説明

水中再分散可能な粉末、その生産プロセス及びその使用

本発明は、好ましくは水中再分散可能な粉末として存在しかつ特にドライモルタル中に添加するための添加剤として適している水結合された系の中のブルームを削減するための水結合した系用添加剤に関する。水中再分散可能な粉末は、少なくとも1種の有機成分及び少なくとも1種の水溶性有機重合体保護コロイドそして又、該当する場合にはさらなる添加剤から成り、該有機成分は、完全に又は部分的に飽和されている環状基を有する少なくとも1種の化合物を含有し、約−20℃から250℃の融点と同時に約100〜10,000の分子量を有し、かつ水溶性有機重合体保護コロイドと安定した水中分散体を形成し、有機成分と水溶性有機重合体保護コロイドの重量比は約95:5〜5:95である。本発明は、同様に、乾燥段階が省略されたプロセスにも関する。本発明の添加剤は、水結合性質量、特にコンクリート、石こう及び/又は石灰及び/又はセメントプラスタ、補修モルタル、及び/又は完全熱保護モルタル、接合用接着剤及び/又はタイル接着剤、レベリングコンパウンド及び/又は充填剤、非収縮グラウチングの中で、及び/又はコンクリートコーティング及び接着剤用添加剤として使用可能である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、少なくとも1種の有機成分及び少なくとも1種の水溶性有機重合体保護コロイドをベースとする水硬化された系内での風解現象(efflorescence)を削減するための水中再分散可能な粉末、後続する乾燥段階を伴う分散を含めたその生産プロセス(なお乾燥段階を省略することが可能である)、及び、特に水硬化された系内での風解現象の削減を目的とする水硬化性系用添加剤としてのその有利な使用、に関する。
【背景技術】
【0002】
風解現象は、特にコンクリート、下塗り及びモルタルといったようなセメント質系において発生するものとして知られている。専門家によると、これは、空気由来の二酸化炭素とさらに反応して炭酸カルシウムを形成する浸出した水酸化カルシウムによりとくに形成されている表面上の白っぽい被着物のことを意味している。この場合、さらなる塩被着物も同様に存在し得る。このような風解現象が下地の物理的価値に対し大きな影響を及ぼすことは通常無いが、これらは、特に着色又は灰色表面の場合にきわめて有害なものとみなされる。
【0003】
代替案がないため、配合開発者は、疎水性添加剤を用いて風解現象の予防を試みることが多い。この場合、モルタル層、下塗り層又はコンクリート層内に水が全く浸透できないならばいかなる水酸化カルシウムも洗い出され得ないという考え方が或る程度機能する。しかしながら、これは引き出されるべき結論としては誤ったものである。すなわち、一方では、塗布されたばかりの材料は、なおも多くの水を含有し、この水が溶解した塩と共に表面まで移動する。水が蒸発した場合、塩残渣は、望ましくない残渣として残る。さらに、水は同様にもう一方の側から水硬化された材料を通って拡散でき、かくして同じ効果を及ぼす。他方では、絶対的疎水性を得ることは実際上不可能である。たとえ表面が優れた撥水性を示しても、ほんのわずかでも内部に浸透したならば、水滴の乾燥後に白色残渣を残留させるのに充分である。かくして、数多くの疎水性の高い材料は、その他の材料に比べさらに強い風解現象効果を示す。このことは同様に、疎水性及び風解現象がかなり異なる機序に基づいており、互いに比較不可能であるということも明らかに示している。
【0004】
かくして、例えばドイツ特許出願公開第10323205号(DE10323205A1)は、必要とされる場合には単数又は複数の有機ケイ素化合物と組合わせた形で、アルカリ性条件下で脂肪酸又は対応する脂肪酸アニオンを遊離させる脂肪酸及び脂肪酸誘導体の群からの単数又は複数の化合物及び水溶性保護コロイドを含有する脂肪酸及びそれらの誘導体をベースとする疎水性で水再分散化可能な添加剤について記述している。モルタル中でこの添加剤を用いることにより、吸水性は実質的に低減されるが、防止されるわけではない。風解現象の低減の可能性については全く言及されていない。その上、脂肪酸誘導体のアルカリ性加水分解により、きわめて揮発性の高い有機成分(VOC)が通常形成される。
【0005】
米国特許第3,423,219号(US3,423,219)は、ポートランドセメントの生産のためのプロセスについて記述している。このプロセスの間、トール油樹脂とトール油の高沸点留分の混合物の水性分散体が、好ましくは、塗装助剤としてポートランドセメントに添加される。かかる分散体の生産プロセスは、なかでもアルカリ処理を含んでおり、その結果、複雑でかつコストが高い。風解現象を低減させるためのこのような系の使用については言及されていない。その上、水中で可溶又は再分散可能な粉末は全く記述されておらず、そのため特にドライモルタルの使用は不可能になっている。
【0006】
英国特許出願公開第1,088,484号(GB1,088,484A)は、ポートランドセメントをベースとするコンクリート中の風解現象を阻害するためのプロセスについて記述している。この場合、部分的にアスファルトとも混合されたトール油の高沸点留分とトール油樹脂の混合物の水性分散体が、好ましくはコンクリートに添加されるか又はその後表面上に塗布される。かかる分散体の生産のためのプロセスには、なかんづくアルカリ処理が含まれ、その結果これはきわめて複雑でかくして高価であり、該混合物が暗色乃至は黒色であるためその用途は著しく制限されている。分散体を安定化させるために、0.1〜15重量%のタンパク質又は多糖類が使用される。さらに、水中で可溶な又は再分散可能な粉末は全く記述されておらず、このため、特にドライモルタル内での使用は不可能となる。
【0007】
独国特許出願公開第3321027号(DE3321027A1)においては、なかんづく風解現象の削減及び水吸収の減少を明らかに発生させるプロセスが記述されている。このプロセス中テルペン重合体、特に液体低分子テルペン類がそのままの形で或いはその他のテルペン炭化水素と混合した状態で添加され、これらは、0.1〜10重量%の量でセメント含有建築材料に添加される。テルペンベースの化合物の添加は、乳化された形態で行なわれるか又は液体又は溶解したテルペンを吹きつけることにより行なわれるため、なかでもドライモルタル内での使用が妨げられる。その上、使用されるテルペンのタイプ又はテルペン化合物を乳化させる乳化剤に関する詳細は全く提供されていない。
【0008】
日本特許出願公開第1252652号(JP1252652A)は、例えば紙の利用分野向けの優れた安定性を有する水性分散体について記述している。このプロセスにおいては、低分子量の疎水性物質が、特殊なカチオン基を含む改質ポリビニルアルコールを用いて分散されており、この低分子量の疎水性物質は樹脂である可能性がある。カチオン基を伴うポリビニルアルコールはまず最初に例えば酢酸ビニル及びジメチルアミノエチルビニルエーテルのラジカル重合を用いて別々に生成され、その後に共重合体を鹸化しなければならないことから、ここで記述されている水性分散体は、多大な努力を払って初めて生産可能である。さらに、この分散体は粉末形状では得ることができず、その利用分野はかなり異なるっている。
【0009】
欧州特許第874471号(EP874471B1)では、単独重合体及び共重合体の群からの非水溶性基本重合体、及び該基本重合体に基づいて最高100重量%の粘着付与物質をも含有する水溶性霧化保護コロイドから成る再分散可能な分散体粉末組成物が記述されている。その水溶性霧化保護コロイドは、オレフィン不飽和モノカルボン酸又はジカルボン酸又はそれらの無水物の単独重合体又は共重合体をベースとする中和されていない又は部分的に中和された特殊な重合体であり、その重合体の酸含有率は50モル%以上になる。水性再分散体のpHは4.5未満である。これらの系は、接着剤組成物として使用可能であるが、セメント含有こて塗りコンパウンド又は構造用接着剤の中で使用すべきものでもある。しかしながらこれらの特殊重合体は、水硬化性系の中のカルシウムイオン、及び水和(実質的遅延)及びモルタルレオロジー(部分的硬化)に対するきわめてマイナスの効果をもつその他のイオンと急速に複合化合物を形成する。この理由から、これらの重合体は特にセメント質の系の中での使用にはほとんど適していない。風解現象の削減の可能性については言及されていない。
【0010】
欧州特許第874877号(EP874877B1)は、最大250,000g/モルの分子量及び水100g中で少なくとも10gの水溶性をもつ2〜50モル%のさらなる遊離ラジカル重合可能単量体及びフェノールスルホン酸縮合物及びナフタレンスルホン酸縮合物を共重合体として含有する、オレフィン不飽和モノカルボン酸又はジカルボン酸又はそれらの無水物の水溶性低分子量単独重合体又は共重合体の群からの少なくとも1種の化合物を2〜50重量%と、単数又は複数の粘着付与物質を含有する水中で再分散可能な粘着付与剤粉末組成物について記述している。その粘着付与物質は、乳化剤−安定化された分散体として用いられ、これらの重合体で安定化されない。さらに、これらは、接着剤として使用され、セメント質の系の中では使用されず、特に風解現象の減少のためには使用されない。
【0011】
