説明

水不溶性医薬活性物質の舌下、頬若しくは経口投与のための医薬投薬単位

本発明の一つの側面は、舌下、頬、肺若しくは経口投与のための医薬投薬単位に関し、前記投薬単位は、20〜500mgの重量を有し、固体親水性マトリックス中に配分された1〜80重量%の微粒剤を含み、前記微顆粒剤は、5〜100μmの体積加重平均直径を有し;少なくとも0.01重量%、好ましくは、少なくとも0.1重量%の一以上の水不溶性医薬活性物質を含み;少なくとも10重量%、好ましくは、少なくとも20重量%の乳化剤成分を含み;及び唾液若しくは水と接触するとミクロエマルジョンを形成することができることより特徴付けられる。本発明の投薬単位は、経口送達と同時にそこに含まれるカンナビノイドの高い経粘膜吸収速度を実現する固有の利点を有する。本発明の他の側面は、前記投薬単位の治療若しくは予防処置での使用と前記投薬単位の製造方法に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一以上の水不溶性医薬活性物質を含む舌下、頬若しくは経口投与のための医薬投薬単位とこれら投与単位の治療或いは予防処置での使用に関する。
【0002】
本発明は、また、上記投薬単位の製造のためのプロセスを提供する。
【背景技術】
【0003】
現在市販されている医薬活性物質の大部分は、水中での非常に不十分な溶解性を有する。この不十分な水溶解性の結果として、これら医薬活性物質は、粘膜バリア、例えば、腸と口からの吸収は悪くなる。これが、水不溶性医薬活性物質が、通常非経口的に、例えば、静脈内、皮下或いは筋肉に投与される本質的な理由である。しかしながら、これら非経口投与方法は、面倒で自己投与にはより適していないことから、水不溶性医薬活性物質をより便利な投与態様、例えば、経口、舌下若しくは頬を通じて送達する方法を見出すために、努力が、医薬品産業においてなされてきた。
【0004】
水不溶性医薬活性物質の経粘膜吸収は、非常に細かい分散形態を提供することにより(例えば、水性ミクロエマルジョン)または、固体医薬活性物質の粒径を減じることにより(例えば、超微粉化)、顕著に向上することができることは、医薬分野で十分に認識されてきた。加えて、医薬品産業は、水と接触すると細かい分散を自然に形成する、いわゆる自己乳化製剤を開発してきた。このような自己乳化製剤は、経口粘膜(舌下或いは頬投与)若しくは腸粘膜(例えば、経口投与)を介して適切に送達され得る。
【0005】
水不溶性医薬活性物質の例は、カンナビノイドと特にアルアロイドのクラスを含む。カンナビノイドは、麻の活性成分である。アルカロイドは、植物、動物(例えば、甲殻類)と菌類での二次的代謝物として生じる。多くのカンナビノイドとアルアロイドは、ヒトのような動物に明らかな薬理的効果を有する。
【0006】
カンナビノイドは、置換メロテルペンであり、植物Cannabis sativa.の主要活性成分である。最も重要な天然カンナビノイドは、精神活性なテトラヒドロカンナビノール(Δ9-THC)であり、他は、非精神活性(であるが、薬学的に活性)な化合物カンナビジオール(CBD)とカンナビゲロール(CBG)である。カンナビノイドは、種々の経路で投与することができる。その高い脂質溶解性の故に、局所投与は、眼或いは鼻粘膜のような位置で可能である。しかしながら、これは、きわめて限定された適用可能性であった。というのは、過去に入手可能なTHC製剤は眼を刺激する傾向にあったからである。しかしながら、脂質溶解性材料を水溶液中で眼に適用できるより新しい賦形剤は、この経路を再度より関心の高いものにする。
【0007】
理論的には、薬物埋め込み皮膚パッチからのように、経皮的吸収は可能であるはずであるが、吸収は、非常に緩慢であり臨床的には有用ではない。
【0008】
経口投与は、10〜20%の、通常15%未満のバイオアベイラビリティで、緩慢で実行可能な吸収を生じる。静脈注入或いは輸液は可能であるが、カンナビノイドの非常に低い水溶解性の故に、血漿蛋白質とカンナビノイドの錯体若しくは水混和性有機溶媒溶液のような特別な処方が使用されねばならない。適切な製剤の静脈投与は、非常に急速な作用の到来を生じるが、過度の強度の最大作用を回避するための投薬制限の故に、作用の持続時間は短い。
【0009】
喫煙は、明らかに、最も良く知られた投与方法であるが、純粋なカンナビノイドとは対照的に、粗マリファナを使用する典型的方法である。粗カンナビス中の合計THCの大部分は、遊離THCではなく、テトラヒドロカンナビノール酸である。煙草或いは一服分のカンナビスの前進する燃焼帯のすぐ前方の熱は、THC酸を遊離THCに変換し、THCを揮発させ、その結果喫煙により肺中に深く吸入され得る。THCの高い脂質溶解性は、肺胞膜を急速に横切り、肺毛細管中の血液に入ることを可能とする。ここから、心臓に急速に運ばれ、直接脳に注入され、その結果、作用の到来は少なくとも静脈注入と同じく急速である。
【0010】
カンナビノイドに関して上記述べられることは、また、多くの水溶解性医薬活性アルカロイド及びステロイドにも全体として適用される。アルカロイドは、分子を構成するために使用される代謝路に基づき、エーテル分子フィート(feat)により通常分類される。アルカロイドの生合成について多くが知られていない時には、それらは、公知化合物の名称か、それらが単離された植物或いは動物によりグループ化された。ある種のアルカロイドについてより多くが知られると、グループ化は、新たな知識を反映して変更され、通常、合成プロセスで目立つ生物学的に重要なアミンの名称を採用する。
