説明

水中油保湿皮膚外用剤

【課題】 環境ストレスに対抗しうる保護機能を有する皮膚外用剤を提供する。
【解決手段】 1)部分的に変性されていても良い架橋型メチルポリシロキサンを含有する水中乳化剤形の皮膚外用剤であって、2)多価アルコール15〜35質量%と、3)水20〜35質量%とを、皮膚外用剤に含有させる。前記部分的に変性されていても良い架橋型メチルポリシロキサンとしては、架橋型メチルポリシロキサン、架橋型フェニルメチルポリシロキサン及びポリエーテル変性メチルポリシロキサンから選択されるものが好ましく、前記部分的に変性されていても良い架橋型メチルポリシロキサンの含有量は、1〜10質量%であることが好ましい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は皮膚外用剤に関し、更に詳細には、環境ストレスに対抗しうる保護機能を有する化粧料に好適な皮膚外用剤に関する。
【背景技術】
【0002】
現代は過剰なストレスの時代と言われており、景気の低迷などの社会状況の影響もあり、過剰に負荷されたストレスから自殺する人の数は、既に交通事故で死亡する人の数を上回っている。この様な過負荷ストレスは、肌の状態にも影響を及ぼすことが知られており、かかる皮膚機能の損失を、ストレスを緩和することにより改善するための種々の有効成分が開発されている。(例えば、特許文献1、特許文献2、特許文献3、特許文献4、特許文献5を参照)しかしながら、この様な成分のみでは、実際に損なわれた機能が回復するまでは、皮膚の状態は損傷されたままの状態であり、刺激による炎症反応を起こしやすく、これが改悪原因ともなるので、その効果を奏するまでにかなりの時間が必要であった。その意味、前記の対処では十分とは言い難い面が存した。
【0003】
一方、架橋型メチルポリシロキサンやその部分変性体は、化粧料などの皮膚外用剤において化粧持ちを向上させたり、有効成分の吸収を高める作用が存することが知られている。(例えば、特許文献6、特許文献7、特許文献8を参照)しかしながら、1)部分的に変性されていても良い架橋型メチルポリシロキサンを含有する水中乳化剤形の皮膚外用剤であって、2)多価アルコール15〜35質量%と、3)水20〜35質量%を含有する構成の皮膚外用剤は全く知られていないし、この様な構成を取ることにより、優れた、皮膚の油性成分による閉塞保湿を発揮し、以て、環境ストレスに対抗しうる保護機能を有するようになることも全く知られていなかった。
【0004】
【特許文献1】特開2004−339113号公報
【特許文献2】特開2004−238297号公報
【特許文献3】特開2004−75619号公報
【特許文献4】特開2004−51637号公報
【特許文献5】特開2003−81868号公報
【特許文献6】特開2005−200353号公報
【特許文献7】特開2004−339106号公報
【特許文献8】特開2002−284624号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、この様な状況下為されたものであり、環境ストレスに対抗しうる保護機能を有する皮膚外用剤を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この様な状況に鑑みて、本発明者らは、環境ストレスに対抗しうる保護機能を有する皮膚外用剤を求めて、鋭意研究努力を重ねた結果、1)部分的に変性されていても良い架橋型メチルポリシロキサンを含有する水中乳化剤形の皮膚外用剤であって、2)多価アルコール15〜35質量%と、3)水20〜35質量%を含有する構成の皮膚外用剤がその様な特性を有していることを見出し、発明を完成させるに至った。即ち、本発明は以下に示すとおりである。
