説明

水中全アルカリ度測定方法

【課題】 取扱操作が簡単で測定時間を短縮できる水中全アルカリ度測定方法を提供する。
【解決手段】 まず試料軽量瓶10を用いて、一定量の被検水を量り取り、蓋体9を取り外して、試料瓶8内部の一定量の被検水にpH測定電極7およびマイクロシリンジポンプ2のノズル2aを挿入する。制御部5によりpH測定しながらマイクロシリンジポンプ2によって、被検水が予め定めるpHとなるように酸滴定を行い、酸滴定の結果に基づいて全アルカリ度を算出する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水中、特に海水中の全アルカリ度測定方法に関する。
【背景技術】
【0002】
水の全アルカリ度は、酸消費量によって規定され、所定のpHとなるように水に強酸を滴定し、滴定に要した酸の当量数として定義される。したがって水のpHが同じであっても溶存塩の量と種類とによって水の全アルカリ度は異なることになる。
【0003】
たとえば食塩(NaCl)のような中性の塩のみが溶解した水であれば全アルカリ度はない。これに対して、炭酸(H3CO3)、ホウ酸(B(OH)3)、リン酸(H3PO4)、ケイ酸(H2SiO3)のような酸からなる塩が溶解した水であれば、全アルカリ度がある。ホウ酸、リン酸、ケイ酸は水に対する溶解度が小さい、または酸としての解離度が充分小さいため、海水では、全アルカリ度の95%以上が炭酸塩、炭酸水素塩など炭酸起源の塩によっている。ホウ酸塩による全アルカリ度は数%程度であり、その他の弱酸塩による全アルカリ度はそれより1桁少ない。
【0004】
従来の全アルカリ度の測定は、一定量の海水をホールピペットなどの計量装置で一定容積分を量り取るかまたは天秤などで一定重量分を量り取り、ビーカなどの開放容器に採取し、塩酸で滴定して、塩酸の滴定量から求めている。しかし、一定量の試料を量り取る操作やそれを開放容器に移し替える操作も必要で操作が煩雑である。さらに、アルカリ度の測定とともに全炭酸の測定も行うならば、開放容器を使用したり、操作時に大気に接触すると、大気から二酸化炭素(CO2)を海水に吸収したり、逆に、海水中から大気に気散したり正確な測定が出来ない。さらに、滴定中になれば、炭酸の解離した炭酸水素イオン(HCO3-)や炭酸イオン(CO32-)は、中和が進むに従い炭酸(H2CO3)となり、さらに炭酸ガス(CO2)となって採取した海水中から気散するので、大きな誤差になってしまう。また、
【0005】
このような開放容器に移し替える操作によって生じる誤差をなくすために、密閉型の滴定装置が提案され、非特許文献1に装置の一例が記載されている。
【0006】
密閉型滴定装置は、外層と内層とから構成され、内層は計量器を兼ね、その内部は海水などの被検水で充満される。内層の上部に蓋体を取付け、余分の被検水は、溢流バルブから内層外へ放出される。蓋体には溢流バルブの外にシリンジ、滴定チップ、pH電極および温度検出手段が取付けられ、滴定チップから一定濃度の塩酸が滴下され、内層の底部に設けられたマグネティックスターラで、内層内が撹拌され、被検水のpHがpH電極で測定される。シリンジは、塩酸を滴下することによる内層内の容積の増加に対応するために設けられており、滴定が進むに従ってシリンジが上昇し内層内の容積を増加させる。
【0007】
密閉型滴定装置では、滴定を行うための内層が計量器を兼ねるので、計量操作、移し替え操作は単純化されているが、溢流バルブ、pH電極などが取付けられた蓋体を被検水毎に取外し、取付けせねばならず、その操作は複雑で熟練を要するものである。このため自動化が困難であり、多くの被検水の全アルカリ度を連続して測定することができない。
密閉型滴定装置であって、連続して測定可能な装置が特許文献1に開示されている。
【0008】
特許文献1記載の測定装置は、測定セルにシリンジ、弁を有する大気開放細管が備えられ、測定セルの外部に計量管が設けられる。大気開放細管に設けられた弁を開くことによって被検水の供給、排出が可能となり、測定の自動化が可能で連続して全アルカリ度を測定することができる。
【0009】
【非特許文献1】DOE(1994)Handbook of methods for the analysis of the various parameter of the carbon dioxide system in sea water. Version 2, A.G.Dickson & C.Goyet, eds. ORNL/CDIAC-74
【特許文献1】特開2001−133451号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
特許文献1記載の全アルカリ度測定装置は、連続測定するために構成が複雑化し、コストアップを招く。また、複数の試料液を送液する必要があり、送液手段内に汚れや残液があると試料液と混ざってしまう。送液に時間がかかるので、測定に要する時間が長くなってしまう。
【0011】
