説明

水で活性化される「グリーンな」清掃用ワイプ

環境に優しい又は「グリーンな(green)」清掃用ワイプについて開示する。ワイプは、基材と、基材に含浸させたグリーンな高濃度水性洗浄組成物と、を含んでもよい。ワイプは水で活性化されるまでドライな手触りであって、無生物表面の洗浄に利用される。グリーンな高濃度水性洗浄組成物及び利用の直前に水で活性化されることのため、ワイプは、低濃度の洗浄組成物を予め含ませた従来のウェット式ワイプよりも広い表面積を洗浄することができ、より長期間の保存が可能であり、しかも運搬、梱包及び取扱を容易にするためにさらに軽量にすることもできる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
環境に優しい(eco−friendly)又は「グリーンな(green)」清掃用ワイプについて開示する。ワイプは、基材(substrate)と、基材に含浸させたグリーンな高濃度水性洗浄組成物とを含んでもよい。ワイプは水で活性化されるまでドライな手触りであって、無生物表面の洗浄に利用される。ワイプは、グリーンな高濃度水性洗浄組成物及び利用の直前に水で活性化されることによって、低濃度の洗浄組成物が予め含浸された従来のウェット式ワイプよりも広い表面積を洗浄することができ、より長期間保存することが可能であり、しかも運搬、梱包及び取扱を容易にするために、より軽量にすることもできる。
【背景技術】
【0002】
使い捨て清掃用ワイプ及びパッドは、当該業界において周知である。ワイプには、一般に、単一物品内に基材と洗浄組成物とを含むことから、洗浄しようとする表面に対して洗浄基材と洗浄組成物とを個別に選んで適用する従来の洗浄製品よりも洗浄効率及び利便性に優れている。そのため、清掃用ワイプは、自動車の手入れ、スキンケア、家庭の掃除等に一般に用いられている。また洗浄の他に、ワイプは、消毒剤又は芳香剤等の活性成分を標的表面に供給することもできる。
【0003】
硬質表面洗浄用の既存の使い捨て清掃用ワイプは一般にウェット式であり、洗浄組成物が予め含まれており、すなわち、洗浄組成物が含浸されているため、ワイプを標的表面に適用する前に洗浄組成物を引き続き希釈することなく使用される。一般に、前記組成物はかなりの量の水を含んでいる。例えば、従来のワイプに含浸される洗浄組成物には、50%超、60%超、70%超、80%超又は90%超の水を含むものもある。こうした高い水分含有量が原因となって、従来のワイプ、特に天然繊維又はグリーンな繊維を含む基材を有するものは、長期間水に浸されることにより繊維の統合性が弱くなるため、保存期間が短くなりやすい。
【0004】
水分含有量の高さによる従来のワイプにおける他の影響は、重量の増加であり、これはワイプの運搬、取扱、梱包及び保管に悪影響を及ぼす可能性がある。例えば、従来のワイプには、6〜7グラムの水性洗浄組成物が予め含まれている。さらに重要なことに、比較的低濃度の洗浄組成物が使い果たされると、従来のワイプの有効性は急激に低下することがある。そのため、ワイプ一枚では、ほんの限られた表面積しか洗浄できない。例えば、従来のワイプ一枚では、一般に、バスタブ全体を掃除することができない。そのため、バスタブ清掃のような日常的な家事清掃作業には、通常、かなりの数の従来のワイプが必要であり、ワイプを製造するのに用いられる原料の消費が増加するだけでなく、使用済みのワイプを処分してリサイクルするための労力やエネルギもより多く必要となる。
【0005】
最終的に、従来のワイプにおける高い水分含有量は、一般に防腐剤の使用を必要とするところ、防腐剤は、ワイプの製造原価を上昇させるだけでなく、防腐剤は一般に合成品であって、天然資源及び再生可能資源を原料とするものではないので、ワイプの環境上の特徴(ecological profile)にも悪影響を及ぼす。
【0006】
近年、グリーンな(すなわち、環境に優しい)家庭用製品又はパーソナルケア製品に対する消費者の意識が世界的規模でかなり高まってきている。その結果、望ましい環境上の特徴を有する家庭製品の開発に多大な労力が当てられている。例えば、天然資源及び再生可能資源由来の成分を含む製品、及び自然環境のもとで生分解可能な製品は、この世界的な「環境に優しい」傾向に焦点を合わせたものである。
【0007】
実際、植物等の再生可能資源を原料とする製品は、その閉ざされたCOサイクルによって、温室化ガスの削減に貢献している。具体的には、植物は成長する際に、使用後の生分解によって大気に放出されるのと同量の二酸化炭素(CO)と水(HO)を消費する。そのため、植物等の再生可能資源を原料とする製品は、「グリーンな」ものであり、石油化学系製品に比べると「二酸化炭素排出量」がゼロであるか又は削減されていると考えられる。植物素材等の再生可能資源又は石油等の再生不可能な資源はいずれも、界面活性剤、香料、油及び溶媒のような家庭用製品に共通の成分の直接的な又は間接的な原料となり得る。
【0008】
特に、ほとんどの界面活性剤は石油化学製品を原料としているが、植物系炭化水素由来の界面活性剤も利用可能になってきている。界面活性剤の製造に適した再生可能原料の一つはグルコースであり、これはアルコールと反応してアルキルポリグリコシド(アルキルポリグルコシドとしても知られている。)を生成する。アルキルポリグリコシドは、化粧品や農業用組成物に使用されており、また工業用洗浄剤の界面活性剤としても使用されている。アルキルポリグリコシドには、パーム油又はヤシ油等の飽和熱帯植物油から得られる脂肪族アルコール(例えば、ドデカノール、テトラデカノール)から生成された疎水性(又は親油性)の炭化水素鎖が含まれる。この分子のグルコース又はデキストロースに由来する親水性部分は、デンプン、褐藻類、かんきつ類又はビートパルプから生成されることができ、通常、トウモロコシから生成される。
【0009】
