説明

水中ポンプの制御装置、マンホールポンプ装置、及びマンホールポンプ装置の運転方法

【課題】水中ポンプの平均圧送流量を簡便に調整することができる水中ポンプの制御装置を提供する。
【解決手段】流入管から流入した水を貯留する貯水槽と、貯水槽に貯留された水を流出管に圧送する水中ポンプと、貯水槽に貯留された水の水位を計測する水位センサを備えた水中ポンプ装置に設置され、水位センサで計測された水位が所定のポンプ起動水位に達すると水中ポンプを起動し、ポンプ起動水位より低位のポンプ停止水位に達すると水中ポンプを停止する制御部を備えている水中ポンプ装置の制御装置であって、制御部は、水中ポンプの起動後に水位がポンプ停止水位に達する迄の間に、水中ポンプを間歇運転して、単位時間当たりの平均圧送流量を調整する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水中ポンプ装置の制御装置、マンホールポンプ装置、及びマンホールポンプ装置の運転方法に関する。
【背景技術】
【0002】
汚水処理場に汚水を搬送する自然流下方式の汚水搬送設備は、所定間隔で構築された複数のマンホールポンプ装置と、各マンホールポンプ装置間を接続する複数の汚水搬送管を備えている。
【0003】
汚水搬送管は上流側のマンホールポンプ装置から下流側のマンホールポンプ装置に向けて下り勾配で地中に埋設され、上流側の汚水搬送管からマンホールポンプ装置に流入した汚水が下流側の汚水搬送管にポンプアップされる。
【0004】
図13に示すように、マンホールポンプ装置90は、汚水流入管91aから流入した生活排水や工業排水さらには雨水等の汚水を貯留するマンホール92と、マンホール92に貯留された汚水を汚水流出管91bに圧送する複数(通常は二台)の水中ポンプ93a,93bと、マンホール92に貯留された水の水位を計測する水位センサ94と、水中ポンプ93a,93bを制御する制御装置95を備えている。
【0005】
制御装置95は、水位センサ94で計測された水位が所定のポンプ起動水位HWLに達すると何れかの水中ポンプ93a,93bを起動し、所定のポンプ停止水位LWLに達すると停止する。ポンプ起動水位HWLからポンプ停止水位LWLまで汚水を圧送する度に、水中ポンプ93a,93bは交互に運転され、ポンプ起動水位HWLより高い異常水位HHWLに達すると、二台同時運転される。
【0006】
図14に示すように、マンホールポンプ装置90には単一または複数の汚水搬送管91から汚水が流入する。汚水搬送管91には近隣の住居、工場等からの汚水や雨水等が流入するように複数の枝管が接続されている。図では、マンホールポンプ装置90aに、上流側の複数のマンホールポンプ装置90b,90dから送水される汚水のみならず、近隣の住居96a,96b,96c等からも汚水が流入する。
【0007】
特許文献1には、汚水がマンホールに長時間貯留され、腐敗による異臭の発生を回避するため、ポンプ起動水位HWLとポンプ停止水位LWLとの間に中間水位を設定し、ポンプの停止中の時間が設定時間を超えたときに、汚水が中間水位に達しているとポンプを稼動する水位制御装置が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開昭63−220308号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
通常、このような汚水搬送設備は、計画段階で上流側のマンホールポンプ装置より下流側のマンホールポンプ装置の貯水容量及び水中ポンプの送水量が多くなるように設計される。
【0010】
しかし、その後の都市計画の変更や水中ポンプの交換等様々な要因で、下流側のマンホールポンプ装置に設置された水中ポンプの送水量より上流側のマンホールポンプ装置に設置された水中ポンプの送水量が多くなる場合がある。
【0011】
このような場合に、下流側のマンホールポンプ装置の水中ポンプで圧送される水量より多量の汚水が上流側のマンホールポンプ装置から流入すると、下流側のマンホールポンプ装置の水位が異常な高水位になり溢水が発生する虞がある。
【0012】
マンホール内が異常高水位になると、当該マンホールポンプ装置の制御装置から通信回線を介して管理事務所に設置された端末機器や、管理者が携帯する端末機器に異常警報が報知され、異常警報を認識した管理者は、下流側のマンホールポンプ装置から水が溢れるのを回避するべく、上流側のマンホールポンプ装置のポンプを停止する等、手間のかかる作業を行なう必要があった。
【0013】
本発明の目的は、マンホールポンプなどの水中ポンプの平均圧送流量を簡便に調整する制御装置を提供する点にある。また、上流側のマンホールポンプ装置に設置された水中ポンプの送水量が下流側のマンホールポンプ装置に設置された水中ポンプの送水量より多くなる場合であっても、下流側のマンホールポンプ装置で溢水することなく適正に送水できるマンホールポンプ装置の制御装置及び運転方法を提供する点にある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上述の目的を達成するため、本発明による水中ポンプ装置の制御装置の第一の特徴構成は、特許請求の範囲の書類の請求項1に記載した通り、流入管から流入した水を貯留する貯水槽と、貯水槽に貯留された水を流出管に圧送する水中ポンプと、貯水槽に貯留された水の水位を計測する水位センサを備えた水中ポンプ装置に設置され、水位センサで計測された水位が所定のポンプ起動水位に達すると水中ポンプを起動し、ポンプ起動水位より低位のポンプ停止水位に達すると水中ポンプを停止する制御部を備えている水中ポンプ装置の制御装置であって、制御部は、水中ポンプの起動後に水位がポンプ停止水位に達する迄の間に、水中ポンプを間歇運転して、単位時間当たりの平均圧送流量を調整する点にある。