本発明の目的は、取扱操作が簡単で測定時間を短縮できる水中全アルカリ度測定方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、試料瓶と、試料瓶内部に挿入され、試料瓶内部に充満する試料液を一定量排除する挿入部を有する蓋体と、からなる試料軽量瓶を用いて、一定量の被検水を量り取る工程と、
蓋体を取り外し、試料瓶内部の一定量の被検水にpH測定電極および滴定手段の滴下ノズルを挿入する工程と、
pH測定しながら滴定手段によって、被検水が予め定めるpHとなるように酸滴定を行う工程と、
酸滴定の結果に基づいて全アルカリ度を算出する工程とを含むことを特徴とする全アルカリ度測定方法である。
【0013】
また本発明は、試料瓶と、試料瓶内部に挿入され、試料瓶内部に充満する試料液を一定量排除する挿入部を有する蓋体と、からなる試料軽量瓶を用いて、一定量の被検水を量り取る工程と、
蓋体を取り外し、pH測定電極、滴定手段の滴下ノズルおよび体積可変手段を備える測定用蓋体で試料瓶を密閉して試料瓶内部の一定量の被検水にpH測定電極および滴定手段を挿入する工程と、
pH測定しながら滴定手段によって、被検水が予め定めるpHとなるように酸滴定を行う工程と、
酸滴定の結果に基づいて全アルカリ度および全炭酸濃度を算出する工程とを含むことを特徴とする全アルカリ度測定方法である。
【0014】
また本発明は、試料瓶と、試料瓶内部に挿入され、試料瓶内部に充満する試料液を一定量排除する挿入部を有する蓋体と、からなる試料軽量瓶を用いて、一定量の被検水を量り取る工程と、
蓋体を取り外し、試料瓶内部の一定量の被検水に比色試薬を加えて発色させたのち滴定手段の滴下ノズルを挿入する工程と、
滴定手段によって、被検水が予め定める発色度合いとなるように酸滴定を行う工程と、
酸滴定の結果に基づいて全アルカリ度を算出する工程とを含むことを特徴とする全アルカリ度測定方法である。
【0015】
また本発明は、試料瓶と、試料瓶内部に挿入され、試料瓶内部に充満する試料液を一定量排除する挿入部を有する蓋体と、からなる試料計量瓶を用いて、一定量の被検水を量り取る工程と、
蓋体を取り外し、滴定手段の滴下ノズルおよび体積可変手段を備える測定用蓋体で試料瓶を密閉して試料瓶内部の一定量の被検水に滴定手段を挿入する工程と、
滴定手段によって、被検水が予め定める発色度合いとなるように酸滴定を行う工程と、
酸滴定の結果に基づいて全アルカリ度および全炭酸濃度を算出する工程とを含むことを特徴とする全アルカリ度測定方法である。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、まず試料計量瓶を用いて、一定量の被検水を量り取り、蓋体を取り外して、試料瓶内部の一定量の被検水にpH測定電極および滴定手段の滴下ノズルを挿入する。pH測定しながら滴定手段によって、被検水が予め定めるpHとなるように酸滴定を行い、酸滴定の結果に基づいて全アルカリ度を算出する。
【0017】
これにより、試料計量瓶を用いることで、被検水を計量するとともに、試料瓶を測定セルとして用いることができるので、被検水の移し替え操作も必要なく、計量後に速やかに滴定を開始することができる。したがって、全アルカリ度測定に要する時間を短縮することができる。
【0018】
計量から測定までを1つの容器で行うので、不純物の混入を防ぐことができ、測定精度を向上させることができる。
【0019】
また本発明によれば、まず試料計量瓶を用いて、一定量の被検水を量り取り、蓋体を取り外して、pH測定電極、滴定手段の滴下ノズルおよび体積可変手段を備える測定用蓋体で試料瓶を密閉して試料瓶内部の一定量の被検水にpH測定電極および滴定手段を挿入する。pH測定しながら滴定手段によって、被検水が予め定めるpHとなるように酸滴定を行い、酸滴定の結果に基づいて全アルカリ度、全炭酸濃度および、被検水のpHを算出する。
【0020】
これにより、試料計量瓶を用いることで、被検水を計量するとともに、試料瓶を測定セルとして用いることができるので、被検水の移し替え操作も必要なく、計量後に速やかに滴定を開始することができる。したがって、全アルカリ度測定および全炭酸濃度測定に要する時間を短縮することができる。
【0021】
また、測定用蓋体で試料瓶を密閉して滴定を行うので、全アルカリ度に加えて全炭酸濃度およびを算出することができる。
【0022】
被検水の移し変え操作を行うと、操作中に被検水が空気に触れることにより二酸化炭素が、空気中から被検水に混入もしくは被検水から空気中へ放出され、正確な全炭酸濃度の測定ができなくなる。本発明では、計量から測定までを1つの容器で行うので、不純物の混入を防ぐことができ、測定精度を向上させることができる。
【0023】
また本発明によれば、まず試料計量瓶を用いて、一定量の被検水を量り取り、蓋体を取り外して、試料瓶内部の一定量の被検水に比色試薬を加えて発色させたのち滴定手段の滴下ノズルを挿入する。滴定手段によって、被検水が予め定める発色度合いとなるように酸滴定を行い、酸滴定の結果に基づいて全アルカリ度を算出する。
【0024】
これにより、試料計量瓶を用いることで、被検水を計量するとともに、試料瓶を測定セルとして用いることができるので、被検水の移し替え操作も必要なく、計量後に速やかに滴定を開始することができる。したがって、全アルカリ度測定に要する時間を短縮することができる。
