説明

水から水素と酸素を生成する方法、及びケイ素化合物を用いた水素と酸素の貯蔵方法

【課題】
本発明は、ケイ素化合物、ケイ素化合物と同種の組成物、ケイ化金属、ボロシリサイド、カーボシリサイド及びニトロシリサイドといった非金属のケイ素化合物の存在下、水から水素及び/または酸素を光化学的及び熱化学的に生成させる方法に関する。
【解決手段】
前記物質は全てケイ素を含有し、分子式RSix及び/またはRSixyで表され、Rは有機の、金属の、有機金属の、生化学由来の及び/または無機の残基であり、Siはケイ素であり、特にXは1以上、Oは酸素であり、Yは0以上である。前記物質のケイ素化合物の部分は、ケイ素原子の部分で高い電子密度を示し、前記物質は、酸化されていてもよい。ケイ素化合物、ケイ素化合物と同種の組成物及び/またはその酸化物は、光の有無に関係なく、触媒的に反応する。しかし、太陽光でも人口光でも光の照射があれば、ガス発生量は増加する。温度は高温が好ましい。ケイ素化合物、ケイ素化合物と同種の組成物及び/またはその酸化物は、ほとんど半導体型材料である。さらに、前記物質は、酸素及び水素を可逆的に吸収/脱離でき、酸素の吸収と脱離は好ましいが、同時に水素も吸収/脱離される。水素と酸素の脱離は、大気温または高温で生じ、特に水素に関しては、ケイ素化合物、ケイ素化合物と同種の組成物及び/またはその酸化物の種類による。さらに、ペリレン、ペリレン色素、ペリレン同属体/類似体といった色素を、ケイ素化合物、ケイ素化合物と同種の組成物及び/またはその酸化物にカップリング/錯化させると、光を吸収させるのに好ましく、従って、ケイ素化合物、ケイ素化合物と同種の組成物及び/またはその酸化物の反応性向上に好ましい。さらに、水を還元及び/または酸化して水素及びまたは酸素を生成させるための、ケイ素化合物、ケイ素化合物と同種の組成物及び/またはその酸化物を使用する反応は、ケイ素化合物、ケイ素化合物と同種の組成物及び/またはその酸化物を固定させて、つまり、前記物質をガラスまたはガラス様材料や、高分子表面または高分子材料(特に、高分子材料及び/またはガラス類の材料が導電性のとき)に付着させて、実施してもよい。同じことが、前記ガスを貯蔵及び放出する場合にもあてはまる。さらに、酸素は、On(n>3)で示されるポリ酸素及び/またはH2On(n>2)で示されるポリ過酸化水素に可逆的に変化する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水をケイ素化合物、ケイ素化合物と同種の組成物及び/またはその酸化物と接触させて酸素及び/または水素を光化学的及び熱化学的に製造/生成する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
水素と酸素を得るために、金属触媒を使用して水を酸化及び/または還元する手段がいくつか開示されている。後者の目的のために、これまで使用されている触媒は、NaTaO3:Laといったランタニド型光触媒、R2Ti2O7(R=Y、希土類元素)といった希土類金属に基づく触媒、またはいわゆる多層セルに配置されるTiO2由来の半導体材料である。特に、上記手法においては、ケイ素化合物、ケイ素化合物と同種の組成物及び/またはその酸化物を使用していない手段が用いられていた。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
水から水素と酸素を生成させる方法は、半導体と光を使用した還元及び/または酸化工程を有する。上記工程は、総和水分解法(summa water splitting processes)ともいわれる。これまで開示した手段は紫外線ライトを使用している。いくつかは大量の水素と酸素が発生するけれども、照射条件は太陽光の利用には適していない。さらに、触媒の調製は困難であり、高温且つ非常に高価な高純度材料が出発物質であることから不経済でもある。さらに、非常に高純度の水(つまり、3回蒸留した純水)が必要でもある。触媒の安定性に関するものも含めて、長年、関連出願は出されていない。
【課題を解決するための手段】
【0004】
従って、本発明の解決手段は、ケイ素化合物、ケイ素化合物と同種の組成物及び/またはその酸化物、つまり、ケイ素とその酸化物(分子式はRSixOyであり、式中、Rは純粋なまたは混合した有機の、金属の、有機金属の及び/若しくは生化学由来の残基並びに/または無機の残基であり、Siはケイ素、特にXが1以上のケイ素化合物の部分であり、Oは酸素であり、Yは0以上である。)を共に含む組成物に、水を接触させて酸素及び/または水素を光化学的及び熱化学的に製造/生成する方法である。これら組成物中のケイ素化合物の部分は、ケイ素元素部にて特に高い電子密度を示す。ケイ素化合物、ケイ素化合物と同種の組成物及び/またはその酸化物は、以下に記載する方法にて、光の存在下または光が無くとも光触媒的に反応する。しかし、光の照射により、ガスの発生量は増加する。この光は人工光でも太陽光でもよい。これらの方法では、反応温度は高温であることが好ましい場合がある。ケイ素化合物、ケイ素化合物と同種の組成物及び/またはその酸化物は、ほぼ半導体型の材料である。
