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水−泡噴流による施工方法及び施工システム
説明

水−泡噴流による施工方法及び施工システム

【課題】水−泡噴流を用いてコンクリート、モルタル、土、岩石、道路の白線などの各種材料の洗浄、はつり、切削、破砕、穿孔、消去などの処理を行うに際し、高能率で十分な施工効果が得られ、比較的小型で簡易な機械装置により施工が可能な施工方法及び施工システムを提供する。
【解決手段】水ポンプ3・エアコンプレッサー4・泡発生器5からの10〜50μm程度の微小粒径の気泡を含有するマイクロバブル水、または給水タンク1・超高圧ポンプユニット2からの高圧水とマイクロバブル水を噴射ノズル装置から噴射し、この水−泡噴流によりコンクリート、モルタル、土、または岩石などの処理対象物に噴射して、洗浄、はつり、切削、破砕、穿孔、道路の白線消しなどの処理を行う。水噴流の衝撃波と、気泡のキャビテーションの破壊力により効率の良い処理を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、粒径がμmオーダーの微小粒径の気泡を含有するマイクロバブル水を用いた水−泡噴流を、コンクリート、モルタル、土、岩石などの処理対象物に噴射して、洗浄、はつり、切削、破砕、穿孔などの処理を行う水−泡噴流による施工方法及び施工システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
水噴流(ウォータージェット)は、資源、建設、原子力、医学などの分野で、コンクリート、土、岩石、鋼材、各種材料の洗浄、はつり、切削、破砕などに広く利用され、成果を収めている。しかし、施工の対象物が地下水中もしくはその一部が浸水状態にある場合は、前記の施工効率が著しく低下する。
【0003】
そのため、この短所を改善するために、空気噴流を水噴流用ノズルの出口周辺より水噴流と一緒に噴射する方法が採られ、ある程度、所期の目的を達成している。しかし、この場合も、気泡径が大きいため、早く浮上して消滅することから、十分な施工効果を挙げられないことや、施工の機械装置が大型になり、施工のイニシャルフィーが嵩むといった短所がある。
【0004】
また、本発明に関連するマイクロバブルに関する先行技術として、例えば特許文献1〜3がある。特許文献1の発明は、マイクロバブル発生方法およびその装置であり、液体中に配置した本体パイプ内に気体供給管を配置し、本体パイプ内で発生する負圧を利用し、気体供給管から気体を本体パイプ内に導入し、本体パイプ内で気体と液体を混合し、その後本体パイプ内で下流側に配置したプレートに衝突させてマイクロバブルを発生させるものである。閉鎖水域の水質浄化、生活排水の浄化、洗浄効果による洗剤量の低減、マイクロバブル崩壊時の圧力波を利用した入浴時の保温効果、水上・水中輸送機器の流体抵抗低減に利用できることが記載されている。
【0005】
特許文献2の発明は、ナノバブルの利用方法及び装置であり、マイクロバブルの機能をより高めるために、直径がnmオーダーのナノバブルを利用し、汚れ成分の吸着機能、物体表面の高速洗浄機能、殺菌機能によって各種物体を高機能、低環境負荷で洗浄することができ、汚濁水の浄化を行うことができ、また生体へ適用して疲労回復等に利用し、化学反応にも有効に利用できることが記載されている。
【0006】
特許文献3の発明は、直径20μm以下の微細気泡を工業規模で発生させる旋回式微細気泡発生装置であり、装置容器内に有底円筒形等のスペースを設け、この内壁円周面の一部にその接線方向に加圧液体導入口を開設し、円筒形スペースの底部の中央部に気体導入孔を開設し、円筒形スペースの先端部付近には旋回気液混合体導出口を設け、紐状の旋回気体空洞部を形成するとともに、大きな旋回速度差の発生によって旋回気体空洞部を連続的に安定して切断し、その結果として大量の微細気泡を導出口付近で発生させ、器外の液体中へ放出するものである。池、湖沼、ダム、河川等の水質浄化、微生物による汚水処理、魚類・水棲動物等の養殖等、水耕栽培液中の酸素及び溶存量の向上・収穫率の向上等に有効に使用されることが記載されている。
