に基づき、前記気象変化エリア情報に応じた第2気象情報を当該第2気象情報処理装置に出力させるように構成されている第2支援演算処理要素とを備えていることを特徴とする。
【0024】
第7発明の気象情報処理システムによれば、第1の移動体が接している気象状況を表わす気象状態変数の今回測定値が基準値に対して所定値以上の乖離度を生じた場合、当該乖離度を表わす気象変化検知情報が生成され、サーバに対して送信される。
【0025】
これに応じて、サーバでは、一または複数の前記第1気象情報処理装置から当該気象変化検知情報を複数収集し、その複数の気象変化検知情報に基づき、気象状況の変化が推測されるエリアを表わす気象変化エリア情報を生成し、前記第2気象情報処理装置に対して当該気象変化エリア情報を送信する。
【0026】
これにより、当該気象変化エリア情報に応じた第2気象情報を、第2気象情報処理機器に出力させることができるので、当該第2の移動体のユーザに気象変化が変化したと推測されるエリアを認識させることができる。そして、第2の移動体のユーザに気象変化の変化が推測されるエリアに応じた対応措置をとらせることができる。
【0027】
また、第7発明の気象情報処理システムにおいて、前記第1演算処理要素は、前記気象状況変数の前回測定値、今回測定値および前回測定値の乖離度が前記所定値以上になった時点における当該前回測定値を表わす気象変化前測定値、または、外部気象情報源から受信した天気予報情報により表わされる前記気象状態変数の値を前記基準値として用いて、前記気象変化検知情報を生成するように構成されもよい(第8発明)。
【0028】
また、第7発明の気象情報処理システムにおいて、第1支援演算処理要素は、気象状況が変化したと推測されるエリアに加えて、前記気象変化検知情報に含まれる前記乖離度に基づいて、前記エリアを構成するメッシュごとの気象変化レベルを表わす前記気象変化エリア情報を生成するように構成されてもよい(第9発明)。
【0029】
これにより、前記気象変化エリアに、情報気象の変化が予想されるエリアを構成するメッシュごとの気象変化レベルを加えることができるので、当該第2の移動体のユーザに気象が変化したと推測されるエリア及び気象の変化の程度を認識させることができる。そして、第2の移動体のユーザに気象の変化が予想されるエリアおよび気象の変化の程度に応じた対応措置をとらせることができる。
【0030】
第10の発明の気象情報処理システムは、第7発明〜第9発明のうちいずれか1つの気象情報処理システムにおいて、第2演算処理要素は、前記第2気象情報処理機器に対して、前記気象変化検知情報を送信するように構成され、前記第2気象情報処理装置は、前記第1気象情報処理装置から前記気象変化検知情報を受信した場合、前記サーバとの通信に基づき、前記気象変化エリア情報または第2気象情報を認識するように構成されている第3演算処理要素を備えていることを特徴とする。
【0031】
第10発明の気象情報処理システムによれば、前記第2気象情報処理装置では、前記第1気象情報処理装置から前記気象変化検知情報を受信した場合、前記サーバとの通信に基づき、前記気象変化エリア情報または第2気象情報が認識される。これにより、第1の移動体が接している気象状況が基準値に対して所定値以上の乖離を生じた場合、第1の移動体に搭載されている第1気象情報処理機器との通信可能な範囲に存在する第2気象情報処理機器が搭載されている第2の移動体のユーザに対して、気象が変化したと推測されるエリアの情報を認識させることができる。
【0032】
また、第11の発明の気象情報処理システムは、第7発明〜第10発明のうちいずれか1つの気象情報処理システムにおいて、前記サーバは、支援マップ情報が格納されている支援マップ格納部を備え、前記第1支援演算処理要素は、前記第2気象情報処理装置との通信に基づき、当該第2気象情報処理装置を搭載した前記第2の移動体のユーザの出発又は現在位置及び目的位置を認識し、当該支援マップ情報に基づき当該出発又は当該現在位置及び当該目的地を結ぶ支援ルートを探索し、当該支援ルートと前記気象変化エリア情報との関連度を評価する処理を実行するように構成され、前記第2支援演算処理要素は、前記第2気象情報処理装置との通信に基づき、前記関連度の評価結果に応じた第2気象情報を当該第2気象情報処理装置に出力させるように構成されていることを特徴とする。
【0033】
第11発明の気象情報処理システムによれば、サーバにおいて、第2の移動体の現在位置または出発位置および目的位置を結ぶ支援ルートが探索され、当該支援ルートと前記気象変化エリア情報との関連度が評価され、前記第2気象情報処理装置に対して、当該関連度の評価結果が送信される。これにより、当該関連度の評価結果に応じた第2気象情報を第2気象情報処理機器に出力させることができるので、当該第2の移動体のユーザに、第2の移動体の通過が予想される支援ルートと気象が変化している予想されるエリアとの地理的な関連度を認識させることができる。そして、第2の移動体のユーザに、その関連度に応じた対応措置をとらせることができる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】本発明に係る第1実施形態の気象情報処理システムの構成説明図。
【図2】本発明に係る第1実施形態の気象情報処理システムの機能説明図。
【図3】本発明に係る第1実施形態の出力装置の画面説明図。
【図4】本発明に係る第2実施形態の気象情報処理システムの構成説明図。
【図5】本発明に係る第2実施形態の気象情報処理システムの機能説明図。
【図6】本発明に係る第2実施形態の出力装置の画面説明図。
