説明

水の回収

抽出汁を濃縮する過程から口当たりの良い貯蔵可能な飲用水を回収する方法であって、抽出汁を供給する工程;抽出汁を濃縮して、濃縮汁流及び濃縮機排出流を形成する工程(ここで濃縮機排出流は、口当たりが良くない、飲用ではない又は貯蔵可能ではない);及び濃縮機排出流を活性炭に通す工程を含む、濃縮機排出流を精製して、口当たりの良い貯蔵可能な飲用水を供給する工程を含む方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、果実及び/若しくは野菜の絞り汁、並びに/又はサトウキビ汁から水を回収することに関する。特に、本発明は、果実及び/又は野菜及び/又はサトウキビから抽出された汁から、とりわけ抽出汁の濃縮の際に形成された排出流から水を回収することに関する。
【背景技術】
【0002】
果汁は、約85重量%以上の水を含有し、残りは揮発性有機化合物、有機酸、芳香、風味、糖及び繊維、並びに他の多くの微量構成成分から構成される。果実又は野菜からの汁の抽出は、一般的な産業活動である。抽出汁は、一般的には、あるものが他のものよりも効率的である幾つかの商業的方法のうちの1つ以上を使用して濃縮されて、濃縮汁の形態になる。
【0003】
抽出汁を濃縮して濃縮汁を形成する方法は、濃縮機排出流も形成する。この濃縮機排出流の組成は多様であり、濃縮方法の効率によって決まり、由来する果実又は野菜又はサトウキビの汁の特徴的な臭い及び/又は味を有することがある。すなわち、濃縮法(全ての非水構成成分が濃縮汁に望ましく保持される)が100%未満の効率であるため、主に水であるが、いくらかの供給源果実又は野菜又はサトウキビの構成成分も含有する濃縮機排出流をもたらす。一般的に、キャリー・オーバされた構成成分は芳香及び他の揮発物、有機酸、並びに糖を含み、正確な組成は、使用される分離方法によって決まる。実際には、濃縮方法の100%の効率は達成されない。
【0004】
有機汚染物に起因して、この濃縮機排出流は酸化及び微生物汚染により腐敗しやすくなる。このように、濃縮機排出流の後の使用が望ましい場合、防腐剤を添加することが必要である。例えば、濃縮機排出流を、酸性化及び二酸化硫黄の添加により防腐するとワイン産業に使用することができるが、これでさえも短期貯蔵に対する解決法しか提供しない。最も一般的には、濃縮機排出流は廃水として廃棄される。
【0005】
W094/19967は、飲用水としての濃縮機排出流の使用に関する。この文献において、消費者に配水することができる純粋な水を供給する方法を提供することが望ましいと記述されている。しかし、文献に参照されている唯一のそのような方法は、濃縮汁を濃縮する特定の方法、すなわち4段階蒸発システムであり、純水を供給する方法は、この蒸発システムからの流れを濃縮することだけである。低温殺菌、精密濾過及び/又は炭化は、任意の後処理工程である。
【0006】
W02009/155675は、商業的な砂糖生成及びエタノール生成という状況において水を回収する方法を記載し、比較的高濃度の糖を有する処理流から水を回収する方法を対象としていない。
【0007】
US2005/308793は、油母頁岩を処理する方法を記載し、本発明の分野と関連しない。
【0008】
US2010/00090及びUS2005/0274675は、既に飲用の水から生成物を生成する方法を対象とする。したがってこれらの方法は、飲用ではない、適していない又は口当たりの良くない水を処理するには不適切である。
【0009】
特に濃縮機排出流が形成されたときに既に貯蔵可能な飲用水ではない場合、抽出汁の濃縮方法において形成された濃縮機排出流から貯蔵可能な飲用水を回収する方法を提供することが望ましい。
【0010】
この「背景」セクションにおける文献、作用、材料、装置、物品などの考察は、本発明の文脈を提供する目的だけのために本明細書に含まれる。これらのいずれか又は全ての事項は、従来技術の基礎を形成すること又は本出願のそれぞれの請求項の優先日の前に存在していたかのように、本明細書に関連する分野における一般的な周知の事実であったことを示唆又は表さない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】W094/19967
【特許文献2】W02009/155675
【特許文献3】US2005/308793
【特許文献4】US2010/00090
【特許文献5】US2005/0274675
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
以下は、人の消費用/パッケージ用の飲用水を作製する方法の概要である。
1.果実又は野菜又はサトウキビを粉砕して、内部構成成分を放出又は露出させる。又は供給された汁を使用する。
2.上記(工程1)のスラリー/汁を市販の蒸発器により処理して、濃縮及びLSJ画分を生成する。全ての蒸発器がLSJの外部水汚染を防止するように設計されているわけではないので、このようにLSJを汚染しない蒸発器、すなわちセントリサーム(Centritherm)を使用することが好ましい。
3.粗LSJを、好ましくはカチオン性樹脂、続いてアニオン性樹脂のイオン交換樹脂に通す。これにより、LSJの全有機構成成分の画分を除去し、LSJのpHを必要とされるレベルに調整する。
4.次に工程3のLSJを、海水精製又はナノ濾過に使用されるもののような低分子量カットオフ膜を有する逆浸透ユニットに通して、LSJの大部分の芳香成分の除去を達成する。
5.工程4のLSJを活性炭に通して濾過して、果実又は野菜又はサトウキビの芳香又は臭気を更に除去する。
6.この過程の後、LSJを好ましくはステンレス鋼タンクに貯蔵し、UV放射線ランプ、オゾン及び/又は濾過により滅菌を維持することができる。