前記の望ましい環境上の特徴以外に、アルキルポリグリコシドは、目、皮膚及び粘膜にも良好な適合性を有し、さらに界面活性剤混合物の刺激作用をも軽減する。アルキルポリグリコシドはまた、好気的に及び嫌気的にどちらでも完全に生分解される。
【0010】
アニオン界面活性剤は、天然資源及び再生可能資源から生成され得る直接前駆体を有する場合もある。例えば、長鎖アルキル硫酸塩は、便宜上、ヤシ油由来の脂肪族アルコールから生成される場合がある。特に、ココアルキル硫酸ナトリウム(SCS)は、純粋なヤシ油を原料とし、アルキル硫酸ナトリウムと主成分であるラウリル硫酸ナトリウムとの混合物を含む。ココアルキル硫酸ナトリウムは、粘度の増加と起泡特性とが重要である様々な消費者製品に用いることができる。それは、シャンプー、ハンドソープ、バス用品、シェービングクリーム及び薬用軟膏に使用可能である。
【0011】
活性物質の放出を制御するための組成物もまた、当該技術分野において知られている。例えば、空気中に香料又は殺虫剤を持続的に放出する単相溶液形態の香料又は殺虫剤組成物が開発されている。しかし、これらの組成物は、一般には、前記香料又は殺虫剤の放出性能を維持するために、あまり望ましくない環境上の特徴を有している。
【0012】
したがって、より望ましい環境上の特徴を有し、しかも長期保存が可能な、従来のワイプよりも広い表面積を洗浄することのできる清掃用ワイプが必要とされている。さらには、運搬、梱包、取扱及び保存を容易にするように、低濃度の洗浄組成物を予め含む従来の「ウェット式」ワイプよりも水分含有量が少ない清掃用ワイプも必要とされている。最終的には、すべてが天然資源及び再生可能資源由来の成分であるか又は天然資源及び再生可能資源由来の成分の割合が高い洗浄組成物が含浸された、環境に優しいワイプが必要とされている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
前記のニーズを満たす、望ましい環境上の特徴と高い性能とを有する清掃用ワイプを開示する。ワイプは、基材と、基材に含浸された高濃度の洗浄組成物とを含んでもよい。低濃度の洗浄液を予め含む「ウェット式」ワイプとは異なり、本開示のワイプは、ドライな手触りであって、標的表面に使用する直前に水で活性化されてもよい。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本開示において用いられるとき、グリーンな要素又はグリーンな成分(green component or ingredient)とは、天然資源及び再生可能資源から生成される物質、又は天然資源及び再生可能資源から生成される直接前駆体(類)から生成される物質であると定義される。本明細書で使用される用語「ナチュラルインデックス(Natural Index)」(NI)は、天然資源及び再生可能資源から直接生成可能な成分又は天然資源及び再生可能資源から直接生成可能な直接前駆体から生成される成分を含む組成物の重量割合(weigt percentage)を指す。
【0015】
一実施形態において、本開示のワイプの基材は、天然繊維、天然由来繊維又はこれらの混合物等のようなグリーンな要素を含んでもよい。一改良形態において、基材はすべてグリーンな要素から構成されてもよい。他の実施形態において、基材は、天然資源及び再生可能資源を原料としない、合成繊維を含んでもよい。本開示のワイプの基材は、織物でも、不織物でもよい。
【0016】
本開示のワイプは、基材に含浸させた洗浄組成物をさらに含む。一実施形態において、洗浄組成物は、一貫した洗浄性能のために、基材全体に均一に分布されている。ワイプはドライな手触りであるため、本開示のワイプの基材は、梱包、取扱及び/又は運搬のための含浸されていないサイドマージンを必要としなくてもよい。
【0017】
洗浄組成物は、その洗浄性能を損なわずに、改善された環境上の特徴を有してもよい。一実施形態において、洗浄組成物は、水分含有量が50重量%未満の高濃度水性組成物である。洗浄組成物は、標準的なエマルジョン(emulsion)、マイクロエマルジョン(micro−emulsion)、又は溶液として含まれてもよい。
【0018】
洗浄組成物は、洗浄剤として「グリーンな」界面活性剤を1種以上含んでもよい。また、前記組成物は、グリーンなハイドロトロープ、グリーンなpH調整剤、天然香料等のような、他の任意のグリーンな成分をさらに含んでもよい。前記組成物の水分含有量は、10〜40重量%であってもよく、さらに好ましくは10〜30重量%であってもよい。
【0019】
一実施形態では、洗浄組成物は、グリーンな非イオン性界面活性剤と水とを含む洗浄組成物である。一改良形態として、グリーンな非イオン界面活性剤は、アルキルポリグリコシドを含んでもよい。
【0020】
さらなる改良形態として、洗浄組成物は、1種以上のグリーンな補助界面活性剤をさらに含んでもよい。グリーンな補助界面活性剤は、ラウリル硫酸ナトリウム又はココアルキル硫酸ナトリウム等のアニオン界面活性剤を含んでもよい。グリーンな界面活性剤を組み合わせることで、前記組成物の洗浄性能を相乗的に向上させることができる。
【0021】
他の実施形態において、洗浄組成物は、1種以上のグリーンな界面活性剤と、グリーンなハイドロトロープと、水と、を含む洗浄組成物である。一改良形態として、1種以上のグリーンな界面活性剤は、非イオンであってもよく、アニオンであってもよく、又は両者の混合物であってもよい。他の改良形態として、グリーンなハイドロトロープは、ヤシ油アルキルグルコシド又はヘキシルグルコシド等のグルコシドであってもよい。グリーンな界面活性剤(類)とグリーンなハイドロトロープとを組み合わせることで、前記組成物の洗浄性能を相乗的に向上させることができる。さらに、洗浄組成物は、ガラスクリーナとして使用した場合に、従来のガラス洗浄製品よりも筋状跡が発生しにくくなる。
【0022】