【発明を実施するための形態】
【0035】
(第1実施形態に係る気象情報処理システムの構成)
本発明の第1の実施形態としての気象情報処理システムの構成について説明する。
【0036】
図1に示されている気象情報処理システムは、少なくとも2以上の車両Qに記載されている気象情報センサ10および気象情報処理装置としての機能を併せ持つナビ装置100により構成されている。ナビ装置100は、二輪自動車、四輪自動車、電動カート、その他の乗り物に搭載されていてもよく、一部または全部が車両Qから取り外して持ち運びできる携帯型の機器により構成されていてもよい。
【0037】
車両Qは、気象状況の変化に遭遇した特定の車両を第1車両Q1と定義し、前記特定の第1車両Q1以外の他の車両(気象状況の変化に遭遇した他の車両を含む)を第2車両Q2と定義する。車両Qは、状況に応じて第1車両Q1及び第2車両Q2のそれぞれに該当しうる。
【0038】
気象情報センサ10は、第1車両Q1に対する降雨量を検出するために、例えば特開昭61−76946号公報に開示されているように、一対の電極間に付着した水滴による両電極間の静電容量の変化を検知して、降雨の判断を行うように構成されている雨滴センサ(図示せず)を備えている。また、気象情報センサ10は、例えば特開2009−85836号公報に開示されているように、フロントウィンドシールドの検査光Qおよび第1反射光Rの少なくともどちらか一方を、外来光Pと交差させて透過率変化を判定するように構成されることにより日照状態を測定する日照センサを備えていてもよい。あるいは、気象情報センサ10は、温度計、湿度計、気圧計、あるいはワイパーの動作スイッチ(いずれも図示せず)等の降雨の有無および程度を直接または間接的に検出するものであってもよい。
【0039】
ナビ装置100は、入力装置102と、出力装置104と、ナビマップ格納部106と、第1演算処理要素110と、第2演算処理要素120と第3演算処理要素130とを備えている。
【0040】
入力装置102は、ユーザの音声指示を認識する音声認識装置、ユーザの指または手により操作されるボタンまたはダイヤルなどにより構成されている。出力装置104は、車両Qのセンターコンソール等に配置されたディスプレイ装置、ユーザに対して音声を出力する音声装置等により構成されている。ナビマップ格納部106には、出力装置104に出力されるナビマップ情報が格納されている。ナビマップ情報には各リンクを識別するためのリンク識別情報が含まれている。
【0041】
第1演算処理要素110は、第1車両Q1の現在位置P(t)(または出発地P)および目的位置Pを認識するように構成されている。さらに、第1演算処理要素110は、各時刻における第1車両Q1の現在位置P(t)を測定し、測定時刻とともにメモリまたは記憶装置に保存する。第1車両Q1の現在位置P(t)は、GPSのほか、必要に応じて第1車両Q1の加速度に応じた信号を出力する加速度センサを用いて認識されうる。第1車両Q1の位置は、周期的(一定時間ごと)または断続的(第1車両Q1がリンクの終点などの規定位置に到達するたび)に測定される。
【0042】
また、メモリまたは記憶装置に保存されている時系列的な位置、すなわち、時刻および当該時刻において測定された車両Qの位置の組合せは、「プローブ情報」として、周期的または断続的(たとえばプローブ情報のデータ量が一定値に達するたび)にナビサーバ(図示せず)に対して送信される。
【0043】
また、第1演算処理要素110は、第1車両Q1が接している気象状態を気象情報センサ10からの測定値に基づいて気象状況変数dを測定し、後述の気象変化検知情報を生成するように構成されている。
【0044】
第2演算処理要素120は、後述の乖離度が所定値以上になった時刻を表わす気象変化時刻Tと当該時刻の第1車両Q1の現在位置を表わす気象変化位置Pとを含んだ気象変化検知情報を第2車両Q2に送信し、第2車両Q2の出力装置104に出力させるように構成されている。
【0045】
第3演算処理要素130は、第1車両Q1から送信された気象変化検知情報等の各種情報を受信する。また、後述のナビルートrと受信した気象変化検知情報に含まれる気象変化位置Pとの関連度を評価し、その評価結果に応じた第1気象情報を作成し、出力装置104に表示するように構成されている。
【0046】
なお、ハードウェアとしての構成要素が情報を「認識する」とは、当該構成要素が情報を受信すること、情報をデータベースやメモリから探索または読み出すこと、受信等した基礎情報に基づいて演算処理によって情報を算定、推定、設定、決定、探索等すること、パケットをデコードして情報を顕在化させること、さらには算定等した情報をメモリに保存すること等、他の情報処理のために当該情報を準備しておくためのあらゆる情報処理を実行することを意味する。
【0047】
また、ハードウェアとしての構成要素が情報を「出力する」とは、当該情報の表示、音声出力、振動出力等、人間がその視覚、聴覚、触覚等、五感を通じて認識しうるあらゆる形態で情報を出力することを意味する。
【0048】
(第1実施形態に係る気象情報処理システムの機能)
本発明の第1実施形態にかかる気象情報処理システムの機能について説明する。
【0049】
まず、第1車両Q1において、第1演算処理要素110は、所定時間が経過することを条件として(図2/STEP110)、気象情報センサ10を介して気象状況変数dを測定する(図2/STEP112)。具体的には、雨滴センサにより測定される降雨量、気圧計により測定される気圧、日照センサにより測定される車両に対する太陽の照度、温度計により測定される車両外の気温、湿度計により測定される湿度の少なくとも1つを気象状況変数dとして測定しうる。なお、これらの複数の測定値によって気象状況変数dを生成してもよい。