【0015】
上述の構成によれば、制御部により、水中ポンプの起動後に水位がポンプ停止水位に達する迄の間に、水中ポンプを間歇運転して単位時間当たりの平均圧送流量を調整するので、送出先に対して適切な単位時間当たりの平均圧送流量に簡便に制御することができる。例えば、マンホールポンプ装置の場合であれば、下流側のマンホールポンプ装置に設置された水中ポンプの送水量が不十分な場合であっても、あるいは、水中ポンプの送水量が下流側のマンホールに対して過大な場合であっても、単位時間当たりの平均圧送流量が少なくなるように調整して、下流側のマンホールポンプ装置で溢水が発生することを未然に回避することができるようになる。
【0016】
同第二の特徴構成は、同請求項2に記載した通り、上述の第一の特徴構成に加えて、ポンプ起動水位とポンプ停止水位の間に中間停止水位を設定し、制御部は水位が所定のポンプ起動水位に達して水中ポンプを起動した後に、水位が中間停止水位に達すると、所定時間停止した後に再起動する点にある。
【0017】
上述の構成によれば、制御部により、水中ポンプが起動され、水位がポンプ起動水位からポンプ停止水位に達するまの中間停止水位に達すると、水中ポンプが所定時間停止されるので、例えば、マンホールポンプ装置の場合であれば、仮に下流側のマンホールポンプの水中ポンプの送水量が不十分な場合であっても、あるいは、水中ポンプの送水量が下流側のマンホールに対して過大な場合であっても、それまでの間に送水された汚水を溢水の発生を招くことが無いように更に下流側に送水することができるようになる。また、下流側のマンホールポンプに、他の上流側のマンホールポンプから同時に送水されるような場合で、一時的に流入水量が増加するような場合であっても、それまでの間に送水された汚水を溢水の発生を招くことが無いように更に下流側に送水することができるようになる。
【0018】
同第三の特徴構成は、同請求項3に記載した通り、上述の第二の特徴構成に加えて、ポンプ起動水位とポンプ停止水位の間に水位が異なる複数の中間停止水位が設定され、制御部は水位が所定のポンプ起動水位に達して水中ポンプを起動した後に、水位が各中間停止水位に達する度に、所定時間停止した後に再起動する点にある。
【0019】
上述の構成によれば、制御部により、水位が各中間停止水位に達する度に、所定時間水中ポンプが停止されるので、例えば、マンホールポンプ装置の場合であれば、水中ポンプの間歇駆動時に下流側のマンホールに流入する汚水量を減少させて、それまでの間に送水された汚水を更に下流側に送水することができ、溢水の発生の虞を更に低減させることができるようになる。
【0020】
同第四の特徴構成は、同請求項4に記載した通り、上述の第一から第三の何れかの特徴構成に加えて、前記貯水槽がマンホールであり、間歇運転時間帯を設定する時間帯設定部を備え、制御部は時間帯設定部で設定された間歇運転時間帯で水中ポンプを間歇運転し、間歇運転時間帯以外の時間帯で水中ポンプを連続運転する水中ポンプ装置の制御装置を備えたマンホールポンプ装置である点にある。
【0021】
上述の構成によれば、時間帯設定部で設定された間歇運転時間帯で、単位時間当たりの平均圧送流量を調整することができるようになる。例えば、生活排水が多い朝方や夕方の時間帯を間歇運転時間帯に設定する等、時間帯別の流入量に応じて間歇運転する時間帯を適切に設定することにより、一時的に下流側のマンホールへの汚水流入量が多くなる時間帯で、溢水の発生を招くことが無いように単位時間当たりの平均圧送流量が調整されるのである。
【0022】
同第五の特徴構成は、同請求項5に記載した通り、上述の第二または第三の特徴構成に加えて、前記貯水槽がマンホールであり、水中ポンプにより汚水が圧送される下流側のマンホールポンプ装置の水位を取得する通信部を備え、制御部は通信部で取得された下流側のマンホールポンプ装置の水位または水位変動に基づいて、中間停止水位または中間停止水位で水中ポンプを停止する停止時間を設定する水中ポンプ装置の制御装置を備えたマンホールポンプ装置である点にある。
【0023】
上述の構成によれば、通信部で取得された下流側のマンホールポンプ装置の水位または水位変動により、下流側のマンホール装置の送水能力または汚水の流入量を把握することができる。そこで、制御部がそのような水位または水位変動に基づいて、中間停止水位または中間停止水位で水中ポンプを停止する停止時間を設定することにより、下流側のマンホール装置に過負荷を与えないように、単位時間当たりの平均圧送流量を調整することができるようになる。例えば、突然の降雨により雨水が流入する等、水位変動が急激に高まるような場合であっても、これに対応して適切に中間停止水位または中間停止水位で水中ポンプを停止する停止時間を設定することにより、溢水の発生を招くことが無いように制御することができるようになる。
【0024】
同第七の特徴構成は、同請求項7に記載した通り、上述の第一の特徴構成に加えて、前記貯水槽がマンホールであり、ポンプ起動水位とポンプ停止水位の間に中間停止水位を設定し、水中ポンプにより水が圧送される下流側のマンホールの水位を取得する通信部を備え、制御部は、通信部で取得された下流側のマンホールの水位が第一の閾値以上の場合、水中ポンプを起動した後に水位が中間停止水位に達すると前記水中ポンプを停止し、下流側のマンホールの水位が第一の閾値よりも低い第二の閾値以下になったとき、前記水中ポンプを再起動する水中ポンプ装置の制御装置を備えたマンホールポンプ装置である点にある。
【0025】