さらなる実施形態において、洗浄組成物は、1種以上のグリーンな界面活性剤と、1種以上の天然活性物質と、水と、を含む活性物質供給組成物である。一改良形態において、1種以上のグリーンな界面活性剤は、非イオンであってもよく、アニオンであってもよく、又は両者の混合物であってもよい。他の改良形態において、1種以上の天然活性物質は、天然香料、天然殺虫剤、天然油及びこれらの混合物からなる群から選択されてもよい。グリーンな界面活性剤(類)と天然活性物質(類)とを組み合わせることで、前記組成物の環境上の特徴を損なわずに、活性物質の放出を向上させることができる。
【0023】
一部の実施形態において、グリーンな界面活性剤(類)と洗浄組成物の他のグリーンな成分により、前記組成物の環境上の特徴が向上するだけでなく、室温で汚れを自動的に可溶化させることもできる。洗浄組成物をマイクロエマルジョンとして含むことで、前記組成物の性能向上に役立つ可能性もあると考えられる。
【発明の効果】
【0024】
本開示のワイプは、標的表面への適用の直前に水で活性化される。例えば、ユーザは、ワイプを水道水に触れさせるだけで、中に含浸されている高濃度の洗浄(cleaning)を希釈することができる。その後、水で活性化されたワイプを、洗浄及び他の有益な目的のために標的表面に適用する。この実施形態では、使用直前にワイプを活性化するために水道水を用いることで、梱包、保管及び運搬をより便利にするためにワイプの重量をかなり削減することができるだけでなく、従来のウェット式ワイプを製造するときに使用されていた希釈水の消費も抑えることができる。
【0025】
本開示のワイプは、様々な清掃作業に向いている。例えば、ワイプは、ガラス清掃用ワイプ、浴室清掃用ワイプ、床清掃用ワイプ、又は汎用のワイプとして使用されてもよい。一実施形態において、ワイプは、標的表面から汚れを効率的に除去するだけでなく、標的表面の上に目に見える残渣も残さない。他の実施形態において、ワイプをガラスクリーナとして使用した場合に、筋状跡が発生しにくくなる。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下では、本開示のワイプ及び標的表面を洗浄するためのワイプの使用方法についての他の利点及び特徴をさらに詳細に説明する。本開示のワイプは、様々な家事及び他の用途に使用するために、必要以上に実験を行うことなく当業者によって適宜に変更され得ることは、本明細書などから理解されるであろう。
【0027】
本開示は、一般には、グリーンな高濃度洗浄組成物を含む、環境に優しい清掃用ワイプに関する。清掃用ワイプ又は洗浄組成物の環境上の特徴を評価するために、本明細書では、天然資源及び再生可能資源から直接得られる成分、又は天然資源及び再生可能資源から直接得られる直接前駆体から生成される成分を含む組成物の重量割合を指す、ナチュラルインデックス(NI)という用語を用いる。
【0028】
例えば、水、エタノール、乳酸、クエン酸、苛性ソーダ、天然香料、木材パルプ及び綿等の天然繊維のような成分はすべて、天然資源及び再生可能資源から得られる。また、本開示のワイプの洗浄組成物に使用されるアルキルポリグリコシド、アルキルグルコシド、ココアルキル硫酸ナトリウム(ラウリル硫酸ナトリウム)等の化合物は、天然資源及び再生可能資源から得られる直接前駆体(脂肪族アルコール、グルコース等)から生成されてもよい。同様に、例えばレーヨン、リヨセル及びビスコースのように本開示のワイプの基材に用いられる天然由来繊維もまた、天然資源及び再生可能資源から得られる直接前駆体(木材パルプ、綿等)から生成されてもよい。
【0029】
一方、エトキシル化非イオン界面活性剤、アルキルベンゼンスルホン酸塩アニオン界面活性剤及び4級アンモニウムカチオン界面活性剤等の界面活性剤は、少なくとも一部が石油化学製品をベースとしているため、組成物のNIには寄与しない。同様に、完全な合成繊維、例えばナイロン、ポリエステル、アクリル、炭素繊維、ガラス繊維、金属繊維等もまた、天然資源及び再生可能資源から生成できない直接前駆体をベースとしている。
【0030】
一般的な実施形態において、本開示のワイプは、基材と、それに含浸させたグリーンな洗浄組成物と、を含む。一実施形態におて、本開示のワイプには、洗浄組成物が約0.1〜約0.2グラム添加される。グリーンな洗浄組成物は、水性であって、さらに天然資源及び再生可能資源から得られる直接前駆体から生成されたグリーンな非イオン界面活性剤を含んでもよい。組成物の水分含有量は、10〜40重量%、又はさらに好ましくは10〜30重量%であってもよい。組成物はさらに、香料、ハイドロトロープ、補助界面活性剤、pH調整剤等のような第二のグリーンな成分を1種以上含んでもよい。前記組成物は基本的に有機溶媒を含んでいなくてもよい。さらに、前記組成物は、VOCを含んでいなくてもよい。
【0031】
[基材]
洗浄組成物は、基材に含浸されており、標的表面への適用の直前に水で活性化される。そのため、基材の機能の一つは、保管、取扱及び運搬中に高濃度の洗浄組成物を保持できるだけでなく、使用直前にワイプが水と接触したときに高濃度の洗浄組成物を希釈することも可能な母材(Matrix)を提供することである。その後、基材は、希釈された洗浄組成物を標的表面に供給して分配するアプリケータとしての役割をも果たしてもよい。前記組成物は、基材中で使い果されるまで何回も希釈されてもよい。
【0032】
場合により、基材は、表面を擦り(scrub)、表面から除去した少なくとも一部の汚れを吸着するように機能してもよい。最後に、基材は、他のグリーンな活性成分、例えば、これらに必ずしも限定されないが、香料、防虫剤、殺虫剤、油等を供給する媒体として用いられてもよい。
【0033】