その上で、第1演算処理要素110は、今回測定したdの前回測定したdi-1からの乖離度が所定値ε以上であるか否かを判定する(図2/STEP114)。
【0050】
前記乖離度が所定値ε未満である場合(図2/STEP114・・NO)、継続して気象状況変数dが測定される。
【0051】
前記乖離度が所定値ε以上である場合(図2/STEP114・・YES)、第1演算処理要素110は、気象変化検知情報を作成した時刻を表わす気象変化時刻Tと、当該時刻における気象状況変数dを測定した第1車両Q1の現在位置を表わす気象変化位置Pとを認識する。(図2/STEP116)。そして、前記乖離度と気象変化位置Pと気象変化時刻Tと一または複数の組合せを表わす前記気象変化検知情報を作成する(図2/STEP118)。
【0052】
そして、第1車両Q1において、第2演算処理要素120は、気象変化検知情報を第2車両Q2に送信する。
【0053】
一方、第2車両Q2では、第1演算処理要素110は、通信機器により受信されたGPS検知情報や、第2車両Q2の加速度センサおよびレートセンサ等の出力に基づき第2車両Q2の現在位置P(t)を定時的に測定する(図2/STEP120)。また、第1演算処理要素110は、ユーザによって入力装置102を通じて入力された第2車両Q2の目的位置Pを認識する(図2/STEP122)。
【0054】
その上で、ナビマップ格納部106に格納されているナビマップ情報と、第2車両Q2の現在位置P(t)および目的位置Pとに基づきナビルートrを探索する(図2/STEP124)。
【0055】
さらに、第1車両Q1からの前記「気象変化検知情報」を受信した場合には、第2車両Q2のナビ装置100は、以下の処理を行う。
【0056】
まず、第2車両Q2において、第3演算処理要素130は、気象変化検知情報を認識する(図2/STEP126)。そして、第3演算処理要素130は、ナビルートrと前記気象変化検知情報との関連度を評価し、その評価結果に応じた「第1気象情報」を作成し、図3に示すように、出力装置104に出力させる(図2/STEP128)。
【0057】
具体的には、第2車両Q2及びナビルートrと気象変化位置Pとの距離(例えば、ナビルートrと気象変化位置Pとの最短距離、または、第2車両Q2と気象変化位置Pとの最短距離)および前記乖離度により、ナビルートrと前記気象変化検知情報との関連度を評価しうる。すなわち、気象変化位置Pとナビルートr(または第2車両Q2)との距離が短いほど、前記関連度は高く評価され、逆に、気象変化位置Pとナビルートrとの距離が長いほど、関連度は低く評価される。また、前記乖離度が大きいほど気象の変化が大きいとして関連度は高く評価され、逆に、前記乖離度が小さいほど気象の変化が小さいとして関連度は低く評価される。
【0058】
(第1実施形態に係る気象情報処理システムの作用効果)
第1実施形態に係る気象情報処理システムによれば、第1車両Q1が接している気象状態変数の今回測定値dが前回測定値di-1から所定値ε以上変化した場合、当該乖離度と、気象変化時刻Tおよび気象変化位置Pから気象変化検知情報が作成され、第1車両Q1のナビ装置100と通信可能な範囲に存在する第2車両Q2に搭載されているナビ装置100に対して送信される。
【0059】
そして、第1車両Q1の接した気象状況の変化により第2車両Q2に影響を与えうる「関連度」が評価された「第1気象情報」が作成・表示される。
【0060】
この結果、第1実施形態に係る気象情報処理システムによれば、第2車両Q2のユーザに、気象状況の変化と共に、その気象状況の変化と自車(第2車両Q2)との「関連度」を認識させることができ、これに応じた対応措置をとらせることができる。
【0061】
(第1実施形態に係る気象情報処理システムの変形例)
第1実施形態に係る気象情報処理システムにおいては、前記ナビルートrを計算することなく、気象変化情報を送信した第1車両Q1の自車(第2車両Q2)からみた相対的位置関係、例えば第1車両Q1が対向車(第2車両Q2が走行中のルートにおいて、第2車両Q2の前方から、第2車両Q2の進行方向と逆方向に走行している車両)であること、あるいは同一方向で走行する前走車であること等から前記「関連度」を評価してもよい。すなわち、対向第1車両Q1または同一方向で走行する先行第1車両Q1の過去の走行軌跡は、自車(第2車両Q2)が走行すると予想される移動軌跡と、少なくとも一部において重複する可能性が高いので、前記相対的位置関係に基づいても前記「関連度」を評価しうる。
【0062】
また、第1車両Q1からの気象変化情報を収集し、気象変化情報を送信した第1車両Q1が対向車、前走車である場合をこれ以外の場合より、関連度を高く評価してもよい。
【0063】
なお、第2車両Q2にとって、第1車両Q1が対向車、前走車または後続車に該当するか否かは、第1車両Q1に搭載されるナビ装置100から送信された気象変化検知情報に含まれうる、当該第1車両Q1の時系列的な測定位置と、第2車両Q2に搭載されているナビ装置100が有するナビマップ情報および当該第2車両Q2の測定位置とに基づき、判定されうる。
【0064】
また、第1実施形態に係る気象情報処理システムにおいては、乖離度に換えて今回測定値dおよび前回測定値di-1を気象変化情報として送信してもよい。
【0065】