7.塩基性植物由来水をパッケージする直前に、活性炭で再び濾過する。
【0013】
上記の方法を段階的に実施することができ、さらには異なる順番で行って同じ結果を得ることができる。
【0014】
この精製LSJの使用は、
1.更なる添加剤を用いることなく純粋、非発泡性でありうる。
2.鉱物強化されうる、炭酸化されうる又は非発泡性でありうる。
3.ビタミン/薬草抽出物及び他の植物由来添加剤を有し、非発泡性でありうる。
4.市場で受け入れられるように芳香化、風味付けされうる。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明の一つの態様において、抽出汁を濃縮する過程から口当たりの良い貯蔵可能な飲用水を回収する方法であって、
−抽出汁を濃縮する濃縮機から濃縮機排出流をもたらす工程(濃縮機排出流は、口当たりが悪い、非飲用である及び/又は貯蔵に不適切である);並びに
−濃縮機排出流を活性炭に通す工程を含む、濃縮機排出流を精製して、口当たりの良い貯蔵可能な飲用水を供給する工程
を含む方法が提供される。
【0016】
濃縮機排出流を精製する工程は、0.1μを越える粒状材料が排出流に存在する場合、排出物を濾過する工程を更に含む。精製は、特に100ダルトンを越える分子が存在する場合、排出流を逆浸透に付す工程及び得られた排出流を活性炭と接触させる工程を更に含むことができる。活性炭は、生物学的又は有機活性炭でありうる。好ましい実施態様において、濾過、逆浸透及び活性炭との接触の工程は、排出流の特性がそのような処理の根拠になる場合に順次実施される。例えば、0.1μを越える粒状材料が存在しない場合、濾過工程は必要ない。しかし、全ての場合でないが、大部分の場合、これは必要である。同様に、逆浸透工程は、排出流が100ダルトンを越える分子を含有しない場合には必要ない。オゾン処理のような他の任意の工程も含まれうる。
【0017】
本発明の別の態様において、上記の態様の方法を使用して生成される口当たりの良い貯蔵可能な飲用水が供給される。
【0018】
本発明の別の態様において、上記の態様の口当たりの良い飲用水を含む瓶詰め水が供給される。
【0019】
濃縮機排出流は、一般的には、抽出汁からのキャリー・オーバである果実又は野菜又はサトウキビを含有し、したがって産業界において低糖汁(LSJ)と呼ばれる。本発明の文脈において、LSJは、非飲用である及び/又は口当たりの悪い、貯蔵に不適当である水である濃縮機排出物である。すなわち、濃縮機排出流は、糖を含む、元の汁の成分をいくらか含有する。濃縮機排出流の他の成分には、揮発物(例えば、低分子量芳香構成成分)及び他の有機物(例えば、リンゴ酸、乳酸、他の有機酸、タンニン、フェノール系糖、タンパク質など)が含まれる。
【0020】
これらのキャリー・オーバされた構成成分は、濃縮機排出流を非飲用及び/若しくは貯蔵不可能にする、並びに/又は消費者が濃縮機排出流を口当たりが良いと考慮しないように濃縮機排出流の味及び芳香に影響を与えるので、本発明の文脈において「汚染物」として考慮されうる。
【0021】
濃縮機排出流は、一般的には、
●臭気#3Aを越える及び/又は飲料水に許容される閾値臭気を越える芳香/臭気構成成分;
●1cm又は約15単位のパス長を有する石英キュベットを介して測定したとき、実験室等級逆浸透水の420nm及び520nmでの分光光度吸光度の合計を越える知覚色又は吸光度;
●約0.05〜0.15°Bxの糖又は約0.005〜0.15°Bxの糖;
●水として許容できない味;
●約300〜800ppmの総溶解固形分(TDS)又は約30〜800ppmのTDS;
●約400〜2350ppm又は約30〜約2350ppmの総有機炭素(TOC);並びに
●約1.1NTU又は約0.8NTUを越える混濁度
を有する。
【0022】
1つ以上の上記の構成成分の存在は、特定の閾値量では他の構成成分の有無に依存しており、濃縮機排出流の色、芳香及び/又は味プロファイルを、消費用に許容されないという点において非飲用及び/又は貯蔵不能及び/又は口当たりの悪いものにする可能性がある。このように、幾つかの情況において、そうでなければ飲用の濃縮機排出流は、味又は芳香汚染物のために口当たりの悪いままでありうる。
【0023】
同様に、上記構成成分の特定のものは、生物学的及び/又は化学的に分解しうるので、濃縮機排出流は貯蔵可能ではない。
【0024】
臭気、味及び色は、消費者が飲料水の品質及び許容度の判断に使用する第一の判断基準である。飲料水の味及び臭気は、天然に生じる又は給水の化学的汚染の結果である可能性がある。本発明は、水が、泉又は地下水供給源ではなく果実及び/又は野菜及び/又はサトウキビから供給されるという点において、大部分の従来技術と異なっている。この場合、味及び臭気は、主に、果実及び/又は野菜及び/又はサトウキビにおいて天然に生じる成分による。しかし、果実及び/又は野菜及び/又はサトウキビの栽培の際に使用した農薬の存在を、最終生成物においてモニターすることができる。
【0025】
味及び臭気は主観的測度であるが、液体を定性的に等級付けする国際的に認められた方法が存在する。少人数のパネリスト(5〜8人)を、共通の汚染物に関連する特定の臭気及び味を確認するために訓練することができる。これらのパネリストは、消費者の苦情を評価し、汚染物の供給源を確認するため及び新たな又は改善された精製方法の初期評価のために有用である。
【0026】
風味プロファイル測定法(Krasnerら 1985年、Bartelsら 1987年、Mallevailleら 1987年)は、飲料水を評価する場合、少人数の訓練されたパネリストを使用する適切な手順として広く認められている。水の臭気及び味の強さ及び特徴の両方に関する情報を提供する。
【0027】
一般に消費者から構成される大人数のパネリスト(100人を越える)を、新たな若しくは改善された方法による水の最終評価人として又は苦情をもたらす汚染物が水の飲料を許容する濃度に除去若しくは低減されたかを検査するために使用することができる。
【0028】
風味等級評価法(Zoetmanら 1984年、APHA法 2160C 1992年)は、水の許容度の簡単な等級スケールを使用する。
【0029】
加えて、臭気構成成分は分光光度法により200〜400nmで確認することができる。
【0030】
色は、混濁度が十分なレベルまで低減した後の色である「トゥルーカラー」又は人が実際に見る「知覚色」のいずれかでありうる。本発明において、天然水では、色は溶解した有機物質の存在に主に起因する。本発明において、色は、果実若しくは野菜若しくはサトウキビに存在するアントシアニンの存在又は方法の装置の汚染によってもたらされることがある。
【0031】
色を分光光度的に又は目視比較測定機を使用して測定することができる。両方の場合において、測定の標準単位はハーゼン単位(HU)である。トゥルーカラーは、多くの場合にトゥルーカラー単位又はTCUと引用されるが、数値は同一である。ハーゼン単位は、白金コバルト標準により定義される(APHA法 2120B 1992年)。この標準は、黄褐色の外観を有する天然水の色を分析するために開発され、異なる色の水には適用できない。天然地表水の色はpHと共に濃くなるので、色測定においてpHを記録することが望ましい。分光光度計を使用して得た色値は、測定に使用した波長によって左右される。オーストラリアにおいて使用される波長には標準はないが、395nm〜520nmの範囲の値が一般に使用される。英国標準は436nmを使用する(BSI法 BS6068 1986年)。
【0032】
参考として、茶は約2500HUの色を有する。トゥルーカラーの15HUをコップ1杯の水において検出することができるが、トゥルーカラーレベルの3HUを検出できる人は殆どおらず、25HUまでのトゥルーカラーは、混濁度が低いのであれば、おそらく大部分の人に許容される。トゥルーカラー及び混濁度の両方がトゥルーカラーの15HU及び混濁度の5NTU(下記のNTUについての考察を参照すること)の値である場合、知覚色は20HUであることができ、これは許容可能であると考慮される。
【0033】
色を測定する代替的手法は、LSJの分光光度分析を使用すること及びそれを精製実験室等級水(逆浸透)又は飲用水(任意の地域及び定義)と比較することである。簡潔には、分光光度試験は、1cmパス長の石英キュベットを使用し、A280、A420及び場合によりA520で吸光度を決定することにより実施される。A280は、フェノール系の色の指標であり、A420及びA520は、可視色を決定する。これらの純粋な実験室用水又は他の飲用水の2又は3つの吸光度の合計は、処理済LSJにより得られる基準点である。
【0034】
糖は、本発明の濃縮機排出流、特に果実及びサトウキビの抽出汁に存在する。糖は、泉又は地下水供給源から供給される水の処理に関する大部分の従来技術には通常存在しない。
【0035】
ブリックス度(符号°Bx)は、水溶液100質量部あたりの糖の画分の測定値である。比重により又は屈折計を用いて測定される。例えば、25°Bxの溶液は、25重量%の糖又は水3部に対して1部の糖である。果実から抽出された汁では、濃縮機排出流は、約0.05〜0.15°Bxの糖を含有することができる。野菜から抽出された汁では、濃縮機排出流は、約0.05〜0.15°Bxの糖又は約0.005〜0.15°Bxの糖を含有することができる。一般的には、果汁の濃縮機排出流は、野菜汁よりも多くの糖を含有する。
【0036】
鉱物強化されていない処理済の濃縮機排出流における総溶解固形分(TDS)では、レベルは、幾つかの場合において、約9ppm〜30ppm又は約9ppm〜約1000ppmの範囲でありうる。
【0037】
総有機炭素(TOC)は、400〜2350ppmの範囲の量を含有することができる。
【0038】
混濁は、水中の微細懸濁物質の存在により引き起こされ、「曇った」外観を有する水試料をもたらす可能性がある。混濁度は、水の光散乱特性の測定値であり、散乱の程度は、懸濁物質の量、サイズ及び組成によって左右される。本発明は、混濁が粘土、沈泥、コロイド粒子、プランクトン及び/又は他の微生物によってもたらされる泉又は地下水供給源ではなく果実及び/又は野菜及び/又はサトウキビの中から水が供給されるという点において、大部分の従来技術と異なっている。本発明において、混濁は、分離を逃れた果実若しくは野菜若しくはサトウキビの固形分のキャリー・オーバ又は微生物又は粒状物質によりもたらされることがある。
【0039】
比濁混濁計は、混濁度測定の好ましい方法である。結果は、比濁混濁度単位(NTU)で表され、較正される。参考として、混濁度5NTUの水は、コップにおいて僅かに曇って見える。混濁度が60NTUを越えると、コップを通して見ることが不可能になる。「無色」明澄な水は、通常、1NTU未満の混濁度を有する。
【0040】
濃縮機排出流は、飲料水と同様の色、味及び/又は芳香プロファイルを有さない液体流であり、定性試験パネリスト(下記で更に考察される)及び/又は適切な測定法(上記に考察されている)により決定される。
【0041】
飲用水を定義する指針/規制がそれぞれの国に存在する。これらの指針/規制に加えて、どのような味及び芳香プロファイルが口当たりの良いものかを決定する人的要素も存在する。時々、指針/規制はこの人的要素を含み、飲用水が特定の審美的基準も満たすことを要求する。更に、瓶詰め水は、水道から消費者に供給される単純な飲料水よりも厳しい管理を受ける場合がある。1984年のWHO指針は、水が大部分の消費者に不快ではないことを要求する。1993年のWHO指針は、味及び臭気が消費者の苦情を免れるように許容可能であることを要求する。