【0007】
【特許文献1】特開2005−334869号公報
【特許文献2】特開2004−121962号公報
【特許文献3】WO00/69550号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
前述したように、コンクリート、土、岩石などの各種材料の洗浄、はつり、切削、破砕などに、空気噴流を水噴流用ノズルの出口周辺より水噴流と一緒に噴射する方法を採用した場合、気泡径が大きいため、早く浮上して消滅することから、十分な施工効果を挙げられないことや、施工の機械装置が大型になり、施工のイニシャルフィーが嵩むなどの課題がある。
【0009】
本発明は、水−泡噴流を用いてコンクリート、モルタル、土、岩石などの各種材料の洗浄、はつり、切削、破砕、穿孔などの処理を行うに際し、高能率で十分な施工効果を挙げられると共に、比較的小型で簡易な機械装置により施工を行うことができる水−泡噴流による施工方法及び施工システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の原理について説明する。例えば、コンクリートの洗浄やコンクリート構造物の耐震補強などにおいては、高速の水噴流を用いて、コンクリート表面の劣化部を削り取って新しいコンクリートを打設している。これらの施工、即ち洗浄とか、コンクリート表面の削り取り(はつり)は、劣化部のみを能率よく取り除くことが必要になる。従来は、水噴流のみで、あるいは水噴流と空気噴流の併用で、施工していたが、本発明はマイクロバブル水による水−泡噴流を利用する。この水−泡噴流では、キャビテーションの発生によって高い圧力波が発生し、水噴流とキャビテーションの力が大きくかかわることになる。以下に、キャビテーション発生のメカニズム、キャビテーションの効用について説明する。
【0011】
(1)キャビテーションの発生
キャビテーションは泡の示す現象の一つで、元々は水力発電所の水車とか船のスクリューのように、水中で高速回転する羽根の損傷で腐食が発生するなど問題になることが多い。水中で羽根を高速回転させると、ベルヌーイの定理によって圧力の低い部分が生じる。この圧力が飽和水蒸気圧より低くなると、気泡を作る核があるときは蒸気が発生し、同時に水中に溶けている気体が分離し、核の周囲で気体となり、核を中心に気泡が作られる。このような気泡を人工的に作り、安定に形成された気泡が何らかの理由で崩壊するときに放出されるエネルギーの大きさは核の存在の有無に関係なく、気泡を安定に形成してきたエネルギーが一挙に放出されることによって大きな衝撃波を生ずる。
【0012】
(2)キャビテーションの効用
キャビテーションの効用がはっきり分かるのは、超音波洗浄の場合である。従来の洗剤で落とせる塵埃の大きさは数ミクロンが限界とされているのに対し、超音波では0.1ミクロンまで除去できるとされている。このように洗浄力に格段の差がある。このような超音波洗浄には二つの重要な効果がある。その1つはキャビテーションで、もう1つは物理的・化学的反応促進効果である。前者のキャビテーションは、洗浄液中に微小気泡が発生し、それが消滅するたびに強力な衝撃波が発生する。気泡が消滅するときの気泡内の圧力は純粋の場合で100MPaに達する。従って、この気泡が破壊されるときに発生する機械的な力は極めて大きい。この機械的な力は水噴流が本来持っている衝撃波と一緒になって、コンクリートの洗浄や表面の劣化コンクリートの除去などに役立つ。もう1つの物理的・化学的反応促進は、キャビテーション効果に比べると、極めて小さいので殆ど無視していいものと考えられる。
【0013】
本発明の請求項1の発明は、粒径50μm以下の気泡を含有するマイクロバブル水、または水とマイクロバブル水から構成される水−泡噴流を、コンクリート、モルタル、土、または岩石などの処理対象物に噴射して、洗浄、はつり、切削、破砕、穿孔、または道路の白線消しなどの処理を行うことを特徴とする水−泡噴流による施工方法である。