欧州特許出願公開第799876号(EP799876A2)は、少なくとも1種の分散体をベースとする少なくとも1種の重合体、少なくとも1種の粘着付与樹脂そして必要とされる場合には単数又は複数の保護コロイドならびに固化防止剤を含有する粉末形態の接着剤組成物について記述している。この接着剤組成物は、特に床張り接着剤として、多孔性及び半多孔性物質を接着剤ボンドするのに適している。水硬化性系における使用、特に風解現象を削減するための使用については言及されていない。さらに、少なくとも1種の分散体をベースとする重合体が含有されることが不可欠であり、このことが、配合の可能性を甚しく制限している。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明の目的は、水硬化された、特に例えばモルタル中及びコンクリートのケースにおけるセメントをベースとする系の風解現象を防ぐか又は少なくとも大幅に削減する添加剤を提供することにあった。さらに、その添加剤は、特にドライモルタルの配合のためには、例えば凍結/解凍に対する耐性の欠如、又は毒性殺生物剤を添加しない場合の低い貯蔵安定性といったような液体原料の既知の欠点を回避しかつ、ドライモルタル配合物の場合において単純な計量を可能にするべく、粉末形態で存在するべきである。しかしながら、例えばコンクリートの製造といったような選択された利用分野のためには液体形態で添加剤を計量供給することも又可能であるべきである。さらに、この添加剤は、特殊な混合プロセスを考慮に入れる必要なく、水と混合されたモルタルマトリクスの中に単純に攪拌しながら入れるのに適していることが不可欠である。この場合、モルタル混合物中で添加剤に撤底的に加湿し、再分散させ、マトリクス中で容易に均質に分布させることができることも又非常に重要である。さらに、添加剤によってモルタルの不利な又はその他の物性が全くもたらされないことが重要である。すなわち、添加剤は、望まれる風解現象の強力な削減そして該当する場合にはモルタルの疎水性及び/又は接着能力の改善を目的とする場合を除いて、モルタルレオロジーといったようなその物性を修正することなく既存のモルタル配合物中に導入することができなくてはならない。さらに、その他の原料とは独立して添加剤を計量することができ、配合者にきわめて高レベルの融通性を提供できることも又必要である。さらに、ドライモルタルの生産コスト及び原料コストが添加剤によって改変されることが全く又はわずかしかないことが重要である。その上、添加剤を生産する場合、ターゲティングされた形で最終的特性を調整できるように一次的粒子サイズを問題なく単純に変動させることが可能でなければならない。その上、添加剤の少なくとも大部分を再生可能資源から得ることができるのであれば有利である。同様に、添加剤の危険性の分類は全く無いか又は極めて低いものでなければならない。
【課題を解決するための手段】
【0013】
驚くべきことに、この複雑な目的は、少なくとも1種の有機成分及び少なくとも1種の水溶性有機重合体保護コロイド、そして必要な場合にはさらなる添加剤をベースとする水硬化した系内での風解現象を削減するための水中再分散可能な粉末であって、
a) 該有機成分が環状基を伴う少なくとも1種の化合物を含有し、該化合物が完全に又は部分的に飽和されておりかつおよそ−20℃から250℃の融点及び約100〜10,000の分子量を有し、又該有機成分がテルペノイド、樹脂酸、カラフォニー、テルペン樹脂、テルペン−フェノール樹脂及び/又はその誘導体を含んで成り、かつ
b) 該水溶性有機重合体保護コロイドと共に安定した水中分散体を形成し、該水溶性有機重合体保護コロイドが50モル%未満のモノカルボン酸及びジカルボン酸含有率を有し、かつ芳香族スルホン酸、縮合物で構成されておらず、
c) 有機成分対水溶性有機重合体保護コロイドの重量比が95:5〜5:95である、
粉末を用いることによって、達することが可能であった。
【0014】
完全に又は部分的に飽和した環状基を伴う該有機成分は、合成的に生産された生成物でも天然の生成物でもあり得る。適切な天然の生成物は特にガムロジン、ウッドロジン、トール油ロジン及び/又はポリテルペンロジンであり、これらは改質された形及び/又は未改質形態で存在する可能性があり、該改質は天然又は合成のものであってよい。好ましいテルペノイドはモノテルペン、セスキテルペン、ジテルペン、セステルテルペン、トリテルペン及びポリテルペンである。テルペン樹脂は標準的にはテルペン、ジテルペン及び/又はリモネンの重合によって得られ、テルペン−フェノール樹脂はテルペン及び/又はカラフォニーに対し酸を触媒としてフェノールを添加することによって生成できるが、その他の物質をベースとすることも可能である。
【0015】
有機成分が少なくとも1つの環状基を含有していることが重要である。単環、2環、3環、4環及び/又は5環基が好ましい。特別な実施形態は、C5環及び/又はC6環を伴う少なくとも1つの環状基を含有する有機成分から成る。さらに環状基は完全に又は部分的に飽和していてもよい。特殊な実施形態では、C=Cの2重結合が2つ以上含まれ、少なくとも2つが互いに共役されている。
【0016】
有機成分はさらに、例えばアミン基、アミド基、アミジン基、イミン基、無水物基、エステル基、硫酸基、スルホン酸基、及び/又はチオール基といったような単数又は複数の官能基を伴う少なくとも1種の化合物を含有し得る。カルボキシル基、カルボニル基、アルデヒド基及び/又はアルコール基を伴う化合物が特に好ましく、また一方では樹脂酸及び誘導体が特に好ましい。
【0017】
以下に記すのは、適切な有機成分の例である。即ち、モノテルペン、例えば、ショウノウ、ショウノウ酸、イソニトロソショウノウ、ショウノウキノン、メントール、リモネン、ピネン、ショウノウカルボン酸及び/又はアルキルヒドロキシメチレンショウノウ、ならびにそれらの誘導体及びそれらから製造された重合体、例えば、ポリテルペン樹脂;ジテルペン、例えば、ネオアビエチン酸、レボピナル(levopinaric)酸、ピマル酸、イソピマル酸、アビエチン酸、デヒドロアビエチン酸、ジヒドロアビエチン酸、シルビン酸、パルストリン酸、カラフォニー、レチナール、トレチノイン、アゲラシンE、アゲラシジンB、オキソカチビン(oxocativic)酸、ピニ葉酸、ラブデンニ酸、ジヒドロキシハリマジエン(halima-diene)ニ酸、エポキシクレロダトリエン(clerodatrieneoic)酸、イソピマラジエン)酸、イソピマル酸、イソピマルラジエンジオール(-adiendiol)、イソピマルラトリエントリオール、ジュンセイン(junceic)酸、ポドカルピノン(podocarpinic)酸、ポドカルピノール(podocapinol)、ロセイン(roseine)III、ヒドロキシオキソロセノリド(rosenolid)、カセイン(cassaine)酸、カセジン(cassaidin)、カセイン(cassaic)、カサミン(cassamine)、アウリキュラー(auricularic)酸、クレイスタンスアジエン(cleistanthadienoic)酸、イソコパレンジアル(isocopalene dial)、アビエタジエン酸、アビエチン酸、ジヒドロキシアビエタトリエン酸、ラヌゴン(lanugone)A、カルノソル(carnosolic)酸、アベオ・アビエタン(abeo-abietane)、コレオン(coleon)P、シクロアビエタン(cycloabietane)、ベイエレントリオール(beyerene-triol)、ベイエロール(beyerol)、ヒドロキシベイエレン(hydroxybeyerenic)酸、ジヒドロキシカーレン(dihydroxykaurenic)酸、ジヒドロキシカーレノイド(dihydroxykaurenolide)、カーウェオール、メチルブタノイルオキシビラノバンジオール(methyl butanoyloxyvillanovan diol)、ジヒドロキシアティセノリド(dihydroxy atisenolid)、ジヒドロキシアティサノン(dihydroxy atisanone)、アティセンジオール(atisene diol)、ジベレリンA18、ジベレリンA1、ジベレリンA3、ジベレリン酸、グライアノトキセンペントール(grayanotoxene pentol)、ロイコトール(leucothol)、エポキシグレイアノトキサンペントール(epoxygrayanotoxane pentol)、ロードヤポニンIII、ロイコトール(leucothol)C、キセニオライト(xeniolite)A、キセニアアセタール(xeniaacetal)及び/又はジヒドロキシセルラタン(dihydroxy serrulatanoic)酸、イソジクチオヘミアセタール(isodictyohemiacetal)ならびにそれらの誘導体、セステルテルペン例えば、ジシデアパラウン(dysideapalaunn)酸、ダルビシリアコリド(dalvisyriacolide)、サルビロイコリドメチルエステル(Salvileucolide methyl ester)、エポキシヒドロキシオキソオフィオボルジエナール(epoxyhydroxyoxoophiobol adienal)、オキソオフィオボラテトラエナール(oxoophiobola tetraenal)、オフォイボリン(ophiobolin)A、オフォイボリン(ophiobolin)G、ジヒドロキシスカラレノリド(dihydroxyscalarenolide)及び/又はスカラリン(scalarin)、ならびにそれらの誘導体;トリテルペン、例えば、ジプテルカルポール(dipterocarpol)、ヒドロキシダマレノン(hydroxydammarenone)II、ダマレノール(dammarenolic)酸、チルカロール(tirucallol)、ウルソン(urson)酸、オレアノン(oleanonic)酸、イソマスチカジエノン(masticadienonic)酸、フシジン(fusidinic)酸、アセトキシヒドロキシフジダジエン(acetoxyihydroxyfusidadienic)酸、ヘルボリン(helvolinic)酸、マスチカジエノン(masticadienonic)酸、ジアセトキシジオキソフシダジエン(diacetoxydioxofusidadienoic)酸、トリヒドロキシシクロアルテン(trihydroxycycloartenic)酸、パイナップル酸、パシフロリン(Passiflorin)、アセトキシトリヒドロキシククルビタジエントリオン(acetoxytrihydroxycucurbitadien trione)、ククルビタシンB1、ククルビタシンF、ウルソル酸、ペンタヒドロキシククルビタジエンジオン、ヒドロキシウルサン(hydroxyursanic)酸、ヒドロキシウルセン(hydroxyursenic)酸、ポモール酸、ヒドロキシオレアネン酸、ジヒドロキシウルセン酸、ボスウェリン酸、ヒドロキシウルセン酸及び/又はヒドロキシオキソウルセン酸、ならびにそれらの誘導体である。