また、第1実施形態に係る気象情報処理システムにおいては、外部気象情報源から天気予報情報を受信し、当該天気予報情報により表わされる前記気象状態変数の値と今回測定値dの乖離度が、所定値ε以上であるか否かを判断してもよい。
【0066】
もっとも、当該外部気象情報を配信する天気予報会社の天気予報のシステムでは、一般的に、5〜10キロメートルのメッシュに存在する観測点で気象の観測を行っている。したがって、当該メッシュより小さな範囲で発生する局地的な気象の変化(例えば、いわゆるゲリラ豪雨など)を予想することは困難である。これに対して、第1実施形態に係る気象情報処理システムによれば、各車両Qが観測点となるため、前記天気予報のシステムでは検知および予想することができない局地的な気象の変化を検知することができ、この結果、第2車両Q2のユーザに、気象状況の変化と共に、その気象状況の変化と自車(第2車両Q2)との「関連度」を認識させることができ、これに応じた対応措置をとらせることができる。
【0067】
(第2実施形態に係る気象情報処理システムの構成)
本発明の第2の実施形態としての気象情報処理システムの構成について説明する。
【0068】
図4に示されている気象情報処理システムは、ナビサーバ200と、車両Qに記載されている気象情報センサ30および気象情報処理装置としての機能を併せ持つナビ装置300とにより構成されている。ナビ装置300は、二輪自動車、四輪自動車、電動カート、その他の乗り物に搭載されていてもよく、一部または全部が車両Qから取り外して持ち運びできる携帯型の機器により構成されていてもよい。
【0069】
車両Qは、気象状況の変化に遭遇した特定の車両を第1車両Q1と定義し、前記特定の第1車両Q1以外の他の車両(気象状況の変化に遭遇した他の車両を含む)を第2車両Q2と定義する。車両Qは、状況に応じて第1車両Q1及び第2車両Q2のそれぞれに該当しうる。
【0070】
ナビサーバ200は、クライアント・サーバ間のネットワークを介したナビ装置300との通信機能を有し、一または複数のサーバコンピュータにより構成されている。通信ネットワークとしては、インターネット、電話回線用ネットワークまたは衛星放送を用いた通信ネットワークなどが採用されうる。
【0071】
ナビサーバ200は、第1道路交通情報格納部201と、第2道路交通情報格納部202と、支援マップ格納部204と、気象情報格納部206と、第1支援演算処理要素210と、第2支援演算処理要素220とを備えている。
【0072】
第1道路交通情報格納部201には、プローブカーまたはフローティングカーとしての車両Qに搭載されているナビ装置300から、ナビサーバ200に送信またはアップロードされたプローブ情報(各時刻における個々のプローブカーの位置)に基づく第1道路交通情報(各リンクにおける移動所要時間や交通渋滞の有無など)が格納されている。
【0073】
第2道路交通情報格納部202には、道路交通情報センターのサーバ等からナビサーバ200に送信された第2道路交通情報(各リンクにおける移動所要時間や交通渋滞の有無のほか、各リンクにおける交通規制の有無を表す情報、各リンク周辺のイベントの有無およびイベントの種類を表す情報など)が格納されている。
【0074】
支援マップ格納部204には「支援マップ情報」が格納されている。支援マップ情報により、道路を構成する各リンクの位置、形状および姿勢等が、座標((緯度、経度)または(緯度、経度、高度))の列により表現されている。また、各リンクには当該各リンクを識別するためのリンク識別情報および道路種類を表すデータが付されている。
【0075】
気象情報格納部206には、「天気予報情報」と、後述の「気象変化検知情報」とが格納されている。天気予報情報は、天気予報会社の端末装置(図示せず)などからネットワーク経由でナビサーバ200に対して送信されうる。
【0076】
なお、メモリまたは記憶装置により構成されている当該格納部201〜206のうち一部または全部がナビサーバ200とは別個のデータベースサーバとして構成されていてもよい。
【0077】
第1支援演算処理要素210は、ナビ装置300との通信により、車両Qの現在位置P(t)(または出発位置P)および目的位置Pを認識する。そして、第1支援演算処理要素210は、支援マップ格納部204に格納されている支援マップ情報に基づき、現在位置P(t)および目的位置Pを結ぶ車両Qの支援ルートRを探索するように構成されている。
【0078】
また、第1支援演算処理要素210は、ナビ装置300との通信により、後述の気象変化検知情報を認識し、これらの情報により、気象の変化の内容、気象の変化が発生したと推測されるメッシュにより構成されるエリアである気象変化エリアS、および、気象変化エリアSを構成するメッシュとしての気象発生メッシュごとの気象変化の程度等の情報を表わす気象変化エリア情報を認識する。
【0079】
さらに、第1支援演算処理要素210は、前記気象変化エリアの情報前記支援ルートRに対する「関連度」を評価する。
【0080】
第2支援演算処理要素220は、ナビ装置300との通信により、気象情報格納部206に格納されている「天気予報情報」を配信する。また、第2支援演算処理要素220は、支援ルートR、気象変化エリア情報、前記「関連度」等の各種情報を、ナビ装置300に認識させ、表示させるように構成されている。
【0081】
気象情報センサ30は、第1車両Q1に対する降雨量を検出するために、例えば特開昭61−76946号公報に開示されているように、一対の電極間に付着した水滴による両電極間の静電容量の変化を検知して、降雨の判断を行うように構成されている雨滴センサ(図示せず)を備えている。また、気象情報センサ10は、日照状態を測定する日照センサ、湿度計、あるいはワイパーの動作スイッチ(いずれも図示せず)等の降雨の有無および程度を直接または間接的に検出するものであってもよい。
