説明

水中捨石基礎均し用重錘

【課題】 土砂などが詰まることによって、ウエイト収容部から調整用ウエイトを取り出す作業の作業性が低下する問題を解決し、しかも構造が単純な水中捨石基礎均し用重錘を提供することである。
【解決手段】 重錘ヘッド本体14の外周に、重量を調整するための調整用ウエイト15を出し入れ自在にするために上面を解放したウエイト収容部23を設けた水中捨石基礎均し用重錘1において、上記ウエイト収容部23は略直方体にするとともに、上記ウエイト収容部23の側面には、ウエイト収容部23内を外部に開放する一または複数の開口部24を備えた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、自由落下させた重錘によって、水底の捨石を計画高さに均すための水中捨石基礎均し装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、クレーン船で吊り下げた重錘を繰り返し落下させて、水中に基礎を形成する水中捨石基礎均し装置が知られている。
このような水中捨石基礎均し装置は、例えば、図6に示すように、重錘ヘッド2と、この重錘ヘッド2を下端に固定したパイプ状の支持体3とからなる重錘1の上端に、ワイヤー4を取り付けるための吊り具5を備えている。そして、この吊り具5に固定したワイヤー4を、クレーン船Cのブーム先端に設けた滑車6を介して船上の巻き上げドラムDに連結している。
なお、図6中の符号7はブーム起伏ワイヤーであり、このブーム起伏ワイヤー7を図示しないドラムに巻き取ったり、繰り出したりして、クレーン船Cのブームの角度を調整している。
【0003】
そして、上記ドラムDを図示しないモータなどの駆動機構に連係し、この駆動機構によってワイヤー4を巻き取って重錘1を吊り上げてから、巻き上げ力を解除して重錘1を自由落下させる。この重錘1が自由落下したときの衝撃力で捨石8を均すようにしている(特許文献1参照)。なお、上記捨石8は、水底地盤9上に予め投下しておく。
上記重錘1を自由落下させて均す基礎が、目的高さである均し計画高さhや目的の大きさになるように、水底を均す過程で、水面10から上に出ている重錘1の高さや位置に基づいて均し面の位置を検出するようにしている(特許文献2参照)。
また、上記支持体3は、複数の筒部材3aによって構成され、均すべき基礎の水深によってこの筒部材3aを着脱してその全長を調整する。
【0004】
このような水中捨石基礎均し装置では、使用する重錘1の重量を大きくすれば、均し作業を短時間で終えることができるが、実際に使用できる重錘1の重量の限界は、重錘1を吊り上げるクレーン船Cの吊り能力で決まってしまう。効率的な均し作業を行なうためには、クレーン船Cの吊り能力の範囲でできるだけ重い重錘1を使用することが必要である。
また、重錘1の重量は、重錘ヘッド2と支持体3との合計重量となる。水深によって支持体3の長さを調整した場合には、重錘1の重量が変わってしまう。そこで、水深に合わせて支持体3の長さを変更した場合には、重錘ヘッド2の重量を調整して、全重量をクレーン船Cの吊り能力に合わせなければならない。
上記のように、重錘1の重量を調整しなければならいときに、重錘ヘッド2の重量調整を容易にできるものとして、例えば特許文献3、4に示すものがあった。
【0005】
この種の重錘は、図7に示すように、重錘ヘッド2の底板11上に上記支持体3と連結する筒部材3bの先端を固定するとともに、この筒部材3bの周囲に所定の間隔を保って囲む鋼板製の枠体12を備えている。そして、この枠体12内には、コンクリートや砂鉄などの重量物13を充填してヘッド本体14を構成している。
さらに、このヘッド本体14の外周には、板状の調整用ウエイト15を収容するためのウエイトケース16を設けている。このウエイトケース16は、四方を鋼板で囲まれ、底面を上記底板11で閉じた直方体状のケースである。
【0006】
また、このウエイトケース16への調整用ウエイト15の出し入れを容易にするため、上記ウエイトケース16の上面は蓋などを設けずに解放し、この上面から板状の調整用ウエイト15を出し入れする。そして、ウエイトケース16に入れる調整用ウエイト15の枚数によって重錘ヘッド2の重量を調整し、結果として重錘1の全重量を調整するようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特許第3295809号公報
