説明

水中構造物の据付装置

【課題】水中構造物を的確に誘導して据え付けることができる水中構造物の据付装置を提供する。
【解決手段】自動追尾機能を有する複数のトータルステーション2A,2B,2Cと、据付すべき据付ケーソン1の空中部分にトータルステーション2A,2B,2Cに対応して設けられた反射体3A,3B,3Cと、前記複数のトータルステーション2A,2B,2Cが対応する反射体3A,3B,3Cを視準して得られた反射体3A,3B,3Cの位置からケーソン1の位置を算出するコンピュータ4と、水中に配置されケーソン1の下部を撮像する水中カメラ11と、コンピュータ4により算出した据付ケーソン1の位置と、水中カメラ11により撮像した画像とを表示する表示手段5とを備えるから、ケーソン1の姿勢と水中における目地間隔を同時に確認しながら据付を行うことができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ケーソンなどの水中構造物の据付装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の水中構造物としてケーソンが知られており、例えば、座標値が既知の地点に反射ターゲットとともに設置され、複数の衛星から発信された電波を受信する第1GPS受信機と、前記第1GPS受信機と接続され、当該第1GPS受信機で受信した衛星信号情報を送出する送信機と、座標値を測定する未知点に、少なくとも測定の開始時にトータルステーションとともに設置され、複数の衛星から発信された電波を前記第1GPS受信機と同時刻に受信する第2GPS受信機と、前記送信機から送出される前記衛星信号情報を受信する受信機と、前記第2GPS受信機と前記受信機と接続され、測定開始時に、前記トータルステーションにより測定した前記反射ターゲットと前記第2GPS受信機との間の距離測定値から、測定開始未知点の座標値を求めるとともに、測定開始以後の未知点座標値を前記第1および第2GPS受信機の衛星信号情報に基づいて求める演算処理装置とを有する位置測定装置(例えば特許文献1)が提案され、また、据付すべきケーソン上に設けた排水、注水ポンプと、引き寄せウィンチと、ケーソン内の水位センサと、GPS移動局と、上記排水・注水ポンプと引き寄せウィンチの運転状況信号と、水位センサ及びGPS移動局のデータを母船に送り、母船から排水・注水ポンプと引き寄せウィンチの発停信号を受け取るデータ伝送装置及び無線伝送装置と、遠隔地の基準局に設けたGPS基準局と、GPS基準局から上記ケーソン上に設けたGPS移動局へ補正情報を送るための補正情報送信機及び補正情報受信機とより成るケーソン据付装置(例えば特許文献2)が提案されている。
【0003】
上記特許文献1では、GPSを用いて作業船上の未知点を測定することができ、また、上記特許文献2では、GPSを用いてケーソン上のGPS移動局の位置を測定することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平8−29192号公報
【特許文献2】特開2004−238914号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記特許文献1及び2の技術を水中構造物の据付に用いることにより、据え付けるべき水中構造物の位置を測定することができる。このように水中構造物上部の空中部分の位置は正確に測定することができるが、ケーソンなどの高さ寸法の大きな構造物では、傾斜角と上部の空中部分の位置から下部の位置を求めても、測定誤差などにより水中部分の正確な位置を確認することは難しい。また、水中構造物の傾斜角の値はモニターなどにより確認できるが、傾斜角から水中構造物の下端と既設構造物とのクリアランスを瞬時に把握することは困難である。
【0006】
特に、この種の水中構造物は波の影響を受け易く、ケーソンは高さ寸法も大であるため、僅かない傾きでも、既設の構造物と接触する虞があり、据付には細心の注意を要する。
【0007】