【0025】
計量から測定までを1つの容器で行うので、不純物の混入を防ぐことができるとともに、大気からの二酸化炭素の吸収や気散を防ぐことができ、測定精度を向上させることができる。
【0026】
また本発明によれば、まず試料計量瓶を用いて、一定量の被検水を量り取り、蓋体を取り外して、滴定手段の滴下ノズルおよび体積可変手段を備える測定用蓋体で試料瓶を密閉して試料瓶内部の一定量の被検水に滴定手段を挿入する。滴定手段によって、被検水が予め定める発色度合いとなるように酸滴定を行い、酸滴定の結果に基づいて全アルカリ度および全炭酸濃度を算出する。
【0027】
これにより、試料計量瓶を用いることで、被検水を計量するとともに、試料瓶を測定セルとして用いることができるので、被検水の移し替え操作も必要なく、計量後に速やかに滴定を開始することができる。したがって、全アルカリ度測定および全炭酸濃度測定に要する時間を短縮することができる。
【0028】
また、測定用蓋体で試料瓶を密閉して滴定を行うので、全アルカリ度に加えて全炭酸濃度、および被検水のpHを算出することができる。
【0029】
計量から測定までを1つの容器で行うので、不純物の混入を防ぐことができ、測定精度を向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0030】
以下、本発明の実施形態によって、本発明を具体的に説明する。
本発明の第1実施形態は、開放型滴定装置による全アルカリ度測定方法である。開放型滴定装置では、pHが3.8〜4になるように被検水に一定量の塩酸を添加しスターラでかき混ぜて被検水中の二酸化炭素を追い出す操作を行う。次に、塩酸を少量滴下して、その時の被検水のpH変化をpH電極を用いてモニタリングすることで全アルカリ度を求める。
図1は、本発明の全アルカリ度測定方法に用いる全アルカリ度測定装置1の構成を示す概略図である。図2は、試料計量瓶10の構成を示す外観図である。図2(a)は、試料計量瓶10を上から見た外観図であり、図2(b)は、試料計量瓶10を横から見た外観図である。
【0031】
全アルカリ度測定装置1は、マイクロシリンジポンプ2、酸貯留タンク3、スターラ4、制御部5、温度計6、pH電極7、試料瓶8を含む。
【0032】
マイクロシリンジポンプ2は、酸貯留タンク3に貯留される強酸を吸引し、試料瓶8内の被検水に吐出する滴定手段である。全アルカリ度測定では、高精度の滴定が必要とされるので、微小量の吸引、吐出に優れ高精度で送液制御が可能なマイクロシリンジポンプやオートビュレットを用いることが好ましい。
【0033】
酸貯留タンク3には、酸滴定用の酸が貯留される。タンクとしては、貯留する酸濃度が変化しないように密閉性を備えるとともに酸による腐食に耐性を有するものであればよい。酸滴定に用いられる酸としては、たとえば希塩酸(0.1M−HCl)が用いられる。
【0034】
スターラ4は、マグネティックスターラなどで実現され、被検水内に投入された回転子4aを所定の回転速度で回転させ、被検水を撹拌することで滴下された強酸と炭酸塩などのアルカリ成分との反応を促進する。
【0035】
制御部5は、プリアンプ5a、インターフェイス5bおよびCPU(中央演算処理装置)5cを含み、マイクロシリンジポンプ2の滴定制御、スターラ4の回転制御を行う。温度計6およびpH電極7からの出力信号は、プリアンプ5aで増幅、調整され、インターフェイス5bを介してCPU5cに入力される。CPU5cは、これらの入力信号に基づいて、マイクロシリンジポンプ2の滴定量やスターラ4の回転速度を調整する。
【0036】
温度計6は、滴定中の試料瓶8内の被検水の温度を測定し、pH電極7は、滴定中の試料瓶8内の被検水のpHを測定する。
【0037】
試料瓶8は、内部に一定量の被検水を採取する計量器と、酸滴定時に被検水のpHを測定するための測定セルとを兼ねる試料計量瓶10を構成する。
【0038】
図2の外観図に示すように、試料計量瓶10は、試料瓶8と、試料瓶8の内部に挿入され、試料瓶8の内部に充満する試料液を一定量排除する挿入部9aを有する蓋体9とからなる。
【0039】
試料瓶8に試料液である被検水が充満された状態で、挿入部9aを試料瓶8の内部に挿入すると、挿入部9aの体積分が排除され、一定量を越える分の被検水がオーバーフローすることで、試料瓶8の内部には一定量の被検水が採取されることになる。採取する被検水の量は、試料瓶8の容積と、挿入部9aによる排除体積とで規定される。
【0040】
試料瓶8が計量器と測定セルとを兼ねるには、計量後に容器を移し替えることなく、少なくとも温度計6およびpH電極7が被検水中に挿入され、酸滴定によって酸が滴下されたとしても溢れ出ないように構成される必要がある。上記のように、計量後の試料瓶8内の被検水量は、試料瓶8の最大容量よりも挿入部9aによる排除体積分だけ減少しているので、温度計6およびpH電極7が被検水中に挿入され、さらに酸滴定によって酸が滴下されたとしても溢れ出ることはないように構成することが可能である。