【0011】
ステロイドは、一般的には、6-6-6-5型に配置された4個の縮合環を有する炭素骨格により特徴付けられるテルペノイド脂質である。ステロイドは、これら環に付属する官能基と環の酸化状態により多様であり得る。何百もの別異のステロイドが、植物、動物及び菌類に見出される。全てのステロイドは、ステロールラノステロール(動物及び菌類)かステロールシクロアルテノール(植物)の何れかから誘導される。両ステロールは、トリテルペンスクアレンの環化から誘導される。薬学的に活性なステロイドの例は、エストロゲン、プロゲストゲン、アンドロゲンを含む。
【0012】
経口粘膜送達は、他の投与経路を超えるいくつかの別異の利点を提供する。口は、広い開口と広範な粘膜表面で簡単にアクセス可能である。薬物は、口腔粘膜下にある網状静脈に容易に入り込むことができる。口腔粘膜は、他の粘膜より多い親油性細胞を有し、親油性薬物の送達を可能とする。頬粘膜を通じて吸収される薬物は、ピル或いはカプセル形態で摂取されるときよりも、4〜8倍より急速に循環に入ることが見出される。効果は、胃での摂取による30〜60分と比べて5〜20分で観察することができる。経口経粘膜送達は、また、経皮送達(皮膚パッチ)より、20〜30倍急速である。薬物は、皮膚或いは直腸粘膜を通じるよりも経口粘膜を通じてより容易に吸収される。口内に置かれた薬物は、直腸、尿道、膣、膀胱内或いは鼻上に置かれた薬物よりも患者にとって、より受容可能であり、より容易に制御される。
【0013】
特許文献1は、粘膜表面を介する親油性薬物の投与における使用のための医薬処方を記載し、その処方は少なくとも一つの親油性薬物と少なくとも一つの自己乳化剤を含み、水和されると、処方は、粘膜表面に粘着することができ、薬物の制御された放出を可能とする親油性薬物を含むエマルジョンを形成する。また、舌下及び/又は頬粘膜を介する親油性薬剤の投与のためのゲル或いは圧縮錠剤の形態の医薬処方が記載され、唾に接触すると、錠剤或いはゲル形態は、舌下及び/又は頬粘膜に可逆的に付着する親油性薬剤を含むエマルジョンを形成する。特許文献1の例6は、グリセリルモノステアレート、ポリソルベート80、アスコルビン酸パルミテート及びα-トコフェロール並びにTHCをアルコール中に溶解し、乳糖と可溶性澱粉とからなる粉末混合物上にアルコール溶液を噴霧し、アルコールを蒸発させ、得られた顆粒をタルクでまぶし、101mgの重量の目標錠剤に圧縮することによる頬或いは舌下投与のための錠剤の調製を記載する。
【0014】
経口投与は、一般的には、投与の最も便利な態様とみなされる。しかしながら、経口バイオアビリティは、医薬活性物質が、腸管粘膜を横切って吸収される程度と、前記物質が、いわゆる第1パスの間に肝臓で代謝される程度に、大いに影響を受ける。
【0015】
呼吸系を介する肺投与は、また、医薬活性物質を送達する効率的な方法とみなされる。投与は、肺胞(肺)を介して吸収することのできる活性化合物を運ぶ噴霧剤或いはエーロゾルの吸入を通じて生じる。
【0016】
特許文献2は、親水性或いは疎水性医薬活性成分の改善された送達のための固体医薬組成物を記載し、前記組成物は、物質と、物質上のカプセル封入被覆とを運ぶ固体担体を含み、前記カプセル封入被覆は、少なくとも一つの医薬活性成分と少なくとも一つの親水性界面活性剤とを含む。親水性界面活性剤は、好ましくは、少なくとも10のHLB値を有する界面活性剤或いはイオン性界面活性剤である。特許文献2には、医薬組成物は、経口、経鼻、点眼、尿道、頬、経粘膜、膣、経皮或いは直腸送達のために処方できると述べられている。親水性界面活性剤は、固体担体中の活性成分の増加された溶解度;活性成分の改善された溶解速度;溶解時の活性成分の改善された可溶化;活性成分、特に親水性活性成分の吸収及び/又はバイオアビリティの向上及び活性成分の改善された物理的及び化学的安定性を提供するために使用することができることが、更に、観察された。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0017】
【特許文献1】GB 2 380 129
【特許文献2】WO 01/37808
【発明の概要】
【0018】
本発明者らは、これら投与方法の固有の利点を達成すると同時に、そこに含まれた医薬活性物質の高い経粘膜吸収を実現する、水不溶性医薬活性物質の舌下、頬、経口若しくは肺投与のための医薬投薬単位を開発した。
【0019】
本発明の投薬単位は、20〜500mgの重量を有し、固体親水性マトリックス中に配分された1〜80重量%の微顆粒剤を含み、前記微顆粒剤は、
-5〜100μmの体積加重平均直径を有し;
-少なくとも0.01重量%、好ましくは、少なくとも0.1重量%の一以上の水不溶性医薬活性物質を含み;
-少なくとも10重量%の乳化剤成分を含み;及び
-唾液と接触すると、ミクロエマルジョンを形成することができる、
ことにより、特徴付けられる。
【0020】
本発明の投与単位は、投与単位が、長期間周囲条件下で貯蔵される時でさえも、Δ9-THCのような、そこに含まれる医薬活性物質が、酸化及び/又は異性化に抗して十分に安定であるという利点を追加的に提供する。本発明者は理論により拘束されるつもりはないが、医薬活性物質は、微顆粒剤内に効率的にカプセル封入され、そのため、光、温度、酸素、反応性親水性成分及び/又は湿分の影響下の分解に抗して保護されるものと信じられる。本発明の投与単位の乳化剤成分は、微顆粒剤が、唾或いは水に接触して急速に分散されることを保証する。得られたミクロエマルジョンは、頬或いは舌下粘膜組織と腸粘膜により急速に吸収される。