【発明の効果】
【0005】
前記材料は、水素と酸素を可逆的に貯蔵/放出、及び/または吸収/脱離することができる。酸素の貯蔵/放出、及び/または吸収/脱離が好ましいが、同時に水素の貯蔵/吸収と脱離/放出も起こる。水素と酸素の放出/脱離は、気温または気温よりも高い温度で起こり、特に、この製造方法は、水素に関しては、使用するケイ素化合物、ケイ素化合物と同種の組成物及び/またはその酸化物の種類による。
【0006】
さらに、ペリレン、ペリレン色素、ペリレン同属体/類似体といった色素を、ケイ素化合物、ケイ素化合物と同種の組成物及び/またはその酸化物にカップリング/錯化/付着/結合させると、光を吸収させるのに好ましく、従って、ケイ素化合物、ケイ素化合物と同種の組成物及び/またはその酸化物の反応性向上に好ましい。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
水を還元及び/または酸化して水素及びまたは酸素を生成させるための、ケイ素化合物、ケイ素化合物と同種の組成物及び/またはその酸化物を使用する反応は、ケイ素化合物、ケイ素化合物と同種の組成物及び/またはその酸化物を固定させて、つまり、前記物質をガラスまたはガラス様材料や、高分子表面または高分子材料(特に、高分子材料及び/またはガラス類の材料が導電性のとき)に付着または固定させて、実施してもよい。
【0008】
さらに、ケイ素化合物、ケイ素化合物と同種の組成物及び/またはその酸化物が固定されるとき、つまり、ガラス及び/若しくはガラス様の材料並びに/または高分子表面に付着/固定されるとき、これら物質を用いた水素及び/または酸素の貯蔵/放出、及び/または吸収/脱離は、光の存在下でも光の無い状態でも実施できる。
【0009】
さらに、酸素が式On(n>3)のポリ酸素(polyoxygen)及び/または式H2On(n>2)のポリ過酸化水素(hydrogenpolyperoxide)に変化する工程は、再度酸素を生成する逆反応も含めて文献に記載されていないが、ここでは実験的に、つまり、浅いエネルギー極小(従って、気相におけるポリ酸素とポリ過酸化水素の安定性の低さの問題)を予測する計算に基づいた理論研究で見出した。しかし、経験上、ポリ酸素とポリ過酸化水素の安定性は、外見的には、溶液中での安定化及び/または金属による安定化の結果である。
【0010】
上記問題は、ケイ素化合物、ケイ素化合物と同種の組成物、金属ケイ素化物並びにボロシリサイド、カルボシリサイド及びニトロシリサイドといった非金属ケイ素化合物を用いることで解決できる。つまり、前記物質はすべてケイ素を含有しており、分子式は、
RSixOy
(式中、Rは有機の、金属の、有機金属のまたは無機の残基を表し、Siはケイ素、特にXが1以上のケイ素化合物の部分を表し、Oは酸素であってYは0以上である。)である。なお、以下の文中で、上記ケイ素化合物型組成物は、ケイ素化合物、ケイ素化合物と同種の組成物及び/またはその酸化物と記載した。これら組成物のケイ素化合物部分は、ケイ素の部分にて、特に高い電子密度を示す。つまり、前記ケイ素原子の部分は、元のケイ素原子よりも電子密度が高い。
【0011】
ボロシリサイド、カルボシリサイド及びニトロシリサイドといった非金属ケイ素化合物は、それぞれホウ化ケイ素、炭化ケイ素、窒化ケイ素ともいわれる。
【0012】
ケイ素化合物、ケイ素化合物と同種の組成物、金属ケイ素化物、非金属ケイ素化物の例には、分子式:RSixOy
(式中、Rは有機の、金属の、有機金属の、生化学由来の及び/または無機の残基であり、Siはケイ素、特にXが1以上のケイ素化合物の部分であり、Oは酸素であり、Yは0以上である)のケイ素化合物がある。Rはリチウム、ベリリウム、ナトリウム、カリウム、カルシウム、銅、亜鉛、ロジウム、スカンジウム、ルビジウム、ガリウム、セレン、パラジウム、カドミウム、鉛、オスミウム、アンチモン、イリジウム、タングステン、スズ、ストロンチウム、バリウム、チタニウム、ニッケル、鉄、タリウム、ホウ素、コバルト、白金、マンガン、チタニウム、ケイ素、炭素、ナノチューブ状の炭素、イリジウム、モリブデン、窒素、ジルコニウム、タンタル、バナジウム、クロム、銀、金、ランタニド、アクチニド、染料(つまりペリレン)やアルコキシ残基といった有機残基、及び/またはこれらの酸化物であり、そのほかに前記Rの混合物もまた含まれる。