【特許文献2】特許第3225485号公報
【特許文献3】実公平05−013777号公報
【特許文献4】特開2000−096569号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上記従来の水中捨石基礎均し装置では、ウエイトケース16に必要枚数の調整用ウエイト15を入れて重量を調整した重錘1を上記クレーン船Cで吊り上げてから、自由落下させて水底の捨石8を均すことを繰り返す。この基礎均し工程中に、重錘1の衝突による衝撃や水流によって巻き上げられた水底の土砂や小石が、上記ウエイトケース16の上面の開口からケース内部に入り込んでしまう。
このような土砂などは、ウエイトケース16の壁面と調整用ウエイト15との間だけでなく、板状の調整用ウエイト15間などあらゆる隙間に入り込む。さらに、基礎均し工程で重錘1の吊り上げと落下とを繰り返すうちに、土砂などは上記ウエイトケース16内でどんどん押し固められて、その結果、ウエイトケース16内の隙間には、土砂などが押し固められた状態で固く詰め込まれることになる。
【0009】
上記ウエイトケース16内に土砂などが固く詰め込まれると、調整用ウエイト15が動かなくなって、ウエイトケース16から調整用ウエイト15を取り出し難くなる。そのため、重錘1の重量を調整する必要が生じたとき、その調整作業の作業性が悪いという問題があった。
さらに、基礎均し作業が終了したら、上記ウエイトケース16を空にして、重錘ヘッド2と支持体3とを分解して運搬することが多いが、ウエイトケース16から調整用ウエイト15を取り出す作業に手間取れば、重錘1の分解作業も時間がかかってしまう。
【0010】
また、ウエイトケース16に土砂などが入り込むことが問題だからといって、ウエイトケース16を密閉するのでは、その密閉のための構造が複雑になったり、密閉用の蓋部材などの着脱に手間がかかってしまったりすることになる。
この発明の目的は、重錘ヘッドの重量調整作業が簡単で作業性が良く、しかも構造が単純な水中捨石基礎均し用重錘を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
第1の発明は、重錘ヘッド本体の外周に、重量を調整するための調整用ウエイトを出し入れ自在にするために上面を解放したウエイト収容部を設けた水中捨石基礎均し用重錘において、上記ウエイト収容部は略直方体にするとともに、上記ウエイト収容部の側面には、ウエイト収容部内を外部に開放する一または複数の開口部を備えたことを特徴とする。
【0012】
第2の発明は、上記ウエイト収容部の底面に、上記開口部の一部を連続させて設け、上記底面の一部あるいは全部が外部に開放する構成にしたことを特徴とする。
なお、上記ウエイト収容部の底面に、上記開口部の一部を連続させて設けるということは、底面と連続する部分において、底面と外部との間には、上記底面から立ち上がる部材がないということである。
【0013】
第3の発明は、上記ウエイト収容部の底面と直交する辺に、上記開口部の一部を連続させて設け、上記ウエイト収容部の側面の一部を外部に開放する構成にしたことを特徴とする。
なお、上記ウエイト収容部の底面と直交する辺に、上記開口部の一部を連続させて設けるということは、上記辺に連続する部分において、上記辺に接続する側面と外部との間には、上記側面から立ち上がる部材がないということである。
【0014】
第4の発明は、第2の発明を前提とし、上記ウエイト収容部の内周面には、上記ウエイト収容部に収容した調整用ウエイトの下端と上記ウエイト収容部の底面との間に、上記開口部に開放する隙間を形成するための突部を形成したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
第1〜第4の発明では、調整用ウエイトを挿入するウエイト収容部の側面に、外部に開放した開口部を備えているので、ウエイト収容部内に入った土砂などが、この開口部から水流とともに外部へ排出される。従って、ウエイト収容部内に土砂が溜まり難い。ウエイト収容部内に土砂などが溜まり難くなれば、重錘の落下によって土砂などが押し固められることもなく、調整用ウエイトを、ウエイト収容部から取り出しやすく、重量調整が作業性良くできる。
