説明

気道流路および肺疾患の処置のためのモメタゾンフロエートの使用

【課題】喘息のような気道流路および肺の疾患を処置することにおいて治療上
有効であって、かつ、鼻腔内投与または経口吸入によって投与されたときに、低
いバイオアベイラビリティと低い全身性副作用とを示すコルチコステロイドを提
供すること。
【解決手段】1日1回の経口吸入による服用により喘息を初回処置または維持
処置するためのエアゾル化薬剤であって、モメタゾンフロエートを含有し、血流
中に全身的レベルの該モメタゾンフロエートが実質的にない、エアゾル化薬剤。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、モメタゾンフロエートの血流への全身性吸収およびそのような全身
性吸収に関連する副作用が実質的に存在することなく、上下気道流路および肺の
コルチコステロイド応答性疾患(例えば、喘息またはアレルギー性鼻炎)を1日
1回の服用で処置する薬剤を調製するためのモメタゾンフロエートの使用に関す
る。
【背景技術】
【0002】
モメタゾンフロエートは、局所的な皮膚への使用に対して認可されたコルチコ
ステロイドであり、コルチコステロイド応答性皮膚病の炎症性および/またはそ
う痒の発現を処置する。この化合物は、米国特許第4,472,393号、同第
4,731,447号、および同第4,873,335号で開示される手順によ
り調製され得、これらの米国特許は、本明細書中に参考として援用される。
【0003】
特定のコルチコステロイド(例えば、ジプロピオン酸ベクロメタゾン)は、鼻
炎および気管支喘息のような気道流路および肺の疾患を処置するために市販され
ている。しかし、これらの技術は、局所的抗炎症活性を有する全てのコルチコス
テロイドが必ずしも鼻炎および/または喘息を処置することにおいて活性ではな
いことを教示している。さらに、局所的に活性なコルチコステロイドが、気管支
喘息の処置時に活性を示し得るとしても、このようなステロイドの長期間の使用
は、重篤な全身性の副作用(視床下部−下垂体−副腎(HPA)軸抑制を含む)
の発症があるため、制限されている。計量された用量(metered−dos
e)の吸入によって投与される局所的に活性なステロイドの導入は、喘息処置時
のステロイド療法の有害な全身性副作用をかなり減少しているが、除去はしてい
ない。しかし、残念なことに、吸入されたコルチコステロイド用量の大部分を、
患者は飲み込んでしまう。特定のコルチコステロイドは、容易に生物学的に利用
可能なので、服用量のうち飲み込んだ部分は、胃腸管を通って全身性循環に達し
得、そして所望しない全身性副作用を引き起こし得る。喘息を処置することに対
して現在認可されているいくつかのコルチコステロイドは、吸入用量のうちの1
0%を超える(ブテソニド)またはちょうど20%(トリアムシノロンアセトニ
ドおよびフルニソリド)の、経口摂取後の全身性バイオアベイラビリティを有す
る。従って、容易に生物学的に利用され得ない局所的に活性なステロイドは、よ
り系統的に生物学的に利用可能である他の局所的に活性なコルチコステロイドよ
りも治療上の利点を提供し、そしてその局所的に活性なステロイドは、経口嚥下
(例えば、溶液、錠剤またはカプセル)によって経口投与される任意のコルチコ
ステロイドよりも優れている。
【0004】
低い全身性副作用で、喘息のような疾患を処置する効果的なコルチコステロイ
ドを発見することは、予測できないことである。例えば、コルチコステロイドの
チプレダンは、喘息に対して良好な初期抗炎症活性だけではなく、低い全身性副
作用も示した。しかし、喘息処置のためのチプレダンの開発は中止されている。
なぜなら、臨床治験は、喘息の処置において、治療上有用であると考えられるレ
ベルの効力を示していないからである。ブチキソコート(butixocort
)プロピオネート(低い全身性副作用を有する別の強力な局所抗炎症コルチコス
テロイドであることが報告されている)は、慢性気管支喘息を処置するために、
開発中である(第II相)ことが最近明らかにされている。第II相試験から現
在得られる臨床結果は、ブチキソコートプロピオネートが、いくらかの効力を有
することを示す一方で、喘息を処置する効力が、臨床開発を続けることを正当化
するに充分であるかどうかが依然として調べられている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従って、喘息のような気道流路および肺の疾患を処置することにおいて治療上
有効であって、かつ、鼻腔内投与または経口吸入によって投与されたときに、低
いバイオアベイラビリティと低い全身性副作用とを示すコルチコステロイドを見
出すことが望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、アレルギー性鼻炎に対して効果的に1日1回の服用で鼻腔内を処置
するための薬剤を調製するためのモメタゾンフロエート水性懸濁液の使用を提供
する。ここで、このモメタゾンフロエートの血流中への全身的な吸収は、実質的
に存在しない。
【0007】
本発明はまた、経口吸入による1日1回の服用で喘息を処置するためのエアゾ
ル化薬剤を調製するためのモメタゾンフロエートの使用を提供する。ここで、こ
のモメタゾンフロエートの血流中への全身的な吸収は、実質的に存在しない。
【0008】
本発明はさらに、経口吸入による喘息処置において作用の迅速な開始を生じる
エアゾル化薬剤を調製するためのモメタゾンフロエートの使用を提供する。
【0009】
本発明はさらになお、1日1回の服用で喘息を処置するためのエアゾル化薬剤
を調製するための乾燥粉体の形態でのモメタゾンフロエートの使用を提供する。
ここでこのモメタゾンフロエートの血流中への全身的な吸収は、実質的に存在し
ない。
【0010】
本発明はさらに、アレルギー性鼻炎または季節性鼻炎の処置における作用の迅
速な開始を生じる薬剤の調製のためのモメタゾンフロエートの水性懸濁液の使用
を提供する。ここで、このモメタゾンフロエートの血流中への全身的な吸収は、
実質的に存在しない。
【0011】
本発明は、コルチコステロイド応答性疾患を患う患者における上気道流路また
は下気道流路および/または肺のコルチコステロイド応答性疾患の処置方法を提
供する。これは、これらの患者の流路または肺へ、1日1回の服用で実質的に非
系統的に生物学的に利用可能な、この疾患を処置するのに効果的な量のモメタゾ
ンフロエートのエアゾル化粒子を投与する工程を包含する。
【0012】
本発明の好ましい局面において、アレルギー性または非アレルギー性鼻炎を患
う患者において、この鼻炎を処置する方法が提供される。これは、これらの患者
の上気道流路表面へ、1日1回の服用で実質的にモメタゾンフロエートの全身的
な吸収を実質的に最小限にすると同時に、上気道流路におけるこの鼻炎の処置を
最大限にするのに効果的な量のモメタゾンフロエートのエアゾル化粒子を投与す
る工程を包含する。
【0013】
本発明の他の好ましい局面において、アレルギー性および/または炎症性疾患