かくして、以上で列挙した成分は混合物としても存在し得、制限的な選択肢を表わすものとして理解されてはならない。樹脂酸、特にネオアビエチン酸、レボピナル酸、ピマル酸、イソピマル酸、アビエチン酸、デヒドロアビエチン酸、ジヒドロアビエチン酸、シルビン酸、パルストリン酸及び/又はカラフォニーが、特に好ましい。
【0018】
有機成分は、DSC(DIN51007)により決定されるおよそ−20〜250℃、特におよそ0〜200℃、そして特に好ましくはおよそ50〜180℃の融点を有するべきである。有機成分が融解範囲を有し実際の融点を有していない場合、融解範囲の平均温度を用いて融点を決定する。例えば熱分解のためにいかなる融点も決定できない場合、融点の代替として軟化点又は軟化点の平均温度を用いることができる。さらに、有機成分の分子量は、およそ100〜10,000の間、特におよそ200〜5,000の間、特に好ましくはおよそ300〜2,500の間にあるべきである。低分子化合物の場合には、これは標準的に、構造式を介して決定され、さらに高い分子の生成物の場合には、静的光散乱を用いて決定される。
【0019】
有機成分は標準的には水中で不溶性であるか又はわずかに可溶性であるにすぎない。特殊な実施形態においては、これは酸性又は中性水中で全く又はわずかにしか可溶性でなく、溶解度はおよそ10重量%未満であり、好ましくはおよそ1重量%未満、特に0.1重量%未満である。さらに好ましい実施形態においては、有機成分は、希苛性ソーダ溶液中で部分的に又は完全に可溶性であり、該溶解度はおよそ8〜12の範囲内のpHでおよそ0.01重量%超、好ましくはおよそ0.1重量%超、そして特におよそ1重量%超である。該溶解度は20℃の温度に関係する。
【0020】
水溶性有機重合体保護コロイドが水溶液中で有機成分と安定した分散体を形成することが有用であり、分散体は24時間後もなお例えばpH、粘度、粒子サイズ及び色といったような同じ物理的特性を有し、例えば分散体粒子からの沈殿といったような分離は発生しない。有機成分のタイプに応じて異なる水溶性有機重合体保護コロイドが所望の分散安定性を提供することから、有機重合体保護コロイドは、或る種の有機成分について理想であり得、その一方で、その他の有機成分とは不相溶性が発生し得る。この理由から、有機重合体保護コロイドを有機成分に整合させる必要がある。単純なやり方で、得られた水性分散体組成物を水中再分散可能な粉末へと変換させることのできる安定化用の系が好適である。
【0021】
標準的には、適切な水溶性有機重合体保護コロイドは好ましくはより高い分子の化合物である。これらには、必要とされる場合にはイオン特性を全く又はほとんど有していない化学的に改質された合成のより高分子のオリゴマー及び重合体及び/又は少なくとも部分的にイオン特性をもつ単量体を用いて、例えば水性媒質内のラジカル重合を用いて、その場で生成される重合体である、例えば多糖類といったような天然の化合物が含まれる。唯一の安定化用系を使用することも、異なる安定化用系を互いに組合わせることも可能である。
【0022】
冷水中で可溶である、多糖類及び多糖エーテル、例えばセルロースエーテル、でんぷんエーテル(アミロース及び/又はアミロペクチン及び/又はその誘導体)、グアールエーテル及び/又はデキストリン、及びそれらの誘導体が好ましくは使用される。同様に、合成多糖類、例えばアニオン、非イオン又はカチオンヘテロ多糖類、特にキサンタンゴム又はウェランゴムを使用することも同様に可能である。多糖類は、例えばカルボキシメチル基、カルボキシエチル基、ヒドロキシエチル基、ヒドロキシプロピル基、メチル基、エチル基、プロピル基、及び/又は長鎖アルキル基で化学的に改質され得るが、その必要もない。さらなる天然の安定化用系は、アルギン酸塩、ペプチド及び/又はタンパク質例えばゼラチン、カゼイン及び/又はダイズタンパク質から成る。デキストリン、でんぷん、でんぷんエーテル、カゼイン、ダイズタンパク質、ヒドロキシルアルキルセルロース及び/又はアルキルヒドロキシアルキルセルロースが特に好ましい。
【0023】
合成安定化用系は同様に、単数又は複数の保護コロイドから構成されていてもよい。その例としては、分子量200〜400,000の単数又は複数のポリビニルピロリドン及び/又はポリビニルアセタール、好ましくはおよそ70〜100モル%、特におよそ80〜98モル%の加水分解度、及び好ましくは1〜50mPas、特におよそ3〜40mPas(DIN53015に従って20℃にて測定)の4%水溶液中のホップラ粘度をもつ完全に又は部分的に鹸化されかつ/又は改質されたポリビニルアルコール、ならびに、スルホン酸メラミンホルムアルデヒド、スルホン酸ナフタレンホルムアルデヒド、酸化プロピレンと酸化エチレンのブロック共重合体、スチレンマレイン酸共重合体及び/又はビニルエーテルマレイン酸共重合体が存在する。より高分子のオリゴマーは、非イオン、アニオン、カチオン及び/又は両性乳化剤、例えばスルホン酸アルキル、スルホン酸アルキルアリール、硫酸アルキル、硫酸ヒドロキシアルカノール、スルホン酸アルキル及びジスルホン酸アルキルアリール、スルホン酸化脂肪酸、ポリエトキシル化アルコール及びアルキルフェノールの硫酸塩及びリン酸塩、ならびに、スルホコハク酸エステル、第4アルキルアンモニウム塩、第4アルキルホスホニウム塩、重付加生成物、例えばポリアルコキシラート、例えば線形及び/又は有枝C6〜C22のアルカノール、アルキルフェノール、高級脂肪酸アミン、第1級及び/又は2級高級アルキルアミン、1モルあたり5〜50モルの酸化エチレン及び/又は酸化プロピレンのアダクツ(ここで各々のケースにおいてアルキル基は好ましくは線形及び/又は有枝C8−〜C22−アルキル基である)であり得る。合成の安定化用系、特に部分的に鹸化され、必要な場合には改質されているポリビニルアルコールが特に好まれ、必要な場合には、単数又は複数のポリビニルアルコールを少量の適切な乳化剤と共に使用することが可能である。好ましい合成の安定化用系は、特に、1〜50mPasという4%水溶液としてのホップラ粘度及び80〜98モル%の加水分解度をもつ改質された及び/又は未改質のポリビニルアルコール及び/又はポリビニルピロリドンである。しかしながら、より高いカルボン酸基含有率をもつ水溶性有機重合体保護コロイドは、特にそれらが遊離ラジカル重合を用いて生産される場合、さほど好ましくない。かくして、モノカルボン酸及びジカルボン酸及びその無水物の含有率は50モル%未満、好ましくは25モル%未満、特に10モル%未満でなくてはならない。その上、芳香族スルホン酸縮合物から成る水溶性有機重合体保護コロイドもさほど好ましくない。
【0024】
有機成分と水溶性有機重合体保護コロイドの重量比はなかでも、使用される材料及び達成されるべき効果により左右される。これは、およそ95:5〜5:95、特におよそ90:10〜10:90そして好ましくはおよそ80:20〜20:80そして特に好ましくはおよそ70:30〜30:70であり得る。
【0025】
水中再分散可能な粉末のpHは、10%の水性再分散体として、標準的にはおよそ4.5〜10.5、好ましくはおよそ5.0〜9.5となるが、酸性度又はアルカリ度の高い成分といった特別なケースにおいては、この範囲外でもあり得る。
【0026】
発明性のある水中再分散可能な粉末は、同様にさらなる添加剤を含有することもできる。有機成分及び水溶性有機重合体保護コロイドの総量に基づく添加剤の含有率は、いかなる管理限界の対象ともなっていない。かくしてこれは非常に低くてもよく、例えば界面活性物質の場合、およそ0.01重量%以上の枠組内、特に約0.1重量%そして好ましくはおよそ1重量%であってよい。その一方、本発明に従った粉末に対し、標準的にはエマルジョン重合に基づく合成的に生産された薄膜形成性水性重合体分散体を乾燥させることによって得られる水中再分散可能な薄膜形成性分散体粉末又は充填材といったような著しく大きな割合の添加剤を添加させることが可能である。この場合、発明性のある水中再分散可能な粉末1部あたりに、最高でおよそ1000部、特におよそ500部、そして好ましくはおよそ100部のさらなる添加剤を添加することができる。
【0027】
さらなる添加剤のタイプに関しては、いかなる制限も存在しない。概して、これらは本発明に従った粉末の利用分野において重要な役割を果たすが、これは不可欠ではない。さらなる有機重合体保護コロイドを添加する可能性はきわめて高く、該添加は、この場合好ましくは粉末の形で行なわれる。