【0082】
ナビ装置300は、入力装置302と、出力装置304と、ナビマップ格納部306と、第5演算処理要素310と、第6演算処理要素320と、第7演算処理要素330とを備えている。
【0083】
入力装置302は、ユーザの音声指示を認識する音声認識装置、ユーザの指または手により操作されるボタンまたはダイヤルなどにより構成されている。出力装置304は、車両Qのセンターコンソール等に配置されたディスプレイ装置、ユーザに対して音声を出力する音声装置等により構成されている。ナビマップ格納部306には、出力装置304に出力されるナビマップ情報が格納されている。ナビマップ情報には各リンクを識別するためのリンク識別情報が含まれている。
【0084】
第5演算処理要素310は、ナビサーバ200との通信に基づき、天気予報情報等、種々の情報を認識するように構成されている。
【0085】
第5演算処理要素310は、車両Qの現在位置P(t)(または出発地P)および目的位置Pを認識するように構成されている。また、第1演算処理要素310は、各時刻における車両Qの現在位置P(t)を測定し、測定時刻とともにメモリまたは記憶装置に保存する。車両Qの現在位置(t)は、GPSのほか、必要に応じて車両Qの加速度に応じた信号を出力する加速度センサを用いて認識されうる。車両Qの位置は、周期的(一定時間ごと)または断続的(車両Qがリンクの終点などの規定位置に到達するたび)に測定される。
【0086】
また、メモリまたは記憶装置に保存されている時系列的な位置、すなわち、時刻および当該時刻において測定された車両Qの位置の組合せは、「プローブ情報」として、周期的または断続的(たとえばプローブ情報のデータ量が一定値に達するたび)にナビサーバ(図示せず)に対して送信される。
【0087】
また、第5演算処理要素310は、車両Qが接している気象状態を気象情報センサ30からの測定値に基づいて気象状況変数dを測定し、後述の気象変化検知情報を生成するように構成されている。
【0088】
第6演算処理要素320は、ナビサーバ200及び第2車両Q2に搭載されているナビ装置300との通信に基づき、ナビサーバ200及び他の車両Qのナビ装置300に対して、後述の気象変化検知情報等の種々の情報を認識させるように構成されている。
【0089】
第7演算処理要素330は、ナビサーバ200及びナビ装置300との通信に基づき、後述の気象変化検知情報、第2気象情報等の各種情報を受信し、出力装置104に表示するように構成されている。また、第7演算処理要素330は、気象変化検知情報を受信した場合には、ナビサーバ200に対して後述の確認指令を送信するように構成されている。
【0090】
なお、ハードウェアとしての構成要素が情報を「認識する」とは、当該構成要素が情報を受信すること、情報をデータベースやメモリから探索または読み出すこと、受信等した基礎情報に基づいて演算処理によって情報を算定、推定、設定、決定、探索等すること、パケットをデコードして情報を顕在化させること、さらには算定等した情報をメモリに保存すること等、他の情報処理のために当該情報を準備しておくためのあらゆる情報処理を実行することを意味する。
【0091】
また、ハードウェアとしての構成要素が情報を「出力する」とは、当該情報の表示、音声出力、振動出力等、人間がその視覚、聴覚、触覚等、五感を通じて認識しうるあらゆる形態で情報を出力することを意味する。
【0092】
(第2実施形態に係る気象情報処理システムの機能)
本発明の第2実施形態にかかる気象情報処理システムの機能について説明する。
【0093】
ナビサーバ200において、第1支援演算処理要素210は、第1所定時間T1が経過することを条件として(図5/STEP200)、気象情報格納部に格納されている天気予報情報のうち最新の天気予報情報を第1車両Q1に配信する(図5/STEP202)。
【0094】
第1車両Q1において、第5演算処理要素310は、上記天気予報情報を認識する(図5/STEP310)。そして、第5演算処理要素310は、所定時間T2が経過することを条件として(図5/STEP311)、気象情報センサ30を介して気象状況変数dを測定する(図5/STEP312)。上記第1所定時間T1と第2所定時間T2とは、T2の方がT1よりも短い時間間隔に設定されている。
【0095】
そして、第5演算処理要素310は、ナビサーバ200から配信された天気予報情報により表わされる前記気象状態変数の値を新たな基準気象状態変数の値dとして決定する。そして、今回測定した気象状況変数dの当該基準気象状態変数dからの乖離度が所定値ε以上であるか否かを判定する(図5/STEP313)。具体的には、雨滴センサにより測定される降雨量、気圧計により測定される気圧、日照センサにより測定される車両に対する太陽の照度、温度計により測定される車両外の気温、湿度計により測定される湿度の少なくとも1つを気象状況変数dとして測定しうる。なお、これらの複数の測定値によって気象状況変数dを生成してもよい。
【0096】
前記乖離度が所定値ε未満である場合(図5/STEP313・・NO)、ナビサーバ200からの配信に応じて天気予報情報が更新されつつ、気象状況変数dの測定が継続される。
【0097】