のうち少なくとも1つの疾患を患う患者における下気道流路および/または肺の
この疾患を処置する方法が提供される。これは、この患者の上気道流路および下
気道流路の表面へ、1日1回服用の経口吸入で、実質的にモメタゾンフロエート
の全身的な吸収を最小限にする一方、下気道流路および/または肺におけるアレ
ルギー性および/または炎症性疾患の処置を局所的に最大限にするのに効果的な
量のモメタゾンフロエートのエアゾル化粒子を投与する工程を包含する。
【0014】
本発明はまた、喘息を患う患者の喘息処置において、作用の迅速な開始を生じ
る方法を提供する。これは、患者の下気道流路および肺の表面へ、経口吸入で、
実質的に全身的なモメタゾンフロエートの吸収を最小限にする一方、喘息の処置
において、同時に作用の迅速な開始を生じるのに効果的な量のモメタゾンフロエ
ートのエアゾル化粒子を投与する工程を包含する。
【発明の効果】
【0015】
本願発明によって、喘息のような気道流路および肺の疾患を処置することにお
いて治療上有効であって、かつ、鼻腔内投与または経口吸入によって投与された
ときに、低いバイオアベイラビリティと低い全身性副作用とを示すコルチコステ
ロイドが見出された。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
コルチコステロイドは喘息のような気道流路疾患の処置に効果的であったが、
このようなコルチコステロイドでの処置は、コルチコトロピン(ACTH)産生
を低下させることにより視床下部−下垂体−副腎皮質(「HPA」)軸機能の抑
制のような全身性の副作用をしばしば引き起こし得るが、これは次に副腎による
コルチゾル分泌の低下に至る。
【0017】
本発明者らは、驚くべきことに、モメタゾンフロエートが、上下気道流路およ
び肺の表面で作用することにより、実質的に最小の全身効果を有す一方で、喘息
およびアレルギー性鼻炎のような気道流路疾患の処置に優れた抗炎症効果を示す
ことを発見した。鼻腔内または経口吸入により投与されるモメタゾンフロエート
の全身効果の実質的な最小限化は、モメタゾンフロエートの血漿中放射能の高速
液体クロマトグラフィー(HPLC)による代謝産物のプロファイルによって、
肝臓におけるその実質的に完全な(>98%)一次代謝、およびコルチゾル分泌
レベルにおける最小の低下により測定した。
【0018】
モメタゾンフロエートが経口的に(すなわち、経口懸濁液として飲み込まれる
)または経口吸入もしくは鼻腔吸入により投与される場合、モメタゾンフロエー
トの全身的な血流中への吸収は実質的に存在しない、すなわち、胃腸管から血流
へ到達する親薬物は本質的に存在しない(実質的に1%未満のモメタゾンフロエ
ート)。経口または鼻腔吸入投与後、血流中に認められるいずれのモメタゾンフ
ロエートも、既に肺および/または気道流路組織を通過している。それゆえ、「
無駄な」薬物(すなわち、血流を通じてのみ肺および/または気道中の関連組織
に達する薬物)はない。従って、モメタゾンフロエートは、喘息およびアレルギ
ー性鼻炎のような気道流路および肺の疾患を処置するため理想的なである。
【0019】
喘息患者の気道表面へのモメタゾンフロエートの投与により、処置指標は最大
になる。本明細書で使用される用語「処置指標」は、全身的な安全性に対する局
所効力の割合を意味する。モメタゾンフロエートのようなコルチコステロイドの
喘息における局所効力は、肺機能および症状の頻度および重篤度の低下の測定に
より評価される。このようなコルチステロイドの全身的な安全性は、通常、HP
A−軸機能により測定され;全身的な効果の他の測定としては、例えば、成長抑
制、骨密度、および皮膚の厚さの測定が挙げられる。
【0020】
本発明に従って、喘息およびアレルギー性鼻炎を患う患者へ投与されたモメタ
ゾンフロエートにより示される優れた安全性プロファイルに加えて、モメタゾン
フロエートはまた、喘息およびアレルギー性鼻炎処置に、優れた安全性プロファ
イルが示唆するよりも予想以上に高いレベルの効力を示す。
【0021】
本明細書で使用される用語「喘息を患う患者の喘息処置における作用の迅速な
開始」は、本発明によるモメタゾンフロエートの初回投与の7日、3日以内およ
び1日以内でさえ、喘息患者の肺機能に顕著な臨床上有効な改善があることを意
味する。これらの予想外の結果は、安全性および実験的効力(pilot ef
ficacy)に関するプラセボコントロールを用いたパラレルグループ第I相
試験で得られた。この試験では、モメタゾンフロエートが、計量用量吸入器によ
り、1日に2回、軽度の喘息を患う48名の患者(それぞれの処置グループに1
2名の患者)に投与された。モメタゾンフロエートで処置された3つのグループ
の患者は、肺機能において臨床上有効な改善を示し、これは1秒間の努力呼気肺
活量(FEV)の改善により測定された。
【0022】
モメタゾンフロエートは優れた安全性プロファイルを示すが、これらのFEV
の増加は予想以上に優れている。その上、喘息を処置するために利用可能な他
のコルチコステロイドについての公知の臨床データに基づく増加については予測
できなかった。
【0023】
本明細書中で使用される用語「気道流路および肺のコルチコステロイド応答性
疾患」は、モメタゾンフロエートのようなコルチコステロイドを投与することに
より処置可能な上気道流路もしくは下気道流路または肺のアレルギー性、非アレ
ルギー性および/または炎症性疾患を意味する。代表的なコルチコステロイド応
答性疾患としては、喘息、アレルギー性および非アレルギー性鼻炎、ならびに気
道流路および肺の非悪性増殖性および炎症性疾患が挙げられる。
【0024】
本明細書中で使用される用語「喘息」は、気管支の痙攣収縮(いわゆる「気管
支痙攣」)によるぜん鳴を伴う発作性の呼吸困難(すなわち、「可逆性閉塞性気
道流路疾患」)の再発性発作を特徴とする喘息病態を意味する。本発明により処
置され得るかまたは予防され得る喘息の病態には、運動、特に激しい運動(「運
動誘導性気管支痙攣」)、刺激性粒子(花粉、塵、綿、猫の鱗屑)を包含する種
々の要因により誘発される感作されたヒトにおける発現を特徴とするアレルギー
性喘息および気管支アレルギー、ならびに軽度から中度の喘息、慢性喘息、重度
の慢性喘息、重度かつ不安定性の喘息、夜行性喘息、および心理的ストレスが挙
げられる。本発明の方法は、哺乳類(例えば、下気道流路および肺の可逆性閉塞
性疾患、ならびに運動誘導性気管支痙攣を患うヒト)の喘息の開始を予防するの
に特に有用である。
【0025】
本発明の方法はまた、気道流路および肺のアレルギー性および非アレルギー性
鼻炎、ならびに非悪性増殖性および/または炎症性疾患の処置においても有用で
ある。
【0026】
本明細書中で使用される用語「アレルギー性鼻炎」は、鼻腔粘膜の任意のアレ
ルギー性反応を意味し、そして季節性または永続性のくしゃみ、鼻漏、鼻腔充血
、かゆみ、ならびに眼のかゆみ、充血および流涙を特徴とする花粉症(季節性ア
レルギー性鼻炎)および永続性鼻炎(非季節性アレルギー性鼻炎)を含む。
【0027】
本明細書中で使用される用語「非アレルギー性鼻炎」は、皮膚試験でネガティ