【0028】
好ましい添加剤は、微粉状及び/又は液体の消泡剤、湿潤剤、アルキル多糖エーテル、ヒドロキシアルキル多糖エーテル及び/又はアルキルヒドロキシアルキル多糖エーテル例えばセルロースエーテル、でんぷんエーテル及び/又はグアールエーテル(なおアルキル基及びヒドロキシアルキル基は標準的にC1〜C4−である)、合成多糖類例えばアニオン、非イオン又はカチオンヘテロ多糖類、特にキサンタンゴム又はウェランゴム、セルロース繊維、分散剤、セメント超可塑剤、硬化促進剤、早強促進剤、硬化遅延剤、空気連行剤、ポリカルボキシラート、ポリカルボキシラートエーテル、ポリアクリルアミド、完全に及び/又は部分的に鹸化されたそして必要とされる場合には改質されたポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリアクリレン酸化物及びポリアルキレングリコール(なおここでアルキレン基は標準的にC2−及び/又はC3−基であり、これには又ブロック共重合体、分散体及び例えば酢酸ビニル、エチレン酢酸ビニル、エチレン酢酸ビニルビニルバーサテート、エチレン酢酸ビニル(メト)アクリラート、エチレン酢酸ビニル塩化ビニル、ビニル酢酸ビニルバーサテート、ビニル酢酸ビニルバーサテート(メト)アクリラート、ビニルバーサテート(メト)アクリラート、オール(メト)アクリラート、アクリル酸スチレン及び/又はスチレンブタジエンをベースとしたものといったようなエマルジョン重合体を含有する共重合体をベースとする水中再分散可能な薄膜形成性分散体粉末、も含まれる)、疎水剤例えばシラン、シランエステル、シロキサン、シリコーン、脂肪酸及び/又は脂肪酸エステル、増粘剤、充填材例えば石英質及び/又は炭素質砂及び/又は小麦粉例えばケイ砂及び/又は石灰石粉末、炭酸塩、ケイ酸塩、軽量充填材例えば中空ガラスミクロスフェア、重合体例えばポリスチレン球、アルミノケイ酸塩、酸化ケイ素、酸化ケイ素アルミニウム、ケイ酸カルシウム水和物、二酸化ケイ素、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸マグネシウム、ケイ酸アルミニウム水和物、ケイ酸アルミニウムカルシウム、ケイ酸カルシウム水和物、ケイ酸マグネシウムアルミニウム鉄、メタケイ酸カルシウム及び/又は火山スラグならびにポゾラン材料例えばメタカオリン及び/又は潜在水硬性成分から成る。
【0029】
特に好ましい添加剤は、重合体分散体、水中再分散可能な薄膜形成性分散体粉末、多糖エーテル、超可塑剤及び疎水剤、特にシラン、シランエステル、脂肪酸、脂肪酸エステル及び/又はオレイン酸及びそのエステルならびにその他の誘導体である。
【0030】
本発明は同様に、特に本発明に従った粉末の生産のための水中再分散可能な粉末の生産用プロセスにも関し、ここで、有機成分は第1の段階において水中で水溶性有機重合体保護コロイドと共に分散され安定化され、このようにして得られた分散体はその後乾燥させられる。
【0031】
このプロセスにおいては、有機成分が、水中で予め溶解された有機重合体保護コロイドと液体又は粘性形態で混合されることが有利であるが、いかなる形でもそれが不可欠となることはない。有機成分が室温において固体形態で存在する場合、その結果、それが加熱されることが有利であり得る。しかしながら、特に有機成分が水中で不溶性である場合には、該有機成分を、加えられた添加剤の中で溶解又は膨潤させ、この形態で有機重合体保護コロイドを伴う水相と混合させることも同様に可能である。適切な添加剤は、往々にして純粋に有機的性質をもつものであり、液体形態で存在する。これらは、例えばシラン、シランエステル、シリコーン及び/又はシロキサン、液体消泡剤及び/又は湿潤剤、低分子ポリアルキレングリコール、脂肪酸及び/又は脂肪酸誘導体から成る。
【0032】
原則として、全てのオルガノシラン化合物をシラン、シランエステル、シリコーン及び/又はシロキサンとして使用可能である。しかしながら、不可欠なことではないものの、それらが液体形態で存在し、オルガノシラン化合物の沸点が常圧で過度に低すぎず、好ましくはおよそ100℃以上であることが有利である。オルガノシラン化合物は、水中で可溶性、不溶性又は部分的にのみ不溶性を示し得る。この点において、水中で全く可溶性を示さないか又は制限された可溶性しか示さない化合物が好ましい。構造式Si(OR’)4のケイ酸エステル、n=3で構造式Sin(OR’)4-nのオルガノキシシラン、n=0〜500好ましくはn=0〜8で構造式R3Si(SiR2nSiR3のポリシラン、c=0〜3、d=0〜2、e=0〜3、f=0〜3そして1単位あたりのc+d+e+fの総量が最大3.5である一般構造式RcdSi(OR’)e(OH)f(4-c-d-e-f)/2)をもつ単位のジシロキサン、オリゴシロキサン及びポリシロキサンが好ましく、そこでは、R’は1〜4個のC原子をもつ同じ又は異なる、好ましくはメチル又はエチルのアルキルラジカル又はアルコキシアルキレンラジカルを表わし、Rは同じか又は異なるものであり、かつ1〜22個のC原子をもつ有枝又は非有枝アルキルラジカル、3〜10個のC原子をもつシクロアルキルラジカル、2〜4個のC原子をもつアルキレンラジカル、6〜18個のC原子をもつアルキルアリールラジカル、アリールラジカル、アラルキルラジカルを表わし、言及されたラジカルRを、エーテル基、チオエーテル基、エステル基、アミド基、ニトリル基、ヒドロキシル基、アミン基、カルボキシル基、スルホン酸基、無水カルボキシル基及びカルボニル基を伴うF又はClといったハロゲンで置換することも可能であり、ポリシランの場合には、RがOR’の意味を有することも同様に可能である。
【0033】
好ましいオルガノシラン化合物は、テトラアルコキシシラン、アルキルトリアルコキシシラン、ジアルキルジアルコキシシランから成り、線形及び/又は有枝C1〜C20アルキル基をアルキル基として使用すること、及び線形及び/又は有枝C1〜C10アルコキシ基をアルコキシ基として使用することが可能であり、後者としては好ましくはメトキシ基、エトキシ基、及び/又はイソプロポキシ基が用いられる。さらに、共重合可能なアルキレン基、例えばビニル基、アリル基及び/又は(メト)アクリル基をアルキル基の代りに使用することが可能である。制限的ではない例としては、ビニルメチルジアルコキシシラン、テトラエトキシシラン、メチルトリプロポキシシラン、メチルトリエトキシシラン、γ−クロロプロピルトリエトキシシラン、β−ニトリルエチルトリエトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリエトキシシラン及びγ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、π−オクチルトリエトキシシラン及びイソオクチルトリエトキシシラン、ジプロピルジエトキシシラン、トリフェニルシラノールならびに、必要とされる場合にはその他の低沸点及び/又は水溶性シラン例えばメチルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン又はその他のアミノ官能基を含有するシラン、第4級アンモニウム塩基及び/又はエポキシ基を含有するシラン、カルボン酸官能性シラン及び無水カルボン酸官能性シラン、ジシラン例えばジメチルテトラアルコキシジシラン、テトラメチルジアルコキシシラン、トリメチルトリアルコキシジシラン、又は一般に対応する塩素化合物から得ることのできるその共縮合物との、好ましくは液体のそれらの縮合生成物がある。トリメチルシロキシ基により末端ブロックされたメチル水素ポリシロキサン、ジメチルシロキサン単位及びメチル水素シロキサン単位のトリメチルシロキシ基により末端ブロックされた混合型重合体及び、末端単位内にSi結合型ヒドロキシ基を示すジメチルポリシロキサンも特に好ましい。
【0034】
水中で水溶性有機重合体保護コロイドと共に有機成分を分散させるためには、通常平均乃至は強度のせん断力が有利であり往々にして必要でもある。これは、室温及び高温の両方で半連続的に又は静的ミキサーを介して連続的に、バッチ式に行なうことができる。有機成分が高い融点を有し溶解しない場合、このプロセス中では、もう1つの液体物質中において、100℃超の温度で分散を行なうことも可能であり、この場合には作業は好ましくは高圧で行なうことができる。有機成分の部分的又は完全な分解を回避するためには、必要とされる場合、保護ガス雰囲気下で作業することも同様に可能である。
【0035】
水溶性有機重合体保護コロイド中への有機成分の分散中に、異なるパラメータのターゲティングされた調整により、特に得られる分散体の粒子サイズを変動させることが可能である。これには、水溶性有機重合体保護コロイドのタイプと数量が含まれる。非常に小さい粒子サイズの場合、使用されるマトリクスのきわめて効率の良い分布が極端にわずかな量でも達成される。粒子サイズがより大きい場合、再分散された材料はより長い期間にわたりその効果を発揮する。その結果、高効率及び持続性のある両方の効果を確保するべく多重モードの粒子サイズ分布を得ることが好ましい場合が多い。かくして、分散体中に分散した粒子の平均粒子サイズは標準的にはおよそ0.05〜50μmの間、特におよそ0.1〜20μmの間、さらに好ましくはおよそ1〜10μmの間であり得、特に低粘度分散体の場合には沈降を妨げるべく粒子サイズが過度に大きくならないようにすることが必要である。このことは、より粘度の高い分散体の場合にはさほど重要ではない。