【0016】
第2発明によれば、土砂などが特に溜まりやすいウエイト収容部の底面の少なくとも一部が、外部に開放されるので、土砂などがより排出しやすくなる。
第3の発明によれば、開口部が、ウエイト収容部に収容した板状の調整用ウエイトの幅方向両端付近に位置することになり、上記調整用ウエイトの板面に沿った水流が幅方向端部から外部へ流出しやすくなる。このような流れは、調整用ウエイトの板面間に入り込んだ土砂などを効率的に外部へ排出することができる。
【0017】
第4の発明では、ウエイト収容部内に収容した調整用ウエイトの下端と底面との間に隙間ができ、その隙間が底面に連続する開口部に開放されるため、例えば、上面から入り込んだ土砂などを底面に停滞させることなく、より効率的に外部に排出できる。
【0018】
また、この第4の発明によれば、仮に、ウエイト収容部内に土砂が固く詰まってしまった場合にも、外部から上記開口部を介して調整用ウエイトの下端と底面との間の隙間にジャッキなどの工具を挿入することができる。このように、調整用ウエイトの下端に工具を挿入できれば、調整用ウエイト同士の間や、ウエイト収容部の側面との間に土砂などが固く詰まって調整用ウエイトが動きにくくなっていたとしても、工具によって上記調整用ウエイトを動かすことができる。
工具によって、調整用ウエイトが一枚でも動けば、間に詰まって固まった土砂を崩すこともできるし、一枚の調整用ウエイトを外に出すことができれば、その分の隙間が形成され、他の調整用ウエイトも簡単に取り出すことができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】図1はこの発明の第1実施形態の重錘ヘッドの斜視図である。
【図2】図2は図1のII-II線断面図である。
【図3】図3は図1のIII-III線断面図で、調整用ウエイトを収容した状態を示している。
【図4】図4は第1実施形態のウエイト収容部にウエイトを収容した状態の正面図である。
【図5】図5は第2実施形態の重錘ヘッドの正面図である。
【図6】図6は一般的な水中捨石基礎均し装置の全体構成を示す図である。
【図7】図7は従来例の重錘ヘッドの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
図1〜図4は、この発明の第1実施形態の重錘ヘッド20を示すものである。
この第1実施形態の重錘ヘッド20は、図7に示す従来の重錘ヘッド2に相当するものである。そして、鋼管からなる複数の筒部材3aを連結した支持体3の先端に固定し、また、図6に示すように、支持体3をクレーン船Cで吊り上げて使用する点も、従来と同じである。
この第1実施形態の重錘ヘッド20につて、上記従来例と同じ構成要素には、図7と同じ符号を用いることとし、以下には従来例と異なる点を中心に説明する。
【0021】
この第1実施形態の重錘ヘッド20は、図1〜3に示すように鋼板製の底板11上に固定した筒部材3b、枠体12及び重量物13によってヘッド本体14を構成している。
また、上記底板11上には、上記ヘッド本体14の四隅に沿って角型鋼からなる4本の支柱21を起立させ、これらを溶接によって上記底板11に固定している。これら4本の支柱21の内部にも、砂鉄やコンクリートなどからなる重量物13を充填している。
【0022】
さらに、支柱21の外方を囲む4枚の正面板部材22を固定し、上記ヘッド本体14の周囲に4個のウエイト収容部23を構成している。各ウエイト収容部23は、全て同じ構成であり、上記ヘッド本体14の外側面12aと、一対の支柱21の対向する側面21b,21bと、上記正面板部材22及びその連続平面と、底板11とで囲まれた略直方体である。そして、上記底板11の上面をウエイト収容部23の底面11aとする。
【0023】
なお、図1,2では、上記ウエイト収容部23内が空の状態を示しているが、図3は各ウエイト収容部23内に調整用ウエイト15を収容した状態を示し、図4はウエイトを収容した状態の正面図である。
また、図1,2において符号27は、上記底板11に固定した筒部材3bを図6に示す支持体3に連結するためのフランジである。
【0024】
また、この第1実施形態では、上記正面板部材22が底板11に接触せず、上記底面11aとの間に開口部24を形成している。
なお、上記ウエイト収容部23が、上記正面板部材22だけでなくその連続平面に囲まれているとは、ウエイト収容部23が上記開口部24に対応した部分も含んだ略直方体の空間であることを意味する。そして、上記底面11aに直交する側面21b,21b、枠体の外側面12a、及び上記正面板部材22とその連続平面が、上記ウエイト収容部23の側面である。
【0025】
また、上記ウエイト収容部23は、調整用ウエイト15を複数枚、立てて収容できる寸法を備えている。そして、その幅方向は、収容した調整用ウエイト15の端部との間に隙間を保つ大きさとし、上下方向は、収容した調整用ウエイト15の上端側においてクレーンなどの吊り下げ治具を連結する連結部分を上面開口23aより突出させる寸法にしている。
【0026】
このように構成した重錘ヘッド20は、ウエイト収容部23の上面開口23aから鋼板製の調整用ウエイト15を出し入れすることによって、その重量を調整可能にしている点は上記従来例と同じである。
但し、この第1実施形態の重錘ヘッド20は、ウエイト収容部23の側面である上記正面板部材22の下端と上記底面11aとの間に、上開口部24を備えている点が特徴である。
この開口部24は重錘ヘッド20を水中に落下させて捨石を均す工程中に、上記上面開口23aからウエイト収容部23内に入り込んだ土砂などを排出する水流、すなわち図2に示す矢印に沿った水流を形成するためのものである。
【0027】
また、底板11の底面11aには、所定の間隔を保って上面を円弧に沿った曲面にした一対の凸部25,25を形成している。この凸部25,25は、ウエイト収容部23に収容した調整用ウエイト15の下端を支持するものである。これにより、図4に示すように調整用ウエイト15の下端と底面11aとの間に隙間26が形成されるようにしている。
【0028】
上記のように、この第1実施形態の重錘ヘッド20には、ウエイト収容部23の下方に底面11aに連続する開口部24を形成したので、基礎均し工程中にウエイト収容部23に土砂などが溜まり難くなっている。ウエイト収容部23に土砂などが溜まり難ければ、ウエイト収容部23内で土砂などが固まって調整用ウエイト15を固定してしまうことがない。そのため、基礎均し工程終了後に、ウエイト収容部23に収容した調整用ウエイト15を容易に取り出すことができ、調整用ウエイト15を取り出す作業の作業性が向上する。
特に、上記開口部24が、この発明のウエイト収容部の底面11aに連続し、外部との境に立ち上がる部材がないので、上方から入り込んだ土砂などが底面11aに沿って外部へ排出されやすく、底面11a上に堆積することを防止できる。
【0029】
また、上記開口部24は、ウエイト収容部23の全幅にわたって形成されている。つまり、この開口部24は支柱21に連続する開口である。このように、開口部24が支柱21に連続していれば、ウエイト収容部23内に収容した調整用ウエイト15の表面に沿って、幅方向両端から外部へ流れる水流ができやすくなる。そのため、例えば、複数の調整用ウエイト15間に入り込んだ土砂などをより排出しやすいという効果がある。
なお、この第1実施形態では、上記正面板部材22側における支柱21の辺21aが、この発明の底面11aと直交する辺であり、支柱21の側面21bが、上記辺21aに一部を連続させた開口24によって外部に開放される側面である。
【0030】
さらに、この第1実施形態の重錘ヘッド20では、底面11aに形成した凸部25によって、収容した調整用ウエイト15の下端と底面11aとの間に隙間26を形成する。そのため、仮に調整用ウエイト15とウエイト収容部23の側面との間や、調整用ウエイト15間に土砂が入り込んで固められたとしても、上記隙間にジャッキなどの工具を挿入して、調整用ウエイト15を動かすことができる。
土砂が押し固められたとしても、上記隙間26にジャッキなどの工具を挿入できれば、調整用ウエイト15を動かして、取り出しやすくすることができる。
このように、調整用ウエイト15の取り出しが容易になれば、重量調整の作業性が向上し、クレーン船Cの吊り能力に応じた重量の重錘1を使用できるようになる。
【0031】