(1)1)部分的に変性されていても良い架橋型メチルポリシロキサンを含有する水中乳化剤形の皮膚外用剤であって、2)多価アルコール15〜35質量%と、3)水20〜35質量%を含有する皮膚外用剤。
(2)前記部分的に変性されていても良い架橋型メチルポリシロキサンが、架橋型メチルポリシロキサン、架橋型フェニルメチルポリシロキサン及びポリエーテル変性メチルポリシロキサンから選択されるものであることを特徴とする、(1)に記載の皮膚外用剤。
(3)前記部分的に変性されていても良い架橋型メチルポリシロキサンの含有量が、1〜10質量%であることを特徴とする、(1)又は(2)に記載の皮膚外用剤。
(4)前記多価アルコールのうちに、グリセリンを18〜25質量%含有することを特徴とする(1)〜(3)何れか1項に記載の皮膚外用剤。
(5)更に、ワセリンを2〜5質量%含有することを特徴とする、(1)〜(4)何れか1項に記載の皮膚外用剤。
(6)製造後20℃に恒温にした場合の硬度が、35〜45g(8mmφのアタッチメントを使用し、荷重を100gとした場合)の針入硬度値であることを特徴とする、(1)〜(5)何れか1項に記載の皮膚外用剤。
(7)皮膚の油性成分による閉塞保湿用の化粧料であることを特徴とする、(1)〜(6)何れか1項に記載の皮膚外用剤。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、環境ストレスに対抗しうる保護機能を有する皮膚外用剤を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
(1)本発明の皮膚外用剤の必須成分である架橋型メチルポリシロキサン
本発明の皮膚外用剤は、部分的に変性されていても良い架橋型メチルポリシロキサンを含有することを特徴とする。ここで、架橋型とは、シリコーン鎖とシリコーン鎖とを炭素−炭素結合でつなぐような橋かけ構造を意味し、具体的にはジメチルジメトキシシランやジメチルジクロロシランなどを重合させてシリコーン鎖を構築する際に、ジメチルメトキシビニルシランやクロロジメチルビニルシランなどを共存させて共重合を行い、しかる後にビニル基同志を重合させて架橋構造を構築させて製造されたものなどが好適に例示できる。又、変性基による変性は、ジメチルジメトキシシランやジメチルジクロロシランなどのメトキシ基乃至はメチル基の1つをポリオキシエチレン基、フェニル基、アミノ基などの変性基で置換したものを重合の際共存させ、共重合することにより導入できる。この様な部分的に変性されていても良い架橋型メチルポリシロキサンの具体例としては、例えば、架橋型メチルポリシロキサン((ジメチコン/ビニルジメチコン)クロスポリマー)、架橋型メチルフェニルポリシロキサン((フェニルメチコン/ビニルジメチコン)クロスポリマー)、架橋型ポリエーテル変性メチルポリシロキサン((ポリエーテル変性メチコン/ジメチコン/ビニルジメチコン)クロスポリマー)などが例示できる。これらは何れも化粧料原料であり、既に市販されているものも存する。かかる市販品を購入して利用することも出来る。好ましい市販品としては、信越シリコーン株式会社製の「シリコーンKSG−16」(架橋型メチルポリシロキサンの20%ジメチコン溶液)と「シリコーンKSG−21」(架橋型ポリエーテル変性メチルポリシロキサン)とが例示できる。本発明の皮膚外用剤において、かかる成分は、製剤化において水中油乳化剤形の架橋構造で内相構造を強化し、内相の安定性を増強させ、以て、乳化に必要な界面活性剤の量を減量し、塗布時の化粧膜の、界面活性剤に由来する水分の透過構造の形成を抑制し、閉塞保湿効果を高める作用を有する。この様な作用を発現するためには、前記部分的に変性されていても良い架橋型メチルポリシロキサンは唯一種を含有することも出来るし、二種以上を組み合わせて含有することも出来る。その含有量としては、1〜10質量%が好ましく、2〜5質量%が特に好ましい。