【0021】
本発明の投与単位は、微顆粒剤成分とマトリックス成分とを単純に組み合わせることにより、すなわち、アルコールのような有機溶媒を使用することなく、製造することができる。
【0022】
したがって、本発明の別の側面は、上記のとおりの、頬、舌下若しくは経口投与のための投薬単位の製造のためのプロセスに関し、前記プロセスが、
-5〜100μmの体積加重平均直径を有し、少なくとも0.1重量%の一以上の水不溶性医薬活性物質と少なくとも10重量%の乳化剤成分とを含む、5〜80重量部の微顆粒剤と、20〜95重量部のマトリックス形成組成物とを十分に混合すること;及び
-生じた混合物を成形すること、
を含む。
【0023】
[定義]
ここで使用される用語「微顆粒剤」は、小さな分散顆粒から成る粒状物を指す。微顆粒剤内の分散粒子は、乳化剤成分と1以上の水不溶性医薬活性物質の両方とを含む。
【0024】
ここで使用される用語「水不溶性」は、物質が37℃(中性pH)の脱塩水中で、200mg/l未満の溶解度を有することを意味する。
【0025】
ここで使用される用語「カンナビノイド」は、以下の物質を包含する:Δ-8-テトラヒドロカンナビノール、Δ-9-テトラヒドロカンナビノール、カンナビジオール、オリベトール、カンナビノール、カンナビゲロール、ナビロン、Δ-9-テトラヒドロカンナビノティク酸、3-ジメチルネプチ11カルボン酸ホモロジン8とプロドラッグ並びに医薬的に受容可能なこれらカンナビノイドの塩を包含する。
【0026】
用語「テトラヒドロカンナビノール」或いは「THC」は、他に断らなければ、Δ-9-テトラヒドロカンナビノールを指す。
【0027】
ここで使用される用語「アルカロイド」は、以下のアルカロイド群の一つに属する物質を包含する。
【0028】
・ピペリジン群(例えば、コニイン、ニコチン)
・ピロリジン群(例えば、ヒグリン、ニコチン)
・トロパン群(例えば、アトロピン、コカイン)
・キノリン群(例えば、キニーネ、ストリキニーネ)
・イソキノリン群(例えば、モルフィン、コデイン)
・フェニルエチルアミン群(例えば、メスカリン、エフェドリン、ドーパミン)
・インドール群(例えば、セレトニンのようなトリプタミン)
・プリン群(例えば、カフェインのようなキサンチン)
・ビンカアルカロイド(例えば、ビンブラスチン)
ここで使用される用語「ステロイド」は、6-6-6-5型に配置された4個の縮合環を有する炭素骨格を含むテルペノイド脂質を指す。
【0029】
ここで使用される用語「乳化剤成分」は、極性或いはイオン性部分と非極性、例えば、脂肪族部分とを有する1以上の物質を含む界面活性成分を意味し、界面活性成分は、エマルジョン、特に、水中油型エマルジョンを安定化することができる。本発明は、2以上の界面活性物質、特に、O/W型乳化剤と共乳化剤との組み合わせを含む乳化剤の使用を包含することが指摘される。
【0030】
ここで使用される用語「O/W型乳化剤」は、水中油型エマルジョン化を容易にする界面活性成分を指す。典型的には、O/W型乳化剤は、少なくとも8のHLB値を示す。
【0031】
ここで使用される用語「共乳化剤」は、組み合わされるO/W型乳化剤の水中油型エマルジョン化特性を向上させることができる親水特性を有する界面活性成分を指す。典型的には、共乳化剤は、3〜7のHLB値を示す。
【0032】
[発明の詳細な説明]
本発明の一つの側面は、舌下、頬若しくは経口投与のための医薬投薬単位に関し、前記投与単位は、20〜500mgの重量を有し、固体親水性マトリックス中に配分された1〜80重量%の微粒剤を含み、前記微顆粒剤が、
-5〜100μmの体積加重平均直径を有し;
-少なくとも0.01重量%、好ましくは、少なくとも0.1重量%の一以上の水不溶性医薬活性物質を含み;
-少なくとも10重量%、好ましくは、少なくとも20重量%の乳化剤成分を含み;及び
-唾液若しくは水と接触するとミクロエマルジョンを形成することができる、
ことにより特徴付けられる。
【0033】
微顆粒剤は、一以上の、好ましくは、全ての以下の特性を有するものとして同定することができる。
【0034】
・それらは、実質的なエネルギー供給なしで、例えば、加熱不存在下若しくは高せん断設備或いは他の実質的な攪拌を使用せずに、それらの成分が、接触状態にされる時に、自然に或いは実質的に自然に形成される。
【0035】
・それらは、熱力学的な安定性を示す。
【0036】
・それらは、実質的に不透明ではなく、すなわち、光学顕微鏡により見られると透明か乳白光を呈する。
【0037】
・ミクロエマルジョンは、分散した或いは顆粒状(液滴状)の相を含み、その粒径は2000Å未満である。
【0038】
投薬単位の放出特性と水不溶性医薬活性物質の安定性は、微顆粒剤の平均直径により影響を受ける。好ましくは、本発明の顆粒剤は、少なくとも8μm、より好ましくは、少なくとも10μmの体積加重平均直径を有する。顆粒剤の体積加重平均直径は、好ましくは、80μmを超えず、より好ましくは、70μmを超えない。顆粒剤の体積加重平均直径は、画像分析法により適切に決定され得る。
【0039】
本発明の投薬単位での微顆粒剤は、典型的には、規則的な形状の顆粒から成り、顆粒の最大と最小直径間の平均比は、好ましくは、1〜4の範囲内、より好ましくは、1〜3の範囲内、最も好ましくは、1〜2の範囲内である。
【0040】