本開示のワイプの基材は、天然繊維、天然由来繊維、又はこれらの混合物等のような、グリーンな繊維を含んでもよい。天然繊維は、セルロース含有繊維であってもよく、セルロース含有繊維は、綿繊維、亜麻繊維、麻繊維、サイザル繊維、ジュート繊維、ケナフ繊維、竹繊維、ココナツ繊維及び木材パルプを含むがこれに限定されない。本開示で使用するのに適した天然由来繊維は、レーヨン、リヨセル及びビスコース、又は天然繊維を原料とする他の材料を含んでもよいが、これらに限定されない。例えば、リヨセルは、木材パルプから生成されてもよく、ビスコースは、木材又は綿繊維から生成されてもよく、またレーヨンは、様々なセルロース含有天然繊維から生成されてもよい。
【0034】
一部の非限定的な実施形態において、基材は、天然繊維と天然由来繊維との混合物から製造されてもよい。一実施形態において、基材は、綿とビスコース繊維との混合物を含んでもよい。他の実施形態において、基材は、木材パルプとビスコース繊維との混合物を含む。基材は、グリーンな繊維を主成分として含んでもよく、又はすべてグリーンな繊維から製造されていてもよい。
【0035】
一部の実施形態において、基材は、天然資源及び再生可能資源を原料としない合成繊維を1種以上さらに含んでもよい。本開示のワイプの基材で使用するのに適した合成繊維は、ナイロン、ポリエステル、アクリル、オレフィン繊維(例えば、ポリエチレン及びポリプロピレン)、炭素繊維、ガラス繊維、金属繊維等を含んでもよいが、これらに限定されない。一実施形態において、基材は、ポリエステルとビスコースとリヨセル(Tencel(登録商標))との混合物を含んでもよい。
【0036】
一部の実施形態において、基材は、基材の微量成分として合成繊維を含んでもよい。一方、他の実施形態において、基材は、微量成分として合成繊維を含んでもよく、又はすべて合成繊維から製造されてもよい。基材は、織物でもよく、不織物でもよい。
【0037】
好適な基材の成分の選択に影響を及ぼす可能性のある他の要因は、統合性、手触り、加工性及び費用等の考慮すべき事項を含む。一般に、基材は、ワイプを標的表面に適用している間又はその後の任意の再湿潤及び再使用の過程で、過度に破損したり、ボロボロになりすぎてはならない。
【0038】
基材の形状は、様々な物理的形状の中から一つを選択されてもよい。一実施形態において、基材は、家事清掃作業に適した大きさの織布又は不織布である。基材の他の形態としては、繊維球、ビーズ又はこれら以外の形の挿入支持構造体を含んでもよいが、これらに限定されない。一実施形態において、基材は、均一な構造であり、しかも積層構造を全く含まないことから、洗浄組成物を基材全体に均一に分布又は含浸させ易い。基材の形状や大きさは、当業者にとって自明であり、本開示の範囲を制限するものではないと解釈されるべきである。
【0039】
[グリーンな界面活性剤]
一般的な実施形態において、本開示のワイプの洗浄組成物は、1種以上のグリーンな界面活性剤及び水を含んでもよい。一実施形態において、洗浄組成物は、グリーンな界面活性剤を15〜80重量%、さらに好ましくは15〜75重量%含んでもよい。他の実施形態において、グリーンな界面活性剤は18〜60重量%の濃度で含まれてもよい。
【0040】
洗浄組成物のグリーンな非イオン界面活性剤は、糖型界面活性剤、ポリオール系界面活性剤、アルキルエーテル類及びアルキルカーボネートを含んでもよいが、これらに限定されない。糖型界面活性剤は、ヤシ油中の脂肪族アルコールとトウモロコシ中のポリグルコースとから製造されるアルキルポリグリコシド(又はアルキルポリグルコシド)界面活性剤であってもよい。アルキルポリグリコシドは、その優れた環境上の特徴に加えて、生分解性であり、ヒトの皮膚に対して非刺激性であり、しかも香料油を水に溶解するのに効果的である。
【0041】
本開示のエモーション(emotion)に利用可能なアルキルポリグリコシドは、次の式Iに相当する:
【0042】
(化1)
O(RO)(Z)
【0043】
前記式中、Rは炭素原子数約4〜22の一価の有機ラジカルであり、Rは炭素原子数2〜4の二価のアルキレンラジカルであり、Zは、炭素原子数5又は6の単糖類残基であり、bは1〜約2までの値の数であり、aは1〜約6までの値の数である。例えば、Zがグルコース残基であり、かつbがゼロである、式Iのアルキルポリグリコシドを利用してもよい。このようなアルキルポリグリコシドは、例えばAPG(登録商標)、グルコポン(GLUCOPON)(登録商標)又はプランタレン(PLANTAREN)(登録商標)という界面活性剤としてオハイオ州45232シンシナティ、エステクリーク・ドライブ5051番地のコグニス社(Cognis)から市販されている。
【0044】
洗浄組成物中でグリーンな界面活性剤として用いられる好適なアルキルエーテルとしては、C−O−C結合の両端部にC〜C22アルキル鎖を有するエーテル類(R−O−R)を含んでもよい。アルキル鎖(R、R)は、飽和であっても不飽和であってもよい。一実施形態において、アルキルエーテルはジカプリリルエーテルであってもよい。
【0045】

【0046】
洗浄組成物で使用するのに適した他のグリーンな非イオン界面活性剤は、アルキルグルコースアミド、トリグリセリド、N−メチルヤシ脂肪酸グルカミド(C1214)、アミノ酸系界面活性剤、糖エステル類、ソルビトールエステル、ステロールエステル、糖脂質生物界面活性剤類等を含んでもよいが、これらに限定されない。
【0047】
一実施形態において、洗浄組成物は、5〜80重量%、さらに好ましくは5〜75重量%のグリーンな非イオン界面活性剤(類)を含んでもよい。他の実施形態において、グリーンな非イオン界面活性剤(類)は、8〜65重量%の濃度で含まれてもよい。
【0048】
グリーンな非イオン界面活性剤に加えて、洗浄組成物は、場合により、1種以上のグリーンな補助界面活性剤を含んでもよい。グリーンな補助界面活性剤は、天然資源及び再生可能資源から生成された直接前駆体から製造されるアニオン、カチオン、双極性又は両性界面活性剤であってもよい。
【0049】