そこで、本発明は上記した問題点に鑑み、水中構造物を的確に誘導して据え付けることができる水中構造物の据付装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1に係る発明は、自動追尾機能を有する複数のトータルステーションと、据付すべき水中構造物の空中部分に前記トータルステーションに対応して設けられた反射体と、前記複数のトータルステーションが対応する前記反射体を視準して得られた前記反射体の位置から前記水中構造物の位置を算出する解析手段と、水中に配置され前記水中構造物の下部を撮像する水中カメラと、前記解析手段により算出した水中構造物の位置と、前記水中カメラにより撮像した画像とを表示する表示手段と、を備えることを特徴とする。
【0009】
また、請求項2に係る発明は、3台の前記トータルステーションを備えることを特徴とする。
【0010】
また、請求項3に係る発明は、前記水中構造物の据付位置の両側に前記水中カメラを配置したことを特徴とする。
【0011】
また、請求項4に係る発明は、前記水中構造物又は据付位置の近傍に目盛りを設けたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
請求項1の構成によれば、水中構造物の姿勢と水中における目地間隔を同時に確認しながら据付を行うことができ、水中構造物を的確に誘導して据え付けることができる。
【0013】
また、請求項2の構成によれば、3台のトータルステーションを使用することにより、水中構造物のピッチング・ローリングを算出することができ、そのための傾斜計などの他計器とのリンクが不要となる。
【0014】
また、請求項3の構成によれば、目地間隔を両側から確認して据付を行うことができる。
【0015】
また、請求項4の構成によれば、目盛りにより位置及び目地間隔を確認しながら据付を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の実施例1を示す全体平面図である。
【図2】同上、全体側面図である。
【図3】同上、斜視図である。
【図4】同上、目地周りの側面図である。
【図5】同上、ディスプレーの表示を示す図である。
【図6】同上、ディスプレーの要部の拡大図である。
【図7】本発明の実施例2を示す全体平面図である。
【図8】同上、全体側面図である。
【図9】本発明の実施例3を示す全体平面図である。
【図10】同上、全体側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明における好適な実施の形態について、添付図面を参照しながら詳細に説明する。なお、以下に説明する実施の形態は、特許請求の範囲に記載された本発明の内容を限定するものではない。また、以下に説明される構成の全てが、本発明の必須要件であるとは限らない。各実施例では、従来とは異なる水中構造物の据付装置を採用することにより、従来にない水中構造物の据付装置が得られ、その水中構造物の据付装置を夫々記述する。
【実施例1】
【0018】
以下、本発明の水中構造物の据付装置を添付図面を参照して説明する。図1〜図5は、本発明の実施例1を示し、同図に示すように、水中構造物である据付ケーソン1は、既設水中構造物である既設防波堤1Aに沿って海底のマウンド上に据え付けられ、この防波堤1Aの上面には、複数(3台)のトータルステーション2A,2B,2Cが配置され、これらトータルステーション2A,2B,2Cに対応して、前記据付ケーソン1の上面には複数(3個)の反射体3A,3B,3Cが配置されている。
【0019】
前記トータルステーション2A,2B,2Cは、発光部と受光部とを備え、レーザ光線L(図1参照)を対応する反射体3A,3B,3Cに向けて照射させ、その反射光を受光して、光の位相差から反射体3A,3B,3Cまで距離を自動測量する。そして、トータルステーション2A,2B,2Cは、周知技術である自動追尾機能を有しており、反射体3A,3B,3Cは誘導用の赤外線発光器を備え、赤外線でトータルステーション2A,2B,2Cを誘導し、トータルステーション2A,2B,2Cが対応する反射体3A,3B,3Cをそれぞれ自動追尾し、据付ケーソン1の移動に追従させることでリアルタイムに視準することができる。尚、3個の反射体3A,3B,3Cは、平面上に一直線に並ばないように配置されている。