ブの患者および鼻腔分泌物中に多くの好酸球を有する患者に見出される好酸性非
アレルギー性鼻炎を意味する。
【0028】
本明細書中で肺系に関して使用される用語「非悪性増殖性および/または炎症
性疾患」は、以下のうち1つ以上を意味する。(1)例えば、外因性アレルギー
性肺胞炎ような肺胞炎、および例えば、細胞障害剤および/またはアルキル化剤
により引き起こされるような薬物毒性;(2)Wegener肉芽腫症、アレル
ギー性肉芽腫症、肺血管腫症ならびに特発性肺線維腫、慢性好酸性肺炎、好酸性
肉芽腫およびサルコドーシスのような脈管炎。
【0029】
下気道流路および/または上気道流路および/または肺の疾患を処置するため
に、例えば、経口吸入または鼻腔内に投与されるモメタゾンフロエートは、単一
療法として、または例えば、クロモリンナトリウムまたはネドクロミルナトリウ
ム(Fisonsから販売);メトトレキセートナトリウム(Astra Ph
armaceutical Products,Inc.から販売)のような免
疫抑制剤、経口用金、またはシクロスポリンA(SandozからSANDIM
MUNE(登録商標)の商標で販売);アルブテロール(Schering C
orporationからPROVENTIL(登録商標)の商標で販売)また
はテオフィリン(Schering CorporationのKey Pha
rmaceuticalsからTheo−Dur(登録商標)の商標で販売)の
ような気管支拡張剤とのアジュバント療法として使用され得る。
【0030】
測定された、実質的に非系統的な生物学的に利用可能な量のエアゾル化された
モメタゾンフロエートまたはエアゾル化されたその薬学的組成物を提供するため
に有用であることが見出された、経口吸入または鼻腔内吸入による経口気道流路
および肺への送達のための装置としては、界面活性剤および適切な架橋剤を伴う
かまたは伴わない、CFC−11、CFC−12のようなクロロフルオロカーボ
ン噴射剤、または非クロロフルオロカーボン、またはフルオロカーボンであるH
FC−134AまたはHFC−227のような代用噴射剤中に懸濁されるエアゾ
ル化される粒子を送達する加圧型用量吸入器(「MDI」);1993年1月7
日に公開されたSchering Corporationの国際特許出願番号
PCT/US92/05225に開示される乾燥粉末吸入器、並びにエアロゾル
化されるモメタゾンフロエートを全体的に粉砕された粉末として、単独またはい
くつかの薬学的に受容可能なキャリア(例えば、ラクトース)と組み合わせるか
のいずれかで送達するために使用され得る、TURBOHALERTM(Ast
ra Pharmaceutical Products,Inc.から販売)
、またはROTAHALERTM(Allen & Hanburysから販売
)のような、呼吸により活性化されるか、または空気圧またはガス圧により送達
されるかいずれかの乾燥粉末吸入器;ネブライザーが挙げられる。VANCEN
ASE(登録商標)(ジプロピオン酸ベクロメタソンの商標)吸入エアロゾル(
Schering Corporation、Kenilworth、NJから
販売)を送達するために使用されるようなネブライザーおよび計量用量吸入器の
使用によるエアゾル化された薬物の吸入は、Remington’s Phar
maceutical Sciences、Mack Publishing
Co. Easton PA、第15版、第99章、1910〜1912頁に開
示される。
【0031】
モメタゾンフロエートはまた、特定の、測定された量、水性懸濁液の形態で、
VANCENASE AQ(登録商標) Nasal Sprayを送達するた
めに使用されるボトル並びにHague Unionにより1993年6月1日
に登録されたSchering Corporation Industria
l Design Deposit DM/026304に開示されるスプレー
ボトル(それぞれSchering Corporationから販売)のよう
なポンプスプレーボトルの使用により投与され得る。本発明の水性懸濁液組成物
は、モメタゾンフロエートまたはモメタゾンフロエート一水和物(好ましくはモ
メタゾンフロエート一水和物)を水および他の薬学的に受容可能な賦形剤と混合
することにより調製され得る。国際出願番号PCT/US91/06249、特
にモメタゾンフロエート一水和物およびそれを含有する水性懸濁液の調製に関す
る実施例1〜5を参照のこと。本発明の水性懸濁液は、懸濁液1gあたり約0.
01〜10.0mg、好ましくは0.1〜10.0mgのモメタゾンフロエート
一水和物を含有する。本発明による水性懸濁液組成物は、特に、水、補助剤およ
び/または1つ以上の賦形剤(例えば、懸濁剤(例えば、微結晶性セルロース、
カルボキシメチルセルロースナトリウム、ヒドロキプロピル−メチルセルロース
);湿潤剤(例えば、グリセリンおよびプロピレングリコール);pHを調節す
るための酸、塩基または緩衝物質(例えば、クエン酸、クエン酸ナトリウム、リ
ン酸、リン酸ナトリウム、およびクエン酸とリン酸緩衝液との混合物);界面活
性剤(例えば、Polysorbate 80);ならびに抗微生物的保存剤(
例えば、塩化ベンザルコニウム、フェニルエチルアルコール、およびソルビン酸
カリウム))を含有し得る。
【0032】
付き添い医師の判断に基づき、使用されるモメタゾンフロエートの量および処
置レジュメは、当然、処置される患者の年齢、性別および医療歴、特定の喘息ま
たは非悪性の肺疾患症状の重篤度、および局所毒性(例えば、鼻腔炎症および/
または出血)および全身的な副作用(例えば、コルチゾルレベル)により明示さ
れる患者の処置レジュメに対する耐性に依存する。コルチゾル(また、ヒドロコ
ルチゾンともいう)は、副腎皮質により同化される主要な天然のグルココルチコ
ステロイドである。
【0033】
例えば、喘息またはアレルギー性または非アレルギー性鼻炎を処置するための
上気道流路または下気道流路のアレルギー性、非アレルギー性および/または炎
症性疾患の処置のために、水性懸濁液または乾燥粉末として投与され得る、実質
的に非系統的な生物学的に利用可能なモメタゾンフロエートの量は、単回または
分割用量において、約10〜5000マイクログラム(「mcg」)/日、10
〜4000mcg/日、10〜2000mcg/日、25〜1000mcg/日
、25〜400mcg/日、25〜200mcg/日、25〜100mcg/日
、または25〜50mcg/日の範囲である。
【0034】
アレルギー性および非アレルギー性鼻炎を処置する場合、モメタゾンフロエー
トの水性懸濁液は適切な装置(例えば、Vancenase AQ(登録商標)
Nasal Sprayを送達するために使用されるポンプスプレーボトル並
びに1993年6月1日に登録されたSchering Corporatio
n Industrial Design Deposit DM/02630
4に開示されるスプレーボトル)をそれぞれの外鼻孔へ挿入することにより鼻腔
内投与し得る。次に、活性な薬物を噴出するか(鼻腔スプレー装置)、または粉