【0014】
マイクロバブル水は、粒径が10μmから50μmの微小粒径の気泡を含有する水であり、(i)攪拌羽根の高速回転、(ii)焼結金属のようなポーラスな細孔からの空気の噴出、(iii)水噴流の突起物への衝突、(iv)圧力急変部に空気を導入して引きちぎる、などにより発生させることができる。コンクリート、モルタルなどの洗浄、はつり、切削など、あるいは土や岩石の切削、破砕など、さらにコンクリートなどの穿孔などに利用することができる。
【0015】
本発明の請求項2の発明は、請求項1に記載の施工方法において、マイクロバブル水の気泡の粒径が10μmから50μmであることを特徴とする水−泡噴流による施工方法である。
【0016】
10μm未満のマイクロバブルは、(a)気泡同士の合体や吸収が起こらず、単一気体のままで水中に長時間留まり、その寿命が比較的長く、(b)浮上速度が極めて遅い(毎時2〜3m)ため、水平方向の拡散性に優れ、(c)水中に長時間留まり、単位体積当りの気泡表面積が大きいため、水に溶け易い、などの特性がある。従って、10μmから50μm程度のマイクロバブル水が好ましい。直径がnmオーダーのナノバブルは、キャビテーション効果が期待できないので、バブルは10μm以上の粒径が好ましい。
【0017】
本発明の請求項3の発明は、請求項1または請求項2のいずれかに記載の施工方法において、水と、マイクロバブル水とを噴射ノズル装置から噴射させて水−泡噴流を得ることを特徴とする水−泡噴流による施工方法である。例えば、図2(b)〜(e)に示すように、高圧水と、別途生成したマイクロバブル水とを別々に噴射ノズル装置に供給し、高圧の水噴流とマイクロバブル水の噴流とにより施工を行う。
【0018】
本発明の請求項4の発明は、請求項1または請求項2のいずれかに記載の施工方法において、マイクロバブル水を噴射ノズル装置から噴射させて水−泡噴流を得ることを特徴とする水−泡噴流による施工方法である。例えば、図2(a)に示すように、生成したマイクロバブル水を貯水槽からポンプにより噴射ノズル装置に送り、噴射ノズル装置から直接マイクロバブル水を噴射させる。
【0019】
本発明の請求項5の発明は、水−泡噴流をコンクリート、モルタルなどの処理対象物に噴射して、洗浄、はつり、または道路の白線消しなどの処理を行う水−泡噴流を用いた施工システムであり、粒径10μmから50μm程度の微小粒径の気泡を含有するマイクロバブル水、または水とマイクロバブル水から構成される水−泡噴流を噴射する噴射ノズル装置を備えた施工装置と、前記噴射ノズル装置にマイクロバブル水または水及びマイクロバブル水を供給する水−泡噴流供給系統と、施工装置内のスラリーを回収するスラリー回収系統を有することを特徴とする水−泡噴流を用いた施工システムである。
【0020】
例えば、図1に示す施工システムであり、給水タンク・超高圧ポンプユニット等(水噴流系統)と水ポンプ・コンプレッサー・ミキサー等(泡噴流系統)とから水−泡噴流供給系統が構成され、スラリー回収タンク・貯水タンクからスラリー回収系統が構成される。あるいは、図6に示すように、清水タンク・高圧水ポンプにより水−泡噴流供給系統が構成され、送風機・レシーバータンク・吸い上げポンプ等によりスラリー回収系統が構成される。施工効率の向上を図るためには、車両の後部に洗浄・はつり等の施工装置を取り付け、システム機器を荷台に搭載するのが好ましい。具体例として、例えば、道路の洗浄、道路の補修・補強のためのはつり、道路の白線消しなどに適用される。
【0021】
本発明の請求項6の発明は、請求項5に記載の施工システムにおいて、施工装置は、複数の噴射ノズル装置を回転軸の回りに回転させると共に前記回転軸を移動させるロータリージェット方式であることを特徴とする水−泡噴流を用いた施工システムである。
【0022】