一実施形態において、グリーンなアニオン界面活性剤は、1種以上の長鎖アルキル硫酸塩を含んでもよい。好適なアルキル硫酸塩としては、C〜C20硫酸ナトリウム、C〜C20硫酸アンモニウム、及びこれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。さらに、グリーンなアニオン界面活性剤は、アルギネート(褐藻類由来の細胞壁ポリウロン酸)又はアルバン(ulvans)(緑藻類の細胞壁に由来する硫酸化ラムノウロナン類(sulfated rhamnouronans))系の界面活性剤をさらに含んでもよい。
【0050】
好ましい実施形態において、グリーンなアニオン界面活性剤は、ココアルキル硫酸ナトリウム又はラウリル硫酸ナトリウムを含んでもよい。ココアルキル硫酸ナトリウムは、様々な脂肪酸(アルキル炭素鎖がわずか8〜約20までの範囲のもの)で構成されたヤシ油を硫酸化することで製造されてもよい。ヤシ油中の脂肪酸の大部分、例えば45〜50%は、炭素数12の脂肪酸である。他方、ラウリル硫酸ナトリウムは、ココアルキル硫酸ナトリウムを精製したものである。ラウリル硫酸ナトリウムを製造するときに、ヤシ油を処理して炭素数12以外の脂肪酸の大部分を除去してから、脂肪酸を硫酸化する。
【0051】
グリーンなアニオン界面活性剤を洗浄組成物に用いることで、汚れ除去等の組成物の性能を相乗的に向上させることができる。したがって、比較的低濃度のグリーンなアニオン界面活性剤が必要とされる。例えば、グリーンなアニオン界面活性剤の濃度は、5〜40重量%、5〜30重量%、又は5〜25重量%であってもよい。一部の実施形態において、洗浄組成物における界面活性剤の合計濃度は、50重量%以上、60重量%以上、70重量%以上、又は80重量%以上であってもよく、ワイプは、低濃度の洗浄組成物が添加された従来のウェット式ワイプよりも広い表面積を洗浄することができる。
【0052】
また、グリーンな補助界面活性剤は、カチオン界面活性剤、特にグリシンベタイン(サトウダイコン由来のもの)並びにヨーロピアン油(European oil)及び/又は熱帯植物油等の再生可能な原料から生成されるエステル型及びアミド型グリシン系界面活性剤であってもよい。一方の端部に糖の極性頭部を有し、かつもう一方の端部にカチオン性極性頭部を有する、バイポーラ両親媒性化合物(双頭型両親媒性化合物)を使用してもよい。
【0053】
[グリーンなハイドロトロープ]
洗浄組成物は、場合により、グリーンなハイドロトロープを1種以上含んでもよい。好適なグリーンなハイドロトロープは、アルキルグルコシド、並びに天然資源及び再生可能資源から生成可能な直接前駆体(類)から製造される他のハイドロトロープが含まれてもよい。洗浄組成物中で用いられるアルキルグルコシドは、ヤシ油アルキルグルコシド、ヘキシルグルコシド、又はこれら両者の混合物であってもよい。
【0054】
具体的には、洗浄組成物中で用いられるヘキシルグルコシドは、イリノイ州60607−3823シカゴ、W.ヴァン・ブーレン・ストリート525番地のアクゾ・ノベル社(Akzo Nobel)から(「AG6206」として)市販されている。グルコース又はデキストロースを原料とするヘキシルグルコシドの親水性部分は、デンプン、通常はトウモロコシから得られる。同様に、洗浄組成物中で用いられるヤシ油アルキルグルコシドは、皮膚への刺激が非常に少なく、かつ、ヤシ油及び果糖を原料とする。
【0055】
グリーンなハイドロトロープを洗浄組成物中に用いることで、汚れ除去及び/又は筋状跡の発生を軽減するなどの、前記組成物の性能を相乗的に向上させることができる。結果として、比較的低濃度のグリーンなリンカー(linker)が必要とされる。一実施形態において、洗浄組成物は、0.001重量%〜2重量%以下のグリーンなハイドロトロープを含んでもよい。他の実施形態において、グリーンなリンカー(類)は、0.001〜1重量%、0.001〜0.5重量%、又は0.001〜0.1重量%の濃度で含まれていてもよい。グリーンなハイドロトロープ1種以上を前記組成物に添加することでその性能を相乗的に向上させる一部の実施形態において、グリーンなハイドロトロープ(類)の濃度を0.001〜0.05重量%又は0.001〜0.01重量%まで低下させてもよい。
【0056】
特定の理論に束縛されたくはないが、ハイドロトロープを洗浄組成物に添加することで、洗浄組成物の汚れの可溶化が向上する。さらに可溶化効率は、グリーンな界面活性剤とグリーンなハイドロトロープとの割合や、界面活性剤及び/又はハイドロトロープ又はこれら両者の合計濃度に左右される場合もある。一部の実施形態において、効果的に汚れを可溶化するために、0.1重量%以下、0.05重量%以下、又は0.01重量%以下のように、リンカーをほんの少量だけ含む必要がある場合もある。
【0057】
[天然(グリーンな)香料]
洗浄組成物は、場合により、天然資源及び再生可能資源を原料とする香料を1種以上含んでもよい。また、前記組成物は、天然香料を空気中に、制御された方法で長時間にわたって供給するものでもよい。そのためには、マイクロエマルジョン又はナノエマルジョンとして組成物を含むことにより、香料を一貫して放出し易くすることができる。
【0058】
例えば、洗浄組成物は、空気清浄用の天然香料を含んでもよい。天然香料は、空気中の1種以上の悪臭を消し又は空気に良い香りを付けることにより、又はその両方によって、空気をきれいにする。周知のように、香料は、通常、多数の芳香性物質の混合物からなり、芳香性物質はそれぞれ特有の香りを有している。香料中の芳香性物質の数は、一般的には10以上である。使用される芳香性物質の種類は変更可能である。前記材料は、様々な化学分類に由来しており、一般的には水不溶性の油である。多くの場合、芳香性物質の分子量は、150よりも大きく、300以内である。
【0059】
洗浄組成物に含まれる天然香料は、消費者が知覚できる良い香りを空気に付けるのに十分な量が含まれていてもよい。悪臭がする場合には、天然香料は、空気中の悪臭の少なくともかなりの部分を消すことのできる量が含まれていてもよい。さらに好ましくは、洗浄組成物中に含まれる天然香料は、悪臭を完全に消すだけでなく、消費者が知覚する良い香りも供給する量で含まれていてもよい。