末として鼻腔内へ吸入してもよい(鼻から吸い込まれる)。効力は、一般的に、
鼻腔の症状(例えば、くしゃみ、かゆみ、充血、および鼻汁)の減少によって二
重盲検の様式で評価される。他の客観的な測定(例えば、鼻腔の最大流量および
抵抗)が、効力の補助的な指標として使用され得る。
【0035】
下気道および肺実質のアレルギー性および/または炎症性疾患、特に喘息、慢
性閉塞性肺疾患(「COPD」)、肺および下気道流路の肉芽腫性疾患、肺の非
悪性増殖性疾患(例えば、特発性肺線維症、過敏性肺炎および気管支肺形成不全
)のような疾患の処置のために、以下の用量の範囲のモメタゾンフロエートが使
用され得る。(1)標準的なCFCまたは代用噴射剤を伴う計量用量吸入器につ
いては、約10〜5000mcg/日または10〜4000mcg/日または1
0〜2000mcg/日、または50〜1000mcg/日または25〜100
mcg/日、または25〜400mcg/日、または25〜200mcg/日、
または25〜50mcg/日;好ましい用量の範囲は、1日に50〜1000マ
イクログラムであり、そして好ましい用量は、25、100、200、および2
50mcg/日であり、1〜4回吸入(puff)で投与される;好ましくは、
1日1回の服用で1〜3回吸入である;(2)乾燥粉末吸入器については約10
〜5000mcg/日または10〜4000mcg/日または10〜2000m
cg/日または25〜1000mcg/日または25〜400mcg/日または
25〜200mcg/日または50〜200mcg/日または25〜50mcg
/日の無水モメタゾンフロエート;乾燥粉末吸入器中の無水モメタゾンフロエー
トの好ましい用量の範囲は、1日に50〜600マイクログラムであり、さらに
好ましくは1日に100〜600mcgであり、そして好ましい用量は、50、
100、200、および250mcgであり、1日1回の服用で1〜3回吸入投
与される;代表的には計量用量吸入器ユニットは、120用量を含む;(3)吸
入のための水性懸濁液については、単回投与または分割投与において、好ましい
用量は25〜800mcg/100μの範囲であり、そして用量は、25、50
、100、125、150、175、200、225、250、300、400
、500、および800mcg/100μのモメタゾンフロエートである。モメ
タゾンフロエートの水性懸濁液は、1日1回の服用で25マイクログラムから1
600マイクログラムまでが投与されて、アレルギー性鼻炎(例えば、季節性ア
レルギー性鼻炎)を処置するのに安全かつ効果的であることが見出されており;
代表的には、1日に400マイクログラムを超えると、処置における改善は見出
されないが、好ましい用量の範囲は、1日に25〜800マイクログラムである
。最も好ましい用量は、25、50、および100マイクログラムであり、10
0、200、および400mcgの1日1回服用の総用量に対して、1日1回の
服用でそれぞれの外鼻孔へ2度、投与される。代表的には、2〜4mLのモメタ
ゾンフロエート一水和物の水性懸濁液をプラスティックネブライザー容器に入れ
得、そして患者は2〜10分間吸入する。このような容器に入れる総用量は30
0〜3000mcgの範囲である。
【0036】
本発明の好ましい局面において、無水モメタゾンフロエートは、乾燥賦形剤(
例えば、乾燥粉末吸入器での使用のための乾燥ラクトース)と混合し得る。モメ
タゾンフロエート:乾燥ラクトースの割合は広く変化し、1:19〜1:0であ
り、そして好ましくは1:19〜1:4である。代表的には、適切な無水モメタ
ゾンフロエートの用量の範囲は25〜600マイクログラムで、1日1回投与さ
れる。乾燥ラクトースとの混合物に対する好ましいモメタゾンフロエートの用量
は、25、100、200および250マイクログラムであり、これは1日に1
〜3回吸入で投与される。好ましい混合されたモメタゾンフロエート:ラクトー
スの用量は、各用量について500マイクログラムである。例えば、好ましい1
:19の割合について、25マイクログラムの無水モメタゾンフロエートが47
5マイクログラムの無水ラクトースと混合され、そして好ましい1:4の割合に
ついては、100マイクログラムの無水モメタゾンフロエートが400マイクロ
グラムの無水ラクトースと混合されて500マイクログラムの用量のモメタゾン
フロエート:ラクトース混合物を生成する。
【0037】
喘息のような下気道疾患に対する投薬レジュメは1日4回から1日2回、1日
1回へと変化する。一旦、喘息の制御が達成されると、1日1回(例えば、午前
8時)維持療法が適切である。しかし、モメタゾンフロエートの優れた処置指数
は、本発明の方法の開始時でさえ、1日1回の投与により患者の効果的な処置を
生じさせることが予期される。
【0038】
下気道流路および/または肺の他の疾患については、疾患の適切な制御が達成
される場合、投与は1日2回〜4回であるようであり、好ましくは2回〜3回、
そして最も好ましくは1日1回である。
【0039】
任意の投与経路について、分割投与または単回投与が使用され得る。例えば、
計量用量吸入器が送達のために使用される場合、例えば、500mcgのエアゾ
ル化モメタゾンフロエートの1日1回服用(250mcgの2回吸入)が、エア
ロゾル化薬物を送達するために通常使用される。例えば、1日に200マイクロ
グラムのモメタゾンフロエートの水性懸濁液を送達するためにプラスティックネ
ブライザーの容器を使用する場合、それぞれの鼻孔への50マイクログラムの2
回絞り分(squeeze)が薬物の送達のために通常使用される。例えば、2
00mcgの無水モメタゾンフロエートを送達するために計量用量吸入器を使用
する場合、100mcgのモメタゾンフロエートと400mcgのラクトースと
の500マイクログラムの混合物の2噴霧がエアゾル化薬物を送達するために通
常使用される。
【0040】
本発明の方法の効果はまた、哺乳類(例えば、特発性肺線維症のような非悪性
増殖性疾患および/または炎症性疾患を患っているかまたはその疑いのあるヒト
)において、または特に以下の登録基準を満たす患者を用いて臨床的に示され得
る:(1) Karnofskyパフォーマンス状態の改善;(2)(a)努力
呼気肺活量(FEV)の改善および(b)努力肺活量(FVC)の改善により明
示される、必要とされる吸入処置を満足に受けるための適切な肺機能、および(
3)重篤な全身性感染症および/または発熱を有さないこと。
【0041】
喘息の処置において達成される結果と同様の結果が予想される。
【実施例】
【0042】
以下は、喘息および喘息の病態の処置において得られる結果の要旨である。
【0043】
登録の前に、すべての患者を、医療歴、身体検査、胸部X線、心電図、および
血液検査および血液化学検査により徹底的に評価する。最大呼気流速度(PEF
)、1秒間の努力呼気肺活量(FEV)、および努力肺活量(FVC)および
コルチゾルレベルを含む肺機能もまた測定され得る。咳の発作の回数および重篤
度、息切れ、胸部圧迫、およびぜん鳴を含む自覚的および他覚的症状を通常評価