本発明の請求項7の発明は、請求項5に記載の施工システムにおいて、施工装置は、噴射ノズル装置を移動方向の直角方向に揺動させると共に移動させるスイングジェット方式であることを特徴とする水−泡噴流を用いた施工システムである。
【0023】
例えば、図4に示すように、噴射ノズル装置に円が順次ずれる運動軌跡を描かせるロータリージェット方式、あるいは鋭角の波形の運動軌跡を描かせるスイングジェット方式であり、施工装置を車両などに取り付けて、運動軌跡の移動方向の直角方向に進行させて、洗浄やはつり等を行う。
【0024】
本発明の請求項8の発明は、水−泡噴流をコンクリート、モルタル、土、または岩石などの処理対象物に噴射して、穿孔などの処理を行う水−泡噴流を用いた施工システムであり、粒径10μmから50μm程度の微小粒径の気泡を含有するマイクロバブル水、または水とマイクロバブル水から構成される水−泡噴流を噴射する噴射ノズル装置をロッド先端に備えた穿孔機と、前記噴射ノズル装置にマイクロバブル水または水及びマイクロバブル水を供給する水−泡噴流供給系統と、穿孔機のロッドに水を供給する掘削ずり排出用給水系統を有することを特徴とする水−泡噴流を用いた施工システムである。
【0025】
例えば、図7に示す施工システムであり、水槽・超高圧ポンプ等(高圧水発生ライン)とポンプ・ミキサー等(バブル発生ライン)とから水−泡噴流供給系統が構成され、スラリーポンプ等から掘削ずり排出用給水系統が構成される。穿孔機は、例えば図8に示すように、回転駆動されるロッドの下端内部に、ビットの代わりに少なくとも2個の水−泡噴流用ノズル装置を配置し、各ノズルの指向角度を噴流が孔内壁の一点に集中するように設定し、マイクロバブル水または高圧水とマイクロバブル水で穿孔する。具体例として、例えばグランドアンカーの穿孔、コンクリート構造物の耐震補強のための鉄板の固定のための穿孔、ビルから外部に出ている塔状構造物や外壁などの固定用アンカーのための穿孔、擁壁やシートパイルなどのアンカーのための穿孔、浅層地中熱利用の熱交換器設置孔のための穿孔、地盤改良、杭の打ち込みなどに適用される。
【発明の効果】
【0026】
本発明は、以上のような構成からなるので、次のような効果が得られる。
【0027】
(1) マイクロバブル水による水−泡噴流は、水噴流とマイクロバブルを一諸に噴射するため、水中での水噴流に比べて、水中における水噴流の有効射程距離が長くなり(図3参照)、水中での穿孔速度が向上し、またマイクロバブルは、一般の大きな気泡のように早く浮上して消滅することがなく、気泡の利用時間が長く、気泡のキャビテーション効果を十分に利用することができ、コンクリート、モルタル、土、岩石などの各種材料の洗浄、はつり、切削、破砕、穿孔などの処理において高能率で十分な施工効果を確実に挙げることができる。
【0028】
(2) 水中での利用だけでなく、地下水等のない気中施工においても、気泡のキャビテーション効果、即ちマイクロバブルの破壊に伴う微小範囲での高圧水の発生により、高能率で十分な施工効果を確実に挙げることができる。
【0029】
(3) マイクロバブル水は比較的簡単に生成することができ、また既存機械装置の転用も可能であり、比較的小型で簡易な機械装置により施工を行うことができ、コストの低減が可能となる。また、機動性、汎用性にも富む。
【発明を実施するための最良の形態】
【0030】
以下、本発明を図示する実施形態に基づいて説明する。図1は、本発明をコンクリートの洗浄、はつりに適用した場合の一例であり、道路の洗浄、補修、補強のための修復に用いる施工システムの一実施形態を示したものである。この施工システムを利用して道路で施工を行う場合、施工能率の向上を図るためには、システムの一部、もしくはシステム全体をトラック等の車両に搭載することが必要となる。
【0031】
