説明

水中油型乳化化粧料

【課題】肌にハリ感を付与する効果及び肌柔軟効果に優れ、さらに乳化安定性に優れた水中油型化粧料を提供すること。
【解決手段】次の成分(A)〜(F);
(A)炭素数12〜16の揮発性炭化水素
(B)25℃にて液状の高級アルコール
(C)融点が55℃以上〜65℃未満の油剤
(D)融点が65℃以上〜75℃未満の油剤
(E)HLB10〜16のオレイン酸系ノニオン性界面活性剤
(F)精製水を配合することにより、肌にハリ感を付与する効果及び肌柔軟効果に優れ、さらに乳化安定性に優れた水中油型化粧料を提供するものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水中油型乳化化粧料に関し、更に詳しくは、揮発性炭化水素、25℃にて液状の高級アルコール、特定の融点を有する2種の油剤、HLB10〜16のオレイン酸系ノニオン性界面活性剤、水を配合することを特徴とする水中油型乳化化粧料に関するものであり、肌にハリ感を付与する効果、肌に柔軟性を与える効果(以下、肌柔軟性効果と略す)に優れ、さらに乳化安定性にも優れた水中油型乳化化粧料に関するものである。
【背景技術】
【0002】
皮膚は加齢や紫外線により、しみやシワ、たるみ、色素沈着等を生じる。中でもシワやたるみといった形態的変化は、外観の印象を大きく左右するため改善を望む人は多い。化粧料にはその用途に応じて様々な付加価値を有する化粧料があるが、抗老化用化粧料なるものが開発検討されている。
一般に、抗老化用化粧料には、薬剤的効果と物理的効果との二つのアプローチによるものがある。薬剤的効果においては皮膚のハリ・弾力の低下を遅延・予防する目的で薬剤を用いる方法が知られている。このような技術には、コラーゲン産生促進効果、エラスターゼ阻害効果等を有する化合物を利用するものがあるがある(たとえば特許文献1参照)。しかしながらこのような化合物の薬剤的効果を期待する場合、ある程度の継続使用が必要である。一方、物理的効果によるものであれば、使用時から即時的に実感できうるなど、需要ニーズも多い。すなわち化粧料を塗布することで、肌がピンと張ったように見え、肌で感じる状態であるハリ感を実感できる化粧料として開発検討がなされている。
【0003】
このような物理的効果を利用する技術としては、例えば、ポリビニルピロリドンまたはポリビニルアルコール等の水溶性高分子を配合することによりハリ感を付与するものや、球状粉体を配合してハリ感を付与するものがある。また、ステアリン酸ステアリルと炭化水素を併用することにより、化粧料塗布後の肌にハリ感を付与する乳化化粧料が提案されている(たとえば特許文献2参照)。また揮発性オイルと、皮膜形成成分である固形状油分(天然ワックスなど)、半固形状油分および液状油分の配合により揮発性オイルが揮散したのち弾力性および柔軟性に優れた、べたつき感のない皮膜を形成する皮膚保護クリームが提案されている(たとえば特許文献3参照)。また、数種類の高融点油剤の配合により優れたハリ感をもたらし、べたつきがなく、かつ安定性に優れる水中油型乳化皮膚化粧料(たとえば特許文献4参照)や、固体〜半固体で水系分散媒中に微細分散してなる微細分散組成物の配合により、使用後のハリ感効果に加え、べたつき感のない皮膚外用剤が提案されている(たとえば特許文献5参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平9−95417号公報
【特許文献2】特願2009−83378号公報
【特許文献3】特開2000−63254号公報
【特許文献4】国際公開第2010/137094号公報
【特許文献5】特開2010−254677号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、前記特許文献1の技術は、前述したとおり長期使用が必要なだけでなく、効果実感に乏しいものであった。また、前記特許文献2、3の技術は、ハリ感を十分に感じることができない場合があった。さらに前記特許文献4、5の技術では、ハリ感付与のため、高融点油剤を配合してきたが、高融点油剤を多く配合することで乳化安定性が不安定になる場合があり、高融点油剤によっては皮膚がつっぱり、肌の柔軟性に欠けるという短所を有していた。