本発明の投薬単位は、有利には、少なくとも5重量%、最も好ましくは、少なくとも10重量%の微顆粒剤を含む。特別の好ましい具体例によれば、本発明の微顆粒剤は、少なくとも0.5重量%、最も好ましくは、少なくとも1重量%の水不溶性医薬活性物質を含む。
【0041】
特別の好ましい具体例によれば、本発明の投薬単位は、0.05〜20重量%、より好ましくは、0.5〜20重量%、最も好ましくは、1〜10重量%の水不溶性医薬活性物質を含む。
【0042】
投薬単位に含まれる1以上の水不溶性医薬活性物質の量は、典型的には、10μgを超える。好ましくは、前記量は、0.1〜100mg、より好ましくは、0.5〜100mg、最も好ましくは、1〜50mgの範囲である。
【0043】
本発明の投薬単位中の微顆粒剤は、有利には、少なくとも50重量%、更により好ましくは、少なくとも75重量%の乳化剤成分を含む。乳化剤成分は、2以上の乳化剤の混合物、例えば、乳化剤と共乳化剤との混合物を適切に含み得る。
【0044】
特別の好ましい具体例によれば、水不溶性医薬活性物質と乳化剤は合わせて、少なくとも60重量%、より好ましくは、少なくとも80重量%、最も好ましくは、少なくとも90重量%の微顆粒剤に相当する。水不溶性医薬活性物質と乳化剤に加えて、微顆粒剤は、抗酸化剤、保存剤、脂肪、ワックス、更なる医薬活性物質等のような他の成分を適切に含み得る。
【0045】
本発明の投薬単位中の水不溶性医薬活性物質の安定性は、抗酸化剤の含有によって、更に向上され得る。好ましい具体例によれば、投薬単位は、10ppm、好ましくは、少なくとも50ppmの、ビタミンC、ビタミンE、ビタミンA、フラボノイド、ポリフェノール及びそれらの組み合わせから成る群より選ばれる抗酸化剤を含む。更により好ましい具体例によれば、少なくとも80%の、より好ましくは、少なくとも90%の前記抗酸化剤が、微顆粒剤内に含まれる。
【0046】
本発明の利益は、水不溶性医薬活性物質が、37℃の脱塩水中で、100mg/l未満、より好ましくは、20mg/l未満の溶解度を有するときに、特に顕著である。
【0047】
本発明の投薬単位は、薬学的に活性なカンナビノイドとアルカロイドを送達するために特に適切である。本発明の投薬単位に使用されるカンナビノイドは、好ましくは、Δ-8-テトラヒドロカンナビノール、Δ-9-テトラヒドロカンナビノール、カンナビジオール、テトラヒドロカンナビノバリン、カンナビジバリン及びそれらの組み合わせから成る群より選ばれる。最も好ましくは、本発明の投薬単位は、少なくとも0.1重量%のΔ-9-テトラヒドロカンナビノールを含む。更に、より好ましくは、本発明の投薬単位は、0.3〜50mgのΔ-9-テトラヒドロカンナビノールを、最も好ましくは、0.5〜30mgのΔ-9-テトラヒドロカンナビノールを含む。
【0048】
本発明の投薬単位に有利に使用され得るアルカロイドは、コデイン、モルヒネ、キニーネ、キノリン、アトロピン、ビンブラスチン、ビンクリスチン、レスピリン、エルゴタミン、スコポラミン、ベラトリン、ヘロイン及びフェンタニルを含む。
【0049】
有利に使用され得るステロイドは、エストロゲン17α-エチニルエストラジオール、17α-エチニルエストラジオール、17α-エチニルエストラジオール3-ジメチルアミノプロピオネート、17α-エチニルエストラジオール3-シクロペンチルエーテル(キエネストロール)及び17α-エチニルエストラジオール3-メチルエーテル(メストラノール)のエステルとエーテル、エストロン、エストラジオールとエストリオール及びそれらのエステル、共役馬エストロゲン;プロゲストゲンプロゲステロン、デソゲステレル、ノルゲスチメート、ゲストデン、ジドロゲステロン、メドロキプロゲステロンアセテート、ノレチノドレル、ノレチネドロン、ノレチネドロンアセテート、レボノルゲストレル、dl-ノルゲストレル、シプロテローネアセテート、クロルマジノンアセテート、マゲストロールアセテート、17D-ノルゲスチメート、ジエノゲスト、トリメゲストン、ドロスペリノン及びノマゲストレル;並びにアンドロゲンテストステロン、テストステロンエステル及びジヒドロエピアンドロステロンを含む。
【0050】
本発明の投薬単位の固体親水性マトリックスは、典型的には、15重量%未満の水を含む。更により好ましくは、投薬単位の水含有量は、10重量%を超えず、最も好ましくは、前記水含有量は、2重量%を超えない。
【0051】
経口粘膜組織による水不溶性医薬活性物質の迅速な吸収を容易にするために、ムコ粘着剤が、本発明の投薬単位に有利には組み込まれる。好ましくは、投薬単位の親水性マトリックスは、好ましくは、0.1〜20重量%、より好ましくは、0.1〜5%のムコ粘着剤を含む。ムコ粘着剤は、カルボマー、セルロース誘導体、植物レクチン、デキストリン、ヒプロメロース、キトサン、ポリエチレンオキシド、アルギン酸塩及びそれらの組み合わせから成る群より有利には選ばれる。ムコ粘着剤は、生物組織、例えば、頬空洞中の粘液膜に接着し、多少長い期間そこに保持される性質を示す。ムコ粘着現象は、文献に記載されており、医薬投与形態の1以上のムコ粘着化合物と生物組織表面の存在する官能性化学基との間の結合の確立により提供される。ムコ粘着機構に伴われる相互作用は、物理機械的或いは化学的性質であると記載されている。ムコ粘着剤の適切な例は、カルボマー、セルロース誘導体、植物レクチン、デキストリン、ヒプロメロース、キトサン、ポリエチレンオキシド、アルギン酸塩及びそれらの組み合わせを含む。
【0052】