また、この第1実施形態では、上記開口部24を、支柱21の高さの四分の一程度の高さを有する開口としているが、開口の大きさはこれに限らない。土砂などを排出しやすくするためには、上記開口部24は大きくした方が有利である。しかし、調整用ウエイト15を収容した状態で自由落下させたときの衝撃で正面板部材22が外れてしまうことがないようにするためには、支柱21との接続範囲を大きくした方が有利である。
また、開口が大きすぎれば、調整用ウエイト15がウエイト収容部23から脱落してしまう可能性もある。
従って、開口部24の大きさは、調整用ウエイト15の保持、強度、土砂などの排出効率を考慮して決めるようにする。
【0032】
また、上記第1実施形態では、上記開口部24は、ウエイト収容部23の下方であって、底面11a及び辺21aと連続する位置に形成し、内部に土砂などがより溜まり難いようにしているが、ウエイト収容部23の内部を外部に開放できれば、開口部24を形成する位置はこの第1実施形態に限定されない。
【0033】
さらに、底面11aに、一対の凸部25を形成しているが、この凸部25は必須の構成要素ではない。
第1実施形態では、上記凸部25の上面を円弧に沿った曲面として、その上に土砂などが溜まり難いようにしているが、その形状はこの実施形態に限らない。
ウエイト収容部23内に収容した調整用ウエイト15と底面11aとの間に隙間を形成できれば、上記凸部はどのような形状でも構わないし、それを設ける位置もどこでも構わない。例えば、上記凸部25は、底面11aの代わりに、上記枠体12の外側面12aや側面21bなど、ウエイト収容部23内のどこに設けてもよい。但し、凸部25によって、土砂などを排出する水の流れが妨げられるような形状や設置個所は好ましくない。
【0034】
図5は、第2実施形態の重錘ヘッド30の正面図である。
なお、上記第1実施形態の重錘ヘッド20と同じ構成要素については、上記第1実施形態で用いたものと同じ符号を用い、各構成要素についての説明は省略するものとする。
この実施形態の重錘ヘッド30は、第1実施形態の正面板部材22に代えて3本の棒部材28a,28b,28cを用いたものである。これら棒部材28a,28b,28cを、所定の間隔を保って一対の支柱21,21間に渡して固定し、ウエイト収容部23を構成している。これにより、底面11aと棒部材28aとの間、棒部材28aと28bとの間、棒部材28bと28cとの間のそれぞれには、開口部24a、開口部24b、開口部24cがそれぞれ形成される。
【0035】
このように、重錘ヘッド30には、ウエイト収容部23の側面に、ウエイト収容部23の内部を外部に開放する3つの開口部24a,24b,24cが形成されている。これらの開口部24a,24b,24cによって、ウエイト収容部23内に土砂などが溜まり難くしている。
また、底面11aには上記第1実施形態と同様に、凸部25を形成し、収容した調整用ウエイト15の下端と底面11aとの間に隙間26を形成するようにしている。
そのため、例えば複数枚の調整用ウエイト15を収容し、これら調整用ウエイト15間に土砂が詰まって調整用ウエイト15が動きにくくなったとしても、上記隙間16に工具を挿入して調整用ウエイト15を動かすことができる。
従って、この第2実施形態の重錘ヘッド30を用いた水中捨石基礎均し用重錘を利用すれば、クレーン船Cの吊り能力に合わせて、重錘1の重量を作業性良く調整することができる。
【0036】
なお、第2実施形態においても、底面11aに設けた凸部25は、ウエイト収容部23の内周面であれば、底面11a以外に設けてもよいし、省略してもよい。また、凸部25の形状はどのようなものでもよい。
そして、この第2実施形態のように、ウエイト収容部23の外側面を、棒部材28a,28b,28cのような複数の部材で構成すれば、一つの側面に開口部を複数設けることができ、ウエイト収容部23内の土砂などをより排出しやすくすることができる。
そして、上記棒部材28a、28b、28cの太さや本数などは、強度を維持できる範囲で調整すればよい。
【0037】
また、上記したように、ウエイト収容部23から土砂などを排出するために、ウエイト収容部23内を外部に開放する開口部は、上記第1、第2実施形態に限らず、どのように形成してもよい。