【0009】
(2)本発明の皮膚外用剤の必須成分である多価アルコール
本発明の皮膚外用剤は、多価アルコールを総量で皮膚外用剤全量に対して、15〜35質量%、より好ましくは20〜30質量%含有することを特徴とする。前記多価アルコールとしては、化粧料など皮膚外用剤で使用されているものであれば特段の限定無く使用することが出来、例えば、1,3−ブタンジオール、グリセリン、ジプロピレングリコール、ジグリセリン、ポリエチレングリコール、イソプレングリコール、1,2−ペンタンジオール、1,2−ヘキサンジオール、1,2−オクタンジオール、ネオペンチルグリコール等が好適に例示できる。これららは唯一種を含有することも出来るし、二種以上を組み合わせて含有させることも出来る。かかる成分は、この配合量の範囲において、水中油乳化剤形の外相の安定性を向上せしめ、乳化状態を界面活性剤の総量が4.5質量%以下の低量であっても、安定化する作用を有する。この為に、前記の如くに優れた閉塞保湿効果を具現化できる。特に好ましい形態は、かかる多価アルコールの中に、グリセリンを18〜25質量%、より好ましくは19〜23質量%含有する形態である。この様な形態を取ることにより、閉塞効果に加えて、化粧膜に保湿効果を付与でき、以て、優れた閉塞保湿性を具現化出来るためである。
【0010】
(3)本発明の皮膚外用剤の必須成分である水
本発明の皮膚外用剤は、必須成分として水を20〜35質量%、より好ましくは23〜30質量%含有することを特徴とする。水は水中油乳化剤形を構成するのに必須であり、且つ、水分量が多くなりすぎると閉塞保湿効果を損なったり、乳化のための界面活性剤の量を増やす必要が生じたりするために、必要最小限に抑える必要が存し、その範囲が前記含有量の範囲である。
【0011】
(4)本発明の皮膚外用剤
本発明の皮膚外用剤は、前記必須成分を含有し、水中油乳化剤形であることを特徴とする。水中油乳化剤形であることにより、閉塞保湿効果を具現化するとともに、水分のリザーバー層を表皮組織中に構築することが出来る。これにより、すぐれた環境ストレスに対抗しうる保護機能を角層に付与できる。油中水乳化剤形などでは閉塞保湿効果は具現化できても、水分リザーバー層が形成しにくい為、皮膚の保湿作用は向上しても、環境ストレスによる皮膚機能の損失には対応できない。この意味で、水中油乳化剤形であることを要する。又、前記必須成分の組合せにより、外相と内相とを強化した形で4.5質量%以下の低い含有量の界面活性剤量で乳化することにより、硬度は高いが粘度の低い、固体特性の強い乳化物が得られ、該固体特性の強い水中油乳化物は、固形化した水のような性質を有する。この為、皮膚からの水分の揮散を水のブロックの形でくい止めることが出来る。この様な物性の特性値としては、製造後20℃に恒温にした場合の硬度が、35〜45g(8mmφのアタッチメントを使用し、荷重を100gとした場合)の針入硬度値であることが好ましく例示できる。
【0012】
本発明の皮膚外用剤は、前記の必須成分以外に通常化粧料などの皮膚外用剤で使用される任意成分を含有することが出来る。この様な任意成分としては、例えば、マカデミアナッツ油、アボガド油、トウモロコシ油、オリーブ油、ナタネ油、ゴマ油、ヒマシ油、サフラワー油、綿実油、ホホバ油、ヤシ油、パーム油、液状ラノリン、硬化ヤシ油、硬化油、モクロウ、硬化ヒマシ油、ミツロウ、キャンデリラロウ、カルナウバロウ、イボタロウ、ラノリン、還元ラノリン、硬質ラノリン、ホホバロウ等のオイル、ワックス類;流動パラフィン、スクワラン、プリスタン、オゾケライト、パラフィン、セレシン、ワセリン、マイクロクリスタリンワックス等の炭化水素類;オレイン酸、イソステアリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘン酸、ウンデシレン酸等の高級脂肪酸類;セチルアルコール、ステアリルアルコール、イソステアリルアルコール、ベヘニルアルコール、オクチルドデカノール、ミリスチルアルコール、セトステアリルアルコール等の高級アルコール等;イソオクタン酸セチル、ミリスチン酸イソプロピル、イソステアリン酸ヘキシルデシル、アジピン酸ジイソプロピル、セバチン酸ジ−2−エチルヘキシル、乳酸セチル、リンゴ酸ジイソステアリル、ジ−2−エチルヘキサン酸エチレングリコール、ジカプリン酸ネオペンチルグリコール、ジ−2−ヘプチルウンデカン酸グリセリン、トリ−2−エチルヘキサン酸グリセリン、トリ−2−エチルヘキサン酸トリメチロールプロパン、トリイソステアリン酸トリメチロールプロパン、テトラ−2−エチルヘキサン酸ペンタンエリトリット等の合成エステル油類;ジメチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、ジフェニルポリシロキサン等の鎖状ポリシロキサン;オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、ドデカメチルシクロヘキサンシロキサン等の環状ポリシロキサン;アミノ変性ポリシロキサン、ポリエーテル変性ポリシロキサン、アルキル変性ポリシロキサン、フッ素変性ポリシロキサン等の変性ポリシロキサン等の架橋構造を有さないシリコーン油等の油剤類;脂肪酸セッケン(ラウリン酸ナトリウム、パルミチン酸ナトリウム等)、ラウリル硫酸カリウム、アルキル硫酸トリエタノールアミンエーテル等のアニオン界面活性剤類;塩化ステアリルトリメチルアンモニウム、塩化ベンザルコニウム、ラウリルアミンオキサイド等のカチオン界面活性剤類;イミダゾリン系両性界面活性剤(2−ココイル−2−イミダゾリニウムヒドロキサイド−1−カルボキシエチロキシ2ナトリウム塩等)、ベタイン系界面活性剤(アルキルベタイン、アミドベタイン、スルホベタイン等)、アシルメチルタウリン等の両性界面活性剤類;ソルビタン脂肪酸エステル類(ソルビタンモノステアレート、セスキオレイン酸ソルビタン等)、グリセリン脂肪酸類(モノステアリン酸グリセリン等)、プロピレングリコール脂肪酸エステル類(モノステアリン酸プロピレングリコール等)、硬化ヒマシ油誘導体、グリセリンアルキルエーテル、POEソルビタン脂肪酸エステル類(POEソルビタンモノオレエート、モノステアリン酸ポリオキエチレンソルビタン等)、POEソルビット脂肪酸エステル類(POE−ソルビットモノラウレート等)、POEグリセリン脂肪酸エステル類(POE−グリセリンモノイソステアレート等)、POE脂肪酸エステル類(ポリエチレングリコールモノオレート、POEジステアレート等)、POEアルキルエーテル類(POE2−オクチルドデシルエーテル等)、POEアルキルフェニルエーテル類(POEノニルフェニルエーテル等)、プルロニック型類、POE・POPアルキルエーテル類(POE・POP2−デシルテトラデシルエーテル等)、テトロニック類、POEヒマシ油・硬化ヒマシ油誘導体(POEヒマシ油、POE硬化ヒマシ油等)、ショ糖脂肪酸エステル、アルキルグルコシド等の非イオン界面活性剤類;ピロリドンカルボン酸ナトリウム、乳酸、乳酸ナトリウム等の保湿成分類;表面を処理されていても良い、マイカ、タルク、カオリン、合成雲母、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、無水ケイ酸(シリカ)、酸化アルミニウム、硫酸バリウム等の粉体類、;表面を処理されていても良い、ベンガラ、黄酸化鉄、黒酸化鉄、酸化コバルト、群青、紺青、酸化チタン、酸化亜鉛の無機顔料類;表面を処