上述の構成によれば、制御部は、中間停止水位に水位が達するまでは水中ポンプを駆動して送水するため、上流側のマンホールポンプ装置で溢水が発生する虞を回避することができる。
【0026】
また、制御部は、下流側のマンホールポンプ装置の水位が第一の閾値を超える場合に送水しているときは、当該送水によって下流側のマンホールポンプ装置の溢水を招く虞があるため、水位が中間停止水位に達するまでの送水を終えた後、下流側のマンホールポンプ装置の水位が第二の閾値以下となって、下流側のマンホールポンプ装置に溢水が発生する虞がないと判断できる時点まで、送水を停止することができるようになる。
【0027】
本発明によるマンホールポンプ装置の運転方法の第一の特徴構成は、同請求項8に記載した通り、流入管から流入した水を貯留するマンホールと、マンホールに貯留された水を流出管に圧送する水中ポンプと、マンホールに貯留された水の水位を計測する水位センサを備えたマンホールポンプ装置に設置され、水位センサで計測された水位が所定のポンプ起動水位に達すると水中ポンプを起動し、ポンプ起動水位より低位のポンプ停止水位に達すると水中ポンプを停止するマンホールポンプ装置の運転方法であって、水中ポンプの起動後に水位がポンプ停止水位に達する迄の間に、単位時間当たりの平均圧送流量を調整するために水中ポンプを間歇運転する点にある。
【0028】
同第二の特徴構成は、同請求項9に記載した通り、上述の第一の特徴構成に加えて、ポンプ起動水位とポンプ停止水位の間に中間停止水位を設定し、水位が所定のポンプ起動水位に達して水中ポンプを起動した後に、水位が中間停止水位に達すると、所定時間停止した後に再起動する点にある。
【0029】
同第三の特徴構成は、同請求項10に記載した通り、上述の第一または第二の特徴構成に加えて、水中ポンプにより汚水が圧送される下流側のマンホールポンプ装置の水位に基づいて、中間停止水位または中間停止水位で水中ポンプを停止する停止時間を設定し、設定した中間停止水位または停止時間に基づいて間歇運転する点にある。
【発明の効果】
【0030】
以上説明した通り、本発明によれば、水中ポンプの平均圧送流量を簡便に調整することができる水中ポンプの制御装置を提供することができるようになった。また、上流側のマンホールポンプ装置に設置された水中ポンプの送水量が下流側のマンホールポンプ装置に設置された水中ポンプの送水量より多くなる場合であっても、下流側のマンホールポンプ装置で溢水することなく適正に送水できるマンホールポンプ装置の制御装置及び運転方法を提供することができるようになった。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】本発明によるマンホールポンプ装置の概略図
【図2】制御装置のブロック構成図
【図3】水中ポンプの起動制御と間歇運転のフローチャート
【図4】複数の中間停止水位を設定して間歇運転を複数回行う水中ポンプの起動制御のフローチャート
【図5】間歇運転と連続運転を時間帯に応じて切り替える水中ポンプの起動制御のフローチャート
【図6】通信部による通信の説明図
【図7】(a)は下流側マンホールポンプ装置の水位と中間停止水位、(b)は下流側マンホールポンプ装置の水位と間歇運転時の停止時間、(c)は下流側マンホールポンプ装置の水位変動と中間停止水位、(d)は下流側マンホールポンプ装置の水位変動と間歇運転時の停止時間、の対応関係を示すテーブルデータの説明図
【図8】下流側マンホールポンプ装置の水位及び水位変動に基づいて間歇運転を行う水中ポンプの起動制御のフローチャート
【図9】下流側マンホールポンプ装置の水位変動と中間停止水位との対応関係を示すテーブルデータと時間帯との対応関係を示すテーブルデータの説明図
【図10】(a)は下流側マンホールポンプ装置の水位と間歇運転の実行許否、(b)は下流側マンホールポンプ装置の水位変動と間歇運転の実行許否、の対応関係を示すテーブルデータの説明図
【図11】間歇運転と連続運転を下流側マンホールポンプ装置の水位及び水位変動に基づいて切り替える水中ポンプの起動制御のフローチャート
【図12】下流側マンホールポンプ装置の水位に基づいて水中ポンプの再起動を制御する水中ポンプの起動制御と間歇運転のフローチャート
【図13】従来のマンホールポンプ装置の説明図
【図14】従来のマンホールポンプ装置の説明図
【発明を実施するための形態】
【0032】
以下に、本発明によるマンホールポンプ装置の制御装置及び運転方法を説明する。
【0033】
図1に示すように、マンホールポンプ装置10は、汚水流入管11aから流入した汚水を貯留するマンホール12と、マンホール12に貯留された汚水を汚水流出管11bに圧送する二台の水中ポンプ13と、マンホール12に貯留された汚水の水位を計測する水位センサ14を備えている。
【0034】
水位センサ14は、投込圧力式や気泡式の水位センサが用いられ、マンホール12の底部に設置され、水位センサ14によりマンホール12に貯留される汚水の水位が連続的に検出される。さらに、水位センサ14の故障に備え、異常高水位HHWLを検知するバックアップ用のフロート式の水位センサ15が設置されている。
【0035】
各水中ポンプ13は、ケーシングに内装された回転羽根と、回転羽根を回転する主軸と、主軸を回転駆動する誘導型の電動機を備え、吸込み口から吸引された汚水を吐出し口に接続された圧送管を介して汚水流出管11bに圧送するように構成されている。尚、圧送管には圧送下汚水が逆流しないように逆止弁が設けられている。
【0036】
マンホールポンプ装置10の近傍の地上またはマンホールポンプ装置10の内部には、制御装置20としての制御盤が設置されている。
【0037】