すなわち、従来技術においては、ハリ感を付与するために配合される高融点の油剤はハリ感を十分に感じることが出来ない場合があり、その効果を向上させるために、配合量を上げることにより、肌柔軟性効果は低減する場合もあるなど、ハリ感の付与と肌柔軟性の両方の効果を同時に満足させるものは全く知られていない状況である。
【課題を解決するための手段】
【0006】
かかる実情に鑑み、本発明者は上記課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、肌に対する種々の効果は、油剤が特に適することを見出し、中でも揮発性の油剤が肌柔軟性の効果に、高融点の油剤が肌に対するハリ感の付与効果にそれぞれ優れることを見い出した。しかしながらこれらの油剤を水中油型乳化化粧料に配合しても単に配合の効果が得られるのみであった。
そこで更なる検討を重ねた結果、液状の高級アルコールをこれらと共に配合することにより、肌に対してそれぞれをより効果的に作用させることが可能となった。これは液状の高級アルコールの配合により、前出の油剤が相互溶解し、肌への作用が効果的になるためと考えられる。
また高融点の油剤を、融点の異なる二種とすることで肌に対して、より均一な塗布膜となり、ハリ感の付与効果と揮発性の油剤の肌柔軟性効果のいずれの効果も相乗的に得られることを見出した。そしてこれらの油剤をオレイン酸系ノニオン性界面活性剤を用いて乳化することが、肌への効果をより高めることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0007】
すなわち本発明は、次の成分(A)〜(F);
(A)揮発性炭化水素
(B)25℃にて液状の高級アルコール
(C)融点が55℃以上〜65℃未満の油剤
(D)融点が65℃以上〜75℃未満の油剤
(E)HLB10〜16のオレイン酸系ノニオン性界面活性剤
(F)水
を配合することにより、肌にハリ感を付与する効果及び肌柔軟効果に優れ、さらに乳化安定性に優れた水中油型乳化化粧料を提供するものである。
【0008】
成分(A)、成分(C)、成分(D)の配合質量比(A)/[(C)+(D)]が、1〜5の範囲であることを特徴とする請求項1記載の水中油型乳化化粧料を提供するものである。
【0009】
成分(A)の配合量が、5〜15質量%であることを特徴とする請求項1又は2記載の水中油型乳化化粧料を提供するものである。
【発明の効果】
【0010】
本発明は、水中油型乳化化粧料に関し、更に詳しくは、肌にハリ感を付与する効果及び肌柔軟性効果に優れ、さらに乳化安定性に優れた水中油型乳化化粧料に関するものである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明について詳細に説明する。なお、本明細書において、特に記載がない場合は、「〜」はその前後の数値を含む範囲を意味するものとする。
本発明に用いる成分(A)である揮発性炭化水素は、主に分子量170〜230の炭化水素であり、常圧における沸点が170〜270℃の範囲のものである。また、成分(A)は直鎖状、分岐状のいずれでもよく、通常化粧料に配合されるものであれば、特に限定されることなく使用することができる。本発明においては、肌柔軟性効果等に寄与する成分として配合されるものである。具体的には、軽質流動イソパラフィン、イソドデカン、イソヘキサデカン等をあげることができ、これらの中から1種又は2種以上を用いることができる。このような市販品には、IPソルベント2028MU(沸点213〜262℃:出光興産社製)等がある。
また成分(A)は、後述する成分(C)及び成分(D)を水中油型乳化化粧料中に安定に配合して、ハリ感を得ることができる。
【0012】
本発明の成分(A)の配合量は、特に限定されるものではないが、肌柔軟性効果の観点から好ましくは1〜20質量%(以下、単に「%」と略す)、より好ましくは、5〜15%の範囲であるのがよい。