このうち、ケイ化チタニウム(TiSi2、Ti5Si3)、ケイ化ニッケル(Ni2Si)、ケイ化鉄(FeSi2、FeSi)、ケイ化タリウム(ThSi2)、ホウ化ケイ素または4ホウ化ケイ素(B4Si)、ケイ化コバルト(CoSi2)、ケイ化白金(PtSi、Pt2Si)、ケイ化マンガン(MnSi2)、炭化ケイ素チタニウム(Ti3C2Si)、炭化ケイ素/ポリ炭化ケイ素若しくはシリコンカーバイド/ポリシリコンカーバイド(CSi/ポリCSiまたはSiC/ポリSiC)、ケイ化イリジウム(IrSi2)、ニトロシリサイド若しくは窒化ケイ素(N4Si3)、ケイ化ジルコニウム(ZrSi2)、ケイ化タンタル(TaSi2)、ケイ化バナジウム(Va2Si)、ケイ化クロム(CrSi2)、ペリレンケイ化チタニウム若しくはバナジウム、またはメトキシ若しくはエトキシケイ化チタニウム、バナジウム若しくは鉄またはこれらの酸化物が好ましい。
【0013】
ケイ素化合物、ケイ素化合物と同種の組成物及び/またはその酸化物は、安価且つ豊富にあり、本発明に係る分野における使用はない。これらは、トランジスタ技術と光起電装置及びその応用に使用される。
【0014】
ケイ素化合物、ケイ素化合物と同種の組成物及び/またはその酸化物は、光を用いた反応または光を用いない反応(つまり、光及び/または熱工程)を行うことで、水から水素及び/または酸素を生成させることができる。
【0015】
ケイ素化合物、ケイ素化合物と同種の組成物及び/またはその酸化物は、ケイ素元素と比較して電子密度の高いケイ素原子も含まれる材料である。ケイ素を金属及び/若しくは非金属種である他の元素並びに/またはその酸化物と接触させると、上記結果が生じる。
【0016】
ケイ素化合物、ケイ素化合物と同種の組成物は、水、酸素、他の酸化物媒体との接触により様々な程度で酸化する、つまり反応条件次第で0〜100%の酸化状態となることも重要である。
【0017】
ケイ素化合物、ケイ素化合物と同種の組成物及び/またはその酸化物は、溶液/懸濁液中でも固体状及び/または溶融状及び/またはガス状中でも、個々の元素及び/またはその酸化物と様々な比率で接触させることで調製できる。
【0018】
ケイ素化合物、ケイ素化合物と同種の組成物及び/またはその酸化物は、ケイ素、炭素、窒素及びボロンのそれぞれに高い電子密度を有した主に半導体型材料である。ケイ素化物、ケイ素化合物と同種の組成物及び/またはその酸化物を用いた水素及び/または酸素の生成方法は、光があっても無くても実施できるが、光を照射させながら実施するのが好ましい。光エネルギー及び熱エネルギーは、人工光源または太陽光源(光源及び熱源は200〜15000nmの波長を放射)であり、拡散光でも集中光でもよい。光エネルギーに加えて熱エネルギーも光源から生成される。一般に熱はガスの発生工程を促進する。通常、反応温度が高いと、前記工程をかなり促進する。
【0019】
ケイ素化合物、ケイ素化合物と同種の組成物及び/またはその酸化物は、それ自身で太陽光または人工光の放射を十分に吸収する。このとき、水を還元及び/または酸化させて水素及び/または酸素を生成させるのに効果的な表面処理技術は要しない。
【0020】
さらに、本発明に係る製造方法は同時並立的に起こるが、温度とケイ素化物、ケイ素化合物と同種の組成物及び/またはその酸化物の種類とにより調整できる。
【0021】
本発明に係る製造方法を実施するのに、水質と水の純度はあまり重要ではなく無視してもよい。つまり、水素と酸素の貯蔵/吸収と放出/脱離だけではなく水の酸化及び/または還元も、それぞれ、ケイ素化合物、ケイ素化合物と同種の組成物及び/またはその酸化物を使用する。
【0022】
本発明に係る水を還元及び/または酸化して水素及び/または酸素を製造する方法に用いる、ケイ素化合物、ケイ素化合物と同種の組成物及び/またはその酸化物の活性は、それぞれ、主に触媒の種類による。このことは光(人工光及び/または太陽光)を用いた反応だけではなく光を用いない反応にもいえる。
【0023】
さらに、水を還元及び/または酸化して水素及び/または酸素を得るために、ケイ素化合物、ケイ素化合物と同種の組成物及び/またはその酸化物を用いる反応は、それぞれ、ケイ素化合物、ケイ素化合物と同種の組成物を固定させた形態として実施できる。固定させた形態とは、高分子材料(ポリアミド、マクロロン(macrolon)、プレキシガラスなど)中若しくはその表面、またはガラス若しくはガラス様材料中若しくはその表面に付着/固定させた態様であり、特に、導電性である高分子材料及び/またはガラス材料が好ましい。
【0024】
上記反応は、高温条件でも実施できる。
【0025】
ケイ素化合物、ケイ素化合物と同種の組成物は、水中及び/または大気含有酸素中にて酸化され、必要に応じて他の酸化剤を添加してもよい。酸化物形成のスピードは、温度、不活性ガスの存在、反応媒体のpHといった反応条件、及び反応媒体の攪拌、振とう、静置といった物理的条件による。酸化層の成長は、XPS分光法及びXRD分光法により、簡単に追跡と分析ができる。反応に先立って既に酸化されている元素や成分と接触させたときや、上記目的のために酸化されたケイ素化合物、ケイ素化合物と同種の酸化物及び/または部分的に酸化された組成物を用いたときにも同様の分析を利用できる。