【0041】
したがって、試料計量瓶10を用いることで、被検水を計量するとともに、試料瓶8を測定セルとして用いることができるので、被検水の移し替え操作も必要なく、計量後に速やかに滴定を開始することができる。したがって、全アルカリ度測定に要する時間を短縮することができる。
【0042】
試料瓶8の容量は、たとえば20〜200mlで、主に50ml、100mlが使用される。挿入部9aによる排除体積は、10〜20mlで、試料瓶8の容量の10〜50%である。
【0043】
以上のようにして被検水を計量した後は、図1に示すように、試料瓶8内部の一定量の被検水に温度計6、pH電極7およびマイクロシリンジポンプ2の滴下ノズル2aを挿入する。
【0044】
制御部5の制御により、マイクロシリンジポンプ2およびスターラ4を動作させ、これと同時に温度計6、pH電極7からの出力に基づいて被検水の液温およびpH値を監視、記録する。
【0045】
マイクロシリンジポンプ2からは、一定時間毎、たとえば10秒間毎に、一定量、たとえば0.05mlの塩酸を試料瓶8内に滴下する。スターラ4は、一定の回転速度、たとえば7.0rpsで回転子4aを回転させて被検水を撹拌する。
【0046】
制御部5には、予め酸滴定の目的となるpHが、所定の記憶領域に記憶されており、制御部5のCPU5cは、pH電極7の出力に基づく被検水のpH値と、目的pHとを比較し、被検水のpHが目的pHに達したときに、マイクロシリンジポンプ2で滴下した塩酸の滴下量を算出する。
【0047】
酸滴定に用いる塩酸濃度は、予め定められる濃度であるので、被検水の量、塩酸の滴下量、塩酸濃度などから被検水に含まれるアルカリ成分の含有量を算出することができる。
【0048】
全アルカリ度ATは、DOE(1994)Handbook of methods for the analysis of the various parameter of the carbon dioxide system in sea water. Version 2, A . G . Dickson & C. Goyet, eds. ORNL/CDIAC-74より、以下の式(1)で算出できる。
【0049】
式(1)に示すように、全アルカリ度ATは、プロトン供与体とプロトン受容体との差で定義される。
AT = [HCO3-] + 2[CO32-] + [B(OH)4-] + [OH-] + [HPO42-] + 2[PO43-]
+ [SiO(OH)3-] + [NH3] + [HS-] + ・・・ - [H+]F - [HSO4-] - [HF]
- [H3PO4] - …(1)
【0050】
式(1)で定義される全アルカリ度は、当量点に相当するプロトン状態を定義するために式(2)に展開される。式(1)中に省略されているものについては、無視できるほど小さな存在のイオンであるため式(2)では使用しない。
[H+]F + [HSO4-] + [HF] + [H3PO4] = [HCO3-] + 2[CO32-] + [B(OH)4-] + [OH-]
+ [HPO42-] + 2[PO43-] + [SiO(OH)3-]
+ [NH3] + [HS-] …(2)
【0051】
各滴定ポイントでの、水素イオンの全濃度CHは、式(3)で表現される。
CH = [H+]F + [HSO4-] + [HF] + [H3PO4] - [HCO3-] - 2[CO32-] - [B(OH)4-]
- [OH-] - [HPO42-] - 2[PO43-] - [SiO(OH)3-] - [NH3] - [HS-] …(3)
【0052】
水素イオンの全濃度CHは、サンプル重量m0と、Cの濃度をもつ塩酸の総滴下量mから式(4)で表される。
CH = (mC - m0AT) / (m0+m) …(4)
【0053】
したがって、これと式(2)とを合わせると、式(5)が導き出される。
(mC - m0AT) / (m0+m) = [H+]F + [HSO4-] + [HF] + [H3PO4] - [HCO3-]
- 2[CO32-] - [B(OH)4-] - [OH-]- [HPO42-]
- 2[PO43-] - [SiO(OH)3-] - [NH3] - [HS-] …(5)
【0054】
次に、全炭酸濃度CTは、式(6)で定義される。
CT = [CO2*] + [HCO3-] + [CO32-] …(6)
【0055】
ここで、[CO2*]は、分析で区別することができない[CO2(aq)]と[H2CO3(aq)]を表している。今、全アルカリ度を求めるために、あらかじめ全炭酸を脱気させているため、CTを0μmol/kgとする。
【0056】
CT以外の各イオン濃度を求めるために、まずは水素イオン濃度[H+]を求める。水素イオン濃度[H+]は、ネルンストの式より式(7)に表される。
E = E-(RT/F)ln[H+] …(7)
【0057】
ここで、Eは非線形最小二乗法により見積もられるため、[H+]は[H’]に置き換えられ、 式(7)と式(8)より、式(9)が算出される。