【0042】
オーストラリアでは、例えば、標準的飲料水はオーストラリア飲料水指針(Australian Drinking Water Guidelines)に従わなければならず、一方、瓶詰め水は、より厳しいオーストラリア・ニュージーランド食品規格の規格2.6.2(Standard 2.6.2 of the Food Standards of Australia New Zealand)により規制される。オーストラリア飲料水指針において、規格2.6.2では、現在パッケージ形態で提示されている水は、それぞれの物質を下記に確認される量を超えて含んではならない:
ヒ素0.05mg/L、バリウム1.0mg/L、ホウ酸塩30(H3BO3として計算)mg/L、カドミウム0.01mg/L、クロムVI0.05mg/L、銅1.0mg/L、シアン化物0.01(CN−として計算)mg/L、フッ化物(天然に生じる)2.0(F−として計算)mg/L、鉛0.05mg/L、マンガン2.0mg/L、水銀0.001mg/L、硝酸塩45(NO3−として計算)mg/L、亜硝酸塩0.005(NO2−として計算)mg/L、有機物質3.0(O2として消化されたKMnθ3)mg/L、セレン0.01mg/L、硫化物0.05(H2Sとして計算)mg/L又は亜鉛5.0mg/L。
【0043】
本発明の口当たりの良い貯蔵可能な飲用水は、一般的には、
●臭気#3A未満である及び/又は飲料水に許容される閾値臭気を越える芳香/臭気構成成分;
●1cm又は約15単位のパス長を有する石英キュベットを介して測定したとき、実験室等級逆浸透水の420nm及び520nmでの分光光度吸光度の合計を越える知覚色又は吸光度;
●約0.1°Bx未満の糖又は約0.005°Bx未満の糖;
●地域の飲用の飲料水として許容可能でありそれに匹敵する味;
●約50ppm未満の総溶解固形分(TDS);
●約600ppm未満の総有機炭素(TOC);並びに
●約0.5未満、好ましくは約0.5未満のNTUの混濁度
を有する
【0044】
本発明において、濃縮機排出流が飲用にならない又は水として許容されない主な基準は、その味及び芳香である。味のない及び/又は芳香のないことが必要なのではなく、飲用になるためには、味及び芳香は大部分の消費者にとって審美的に心地良いべきである。
【0045】
濃縮機排出流を精製して口当たりの良い貯蔵可能な飲用水を供給することは、混濁度/色、味及び芳香が口当たりの良い貯蔵可能な飲用水として適格である(上記において考察された)ことを確実にすることを伴う。
【0046】
混濁度は、実質的には、濃縮機排出流における粒状物の存在であり、したがって濾過の使用により制御することができる。これは、例えば多媒体濾過、精密濾過及び/又は限外濾過のいずれかにより達成することができる。珪藻土は、アルミナケイ酸塩を濃縮機排出流に放出し、その後、口当たりの良い貯蔵可能な飲用水において、最終的に視認可能になるので、好ましくは回避される。微生物及びアルミナケイ酸塩粒子を含む粒状物質を除去する交差流濾過を使用することができる。
【0047】
非揮発性有機化合物は、主に、濃縮機排出流の味プロファイルに寄与する。密な膜(100ダルトン)を介した逆浸透は、味に寄与する成分をLSJにおいて低減する。これらの成分には、糖、非揮発性有機酸、タンニン、フェノール類などが含まれる。適している逆浸透ユニットは、リンゴ酸、乳酸、酢酸エチル、酢酸、エタノール、アセトアルデヒド、CO2及び水のような構成成分のみを膜に通し、一方、例えば酒石酸、揮発性フェノール、タンニン、タンパク質、糖及びフラバノイドを分離する、海水精製又はナノ濾過に使用されるもののような低分子量カットオフ膜(例えば、90ダルトン)によるものである。
【0048】
未精製LSJにおいてブリックスを低減するための逆浸透の使用に追加的又は代替的に、グルコース及びフルクトースのような糖に結合する吸着剤を使用することができる。好ましくは、この糖結合吸着剤は、処理流において他の成分よりも糖分子に対して少なくとも部分的に選択性を示す。この方法の一つの実施態様において、糖結合吸着剤は、結合イオンを環境中のイオンと交換することができる微孔質固体である。一般的には、そのような固体は、Na、K、Ca2+及びMg2+のようなカチオン種を交換することができる。理論にいかようにも限定されることなく、分子に選択的に結合する微孔質固体の能力は、主にサイズ排除過程に基づいていると考えられ、この特性は、分子寸法の極めて規則的な孔構造に起因する。微孔質固体の孔に進入することができる分子又はイオン種の最大のサイズは、チャンネルの寸法により制御される。これらは一般に開口部の環のサイズにより画定され、例えば、用語「8環」は、四面体に配位された8個の原子から構成された閉ループを意味する。例えば、ループは、四面体に配位された8個のケイ素(又はアルミニウム)原子及び8個の酸素原子から形成されうる。
【0049】
一つの実施態様において、糖結合吸着剤は、鉱物のような天然に生じる物質であり、好ましい鉱物はゼオライトである。ゼオライトは、微孔質固体系のアルミノケイ酸塩の物質であり、より慣用的な物質は、方沸石、菱沸石、シャプチロ沸石、輝沸石、ソーダ沸石、フィリップサイト及び束沸石である。例示的な鉱物の式は、ソーダ沸石の式であるNaAl2Si10・2HOである。天然に生じるゼオライトはめったに純粋ではなく、多様な程度に他の鉱物、金属、石英及び他のゼオライトで汚染されている。このため、天然に生じるゼオライトは、均一性及び純度が必須である多くの商業的用途から除外されている。ゼオライトの商業的用途におけるこの容認されている見方に対して、出願者は、これらの鉱物が、糖含有量を減少する有効で経済的な手段を提供する本発明の方法に適用可能であることを提案する。