理されていても良い、雲母チタン、魚燐箔、オキシ塩化ビスマス等のパール剤類;レーキ化されていても良い赤色202号、赤色228号、赤色226号、黄色4号、青色404号、黄色5号、赤色505号、赤色230号、赤色223号、橙色201号、赤色213号、黄色204号、黄色203号、青色1号、緑色201号、紫色201号、赤色204号等の有機色素類;ポリエチレン末、ポリメタクリル酸メチル、ナイロン粉末、オルガノポリシロキサンエラストマー等の有機粉体類;パラアミノ安息香酸系紫外線吸収剤;アントラニル酸系紫外線吸収剤;サリチル酸系紫外線吸収剤、;桂皮酸系紫外線吸収剤、;ベンゾフェノン系紫外線吸収剤;糖系紫外線吸収剤;2−(2’−ヒドロキシ−5’−t−オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール、4−メトキシ−4’−t−ブチルジベンゾイルメタン等の紫外線吸収剤類;エタノール、イソプロパノール等の低級アルコール類;ビタミンA又はその誘導体、ビタミンB6塩酸塩、ビタミンB6トリパルミテート、ビタミンB6ジオクタノエート、ビタミンB2又はその誘導体、ビタミンB12、ビタミンB15又はその誘導体等のビタミンB類;α−トコフェロール、β−トコフェロール、γ−トコフェロール、ビタミンEアセテート等のビタミンE類、ビタミンD類、ビタミンH、パントテン酸、パンテチン、ピロロキノリンキノン等のビタミン類等;フェノキシエタノール等の抗菌剤などが好ましく例示できる。これらの成分の内、特に好ましい形態は、ワセリンを含有する形態が例示でき、該ワセリンの含有量としては、2〜5質量%、より好ましくは2.1〜2.5質量%が好ましく例示できる。かかる成分は架橋型シリコーンと相乗的に働き水の散逸量を抑制する効果に優れる。三種の化粧料がともにホホバ油、米胚芽油及び月見草油を含有する形態である。これはこの三種の油性成分の組合せが、三種の化粧料の必須構成要素と相溶性が高く、かかる成分を含有することにより、三層のエモリエント膜構造が上下強固に連結されるためである。この様な形態になるためには、ホホバ油、米胚芽油及び月見草油は等量乃至はこの三種の内で最も少ない成分の倍量をそれぞれ0.05〜5質量%含有することが好ましい。含有においてはマイクロエマルションの形態で含有することが好ましい。本発明の皮膚外用剤は、前記の成分を常法に従って処理することにより製造することが出来るが、マイクロエマルションとするためには、エクストルーダー処理乃至はマイクロフルイダイザー処理を行うことが好ましい。
【0013】
以下に、実施例を挙げて、本発明について更に詳細に説明を加えるが、本発明がかかる実施例にのみ限定されないことは言うまでもない。
【実施例1】
【0014】
以下に示す処方に従って、本発明の皮膚外用剤である化粧料1を製造した。
即ち、イ、ロ、ハの成分を80℃に加温し、相溶させ、ロに徐々にイを加え乳化し、更に、ハを加え、攪拌冷却し中間仕掛品のエマルションを作成した。これをマイクロフルイダイザーで2回パスさせて、クリーム状(硬度40g(8mmφ、荷重100g))の化粧料1を得た。
【0015】
(イ)
グリセリン 20 質量%
1,3−ブタンジオール 8 質量%
カルボキシビニルポリマー 0.3質量%
キサンタンガム 0.1質量%
フェノキシエタノール 0.5質量%
水 24 質量%
(ロ)
ワセリン 4 質量%
ホホバ油 0.1質量%
米胚芽油 0.1質量%
月見草油 0.1質量%
(ジメチコン/ビニルジメチコン)クロスポリマー 2.5質量%
(架橋型メチルポリシロキサン;「KSG16」)
ジメチコン 7.5質量%
シクロメチコン 5 質量%
トリオクタン酸グリセリル 16 質量%
蜜ロウ 3 質量%
ステアリン酸PEG−25 1.5質量%