【0060】
天然香料は、洗浄組成物中に0〜0.5重量%、さらに好ましくは0〜0.2重量%、最も好ましくは0〜0.1重量%の量で含まれていてもよい。悪臭を消すのに必要な香料の量、及び/又は消費者が知覚する良い香りを与えるのに必要な香料の量は、当業者には自明であろう。
【0061】
本開示における香料は、化学的に活性である蒸気をもたらす芳香性物質(類)を1種以上含んでもよい。一実施形態において、香料は、揮発性の芳香化合物を構成し及び/又は含んでもよく、揮発性の芳香化合物は、天然植物抽出物、エッセンス、フレグランスオイル等を含んでもよいが、これらに限定されない。当該技術分野において周知のように、多くの精油及びその他の天然植物誘導体は、揮発性の高い香りの大部分を含んでいる。そういう意味で、数々の精油、エッセンス及び良い香りのする濃縮物が、香料及び食品事業における企業から市販されている。
【0062】
典型的な油及び抽出物は、次の植物由来のものを含むが、これらに限定されない:アーモンド、アミリス、アニス、アーモワール、ベルガモット、カブリューバ、キンセンカ、カナンガ(cananga)、ヒマラヤスギ、カモミール、ココナツ、ユーカリ、ウイキョウ、ジャスミン、ジュニパー、ラベンダー、レモン、オレンジ、ヤシ、ペパーミント、カシア、ローズマリー、タイム等。
【0063】
香料は、花及び果物由来の有機化合物から製造されてもよい。好適な有機化合物の例としては、ジミルセノール(dimyrcenol)、フェニルエチルアルコール及びテトラヒドロムグオール、デシルアルデヒド、ウンデシルアルデヒド、ウンデシレンアルデヒド、ラウリンアルデヒド、アミルシンナミックアルデヒド、エチルメチルフェニルグリシデート、メチルノニルアセトアルデヒド、ミリスチンアルデヒド、ノナラクトン、ノニルアルデヒド、オクチルアルデヒド、ウンデカラクトン、ヘキシルシンナミックアルデヒド、ベンズアルデヒド、バニリン、ヘリオトロピン、ショウノウ、パラヒドロキシフェノールブタノン、6−アセチル−1,1,3,4,4,6−ヘキサメチルテトラヒドロナフタレン、α−メチルイオノン、γ−メチルイオノン及びアミルシクロヘキサノン、並びにこれらの混合物を含んでもよいが、これらに限定されない。
【0064】
言うまでもないが、本開示のエアゾール組成物に使用するのに適した香料の種類、強さ及び香りのプロフィルは、当業者には自明であるため、本開示の範囲を制限するものではないと解釈すべきである。
【0065】
[グリーンな抗菌(Antibacterial/Antimicrobial)剤]
洗浄組成物は、場合により、天然資源及び再生可能資源由来の抗菌剤を1種以上含んでもよい。その結果、本開示のワイプは、持続効果のある殺菌/浄化目的のために抗菌剤を標的表面に供給することができる。
【0066】
洗浄組成物中に使用するのに適したグリーンな抗菌剤は、金属、金属塩、有機酸、及びこれらの混合物が含まれてもよい。好適な抗菌性金属としては、例えば、Ag、Au、Pt、Pd、Ir、Cu、Sn、Sb、Pb、Bi、Zn、及びこれらの組み合わせを含んでもよい。特定の理論に束縛されたくはないが、抗菌性金属元素の有効性は、例えば空気酸化によって、対応する金属イオンを形成することが原因と考えられる。同様に、抗菌性金属の塩を洗浄組成物に含ませてもよい。溶解すると、金属イオンは、標的表面に抗菌効果を与えるために洗浄組成物中に放出される。一実施形態において、洗浄組成物は、コロイド状の銀と銅又は亜鉛(元素又は塩のいずれかの形態)との混合物を含む。
【0067】
洗浄組成物中で使用するのに適した有機酸は、天然資源及び再生可能資源由来のものであってもよい。例えば、洗浄組成物は、酢酸、安息香酸、クエン酸、乳酸、リンゴ酸、ソルビン酸、酒石酸等の有機酸を含んでもよい。一実施形態では、洗浄組成物は、コロイド状の銀と1種以上の有機酸との混合物を含むことで、洗浄組成物の抗菌性能がさらに向上する。
【0068】
グリーンな抗菌剤は、植物由来の揮発性精油を含んでもよい。抗菌剤として使用するのに好適な精油としては、シトロネラ油、レモンユーカリ油、桂皮油、ヒマシ油、ローズマリー油、レモングラス油、シダー油、ペパーミント油、丁子油、ゼラニウム油、バーべナ油、ハッカ油、ラベンダー油、松根油、カユプテ油、バジル油、タイム油、オールスパイス油、大豆油、にんにく油、オーストラリアンティーツリー油等を含んでもよいが、これらに限定されない。精油は、単独で用いても、又は前記有機酸又は抗菌性金属と併用してもよい。
【0069】
洗浄組成物中で使用するのに適した天然抗菌剤の種類、強さ及び濃度は、当業者にとって自明であることから、本開示の範囲を制限するものと見なすべきではない。
【0070】
[グリーンなpH調整剤]
一部の実施形態において、洗浄組成物は、場合により、1種以上のpH調整剤を含んでもよい。好ましくは、前記組成物で用いられるpH調整剤は、天然資源及び再生可能資源由来のものであるので、前記組成物の環境上の特徴、すなわちナチュラルインデックスには悪影響を及ぼさない。
【0071】
好適なpH調整剤は、水酸化ナトリウム(塩の溶液を電気分解することで製造されるもの)、炭酸ナトリウム(鉱質沈着物として自然に存在するもの)及び重炭酸ナトリウム(鉱物塩として自然に存在するもの)を含んでもよい。また、グリーンなpH調整剤は、天然資源又は再生可能資源に由来する有機酸を1種以上含んでもよい。例えば、有機酸は、クエン酸(果物や野菜の中に自然に存在するもの)、乳酸(乳糖、コーンスターチ又はジャガイモを発酵させることで生成されるもの)、酢酸(デンプン又は果物を発酵させることで生成されるもの)等であってもよい。乳酸又はクエン酸の使用はまた、せっけんかすや石灰のカスの除去に効果を発揮する可能性もある。最後に、グリーンなpH調整剤は、前記有機酸の塩を1種以上、例えばクエン酸ナトリウム、酢酸ナトリウム等を含んでもよい。