【0020】
3台のトータルステーション2A,2B,2Cでは、対応する反射体3A,3B,3Cに対して3方向からそれぞれ視準し、刻々と変化する反射体3A,3B,3Cの位置座標、或いはそれぞれのトータルステーション2A,2B,2Cからそれぞれの反射体3A,3B,3Cまでの方位角と鉛直角および距離情報を得て、それらの情報を所定時間毎に有線或いは無線でコンピュータ4に送信する。このコンピュータ4では、トータルステーション2A,2B,2Cにより得られた情報から据付ケーソン1の各種の情報を表示手段5のディスプレー6に表示する。
【0021】
前記据付ケーソン1を据え付ける海中には、該据付ケーソン1の下部を撮像する水中カメラ11が配置されている。この水中カメラ11にはハロゲンランプなどからなる投光部が設けられており、前記投光部により水中の据付ケーソン1の下部を投光して撮像することができる。
【0022】
この例では、既設防波堤1Aの下部には根固めブロック12が設けられており、このカメラ設置場所たる根固めブロック12の張出し部分上に架台13を設け、この架台13上に前記水中カメラ11を固定し、既設防波堤1Aと据付ケーソン1の一部を含み、既設防波堤1Aと据付ケーソン1との境目(目地M)を撮像するようにしている。また、水中カメラ11は目地Mを挟んだ左右両側にそれぞれ配置されている。また、前記既設防波堤1A又は据付ケーソン1には、その境目近傍で、前記水中カメラが撮像する範囲内に、縦方向及び横方向の目盛り14を付設する。図4に示すように、目盛り14は同一長さの例えば赤と白の異なる色の一目盛り14R,14Wが交互に塗り分けて形成されており、縦方向の目盛り14を基準としてケーソン1と防波堤1Aの高低差を視覚的に確認することができ、横方向の目盛り14を基準として、ケーソン1と防波堤1Aの目地間隔を視覚的に確認することができる。
【0023】
また、コンピュータ4は、トータルステーション2A,2B,2Cからの情報により、平面位置情報と、左右位置情報と、前後位置情報などを表示手段5のディスプレー6に表示する。また、コンピュータ4は、据付ケーソン1の基準点などをディスプレーに表示する。この場合、3台のトータルステーション2A,2B,2Cを用いることにより、据付ケーソン1のピッチング・ローリングを算出することができ、そのための傾斜計などの他計器とのリンクが不要となる。
【0024】
具体的に、図5に示すように、前記表示手段5のディスプレー6は、数値表示部21と、平面表示部22と、左右表示部23と、前後表示部24と、水中カメラ11の画像表示部25,26とを備える。尚、以下の表示制御は前記トータルステーション2A,2B,2Cからの情報に基づき、コンピュータ4が演算処理してディスプレー6に表示し、数値表示部21と、平面表示部22と、左右表示部23と、前後表示部24は、1秒間に複数回書き換えられる。
【0025】
前記平面表示部22には、予め据付ケーソン1の平面据付位置を表示する基準平面輪郭31が固定表示され、この基準平面輪郭31は破線などにより表示され、前記基準平面輪郭31に対して、実際のケーソン1の位置を示す作業平面輪郭32が表示される。また、作業平面輪郭32の任意の複数点を実際の据付位置と対比して表示する対比表示部を備え、この例では、平面方形の据付ケーソン1に対して、前左,前右,後左,後右の角部33A,33B,33C,33Dに対して対比表示部34A,34B,34C,34Dが設けられている。そして、前左角部33Aに対応する対比表示部34Aは、据付位置の前左角部位置座標(X,Y,Z)と現在位置の前左角部位置座標(X´,Y´,Z´)とを対比し、そのX軸方向及びY軸方向の差(X−X´,Y−Y´)の絶対値を数値35X,35Yで表示し、X軸方向及びY軸方向においてそれぞれ現在位置を据付位置に近づける方向の矢印36X,36Yを表示し、これら矢印36X,36Yに沿って前記差の絶対値の数値35X,35Yを表示している。そして、ケーソン1の各角部33A,33B,33C,33Dに対応して平面表示部22の角部にそれぞれ対比表示部34A,34B,34C,34Dを設けている。尚、前後左右の角部33A,33B,33C,33Dの座標は、ケーソン1の同一高さに位置し、例えば、ケーソン1の上面位置や下面位置などに設定されている。さらに、平面表示部22の上部中央には、現在位置の据付ケーソン1を据付位置と平行にするために据付ケーソン1を平面において角度回動する角度37と回動する向きを示す矢印38とが表示されている。