図2に示すように、制御装置20には、水位センサ14により検知された貯留水位に基づいて電磁開閉器を作動させて水中ポンプ13を駆動する制御部21と、貯留水位や水中ポンプ装置の稼動状態を監視し、監視情報を遠隔の管理センターに設置された集中管理装置へ送信する通信部22が備えられている。
【0038】
尚、制御装置20には、水位や水中ポンプ13に給電される電流量等、各種制御情報を表示するメータ等の表示器や、制御部21及び通信部22で利用される各種設定情報の設定操作や、水中ポンプ13の手動操作のためのテンキーやボタン等の入力操作キーが設けられている。
【0039】
制御部21は、水位センサ14で計測された水位が所定のポンプ起動水位HWLに達すると電磁開閉器を介して何れか一方の水中ポンプ13を起動し、ポンプ起動水位HWLより低位のポンプ停止水位LWLに達すると、内部に備えたタイマーにより所定時間駆動した後停止信号を出力し、停止水位LLWLで電磁開閉器を介して稼働中の水中ポンプを停止する。つまり、水中ポンプに組み込まれた電動機が電磁開閉器を介してオンまたはオフ制御される。
【0040】
制御部21は、ポンプ起動水位HWLからポンプ停止水位LWLまで汚水を圧送する度に水中ポンプを交互運転する。また、汚水の水位が異常高水位HHWLに達すると、二台同時運転する。
【0041】
制御部21は、所定時間間隔で水位センサにより検出された水位、水中ポンプの稼動状態、水中ポンプの異常の有無等の管理データを生成し、通信部22を介して集中管理装置へ送信する。
【0042】
制御部21は、水中ポンプの起動後に水位がポンプ停止水位LWLに達する迄の間に、水中ポンプを間歇運転して、下流側のマンホールポンプ装置で溢水が発生しないように、単位時間当たりの平均圧送流量を調整する。
【0043】
以下、具体的に説明する。
【0044】
制御部21は、CPUと、前記CPUで実行されるポンプ13の起動制御、停止制御等の各種制御プログラムと、制御プログラムで利用される各種制御情報が格納されたROMと、ワーキングエリアとして使用されるRAMと、水位センサ14により計測された水位や、ポンプ故障信号等の制御情報を入力し、ポンプを起動する制御信号等を出力する入出力回路と、各種制御プラグラムで設定された所定時間経過後に、当該所定時間の経過を示す制御信号を出力するタイマーを備えている。
【0045】
上述した構成に基づいて、制御部21は、水位が所定のポンプ起動水位HWLに達して水中ポンプ13を起動した後に、水位が起動水位HWLとポンプ停止水位LWLの間の任意の高さ位置に設定された中間停止水位NWLに達すると、所定の停止時間停止した後に再起動するように構成されている。尚、ポンプ起動水位HWLと中間停止水位NWLとポンプ停止水位LWLと、水中ポンプ13を停止する所定の停止時間は、予めROMに設定されている。
【0046】
本構成によるマンホールポンプ装置10の運転方法について詳述する。制御部21は、図3に示すように、マンホール12内の水位が起動水位HWLまで上昇したことを水位センサ14で検出すると(SA1)、起動信号を出力して水中ポンプ13を起動し(SA2)、間歇運転を開始する(SA3)。
【0047】
制御部21は、間歇運転を開始して、マンホール12内の水位が中間停止水位NWLまで低下したことを水位センサ14で検出すると(SB1)、水中ポンプ13の運転を停止し(SB2)、所定の停止時間を設定してタイマーを駆動する(SB3)。制御部21は、所定の停止時間経過後にタイマーから制御信号が出力されたことを検知すると(SB4)、水中ポンプ13を再び起動し(SB5)、間歇運転を終了する。
【0048】
間歇運転の終了後、制御部21は、マンホール12内の水位がポンプ停止水位LWLまで低下したことを水位センサ14で検出すると(SA4)、所定時間を設定してタイマーを駆動し(SA5)、所定時間経過後にタイマーから制御信号が出力されたことを検知すると(SA6)、水中ポンプ13の運転を停止する(SA10)。尚、SA5とSA6のステップを省略し、ポンプ停止水位LWLで水中ポンプ13の運転を停止してもよい。
【0049】
即ち、制御部21は、水中ポンプ13を起動後、水位がポンプ起動水位HWLからポンプ停止水位LWLに達するまで送水するのにかかる時間を、少なくとも水中ポンプ13を停止する所定時間分延長することができるため、下流側のマンホールポンプ装置で溢水が発生しないように、単位時間当たりの平均圧送流量を調整することができるようになる。
【0050】
また、水位が所定のポンプ起動水位HWLに達して水中ポンプ13を起動した後に、ポンプ停止水位LWLまで低下するまでの間、所定の時間間隔で起動と停止を繰り返す間歇運転を行うようにしてもよい。この場合も、前記時間間隔を変えることで単位時間当たりの平均圧送流量を簡便に調整できるようになる。
【0051】
さらに、水位が異なる複数の中間停止水位NWLを設定し、制御部21は、水位が所定のポンプ起動水位HWLに達して水中ポンプ13を起動した後に、水位が各中間停止水位NWLに達する度に、所定の停止時間停止した後に再起動するように構成してもよい。ただし、この場合、水位が異なるN個の中間停止水位NWLは、予め水位が高いものから降順にROMに設定されているものとする。
【0052】
以下、図4に基づいて本構成によるマンホールポンプ装置10の運転方法について詳述するが、図中において、図3に示したものと同じ記号のステップは、上述と同じ処理内容であるため説明を省略する。
【0053】
制御部21は、ステップSA1とSA2を実行後、ROMからN個の中間停止水位NWLのそれぞれを順に取得し、取得した各中間停止水位NWLをステップSB1の判定で利用する所定の中間停止水位NWLとして設定し(SA31,SA32)、間歇運転(SB1〜SB5)を実行する(SA34,SA35)。