水不溶性医薬活性物質が急速に放出されるために、本発明の投薬単位の親水性マトリックスは、唾液と接触すると、急速に崩壊しなければならない。親水性マトリックスの崩壊は、崩壊剤の組み込みにより容易となる。親水性マトリックスは、好ましくは、典型的には、1〜15重量%、より好ましくは、1〜10重量%、最も好ましくは、2〜6重量%の崩壊剤を含む。本発明の投薬単位に適切に使用され得る崩壊剤の例は、クロスポビドン、クロスカルメロースナトリウム、グリコシル化澱粉ナトリウム、ヒドロキシプロピルセルロース、ポラクリンカリウム、アルファ化澱粉、微結晶性セルロース及びそれらの組み合わせを含む。
【0053】
本発明の投薬単位は、また、有利には、ガス生成反応物質混合物、例えば、重炭酸ナトリウムと酸の混合物を含み得る。水と接触すると、反応混合物内の成分はガス、例えば、炭酸ガスを発生し、そのため投薬単位の口中での崩壊を促進する。
【0054】
本発明の固体投薬単位は、錠剤機で好都合なことに製造される。型からの錠剤の簡単な除去を可能とするために、典型的には、投薬単位の親水性マトリックスは、0.1〜10%の潤滑剤を含む。潤滑剤は、好ましくは、タルク、ステアリルフマール酸ナトリウム、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、水素化ヒマシ油、水素化大豆油、ポリチレングリコール及びそれらの組み合わせから成る群より選ばれる。
【0055】
本発明の投薬単位の製造は、親水性マトリックス中にシリカを組み込むことにより更に容易にされる。有利には、親水性マトリックスは、0〜5重量%、好ましくは、0.1〜0.5重量%のシリカを含む。
【0056】
特に好ましい具体例によれば、本発明の投薬単位は、シリカ、崩壊剤、ムコ粘着剤及び潤滑剤の組み合わせを含み、前記組み合わせは、親水性マトリックスの少なくとも70重量%、好ましくは、少なくとも80重量%に相当する。
【0057】
本発明は、非常に多くの種類の乳化剤成分を包含する。本発明により使用される乳化剤は、好ましくは、非イオン性乳化剤を含む。
【0058】
別の好ましい具体例によれば、乳化剤成分は、1〜4個のC6−24脂肪酸残基を含むエステル形態の乳化剤を含む。これら脂肪酸残基は、乳化剤の親油性部分に含まれる。更に、乳化剤成分は、少なくとも一つの遊離ヒドロキシ基、好ましくは、少なくとも二つの遊離ヒドロキシ基を含む乳化剤を有利には含む。遊離ヒドロキシ基は、乳化剤の親水性部分に含まれる。
【0059】
親水性と親油性は乳化剤の間で異なり、両者の間のバランスはHLB値と呼ばれる。HLB値は、0〜20間に分布することができる。より高い親油性を有する乳化剤はより低いHLB値を示し、より高い親水性はより高いHLB値に反映される。特に好ましい具体例によれば、乳化剤成分は、7より大きい、より好ましくは、少なくとも8の、更により好ましくは、少なくとも10の、最も好ましくは、少なくとも12のHLB値を有するO/W型乳化剤を含む。典型的には、O/W型乳化剤のHLB値は、18を超えない。
【0060】
前述のO/W型乳化剤に加えて、乳化剤は、3〜7のHLB、特に、3.5〜6.5のHLBを有する共乳化剤を有利には含み得る。典型的には、O/W型乳化剤は、本発明の投薬単位中に、微顆粒剤の50〜99重量%の量で含まれる。共乳化剤は、好ましくは、投薬単位中に微顆粒剤の0〜50重量%の量で含まれる。
【0061】
特に好ましい具体例によれば、乳化剤成分は、糖脂肪酸エステル、モノ-グリセリド、ジ-グリセリド、モノグリセリドのジ酒石酸エステル、ポリグリセロールエステル、ジグリセリドのジ酒石酸エステル、ステアリル乳酸カルシウム、ステアリル乳酸ナトリウム及びそれらの組み合わせから成る群より選ばれる。更により好ましい乳化剤成分は、糖脂肪酸エステル、ポリグリセロールエステル及びそれらの組み合わせから成る群より選ばれる。更により好ましい乳化剤成分は、糖脂肪酸エステル、特に、分子あたり1〜3個の脂肪酸残基を含む糖脂肪酸エステルである。乳化剤成分として使用される糖脂肪酸エステルは、最も好ましくは、分子あたり1個の脂肪酸残基を含む。前述の糖脂肪酸エステル中の糖残基は、最も好ましくは、蔗糖残基である。
【0062】
特に好ましい具体例によれば、乳化剤成分は、微顆粒剤の少なくとも50重量%、最も好ましくは、少なくとも90重量%の蔗糖脂肪酸エステル、特に、分子あたり1〜3個の脂肪酸残基を含む蔗糖脂肪酸エステルを含む。
【0063】
本発明の投薬単位は、圧縮錠剤の形を適切にとり得る。このような錠剤は、2以上の異なる組成物を適切に含み得る。
【0064】
有利には、投薬単位は、容易な水アクセスを可能とするために、一定の水準の多孔度を示す。典型的には、本発明の投薬単位は、1〜50%、好ましくは、2〜15の%多孔度を示す。
【0065】
本発明の別の側面は、治療若しくは予防処置での使用のための医薬製造のための水不溶性医薬活性物質の使用に関し、前記処置が、以前以後に記載のとおりの投薬単位の舌下、頬、若しくは経口投与を含む。1以上のカンナビノイドを含む本発明による投薬単位は、舌下或いは頬投与のために、特に適している。1以上のアルカロイドを含む投薬単位は、それらの苦い味により、アルカロイドは、舌下或いは頬投与により、好ましくは、送達されないことから、特に、経口投与のために適している。
【0066】
本発明の投薬単位は、有利には、1以上のカンナビノイドを含む。投薬単位を含むこれらカンナビノイドは、精神障害、癲癇、運動障害、摂食障害、アルツハイマー、発作、多発硬化症、脊髄損傷、抹消神経障害、神経痛或いは吐き気の処置での使用のために特に適している。さらに、前記投薬単位は、鎮静剤としての若しくは組み合わせ処置での鎮静剤エンハンサーとして、有利には使用され得る。