【0072】
言うまでもないが、洗浄組成物中に使用するのに適したグリーンなpH調整剤の種類及び濃度は、前記組成物の要求されるpHに左右されると考えられ、また本開示を踏まえれば、必要以上の実験を行わなくとも当業者にとって自明であろう。
【0073】
[筋状跡の発生を軽減するグリーンな物質]
一部の実施形態(例えば、ガラス洗浄用ワイプ)において、洗浄組成物は、場合により、筋状跡の発生を軽減する物質を1種以上含んでもよい。好ましくは、前記組成物中で使用される筋状跡の発生を軽減する物質は、天然資源及び再生可能資源由来のものであることから、前記組成物の環境上の特徴(すなわち、ナチュラルインデックス)には悪影響を及ぼさない。
【0074】
好適な筋状跡の発生を軽減するグリーンな物質は、酒石酸の塩等のグリーンな有機酸の塩を含んでもよい。一実施形態では、洗浄組成物は、酒石酸塩を1〜0.001重量%含む。
【0075】
言うまでもないが、洗浄組成物中で使用するのに適した筋状跡の発生を軽減するグリーンな物質の種類及び濃度は、前記組成物の具体的な用途によって決定されるものであり、また本開示を踏まえれば、必要以上の実験を行わずとも当業者にとって自明であろう。
【0076】
洗浄組成物の特徴の一つは、その適切な水分含有量である。水分含有量が高いときは、各清掃用ワイプが標的表面に供給することができる洗浄剤(例えば、界面活性剤)の量を減少させることがある。その結果、水分含有量が比較的高いワイプでは、本開示のワイプよりも洗浄する表面積が実質的に狭くなる場合がある。一実施形態では、従来のワイプではバスタブ表面の28%しか洗浄できないのに対し、本開示のワイプでは、バスタブ表面の208.33%を効率良く洗浄できる。別の実施形態では、従来のワイプでは、シャワー表面の16.82%を洗浄できるが、一方、本開示のワイプでは、シャワー表面の126.18%を洗浄できる。
【0077】
逆に、水分含有量が少なすぎる場合及び/又は増粘剤を含んでいる場合には、洗浄組成物は、清掃用ワイプの製造及び/又は用途にあまり望ましくないレオロジー特性(rheological characteristic)を有する可能性がある。例えば、洗浄組成物が高濃度のペースト状だと、前記組成物を基材全体に均一に含浸させるのは困難である。また、このような高濃度のペーストは、適応洗浄組成物に希釈するのが容易ではない可能性もある。一実施形態において、本開示のワイプは、基本的に増粘剤を含まない。
【0078】
本開示のワイプで使用される比較的低水分含有量の洗浄組成物はまた、従来のワイプで使用される低水分含有量ではない洗浄組成物に要求される防腐剤を使用しなくてもよい。そのため、一部の実施形態では、本開示のワイプは、基本的に防腐剤を含まない。さらに、本開示のワイプに添加される洗浄組成物は、従来のウェット式ワイプで使用される洗浄組成物よりも高濃度なため、より少ない用量を含んでもよい。結果として、本開示のワイプの重量はかなり軽くなり、ドライな手触りであり、しかも保管、取扱及び運搬をより簡便かつ高効率にすることができる。一実施形態において、本開示のワイプは、約0.1〜約0.2グラムの高濃度の洗浄組成物を含む。
【0079】
本開示のワイプに使用される洗浄組成物のもう一つの特徴は、その高いナチュラルインデックスである。その結果、前記組成物は、その環境上の特徴を損なわずに、性能改善を実現する。例えば、前記組成物は、85%以上、95%以上、97%以上、98%以上、又は98.5%以上の高いナチュラルインデックスを有してもよい。一実施形態において、洗浄組成物のナチュラルインデックスは、99%以上である。
【0080】
本開示のワイプの基材が、天然繊維又は天然由来繊維等のグリーンな要素で製造されている場合、本開示のワイプは、85%以上、95%以上、97%以上、98%以上、又は98.5%以上の高いナチュラルインデックスを有してもよい。一実施形態において、ワイプのナチュラルインデックスは99%以上である。
【0081】
本開示のワイプに使用される洗浄組成物の非限定的な例を以下に挙げる。
【0082】
組成物A
【0083】
【表1】

【0084】
組成物B
【0085】
【表2】

【0086】
組成物C
【0087】
【表3】

【0088】
組成物D
【0089】
【表4】

【0090】
[使用方法]
一般的な実施形態において、本開示の内容は、標的表面、特に浴室及びシャワー表面等の家庭内表面の洗浄方法であって、本開示にかかる清掃用ワイプを提供するステップと、清掃用ワイプを水で湿らしてワイプを活性化させる(すなわち、洗浄組成物を希釈する)ステップと、活性化された清掃用ワイプを標的表面に接触させるステップと、を含む方法に関する。場合により、前記方法は、清掃用ワイプを再度湿らせるステップと、標的表面に、再度湿らせた清掃用ワイプを再び接触させるステップと、をさらに含む。
【0091】
一実施形態において、清掃用ワイプは、標的表面に手で適用(hand−applied)される。他の実施形態において、ワイプは、モップ又はスウィーパー等の清掃装置の遠端部に取り付ける。ワイプは、活性化される前に又は活性化後に清掃装置に取り付けられてもよい。一改良形態において、清掃装置には、貯水器と、清掃装置に取り付けたときにワイプに水を直接噴霧するためのディスペンサと、が備わっていてもよい。
【0092】
上述のとおり、本開示のワイプは、使用直前に水で活性化される。水による活性化は、ワイプに水を直接注ぐか又はワイプを水中に素早く浸すことで行ってもよい。あるいは、標的表面を予め水でぬらしておいてもよく、標的表面上の水に触れさせることでワイプを活性化してもよい。本開示のワイプは、清掃過程において、1回以上活性化されてもよい。例えば、ワイプは、まず水で活性化されてから清掃に使用し、その後、清掃作業を完了するために又はワイプの洗浄組成物を使い果すまで、必要に応じて再び活性化されてもよい。
【0093】