【0054】
即ち、制御部21は、水中ポンプ13を起動後、水位がポンプ起動水位HWLからポンプ停止水位LWLに達するまで送水するのにかかる時間を、水位が各中間停止水位NWLに達する度に、少なくとも水中ポンプを停止する所定時間分ずつ延長することができるため、下流側のマンホールポンプ装置で溢水が発生しないように、単位時間当たりの平均圧送流量を段階的に調整することができるようになる。
【0055】
さらに、上述した構成に加えて、図2の点線部に示すように、制御装置20に中間停止水位NWLを設定する水位設定部23と、水位設定部23で設定された中間停止水位NWLで水中ポンプ13を停止する停止時間を設定する停止時間設定部24を備えるように構成してもよい。
【0056】
詳述すると、水位設定部23及び停止時間設定部24は、制御装置20に備えられた入力操作キーを利用して、それぞれ、中間停止水位NWLと、当該中間停止水位NWLで水中ポンプ13を停止する停止時間をRAMの所定のアドレスに設定するように構成されている。これに合わせて、上述したROMに設定されている中間停止水位NWL及び停止時間は、それぞれ、RAMの所定のアドレスに設定される中間停止水位NWLと停止時間を参照するように構成されている。
【0057】
即ち、水位設定部23で中間停止水位NWLを設定し、水位設定部23で設定された中間停止水位NWLで水中ポンプ13を停止する停止時間を停止時間設定部24で設定することができるため、例えば、予め下流側のマンホールポンプ装置の実際の送水量を点検し、当該送水量に応じて適切に調整された中間停止水位NWL及び停止時間を設定することができるようになる。
【0058】
上述した構成において、水位設定部23及び停止時間設定部24は、入力操作キーを利用して中間停止水位NWLと停止時間を手動設定するように構成されていたが、これに限らず、例えば、入力操作キーを介して、或いは、通信部22を介して下流側マンホールポンプ装置の送水量を手動或いは自動で入力できるように構成し、さらに、下流側マンホールポンプ装置の送水量と中間停止水位NWLまたは停止時間が取得可能なように対応付けられたテーブルデータを予めROMに設定する等、入力された送水量に基づいて、適切な中間停止水位NWLと停止時間とを自動的に設定するように構成しても構わない。
【0059】
さらに、制御部21は、上述した構成に加えて、図2の点線部に示すように、間歇運転時間帯を設定する時間帯設定部25を備え、時間帯設定部25で設定された間歇運転時間帯で水中ポンプ13を間歇運転し、間歇運転時間帯以外の時間帯で水中ポンプ13を連続運転するように構成してもよい。ただし、この場合、時間帯設定部25は、制御装置20に備えられた入力操作キーを利用して間歇運転時間帯を設定し、RAMの所定のアドレスに設定するように構成されているものとする。
【0060】
以下、図5に基づいて本構成によるマンホールポンプ装置10の運転方法について詳述するが、図中において、図3に示したものと同じ記号のステップは、上述と同じ処理内容であるため説明を省略する。
【0061】
制御部21は、ステップSA1とSA2を実行後、時間帯設定部25によりRAMに設定された間歇運転時間帯を取得し、当該実行中の時刻が当該間歇運転時間帯である場合は(SA8;Y)、上述した間歇運転を実行し(SA3)、当該実行中の時刻が当該間歇運転時間帯以外の時間帯の場合は(SA8;N)、水中ポンプ13の運転をそのまま継続する連続運転を行う。
【0062】
間歇運転時間帯は、例えば、開始時刻と終了時刻の2つの時刻で構成され、ステップSA8では、当該実行中の時刻が開始時刻と終了時刻の間の時刻であるか否かにより、間歇運転時間帯であるか否かが判定されている。
【0063】
即ち、時間帯設定部25で水中ポンプ13を間歇運転する間歇運転時間帯を設定することができるため、例えば、生活排水が多い朝方や夕方の時間帯を間歇運転時間帯に設定する等、予め把握された時間帯別の流入量に応じて間歇運転する時間帯を適切に設定することができるようになる。
【0064】
尚、時間帯設定部25は、複数の間歇運転時間帯を設定するように構成し、ステップSA8は、当該ステップ実行中の時刻が、複数設定された間歇運転時間帯のいずれかに含まれるときは間歇運転を実行し、複数設定された間歇運転時間帯のいずれにも含まれないときは連続運転を実行するように構成してもよい。
【0065】
この場合、時間帯設定部25により、複数の間歇運転時間帯を設定することができるため、下流側マンホールポンプ装置が複数の時間帯で流入量が多い場合でも、複数の間歇運転時間帯を設定して、適切に平均圧送流量を調整することができるようになる。
【0066】
また、通信部22は、水中ポンプ13により汚水が圧送される下流側のマンホールポンプ装置の水位を取得するように構成してもよい。
【0067】
具体的には、図2及び図6に示すように、マンホールポンプ装置10の制御装置20に備えられた通信部22は、上流側のマンホールポンプ装置10及び下流側のマンホールポンプ装置10a,10bに備えられた通信部、或いは各マンホールポンプ装置を集中管理する管理センター52等の外部装置との間で、制御部21により制御される水中ポンプ13の運転・停止及び運転時間、故障発生等の稼働状況や、各マンホールポンプ装置の水位や貯水容量等の制御情報を送受信するように構成されている。
【0068】
通信部22は、データ回線網、携帯電話網、一般電話回線網等の公衆回線網、或いは小エリア無線等のローカル通信媒体等に対応する通信端末で構成することができる。
【0069】