【0050】
(逆浸透と比較した場合の)糖結合吸着剤を使用する一つの利点は、糖が未精製LSJからより特異的に除去されることである。そのように処理されたLSJは、逆浸透により処理されたLSJよりも多くの植物由来栄養素及び鉱物を有する。
【0051】
糖結合吸着剤を、処理流の好都合な任意の地点に直列に置くことができるが、好ましくは、グルコース、フルクトース及び他の糖をこれらが低濃度であるときに除去するために、未精製LSJの流れの処理に使用される。
【0052】
吸着により未精製LSJから糖を除去した後、飲用水を得るために活性炭を更に使用してLSJを処理する必要が依然として存在する場合がある。
【0053】
揮発性有機化合物は、濃縮機排出流の芳香プロファイルに寄与する。そのような揮発性有機物は、通常、酢酸エチル、酢酸、エタノール及びアセトアルデヒドなどのような化合物である。芳香に寄与するLSJの残りの構成成分、すなわち低分子量揮発性有機成分は、粉末又は顆粒活性炭のいずれかである活性炭で容易に除去される。LSJの炭素処理の好ましい方法は、生物学的に活性化された炭素(BAC)の使用である。このBACは、活性炭に結合する有機構成成分を消費し、そこに生存する細菌個体群を有し、使用すると濾過媒体を効果的に再生する。有機構成成分をより容易に生分解性にするためには、LSJをBAC濾過の前にオゾンで処理する。
【0054】
BACを完全に通過した液体は、供給源汁の味及び芳香を欠いており、大部分の瓶詰め飲料水と判別することができない。BACから最終水画分への微生物活性の漏出は、UV光線により破壊することができる又は0.22ミクロンの濾過により除去することができる。
【0055】
混濁度が約0.5NTU未満であるが、他の汚染物が水を口当たりの良いもの、飲用及び/又は貯蔵可能なものにしない一つの実施態様において、濃縮機排出流を精製して貯蔵可能な飲用水を供給する工程は、逆浸透及び活性炭のみを伴うことができる。
【0056】
糖のレベルが約0.13°Bx未満または約0.005°Bx未満であるが、他の汚染物が水を口当たりの良いもの、飲用及び/又は貯蔵可能なものにしない一つの実施態様において、濃縮機排出流を精製して貯蔵可能な飲用水を供給する工程は、ナノ濾過及び活性炭のみを伴うことができる。
【0057】
別の実施態様において、濃縮機排出流を精製して貯蔵可能な飲用水を供給する工程は、濾過、逆浸透又はナノ濾過及び活性炭のみを伴うことができる。
【0058】
幾つかの実施態様において、濃縮機排出流の凍結を用いて、水を精製することができる。
【0059】
幾つかの実施態様において、活性炭を使用する前のオゾン処理は、濃縮機排出流の芳香生成成分の除去を手伝うので好ましい。特に、オゾン処理は、炭素による芳香除去の効率を、炭素をより生分解性の形態に変換することにより向上することができる。
【0060】
幾つかの実施態様において、逆浸透の前のイオン交換処理は、有機化合物の除去及びpHの調整を手伝うので好ましい。必要であれば、電気脱イオン化イオン交換を使用して、荷電粒子を除去することができる。好ましくは、カチオン性イオン交換を最初に使用し、続いてアニオン性イオン交換樹脂が使用される。
【0061】
次の塩素投与、UV滅菌、オゾン滅菌及び限外濾過を含む更なる方法の1つ以上を実施して、無菌/滅菌状態を維持することができる。濾過は、他の処理方法の前及び/若しくは後のいずれかにおいて実施することができるか又は実際には他の処理方法のうちの1つでありうる(すなわち、粒状物質と細菌の両方を1工程で制御する)。UV滅菌を使用して、微生物による逆浸透膜及び/又はナノ濾過膜の腐敗の防止を助けることができる。
【0062】
本発明により生成される口当たりの良い貯蔵可能な飲用水を、瓶詰めする前に好ましくはステンレス鋼タンクに貯蔵することができ、滅菌をUV放射線ランプ、オゾン及び/又は濾過により維持することができる。
【0063】
本発明により生成される口当たりの良い貯蔵可能な飲用水は、(a)更なる添加剤を用いることなく純粋、非発泡性で使用することができる、(b)鉱物強化、炭酸化又は非発泡性で使用することができる、(c)市場で受け入れられるように芳香化及び/又は風味付けして使用することができる、或いは(d)ビタミン/薬草抽出物及び他の植物由来添加剤と共に使用することができる
【0064】
瓶詰めする前に、口当たりの良い貯蔵可能な飲用水を活性炭により再び濾過することができる。
【0065】
全ての情況において、芳香成分を除去するために活性炭による処理が必要である。また、臭気成分を除去するために逆浸透による処理も実施されることが好ましい。次に、活性炭の飽和を低減するために、活性炭処理の前に逆浸透を実施することが好ましい。代替的に又は追加的に、活性炭の腐敗を低減するために、事前の濾過工程を含めることができる。
【0066】
より好ましい実施態様において、より大きな汚染物を除去するために、濾過工程はもとより逆浸透工程も含まれる。0.1〜0.22ミクロンのサイズの前濾過は、コロイド粒子及び微生物それぞれのような粒状物を除去するために好ましい。このことは、逆浸透(RO)膜が閉塞及び腐敗する危険性を低減する。濾過を他の工程の前に実施して、これらの工程における腐敗を低減することが好ましい。
【0067】
最も好ましい実施態様において、濃縮機排出流を以下の工程により以下の順番で処理して、
●濾過を使用して混濁度を低減する。混濁度の低減は、混濁度が比濁混濁計により決定して初めに0.5NTUを越える場合に好ましい。