【0026】
さらに、ケイ素化合物、ケイ素化合物と同種の組成物及び/またはその酸化物への色素または凝集色素のカップリング/複合/付着/結合は、光吸収に好ましく、従って、これら物質の反応(いわゆる色素増感半導体反応)に好ましい。色素は、ペリレンやその類似体が好ましい。ペリレン色素は熱に安定なので、これら色素複合型のケイ素化合物、ケイ素化合物と同種の組成物及び/またはその酸化物は、高温下にて熱反応が進んでいるときでも適用可能である。
【0027】
加えて、ケイ素化合物、ケイ素化合物と同種の組成物及び/またはその酸化物は、可逆的に水素及び/または酸素を貯蔵/放出、及び/または吸収/脱離できる。酸素の貯蔵/放出、及び/または吸収/脱離が好ましいが、同時に水素も貯蔵/放出される。水素と酸素の放出/脱離、特に水素の放出/脱離は、常温でも起こるが、常温よりも高温が好ましい。上記反応の比率は、反応温度と使用する半導体型材料の種類(つまり、ケイ素化合物、ケイ素化合物と同種の組成物及び/またはその酸化物)とによる。
【0028】
上記高温状態は、例えば、地温、太陽エネルギー、炉、マイクロ波放電またはその他の熱エネルギー源により生じさせることができる。
【0029】
さらに、水を還元及び/または酸化させて水素及び/または酸素を生成させるために、ケイ素化合物、ケイ素化合物と同種の組成物及び/またはその酸化物を用いた反応は、ケイ素化合物、ケイ素化合物と同種の組成物及び/またはその酸化物を固定化した状態、つまり、特に、高分子材料及び/またはガラス類の材料が導電性のとき、前記物質をガラス若しくはガラス様材料の上や内部、高分子表面若しくは高分子材料の上や内部に付着または固定させて、実施してもよい。
【0030】
前記物質が固定されているとき、つまり、前記物質が高分子表面、ガラスまたはガラス様材料の上または内部に固定されているとき、ケイ素化合物、ケイ素化合物と同種の組成物及び/またはその酸化物を使用した水素及び/または酸素の貯蔵/放出、及び/または吸収/脱離は、光の存在下または光の不存在下にて実施される。
【0031】
上記した光化学工程及び熱工程は、触媒量のケイ素化合物、ケイ素化合物と同種の組成物及び/またはその酸化物にて実施できる。
【0032】
上記した光化学工程と熱化学工程のいずれも、適当な高温状態で実施してもよい。
【0033】
酸素の貯蔵/吸収をもたらす上記工程においては、同時に水素も貯蔵/吸収されるが、酸素の貯蔵/吸収と水素の貯蔵/吸収との選択性及び速度は、温度、濃度、圧力、明反応対暗反応及びpHといった反応条件並びに攪拌、超音波処理及び振とうといった物理的条件による。他のガス貯蔵材料が存在すると、ケイ素化合物、ケイ素化合物と同種の組成物及び/またはその酸化物の表面及び/または内部における、水素及び/または酸素の吸収/脱離の選択性と速度とを改善するのに寄与できる。酸素の吸収及び/または吸着(貯蔵)は、ほとんどの場合に非常に高効率であり、水素の吸収及び/または吸着(貯蔵)よりも効率的である。
【0034】
水素の放出/脱離をもたらす上記工程においては、同時に酸素も放出/脱離されるが、主に、使用するケイ素化合物、ケイ素化合物と同種の組成物及び/またはその酸化物の種類、温度、圧力といった反応条件による。例えば、ケイ化チタンを使用する場合には、常温常圧である。高温、光存在下とすると、酸素の放出/脱離が促進される。
【0035】
さらに、ケイ素化合物、ケイ素化合物と同種の組成物及び/またはその酸化物は、単独でも、水から水素と酸素を生成する方法及び水素と酸素の貯蔵方法に使用でき、2または3以上のケイ素化合物、ケイ素化合物と同種の組成物及び/またはその酸化物を組み合わせても使用できる。二酸化ルテニウム(RuO2)、二酸化マンガン(MnO2)、三酸化タングステン(WO3)及びその他の上記方法を促進させる半導体材料等の非ケイ素化物構造の半導体材料を、1または2以上のケイ素化合物またはケイ素化合物と同種の組成物に添加して、水から水素と酸素を生成する方法及び水素と酸素の貯蔵方法を実施してもよい。生成されて貯蔵される水素対酸素の割合は、使用される半導体混合物、温度及び圧力で変化する。同じことが、ドープされたケイ素化合物、ケイ素化合物と同種の組成物及び/またはその酸化物にも当てはまる(以下参照)。
【0036】
ケイ素化合物、ケイ素化合物と同種の組成物及び/またはその酸化物の水との接触が中断または中止されたとき、つまり、貯蔵機器がパイプを介して反応容器に接続されたとき、ケイ素化合物、ケイ素化合物と同種の組成物を使用した水素及び/または酸素の貯蔵/放出及び/または吸収/脱離が活性化される。