図6では、各マンホールポンプ装置10,10a,10b間の通信が小電力無線ネットワーク54用の通信端末で行なわれ、各通信端末を介して得られた制御情報を統括する通信端末が設置されたマンホールポンプ装置10に、外部装置と通信する通信装置が設置されている。当該通信装置は、携帯電話回線網55用の通信装置で構成され、基地局53を介して管理センター52と通信が行なわれる例を示している。
【0070】
尚、各マンホールポンプ装置10,10a,10b間の通信が小電力無線ネットワーク54用の通信端末で行なわれなくとも、外部装置と通信する通信装置が各マンホールポンプ装置10,10a,10bに備えられ、各マンホールポンプ装置10,10a,10bが基地局53を介して管理センター52と通信するように構成されていても構わない。
【0071】
管理センター52では、各マンホールポンプ装置10,10a,10bの稼働状況及び送受信される制御情報を集中管理し、故障、溢水等の事故の発生を検知すると最寄りの管理事務所に発報し、各マンホールポンプ装置の水位や貯水容量等の制御情報を受信し、各マンホールポンプ装置の通信部からの要求に基づいて、各マンホールポンプ装置へ当該受信した制御情報を送信するように構成されている。
【0072】
即ち、通信部22は、基地局53と管理センター52を介して、或いは、小電力無線ネットワーク54で、下流側マンホールポンプ装置10a,10bの水位や貯水容量等の制御情報を受信可能に構成されている。
【0073】
上述の構成に基づいて、制御部21は、通信部22で取得された下流側のマンホールポンプ装置の水位または水位変動に基づいて、中間停止水位NWLまたは中間停止水位NWLで水中ポンプ13を停止する停止時間を設定するように構成してもよい。
【0074】
以下、図7及び図8に基づいて本構成によるマンホールポンプ装置10の運転方法について詳述するが、図中において、図3に示したものと同じ記号のステップは、上述と同じ処理内容であるため説明を省略する。
【0075】
図7(a)に示すように、ROMには、下流側マンホールポンプ装置の水位と中間停止水位NWLとを対応づけるテーブルデータが予め設定されている。
【0076】
図8に示すように、制御部21は、ステップSA1とSA2を実行後、通信部22を介して下流側マンホールポンプ装置の水位を取得する(SA9)と、ROMに設定されたテーブルデータから、当該水位に対応する中間停止水位NWLを取得し、当該中間停止水位NWLを間歇運転(SB1〜SB5)で利用する中間停止水位NWLとして設定し(SA10)、間歇運転を実行する(SA3)。
【0077】
同様に、例えば、図7(b)に示すように、下流側マンホールポンプ装置の水位と、ROMに予め設定された所定の中間停止水位NWLで水中ポンプ13を停止する停止時間を対応づけるテーブルデータをROMに予め設定してもよい。
【0078】
ただし、この場合、制御部21は、ステップSA10において、ROMに設定された当該テーブルデータからステップSA9で取得した下流側マンホールポンプ装置の水位に対応する停止時間を取得して、間歇運転で利用する停止時間として設定するように構成されるものとする。
【0079】
さらに、例えば、図7(c)(d)に示すように、ROMに予め下流側マンホールポンプ装置の水位変動と、中間停止水位NWLまたは中間停止水位NWLで水中ポンプ13を停止する停止時間を対応づけるテーブルデータを設定してもよい。
【0080】
ただし、この場合、制御部21は、ステップSA9において、通信部22を介して下流側マンホールポンプ装置の水位を所定時間取得して水位変動を算出し、ステップSA10において、ROMに設定された当該テーブルデータからステップSA9で算出した下流側マンホールポンプ装置の水位変動に対応する中間停止水位NWLまたは停止時間を取得して、間歇運転で利用する中間停止水位NWLまたは停止時間として設定するように構成されるものとする。
【0081】
即ち、制御部21は、通信部22で取得された下流側のマンホールポンプ装置の水位または水位変動に基づいて、中間停止水位NWLまたは中間停止水位NWLで水中ポンプ13を停止する停止時間を設定することができるため、例えば、突然の降雨により雨水が流入する等、水位変動が急激に高まるような場合であっても、これに対応して適切に中間停止水位NWLまたは中間停止水位NWLで水中ポンプ13を停止する停止時間を設定することができるようになる。
【0082】
また、水位変動と貯水容量を乗じた値は汚水の送水量或いは流入量と考えることができるため、送水量或いは流入量と中間停止水位NWLまたは間歇運転時の停止時間とを対応づけるテーブルデータを予めROMに設定してもよい。
【0083】
ただし、この場合、制御部21は、ステップSA9において、通信部22を介して下流側マンホールポンプ装置の水位を所定時間取得して水位変動を算出し、さらに、貯水容量を取得して当該水位変動と乗算して送水量或いは流入量を算出し、ステップSA10において、ROMに設定された当該テーブルデータからテップSA9で算出した送水量或いは流入量に対応する中間停止水位NWLまたは停止時間を取得して、間歇運転で利用する中間停止水位NWLまたは停止時間として設定するように構成されるものとする。
【0084】
また、図7に示した各テーブルデータは、時間帯毎に異なるように構成してもよい。ただし、この場合、制御部21は、ステップSA10において、当該実行時刻がどの時間帯に該当するかを判定したのち、該当する時間帯のテーブルデータから中間停止水位または停止時間を取得するように構成する必要があることはいうまでもない。
【0085】
例えば、この場合、図9に示すように、深夜時間帯のように生活排水が少なく、流入量が平均して少ない時間帯では、下流側マンホールポンプ装置の水位又は水位変動が多少高まっている場合であっても溢水するまでには至らないと判断して、中間停止水位NWLを低く設定し、ほぼ連続運転と同様の単位時間当たりの平均圧送流量で送水させることができる。