●逆浸透を使用して、味に寄与する非揮発性有機化合物、例えば糖、タンニン、フェノール類及び有機酸の濃度を低減する。
●選択された活性炭を使用して、芳香に寄与する揮発性低分子量構成成分を低減する。
【0068】
上記の方法を、最終LSJが必要とされる仕様、例えば地域の飲用水に近い仕様を有するように、それぞれのバッチの又は多様なLSJを最適化することができる。最後に、処理済LSJを芳香及び味の許容性について評価することができる。
【0069】
GAC若しくはROのいずれか又は両方の組み合わせにより達成することができる0.1ブリックス未満又は0.005ブリックス未満に、糖を低減することが好ましい。糖汚染が有意に高い場合、GACを飽和しないために、ROが初期処理の選択肢である。
【0070】
好ましくは、TOCは、GAC若しくはROのいずれか又は両方の組み合わせにより1000mg/L未満に低減される。
【0071】
果実又は野菜又はサトウキビの汁が商業的に濃縮された後に残った液体画分は、LSJ(低糖汁)と呼ばれる。濃縮物、したがってLSJを生成する方法は幾つかあり、蒸発、濾過(逆浸透)及び凍結濃縮を含む。このLSJが天然水と異なる味又は芳香を有する場合、以下の方法が下記及び図3のように実施される:
1.0.1〜0.22ミクロンのサイズの前濾過が、コロイド粒子及び微生物それぞれのような粒状物を除去するために必要である。このことは、逆浸透(RO)膜が閉塞及び腐敗する危険性を低減する。
2.密な膜(90ダルトン)を介した逆浸透(RO)は、味に寄与する成分をLSJにおいて低減する。これらの成分には、糖、非揮発性有機酸、タンニン、フェノール類などが含まれる。
3.芳香に寄与するLSJの残りの構成成分、すなわち低分子量揮発性有機成分は、粉末又は顆粒活性炭(GAC)のいずれかである活性炭で容易に除去される。LSJの炭素処理の好ましい方法は、生物学的に活性化された炭素(BAC)の使用である。このBACは、活性炭に結合する有機構成成分を消費し、そこに生存する細菌個体群を有し、使用する度に濾過媒体を効果的に再生する。有機構成成分をより容易に生分解性にするためには、LSJをBAC濾過の前にオゾンで処理する。
4.BACを完全に通過した液体は、供給源汁の味及び芳香を欠いており、大部分の瓶詰め飲料水と区別することができない。BACから最終水画分への微生物活性の漏出は、UV光線により破壊することができる又は0.22ミクロンの濾過により除去することができる。
5.その水は、瓶詰め及び人の消費に適している。
【0072】
抽出汁を濃縮する工程は、果実構成成分の体積を低減するために水を除去することが目的である。この工程は、任意の市販の濃縮機又は濃縮方法を使用して実施することができる。例えば、水成分の蒸発、逆浸透及び/又は凍結を使用することができる。LSJと任意の外部水を分離し続けるように設計され、加熱するために通常蒸気を適用する濃縮機、すなわち、例えばCentritherm(登録商標)が好ましい。
【0073】
抽出汁を、果実及び/又は野菜及び/又はサトウキビから予め抽出された汁として準備することができる。すなわち、抽出汁を市販の供給源から供給することができる。あるいは、汁を本発明の一部として抽出することができる。汁は、当該技術に既知の任意の方法を使用して抽出することができる。例えば、果実及び/又は野菜及び/又はサトウキビを粉砕して、内部構成成分を放出又は露出させることができる。汁は、任意の果実及び/又は野菜及び/又はサトウキビの種類のものでありうる。
【図面の簡単な説明】
【0074】
【図1】200nm〜320nmの波長範囲内の実施例2の処理の効果の分光光度分析である。
【図2】200nm〜450nmの波長範囲内の実施例2の処理の効果の分光光度分析である。
【図3】抽出汁濃縮機からのLSJの調達を含む、好ましいLSJ処理のブロックフロー図を示す。
【発明を実施するための最良の形態】
【0075】
実施例
実施例1−ブドウ由来LSJからの口当たりの良い貯蔵可能な飲用水の回収
表1:逆浸透及び活性炭による処理後の未精製ブドウLSJの組成の変化。最終組成物は、鉱物処方及び炭酸化により強化された処理済LSJである。
【0076】
【表1】

【0077】
従属栄養平板計数(最確数(MPN)/100ml)は2であった。総腸内細菌(MPN/100ml)は0であった。大腸菌(MPN/100ml)は0であった。
【0078】
上記は、未精製LSJを、より高レベルのナトリウムを有する望ましい炭酸水飲料に変換することができる方法の一例のみを表す。ナトリウムレベルは、水の水和特性に関連し、ナトリウムが多いほど、水和の速度が速くなる。この簡単な例において、未精製LSJは人の消費に適した安定した水になったが、加えて、鉱物による強化で機能性と共に味が更に向上している。
【0079】
実施例2−特性の評価
LSJの品質及びその組成を許容されるレベルの貯蔵、飲用性及び/又は口当たりの良さに最適化するのに必要な処理の種類についての客観的分析は、分光光度計分析を使用して達成することができる。ここで実施例は、ブドウ汁の蒸発による方法で生成された未精製ブドウ由来LSJをどのように評価できるかを示し、決定された適切な処理を示す。
【0080】
以下の例において、幾つかの構成成分を以下の処理及び基準試料で決定した:
1.実験室用精製水。
2.更なる処理のない未精製ブドウLSJ。
3.顆粒活性炭(GAC)で処理された未精製ブドウLSJ。
4.逆浸透により、次にGACにより処理された未精製ブドウLSJ。
5.オーストラリア飲用水道水。
【0081】
下記の表2は、ブドウ由来未精製LSJの構成成分のレベル及び異なる処理工程の効果を追跡している。これら全ての処理と実験室用精製水及び飲用水道水との比較を提示する。結果は、活性炭処理が未精製LSJの芳香及び味に好ましい影響を与え、同時にブリックスを低減(より少ない量ではあるが)することを示した。