図1において、施工システムは、給水タンク1と、超高圧ポンプユニット2と、水ポンプ3と、エアコンプレッサー4と、ミキサー5と、システムコントローラー6と、コンクリートの洗浄・はつり装置(施工装置)7と、スラリー回収タンク(固形分分離用)8と、貯水タンク9から構成されている。このシステムは、給水タンク1と、超高圧ポンプユニット2と、コンクリートの洗浄・はつり装置7と、スラリー回収タンク8と、貯水タンク9から構成される水噴流系統と、給水タンク1と、水ポンプ3と、エアコンプレッサー4と、ミキサー5から構成される泡噴流系統に大別される。システムコントローラー6により各機器が制御される。
【0032】
使用する水噴流の圧力は洗浄とはつりでは異なり、前者では30〜50MPa、後者は100〜250MPaである。但し、この値は通常の場合であって、特殊な条件が加わる場合、例えば、洗浄で汚れが著しく少ない場合とか、はつりの深さが深い場合などでは、これら条件を下回ったり、上回ったりすることがある。
【0033】
コンクリートの洗浄・はつり装置7における機械装置には、水−泡噴流ノズル、これらのノズルをノズルホルダーに取り付けて所定の運動をさせる装置を用いる。図2は、水−泡噴流用ノズル装置の例を示したものであり、図3はノズルに所定の運動させる装置の例を示したものである。
【0034】
図2において、水−泡噴流用ノズル装置として5つのタイプがある。図2(a)は、ポンプ用貯水槽でマイクロバブルを発生させ、直接マイクロバブル水BWをノズル10aから加圧・噴射する水−泡噴流用ノズル装置10−1である。ノズル装置自体非常に単純になるといったメリットがある。
【0035】
図2(b)は、水噴流用ノズル10bと水−泡噴流用ノズル10cを単純に並列配置し、水Wとマイクロバブル水BWを平行に噴射する水−泡噴流用ノズル装置10−2である。機械加工が比較的容易であるが、キャビテーション効果は低い。
【0036】
図2(c)は、中央部のノズル10dから水Wを、周囲の環状ノズル10eからマイクロバブル水BWを噴射する水−泡噴流用ノズル装置10−3である。キャビテーション効果は水中では高い。
【0037】
図2(d)は、(c)の噴射位置を逆にしたものであり、中央部のノズル10dからマイクロバブル水BWを、周囲の環状ノズル10eから水Wを噴射する水−泡噴流用ノズル装置10−4である。気中噴射の洗浄などで機能を発揮する。
【0038】
図2(e)は、中央部のノズル10fから水Wを噴射し、混合室10gにマイクロバブル水BWを供給して水Wと混合させ、先端のノズル10hから噴射する水−泡噴流用ノズル装置10−5である。
【0039】
なお、マイクロバルブの発生は、(i)攪拌羽根を高速回転させる、(ii)焼結金属のようなポーラスな細孔から空気を噴出させる、(iii)水噴流を突起物へ衝突させる、(iv)圧力急変部に空気を導入して引きちぎる、などの方法が考えられている。本発明で利用するマイクロバブルは粒径数10μm程度のものであり、前述したとおり、貯水槽でマイクロバブルを発生させ、直接マイクロバブル水を噴射させる、あるいは水とマイクロバブル水を一緒に噴射させる。
【0040】
図3は、水−泡噴流の性状を示すグラフであり、横軸がノズル出口からの距離であり、縦軸が圧力比(ノズル出口から任意の距離における水噴流の軸上圧力P/ノズル出口における水噴流の軸上圧力P)である。図3において、Aは空中での水噴流の場合、Bは水中における水−泡噴流の場合、Cは水中での水噴流の場合である。
【0041】
本発明の水−泡噴流を洗浄、はつりなどに適用した場合、(1)図3に示すように、水中での水噴流Cに比べて水中における水−泡噴流Bは有効射程距離が長くなるので、各種材料(例えば、土、岩石、コンクリート、または道路の白線など)の洗浄、はつり、切断、破砕、道路の白線消しなどの処理の効率がよくなる。(2)マイクロバブルは一般の大きな気泡のように早く浮上して消滅することがないので、洗浄、はつり、切断、破砕などの処理の効果を確実に挙げられる。(3)地下水などのないところの施工でも、キャビテーション効果があるので、その施工目的に応じた効果が確実に挙げられる。
【0042】