【0086】
一方、朝方や夕方のように生活排水が多く、流入量が平均して多いと考えられる時間帯では、上流側マンホールポンプ装置からの送水量が多くなると、下流側マンホールポンプ装置が溢水する虞が高まるため、中間停止水位NWLを高めに設定して間歇運転を早めに実行させ、下流側マンホールポンプ装置の水位がある程度低くなり、水位変動の高まりが収まるまで上流側マンホールからの送水を停止することができる。
【0087】
また、上述の構成に基づいて、制御部21は、通信部22で取得された下流側のマンホールポンプ装置の水位または水位変動に基づいて、間歇運転するか連続運転するかを切り替えるように構成してもよい。
【0088】
以下、図10及び図11に基づいて本構成によるマンホールポンプ装置10の運転方法について詳述するが、図中において、図3及び図5に示したものと同じ記号のステップは、上述と同じ処理内容であるため説明を省略する。
【0089】
図10(a)に示すように、ROMには、下流側マンホールポンプ装置の水位と、間歇運転を実行するか否かを示す制御情報とを対応づけるテーブルデータが予め設定されている。
【0090】
図11に示すように、制御部21は、通信部22を介して下流側マンホールポンプ装置の水位を取得する(SA11)と、ROMに設定されたテーブルデータから、当該水位に対応する間歇運転を実行するか否かを示す制御情報を取得し、当該制御情報により間歇運転を実行するように設定されている場合は(SA12;Y)、間歇運転を実行し(SA3)、間歇運転を実行しないように設定されている場合は(SA12;N)、水中ポンプ13を停止せずにそのまま連続運転する。
【0091】
同様に、例えば、図10(b)に示すように、下流側マンホールポンプ装置の水位変動と、間歇運転を実行するか否かを示す制御情報とを対応づけるテーブルデータをROMに予め設定してもよい。
【0092】
尚、テーブルデータは、図10(a)(b)に示した値に限らず、任意の値を設定することが可能である。
【0093】
ただし、この場合、制御部21は、ステップSA11において、通信部22を介して下流側マンホールポンプ装置の水位を所定時間取得して水位変動を算出し、ステップSA12において、ROMに設定された当該テーブルデータからテップSA9で算出した下流側マンホールポンプ装置の水位変動に対応する間歇運転を実行するか否かを示す制御情報を取得して、当該制御情報により間歇運転を実行するか否かを判定するように構成されるものとする。
【0094】
即ち、制御部21は、通信部22で取得された下流側のマンホールポンプ装置の水位または水位変動に基づいて、間歇運転するか連続運転するかを切り替えることができるため、例えば、突然の降雨により雨水が流入する等、水位変動が急激に高まるような場合であっても、これに対応して適切に間歇運転するか連続運転するかを切り替えることができるようになる。
【0095】
また、上述の構成に基づいて、制御部21は、通信部22で取得された下流側のマンホールの水位が第一の閾値以上の場合、水中ポンプ13を起動した後に水位が中間停止水位NWLに達すると水中ポンプ13を停止し、下流側のマンホールの水位が第一の閾値よりも低い第二の閾値以下になったとき、水中ポンプ13を再起動するように構成してもよい。
【0096】
ただし、この場合、第一の閾値及び第二の閾値は、下流側のマンホール装置のポンプ起動水位HWLとポンプ停止水位LWLの間の任意の高さ位置に設定された値であり、予めROMに設定されるものとする。
【0097】
以下、図12に基づいて本構成によるマンホールポンプ装置10の運転方法について詳述するが、図中において、図3に示したものと同じ記号のステップは、上述と同じ処理内容であるため説明を省略する。
【0098】
制御部21は、水中ポンプ13を起動後(SA2)、通信部22を介して下流側のマンホールポンプ装置の水位を取得し、当該水位が第一の閾値以上であるかを判定する(SA13)。
【0099】
制御部21は、下流側のマンホールポンプ装置の水位が第一の閾値以下の場合は、下流側のマンホールポンプ装置に汚水を圧送しても、下流側のマンホールポンプ装置の溢水の発生を招くことが無いと判断し、水中ポンプ13の運転を継続する(SA13;N)。
【0100】
制御部21は、下流側のマンホールポンプ装置の水位が第一の閾値以上の場合は、間歇運転を開始し(SA3)、水位が中間停止水位NWLに達すると水中ポンプ13を停止する(SB1,SB2)。
【0101】
制御部21は、水中ポンプ13を停止すると、予めROMに設定された所定の時間間隔で通信部22を介して下流側のマンホールポンプ装置の水位を取得し、当該水位が第二の閾値以下になるまで、水中ポンプ13を停止したまま待機する(SB6;N)。
【0102】
制御部21は、通信部22から取得した下流側のマンホールポンプ装置の水位が、第二の閾値以下になったことを検知すると(SB6;Y)、ポンプを再起動する(SB5)。
【0103】
即ち、制御部21は、中間停止水位NWLに水位が達するまでは水中ポンプ13を駆動して送水するため、上流側のマンホールポンプ装置で溢水が発生する虞を回避することができる。
【0104】
また、制御部21は、下流側のマンホールポンプ装置の水位が第一の閾値を超える場合に送水しているときは、当該送水によって下流側のマンホールポンプ装置の溢水を招く虞があるため、水位が中間停止水位NWLに達するまでの送水を終えた後、下流側のマンホールポンプ装置の水位が第二の閾値以下となって、下流側のマンホールポンプ装置に溢水が発生する虞がないと判断できる時点まで、送水を停止することができるようになる。