【0067】
本発明の更に別の側面は、20〜500mgの重量を有し、固体親水性マトリックス中に配分された5〜80重量%の微顆粒剤を含む医薬投薬単位、特に、頬、舌下若しくは経口投与のための投薬単位の製造のためのプロセスに関し、前記プロセスは、
-(i)5〜100μmの体積加重平均直径を有し、少なくとも0.1重量%の一以上の水不溶性医薬活性物質と少なくとも10重量%の乳化剤成分とを含む5〜80重量部の微顆粒剤と(ii)20〜95重量部のマトリックス形成成分とを十分に混合すること;及び
-投薬単位を得るために得られた混合物を成形すること、
を含む。
【0068】
本発明の製造プロセスは、高温、乳化或いは有機溶媒を使用しないことから、操業することは非常に容易であるという利点を提供する。本発明のプロセスで使用される微顆粒剤は、極性溶媒の連続相と、乳化剤成分と水不溶性医薬活性物質を含む分散相とを含むポンプ搬送可能なエマルジョンが、超臨界、亜臨界或いは液化ガスを含む抽出剤と組み合わせられた沈殿プロセスから、有利には得られ、前記溶媒は、前記乳化剤よりも、抽出剤中で実質的により溶解性である。溶媒が、エマルジョンから抽出されると、乳化剤成分と不溶性医薬活性物質を含む微顆粒剤の生成が、起こり始めるだろう。この特別な沈殿プロセスは極度に温和な条件下(高温でなく、酸素のない)での微顆粒剤の製造を可能とする。このように、本発明のプロセスは、非常に温和な条件下での投薬単位の製造を可能とし、加工中の不溶性医薬活性物質の分解が非常に効率的に最小化されることができることを意味する。
【0069】
本発明のプロセスで使用される微顆粒剤は、高温で溶融する親油性成分を適切に含み得る。混合と成形の間に使用される温度は、微顆粒剤が溶融せず、それゆえに微顆粒剤の特性が最終投薬単位に保持されることを保証するために、好ましくは、十分に低い。典型的には、本発明のプロセスは、60℃を超える温度を使用しない。より好ましくは、前記プロセスは、50℃を超える温度、更には40℃を超える温度を使用しない。
【0070】
特に好ましい具体例によれば、微顆粒剤は、流動粉末を含まない。好ましくは、微顆粒剤は、少なくとも8μm、より好ましくは、少なくとも10μmの体積加重平均直径を有する。顆粒剤の体積加重平均直径は、好ましくは、80μmを超えず、より好ましくは、70μmを超えない。
【0071】
微顆粒剤とマトリックス形成成分との混合物の成形は、前記混合物の型内での圧縮と引き続く前記型からの成形された投薬単位の取り出しを含む。
【0072】
本発明は、更に、以下の例により説明される。
【0073】

例1
テトラヒドロカンナビノール(THC)を含む微顆粒剤が、次のとおり調製された。蔗糖モノラウリン酸エステル(HLB=15)とTHCが、窒素気流下120℃まで加熱された。蔗糖モノラウリン酸エステルに対するTHCの比は、重量で1:15であった。十分に混合後、パテ状の溶融物は、次のいずれか一つの方法によりCOで飽和された(それにより軟化された。):
・暖かい溶融物は、120℃に予熱されたオートクレーブに注がれ、250バールにもたらされた。オートクレーブは、プランジャーポンプ(LeWa)を使用して、二酸化炭素で加圧され、加熱油を使用して、ジャケットにより加熱された。塊は、ビュッチ(登録商標)磁気攪拌機を使用して少なくとも30分間超臨界CO中で溶融物を攪拌することにより、COでの飽和により更に液化された。
【0074】
・溶融物は、−20℃まで冷却され、最大表面積を得るために粉砕された。このために、−20℃に予備冷却されたモーターが、不活性及び乾燥雰囲気中で使用された。得られた粉末は、60℃に予熱されたオートクレーブに注がれ、250バールにもたらされた。オートクレーブは、プランジャーポンプ(LeWa)を使用して、二酸化炭素で加圧され、加熱油を使用して、ジャケットにより加熱された。容器は、更に加熱油で120℃まで加熱され、加熱CO(120℃)は、連続攪拌下、最適なCO脱溶剤を可能にした。
【0075】
攪拌終了後、溶融物は、オートクレーブ底部に沈降させておかれた。オートクレーブ底部でバルブが開放された。オートクレーブでの高圧は、溶融物を、120℃に加熱された管をたどって120℃に加熱された340μmノズル(Spraying System Inc.)内に強制的に入れた。250バールから大気圧に減圧されると、粉末が生成する。微顆粒剤は、光学顕微鏡により測定される30μmの平均直径を有した。
【0076】
直接圧縮のための錠剤化粉末は、次の成分を使用して混合された:
・50mgの微顆粒剤
・4mgのSiO(エアロジル)
・15mgのグリコシル化澱粉ナトリウム(Primojel(登録商標))
・60mgのNaHCO
・50mgのクエン酸(1aq.)
粉末は、15kNの力を適用して圧縮され、合計重量129mgで10mmの錠剤を得た。錠剤強度は40Nであり、錠剤は、37℃の水中で60秒で崩壊し、ミクロエマルジョンを形成した。
【0077】
粉末混合と錠剤化は、乾燥不活性雰囲気下でなされた。
【0078】
例2
直接圧縮のための錠剤化粉末は、次の成分を使用して混合された:
・50mgの例1に記載された微顆粒剤
・4mgのSiO(エアロジル)
・15mgのグリコシル化澱粉ナトリウム(Primojel(登録商標))
・30mgのNaHCO
・30mgのアルギン酸ナトリウム
・50mgのクエン酸(1aq.)