【0026】
したがって、図6では、例えば、前左角部33Aに対応する対比表示部34Aに示すように、X軸方向の矢印36Xに示す方向(図中で下方向)に前左角部33Aを0.495m移動し、Y軸方向の矢印36Yに示す方向(図左で下方向)に前左角部33Aを0.114m移動すると、前左角部33Aが据付位置の前右角部位置座標(X,Y)に位置合わせできることが分かる。
【0027】
また、左右表示部23には、予め据付ケーソン1の左右据付位置を表示する基準左右輪郭41が固定表示され、この基準左右輪郭41に対して、実際の位置を示す作業左右輪郭42が表示される。また、作業左右輪郭42の任意の複数点を実際の据付位置と対比して表示する対比表示部を備え、この例では、据付ケーソン1の上左,上右の角部33A,33Bに対して対比表示部44L,44Rが設けられている。具体的には、前左角部33Aに対応する対比表示部44Lであれば、据付位置の前左角部位置座標(X,Y,Z)と現在位置の上左角部位置座標(X´,Y´,Z´)とを対比し、そのZ軸方向においてる差(Z−Z´)の絶対値を数値45Zで表示し、Z軸方向においてそれぞれ現在位置を据付位置に近づける方向の矢印46Zを表示し、この矢印46Zに沿って前記差の絶対値の数値45Zを表示している。そして、ケーソン1の上左,上右の角部33A,33Bに対応して左右表示部23の上側の左右角部にそれぞれ対比表示部44L,44Rを設けている。また、左右表示部23の上部中央には、現在位置の据付ケーソン1を据付位置と平行にするために据付ケーソン1を左右において角度回動する角度47と回動する向きを示す矢印48とが表示されている。
【0028】
尚、据付ケーソン1の下左,下右の角部33A´,33B´に対して対比表示部44L´,44R´が設けられている。
【0029】
したがって、図5では、例えば、対比表示部44Lに表示されたZ軸方向の矢印46Zに示す方向(図中で下方向)に上左角部33Aを1.390m移動し、Y軸方向の矢印36Yに示す方向(図左で左方向)に上左角部33Aを0.114m移動すると、前左角部33Aが据付位置の前右角部位置座標(Y,Z)に位置合わせできることが分かる。
【0030】
さらに、前後表示部24には、予め据付ケーソン1の前後据付位置を表示する基準前後輪郭51が固定表示され、この基準前後輪郭51に対して、実際の位置を示す作業前後輪郭52が表示される。また、作業前後輪郭52の任意の複数点を実際の据付位置と対比して表示する対比表示部54F,54Bを備え、この例では、据付ケーソン1の前上,後上基準位置53F,53Bに対応して対比表示部54F,54Bが設けられている。具体的には、前上基準点53Fに対応する対比表示部54Fは、据付位置の前上基準点位置座標と現在位置の前上基準点位置座標とを対比し、その差の絶対値を数値55Zで表示し、Z軸方向においてそれぞれ現在位置を据付位置に近づける方向の矢印56Zを表示し、この矢印56Zに沿って前記差の絶対値の数値55Zを表示している。そして、ケーソン1の前上,後下基準位置53F,53Bに対応して前後表示部24の角部にそれぞれ対比表示部54F,54Bを設けている。また、前後表示部24の上部中央には、現在位置の据付ケーソン1を据付位置と平行にするために据付ケーソン1を前後において角度回動する角度57と回動する向きを示す矢印58とが表示されている。
【0031】
尚、据付ケーソン1の前下,後下基準位置53F´,53B´に対応して対比表示部54F´,54B´が設けられている。
【0032】