する。
【0044】
いくつかの第I相試験を、加圧型計量用量吸入器(MDI)中の懸濁液として
の送達のために処方されたモメタゾンフロエートを使用して行った。無作為抽出
、第三者盲検、プラセボコントロールを用いる、上昇単回用量の安全性および耐
性研究において、エアゾル化モメタゾンフロエートを計量用量吸入器により8名
の健康な男性ボランティアに投与した。投薬は午後11時に行い、そして血漿中
コルチゾル濃度をその後24時間の間測定した。プラセボと比較して、1000
mcg、2000mcg、および4000mcg用量のモメタゾンフロエートは
、血漿中コルチゾルプロファイル曲線の24時間領域(AUC 0−24)をそ
れぞれ13%、23%、および36%減少させた。等用量のジプロピオン酸ベク
ロメタゾン(BDP)は、AUC 0−24をそれぞれ30%、38%、および
65%減少させた。
【0045】
続くプラセボコントロールを用いる並行グループの安定性および実験的効力の
第I相試験においては、モメタゾンフロエートを、MDIにより、500mcg
の用量を毎日2回(「BID」)で、1mgをBIDで、そして2mgをBID
で軽度の喘息を患う48名の患者(処置グループあたり12名の患者)に28日
間与え、そしてプラセボもMDIによりBIDで与えた。モメタゾンフロエート
を用いた処置は良好に耐性があり、そしてすべての患者は処置を完了した。連日
1000mcgのモメタゾンフロエートで処置した患者は、午前8時の血漿中コ
ルチゾルについて、連日2000mcgのモメタゾンフロエートで処置した患者
のあらゆる時点の値と同様の値を有し;15日目および21日目にベースライン
からの少量の減少が認められ、これはプラセボに比較して統計上有意であった。
連日4000mcgのモメタゾンフロエートで処置した患者は、血漿中コルチゾ
ルのより大きな減少を有し、これは3日目から28日目の間、統計上プラセボと
は異なった。尿中コルチゾルの平均値は、2000mcgおよび4000mcg
グループについては、研究の経過中減少する傾向があり;1000mcgグルー
プの尿中コルチゾルの平均値はプラセボと変わらなかった。処置後(30日目)
のACTH注入に対する応答に関しては、すべての処置グループが、8時間の注
入直後および注入開始24時間後(すなわち正常な応答)の両方で、血漿中コル
チゾルにおけるベースラインからの有意な増加を示した。このプラセボコントロ
ールを用いる第I相試験において、モメタゾンフロエートで処置した喘息患者は
、FEV値の予想外の臨床的に重要な増加を示した。これは大部分の時点でベ
ースラインより15%を超えた。1mg/日、2mg/日、および4mg/日の
処置グループについてのFEVの平均上昇値は、3日目〜28日目の各時点に
おけるプラセボグループについての平均上昇値より統計上有意に大きかった。1
mg/日の処置グループは、プラセボグループのFEV値に比較して、1日目
でさえ、統計上有意な臨床的に重要なFEV値の改善を示した。
【0046】
最近完了した、無作為抽出、2重盲検、多施設の、第II相試験において、吸
入されるコルチコステロイドでの処置を必要とする395名の喘息患者を、次の
5つの処置グループに無作為に分けた:モメタゾンフロエート(MDI)112
mcg/日、400mcg/日、または100mcg/日、ジプロピオン酸ベク
ロメタゾン(BDP)336mcg/日、またはプラセボ。すべての処置レジュ
メは4週間のBID投与からなった。PROVENTIL吸入エアゾル(アルブ
テロール、USP)を救済薬剤として供給した。
【0047】
効力の評価
肺活量測定により、そして医師および患者の喘息の徴候および症状に関する評
価により効力を評価した。1秒間の努力呼気肺活量(FEV)、努力肺活量(
FVC)、および25%〜75%の努力呼気流量(FEF25%−75%)を、
各来院時に測定者が測定した。最大呼気流速度(PEFR)は、患者が連日2回
(午前および午後)測定した。処置のエンドポイント(最後の評価可能な来院時
)におけるFEVが効力の基本的な尺度であった。測定者(すべての来院時)
および患者(連日2回)は、0(なし)〜6(許容不可)のスケールで、ぜい鳴
、胸部圧迫、息切れ、および咳を評価した。さらに、測定者は各来院時に同じス
ケールで喘息の総合的な病態を評価し、そして患者は毎日の喘息発作の総回数、
喘息により夜に目を覚ました回数、および使用したProventil(プロト
コル許容の救済薬物処置)の吸入総回数の日記をつけた。各来院についての、実
際値およびベースラインからの変化を分析した。
【0048】
すべての処置は良好に耐性であった;最も頻繁に報告された有害作用は、発声
障害、咽頭炎、咳、および頭痛であり、これらは一般的に軽度から中度の重篤度
であった。すべての4つの積極的処置は、FEV(p<0.01)の改善に関
して、この変数の平均的な減少を経験したプラセボ処置グループと比較すると、
すべての来院時において統計上プラセボよりも優れていた。2つのより高用量の
モメタゾンフロエートは、14日目、21日目、および28日目でジプロピオン
酸ベクロメタゾン(BDP)より優れていた。21日目および28日目において
、2つのより高用量のモメタゾンフロエートは、低いモメタゾンフロエート用量
より有意に優れていた。連日の午前および午後におけるPEFRのデータはFE
と同様であった。処置の最終週の間、すべてのモメタゾンフロエート用量は
、午前のPEFRの改善において336mg用量のBDPより有意に優れていた
。総喘息スコア、総合的な病態の評価、および処置に対する治療応答により、プ
ラセボに対してすべてのモメタゾンフロエート用量が優れていること、および積
極的処置グループ間の関係を確認した。
【0049】
モメタゾンフロエート(モメタゾンフロエート一水和物の水性懸濁液の形態で
鼻腔内投与される)を、季節性アレルギー性鼻炎の患者を処置するのに使用した
。本明細書中で使用される用語「季節性アレルギー性鼻炎」は、鼻腔粘膜の炎症
、鼻汁、くしゃみ、および充血を特徴とする、季節性花粉に反応性の過敏症を意
味する。
【0050】
いくつかの第I相試験は、モメタゾンフロエート一水和物の水性鼻腔スプレー
懸濁液処方物を用いて完了した。無作抽出、第三者盲検、プラセボコントロール
を用いる、上昇単回用量の安全性および耐性研究において、水性鼻腔スプレー懸
濁液処方物を8名の健康な男性ボランティアに投与した。投薬を午後11時に行
い、そして以後24時間の間、血漿中コルチゾル濃度を測定した。プラセボと比
較して、1000mcg、2000mcg、および4000mcg用量における
モメタゾンフロエートは、血漿中コルチゾルプロファイル曲線下の24時間領域
(AUC 0−24)に有意な影響を与えなかった。
【0051】
追跡多用量研究において、48名の正常な男性ボランティアを、無作為抽出、
第三者盲検、プラセボおよび活性コントロールを用いるパラレルグループ研究に
登録した。それぞれの4つのグループの12名のボランティアは、28日間以下
の処置の1つを受けた:A)モメタゾンフロエート一水和物の水性鼻腔内スプレ