粉末は、15kNの力を適用して圧縮され、合計重量179mgで10mmの錠剤を得た。錠剤強度は40Nであり、錠剤は、37℃の水中で70秒で崩壊し、ミクロエマルジョンを形成した。
【0079】
例3
直接圧縮のための錠剤化粉末は、次の成分を使用して混合された:
・5gの例1に記載された微顆粒剤
・10gのマルトデキストリン
・5gの乳糖
・2gのグリコシル化澱粉ナトリウム(Primojel(登録商標))
・0.05gのエアロジル
・0.05gのステアリン酸マグネシウム
粉末は、15kNの力を適用して圧縮され、合計重量60mgで7mmの錠剤を得た。錠剤強度は25Nであり、錠剤は、37℃の水中で5分で崩壊し、ミクロエマルジョンを形成した。
【0080】
例4
直接圧縮のための錠剤化粉末は、次の成分を使用して混合された:
・5gの例1に記載された微顆粒剤
・15gのソルビトール
・0.2gのステアリン酸マグネシウム
粉末は、15kNの力を適用して圧縮され、合計重量60mgで7mmの錠剤を得た。錠剤強度は40Nであり、錠剤は、37℃の水中で4.5分で崩壊し、ミクロエマルジョンを形成した。
【0081】
例5
THCを含む微顆粒剤が、次のとおり調製された。キシリトールが、磁気攪拌棒を有する磁気熱板攪拌機上で、125℃まで加熱された。蔗糖モノラウリン酸エステル(Synthapharm Surfhope 、D-1216;HLB=16.8)が、Ultra Turraxホモジナイザーを使用して溶融物中に懸濁された。蔗糖モノラウリン酸エステルに対するキシリトールの比は、重量で5:1であった。2.5%(w/w)濃度のTHCが、一定の攪拌下、先の溶融物に添加された。処方は、少なくとも3時間冷却させておかれた。冷却過程の最初の1時間、溶融物は繰り返しスプーンでひっくり返された。固化した生成物は細片に粉砕され、「回転刃型」研磨機ですり潰された。得られた微顆粒剤は、20μmの平均寸法値を有した。
【0082】
例6
直接圧縮のための錠剤化粉末は、次の成分を使用して混合された:
・61mgの例5に記載された微顆粒剤
・180mgの乳糖
・8mgのAcDiSol(カルボキシメチルセルロースナトリウム)
・2mgのエアロジル
粉末は、15kNの力を適用して圧縮され、2.3mgのTHCを含む合計重量258mgで10mmの錠剤を得た。錠剤強度は40Nであり、錠剤は、37℃の水中で2分で崩壊し、ミクロエマルジョンを形成した。
【0083】
粉末混合と錠剤化は、乾燥不活性雰囲気でなされた。
【0084】
錠剤化粉末の薬物動態学が、1人の健常者(n=1)対象でインビボ試験により検討された。被験者は、3錠を摂取することによる7mgの単一投与により処置された。血漿試料が、規則的な間隔で被験者から採取された。THC及びその代謝物11-COOH-THCと11-OH-THCのレベルが、LC-MSにより測定された。
【0085】
結果は、肺投与気化Tetranabinex(登録商標)の肺投与(呼吸経路)とSativex(登録商標)の舌下スプレーに対して得られたデータと比較して、表1で与えられる。
【0086】
表1.気化法(呼吸経路)とGWPharmaにより製造された舌下スプレーSativex(登録商標)と比較された、舌下錠により投与されたTHCレベルの薬物動態学
【表1】

【0087】
*データ源:GWPharma
開発された舌下錠の関連する薬物動態学データは:
・70ng/mlの最大血清濃度(Cmax
・投与とCmaxとの間の時間であるTmaxは、33分であった。
【0088】
・バイオアベイラビリティは、呼吸経路と比べて150%であった。
【0089】
殆ど200分後に観察された血清中のTHC濃度での第2の概略のピークは、THCの実質的部分が、腸で吸収されたことを示す。これは、錠剤中に含まれるTHCの経口バイオアベイラビリティを示している。
【0090】
例7
直接圧縮のための錠剤化粉末は、次の成分を使用して混合された:
・37mgの例5に記載された微顆粒剤
・25mgのソルビトール
・78mgの乳糖一水和物
・2mgのMg-ステアレート
・5mgのエアロジル(SiO)
・4mgのPrimojel(登録商標)
粉末は、15kNの力を適用して圧縮され、合計重量150mgで7mmの錠剤を得た。錠剤強度は40Nであり、錠剤は、37℃の水中で7分で崩壊し、ミクロエマルジョンを形成した。
【0091】
粉末混合と錠剤化は、乾燥不活性雰囲気下なされた。
【0092】
例8
THCを含む微顆粒剤が、GWPharma特許(WO 02/064109)により調製された。この手順のために、GmS(Somerset Cosmeic,Renton,WA,USA)、ツイーン80(Fluka)、アスコルビン酸6-パルミテート(Sigma)とビタミンE(Fluka)が、夫々(50:5:1:1)の重量比で100部のエタノール中に注がれ、48時間攪拌され、安定な不透明なエマルジョンが得られた。同時に、8部の乳糖(Arnold Suhr)と1部の可溶性澱粉(ASC-reagent,Sigma)がぐるぐる回転により混合され、0.30メッシュで篩分けされた。次いで、2グラムのTHCが、10.3グラムのエマルジョンに添加され、最終溶液は噴霧装置(Precision valve Corp.Yonkers NY)に注がれた。
【0093】