前記乖離度が所定値ε以上である場合(図5/STEP313・・YES)、第5演算処理要素310は、気象変化検知情報を作成した時刻を表わす気象変化時刻Tと、当該時刻における気象状況変数dを測定した時点における第1車両Q1の測定位置を表わす気象変化位置Pとを認識する(図5/STEP314)。そして、第5演算処理要素310は、前記乖離度と気象変化位置Pと気象変化時刻Tと一または複数の組合せを表わす前記気象変化検知情報を作成する(図5/STEP315)。そして、第1車両Q1の第6演算処理要素320は、「気象変化検知情報」をナビサーバ200と第2車両Q2とに送信する。当該「気象変化検知情報」の作成及び送信は、前記乖離度が所定値ε未満になるまで断続的かつ継続的に実行される。
【0098】
第2車両Q2のナビ装置300は、以下の処理を行う。
【0099】
まず、第2車両Q2において、第5演算処理要素310は、通信機器により受信されたGPS検知情報や、第2車両Q2の加速度センサおよびレートセンサ等の出力に基づき第2車両Q2の現在位置P(t)を定時的に測定する(図5/STEP320)。また、第5演算処理要素310は、ユーザによって入力装置302を通じて入力された第2車両Q2の目的位置Pを認識する(図5/STEP122)。そして、第6演算処理要素320は、現在位置P(t)および目的位置Pを、ナビサーバ200に送信する。
【0100】
第2車両Q2において、第7演算処理要素330は、第1車両Q1から送信された「気象変化検知情報」を認識し、出力装置304に「気象変化検知情報」を出力する(図5/STEP322)。
【0101】
そして、第2車両Q2において、第7演算処理要素330は、ナビサーバ200に対して、気象変化検知情報により表わされる気象の変化の第2車両Q2に対する関連度を確認するための「確認指令」を送信する(図5/STEP323)。
【0102】
一方、ナビサーバ200において、第1支援演算処理要素210は、第2車両Q2からのユーザの現在位置P(t)および目的位置Pの送信に応じて、現在位置P(t)および目的位置Pを認識する(図5/STEP204)。そして、支援マップ格納部204に格納されている支援マップ情報に加えて、第1道路交通情報格納部201に格納されている第1道路交通情報、および、第2道路交通情報格納部202に格納されている第2道路交通情報に基づき、当該現在位置P(t)および当該目的位置Pを結ぶ支援ルートRを探索する(図5/STEP206)。
【0103】
第1車両Q1からの「気象変化検知情報」の送信に応じて、ナビサーバ200の第1支援演算処理要素210は、気象変化検知情報を気象情報格納部206に蓄積・保存する(図5/STEP208)。この蓄積される気象変化検知情報は、第2車両Q2に対して気象変化検知情報を送信した特定の第1車両Q1から送信される気象変化検知情報に限られるものでなく、気象状況の変化に遭遇した複数の第1車両Q1から送信される気象変化検知情報であってもよい。
【0104】
第1支援演算処理要素210は、気象情報格納部206に蓄積された複数の気象変化検知情報に基づいて、気象変化エリア情報を生成する(図5/STEP210)。具体的には、各リンクにおける気象変化検知情報により、気象の変化の内容、気象の変化が発生したと推測されるメッシュにより構成されるエリアである気象変化エリアS、および、気象変化エリアSを構成するメッシュとしての気象発生メッシュごとの気象変化の程度等の情報を表わす気象変化エリア情報を認識する。この気象変化エリア情報は、第1車両Q1から送信されてくる最新の気象変化検知情報に重み付けをして更新を行うことが好ましい。
【0105】
第2車両Q2からの「確認指令」の送信に応じて、ナビサーバ200の第1支援演算処理要素210は、前記支援ルートRに対する前記気象変化エリアの「関連度」を評価した「第2気象情報」を作成する(図5/STEP212)。具体的には、前記支援ルートRのうち第2車両Q2がこれから移動するルートが気象変化エリアSの内部あるいは近傍を通過するか否か、さらに通過する場合には、通過する気象変化エリアSを構成するメッシュの気象変化の程度が高いか否かから、前記支援ルートRに対する前記気象変化エリア情報の「関連度」を評価しうる。
【0106】
すなわち、支援ルートRが気象変化の程度が高い気象変化メッシュの内部を通過する場合に、関連度は高く評価され、支援ルートRが気象変化の程度が高い気象変化メッシュから離れるほど関連度は低く評価される。
【0107】
その上で、第2支援演算処理要素220は、第2車両Q2に対して、前記「第2気象情報」を送信する。
【0108】
ナビサーバからの送信に応じて、第2車両Q2の第7演算処理要素330は、「第2気象情報」を認識し、図6に示すように、出力装置304に出力させる(図5/STEP324)。
【0109】
(第2実施形態に係る気象情報処理システムの作用効果)
第2実施形態に係る気象情報処理システムによれば、ナビサーバから第1所定時間間隔T1で天気予報情報が配信され、その天気予報情報により表わされる気象状態変数の値が基準気象状態変数の値dとして決定される。次に、第1車両Q1が接している気象状況を表わす気象状態変数の測定値dが第2所定時間間隔T2で測定される。当該第2所定時間T2は、ナビサーバ200が天気予報情報を配信する時間間隔を示す前記第1所定時間T1より短い時間間隔である。
【0110】
そして、今回測定した気象状態変数dの基準気象状態変数dからの乖離度が所定値ε以上になった場合、その乖離度と当該乖離度が所定値以上になった際の前記プローブ情報との一または複数の組合せを表わす前記気象変化検知情報が作成される。
【0111】