ー懸濁液処方物、400mcg/日;B)モメタゾンフロエート一水和物の水性
鼻腔内スプレー懸濁液処方物、1600mcg/日;C)鼻腔内へのプラセボ;
D)経口用プレドニソン、10mg/日。すべての処置を毎朝1回の投与として
行った。モメタゾンフロエート水性鼻腔スプレー処方物は良好に耐性であり、そ
してすべての患者は研究を完了した。プラセボと比較して、2つの用量のモメタ
ゾンフロエート水性鼻腔スプレー処方物は、いずれもコルチゾル分泌における何
らの変化とも関連しなかった。
【0052】
さらに、鼻腔スプレー処方物として200mcgのH−モメタゾンフロエー
トを用いる単回用量の吸収、排泄および代謝研究を6名の正常な男性ボランティ
アで行った。全身的な吸収(尿排泄に基づく)をH−モメタゾンフロエートの
静脈内投与された用量と比較した場合、8%であった。血漿中放射能のレベルが
定量限界より低かったため、代謝物プロファイリングによって親薬物の血漿中濃
度を決定できなかった。これらのデータは、モメタゾンフロエートの実質的に1
%未満のバイオアベイラビリティに一致する。本明細書中下記の表2および表3
を参照のこと。
【0053】
用量変化の、安全性および効力研究において、モメタゾンフロエート水性鼻腔
スプレー処方物を、50mcg/日、100mcg/日、200mcg/日、8
00mcg/日の用量で、またはプラセボを、季節性アレルギー性鼻炎の480
名の患者へ4週間投与した。すべての処置は良好に耐性であり;統計的分析の結
果は、すべての用量のモメタゾンフロエートはプラセボと比較して効果的である
ことを示した。これらの結果は、季節性アレルギー鼻炎の患者への鼻腔スプレー
としてのモメタゾンフロエートの水性懸濁液の投与は有効であり、全身的な副作
用の能力をほとんど有さず良好に耐性であることを示し、そしてこれらの結果は
、モメタゾンフロエートの低い経口バイオアベイラビリティと一致する。
【0054】
本明細書中で使用される用語「アレルギー性鼻炎または季節性アレルギー性鼻
炎の処置における作用の迅速な開始」は、中程度の開始でモメタゾンフロエート
鼻腔スプレーで処置したアレルギー性鼻炎の患者は、プラセボ鼻腔スプレーで処
置したアレルギー性鼻炎患者の72時間と比較して、総鼻腔症状スコアが約3日
(35.9時間)でベースラインから中度のあるいは完全寛解へ臨床的かつ統計
的に有意に減少することを意味する。これらの結果は、無作為抽出、二重盲検、
多施設の、プラセボコントロールを用いる、パラレルグループ試験において得ら
れ、モメタゾンフロエート鼻腔スプレーの投与の開始と、季節性アレルギー性鼻
炎の症状がある患者の総鼻腔症状スコアにより測定される臨床的効力の開始との
間の期間を特徴付けた。研究は14日間継続した。201名の患者からのデータ
を分析に使用した。
【0055】
A. 臨床的評価
1. 季節性アレルギー性鼻炎
a. 徴候および症状については、患者が個人的に日記カードにスコアを記録
し、そして測定者または被指名人により、スクリーニング(Screening
)およびベースライン(1日目)、処置後4日目、8日目および15日目にスコ
アを記録した。
【0056】
【表1】


すべての症状(鼻腔および非鼻腔)を、以下のスケールに従って測定者または被
指名人により評価した:
0=なし:徴候/症状が認められない
1=軽度:徴候/症状は明らかに存在するが、極微に認める程度;容易に
耐え得る
2=中度:徴候/症状が明らかに認められ、苦痛であるが耐え得る
3=重度:徴候/症状が激しく耐え得ない;日常生活の活動および/また
は睡眠に障害を引き起こし得る。
【0057】
2. 季節性アレルギー性鼻炎の総合的な病態
鼻炎の総合的な病態を、症状が現ると同時に測定者または被指名人および患者
により評価され、そして以下の基準に従って記録した:
0=なし:徴候/症状が認められない
1=軽度:徴候/症状は明らかに存在するが、極微に認める程度;容易に
耐え得る
2=中度:徴候/症状が明らかに認められ、苦痛であるが耐え得る
3=重度:徴候/症状が激しく耐え得ない;日常生活の活動および/また
は睡眠に障害を引き起こし得る。
【0058】
無作為抽出により適格化するために、患者は以下のことを満たさなければなら
なかった:
1. 鼻腔充血が、スクリーニングおよびベースラインの両方において、
2(中度)以上である
2. 4つの鼻腔症状の総スコアが、スクリーニングおよびベースライン
の両方において7以上である
3. 総合的な病態が、スクリーニングおよびベースラインの両方におい
て2(中度)以上である。
【0059】
ベースライン後の来院において、評価は前回の来院から最新の観察の時間まで
、および最新の観察の時間を含む全体の時間を含んだ。
【0060】
3. 薬物−各患者に、モメタゾンフロエートの水性懸濁液またはプラセボの
いずれかを含む計量鼻腔ポンプスプレーボトルを与えた。ボトルの投与説明書に
より、患者に薬物(モメタゾンフロエート50mcg/スプレー)またはプラセ
ボをそれぞれの外鼻孔へ1日1回2スプレーずつ、毎朝送達するように通知した

【0061】
4. 臨床的効力
1. パラメーター
ベースラインとなる来院の後、各患者に、鼻腔の寛解の開始時間について、お
よび、寛解せず、やや寛解、中度の寛解、かなりの寛解、または完全寛解の鼻腔
症状の寛解のレベルについての情報を彼/彼女の日記へ書き込むよう指示した。
【0062】
ベースラインおよび各追跡のための来院時に、医師は以下のアレルギー性鼻炎
の徴候および症状を評価し、0=なし、1=軽度、2=中度、3=重度としてス
コアを記録した:
a. 鼻腔症状
鼻汁
充血/鼻づまり
くしゃみ
かゆみ
b.鼻腔総スコア:4個体の鼻腔スコアの総計
c.混成総スコア:8つの鼻腔および非鼻腔スコアの総計。
【0063】
同じスコアシステムを用いて、医師および患者の両方により鼻炎の総合的な病
態もまた評価された。
【0064】
ベースライン後の各追跡来院時に、医師および患者が、5=寛解せず、4=や
や寛解、3=中度の寛解、2=かなりの寛解、1=完全寛解として治療応答を評
価した。
【0065】
ベースラインとなる来院の後、毎朝そして毎晩、患者は日記を完成させ、上記
のようにアレルギー性鼻炎の8つの徴候および症状を評価した。
【0066】
結果
主要な効力の結果は、モメタゾンフロエート鼻腔スプレーグループおよびプラ
セボグループについての寛解の開始時間(患者が少なくも鼻腔症状の中度の寛解
を経験した最初の時間と定義される)の生存分析(survival anal
ysis)に基づく。この分析において、処置後の最初の3日間にやや寛解また
は寛解せずと報告する患者を3日目に検診した。また、患者の定期的な日記(1
5日間の平均による)のデータからの結果を評価した。
【0067】
201名の患者からのデータを生存分析に用いた。モメタゾンフロエート鼻腔
スプレーグループには101名の患者、およびプラセボグループには100名の
患者がいた。個々の患者の開始(onset)の日記のデータから、3日目にお
いてモメタゾンフロエート鼻腔スプレーグループにはやや寛解または寛解せずを