【0036】
水溶性有機重合体保護コロイドで安定化された有機成分の分散体の固体含有率に関しては、本発明はいかなる管理限界の対象ともなっていない。しかしながら概して、固体含有率がおよそ10〜75重量%、特におよそ25〜65重量%そして好ましくはおよそ40〜55重量%であると有利である。その上、得られる分散体は、標準的に、DIN53019に従って23℃及び20rpmで測定した場合におよそ100〜50,000mPas、特に、およそ500〜25,000mPas、さらに好ましくはおよそ1000〜10,000mPasの23℃ブルックフィールド粘度を有する。
【0037】
得られた水性分散体の乾燥は好ましくは、噴霧乾燥、凍結乾燥、流動床乾燥、ドラム乾燥及び/又は高速乾燥によって行なわれ、特に噴霧乾燥が好ましく、噴霧ホイール、単一又は多重物質ノズルを用いて噴霧を行なうことが可能である。必要である場合には、さらに水溶液を水で希釈して乾燥に適した粘度を得ることができる。乾燥温度に関する特別な限界は基本的に全く無い。しかしながら、特に安全を考慮すると、概しておよそ200℃特に175℃を超えるべきではない。充分効率の良い乾燥を達成するためには、およそ110℃以上、特に120℃以上の温度が好ましい。
【0038】
本発明は同様に、乾燥段階が省略された、記述されているプロセスにも関する。このようにして得られる分散体は、このとき液体状態で処理され、これは、コンクリート内といったような2成分系及び工業用処理系において特に適切である。
【0039】
本発明に従ったプロセスは、タイプ及び/又はプロセス技術の可能性に応じて更なる添加剤の添加も含むが、一例として、その添加剤は、当初有機成分及び/又は水溶性有機重合体保護コロイドと混合され、得られた水性分散体に添加され、かつ/又は得られた粉末の乾燥中及び/又はその後に添加される。しかしながら、乾燥中又はその後に、液体添加剤を噴霧することも又可能である。好ましくは、液体及び/又は水溶性添加剤は、分散の前、途中又は後に添加され、粉末形態の添加剤は、好ましくは、得られた粉末の乾燥中又はその後に混合される。好ましい液体及び/又は水溶性添加剤としては、シラン、シランエステル、シロキサン、脂肪酸及び/又はそれらの誘導体、湿潤剤、消泡剤、セメント水和、及び/又はレオロジー調整用の制御剤、例えば硬化遅延剤、硬化促進剤、セメント超可塑剤、セメント増粘剤、空気連行剤、及び/又はエマルジョン重合体ベースの薄膜形成性水性重合体分散体がある。粉末形態での好ましい添加剤は、充填剤、固化防止剤、エマルジョンベースの水中再分散可能な薄膜形成性分散体粉末、多糖エーテル、例えばセルロースエーテル、でんぷんエーテル及び/又はグアールエーテル、セメント水和及び/又はレオロジー用の制御剤、例えば硬化遅延剤、硬化促進剤、セメント超可塑剤及びセメント増粘剤、空気連行剤、セルロース繊維、分散剤、ポリアクリルアミド、ポリカルボキシレートエーテル、粉末形態で、特にシラン、シランエーテル及び/又はシロキサンベースの疎水化剤、増粘剤、充填剤、例えば炭酸塩、ケイ酸塩、メタカオリン及び/又は潜在水硬性成分から成る。かかる添加剤の割合は、例えば界面活性物質について、非常に少なく、本発明に従った添加剤の割合に基づいておよそ0.01重量%以上の領域内、特におよそ0.1重量%そして好ましくは約1重量%である。その他の添加剤、例えばエマルジョン重合体ベースの水中再分散可能な薄膜形成性分散体粉末又は充填剤については、これは総量の1重量部の有機成分及び水溶性有機重合体保護コロイドに対して、およそ1000部、特におよそ500部そして好ましくは約100部にもなり得る。
【0040】
特殊な1実施形態は、得られた水性分散体を、エマルジョン重合体ベースの薄膜形成性水性重合体分散体と合同で乾燥させ、水硬化した系内での風解現象が大幅に減少され、必要な場合にはそれが完全に防止される水中再分散可能な薄膜形成性分散体粉末を得る1つのプロセスである。さらに、該水性分散体は、必要とされる場合には、乾燥させられるべきその他の分散体、特に水硬化された化合物に疎水性を付与するための分散体に対して、例えばシラン、シランエステル、シロキサン、シリコーン、脂肪酸及び/又は脂肪酸エステルベースの分散体に対して添加することもでき、乾燥の後、水硬化された系内の風解現象を大幅に削減し必要とされる場合にはそれを完全に防止する、水中再分散可能な粉末の形の疎水化剤が得られる。これに関連して、乾燥すべき分散体を乾燥前に互いに混合し、それらを合同で噴霧及び乾燥させるか又はそれらを、2物質又は多重物質ノズルを介して別途同時に噴霧し、その後それらを互いに同時に乾燥させることが可能である。乾燥すべきその他の分散体が充分高い割合の水溶性有機重合体保護コロイドを含有しかくして遊離保護コロイドがなおも入手可能である場合には、有機成分を、乳化剤安定化された分散体のようなその他の分散体と合同で乾燥させることもできる。遊離保護コロイドに対する有機成分の重量比は、少なくとも95:5、好ましくは少なくともおよそ90:10でなくてはならない。しかしながら、水性重合体分散体の生産のため及び水中再分散可能な薄膜形成性分散体粉末の生産のために使用される水溶性有機重合体保護コロイドが同じく、モノカルボン酸及びジカルボン酸ならびにそれらの無水物の含有率が50モル%未満となるような形でも選択されれば有利である。尚、芳香族スルホン酸縮合物も同様にさほど好適でない。乾燥すべき2つの分散体の比率は、達成すべき効果と一致させて無作為に調整できる。かくして、合同で乾燥される粉末に基づいた本発明に従った分散体中の固体の割合は、およそ0.1〜99重量%、好ましくはおよそ1〜95重量%そして特におよそ5〜80重量%であり得る。
【0041】
得られる水中再分散可能な粉末は、標準的には高レベルの湿潤性及び水中再分散性を示す。理想的には、それは、水と単に接触しただけで、数秒以内に、又必要であれば軽く攪拌した結果として、再分散する。一部のケースでは、幾分かさらに強いせん断力が必要となる可能性もある。いずれにせよ、ドライモルタルのための通常実施される混合プロセスの間に発生するせん断力は、概して本発明に従った粉末を完全に再分散させるため、そして再分散されるべきマトリクス内に均質な分布を達成するために充分なものである。このプロセス中に、水性分散体の粒子サイズが乾燥に先立ち再度得られる。
【0042】
さらに、本発明は又、少なくとも1種の有機成分及び少なくとも1種の水溶性有機重合体保護コロイド、そして必要とされる場合にはその他の添加剤をベースとした水硬化された系中の風解現象を削減させるための、水硬化性系内での水中再分散可能な粉末の使用にも関する。有機成分は、完全に又は部分的に飽和させられ、かつおよそ−20℃〜250℃の融点及びおよそ100〜10,000の分子量を有する、環状基を伴う少なくとも1種の化合物を含有し、該有機成分はテルペノイド、樹脂酸、カラフォニー、テルペン樹脂、テルペン−フェノール樹脂及び/又はその誘導体であり、かつ水溶性有機重合体保護コロイドと共に水中で安定した分散体を形成する。水溶性有機重合体保護コロイドに対する有機成分の重量比は、およそ95:5〜5:95である。さらに、総量の1重量部の有機成分及び水溶性有機重合体保護コロイドに対して、0〜およそ1000重量部の、薄膜形成性分散体及び/又はさらなる添加剤をベースとした、少なくとも1種の水中再分散可能な薄膜形成性分散体粉末がこの中に含有される可能性がある。
【0043】
本発明はさらに、少なくとも1種の有機成分及び少なくとも1種の水溶性有機重合体保護コロイドそして必要とされる場合にはさらなる添加剤をベースとする水硬化されたにおける風解現象の削減を目的とする、水硬化性系内での上述のプロセスに従って生産された水性分散体の使用にも関する。総量の100重量部の有機成分及び水溶性有機重合体保護コロイドに対して、生産された水性分散体は、およそ5〜95重量部、好ましくはおよそ10〜90重量部、特におよそ20〜80重量部のカラフォニー、アビエチン酸、シルビン酸、ネオアビエチン酸、レボピナル酸、ピマル酸、イソピマル酸及び/又はパルストリン酸及び/又はそれらの誘導体をベースとし;およそ5〜95重量部、好ましくはおよそ10〜90重量部特におよそ20〜80重量部の少なくとも1種の水溶性有機重合体保護コロイド(尚、これは、好ましくは、およそ70〜100モル%、特におよそ80〜98モル%の加水分解度、及び(DIN53015に従って20℃で測定される)4%の水溶液としておよそ1〜50mPas、特におよそ3〜40mPasというホップラ粘度をもつ、少なくとも1種の改質及び/又は未改質ポリビニルアルコール及び/又はポリビニルピロリドンを表わす)及び/又はおよそ20〜90重量部好ましくはおよそ25〜90重量部の水溶性有機重合体保護コロイド(尚、これは、必要とされる場合には、合成的に改質されており、特にでんぷん、でんぷんエーテル、デキストリン、セルロースエーテル、カゼイン及び/又は大豆タンパク質である、少なくとも1種の天然及び/又は合成的に生産されたバイオポリマーを表わす)をベースとしている。さらに、総量の100重量部の有機成分及び水溶性有機重合体保護コロイドに対して、0〜およそ500重量部、好ましくは0〜約250重量部の少なくとも1種のシラン成分及び/又はシロキサン成分、ならびに0〜およそ10,000重量部、好ましくはおよそ0〜2000重量部の少なくとも薄膜形成性水性重合体分散体がそれぞれ含有され得る。水性分散体の固体の割合は、およそ10〜70重量%、特に25〜65%、好ましくはおよそ40〜55重量%の間であり、分散した粒子の平均粒子サイズはおよそ0.05〜50μm特におよそ0.1〜20μm、好ましくはおよそ1〜10μmの間であり、ブルックフィールド粘度は、およそ100〜50,000mPas、好ましくはおよそ250〜25,000mPas、そして特におよそ500〜10,000mPasとなる。