図4において、(a)はロータリージェット方式、(b)はスイングジェット方式である。図4(a)では、コンクリートの洗浄・はつり装置に設置される円盤状のノズルホルダー20の下部に前述した種々のタイプの水−泡噴流用ノズル装置10を円周方向に等間隔をおいて少なくとも2個取り付け、ノズルホルダー20をモータ21と平歯車22、23により回転軸24を回転中心として回転させる。装置を直線移動させることにより、円が順次ずれた運動軌跡が得られる。なお、二重ノズルの場合は、スイベル25に二重スイベルを用いる。
【0043】
図4(b)では、水−泡噴流用ノズル装置10のノズルホルダー26を装置架台に揺動可能に設け、移動方向の直角方向に揺動させる。鋭角の波形の運動軌跡が得られる。
【0044】
機械運動の確実性、機械製作の難易度、耐久性などから考えて、ロータリージェット方式は実用化が容易である。なお、スイングジェット方式の場合、はつったりする場合に、揺動の両端で一時停止状態になるため、はつり面の凹凸が大きくなる場合が多い。
【0045】
図5、図6は、洗浄・はつりなどの施工装置をトラック等に搭載した場合の例を示したものである。図5は、洗浄・はつりなどの施工装置の一例であり、前述のロータリージェット方式の水−泡噴流噴射装置31を移動方向の直角方向に千鳥状に配列し、各水−泡噴流噴射装置31を回転用駆動モータ32によりチェーン・スプロケットの動力伝達機構を介して同期して回転させるように構成されている。装置架台33は、車両30の後部にスライドシャフト34を介して取り付けられ、進行方向の直角方向に水平シフトできるように構成されている。シフト用駆動モータ35によりスクリューロッド36による駆動方式で水平移動する。
【0046】
千鳥配列の複数の水−泡噴流噴射装置31は仕切板・スカート37により取り囲まれて、装置架台33の下部の作業空間内に納められており、この作業空間内に導入口38からエアブローが導入され、汚泥水が吸引ダクト39を通り排出口40から排出される。
【0047】
図6は、トラックに搭載した施工システムの概要を示したものであり、車両30の荷台には、清水タンク41、エンジン発電機43で駆動される高圧水ポンプ42が設置され、水−泡噴流噴射装置31に水及びマイクロバブル水が供給される。また、送風機44とレシーバータンク45が設置され、導入口38にエアブローが供給され、送風機44の吸引により汚泥水が排出口40からレシーバータンク45戻される。レシーバータンク44には、濾過フィルター46が設けられている。レシーバータンク45内の汚泥水は、吸い上げポンプ47、フィルター48を経て清水タンク41に供給される。
【0048】
次に、コンクリート、土、岩石などの穿孔方法について説明する。図7は、穿孔方法に用いられる施工システムの一例を示したものである。図7において、施工システムは、鉛直方向の穿孔機50、高圧水発生ライン51、泡発生ライン52、スラリーポンプ53から構成されている。
【0049】
高圧水発生ライン51は、水槽54からタービンポンプ55により水を超高圧ポンプ56に送り、超高圧ホース57により穿孔機50に高圧水を供給する。泡発生ライン52は、ポンプ58とミキサー59によりマイクロバブル水を穿孔機50に供給する。穿孔機50のロッド上部に二重スイベル60が設けられ、この二重スイベル60の上側に高圧水及びマイクロバブル水の取り込み口が設けられている。穿孔機50のロッド70の上端には、穿孔により発生するスライムを正循環で除去するため、スラリーポンプ53からのホースの接続金具が設けられている。
【0050】
超高圧ポンプ56は、穿孔対象の強度によって吐出圧力を変えるが、一般のコンクリートや堆積岩などの穿孔、切削などの場合は、250MPa以下の吐出圧力、風化していない花崗岩のような火成岩の場合は、250MPaでも切削することができるが、400〜500MPaの吐出圧力が望ましい。もしくは水噴流に研磨材を混ぜたアブレッシブジェットを用いることになる。250MPaのポンプならプランジャーポンプが主体で、流量は10リットル/minから20リットル/min程度を標準とする。また、新鮮な花崗岩では、400〜500MPa程度のブースターポンプの利用が望ましい。