【0037】
さらに、本発明に係る工程は、ケイ素化合物、ケイ素化合物と同種の半導体及び/またはその酸化物が、前記Rで示した元素/残基、その酸化物及び/またはその混合物と添加/混合/合金化されることにより促進できる。
【0038】
ケイ素化合物、ケイ素化合物と同種の組成物及び/またはその酸化物は、溶液中、懸濁液中、固体中(例えば、研磨により若しくは合金化/融解により)、液体中またはその他の化学的及び/若しくは物理的形態にて、前記おのおのの元素、その酸化物及び/または他の誘導体を、様々な比率で、完全に若しくはある程度酸化された形態または酸化されていない形態で接触させることで調製できる。
【0039】
On(n>3)で示されるポリ酸素(polyoxygen)及び/またはH2On(n>2)で示されるポリ過酸化水素(hydrogenpolyperoxide)は、光の存在下、触媒と可逆的に結合して、上記反応にて酸素から選択的に形成される。これらの方法には、ペルオキシダーセの使用といった生化学的反応が含まれてもよい。ポリ酸素とポリ過酸化水素の例、つまり、環の大きさと鎖の長さは、おのおの、O16は221nm域、HO8は202nm域で、紫外線吸収が最大となり(両方とも最大350〜400nmまでスペクトルが尾びきする)、おのおの、質量分析では、水中で質量電荷比(m/z)256(O16)、129(HO8)、97(HO6)、81(HO5)、32(O2)に、マスピーク(mass peak)/フラグメンテーションピークが出現することで分析できる。
【0040】
上述したケイ素化合物、ケイ素化合物と同種の組成物及び/またはその酸化物を使用した新技術は、地球上及び地球外における交通及びそれ以外の分野の構造物及び機器に、最終的には使用されるであろう燃料電池技術を備えた新規の加熱装置に利用でき、従来の化石燃料を使用した機器で駆動する構造物や装置などを代替、支援、補完できる。
【0041】
実施例
全ての実施例に係るケイ素化合物、ケイ素化合物と同種の組成物は、反応条件に応じて水及び/または酸素により様々な酸化状態(0〜100%)となった。ほとんどの場合、触媒を更なる(急激な)酸化から防御する深さ1〜5nmの層となったところで酸化を停止させた。このような結果は、例えば、温度、pH、他の物理的及び化学的条件によりコントロールされる。同一のまたは類似した結果は、反応前に、触媒組成物のうちの酸化された(0〜100%)元素及び成分と、おのおの接触させることでも達成できた。触媒と各成分の酸化状態の分析は、XRD及びXPS分光法で実施された。
【実施例1】
【0042】
実施例1:3〜5gのケイ化チタニウム(TiSi2またはTi5Si3)を、太陽光または人口光を透過させる透明な容器中にて、200〜400mLの水中(イオン交換樹脂でろ過した。精製されていない水を使用したときには、ほんの少量のガスが検出された)にて攪拌した。光源としては、おのおの、発光極大415nm、525nm若しくは660nmであって、300〜550nm、490〜600nm若しくは610〜700nmの発光域を有するランプを備えたハイデルベルク照射システム(Heidelberg irradiation system)、または350〜800nmの発光域を有するハロゲンランプを使用した。この反応装置では、収量25mlのものを設置し、1日につき室温にて、より多くの水素と酸素を得た(ガスの発生と比率は、使用する触媒の種類、温度、圧力に依存する)。上記反応では、酸素のほとんどは触媒により吸収され、水素/酸素のモル比が2/1から最高20/1までとなった。酸素と水素の発生容量は、ガスクロマトグラフィーと質量分析とを併用して測定した。反応容器のガス容量が空になり、2、3日ごとに空気を注入した場合、この実験は、少なくとも3ヶ月継続できた。この代わりに、マクロロン(macrolon)またはプレキシガラス製の太陽光平台型リアクター(solar flatbed reactor)と太陽光放射を使用してもよい。
【実施例2】
【0043】
実施例2:実施例1のケイ化チタニウムの代わりに、ケイ化ニッケル(Ni2Si)、ケイ化鉄(FeSi2、FeSi)、ケイ化タリウム(ThSi2)、ケイ化ボロン(B4Si)、ケイ化コバルト(CoSi2)、ケイ化白金(PtSi、Pt2Si)、ケイ化マンガン(MnSi2)、ケイ化炭素チタン(Ti3C2Si)、ケイ化炭素/ポリ−ケイ化炭素(炭化ケイ素/ポリ−炭化ケイ素ともいわれる)(CSi/ポリ‐CSiまたはSiC/ポリ‐SiC)、ケイ化イリジウム(IrSi2)、ケイ化窒素(窒化ケイ素ともいう)(N4Si3)、ケイ化ジルコニウム(ZrSi2)、ケイ化タンタル(TaSi2)、ケイ化バナジウム(V2Si)またはケイ化クロム(CrSi2)を使用した。このときの反応は、実施例1に記載の場合と同様に実施された。
【実施例3】