f = [H+]/[H’] …(8)
[H]=exp{(E-E)/(RT/F)} …(9)
【0058】
各パラメータは以下で表されるため、式(5)は式(10)に書き換えられる。
BT = [B(OH)3]+[B(OH)4-]
ST = [HSO4-]+[SO42-]
FT = [HF]+[F-]
PT = [H3PO4]+[H2PO4-]+[HPO42-]+[PO43-]
SiT = [Si(OH)4]+[SiO(OH)3-]
NH3T = [NH4+]+[NH3]
H2ST = [H2S]+[HS-]
K1 = [H+][HCO3-]/[CO2*]
K2 = [H+][CO32-]/[HCO3-]
KB = [H+][B(OH)4-]/[B(OH)3]
KSi = [H+][SiO(OH)3-]/[Si(OH)4]
KNH3 = [H+][NH3]/[NH4+]
KH2S = [H+][HS-]/[H2S]
KS = [H+]F[SO42-]/[HSO4-]
KF = [H+][F-]/[HF]
K1P = [H+][H2PO4-]/[H3PO4]
K2P = [H+][HPO42-]/[H2PO4-]
K3P = [H+][PO43-]/[HPO42-]
[H+]F = [H+]/Z
Z = 1+ST/KS
AT = -BT{1/(1+(f[H’])/KB)}
-PT{(K1PK2P(f[H’])+2K1PK2PK3P
-(f[H’])3)/((f[H’])3+K1P(f[H’])2+K1PK2P(f[H’])+K1PK2PK3P)}
-SiT{1/(1+(f[H’])/KSi)}
-NH3T{1/(1+(f[H’])/KNH3)}
-H2ST{1/(1+(f[H’])/KH2S)}
+ST{1/(1+KSZ/(f[H’]))}
+FT{1/(1+KF/(f[H’]))}
+{(m0+m)/m0}{f[H’]/Z-KW/f[H’]}-m/m0*C …(10)
【0059】
塩分と液温より、K1、 K2、 KB、 KSi、 KNH3、 KH2S、 KS、 KF、 K1P、 K2P、 K3Pの項が求められ、分子量と塩分により、BT、 ST、 FT、 PT、 SiT、 NH3T、 H2STが求まる。このときK1は、さらにK1Factorが掛けられて求められる。これらの係数と、塩酸滴下量mと電位Eとを式(9)と式(10)に代入することにより、各滴定毎の全アルカリ度が算出される。この各滴定ごとの全アルカリ度を“仮の全アルカリ度”とすると、次にその“仮の全アルカリ度”を用いて、pH3.5からpH3の範囲で最も偏差が小さくなるように、式(9)のEを非線形最小二乗法から決める。そのときの“仮の全アルカリ度”の平均値が、最終的に全アルカリ度として決定される。
【0060】
ここで、本発明の測定方法に用いる試料計量瓶を使用して、一定量の純水を量り取ったときの再現性について検証した。液温は18.9℃で、1つの試料計量瓶を用いて繰り返し一定量の純水を量り取った。結果を表1に示す。
【0061】
【表1】

【0062】
また、第1の実施形態である開放型滴定装置による測定方法を用いて、同一試料の全アルカリ度を測定し、その再現性を検証した。結果を表2に示す。
【0063】
【表2】

【0064】
表1,2に示すように、大変良好な結果であり本発明は再現性に優れた測定方法であることが確認された。
【0065】
次に本発明の第2実施形態について説明する。本発明の第2実施形態は、密閉型滴定装置による全アルカリ度および全炭酸濃度測定方法である。
【0066】
第2実施形態が第1実施形態と異なるのは、酸滴定時に測定用蓋体を用いる構成、および滴定結果に基づいて制御部5が全アルカリ度に加えて全炭酸濃度を算出する構成である。
【0067】
被検水の計量までの工程は、上記の第1実施形態と同様に、試料瓶8と蓋体9とからなる試料軽量瓶10を用いる。
【0068】
計量後、蓋体9を取り外し、蓋体9に代えて測定用蓋体20を試料瓶8に装着する。図3は、測定用蓋体20が装着された状態の試料瓶8の構成を示す外観図である。図3(a)は、試料瓶8を上から見た外観図であり、図3(b)は、試料瓶8を横から見た外観図である。
【0069】
測定用蓋体20は、温度計6、pH電極7およびノズル2aが貫通するように固定されるとともに試料瓶8内部の気液が外部に放出されないように、密閉する。
【0070】
全炭酸濃度は、測定中に大気への二酸化炭素の放出があれば正確に測定ができないため、試料瓶8に測定用蓋体20を装着して、密閉型の測定セルとし、大気と被検水との接触を防止することで全炭酸濃度の測定を可能としている。
【0071】
なお、試料瓶8内部を完全に密閉した状態では、酸滴定による内部圧力変化が測定に影響を及ぼすため、測定用蓋体20には、図示していないが、体積可変手段として、収縮可能な袋状部材、ベローズ、キャピラリなどを装着し、試料瓶8内の圧力変化を吸収できる手段を設けることが好ましい。
【0072】
ここで、全アルカリ度測定および全炭酸濃度測定について説明する。