次に、36グラムの乳糖/澱粉ミックスが、20cmの高さから、0.42mmの篩をゆっくりと通過し、26秒間連続的で途切れない粉末流を生み出した。同時に、THCエマルジョンが、また、正確に26秒間、5cm篩下(〜7.5cm‘sの距離で)の粉末流に噴霧された。この操作の間、篩は、被覆された粒子が、より以前に被覆された粒子に固着することを防止するために、1枚の紙の上でジグザグされた。形成された顆粒は、乾燥させておかれた。乾燥後、顆粒は、凝集物を除去するために0.42mm篩上で篩分けされた。
【0094】
そうして得られた、GW製品と呼ばれる顆粒剤は、例5に記載された微顆粒剤と比較された。
【0095】
例5の微顆粒剤は、50mgの量で添加されると、50mlの水(25℃)に1〜3分間で十分に分散することができ、数日間安定なままである可視の粒子を有さない乳白色を発する分散液を得た。対照的に、同じ試験がGW製品でなされると、30分間の攪拌後でさえも、微顆粒剤を分散することはできなかった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
舌下、頬、肺若しくは経口投与のための医薬投薬単位であって、前記医薬投薬単位は、20〜500mgの重量を有し、固体親水性マトリックス中に配分された1〜80重量%の微顆粒剤を含むものであり;前記微顆粒剤は、
-5〜100μmの体積加重平均直径を有し;
-少なくとも0.01重量%、好ましくは、少なくとも0.1重量%の一以上の水不溶性医薬活性物質を含み;
-少なくとも10重量%の乳化剤成分を含み;及び
-唾液若しくは水と接触するとミクロエマルジョンを形成することができる、
ことにより特徴付けられる、医薬投薬単位。
【請求項2】
投薬単位が、少なくとも10μgの一以上の水不溶性医薬活性物質を含む、請求項1記載の投薬単位。
【請求項3】
微顆粒剤が、少なくとも10重量%の、7より大きいHLBを有する乳化剤成分を含む、請求項1または2記載の投薬単位。
【請求項4】
乳化剤が、糖脂肪酸エステル、ポリグリセロール脂肪酸エステル及びそれらの組み合わせから成る群より選ばれる、請求項3記載の投薬単位。
【請求項5】
乳化剤成分が、ショ糖脂肪酸エステル、特に、分子あたり1〜3個の脂肪酸残基を含むショ糖脂肪酸エステルである、請求項4記載の投薬単位。
【請求項6】
微顆粒剤が、少なくとも50重量%の乳化剤成分を含む、請求項1〜5何れか1項記載の投薬単位。
【請求項7】
一以上の水不溶性医薬活性物質が、カンナビノイド、アルカロイド、ステロイド及びそれらの組み合わせから成る群より選ばれる、請求項1〜6何れか1項記載の投薬単位。
【請求項8】
固体親水性マトリックスが、カルボマー、セルロース誘導体、植物レクチン、デキストリン、ヒプロメロース、キトサン、ポリエチレンオキシド、アルギン酸塩及びそれらの組み合わせから成る群より選ばれる0.1〜20重量%のムコ粘着剤を含む、請求項1〜7何れか1項記載の投薬単位。
【請求項9】
投薬単位が、0.5〜100mg、好ましくは、1〜50mgの一以上の水不溶性医薬活性物質を含む、請求項1〜8何れか1項記載の投薬単位。
【請求項10】
投薬単位が、0.01〜10重量%の一以上の水不溶性医薬活性物質を含む、請求項1〜9何れか1項記載の投薬単位。
【請求項11】
微顆粒剤が、10〜180μmの体積加重平均粒径を有する、請求項1〜10何れか1項記載の投薬単位。
【請求項12】
投薬単位が、圧縮錠剤である、請求項1〜11何れか1項記載の投薬単位。
【請求項13】
治療若しくは予防処置での使用のための医薬製造のための水不溶性医薬活性物質の使用であって、前記処置が、請求項1〜12何れか1項記載の投薬単位の舌下、頬、肺若しくは経口投与を含む、使用。
【請求項14】
一以上の水不溶性医薬活性物質がカンナビノイドであり、処置が、投薬単位の舌下若しくは頬投与を含む、請求項13記載の使用。
【請求項15】
精神障害、癲癇、運動障害、摂食障害、アルツハイマー、発作、多発硬化症、脊髄損傷、抹消神経障害、神経痛或いは吐き気の処置での、若しくは鎮静剤としての若しくは組合わせ処置での鎮静剤エンハンサーとしての、請求項14記載の使用。
【請求項16】
一以上の水不溶性医薬活性物質がアルカロイド或いはステロイドであり、処置が、投薬単位の経口投与を含む、請求項13記載の使用。
【請求項17】
、医薬投薬単位の製造方法であって、前記投薬単位は、20〜500mgの重量を有し、固体親水性マトリックス中に配分された1〜80重量%の微顆粒剤を含むものであり、
-(i)5〜100μmの体積加重平均直径を有し、少なくとも0.1重量%の一以上の水不溶性医薬活性物質と少なくとも10重量%の乳化剤成分とを含む5〜80重量部の微顆粒剤と(ii)20〜95部のマトリックス形成成分とを十分に混合すること;及び
-投薬単位を得るために、得られた混合物を成形すること、
を含む前記製造方法。

【公表番号】特表2010−503664(P2010−503664A)
【公表日】平成22年2月4日(2010.2.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−528190(P2009−528190)
【出願日】平成19年9月14日(2007.9.14)
【国際出願番号】PCT/NL2007/050449
【国際公開番号】WO2008/033024
【国際公開日】平成20年3月20日(2008.3.20)
【出願人】(509075170)エコ・ファーマシューティカルズ・ビー.ブイ. (2)
【氏名又は名称原語表記】Echo Pharmaceuticals B.V.
【住所又は居所原語表記】Rijnkade 16a,NL−1382 GS Weesp,The Netherlands
【Fターム(参考)】