記録した(すなわち検診を受けた)患者が合計24名おり、これに比較してプラ
セボグループには同様にやや寛解または寛解せずを記録した(すなわち検診を受
けた)患者が50名いたことが見出された。
【0068】
生存分析の結果は、プラセボグループの72時間に比較して、モメタゾンフロ
エート鼻腔スプレーグループは35.9時間の寛解の中央の開始時間を有したこ
とを示唆した(このグループのさらなる検診による観察による)。2つのグルー
プの生存分布のプロットから、プラセボグループにおいて増加する期間を伴う(
合計時間において)やや寛解または寛解せずと報告した割合は、モメタゾンフロ
エート鼻腔スプレーグループと比較してより高かったことが認められた。対数−
ランク(log−rank)を使用すると、データは、2つの処置グループの間
の統計上の有意な差異を示した(p値<0.001)。
【0069】
朝および夜の平均した日記データの分析は、モメタゾンフロエート鼻腔スプレ
ーグループについてのベースラインからの鼻腔症状の総スコアの減少(15日間
の平均について)は、プラセボグループでの減少よりも統計上有意に高いことを
示した。
【0070】
モメタゾンフロエート乾燥粉末吸入器(DPI)の最初の第I相治験において
、8名の正常なボランティアに、1日1回、400、800、1600、320
0mcgおよびプラセボの単回投与でモメタゾンフロエート−DPIを投与した
。パラレルグループのボランティアは、ブデソンディー(budesondie
)乾燥粉末(400、800、1600、3200mcg、およびプラセボ)ま
たはプレドニソン(5mg、10mg、20mg、40mg、またはプラセボ)
のいずれかを服用した。すべての投薬を午後11時に行い、そして次の24時間
にわたって血漿中コルチゾルレベルをモニターした。
【0071】
薬物代謝/臨床的薬理学的研究
各グループに6名の正常な男性ボランティアを有する6つのグループに、トリ
チウム標識モメタゾンフロエート(「H−MF」)を(種々の経路で)投与す
ることによって薬物代謝および臨床的薬理学的研究を実施した。血液および尿サ
ンプルを、全薬物(代謝物を含む)の測定のために回収した。
【0072】
男性ボランティアにおけるこれらの研究の目的は、溶液としておよび一水和物
の水性懸濁液として経口嚥下による投与後、標準計量用量吸入器(MDI)およ
び間欠装置を含有する計量用量吸入器(Gentlehaler)からの懸濁液
として経口吸入による投与後、鼻腔スプレーユニットからのモメタゾンフロエー
ト一水和物の懸濁液として鼻腔吸入による投与後、および溶液として静脈内注入
による投与後のH標識モメタゾンフロエート(「H−MF」)の吸収、代謝
、および排泄を測定することであった。
【0073】
集団
現行の保険統計表(current actuarial table)に一
致する体重(+10%)を有する19歳と40歳との間(平均29歳)の36名
(処置グループあたりn=6)の正常な健康な男性ボランティアを、これらの単
回用量研究に登録した。全ての被検体は、それらの医療歴、身体検査、臨床的試
験および臨床検査により健康であることが決定された。
【0074】
研究デザイン
6つの処置グループのそれぞれにおける6名のボランティアは、表2に列挙さ
れる以下のH−MF投与形態の1つを服用する。
【0075】
【表2】


血漿、尿、期限を経過したエアフィルター、レスピルガード(Respirg
ard)、および糞便のサンプルを回収し、そして放射能含量についてアッセイ
した。血漿中放射能についての定量限界値(LOQ)は、LOQが0.025n
g eq/mlであった鼻腔スプレー処置を除いて、0.103〜0.138n
g eq/ml.の範囲であった。選択された血漿、尿、および糞便サンプルを
、代謝物プロファイルを対象に分析した。
【0076】
結果
臨床的概要−モメタゾンフロエートは、安全であり、そして全ての投与形態の
投与後の全てのボランティアにより、良好に耐性であることが見い出された。
【0077】
薬物動態学−総放射能の平均血漿中濃度(n=6)を、まとめて図1に示し、
そして総血漿中放射能に由来する平均薬物動態学パラメータ(n=6)は、表3
に示される。黒丸(●)でプロットした曲線は、経口懸濁液による放射標識薬物
投与後の血漿中濃度の時間変化を表し;白丸(○)でプロットした曲線は、鼻腔
スプレーによる薬物の投与後の血漿濃度の時間変化を表し;黒四角(■)でプロ
ットした曲線は、計量用量吸入器(metered dose inhaler
)による投与後の血漿濃度の時間変化を表し;白四角(□)でプロットした曲線
は、Gentlehalerによる薬物投与後の血漿中濃度の時間変化を表し;
黒三角(▲)でプロットした曲線は、静脈内経路による薬物投与後の血漿中濃度
の時間変化を表し、そして白三角(△)でプロットした曲線は、経口溶液による
放射標識薬物投与後の血漿中濃度の時間変化を表す。以後、結果の表を参照のこ
と。
【0078】
血漿中放射能を有する種々処方後の図1および/または尿の排泄データに説明
され、そして表3に示される血漿中放射能と静脈内への処置後の血漿中放射能と
の比較は、H−MFを溶液として経口投与した場合に、薬物由来の放射能が完
全に吸収されることを示した。対照的に、経口の懸濁液として、または鼻腔スプ
レーの懸濁液としてのH−MF投与後の薬物由来放射能の全身的な吸収は、用
量の約8%であった。MDI(30%)およびGentlehalerTM(6
7%)によるH−MF投与後の薬物由来放射能の全身的な吸収は、鼻腔スプレ
ーまたは経口懸濁液後の吸収よりも高かった。放射能の最高血漿中濃度は、MD
IおよびGentlehalerの両方について1ng eq/mlよりも少な
かったが、比較用量で標準化したAUC放射能データおよび尿の排泄データは、
MDIおよびGentlehalerからの薬物由来放射能の吸収が、それぞれ
約23〜30%および67〜69%であることを示唆した。薬物由来放射能デー
タは、全身バイオアベイラビリティが、MDI投与と比較してGentleha
lerTMを用いる投与の後の方がより大きいことを示唆した。これは、Gen
tlehalerTMの間欠装置の使用によって増強した薬物の肺への沈着の結
果であり得る。GentlehalerTM装置は、米国特許第4,972,8
30号に記載のMDI作動装置である。
【0079】
放射能は、用量形態および投与の経路に関わりなく、糞便中に優先的に排泄さ
れる。尿中の放射能の排泄はそれぞれ、静脈および経口溶液処方物について約2
5%であり、MDIについて7%であり、Gentlehalerについて16
%、そして鼻腔スプレーおよび経口懸濁処方物の両方について2%以下であった
。従ってこれらのデータは、溶液処方物として経口投与された場合、薬物が良好
に吸収されるが、懸濁処方物として経口または鼻腔内に投与後は、僅かしか吸収
されないことを示す。
【0080】
【表3】


選択された血漿、尿、および糞便抽出物を、代謝産物プロファイルを決定する
ための放射線フローモニタリングを伴う高速液体クロマトグラフィー(HPLC