例えば、上記第1実施形態の正面板部材22に代えて、全面に多数の連通孔を備えた多孔パネルや、メッシュ状の部材を用いることもできる。
さらに、調整用ウエイト15の脱落を防止できれば、側面のほとんどを開口部としてもよい。
【0038】
さらにまた、ウエイト収容部23は、上記ヘッド本体14の周囲に設けられれば良く、その形成方法は上記実施形態に限定されない。例えば、鋼板によって個別に形成した直方体の部材を、上記底板11上に固定してウエイト収容部としてしてもよいし、上記支柱21も必須ではない。
また、上記第1、第2実施形態では、ヘッド本体14の四方を囲む4つのウエイト収容部23を設けているため、各ウエイト収容部23に収容する調整用ウエイト15の枚数を等しくして重錘1のバランスをとることができる。
【0039】
さらに、上記ウエイト収容部23には板状の調整用ウエイト15を立てて収容するとともに、その出し入れも、調整用ウエイトを立てた状態で行なうようにしている。
このように、調整用ウエイト15を立てた状態で収容するため、ウエイト収容部23の底面積が限られるとともに、上部開口23aは、複数枚の調整用ウエイト15の厚み分に少しの余裕を持たせた大きさで足りる。
このように、調整用ウエイト15を立てて収容することによって、上部開口23aを最小限にできるとともに、重錘1が上下に移動する際に調整ウエイト15に作用する水の抵抗も平面上に載置する場合と比べて小さくなるので、ウエイト収容部23から調整用ウエイト15が飛び出してしまうことを防止できる。
【0040】
以上のように、上記第1、第2実施形態の重錘ヘッド20,30ならば、クレーン船Cの吊り能力に合わせた重錘1の重量調整を、作業性良く行なうことができる。このように、重錘1の重量調整が容易であれば、使用するクレーン船Cごとにその吊り能力いっぱいに重量を調整することが容易である。そして、重錘1の重量を大きくすれば、その分、基礎均し作業が短時間でできるようになる。つまり、重量調整が容易になることにより、水中捨石基礎均し工事全体の作業効率も向上することになる。
【産業上の利用可能性】
【0041】
この発明の重錘は、水中捨石基礎均し工事の作業効率を向上させることができる。
【符号の説明】
【0042】
1 重錘
11 底板
11a 底面
14 ヘッド本体
15 調整用ウエイト
20 重錘ヘッド
21 支柱
21a (底面と直交する)辺
21b 側面
22 正面板部材
23 ウエイト収容部
23a 上面開口
24 開口部
24a〜24c 開口部
25 凸部
26 隙間
28a〜28c 棒部材
30 重錘ヘッド

【特許請求の範囲】
【請求項1】
重錘ヘッド本体の外周に、重量を調整するための調整用ウエイトを出し入れ自在にするために上面を解放したウエイト収容部を設けた水中捨石基礎均し用重錘において、上記ウエイト収容部は略直方体にするとともに、上記ウエイト収容部の側面には、ウエイト収容部内を外部に開放する一または複数の開口部を備えた水中捨石基礎均し用重錘。
【請求項2】
上記ウエイト収容部の底面に、上記開口部の一部を連続させて設け、上記底面の一部あるいは全部が外部に開放する構成にした請求項1に記載の水中捨石基礎均し用重錘。
【請求項3】
上記ウエイト収容部の底面と直交する辺に、上記開口部の一部を連続させて設け、上記ウエイト収容部の側面の一部を外部に開放する構成にした請求項1または2に記載の水中基礎均し用重錘。
【請求項4】
上記ウエイト収容部の内周面には、上記ウエイト収容部に収容した調整用ウエイトの下端と上記ウエイト収容部の底面との間に、上記開口部に開放する隙間を形成するための突部を形成した請求項2に記載の水中捨石基礎均し用重錘。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2013−67972(P2013−67972A)
【公開日】平成25年4月18日(2013.4.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−206180(P2011−206180)
【出願日】平成23年9月21日(2011.9.21)
【特許番号】特許第4932051号(P4932051)
【特許公報発行日】平成24年5月16日(2012.5.16)
【出願人】(000173164)
【Fターム(参考)】