【0044】
実施例3:実施例1と同様の実験装置を設置したが、ケイ化ニッケル(Ni2Si)を使用した。水素/酸素モル比は、約20/1であった。
【実施例4】
【0045】
実施例4:実施例1、2の反応であって、より高温(35〜40℃)とした場合、より活発なガスの発生が見られた。この温度では、太陽光平台型リアクターと太陽光を使用して達成できる点で有益である。
【実施例5】
【0046】
実施例5:光を使用せず、より高い反応温度(30〜40℃)とした以外は、実施例1、2と同条件とした結果、より活発なガスの発生が見られた。
【実施例6】
【0047】
実施例6:クロロホルム可溶性のペリレン(しかし、水には不溶)であるN,N´-bis-フェニルエチルペリレン‐3,4,9,10-テトラカルボキシリックジイミド(2g)を5mlのクロロホルムに溶かし、室温にて、2時間、ケイ化チタニウム(3g、TiSi2またはTi5Si3)と攪拌した。次に、溶媒を真空中で除去し、その残渣を実施例1に記載した条件にて反応させた。その結果、水素ガス及び酸素ガスの発生量が、1日当たり30ml以上にまで増加した。
【実施例7】
【0048】
実施例7:実施例1に記載の反応条件に代えて、リアクターのポリマー表面に触媒を固定させるのに用いる半導体材料(Ni2Si)の存在下、マクロロンまたはプレキシガラス製の平台型リアクターであってリアクターの材料であるマクロロンまたはプレキシガラスを、反応前に50〜100℃に加熱させたものを使用した。その他の実験条件は、実施例1と同様とした。
【実施例8】
【0049】
実施例8:実施例1に記載の反応であって、密閉した反応容器を使用した。2週間後に容器を開封したとき、水素と酸素が貯蔵されていた。室温にて水素と酸素(20/1)の活発な放出が見られ、集積して測定したガス量は、2、3日ごとに繰り返しガスを集積させる継続的実験装置のときと一致した。これらの反応において、酸素量が少ない理由は、はっきりしている。それは、与えられた反応条件下では、酸素は、式On(n>3)のポリ酸素及び式H2On(n>2)のポリ過酸化水素の生成に使用され続けるからである。ポリ酸素及びポリ過酸化水素に、酸化金属(例えば、MnO2と、CuOと、酸化ケイ素との混合物)との処理、及び光活性化または熱活性化を施すことにより、酸素を放出させることができた。
【実施例9】
【0050】
実施例9:反応スラリーに1gのWO3を添加すること以外は、実施例1と同じ反応条件とした。実施例1よりも活発なガスの発生(1日あたり30mL以上)が見られた。
【実施例10】
【0051】
実施例10:3gのTiSi2を従来技術で使用する白金(Pt)にドープした。実施例10に係る反応は、前者の実施例よりも高いガスの収率が得られた(1日あたり25mL以上)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
水をケイ素化合物、ケイ素化合物と同種の組成物及び/またはその酸化物と接触させることを特徴とする光化学的及び熱化学的な酸素及び/または水素の製造方法。
【請求項2】
前記ケイ素化合物、ケイ素化合物と同種の組成物及び/またはその酸化物が、
式:RSixOy
(式中、Rは有機の、金属の、有機金属の、生化学由来の及び/または無機の残基であり、Siはケイ素であり、特にXは1以上、Oは酸素であり、Yは0以上である。Rはリチウム、ベリリウム、ナトリウム、カリウム、カルシウム、銅、亜鉛、ロジウム、スカンジウム、ルビジウム、ガリウム、セレン、パラジウム、カドミウム、鉛、オスミウム、アンチモン、イリジウム、タングステン、スズ、ストロンチウム、バリウム、チタニウム、ニッケル、鉄、タリウム、ホウ素、コバルト、白金、マンガン、チタニウム、ケイ素、炭素、ナノチューブ状の炭素、イリジウム、モリブデン、窒素、ジルコニウム、タンタル、バナジウム、クロム、銀、金、ランタニド、アクチニド、有機残基、生化学由来の残基及びこれらRの混合物であって、部分的酸化状態、完全な酸化状態及び非酸化状態の前記Rからなる群から選択された少なくとも1つであり、前記ケイ素化合物、ケイ素化合物と同種の組成物の集合体が、ケイ素化合物、ケイ素化合物と同種の組成物及び/またはその酸化物である。)
の金属シリサイドまたは非金属シリサイドから選択されることを特徴とする光化学的及び熱化学的な酸素及び/または水素の製造方法。
【請求項3】
前記ケイ素化合物、ケイ素化合物と同種の組成物及び/またはその酸化物が、親ケイ素原子と比較して電子密度が高いケイ素原子を少なくとも1つ有することを特徴とする請求項1または2に記載の光化学的及び熱化学的な酸素及び/または水素の製造方法。
【請求項4】
前記ケイ素化合物、ケイ素化合物と同種の組成物及び/またはその酸化物が、触媒的に用いられることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1項に記載の光化学的及び熱化学的な酸素及び/または水素の製造方法。