)により分析した。これらの分析の結果は、経口用溶液の投与後、血漿中放射能
のほとんどは、入手可能なスタンダードよりもより極性の代謝産物と関連してい
ることを示した。3時間の血漿中放射能の約1.5%は、広範な初回通過代謝、
および肝臓による迅速な不活性化を示す親薬物に関連していた。対照的に、静脈
内投与後、3時間の血漿中放射能の約39%は、親薬物に関連していた。3時間
の血漿中放射能の約12%および33%は、それぞれMDIおよびGentle
haler投与後の親薬物に関連していた。一般に、鼻腔および経口経路による
懸濁液投与後の放射能の血漿中濃度は、低過ぎて代謝産物の性質付けは成し得な
かった。
【0081】
静脈内および経口用溶液の両方の投与後の尿および糞便抽出物の両方のHPL
C/放射線フロー分析は、放射能の全てが、親薬物よりも極性の高い代謝産物に
結合していることを示した。GentelhalerによりH−MFを服用し
た被検体から得られた尿検体の分析もまた、放射能の全てが、親薬物よりも極性
の高い代謝産物と結合していることを示した。しかし、鼻腔スプレー、経口懸濁
液、および吸入(MDIおよびGentlehaler)処方物の投与後の糞便
抽出物の分析は、おそらく嚥下された未吸収の薬物に起因するモメタゾンフロエ
ートが主に存在することを示した。血漿および尿の加水分解を、βグルクロニダ
ーゼおよびアリルスルファターゼの両方を含有する酵素調製物で実施した。これ
らの実験は、抱合された代謝産物の加水分解放出に一致するHPLC代謝産物プ
ロファイルのそれ程大きくない変化を生じた。
【0082】
身体中のトリチウム化水として用量のパーセントは、尿蒸留実験から、静脈投
与後約3.7%、そして経口溶液投与後2.9%であると推測された。
【0083】
これらの知見は、男性のボランティアへのH−MFの投与後、4%未満のト
リチウム標識が、体の水分と交換されたことを示唆する。
【0084】
これらの薬物代謝/臨床薬学的研究の結果は以下のことを示す:
1.H−MFを溶液として男性ボランティアに経口投与した場合、薬物由来
の放射能は、完全に吸収された。しかし、未変化のモメタゾンフロエートの絶対
的バイオアベイラビリティは、広範な初回通過代謝のため極めて低い(約1%未
満)。
【0085】
2.薬物由来の放射能は、計量用量吸入器(23〜30%)およびGentl
ehalerTM(67〜69%)によるH−MFの経口吸入後、適度に吸収
された。
【0086】
3.H−MFの鼻腔スプレーおよび経口懸濁処方物の投与後、薬物由来の放
射能の吸収は約8%であった。
【0087】
4.未変化のモメタゾンフロエートの血漿中濃度は、MDIまたはGentl
ehalerから懸濁液としての経口吸入、または鼻腔スプレーユニットからモ
メタゾンフロエート一水和物の水性懸濁液の鼻腔吸入、またはこの一水和物の水
性懸濁液の経口嚥下による投与後には、決定され得なかった。何故なら、総放射
能の血漿中濃度が代謝産物の性質付けには低すぎたためであった。
【0088】
5.モメタゾンフロエートは、全ての経路の投与後、広範に代謝された。
【0089】
表3に示されるように、H−MF由来の放射能は、全身的な吸収が、経口嚥
下懸濁液または鼻腔内吸入懸濁液から(8%)よりも、経口嚥下溶液から(約1
00%)の方が高かったことを示唆する。モメタゾンフロエートは、静脈注入に
よる薬物の投与、または溶液投与形態としての経口投与の後、代謝産物の性質付
けにより血漿中に検出可能であったが、経口または鼻腔懸濁液の投与後には、検
出され得なかった。同様に、溶液処方物で投与した後の尿への放射能の排泄は、
鼻腔スプレーまたは経口懸濁液で投与した後(2%)よりも大きかった(25%
)。尿および糞便中の総回収率または放射能は、それぞれ87%および75%で
あり、放射能のほとんどは、糞便中に排泄されていた。静脈内投与後、排泄され
た総放射能は78%であり、24%が尿中に排泄されており、そして54%が糞
便中に排泄されていた。
【図面の簡単な説明】
【0090】
【図1】図1は、男性ボランティアへの種々の処方物および投与経路によるトリチウム標識モメタゾンフロエート投与後の総放射能(ng−eq/mLで測定)の血漿中濃度の時間変化(時間単位で測定)を示すグラフである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
上気道流路または下気道流路または肺の疾患を処置するため
の乾燥粉末吸入薬剤を調製するための、モメタゾンフロエートの使用方法。
【請求項2】
前記薬剤が経鼻吸入のために適した形態である、請求項1に
記載の方法。
【請求項3】
前記薬剤が25〜1000マイクログラムのモメタゾンフロ
エートの個々の用量を提供する形態である、請求項1または2のいずれかに記載
の方法。
【請求項4】
前記薬剤が経口吸入のために適した形態である、請求項1に
記載の方法。
【請求項5】
前記薬剤が10〜2000マイクログラムのモメタゾンフロ
エートの個々の用量を提供する形態である、請求項1または4のいずれかに記載
の方法。
【請求項6】
前記薬剤がモメタゾンフロエートの粒子および賦形剤の粒子
を含有する、請求項1〜5のいずれかに記載の方法。
【請求項7】
前記薬剤がモメタゾンフロエートの粒子およびラクトースの
粒子を含有する、請求項1〜6のいずれかに記載の方法。
【請求項8】
上気道流路または下気道流路または肺の疾患を処置するため
の、モメタゾンフロエートを含有する、乾燥粉末吸入薬剤。
【請求項9】
経鼻吸入に適した形態である、請求項8に記載の薬剤。
【請求項10】
25〜1000マイクログラムのモメタゾンフロエートの
個々の用量を提供する形態である、請求項8または9のいずれかに記載の薬剤。
【請求項11】
経口吸入のために適した形態である、請求項8に記載の薬
剤。
【請求項12】
10〜2000マイクログラムのモメタゾンフロエートの
個々の用量を提供する形態である、請求項8または11のいずれかに記載の薬剤

【請求項13】
モメタゾンフロエートの粒子および賦形剤の粒子を含有す
る、請求項8〜12のいずれかに記載の薬剤。
【請求項14】
モメタゾンフロエートの粒子およびラクトースの粒子を含
有する、請求項8〜13のいずれかに記載の薬剤。

【図1】
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【公開番号】特開2008−31184(P2008−31184A)
【公開日】平成20年2月14日(2008.2.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−273211(P2007−273211)
【出願日】平成19年10月19日(2007.10.19)
【分割の表示】特願2003−158657(P2003−158657)の分割
【原出願日】平成7年1月26日(1995.1.26)
【出願人】(596129215)シェーリング コーポレイション (785)
【氏名又は名称原語表記】Schering Corporation
【Fターム(参考)】