【0082】
LSJにおける糖の存在は、更なる発酵及び酸化の基質であり、LSJの貯蔵の間の不安定性の原因である。糖からのアルコール生成、さらにはアセトアルデヒド生成物も、LSJの味及び芳香に影響を与える可能性がある。したがって、処理済LSJの貯蔵が、酸素に曝露される瓶の外側(例えば、ステンレス鋼タンク)において必要な場合、ブリックスを可能な限り低く低減することが重要である。
【0083】
ROとGACを組み合わせた処理4は、LSJにおける糖のレベルを最大に低減し、この実施例では、LSJの0.05ブリックスのレベルは、空気に曝露されたステンレス鋼タンクにおいて1年間貯蔵された後でさえもLSJの味又は芳香に影響を与えなかった。
【0084】
GACのみを使用する処理3も、未精製LSJのブリックス量を低減し、未精製LSJの不快な味及び芳香プロファイルを取り除く。
【0085】
この証拠により、生成されたLSJが0.13ブリックス未満又は0.005ブリックス未満である場合、必要とされる唯一の処理は活性炭処理である。ブリックスがこの0.13ブリックスレベルを越える場合、RO及びGAC処理の両方を実施して、LSJを長期貯蔵のために安定化する必要がありうる。
【0086】
【表2】

【0087】
総溶解固形分(TDS)及び総有機炭素(TOC)に対する処理の効果を決定し、下記の表3に示した。TDS及びTOCは、RO及びGACの両方により低減された。未精製LSJの芳香及び味プロファイルは、GAC処理のみの後では境界線上にあったが、ROとGACの両方の処理を組み合わせた後では完全に許容可能であった。そのような処理では、TOCが未精製LSJにおいて1000mg/Lを越える場合、ROとGACの両方の処理を組み合わせて使用することが必要である。
【0088】
【表3】

【0089】
上記処理のそれぞれの効果についての分光光度分析を、200nm〜700nmの波長範囲内で決定した。このスペクトル範囲は、色又は着色のみならず有機構成成分の存在の検出も可能にする。分光光度計は、実験室用の超純水を使用してゼロの目盛りに合わせ、1cmパス長の石英キュベットを使用した。
【0090】
図1及び2は以下を示す:
1.組成と芳香及び味の両方において完全に中立であることが知られている実験室用精製水を、適用された方法のどれがLSJの中立性を改善するかを視覚的に決定するために、スペクトル基準点として使用する。この水はY軸においてゼロAbsに最も近い。
2.対照的に未精製LSJは、Y軸において1.0Abs超(図1)及びY軸において0.1Abs超(図2)を示す線である。
3.RO及びGACの組み合わせで処理されたLSJは、Y軸においてゼロAbsから2番目の線である。
4.飲用水道水(オーストラリア)は、Y軸の上記の3と同じ点で交差する。
【0091】
ROにより、続いてGACにより処理されたLSJは、実験室用精製水に最も近似したスペクトルプロファイルである。この方法は、飲用水道水と類似したLSJ生成物を生成する。GACだけで処理されたLSJは、品質は良好ではなかったが、消費には許容可能であった。
【0092】
実験室におけるそのようなスペクトル分析を使用して、世界中の任意の地点で使用される飲用水と同様のスペクトル特性を達成するために、未精製LSJが必要とする処理方法を決定することができる。
【0093】
上記の連続スペクトルの分析は、実験室用精製水に対して、未精製ブドウLSJが幾つかのピークを有することを明らかにしている。第1ピークは275nmで確認され、254nmで終わっている。第2ピークは連続的であり、200nmの波長で最高であることが分かる。蒸発によりブドウから抽出された未精製ブドウLSJのこの性質を使用して、処理プロトコールの効果を、上記の波長で処理水及び基準水の吸光度を測定し、比較することにより容易に定量化することができる。これを下記の表4に示す。
【0094】
【表4】

【0095】
地域の飲用水と同様の吸光度の値を得るために、走査ではなく上記の波長を使用して、未精製LSJ処理プログラムを最適化することができる。
【0096】
最適化された処理方法によりこれらの仕様を達成するには、芳香及び味プロファイルが味を見る人に許容可能であるかを、最終的に味見及び評価する必要がある。
【0097】
この実施例は、未精製LSJの分析方法及びどの方法を使用できるかを決定することを例示する。当業者は、この方法を他のLSJ供給源において反復できること及び異なる波長を選択する必要がありうることを理解する。
【0098】
本明細書に開示及び定義された発明は、本文又は図面によって記述された又は明白である個別の特徴の2つ以上の代替的な組み合わせの全てに及ぶことが理解される。これらの異なる組み合わせの全ては、本発明の多様な代替的態様を構成する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
抽出汁を濃縮する過程から口当たりの良い貯蔵可能な飲用水を回収する方法であって、
−抽出汁を濃縮する濃縮機から濃縮機排出流をもたらす工程(濃縮機排出流は、口当たりが悪く、非飲用であり、貯蔵に不適切である);及び
−濃縮機排出流を活性炭に通す工程を含む、濃縮機排出流を精製して、口当たりの良い貯蔵可能な飲用水を供給する工程
を含む方法。
【請求項2】
抽出汁が果実又は野菜又はサトウキビ供給源のうちの少なくとも1つから得られる、請求項1記載の口当たりの良い貯蔵可能な飲用水を回収する方法。
【請求項3】
濃縮機排出流が抽出汁の成分を含む、請求項1又は請求項2記載の口当たりの良い貯蔵可能な飲用水を回収する方法。