【請求項5】
光を用いまたは光を用いずに行われることを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1項に記載の光化学的及び熱化学的な酸素及び/または水素の製造方法。
【請求項6】
前記ケイ素化合物、ケイ素化合物と同種の組成物及び/またはその酸化物の存在下、前記水から前記水素及び/または酸素を生成させる光化学的反応が、集中した形態または拡散した形態の人口光及び/または太陽光でおこなわれることを特徴とする請求項1ないし5のいずれか1項に記載の光化学的及び熱化学的な酸素及び/または水素の製造方法。
【請求項7】
前記光及び/または熱のエネルギー源が、200〜20000nmの領域でエネルギーを放出することを特徴とする請求項6に記載の光化学的及び熱化学的な酸素及び/または水素の製造方法。
【請求項8】
前記ケイ素化合物、ケイ素化合物と同種の組成物及び/またはその酸化物の光吸収が、染料または染料の凝集物にカップリング/複合/付着/結合されることで高められることを特徴とする請求項6または7に記載の光化学的及び熱化学的な酸素及び/または水素の製造方法。
【請求項9】
前記染料として、ペリレンまたはペリレン類似体が使用されることを特徴とする請求項8に記載の光化学的及び熱化学的な酸素及び/または水素の製造方法。
【請求項10】
高温状態でおこなわれることを特徴とする請求項1ないし9のいずれか1項に記載の光化学的及び熱化学的な酸素及び/または水素の製造方法。
【請求項11】
前記ケイ素化合物、ケイ素化合物と同種の組成物及び/またはその酸化物の存在下における、前記水からの前記水素及び/または酸素の熱化学的な生成は、光化学的光源、人口光の光源及び太陽光の光源由来の熱エネルギー、電気炉、マイクロ波システム及び地熱エネルギーといった熱エネルギー製造装置並びに他のエネルギー源からなる群から選択された少なくとも1つのエネルギー源によりおこなわれることを特徴とする請求項1ないし10のいずれか1項に記載の熱化学的な酸素及び/または水素の製造方法。
【請求項12】
前記水素及び/または酸素の貯蔵/吸収及び/または放出/脱離が、前記ケイ素化合物、ケイ素化合物と同種の組成物及び/またはその酸化物でおこなわれることを特徴とする請求項1ないし11のいずれか1項に記載の光化学的及び熱化学的な酸素及び/または水素の製造方法。
【請求項13】
前記酸素の貯蔵/吸収が、前記水素の貯蔵/吸収に付随して生じ、その比率は可変であることを特徴とする請求項12に記載の光化学的及び熱化学的な酸素及び/または水素の製造方法。
【請求項14】
前記水素の放出/脱離が、前記酸素の放出/脱離に付随して生じ、その比率は可変であることを特徴とする請求項12に記載の光化学的及び熱化学的な酸素及び/または水素の製造方法。
【請求項15】
前記ケイ素化合物、ケイ素化合物と同種の組成物及び/またはその酸化物を使用した前記水素及び/または酸素の貯蔵/放出及び/または吸収/脱離が、前記ケイ素化合物、ケイ素化合物と同種の組成物及び/またはその酸化物の前記水との接触を中断または中止させたときに、活性化されることを特徴とする請求項12に記載の光化学的及び熱化学的な酸素及び/または水素の製造方法。
【請求項16】
1種の前記ケイ素化合物、ケイ素化合物と同種の組成物及び/若しくはその酸化物、または2種以上の前記ケイ素化合物、ケイ素化合物と同種の組成物及び/若しくはその酸化物に、二酸化ルテニウム(RuO2)、二酸化マンガン(MnO2)、三酸化タングステン(WO3)、その他の半導体材料といった非ケイ素化物構造の半導体材料を添加して、反応性を高めることを特徴とする請求項1ないし15のいずれか1項に記載の光化学的及び熱化学的な酸素及び/または水素の製造方法。
【請求項17】
前記ケイ素化合物、ケイ素化合物と同種の組成物及び/またはその酸化物が、固定された状態、つまり、前記材料が、特に、高分子材料及び/またはガラス状材料が導電性/電子導電性/電荷伝導性のときに、ポリアミド、マクロロン、プレキシガラスといった前記高分子材料または前記ガラス若しくはガラス様材料の表面に付着/固定、または前記高分子材料または前記ガラス若しくはガラス様材料に内在させて使用されることを特徴とする請求項1ないし16のいずれか1項に記載の光化学的及び熱化学的な酸素及び/または水素の製造方法。
【請求項18】
前記ケイ素化合物、ケイ素化合物と同種の組成物及び/またはその酸化物が、特に、高分子材料及び/またはガラス状材料が導電性/電子導電性/電荷伝導性のときに、ポリアミド、マクロロン、プレキシガラスといった前記高分子材料または前記ガラス若しくはガラス様材料で表面をコーティングした後に使用されることを特徴とする請求項1ないし17のいずれか1項に記載の光化学的及び熱化学的な酸素及び/または水素の製造方法。