また、平面表示部22と、左右表示部23と、前後表示部24の各対比表示部34A,34B,34C,34D,44L,44R,54F,54Bなどが同時あるいは選択して前記数値表示部21に表示されている。
【0033】
さらに、前記ディスプレイ6の画像表示部25,26には、上下に前記両側の水中カメラ11,11の画像がそれぞれ表示されている。それら画像表示部25,26の画像により、水中におけるケイソン1,1Aと目盛り14と周囲の状況を視認することができ、それらケーソン1,1A下部の実際の姿勢を視覚的に確認できると共に、水中における目地間隔も確認できる。この場合、波の影響でケーソン1が揺動しても、数値によるデータと異なり、画像によりその動きを確認しながらケーソン1を適切に誘導することができる。
【0034】
図1及び図4に示すように、既設防波堤1Aと据付ケーソン1との間に引寄せワイヤ61を配置し、一対の引寄せワイヤ61,61が既設防波堤1Aと据付ケーソン1との間に交差方向に配置され、前記引寄せワイヤ61には該ワイヤ61を巻き取り及び繰り出し可能なウインチ(図示せず)が設けられている。また、図1及び図2中、62は据付ケーソンを曳航する起重機船である。
【0035】
そして、定法により該ケーソン1内への注水などによりケーソン1を沈設しながら、前記引寄せワイヤ61,61を操作して位置及び姿勢を制御し、据付位置に着底する。この際、監督者はディスプレー6の表示情報により作業指示を出し、ケーソン1の姿勢や位置を制御することができ、ディスプレー6には数値による情報以外に画像表示部25,26において水中カメラ11による実際の水中の状況を視認でき、波の影響でケーソン1が揺動する場合でも、数値と異なり直感的にケーソン1の姿勢及び位置を制御することができる。実際、波のある状況では、表示される数値は小刻みに変わるのに対して、下部の画像により確実な誘導を行うことができる。
【0036】
このように本実施例では、請求項1に対応して、自動追尾機能を有する複数のトータルステーション2A,2B,2Cと、据付すべき水中構造物たる据付ケーソン1の空中部分にトータルステーション2A,2B,2Cに対応して設けられた反射体3A,3B,3Cと、前記複数のトータルステーション2A,2B,2Cが対応する反射体3A,3B,3Cを視準して得られた反射体3A,3B,3Cの位置からケーソン1の位置を算出する解析手段たるコンピュータ4と、水中に配置されケーソン1の下部を撮像する水中カメラ11と、コンピュータ4により算出した据付ケーソン1の位置と、水中カメラ11により撮像した画像とを表示する表示手段5とを備えるから、ケーソン1の姿勢と水中における目地間隔を同時に確認しながら据付を行うことができ、ケーソン1を的確に誘導して据え付けることができる。
【0037】
また、このように本実施例では、請求項2に対応して、3台のトータルステーション2A,2B,2Cを備えるから、3台のトータルステーション2A,2B,2Cを使用することにより、ケーソン1のピッチング・ローリングを算出することができ、そのための傾斜計などの他計器とのリンクが不要となる。
【0038】
また、このように本実施例では、請求項3に対応して、水中構造物たるケーソン1の据付位置の両側に水中カメラ11,11を配置したから、目地間隔を両側から確認して据付を行うことができる。
【0039】
また、このように本実施例では、請求項4に対応して、水中構造物たるケーソン1の下部又は据付位置の近傍に目盛り14を設けたから、目盛り14により位置及び目地間隔を確認しながら据付を行うことができる。
【0040】
また、実施例上の効果として、前記既設防波堤1A又は据付ケーソン1には、その境目近傍で、前記水中カメラが撮像する範囲内に、縦方向又は/及び横方向の目盛り14を付設したから、縦方向の目盛り14を基準としてケーソン1と防波堤1Aの高低差を視覚的に確認することができ、横方向の目盛り14を基準として、ケーソン1と防波堤1Aの目地間隔を視覚的に確認することができる。また、対比表示部34A,34B,34C,34Dなどは、据付位置の基準点たる例えば前左角部位置座標(X,Y,Z)と現在位置の基準点たる例えば前左角部位置座標とを対比しし、据付位置に誘導する方向にXYZ方向の矢印を表示すると共に矢印と共に移動すべき数値を記載したから、矢印の方向に数値に対応した移動量だけ移動するように据え付けることにより据付作業を簡便に行うことができる。