グリセリルモノステアレート 1.2質量%
ステアリン酸PEG−150 0.5質量%
ソルビタンセスキステアレート 1 質量%
(ハ)
水酸化カリウム 0.1質量%
水 10.5質量%
【0016】
本発明の化粧料である化粧料1の効果を、架橋型メチルポリシロキサンをジメチコンに置換した比較例1(硬度29g)と、化粧料1のグリセリンを5質量%に減量し、水に置換した比較例2(硬度25g)も同様に作成し、これらとともに、ラウリル硫酸ナトリウム5%水溶液で損傷した皮膚のTEWLの変化を測定して調べた。損傷はラウリル硫酸ナトリウムを3時間貼付し行った。貼付後部位を温水を含浸した脱脂綿で拭い、ラウリル硫酸ナトリウムを除去し、10分静置した後にTEWLをテヴァメーター(インテグラルコーポレーション製)で測定した。化粧料で順次処理し、再びTEWLを計測した。計測後クレンジング料、洗顔料で化粧料を除去し、TEWLの値が元に戻っているのを確認し、同様に他の化粧料の評価を行った。結果を表1に示す。これより、本発明の皮膚外用剤である化粧料1は、優れた保湿効果を有し、以てTEWL(経皮的水分散逸)が低いことが判る。
【0017】
【表1】

【0018】
上記の化粧料1、比較例1、比較例2を用いて、肌状態が悪くて、且つ、ストレスを感じている人をパネラーにして2週間の試用テストを行った。社内の公募で集まった、肌状態が悪くて、且つ、ストレスを感じている人は12人で、この12人を3群に分けた。1群は化粧料1を、1群は比較例1を、1群は比較例2を2週間連日朝晩2回投与してもらった。2週間後にアンケートで肌状態に改善があったか無いかと、ストレスによる心理的圧迫感の変化があったか無いかを答えてもらった。結果を表2に示す。本発明の化粧料は、肌状態を改善するとともに、ストレスによる心理的圧迫感を軽減していることが判る。
【0019】
【表2】

【実施例2】
【0020】
実施例1の化粧料1と同様に、下記に示す処方に従って本発明の皮膚外用剤である化粧料2(硬度36g)を作成した。このものをラウリル硫酸ナトリウム損傷モデルで評価したところ、コントロールが56だったものが、処置後34に減った。これよりグリセリンが18〜25質量%含有することが好ましいことが判る。
【0021】
(イ)
グリセリン 15 質量%
1,3−ブタンジオール 13 質量%
カルボキシビニルポリマー 0.3質量%
キサンタンガム 0.1質量%
フェノキシエタノール 0.5質量%
水 24 質量%
(ロ)
ワセリン 4 質量%
ホホバ油 0.1質量%
米胚芽油 0.1質量%
月見草油 0.1質量%
(ジメチコン/ビニルジメチコン)クロスポリマー 2.5質量%
(架橋型メチルポリシロキサン;「KSG16」)
ジメチコン 7.5質量%
シクロメチコン 5 質量%
トリオクタン酸グリセリル 16 質量%
蜜ロウ 3 質量%
ステアリン酸PEG−25 1.5質量%
グリセリルモノステアレート 1.2質量%
ステアリン酸PEG−150 0.5質量%
ソルビタンセスキステアレート 1 質量%
(ハ)
水酸化カリウム 0.1質量%
水 10.5質量%
【実施例3】
【0022】
実施例1の化粧料1と同様に、下記に示す処方に従って本発明の皮膚外用剤である化粧料3(硬度36g)を作成した。このものをラウリル硫酸ナトリウム損傷モデルで評価したところ、コントロールが56だったものが、処置後25に減った。同様の効果を奏していることが判る。
【0023】
(イ)
グリセリン 20 質量%
1,3−ブタンジオール 8 質量%
カルボキシビニルポリマー 0.3質量%
キサンタンガム 0.1質量%
フェノキシエタノール 0.5質量%
水 24 質量%
(ロ)
ワセリン 4 質量%
ホホバ油 0.1質量%
米胚芽油 0.1質量%
月見草油 0.1質量%