【請求項19】
前記ケイ素化合物、ケイ素化合物と同種の組成物及び/またはその酸化物が、リチウム、ベリリウム、ナトリウム、カリウム、カルシウム、銅、亜鉛、ロジウム、スカンジウム、ルビジウム、ガリウム、セレン、パラジウム、カドミウム、鉛、オスミウム、アンチモン、イリジウム、タングステン、スズ、ストロンチウム、バリウム、チタニウム、ニッケル、鉄、タリウム、ホウ素、コバルト、白金、マンガン、チタニウム、ケイ素、炭素、ナノチューブ状の炭素、イリジウム、モリブデン、窒素、ジルコニウム、タンタル、バナジウム、クロム、銀、金、ランタニド、アクチニド、並びに有機残基、生化学由来の残基及びこれらの混合物であって、イオン及びラジカルとして帯電した状態でも存在できる残基からなる群から選択された少なくとも1つを含有した金属及び/または非金属の組成物を、接触、ドープ及び/または混合して使用されることを特徴とする請求項1ないし18のいずれか1項に記載の光化学的及び熱化学的な酸素及び/または水素の製造方法。
【請求項20】
0〜100%の酸化の程度を有する前記ケイ素化合物及びケイ素化合物と同種の組成物の酸化物形成が、温度といった反応条件、空気及び/または他のガスの存在、反応媒体のpH、反応媒体の攪拌、振とう、ポンピング、移動、静置といった物理的条件、並びに他の物理的、化学的及び/または生化学的手段により、酸化物形成のスピードをコントロールできる他の酸化剤の必要に応じた存在下にて、水中、含水媒体中及び/または酸素含有媒体中でおこなわれることを特徴とする請求項1ないし19のいずれか1項に記載の光化学的及び熱化学的な酸素及び/または水素の製造方法。
【請求項21】
前記ケイ素化合物、ケイ素化合物と同種の組成物及び/またはその酸化物が、溶液中、懸濁液中、固体中、液体中またはその他の態様中にて、あらゆる比率で、完全に若しくはある程度酸化された形態または酸化されていない形態で、前記各元素、その酸化物及び/または前記各元素の他の誘導体と接触させて調製されることを特徴とする請求項1ないし20のいずれか1項に記載の光化学的及び熱化学的な酸素及び/または水素の製造方法。
【請求項22】
前記酸素が、On(n>3)であるポリ酸素及び/またはH2On(n>2)であるポリ過酸化水素に変化し、前記ポリ酸素及び前記ポリ過酸化水素が、溶媒中、並びに/または金属内、金属上、金属酸化物内及び/若しくは金属酸化物上にて安定していることを特徴とする請求項1ないし21のいずれか1項に記載の光化学的及び熱化学的な酸素及び/または水素の製造方法。
【請求項23】
前記On(n>3)であるポリ酸素及び/または前記H2On(n>2)であるポリ過酸化水素が、エネルギー放出によって前記酸素に変化することを特徴とする請求項1ないし22のいずれか1項に記載の光化学的及び熱化学的な酸素及び/または水素の製造方法。
【請求項24】
前記水から前記水素及び/または酸素を生成/製造する工程と該水素及び/または酸素を貯蔵/放出及び/または吸収/脱離させる工程とが、一般的な工程内に組み込まれて、前記ケイ素化合物、ケイ素化合物と同種の組成物及び/またはその酸化物が、通則の一部として使用されることを特徴とする請求項1ないし23のいずれか1項に記載の光化学的及び熱化学的な酸素及び/または水素の製造方法。
【請求項25】
前記水素及び/または酸素の生成/製造及び/または吸収/脱離を用いることで、加熱装置、燃料電池または他の電力及びエネルギー依存技術に用いられる電力を生成させてエネルギーを供給し、前記エネルギーが、生活、ビジネス及び健康を含む人間に有益な機器だけでなく、地球上及び地球外における交通用構造物及び機器並びに静的構造物及び機器に用いられることを特徴とする請求項1ないし24のいずれか1項に記載の光化学的及び熱化学的な酸素及び/または水素の製造方法。
【請求項26】
化石燃料を使用した機器により駆動される構造物及び機器を動かすためのエネルギーが、代替、支援及び/または補完されることを特徴とする請求項25に記載の光化学的及び熱化学的な酸素及び/または水素の製造方法。

【公表番号】特表2009−505927(P2009−505927A)
【公表日】平成21年2月12日(2009.2.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−527395(P2008−527395)
【出願日】平成18年8月24日(2006.8.24)
【国際出願番号】PCT/EP2006/008333
【国際公開番号】WO2007/036274
【国際公開日】平成19年4月5日(2007.4.5)
【出願人】(508058099)エイチ2 ソーラー ゲーエムベーハー (2)
【氏名又は名称原語表記】H2 Solar GmbH
【Fターム(参考)】