【0044】
発明性のある水中再分散可能な粉末及び乾燥していない水性分散体は、好ましくは、水硬化性化合物、特にコンクリート及びドライモルタル内で用いられる。かかるドライモルタル配合物は、本発明に従った粉末とは別に、特に少なくとも1種の水硬化性結合材及び標準的にさらなるモルタル配合物添加剤、例えば砂、ケイ酸塩及び/又は炭酸塩といった充填材、有機結合材例えばエマルジョン重合体及び/又はポリビニルアルコールベースの水中再分散可能な薄膜形成性分散体粉末、レオロジー制御添加剤例えば多糖エーテル、カゼイン、超可塑剤及び/又は増粘剤及び/又は水和制御添加剤例えば促進剤及び/又は遅延剤を含有する。水硬化性結合剤は、例えばEN196CEMI、II、III、IV及びVに従ったポートランドセメント、α−ヘミ水和物及び/又はβ−ヘミ水和物及び/又は無水物の形をした硫酸カルシウム、通常は水酸化カルシウム及び/又は酸化カルシウムの形をした高アルミナセメント及び/又は石灰である。ポートランドセメント、高アルミナセメント及び/又は硫酸カルシウムが好ましい。本発明に従った粉末の割合は、この場合、水硬化性結合剤に基づいて0.01〜25重量%、特に約0.1〜10重量%、そして好ましくは約0.2〜5重量%である。乾燥させられていない水性分散体が用いられる場合、それはそのままでかつ/又は液体重合体分散体と共に、及び/又は混合用水と合わせてか又は別々にその他の液体添加剤と共に、水硬化性配合物に添加可能である。
【0045】
塗布され乾燥されたモルタルが水と多少の差こそあれ規則的に接触し得る場合に好ましくは、本発明に従った粉末を含有するドライモルタルが使用される。例えば断熱モルタル、封止用コンパウンド、石こう及び/又は石灰及び/又はセメントプラスタ、吹き付け及び/又は補修モルタル、吹き付け及び/又は補修コンクリートならびに重合体セメントコンクリート(PCC)及び/又は重合体セメント吹き付けコンクリート(S−PCC)といった屋外での標準的利用分野以外に、これらは、タイルグラウト接着剤、合板モルタル、ボンド剤モルタル、セメント質寄木張り接着剤、セメントサイズ剤、タイル接着剤、レベリング及び/又はこて塗りコンパウンドから成る。さらに、本発明に従った粉末及び乾燥させられていない水性分散体は、コンクリート添加剤として及び/又はコンクリート上の保護コーティング用添加剤として使用可能である。
【0046】
この点に関して、本発明に従った粉末及び本発明に従った分散体が、風解現象を大幅に削減すること以外に、特に合成の安定化用系が利用される場合に、使用される数量で水硬化性系内においてレオロジー中性的に挙動することが非常に有利である。さらに、水硬化性系の硬化性挙動には全く又はわずかにしか影響が及ぼされない。モルタル及びコンクリートの優れた混合挙動、優れた湿潤性及び容易な作業性も又きわめて重要である。その上、数多くのケースにおいて疎水性も改善され、これは概して歓迎すべき付加的な効果である。
【0047】
その上、本発明に従った粉末、及び/又は記述されたプロセスに従って生産された水性分散体を、接着剤の中で使用することも同様に可能である。この場合、特に高い凝縮力が早期乾燥段階中といった早い時期に望まれる場合、粉末接着剤中でその粉末を使用することが特に有利である。
【0048】
本発明について以下の例を用いて説明する。
【実施例】
【0049】
A) 水性分散体及びび水中再分散可能な粉末の生産
例1:粉末1の生産
88モル%の加水分解度及び4mPasの4%溶液としてのホップラ粘度をもつ20%のポリビニルアルコール溶液100gを、プロペラ攪拌器を備えた500ml入りガラス容器中にて1000rpmで攪拌しながら85℃まで加熱した。その後20gの固体カラフォニー(Fluka)をゆっくりと添加し、カラフォニーを完全に分散させる。33重量%の固体含有率及び20rpmで10,000mPasの23℃でのブルックフィールド粘度及びプロセスパラメータを変えるだけで修正可能な9μmという分散体粒子の平均粒子サイズを有する安定した淡黄色分散体を得た。得られた分散体を、125℃の初期温度での従来の噴霧乾燥によりさらなる添加剤無しで乾燥させて、水中再分散性の黄味がかった自由流動粉末を形成させ、かくして、噴霧塔内には言及に値するいかなる汚染も見られなくなり、収量は正常範囲内にあった。
【0050】
例2:粉末2の生産
例1を反復したが、ここでは46.7gの固体カラフォニーを添加した。45重量%の固体割合及び20rpmで10,000mPasの23℃でのブルックフィールド粘度及びプロセスパラメータを変えるだけで修正可能な8μmという平均粒子サイズを有する安定した淡黄色分散体を得た。噴霧乾燥の後、水中再分散可能な自由流動粉末を得、かくして、噴霧塔内には言及に値するいかなる汚染も見られなくなり、収量は正常範囲内にあった。
【0051】
例3:粉末3の生産
100ml入り容器内で、攪拌しながら、25.0gの液体アルキルトリエトキシシラン中に、25.0gの固体カラフォニーを溶解させた。安定した低粘度で黄味がかった溶液を得た。溶液を、800ml入りガラス容器内で、4mPasという4%溶液としてのホップラ粘度及び88モル%の加水分解度をもつ20%のポリビニルアルコール溶液375gに、攪拌しながら室温でゆっくりと添加した。29重量%の固体割合をもつ淡黄色がかった懸濁液を得、これを0.1Nの苛性ソーダ溶液を用いて7というpHに調整し、その後例1中にある通りに、噴霧乾燥した。水中再分散可能な黄味がかった自由に流動する粉末を得、かくして、噴霧塔内には言及に値するいかなる汚染も見られなくなり、収量は正常範囲内にあった。
【0052】
例4:粉末4の生産
例1に従って生産された分散体28gを、51%の固体含有率及び−3℃というガラス遷移温度TgをもつEVA−分散体73gに添加し、その後、例1と同じように噴霧乾燥させた。水中で再分散する黄味がかった自由流動粉末が得られ、かくして、噴霧塔内には言及に値するいかなる汚染も見られなくなり、収量は正常範囲内にあった。
【0053】
比較例5:粉末5の生産
例1を反復したが、ここではカラフォニーの代りに20gの固体ステアリン酸(Fluka)をポリビニルアルコール溶液に添加した。33重量%の固体割合をもつ白色分散体を得、これをその後例1にある通りに乾燥させて水中で再分散可能な白色の自由流動粉末を形成させた。
【0054】
比較例6:粉末6の生産
例1を反復したが、ここではカラフォニーの代りに20gのカルナウバろう(Merck;およそ85%のろうエステルから成る)をポリビニルアルコール溶液に添加した。33重量%の固体割合をもつ淡黄色がかった分散体が得られ、これをその後例1にある通りに乾燥させて、水中再分散可能な淡黄色がかった自由流動粉末を形成させた。
【0055】
例7:粉末7の生産
プロペラ攪拌機付きの500ml入りガラス容器内で、1000rpmで攪拌しながら、30gの固体ポリビニルピロリドン(PVP−K90;Fluka)と90gの水を85℃まで加熱した。ポリビニルピロリドンが溶解した後、30gの固体カラフォニー(Fluka)をゆっくりと添加し、カラフォニーを完全に分散させる。40重量%の固体割合及び20rpmで10,000mPasの23℃でのブルックフィールド粘度及びプロセスパラメータを変えるだけで修正可能な3.7μmという平均粒子サイズを有する安定した淡黄色分散体を得た。得られた分散体を、125℃の初期温度での従来の噴霧乾燥によりさらなる添加剤無しで乾燥させて、水中で再分散する黄味がかった自由流動粉末を形成させ、かくして噴霧塔内には言及に値するいかなる汚染も見られなくなり、収量は正常範囲内にあった。
【0056】
例8:粉末8の生産
30重量%の固体割合をもち改質カラフォニーをベースとし、アニオン乳化剤で安定化された市販の水性分散体200gに対して、攪拌しながら、88モル%の加水分解度及び4mPasの4%溶液としてのホップラ粘度をもつ25%のポリビニルアルコール24gを添加した。29.5重量%の固体含有率をもつ安定した淡黄色がかった分散体を得た。得られた分散体を、125℃の初期温度での従来の噴霧乾燥によりさらなる添加剤無しで乾燥させて、水中で再分散可能な黄味がかった自由流動粉末を形成させ、かくして噴霧塔内には言及に値するいかなる汚染も見られなくなり、収量は正常範囲内にあった。
【0057】
例9:粉末9の生産
40.5重量%の固体割合をもつ酢酸ビニル/ビニルバーサテートをベースとするポリビニルアルコールで安定化された水性分散体150gに対して、30重量%の固体割合をもち改質カラフォニーをベースとし、両性乳化剤で安定化された市販の水溶液30g、及び88モル%という加水分解度及び4mPasという4%溶液としてのホップラ粘度をもつ25%のポリビニルアルコール溶液30gを添加した。消泡剤1.5gを、かくして得られた分散体に添加した。その後、25重量%の固体含有率まで、水で希釈した。かくして得られた分散体を、125℃の初期温度での従来の噴霧乾燥により乾燥して、水中再分散可能な淡黄色がかった自由流動粉末を形成させ、かくして、噴霧塔内には言及に値するいかなる汚染も見られなくなり、収量は正常範囲内にあった。
【0058】
例10:分散体1の生産