そして、気象変化検知情報が、第1車両Q1のナビ装置300と通信可能な範囲に存在する第2車両Q2に対して送信される。これにより、第2車両Q2では、気象変化検知情報を出力装置304に出力させることができるので、第2車両Q2のユーザに対して、通信可能な範囲において気象の変化が発生していることを認識させることができる。
【0112】
そして、第2車両Q2のナビ装置300は、第1車両Q1から受信した前記気象変化検知情報が第2車両Q2の支援ルートRに与える関連度を確認するために、ナビサーバ200に「確認指令」を送信する。
【0113】
一方、ナビサーバでは、第2車両Q2の現在位置P(t)および目的位置Pを結ぶ支援ルートRが探索される。また、ナビサーバでは、一または複数の第1車両Q1から送信された「気象変化検知情報」が蓄積・保存されており、蓄積された「気象変化検知情報」に基づき、気象の変化が予想されるエリアとしての気象変化エリア情報が生成される。
【0114】
そして、第2車両Q2から送信された前記「確認指令」を認識したことに応じて、ナビサーバ200では、第2車両Q2の支援ルートRに対する気象変化エリア情報が与える「関連度」が評価された「第2気象情報」が生成される。その上で、ナビサーバ200は、「第2気象情報」を第2車両Q2のナビ装置300に出力させることができるので、第2車両Q2のユーザに対して、これらの情報を認識させることができる。
【0115】
すなわち、第2車両Q2のユーザに対して、通過が予想される支援ルートRに対して、気象状況の変化が与える関連度を認識させることができる。
【0116】
そして、第2車両Q2では、気象情報センサ30が気象状況の変化を第2所定時間T2という時間間隔で測定しており、その第2所定時間T2は、ナビサーバ200が天気予報情報を配信する時間間隔を示す第1所定時間T1より短い時間間隔である。したがって、第2実施形態に係る気象情報処理システムによれば、急激に気象状況が変化した場合でも、ナビサーバ200からの天気予報情報の配信より早く、気象状況の変化を第2車両Q2のユーザに周知方することができ、気象状況の変化に応じた対応措置をとらせることができる。
【0117】
特に、当該外部気象情報を配信する天気予報会社の天気予報のシステムでは、一般的に、10分〜15分間隔で、天気予報情報を配信している。したがって、極めて短期間で発生する局地的な気象の変化(例えば、ゲリラ豪雨)に対して、ユーザが対応措置をとりうる時間的猶予が与えられるように、天気予報を配信するのは困難である。これに対して、第2実施形態に係る気象情報処理システムによれば、第1車両Q1が気象の変化を検知した時点で、通信可能範囲に存在する第2車両Q2にその気象の変化の存在を認識させることができ、これに応じた対応措置をとらせることができる。
【0118】
(第2実施形態に係る気象情報処理システムの変形例)
第2実施形態に係る気象情報処理システムでは、ナビサーバ200において「第2気象情報」の作成を行ったが、本発明はこれに限るものではなく、ナビサーバ200から車両2に対して前記「関連度」を送信し、車両2の側で「第2気象情報」の作成することもできる。
【0119】
第2実施形態に係る気象情報処理システムにおいては、第1車両Q1に対して、第2気象情報を認識させてもよい。
【0120】
また、第2実施形態に係る気象情報処理システムにおいては、ナビサーバ200から配信された天気予報情報により表わされる基準気象状態変数の値dを用いて前記「乖離度」を生成したが、今回測定したdの前回測定したdi-1から乖離度を生成してもよい。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
移動体に搭載される気象情報処理機器であって、
当該移動体が接している気象状況を表わす気象状況変数を断続的に測定し、当該気象状況変数の今回測定値が基準値に対して所定値以上の乖離度を生じた場合、当該乖離度を表わす気象変化検知情報を生成するように構成されている第1演算処理要素と、
前記移動体以外の他の移動体に搭載されている他の気象情報処理機器に対して、当該気象変化検知情報を送信し、当該気象変化検知情報に応じた第1気象情報を当該他の気象情報処理機器に出力させるように構成されている第2演算処理要素とを備えることを特徴とする気象情報処理機器。
【請求項2】
請求項1記載の気象情報処理機器において、
前記第1演算処理要素は、前記基準値として、前記気象状況変数の前回測定値、今回測定値および前回測定値の乖離度が前記所定値以上になった時点における当該前回測定値を表わす気象変化前測定値、または、外部気象情報源から受信した天気予報情報により表わされる前記気象状態変数の値の、少なくともいずれか1つを用いて前記気象変化検知情報を生成するように構成されていることを特徴とする気象情報処理機器。
【請求項3】
請求項1または2記載の気象情報処理機器において、
前記第1演算処理要素は、前記乖離度と当該乖離度が所定値以上になった時刻および当該時刻における前記移動体の位置のうち少なくとも一方との一または複数の組合せを表わす前記気象変化検知情報を生成するように構成されていることを特徴とする気象情報処理機器。
【請求項4】
第1の移動体に搭載される第1気象情報処理機器と、第2の移動体に搭載される第2気象情報処理機器とを備えている車両間気象情報処理システムであって、
前記第1気象情報処理機器は、前記第1の移動体の現在位置と前記第1の移動体が接している気象状況を表わす気象状況変数とを測定し、当該気象状況変数の今回測定値が基準値に対して所定値以上の乖離度を生じた場合、当該乖離度と当該乖離度が所定値以上になった時点の前記第1の移動体の位置との一または複数の組合せを表わす前記気象変化検知情報を生成するように構成されている第1演算処理要素と、