大気中のCO2は、海水中に吸収されると、ほぼ炭酸イオン[CO32-]と炭酸水素ナトリウム[HCO3-]で存在する。その海水試料液を被検水として酸滴定すると、図4のような炭酸イオン中和曲線を描くことができる。
【0073】
ここで、プロットA(グラフ中では「○」で表示)は、第2実施形態である密閉型滴定装置を用いた場合のプロットであり、プロットB(グラフ中では「△」で表示)は、第1実施形態である開放型滴定装置および第2実施形態である密閉型滴定装置を用いた場合の共通のプロットである。
【0074】
全アルカリ度測定は、被検水に所定のpHまで酸を滴定することで、海水の酸消費量を見積もっている。一方全炭酸濃度は、酸滴定によって被検水に溶存している炭酸が脱気されることを利用して測定する。また、全アルカリ度、全炭酸濃度ともに変化するpH電極の電位[mV]と酸の滴下量とを記録することで算出できる。
【0075】
全アルカリ度および全炭酸濃度は、DOE(1994)Handbook of methods for the analysis of the various parameter of the carbon dioxide system in sea water. Version 2, A . G . Dickson & C. Goyet. eds. ORNL/CDIAC-74より、以下の式(1)および式(6)で算出できる。
【0076】
式(1)に示すように、全アルカリ度ATは、プロトン供与体とプロトン受容体との差で定義される。
AT = [HCO3-] + 2[CO32-] + [B(OH)4-] + [OH-] + [HPO42-] + 2[PO43-]
+ [SiO(OH)3-] + [NH3] + [HS-] + ・・・ - [H+]F - [HSO4-] - [HF]
- [H3P O4] - …(1)
【0077】
式(1)で定義される全アルカリ度は、当量点に相当するプロトン状態を定義するために式(2)に展開される。式(1)中に省略されているものについては、無視できるほど小さな存在のイオンであるため式(2)では使用しない。
[H+]F + [HSO4-] + [HF] + [H3PO4] = [HCO3-] + 2[CO32-] + [B(OH)4-] + [OH-]
+ [HPO42-] + 2[PO43-] + [SiO(OH)3-]
+ [NH3] + [HS-] …(2)
【0078】
各滴定ポイントでの、水素イオンの全濃度CHは、式(3)で表現される。
CH = [H+]F + [HSO4-] + [HF] + [H3PO4] - [HCO3-] - 2[CO32-] - [B(OH)4-]
- [OH-] - [HPO42-] - 2[PO43-] - [SiO(OH)3-] - [NH3] - [HS-] …(3)
【0079】
水素イオンの全濃度CHは、サンプル重量m0と、Cの濃度をもつ塩酸の総滴下量mから式(4)で表される。
CH = (mC - m0AT) / (m0+m) …(4)
【0080】
したがって、これと式(2)とを合わせると、式(5)が導き出される。
(mC - m0AT) / (m0+m) = [H+]F + [HSO4-] + [HF] + [H3PO4] - [HCO3-]
- 2[CO32-] - [B(OH)4-] - [OH-]- [HPO42-]
- 2[PO43-] - [SiO(OH)3-] - [NH3] - [HS-] …(5)
【0081】
次に、全炭酸濃度CTは、式(6)で定義される。
CT = [CO2*] + [HCO3-] + [CO32-] …(6)
【0082】
ここで、[CO2*]は、分析で区別することができない[CO2(aq)]と[H2CO3(aq)]を表している。
【0083】
各イオン濃度を求めるために、まずは水素イオン濃度[H+]を求める。水素イオン濃度[H+]は、ネルンストの式より式(7)で表される。
E = E-(RT/F)ln[H+] …(7)
【0084】
ここで、Eは非線形最小二乗法により見積もられるため、[H+]は[H’]に置き換えられ、 式(7)と式(8)より、式(9)が算出される。
f = [H+]/[H’] …(8)
[H] = exp{(E-E)/(RT/F)} …(9)
【0085】
各パラメータは以下で表されるため、各イオン濃度は式(10)と式(11)とで表される。
BT = [B(OH)3]+[B(OH)4-]
ST = [HSO4-]+[SO42-]
FT = [HF]+[F-]
PT = [H3PO4]+[H2PO4-]+[HPO42-]+[PO43-]
SiT = [Si(OH)4]+[SiO(OH)3-]
NH3T = [NH4+]+[NH3]
H2ST = [H2S]+[HS-]
K1 = [H+][HCO3-]/[CO2*]
K2 = [H+][CO32-]/[HCO3-]
KB = [H+][B(OH)4-]/[B(OH)3]
KSi = [H+][SiO(OH)3-]/[Si(OH)4]
KNH3 = [H+][NH3]/[NH4+]
KH2S = [H+][HS-]/[H2S]
KS = [H+]F[SO42-]/[HSO4-]