(ポリエーテル変性ジメチコン/ビニルジメチコン)クロスポリマー 2.5質量%
(ポリエーテル変性架橋型メチルポリシロキサン;「KSG21」)
ジメチコン 7.5質量%
シクロメチコン 5 質量%
トリオクタン酸グリセリル 16 質量%
蜜ロウ 3 質量%
ステアリン酸PEG−25 1.5質量%
グリセリルモノステアレート 1.2質量%
ステアリン酸PEG−150 0.5質量%
ソルビタンセスキステアレート 1 質量%
(ハ)
水酸化カリウム 0.1質量%
水 10.5質量%
【実施例4】
【0024】
実施例1の化粧料1と同様に、下記に示す処方に従って本発明の皮膚外用剤である化粧料4(硬度38g)を作成した。このものをラウリル硫酸ナトリウム損傷モデルで評価したところ、コントロールが56だったものが、処置後26に減った。同様の効果を奏していることが判る。
【0025】
(イ)
グリセリン 20 質量%
1,3−ブタンジオール 8 質量%
カルボキシビニルポリマー 0.3質量%
キサンタンガム 0.1質量%
フェノキシエタノール 0.5質量%
水 24 質量%
(ロ)
ワセリン 4 質量%
ホホバ油 0.1質量%
米胚芽油 0.1質量%
月見草油 0.1質量%
(フェニルメチコン/ビニルジメチコン)クロスポリマー 2.5質量%
(架橋型フェニルメチルポリシロキサン)
ジメチコン 7.5質量%
シクロメチコン 5 質量%
トリオクタン酸グリセリル 16 質量%
蜜ロウ 3 質量%
ステアリン酸PEG−25 1.5質量%
グリセリルモノステアレート 1.2質量%
ステアリン酸PEG−150 0.5質量%
ソルビタンセスキステアレート 1 質量%
(ハ)
水酸化カリウム 0.1質量%
水 10.5質量%
【産業上の利用可能性】
【0026】
本発明は、化粧料などの皮膚外用剤に応用できる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
1)部分的に変性されていても良い架橋型メチルポリシロキサンを含有する水中乳化剤形の皮膚外用剤であって、2)多価アルコール15〜35質量%と、3)水20〜35質量%を含有する皮膚外用剤。
【請求項2】
前記部分的に変性されていても良い架橋型メチルポリシロキサンが、架橋型メチルポリシロキサン、架橋型フェニルメチルポリシロキサン及びポリエーテル変性メチルポリシロキサンから選択されるものであることを特徴とする、請求項1に記載の皮膚外用剤。
【請求項3】
前記部分的に変性されていても良い架橋型メチルポリシロキサンの含有量が、1〜10質量%であることを特徴とする、請求項1又は2に記載の皮膚外用剤。
【請求項4】
前記多価アルコールのうちに、グリセリンを18〜25質量%含有することを特徴とする請求項1〜3何れか1項に記載の皮膚外用剤。
【請求項5】
更に、ワセリンを2〜5質量%含有することを特徴とする、請求項1〜4何れか1項に記載の皮膚外用剤。
【請求項6】
製造後20℃に恒温にした場合の硬度が、35〜45g(8mmφのアタッチメントを使用し、荷重を100gとした場合)の針入硬度値であることを特徴とする、請求項1〜5何れか1項に記載の皮膚外用剤。
【請求項7】
皮膚の油性成分による閉塞保湿用の化粧料であることを特徴とする、請求項1〜6何れか1項に記載の皮膚外用剤。

【公開番号】特開2007−99658(P2007−99658A)
【公開日】平成19年4月19日(2007.4.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−289920(P2005−289920)
【出願日】平成17年10月3日(2005.10.3)
【出願人】(000113470)ポーラ化成工業株式会社 (717)
【Fターム(参考)】