前記第2気象情報処理機器に対して、当該気象変化検知情報を送信するように構成されている第2演算処理要素とを備え、
前記第2気象情報処理機器は、前記第2の移動体の予測移動軌跡を認識し、当該予測移動軌跡と、前記第1気象情報処理機器から受信した前記気象変化検知情報に含まれる前記第1移動体の前記位置との関連度を評価する演算処理を実行し、当該関連度の評価結果に応じた第1気象情報を出力するように構成されている第3演算処理要素とを備えることを特徴とする車両間気象情報処理システム。
【請求項5】
請求項4記載の車両間気象情報処理システムにおいて、
前記第1演算処理要素は、前記基準値として、前記気象状況変数の前回測定値、今回測定値および前回測定値の乖離度が前記所定値以上になった時点における当該前回測定値を表わす気象変化前測定値、または、外部気象情報源から受信した天気予報情報により表わされる前記気象状態変数の値の、少なくともいずれか1つを用いて前記気象変化検知情報を生成するように構成されていることを特徴とする車両間気象情報処理システム。
【請求項6】
請求項4または5記載の車両間気象情報処理システムにおいて、
前記第3演算処理要素は、前記予測移動軌跡と、前記気象変化検知情報に含まれる前記乖離度が所定値になった時点の前記第1移動体の前記位置とに加えて、当該乖離度との関連度を評価する演算処理を実行するように構成されていることを特徴とする車両間気象情報処理システム。
【請求項7】
第1の移動体に搭載される第1気象情報処理機器と、第2の移動体に搭載される第2気象情報処理機器と、当該第1気象情報処理装置および当該第2気象情報処理装置との通信機能を有するサーバとにより構成される気象情報処理システムであって、
前記第1気象情報処理装置は、前記第1の移動体の現在位置と前記第1の移動体が接している気象状況を表わす気象状況変数とを測定し、当該気象状況変数の今回測定値が基準値に対して所定値以上の乖離度を生じた場合、当該乖離度と当該乖離度が所定値になった時点の前記第1の移動体の位置との一または複数の組合せを表わす気象変化検知情報を生成するように構成されている第1演算処理要素と、
前記サーバに対して、当該気象変化検知情報を送信するように構成されている第2演算処理要素とを備え、
前記サーバは、
一または複数の前記第1気象情報処理装置から収集された複数の前記気象変化検知情報に基づき、複数のメッシュのうち気象状況が変化したと推測されるメッシュにより構成されるエリアを表わす気象変化エリア情報を生成するように構成されている第1支援演算処理要素と、
前記第2気象情報処理装置との通信に基づき、前記気象変化エリア情報に応じた第2気象情報を当該第2気象情報処理装置に出力させるように構成されている第2支援演算処理要素とを備えていることを特徴とする気象情報処理システム。
【請求項8】
請求項7記載の気象情報処理システムにおいて、
前記第1演算処理要素は、前記気象状況変数の前回測定値、今回測定値および前回測定値の乖離度が前記所定値以上になった時点における当該前回測定値を表わす気象変化前測定値、または、外部気象情報源から受信した天気予報情報により表わされる前記気象状態変数の値を前記基準値として用いて、前記気象変化検知情報を生成するように構成されていることを特徴とする気象情報処理システム。
【請求項9】
請求項7または8記載の気象情報処理システムにおいて、
第1支援演算処理要素は、気象状況が変化したと推測されるエリアに加えて、前記気象変化検知情報に含まれる前記乖離度に基づいて、前記エリアを構成するメッシュごとの気象変化レベルを表わす前記気象変化エリア情報を生成するように構成されていることを特徴とする気象情報処理システム。
【請求項10】
請求項7〜9記載の気象情報処理システムにおいて、
第2演算処理要素は、前記第2気象情報処理機器に対して、前記気象変化検知情報を送信するように構成され、
前記第2気象情報処理装置は、前記第1気象情報処理装置から前記気象変化検知情報を受信した場合、前記サーバとの通信に基づき、前記気象変化エリア情報または第2気象情報を認識するように構成されている第3演算処理要素を備えていることを特徴とする気象情報処理システム。
【請求項11】
請求項7〜10記載の気象情報処理システムにおいて、
前記サーバは、
支援マップ情報が格納されている支援マップ格納部を備え、
前記第1支援演算処理要素は、前記第2気象情報処理装置との通信に基づき、当該第2気象情報処理装置を搭載した前記第2の移動体のユーザの出発又は現在位置及び目的位置を認識し、当該支援マップ情報に基づき当該出発又は当該現在位置及び当該目的地を結ぶ支援ルートを探索し、当該支援ルートと前記気象変化エリア情報との関連度を評価する処理を実行するように構成され、
前記第2支援演算処理要素は、前記第2気象情報処理装置との通信に基づき、前記関連度の評価結果に応じた第2気象情報を当該第2気象情報処理装置に出力させるように構成されていることを特徴とする気象情報処理システム。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−215929(P2011−215929A)
【公開日】平成23年10月27日(2011.10.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−83987(P2010−83987)
【出願日】平成22年3月31日(2010.3.31)
【出願人】(000005326)本田技研工業株式会社 (23,863)
【Fターム(参考)】