【請求項4】
成分が濃縮機排出流の味、芳香及び/又は色に影響を与える、請求項1〜3のいずれか1項記載の口当たりの良い貯蔵可能な飲用水を回収する方法。
【請求項5】
濃縮機排出流が、濃縮機排出流が臭気#3Aを越える及び/又は飲料水に許容される閾値臭気を越えるような芳香成分を含む、請求項1〜4のいずれか1項記載の口当たりの良い貯蔵可能な飲用水を回収する方法。
【請求項6】
濃縮機排出流が、1cm又は約15単位のパス長を有する石英キュベットを介して測定したとき、実験室等級逆浸透水の420nm及び520nmでの分光光度吸光度の合計を越える知覚色又は吸光度を有するような色成分を含む、請求項1〜5のいずれか1項記載の口当たりの良い貯蔵可能な飲用水を回収する方法。
【請求項7】
濃縮機排出流が、約0.05°Bxを越える糖又は約0.005°Bxを越える糖を有する、請求項1〜6のいずれか1項記載の口当たりの良い貯蔵可能な飲用水を回収する方法。
【請求項8】
濃縮機排出流が、約300〜約800ppmの総溶解固形分を有する、請求項1〜7のいずれか1項記載の口当たりの良い貯蔵可能な飲用水を回収する方法。
【請求項9】
濃縮機排出流が、約400〜約2350ppmの総有機炭素又は約30〜約2350ppmの総有機炭素を有する、請求項1〜8のいずれか1項記載の口当たりの良い貯蔵可能な飲用水を回収する方法。
【請求項10】
濃縮機排出流が、約1.1NTUを越える又は約0.8NTUを越える混濁度を有する、請求項1〜9のいずれか1項記載の口当たりの良い貯蔵可能な飲用水を回収する方法。
【請求項11】
濃縮機排出流を精製する工程が、濃縮機排出流を活性炭処理の前に逆浸透及び/又は糖結合吸着剤への吸着に付す工程を含む、請求項8〜10のいずれか1項記載の口当たりの良い貯蔵可能な飲用水を回収する方法。
【請求項12】
濃縮機排出流を精製する工程が、濃縮機排出流を活性炭工程の前に濾過する工程を含む、請求項8〜10のいずれか1項記載の口当たりの良い貯蔵可能な飲用水を回収する方法。
【請求項13】
濾過工程が、逆浸透工程の前又は糖結合吸着剤工程の前に実施される、請求項10〜12のいずれか1項記載の口当たりの良い貯蔵可能な飲用水を回収する方法。
【請求項14】
濃縮機排出流を精製する工程が、濃縮機排出流をイオン交換樹脂に通す工程を更に含む、請求項1〜13のいずれか1項記載の口当たりの良い貯蔵可能な飲用水を回収する方法。
【請求項15】
濃縮機排出流を精製する工程が、濃縮機排出流をオゾン処理に付す工程を更に含む、請求項1〜14のいずれか1項記載の口当たりの良い貯蔵可能な飲用水を回収する方法。
【請求項16】
濃縮機排出流を精製する工程が、
−0.1μを越える粒状材料が存在する場合、排出流を濾過する工程及び
−特に排出流が0.05ブリックスを越える糖又は0.005ブリックスを越える糖を有する場合、排出流を逆浸透及び/又は糖結合吸着剤への吸着に付す工程
を更に含む、請求項1〜15のいずれか1項記載の口当たりの良い貯蔵可能な飲用水を回収する方法。
【請求項17】
活性炭が生物学的又は有機活性炭である、請求項16に記載の口当たりの良い貯蔵可能な飲用水を回収する方法。
【請求項18】
(i)濾過、(ii)逆浸透又は糖結合吸着剤への吸着及び(iii)活性炭への接触の工程が順次実施される、請求項16又は17に記載の口当たりの良い貯蔵可能な飲用水を回収する方法。
【請求項19】
濃縮機排出流が、濃縮機排出流が臭気#3A未満である及び/又は飲料水に許容される閾値臭気を越えるような芳香成分を含む、請求項1〜18のいずれか1項記載の口当たりの良い貯蔵可能な飲用水を回収する方法。
【請求項20】
濃縮機排出流が、濃縮機排出流が約15単位未満の知覚色を有するような色成分を含む、請求項1〜19のいずれか1項記載の口当たりの良い貯蔵可能な飲用水を回収する方法。
【請求項21】
濃縮機排出流が、約0.1°Bx未満の糖又は約0.005°Bx未満の糖を有する、請求項1〜20のいずれか1項記載の口当たりの良い貯蔵可能な飲用水を回収する方法。
【請求項22】
濃縮機排出流が、約50ppm未満の総溶解固形分を有する、請求項1〜21のいずれか1項記載の口当たりの良い貯蔵可能な飲用水を回収する方法。
【請求項23】
濃縮機排出流が、約600ppm未満の総有機炭素を有する、請求項1〜22のいずれか1項記載の口当たりの良い貯蔵可能な飲用水を回収する方法。
【請求項24】
濃縮機排出流が、約0.5NTU未満の混濁度を有する、請求項1〜23のいずれか1項記載の口当たりの良い貯蔵可能な飲用水を回収する方法。
【請求項25】
請求項1〜24のいずれか1項記載の方法を使用して生成される口当たりの良い貯蔵可能な飲用水。
【請求項26】
請求項1〜25のいずれか1項記載の方法により生成される口当たりの良い貯蔵可能な飲用水を含む瓶詰め水。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2013−516959(P2013−516959A)
【公表日】平成25年5月16日(2013.5.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−548310(P2012−548310)
【出願日】平成22年12月21日(2010.12.21)
【国際出願番号】PCT/AU2010/001706
【国際公開番号】WO2011/085429
【国際公開日】平成23年7月21日(2011.7.21)
【出願人】(512180757)
【氏名又は名称原語表記】KAMBOURIS, Ambrosios
【住所又は居所原語表記】259 Cureton Avenue,Mildura,Victoria 3500,Australia
【Fターム(参考)】