KF = [H+][F-]/[HF]
K1P = [H+][H2PO4-]/[H3PO4]
K2P = [H+][HPO42-]/[H2PO4-]
K3P = [H+][PO43-]/[HPO42-]
[H+]F = [H+]/Z
Z = 1+ST/KS
AT = -BT{1/(1+(f[H’])/KB)}
-PT{(K1PK2P(f[H’])+2K1PK2PK3P
-(f[H’])3)/((f[H’])3+K1P(f[H’])2+K1PK2P(f[H’])+K1PK2PK3P)}
-SiT{1/(1+(f[H’])/KSi)}
-NH3T{1/(1+(f[H’])/KNH3)}
-H2ST{1/(1+(f[H’])/KH2S)}
+ST{1/(1+KSZ/(f[H’]))}
+FT{1/(1+KF/(f[H’]))}
+{(m0+m)/m0}{f[H’]/Z-KW/f[H’]}-m/m0*C …(10)
CT = {(K1f[H’]+2K1K2)/((f[H’])2+K1f[H’]+K1K2)} …(11)
【0086】
塩分と液温より、K1、 K2、 KB、 KSi、 KNH3、 KH2S、 KS、 KF、 K1P、 K2P、 K3Pの項が求められ、分子量と塩分により、BT、 ST、 FT、 PT、 SiT、 NH3T、 H2STが求まる。このときK1は、さらにK1Factorが掛けられて求められる。これらの係数と、塩酸滴下量mと電位Eとを式(9)と式(10)、式(11)に代入することにより、各滴定毎の全炭酸濃度と全アルカリ度が算出される。
【0087】
このとき、x軸に式(11)の算出値を、y軸に式(10)の算出値を滴定ごとにプロットすると、図5に示すようなグラフが得られる。このプロットを用いて、直線性が最も高くなるように、式(9)のEとK1Factorとを非線形最小二乗法から決定する。
【0088】
図5に示したプロットは、x軸がCTを表しているので、全炭酸濃度は、一定量の酸滴下量に対する変化量(つまり、直線近似式の傾き)から得られる。一方全アルカリ度ATは、二酸化炭素が脱気され、式(1)に示されるイオンの差が求まる点(つまり、直線近似式の切片)から得られる。
【0089】
したがって、第2実施形態では制御部5が、酸滴定の結果に基づいて、たとえば近似直線を作成し、その傾きと切片とから全アルカリ度および全炭酸濃度を算出することができる。
【0090】
以上のように、第2実施形態では、測定用蓋体20を装着し、試料瓶8内に被検水を密閉した状態で酸滴定を行うので、全アルカリ度だけでなく全炭酸濃度も測定することができる。
【0091】
なお、図4、図5に示した滴定曲線およびプロットは、本発明の測定方法に基づいて、実際に海水を酸滴定して全アルカリ度、全炭酸濃度測定を行った結果であり、図5のプロットから、全アルカリ度が2292.23[μmol/kg]、全炭酸濃度が2105.21[μmol/kg]であった。
第2の実施形態である密閉型滴定装置による測定方法を用いて、同一試料の全アルカリ度、全炭酸濃度およびpHを測定し、その再現性を検証した。結果を表3に示す。
【0092】
【表3】

【0093】
表3に示すように、大変良好な結果であり本発明は再現性に優れた測定方法であることが確認された。
【0094】
次に本発明の第3実施形態について説明する。本発明の第3実施形態は、第1実施形態と同じく開放型滴定装置による全アルカリ度測定方法であるが、pH電極によって滴定中の被検水のpH測定をするのではなく、比色試薬(pH指示薬)を用いた比色分析によってpHを測定する。
【0095】
図6は、本発明の全アルカリ度測定方法に用いる全アルカリ度測定装置1の構成を示す概略図である。
【0096】
第1実施形態と異なる構成は、pH電極7を用いず光源30と検出器31とを含み、光源からの光を測定セルである試料瓶8の側方から照射し、試料瓶8および被検水を透過した透過光を検出器31で検出する、いわゆる吸光光度分析手段でpH指示薬を含む被検水のpHを測定する。
【0097】
光源30は、たとえばタングステンランプ、キセノンランプ、発光ダイオード(略称LED)などを備える光の出射源である。検出器31は、たとえばフォトダイオードなどによって構成され、被検水を透過した透過光を受光して電気信号に変換する。
【0098】
pH指示薬は、被検水と塩酸との混合液のpHに応じて色が変化し、pH指示薬が混合した被検水を透過した光の強度は、pH指示薬の発現する色に応じて減衰する。検出器31は、受光した光の強度に対応した電気信号を出力するので、その出力の強弱に基づいて被検水のpH値を測定することができる。
【0099】
比色分析を用いるためには、試料瓶8は透明度が高い、たとえばパイレックス(登録商標)ガラスを用いることが好ましい。
【0100】
制御部5は、滴定制御、回転制御に加えて光源30の出力制御を行う。検出器31からの出力信号は、プリアンプ5aに入力され、インターフェイス5bを介してCPU5cに入力される。CPU5cは、検出器31からの出力信号に基づいて被検水のpH値を算出する。
【0101】