20gのテレピン油(Fluka)の中に10gのアビエチン酸(Fluka)を溶解させた。わずかに粘性がありわずかに不透明な溶液が得られた。88モル%の加水分解及び4mPasという4%溶液としてのホップラ粘度をもつ20%のポリビニルアルコール溶液150gに対し、室温で攪拌しながらゆっくりとこの溶液を加えた。33重量%の固体含有率をもつ安定した白色分散体が得られた。得られた分散体を直接モルタル混合物の中で使用した。
【0059】
比較例11:分散体2の生産
10gのアセトン中に10gのナフチル酢酸(Fluka)を溶解させた。88モル%の加水分解及び4mPasという4%溶液としてのホップラ粘度をもつ20%のポリビニルアルコール溶液50gに対し、室温で攪拌しながらゆっくりとこの溶液を加えた。43重量%の固体含有率をもつ安定した白色分散体が得られた。得られた分散体を直接モルタル混合物の中で使用した。
【0060】
B) 異なるセメント質コンパウンドを用いた技術的応用試験
応用例1
35.0部の白色ポートランドセメント、19.2部のケイ砂(0.08〜0.2mm)、41.0部の炭酸カルシウム Durcal 65、0.3部のセルロースエーテル(2%水溶液としての粘度:3200mPas)、2.0部の顔料 Bayferrox 110、及び1.0部の建築用石灰を撤底的に混合し、基本ドライモルタル配合物として使用した。これに対して、表1に示されている通りのさまざまな数量で異なる粉末を加えたが、これはさらなる特殊な混合プロセス無しで単純にモルタルマトリクスに攪拌することができた。各ケースにおいて、60秒間950rpmの速度で作動する60mmのプロペラ攪拌機を用いて、100部の乾燥配合物に対して32部の水で各々の配合物を混合し、攪拌しながら記載されている量の混合用水を加えた。3分間の熟成時間の後、手でモルタルを短時間再攪拌し、直前に水で飽和された厚み6cm×面積(196mm×50mm)の石器タイル上に鋸歯こてを用いて塗布した。各ケースにおいて2つの異なる試料を生産したが、ここでモルタルは2.2mの層厚(それぞれに1.0mm)でスペーサレールを用いて塗布されていた。
【0061】
供試体をその後直ちに、7℃まで冷却した気候室内で水の入ったコンテナに取りつけ、水を恒常な20℃に暖めた。コンテナは、供試体が水表面より少なくとも5cm上に横たわり45°という角度で傾斜を有するような形で設計された。供試体が網羅していない表面積をカバーし隔離して、蒸気が担体材料を通って供試体内へそして供試体を貫通して浸透するようにした。7日間貯蔵した後、表面を風解現象について光学的に査定した(目視及び顕微鏡)。
【0062】
表1:風解現象を査定するための厚み2.2mmの着色セメント質こて塗りコンパウンドを用いた技術的応用例
すべての供試体のケースにおいてモルタルの加工性は優れており、モルタルのコンシステンシーは、それぞれ基準に匹敵するものであった。
【0063】
【表1】

a) 「P」は粉末を、「D」は分散体を表わす。
b) 粉末の場合、使用量は、用いられた粉末の量に関するものであり、分散体の場合は、その分散体の固体含有率に関する。
c) Elotex Seal 80は、特殊なシラン及びポリビニルアルコールをベースとする再分散性疎水化剤である。
【0064】
結果は明らかに、全てのカラフォニー含有供試体が風解現象をきわめて強力に抑制したか、さらには風解現象を完全に削除し、かくして顕微鏡下でさえ全く風解現象を観察することができなかったということを示している。一方、基準供試体は、きわめて強い風解現象を示した。
【0065】
応用例2:
応用例1のものと類似した要領で生産した試料を7日間、23℃、相対湿度50%で貯蔵した。疎水性を査定するために、その後、表面から5滴の水滴(およそ0.2g)が消滅するまでに経過した時間を決定した。
【0066】
表2:疎水性を査定するための厚み2.2mmの層での着色セメント質こて塗りコンパウンドを用いた技術的応用例
【0067】
【表2】

a)、b)、c):表1を参照のこと。
【0068】
表2中のデータは、Elotex Seal 80の優れた疎水特性を示しているが、これは風解現象の削減を全く、又はわずかしか提供しない(その他の例を比較のこと)。一方、本発明に従った粉末は、風解現象の強力な削減以外に、漸増的割合での優れたモルタル疎水性も示す。しかしながら、疎水化剤として周知のものであるステアリン酸を含有する粉末5は、疎水性も風解現象の削減も示さない。
【0069】
応用例3
応用例1が反復され、層厚みは0.1mmに調整されている。
表3:風解現象を査定するための厚み0.1mmでの着色セメント質こて塗りコンパウンドを用いた技術的応用例
【0070】
【表3】

a)、b)、c):表1を参照のこと。
【0071】
結果は、本発明に従った粉末又は本発明に従った分散体が使用されるかぎりにおいて薄く塗布されたモルタル内でも風解現象の明らかな削減を示している。実験No.B−13における粉末4は、本発明に従った粉末を、例えばエマルジョン重合体ベースの水中再分散可能な薄膜形成性分散体粉末に対しても添加できるということを明らかに示している。
【0072】
応用例4
28.0部の白色ポートランドセメント、25.0部のケイ砂0.1〜0.3mm、8.0部の砂0.7〜1.2mm、35.0部の砂1.5〜2.2mm、0.05部のセルロースエーテル(2%水溶液としての粘度;15000mPas)及び2.0部の顔料Bayferrox 110を撤底的に混合し、基本ドライモルタル配合物として使用した。該配合物を、それぞれ乾燥配合100部に対して18部の水と混合し、応用例1と類似の要領でテストした。
【0073】
表4:風解現象を査定するため2.2mmの層厚みで装飾的着色下塗りを用いた技術的応用例
全供試体の場合においてモルタルの加工性は同等に優れており、モルタルコンシステンシーは各ケースにおいて基準に匹敵するものであった。
【0074】
【表4】

a)、b)、c):表1を参照のこと。
【0075】
列挙された結果は、風解現象の強い削減が装飾着色下塗りにおいても発生することを実証している。
【0076】
応用例5
40.0部の白色ポートランドセメント、3部のアルミン酸塩セメント、50部のケイ砂0.1〜0.3mm、2部のエマルジョン重合体ベースの水中再分散可能な疎水性薄膜形成性分散体粉末(Elotex WS 45)、1部のセルロース繊維、0.10部の酒石酸及び2.0部の顔料Bayferrox 110及び1.0部の建築用石灰を撤底的に混合し、基本的ドライモルタル配合物として使用した。各ケースにおいて100部の乾燥配合物に対して22部の水と配合物を混合し、応用例1と類似の要領でテストした。
【0077】
表5:風解現象を査定するため2.0mmの層厚みで目地モルタルを用いた技術的応用例 全供試体の場合においてモルタルの加工性は同等に優れており、モルタルコンシステンシーは各ケースにおいて基準に匹敵するものであった。
【0078】
【表5】

a)、b)、c):表1を参照のこと。
【0079】
列挙された結果は、風解現象の強い削減が目地モルタルにおいても発生することを実証している。
【0080】
応用例6:
32.0部の白色ポートランドセメント、1部のアルミン酸セメント、65.0部のケイ砂(0〜0.2mm)、0.35部の硫酸カルシウム、0.75部のエマルジョン重合体ベースの水中再分散可能な疎水性薄膜形成性分散体粉末(Elotex HD 1501)、0.25部のスルホン酸メラミンベースの超可塑剤、0.1部の粉末形態の消泡剤、0.5部の黒色酸化鉄及び0.05部のセルロースエーテル(2%水溶液としての粘度;4000mPas)を撤底的に混合し、基本的ドライモルタル配合物として使用した。各ケースにおいて100部の乾燥配合物に対して22部の水と配合物を混合し、応用例1と類似の要領でテストした。
【0081】
表5:風解現象を査定するため2.0mmの層厚みで目地モルタルを用いた技術的応用例 全供試体の場合においてモルタルの加工性は同等に優れており、モルタルコンシステンシーは各ケースにおいて基準に匹敵するものであった。
【0082】
【表6】

a)、b)、c):表1を参照のこと。
【0083】
列挙されている結果は、風解現象の強い削減さらにはその完全な防止が異なる目地モルタル内のみならず、多様な異なるモルタル内でも発生することを実証している。充分驚くべきことであるが、フレッシュモルタル内であれ硬化状態のものであれ、その他のモルタル特性に対し全く又はきわめてわずかな効果しかもたない、これらの添加剤の極めてわずかな割合のものしかこの目的で使用されていない。
【0084】
使用されたカラフォニーは危険な物質として分類されているが、ポリビニルアルコールによりカラフォニーをカプセル化することにより、危険可能性は削減される。その上、粉末は自由流動性があるため取扱い上ひき起こされる問題は通常基本的に少なく、その結果、搬送、計量及び混合は多大な努力なく実施でき、自動化されることも多い。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1種の有機成分及び少なくとも1種の水溶性有機重合体保護コロイドそして必要な場合にはさらなる添加剤をベースとする水硬化した系内での風解現象を削減するための水中再分散可能な粉末であって、
a) 該有機成分が環状基を伴う少なくとも1種の化合物を含有し、該化合物が完全に又は部分的に飽和されておりかつおよそ−20℃から250℃の融点及び約100〜10,000の分子量を有し、そして該有機成分がテルペノイド、樹脂酸、カラフォニー、テルペン樹脂、テルペン−フェノール樹脂及び/又はその誘導体を含んで成り、かつ