【0051】
図8は、穿孔機のロッド下端部分の詳細を示したものであり、ビットの代わりに水−泡噴流用ノズル装置10を用い、マイクロバブル水BWで穿孔するものである。ロッド70の下端内部に少なくとも2個の水−泡噴流用ノズル装置10を配置し、各ノズルの指向角度を噴流が孔内壁の一点に集中するように設定する。水とマイクロバブル水を噴出させる場合には、二重管71が配置される。ロッド70を回転させることによりマイクロバブル水の噴流の持つ衝撃力とキャビテーション効果で穿孔が行われる。ボーリングのように大きな推力を必要としない。
【0052】
図9は、穿孔の施工順序を示したものである。垂直に土、岩石、コンクリートなどを穿孔する場合について説明すると、(i)準備工として、使用する穿孔機50等からなる施工システムを所定の位置に設置する。(ii)高圧ポンプ、マイクロバブル発生装置などを始動し、所定の位置で穿孔を行う。所定の深度まで穿孔する。(iii) 穿孔終了後、使用機械装置を撤去する。(iv) 更に穿孔を行う場合は、(ii)の工程を繰り返して穿孔を行う。
【0053】
このマイクロバブル水による穿孔は、グランドアンカーの穿孔、コンクリート構造物(高速道路や新幹線など)の耐震補強のための鉄板の固定のための穿孔、ビルから外部に出ている塔状構造物や外壁などの固定用アンカーのための穿孔、擁壁やシートパイルなどのアンカーのための穿孔、浅層地中熱利用の熱交換器設置孔のための穿孔、地盤改良、バイブロハンマーの併用にる鋼管杭・コンクリート杭・シートパイル等の打ち込み、その他に利用することができる。
【0054】
本発明の水−泡噴流を穿孔などに適用した場合の特徴を挙げると下記のとおりである。即ち、(1)コンクリートなどを破砕する有効射程距離が長くなる。従って、水中での穿孔速度が向上する。(2)マイクロバブルはコンプレッサーから導かれた大きな気泡のように早く浮上して消滅することがないので、穿孔などの処理の効果を確実に挙げられる。(3)水のない気中施工でも、キャビテーション効果があるので、その施工目的に応じた効果が確実に挙げられる。(4)流体による穿孔であるから、ビットなどの固体接触方式の場合と比較して、対象のコンクリートにマイクロクラックのような損傷を与えない。(5)水噴流はその進行方向にのみ応力がかかり、直角方向には殆ど力がかからないから、健全部に損傷を与えない。
【図面の簡単な説明】
【0055】
【図1】本発明に係る施工システムの一実施形態を示す図である。
【図2】本発明の施工方法で用いる水−泡噴流用ノズル装置の種々の例を示す断面図である。
【図3】噴流用ノズル装置におけるノズル出口からの距離と圧力比(P/P)の関係を水噴流と水−泡噴流で比較したグラフである。
【図4】本発明の水−泡噴流用ノズル装置の運動方式の例を示す平面図と側面図である。
【図5】本発明の洗浄・はつりなどの施工装置の一例を示す(a)は側面図、(b)は平面図である。
【図6】本発明の洗浄・はつりなどの施工装置をトラック等に搭載した場合の例を示す側面図である。
【図7】本発明の穿孔方法に用いられる施工システムの一例を示す図である。
【図8】図7の穿孔機のロッド下端の一例を示す鉛直断面図である。
【図9】図7の施工システムによる穿孔方法の一例を工程順に示す図である。
【符号の説明】
【0056】
W……水
BW…マイクロバブル水
1……給水タンク
2……超高圧ポンプユニット
3……水ポンプ
4……エアコンプレッサー
5……泡発生器
6……システムコントローラー
7……コンクリート洗浄・はつり装置(施工装置)
8……スラリー回収タンク
9……貯水タンク
10……水−泡噴流用ノズル装置
20……ノズルホルダー
21……モータ
22、23…平歯車
24……回転軸
25……スイベル
26……ノズルホルダー
30……車両
31……水−泡噴流噴射装置