【実施例2】
【0041】
以下、本発明の実施例2を添付図面を参照して説明する。尚、上記実施例1と同一部分には同一符号を付し、その説明を省略する。
【0042】
図7及び図8は既設ケーソン1B,1Bの間に据付ケーソン1を据え付ける例を示し、一方の既設ケーソン1Bにトータルステーション2A,2B,2Cを配置し、また、両側の目地M,Mにそれぞれ2台の水中カメラ11を配置し、これら水中カメラは海底のマウンド上に配置されている。
【0043】
また、前記ディスプレー6には、4台の水中カメラ11の画像が表示され、水中の据付ケーソ1の下部を視認しながらその据付を行うことができ、上記実施例1と同様な作用・効果を奏する。
【実施例3】
【0044】
以下、本発明の実施例3を添付図面を参照して説明する。尚、上記各実施例と同一部分には同一符号を付し、その説明を省略する。
【0045】
図9及び図10は据付ケーソン1を単独で海底のマウンドに据え付ける例を示し、ケーソン1の隣合う2つの角部に対応してマウンドに目印71,71を立設する。また、1つの角部に対して水中カメラ11,11を2台配置し、2台の水中カメラ11,11は前記角部を交差方向から撮影するように配置されている。
【0046】
そして、ディスプレー6には4台の水中カメラ11,11,11,11の画面が表示され、交差方向に配置した水中カメラ11,11により据付ケーソン1の所定位置の前後左右の位置を据付位置に合わせなら沈設して据え付けることができ、上記実施例1と同様な作用・効果を奏する。
【0047】
また、この例では、鉄筋などの目印71を海底に設けたから、目印71を基準にして据付ケーソン1の据付位置を確認することができる。
【0048】
尚、本発明は、本実施例に限定されるものではなく、本発明の要旨の範囲内で種々の変形実施が可能である。例えば、実施例では、ケーソンを例に説明したが、沈埋函など各種の水中構造物の据付に本発明を用いることができる。
【符号の説明】
【0049】
1 据付ケーソン(水中構造物)
1A 既設の防波堤
2 トータルステーション
3 反射体
4 コンピュータ(解析手段)
5 表示手段
6 ディスプレー
11 水中カメラ
M 目地

【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動追尾機能を有する複数のトータルステーションと、
据付すべき水中構造物の空中部分に前記トータルステーションに対応して設けられた反射体と、
前記複数のトータルステーションが対応する前記反射体を視準して得られた前記反射体の位置から前記水中構造物の位置を算出する解析手段と、
水中に配置され前記水中構造物の下部を撮像する水中カメラと、
前記解析手段により算出した水中構造物の位置と、前記水中カメラにより撮像した画像とを表示する表示手段と、
を備えることを特徴とする水中構造物の据付装置。
【請求項2】
3台の前記トータルステーションを備えることを特徴とする請求項1記載の水中構造物の据付装置。
【請求項3】
前記水中構造物の据付位置の両側に前記水中カメラを配置したことを特徴とする請求項2記載の水中構造物の据付装置。
【請求項4】
前記水中構造物又は据付位置の近傍に目盛りを設けたことを特徴とする請求項3記載の水中構造物の据付装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−188836(P2012−188836A)
【公開日】平成24年10月4日(2012.10.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−52207(P2011−52207)
【出願日】平成23年3月9日(2011.3.9)
【出願人】(000155034)株式会社本間組 (15)
【出願人】(599098127)株式会社ソーキ (28)