b) 該水溶性有機重合体保護コロイドと共に安定した水中分散体を形成し、該水溶性有機重合体保護コロイドが50モル%未満のモノカルボン酸及びジカルボン酸含有率を有し、かつ芳香族スルホン酸、縮合物で構成されておらず、
c) 該有機成分対該水溶性有機重合体保護コロイドの重量比が95:5〜5:95である、
ことを特徴とする粉末。
【請求項2】
前記有機成分の環状基が1環、2環、3環、4環及び/又は5環基であることを特徴とする、請求項1に記載の粉末。
【請求項3】
前記有機成分が天然生成物、特にモノテルペン、セスキテルペン、ジテルペン、セステルテルペン、トリテルペン、テトラテルペン、ポリテルペン及び/又はその誘導体であることを特徴とする請求項1又は2の少なくとも1つに記載の粉末。
【請求項4】
前記有機成分が、少なくとも1つのカルボキシル基、カルボニル基、アルデヒド基及び/又はアルコール基を伴う少なくとも1種の化合物を含有することを特徴とする請求項1〜3の少なくとも1項に記載の粉末。
【請求項5】
前記有機成分が、アビエチン酸、シルビン酸、ネオアビエチン酸、レボピナル酸、ピマル酸、イソピマル酸及び/又はパルストリン酸及び/又はそれらの誘導体を含有することを特徴とする請求項1〜4の少なくとも1項に記載の粉末。
【請求項6】
前記有機成分が、酸性又は中性水の中で不溶性又は難溶性を示すことを特徴とする請求項1〜5の少なくとも1項に記載の粉末。
【請求項7】
前記有機成分が、希苛性ソーダ溶液中に部分的に又は完全に可溶であることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の粉末。
【請求項8】
前記水溶性有機重合体保護コロイドが、特に、DIN53015に従って20℃で測定された場合に1〜50mPasという4%水溶液としてのホップラ(Hoppler)粘度及び70〜100モル%の加水分解度をもつ改質及び/又は未改質ポリビニルアルコール、及び/又はポリビニルピロリドンの形をした、合成保護コロイドを表わすことを特徴とする請求項1〜7の少なくとも1項に記載の粉末。
【請求項9】
前記水溶性有機重合体保護コロイドは、必要とされる場合には、合成的に改質されており、特にでんぷん、でんぷんエーテル、デキストリン、セルロースエーテル、カゼイン及び/又は大豆タンパク質である、天然及び/又は合成的に生成されたバイオポリマーを表わすことを特徴とする請求項1〜8の少なくとも1項に記載の粉末。
【請求項10】
前記有機成分が、水中で分散され、前記水溶性有機重合体保護コロイドで安定化され、そして得られた水性分散体がその後乾燥されることを特徴とする請求項1〜9の少なくとも1項に記載の水中再分散可能な粉末の生産用プロセス。
【請求項11】
前記水溶性有機重合体保護コロイドで安定化された前記有機成分の分散体の固体含有率がおよそ10〜75重量%、特におよそ25〜65重量%となり、そして分散した粒子の平均粒子サイズがおよそ0.05〜50μm、特におよそ0.1〜20μmとなることを特徴とする請求項10に記載のプロセス。
【請求項12】
分散の前、間又は後でさらなる液体及び/又は水溶性添加剤が、又、乾燥の間又は後に粉末形状のさらなる添加剤が添加されることを特徴とする請求項10及び/又は11に記載のプロセス。
【請求項13】
乾燥後、再分散可能な粉末を、水中再分散可能な薄膜形成性分散体粉末、特にシラン、シロキサン、シリコーン、脂肪酸及び/又は脂肪酸エステルをベースとする粉末形態の再分散性疎水化剤、及び/又は粉末形態の多糖エーテルと混合することを特徴とする請求項10〜12の少なくとも1項に記載のプロセス。
【請求項14】
得られた水性分散体を少なくとも1種のその他の分散体、特に薄膜形成性重合体及び/又はシラン、シランエステル、シロキサン、シリコーン、脂肪酸及び/又は脂肪酸エステルをベースとするものと合同で乾燥させ、関係する分散体を各々のケースにおいて乾燥前に互いに混合するか又は別々に噴霧しその後合同で乾燥させることを特徴とする請求項10〜13の少なくとも1項に記載のプロセス。
【請求項15】
水性分散体が乳化剤を用いて安定化され、前記の少なくとも1種のその他の分散体が水中に余剰の水溶性有機重合体保護コロイドを含有しているか、又はかかる余剰分がそれに添加されており、該水溶性有機重合体保護コロイドが50モル%未満というモノカルボン酸及びジカルボン酸及びその無水物の含有率を有し、芳香族スルホン酸縮合物で構成されていないことを特徴とする請求項14に記載のプロセス。
【請求項16】
請求項15に記載のプロセスに従って得ることのできる、水中再分散可能な粉末。
【請求項17】
水硬化された系内の風解現象を削減するための、水硬化性系内での請求項1〜9及び/又は16の少なくとも1項に記載の粉末の使用であって、該水硬化性系が、さらに少なくとも1種の水硬化性結合剤、そして必要な場合にはさらなるモルタル配合物添加剤、特に砂、ケイ酸塩及び/又は炭酸塩のような充填材、有機結合剤、特に水中再分散性の薄膜形成性分散体粉末及び/又はポリビニルアルコール、レオロジー制御添加剤、特に多糖エーテル、超可塑剤、増粘剤及び/又はカゼイン、水和制御添加剤、特に促進剤及び/又は遅延剤を含有するドライモルタル配合物である、使用。
【請求項18】
水硬化された系内の風解現象を削減するための、水硬化性系内での請求項1〜9及び/又は16のいずれか1項に記載の粉末の使用であって、該水硬化性系が、コンクリート、特に吹き付け及び/又は補修コンクリート、ポリマーセメントコンクリート(PCC)及び/又はポリマーセメント吹き付けコンクリート(S−PCC)、石こう及び/又は石灰及び/又はセメントプラスタ、補修モルタル、吹き付けモルタル及び/又は断熱モルタル、タイルグラウト接着剤及び/又はタイル接着剤、封止用コンパウンド、レベリング及び/又はこて塗りコンパウンドである使用、及び/又はコンクリート上の保護コーティングのための添加剤である、使用。
【請求項19】
少なくとも1種の有機成分及び少なくとも1種の水溶性有機重合体保護コロイド、そして必要とされる場合にはさらなる添加剤をベースとする水硬化された系内の風解現象を削減するための、水硬化性系内の水中再分散可能な粉末の使用であって、
a) 該有機成分が環状基を伴う少なくとも1種の化合物を含有し、該化合物が完全に又は部分的に飽和されており、かつおよそ−20℃から250℃の融点及び約100〜10,000の分子量を有し、該有機成分がテルペノイド、樹脂酸、カラフォニー、テルペン樹脂、テルペン−フェノール樹脂及び/又はそれらの誘導体であり、かつ
b) 該水溶性有機重合体保護コロイドと共に安定した水中分散体を形成し、
c) 該有機成分対該水溶性有機重合体保護コロイドの重量比が95:5〜5:95であり、
d) 総量の1重量部の該有機成分及び該水溶性有機重合体保護コロイドに対して0〜約1000重量部の、薄膜形成性分散体をベースとした少なくとも1種の水中再分散可能な薄膜形成性分散体粉末が含有されている、
ことを特徴とする使用。
【請求項20】
少なくとも1種の有機成分及び少なくとも1種の水溶性有機重合体保護コロイド、そして必要とされる場合にはさらなる添加剤をベースとする水硬化された系内の風解現象を削減するための、水硬化性系内の水性分散体の使用において、該水性分散体が、総量の100重量部の該有機成分及び該水溶性有機重合体保護コロイドに対して、
a) およそ5〜95重量部のカラフォニー、アビエチン酸、シルビン酸、ネオアビエチン酸、レボピナル酸、ピマル酸、イソピマル酸及び/又はパルストリン酸及び/又はそれらの誘導体;
b) およそ5〜95重量部の該水溶性有機重合体合成保護コロイド(なおこれは、好ましくは、約70〜100モル%の加水分解度、及び4%の水溶液としておよそ1〜50mPasというホップラ粘度をもつ、少なくとも1種の改質及び/又は未改質ポリビニルアルコール及び/又はポリビニルピロリドンを表わす)、及び/又は
c) およそ20〜95重量部の該水溶性有機重合体合成保護コロイド(なおこれは、必要とされる場合には合成的に改質されており、特にでんぷん、でんぷんエーテル、デキストリン、セルロースエーテル、カゼイン及び/又は大豆タンパク質である、少なくとも1種の天然及び/又は合成的に生産されたバイオポリマーを表わす)、及び
d) 0〜およそ500重量部の少なくとも1種のシラン及び/又はシロキサン成分、及び
e) 0〜およそ10,000重量部の少なくとも1種の薄膜形成性水性重合体分散体、
を含有し、固体の割合がおよそ10〜70重量%であり、平均粒子サイズがおよそ0.05〜50μmであり、DIN53019に従って23℃及び20rpmで測定されたブルックフィールド粘度がおよそ100及び50,000mPasとなることを特徴とする、使用。
【請求項21】
請求項1〜9及び/又は16の少なくとも1項に記載の粉末、及び/又は乾燥段階を省いて請求項10に記載のプロセスに従って生産された水性分散体の、接着剤における使用。

【公表番号】特表2009−510200(P2009−510200A)
【公表日】平成21年3月12日(2009.3.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−532640(P2008−532640)
【出願日】平成18年9月21日(2006.9.21)
【国際出願番号】PCT/EP2006/009191
【国際公開番号】WO2007/036324
【国際公開日】平成19年4月5日(2007.4.5)
【出願人】(508092738)エロテクス アクチェンゲゼルシャフト (1)
【Fターム(参考)】