本開示のワイプの特徴の一つは、洗浄組成物が基材全体に均一に含浸されているので、迅速かつ簡便に水による活性化を行うことができることである。そのために、本開示のワイプの活性化には温水又は熱水は必要ではなく、これによりさらに水とエネルギとの消費が削減される。さらには、水による活性化は清掃過程の直前に行されるので、ワイプの活性化には水道水又は循環水で足りる。また一方で、本開示のワイプは、熱水又は温水、若しくは水道水、又は循環水よりも純度の高い水で活性化することももちろん可能である。
【0094】
一般に、水による活性化は、清掃用ワイプを、バスタブ又はシャワーを含む領域内で容易に入手できる水源(例えば、バスタブの蛇口又はシャワーヘッド)に直接浸すことで行うことができる。また、水は、別の場所から供給され、例えばシリンジ、園芸用ホース、噴霧ボトル、コンテナ、バケツ等を用いてワイプ又は洗浄すべき表面まで移動されてもよい。
【0095】
本開示の方法は、特に、家庭内の表面から汚れ、せっけんかす、石灰カス、及び他の汚れ物質を除去するのに適している。また一方で、前記方法は、標的表面に追加的に抗菌性及び抗真菌性効果を与えることも可能である。家庭内の表面を洗浄するための本開示の方法及びワイプの特別な効果にもかかわらず、同様の方法及びワイプが、その他の無生物表面、特に硬質表面の洗浄にも使用できることは、当業者にとって自明であると解釈すべきである。
【0096】
特定の実施形態のみを記載してきたが、当業者にとって、以上の記載から代替案や改良案は自明であろう。これらの及びその他の代替案は同価値であって、しかも本開示の内容及び添付の特許請求の範囲の趣旨び領域の範囲内にあるものと考えられる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材と、前記基材に含浸させた洗浄組成物と、を含む、清掃用ワイプであって、前記洗浄組成物が、グリーンな非イオン界面活性剤と水とを含んでおり、前記洗浄組成物のナチュラルインデックス(Natural Index)が少なくとも85%である、清掃用ワイプ。
【請求項2】
前記基材が、天然繊維、天然由来繊維及びこれらの混合物からなる群より選択されるグリーンな繊維を含む、請求項1に記載のワイプ。
【請求項3】
前記基材が、すべてグリーンな繊維から製造されている、請求項2に記載のワイプ。
【請求項4】
前記洗浄組成物が、前記基材全体に均一に分布している、請求項1に記載のワイプ。
【請求項5】
前記グリーンな非イオン界面活性剤が、アルキルポリグリコシドを含む、請求項1に記載のワイプ。
【請求項6】
前記洗浄組成物が、グリーンなアニオン界面活性剤をさらに含む、請求項1に記載のワイプ。
【請求項7】
前記グリーンなアニオン界面活性剤が、アルキル硫酸塩を含む、請求項6に記載のワイプ。
【請求項8】
前記アルキル硫酸塩が、ラウリル硫酸ナトリウム又はココアルキル硫酸ナトリウムである、請求項7に記載のワイプ。
【請求項9】
前記洗浄組成物が、グリーンなハイドロトロープをさらに含む、請求項1に記載のワイプ。
【請求項10】
前記グリーンなハイドロトロープが、アルキルグルコシドを含む、請求項9に記載のワイプ。
【請求項11】
前記アルキルグルコシドが、ココアルキルグルコシド、ヘキシルグルコシド及びこれらの混合物からなる群より選択される、請求項10に記載のワイプ。
【請求項12】
天然香料、グリーンな抗菌剤、グリーンなpH調整剤、及びこれらの混合物からなる群より選択されるグリーンな成分をさらに含む、請求項1に記載のワイプ。
【請求項13】
前記グリーンな抗菌剤が、抗菌性金属、抗菌性金属塩、精油、及びこれらの混合物からなる群より選択される、請求項12に記載のワイプ。
【請求項14】
前記洗浄組成物が、ミクロエマルジョンとして含まれている、請求項1に記載のワイプ。
【請求項15】
前記洗浄組成物のナチュラルインデックスが、少なくとも95%である、請求項1に記載のワイプ。
【請求項16】
前記洗浄組成物の水分含有量が、10〜40重量%である、請求項1に記載のワイプ。
【請求項17】
基材と、前記基材全体に均一に含浸された洗浄組成物と、を含む、清掃用ワイプであって、前記洗浄組成物がグリーンな非イオン界面活性剤と10〜40重量%の水とを含んでおり、前記洗浄組成物のナチュラルインデックスが少なくとも99%である、清掃用ワイプ。
【請求項18】
標的表面の洗浄方法であって、前記方法は、
清掃用ワイプを提供するステップであって、前記清掃用ワイプが、基材と、前記基材に含浸させた洗浄組成物と、を含み、前記洗浄組成物がグリーンな非イオン界面活性剤と水とを含んでおり、前記洗浄組成物のナチュラルインデックスが少なくとも95%であり、
前記清掃用ワイプを水で湿らして前記清掃用ワイプを活性化させるステップと、
前記活性化された清掃用ワイプを前記標的表面に接触させるステップと、
を含む、標的表面の洗浄方法。
【請求項19】
前記清掃用ワイプを再度湿らせるステップと、
前記標的表面に、前記再度湿らせた清掃用ワイプを再び接触させるステップと、
をさらに含む、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記洗浄組成物の水分含有量が10〜40重量%である、請求項18に記載の方法。

【公表番号】特表2013−502484(P2013−502484A)
【公表日】平成25年1月24日(2013.1.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−525529(P2012−525529)
【出願日】平成22年8月19日(2010.8.19)
【国際出願番号】PCT/US2010/002276
【国際公開番号】WO2011/022061
【国際公開日】平成23年2月24日(2011.2.24)
【出願人】(500106743)エス.シー. ジョンソン アンド サン、インコーポレイテッド (168)
【Fターム(参考)】