pH電極7によるpH測定であっても、pH指示薬によるpH測定であっても滴定結果は、塩酸の滴下量であるので、全アルカリ度の算出手順などについては第1実施形態と同様に行えばよい。
【0102】
次に本発明の第4実施形態について説明する。本発明の第4実施形態は、第1実施形態と同じく密閉型滴定装置による全アルカリ度および全炭酸濃度測定方法であるが、pH電極によって滴定中の被検水のpH測定をするのではなく、比色試薬を用いた比色分析によってpHを測定する。
【0103】
第4実施形態が第3実施形態と異なるのは、酸滴定時に測定用蓋体20を用いる構成、および滴定結果に基づいて制御部5が全アルカリ度に加えて全炭酸濃度を算出する構成である。
【0104】
被検水の計量までの工程は、上記の各実施形態と同様に、試料瓶8と蓋体9とからなる試料軽量瓶10を用いる。
【0105】
計量後、蓋体9を取り外し、蓋体9に代えて測定用蓋体20を試料瓶8に装着する。ただし、本実施形態では、pH電極7を用いないので、測定用蓋体20は、温度計6とノズル2aが貫通するように固定されるとともに試料瓶8内部の気液が外部に放出されないように、密閉する。
【0106】
試料瓶8内部を完全に密閉した状態では、酸滴定による内部圧力変化が測定に影響を及ぼすため、第2実施形態と同じように、測定用蓋体20には、体積可変手段として、収縮可能な袋状部材、ベローズ、キャピラリなどを装着し、試料瓶8内の圧力変化を吸収できる手段を設けることが好ましい。
【図面の簡単な説明】
【0107】
【図1】本発明の全アルカリ度測定方法に用いる全アルカリ度測定装置1の構成を示す概略図である。
【図2】試料計量瓶10の構成を示す外観図である。
【図3】測定用蓋体20が装着された状態の試料瓶8の構成を示す外観図である。
【図4】炭酸イオン中和曲線の例を示すグラフである。
【図5】全アルカリ度および全炭酸濃度算出用プロットの例を示すグラフである。
【図6】本発明の全アルカリ度測定方法に用いる全アルカリ度測定装置1の構成を示す概略図である。
【符号の説明】
【0108】
1 全アルカリ度測定装置
2 マイクロシリンジポンプ
3 酸貯留タンク
4 スターラ
5 制御部
6 温度計
7 pH電極
8 試料瓶
9 蓋体
10 試料計量瓶
20 測定用蓋体
30 光源
31 検出器

【特許請求の範囲】
【請求項1】
試料瓶と、試料瓶内部に挿入され、試料瓶内部に充満する試料液を一定量排除する挿入部を有する蓋体と、からなる試料計量瓶を用いて、一定量の被検水を量り取る工程と、
蓋体を取り外し、試料瓶内部の一定量の被検水にpH測定電極および滴定手段の滴下ノズルを挿入する工程と、
pH測定しながら滴定手段によって、被検水が予め定めるpHとなるように酸滴定を行う工程と、
酸滴定の結果に基づいて全アルカリ度を算出する工程とを含むことを特徴とする全アルカリ度測定方法。
【請求項2】
試料瓶と、試料瓶内部に挿入され、試料瓶内部に充満する試料液を一定量排除する挿入部を有する蓋体と、からなる試料計量瓶を用いて、一定量の被検水を量り取る工程と、
蓋体を取り外し、pH測定電極、滴定手段の滴下ノズルおよび体積可変手段を備える測定用蓋体で試料瓶を密閉して試料瓶内部の一定量の被検水にpH測定電極および滴定手段を挿入する工程と、
pH測定しながら滴定手段によって、被検水が予め定めるpHとなるように酸滴定を行う工程と、
酸滴定の結果に基づいて全アルカリ度および全炭酸濃度を算出する工程とを含むことを特徴とする全アルカリ度測定方法。
【請求項3】
試料瓶と、試料瓶内部に挿入され、試料瓶内部に充満する試料液を一定量排除する挿入部を有する蓋体と、からなる試料計量瓶を用いて、一定量の被検水を量り取る工程と、
蓋体を取り外し、試料瓶内部の一定量の被検水に比色試薬を加えて発色させたのち滴定手段の滴下ノズルを挿入する工程と、
滴定手段によって、被検水が予め定める発色度合いとなるように酸滴定を行う工程と、
酸滴定の結果に基づいて全アルカリ度を算出する工程とを含むことを特徴とする全アルカリ度測定方法。
【請求項4】
試料瓶と、試料瓶内部に挿入され、試料瓶内部に充満する試料液を一定量排除する挿入部を有する蓋体と、からなる試料計量瓶を用いて、一定量の被検水を量り取る工程と、
蓋体を取り外し、滴定手段の滴下ノズルおよび体積可変手段を備える測定用蓋体で試料瓶を密閉して試料瓶内部の一定量の被検水に滴定手段を挿入する工程と、
滴定手段によって、被検水が予め定める発色度合いとなるように酸滴定を行う工程と、
酸滴定の結果に基づいて全アルカリ度および全炭酸濃度を算出する工程とを含むことを特徴とする全アルカリ度測定方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2009−264913(P2009−264913A)
【公開日】平成21年11月12日(2009.11.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−114584(P2008−114584)
【出願日】平成20年4月24日(2008.4.24)
【出願人】(591081321)紀本電子工業株式会社 (19)
【Fターム(参考)】