【0105】
尚、上述の実施形態では、マンホールポンプ装置を例として説明したが、これに限定されるものではなく、貯水槽に貯留された水を圧送する他の用途の水中ポンプの制御装置であってもよい。
【0106】
また、マンホールポンプ装置の制御装置及び運転方法の具体的構成は実施形態の記載に限定されるものではなく、本発明による作用効果を奏する範囲において適宜変更設計可能であることはいうまでもない。
【符号の説明】
【0107】
10:マンホールポンプ装置
10a,10b:下流側マンホールポンプ装置
11a:汚水流入管
11b:汚水流出管
12:マンホール
13:水中ポンプ
14:水位センサ
15:水位センサ(バックアップ用)
20:制御装置
21:制御部
22:通信部
23:水位設定部
24:停止時間設定部
25:時間帯設定部
HWL:ポンプ起動水位
LWL:ポンプ停止水位
NWL:中間停止水位


【特許請求の範囲】
【請求項1】
流入管から流入した水を貯留する貯水槽と、貯水槽に貯留された水を流出管に圧送する水中ポンプと、貯水槽に貯留された水の水位を計測する水位センサを備えた水中ポンプ装置に設置され、水位センサで計測された水位が所定のポンプ起動水位に達すると水中ポンプを起動し、ポンプ起動水位より低位のポンプ停止水位に達すると水中ポンプを停止する制御部を備えている水中ポンプ装置の制御装置であって、
制御部は、水中ポンプの起動後に水位がポンプ停止水位に達する迄の間に、水中ポンプを間歇運転して、単位時間当たりの平均圧送流量を調整する水中ポンプ装置の制御装置。
【請求項2】
ポンプ起動水位とポンプ停止水位の間に中間停止水位を設定し、制御部は水位が所定のポンプ起動水位に達して水中ポンプを起動した後に、水位が中間停止水位に達すると、所定時間停止した後に再起動する請求項1記載の水中ポンプ装置の制御装置。
【請求項3】
ポンプ起動水位とポンプ停止水位の間に水位が異なる複数の中間停止水位が設定され、制御部は水位が所定のポンプ起動水位に達して水中ポンプを起動した後に、水位が各中間停止水位に達する度に、所定時間停止した後に再起動する請求項2記載の水中ポンプ装置の制御装置。
【請求項4】
前記貯水槽がマンホールであり、
間歇運転時間帯を設定する時間帯設定部を備え、制御部は時間帯設定部で設定された間歇運転時間帯で水中ポンプを間歇運転し、間歇運転時間帯以外の時間帯で水中ポンプを連続運転する請求項1から3の何れかに記載の水中ポンプ装置の制御装置を備えたマンホールポンプ装置。
【請求項5】
前記貯水槽がマンホールであり、
水中ポンプにより水が圧送される下流側のマンホールの水位を取得する通信部を備え、制御部は通信部で取得された下流側のマンホールの水位または水位変動に基づいて、中間停止水位または中間停止水位で水中ポンプを停止する停止時間を設定する請求項2または3記載の水中ポンプ装置の制御装置を備えたマンホールポンプ装置。
【請求項6】
前記貯水槽がマンホールであり、
水中ポンプにより水が圧送される下流側のマンホールの水位を取得する通信部を備え、制御部は通信部で取得された下流側のマンホールの水位または水位変動に基づいて、間歇運転するか連続運転するかを切り替える請求項1から3の何れかに記載の水中ポンプ装置の制御装置を備えたマンホールポンプ装置。
【請求項7】
前記貯水槽がマンホールであり、
ポンプ起動水位とポンプ停止水位の間に中間停止水位を設定し、水中ポンプにより水が圧送される下流側のマンホールの水位を取得する通信部を備え、
制御部は、通信部で取得された下流側のマンホールの水位が第一の閾値以上の場合、水中ポンプを起動した後に水位が中間停止水位に達すると前記水中ポンプを停止し、下流側のマンホールの水位が第一の閾値よりも低い第二の閾値以下になったとき、前記水中ポンプを再起動する請求項1に記載の水中ポンプ装置の制御装置を備えたマンホールポンプ装置。
【請求項8】
流入管から流入した水を貯留するマンホールと、マンホールに貯留された水を流出管に圧送する水中ポンプと、マンホールに貯留された水の水位を計測する水位センサを備えたマンホールポンプ装置に設置され、水位センサで計測された水位が所定のポンプ起動水位に達すると水中ポンプを起動し、ポンプ起動水位より低位のポンプ停止水位に達すると水中ポンプを停止するマンホールポンプ装置の運転方法であって、
水中ポンプの起動後に水位がポンプ停止水位に達する迄の間に、単位時間当たりの平均圧送流量を調整するために水中ポンプを間歇運転するマンホールポンプ装置の運転方法。
【請求項9】
ポンプ起動水位とポンプ停止水位の間に中間停止水位を設定し、水位が所定のポンプ起動水位に達して水中ポンプを起動した後に、水位が中間停止水位に達すると、所定時間停止した後に再起動する請求項8記載のマンホールポンプ装置の運転方法。
【請求項10】
水中ポンプにより汚水が圧送される下流側のマンホールポンプ装置の水位に基づいて、中間停止水位または中間停止水位で水中ポンプを停止する停止時間を設定し、設定した中間停止水位または停止時間に基づいて間歇運転する請求項8または9記載のマンホールポンプ装置の運転方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2010−236190(P2010−236190A)
【公開日】平成22年10月21日(2010.10.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−82433(P2009−82433)
【出願日】平成21年3月30日(2009.3.30)
【出願人】(000001052)株式会社クボタ (4,415)
【Fターム(参考)】