32……回転用駆動モータ
33……装置架台
34……スライドシャフト
35……シフト用駆動モータ
36……スクリューロッド
37……仕切板・スカート
38……導入口
39……吸引ダクト
40……排出口
41……清水タンク
42……高圧水ポンプ
43……エンジン発電機
44……送風機
45……レシーバータンク
46……濾過フィルター
47……吸い上げポンプ
48……フィルター
50……穿孔機
51……高圧水発生ライン
52……泡発生ライン
53……スラリーポンプ
54……水槽
55……タービンポンプ
56……超高圧ポンプ
57……超高圧ホース
58……ポンプ
59……泡発生器
60……二重スイベル
70……ロッド
71……二重管

【特許請求の範囲】
【請求項1】
粒径50μm以下の気泡を含有するマイクロバブル水、または水とマイクロバブル水から構成される水−泡噴流を、コンクリート、モルタル、土、または岩石などの処理対象物に噴射して、洗浄、はつり、切削、破砕、または穿孔などの処理を行うことを特徴とする水−泡噴流による施工方法。
【請求項2】
請求項1に記載の施工方法において、マイクロバブル水の気泡の粒径が10μmから50μmであることを特徴とする水−泡噴流による施工方法。
【請求項3】
請求項1または請求項2のいずれかに記載の施工方法において、水と、マイクロバブル水とを噴射ノズル装置から噴射させて水−泡噴流を得ることを特徴とする水−泡噴流による施工方法。
【請求項4】
請求項1または請求項2のいずれかに記載の施工方法において、マイクロバブル水を噴射ノズル装置から噴射させて水−泡噴流を得ることを特徴とする水−泡噴流による施工方法。
【請求項5】
水−泡噴流をコンクリート、モルタルなどの処理対象物に噴射して、洗浄、はつり、または道路の白線消しなどの処理を行う水−泡噴流を用いた施工システムであり、
粒径10μmから50μm程度の微小粒径の気泡を含有するマイクロバブル水、または水とマイクロバブル水から構成される水−泡噴流を噴射する噴射ノズル装置を備えた施工装置と、前記噴射ノズル装置にマイクロバブル水または水及びマイクロバブル水を供給する水−泡噴流供給系統と、施工装置内のスラリーを回収するスラリー回収系統を有することを特徴とする水−泡噴流を用いた施工システム。
【請求項6】
請求項5に記載の施工システムにおいて、施工装置は、複数の噴射ノズル装置を回転軸の回りに回転させると共に前記回転軸を移動させるロータリージェット方式であることを特徴とする水−泡噴流を用いた施工システム。
【請求項7】
請求項5に記載の施工システムにおいて、施工装置は、噴射ノズル装置を移動方向の直角方向に揺動させると共に移動させるスイングジェット方式であることを特徴とする水−泡噴流を用いた施工システム。
【請求項8】
水−泡噴流をコンクリート、モルタル、土、または岩石などの処理対象物に噴射して、穿孔などの処理を行う水−泡噴流を用いた施工システムであり、
粒径10μmから50μm程度の微小粒径の気泡を含有するマイクロバブル水、または水とマイクロバブル水から構成される水−泡噴流を噴射する噴射ノズル装置をロッド先端に備えた穿孔機と、前記噴射ノズル装置にマイクロバブル水または水及びマイクロバブル水を供給する水−泡噴流供給系統と、穿孔機のロッドに水を供給する掘削ずり排出用給水系統を有することを特徴とする水−泡噴流を用いた施工システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2007−283183(P2007−283183A)
【公開日】平成19年11月1日(2007.11.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−111839(P2006−111839)
【出願日】平成18年4月14日(2006.4.14)
【出願人】(594203405)
【出願人】(301021533)独立行政法人産業技術総合研究所 (6,529)
【Fターム(参考)】