【0013】
本発明に用いる成分(B)は25℃にて液状の高級アルコールであり、本発明においては主に炭素数16〜24の液状の高級アルコールであり、通常化粧料に用いられるものであれば特に限定されないが、具体的にはオレイルアルコール、イソステアリルアルコール、2−オクチルドデカノール等が挙げられる。本発明において、肌柔軟性効果を付与し、後述する成分(C)及び成分(D)を水中油型乳化化粧料中に安定に配合して、ハリ感の付与等に寄与するものである。
【0014】
本発明における成分(B)の配合量は特に限定されるものではないが、0.1〜20%が好ましく、特に、0.5〜10%がより好ましい。この範囲で配合させると、肌にハリ感を付与する効果及び肌柔軟性効果に特に優れるものとなる。
【0015】
本発明に用いる成分(C)融点が55℃以上〜65℃未満の油剤は、本発明においてハリ感を付与する等に寄与するものである。通常化粧料に用いられるものであれば特に限定されないが、炭化水素類、エステル類、ロウ類、油脂類、高級アルコール、シリコーンワックス等が使用できる。具体的には、パラフィン、ミツロウ、ワセリン、パルミチン酸セチル、セタノール、ステアリルアルコール、セトステアリルアルコール等を例示することができる。本発明においては、優れたハリ感を得る上で、特にパラフィン、ミツロウが好ましい。
【0016】
本発明の化粧料における成分(C)の配合量は特に限定されるものではないが、0.1〜15%が好ましく、特に1〜10%がより好ましい。この範囲で配合させると、肌にハリ感を付与する効果及び肌柔軟性効果、乳化安定性に特に優れるものとなる。
【0017】
本発明に用いられる成分(D)融点が65℃以上〜75℃未満の油剤は、通常化粧料に用いられるものであれば特に限定されないが、炭化水素類、エステル類、ロウ類、油脂類、高級アルコール等が使用できる。具体的にはキャンデリラワックス、マイクロクリスタリンワックス、パラフィン(融点70〜75℃)、ヤシ油やパーム油やヒマシ油などを水添して得られる硬化油、セレシンワックス、水添マイクロクリスタリンワックス、カルナウバワックス、キャンデリラロウ炭化水素、キャンデリラロウエステルズ、エチレン・プロピレン共重合体、合成ワックス、モンタンワックス、サトウキビワックス、ベヘニルアルコール等を例示することができる。本発明においては、優れたハリ感を付与する効果を得る上で、特にキャンデリラワックス、マイクロクリスタリンワックスが好ましい。
【0018】
本発明の化粧料における成分(D)の配合量は特に限定されるものではないが、0.1〜15%が好ましく、より好ましくは1〜10%である。この範囲で配合させると、肌にハリ感を付与する効果及び肌柔軟性効果に特に優れるものとなる。
【0019】
本発明により、肌にハリ感を付与する効果及び肌柔軟性効果に優れる水中油型乳化化粧料とすることができるが、上記した成分(A)、成分(C)、成分(D)を特定の比率にして配合することより、これらの両方の効果をさらに向上させることが可能となる。このような比率としては、特に限定されるものではないが、(A)/[(C)+(D)]が、1〜10の範囲であることが好ましく、より好ましくは1〜5の範囲であることが、肌に対してハリ感を付与し、さらに、肌への柔軟効果を与えるという両方の効果をバランスよく与えることが可能となる。
【0020】
本発明に用いる成分(E)HLB10〜16のオレイン酸系ノニオン性界面活性剤は、肌柔軟効果を付与し、水中油型乳化化粧料の乳化安定性等に寄与するものである。通常化粧料に用いられるものであれば特に限定されないが、具体的には例えばモノオレイン酸ポリオキシエチレン(20)ソルビタン(HLB16.0)、トリオレイン酸ポリオキシエチレン(20)ソルビタン(HLB11.0)等のポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン(15)オレイン酸グリセリル(HLB14.5)等のポリオキシエチレングリセリル脂肪酸エステル等を挙げることができる。これらの中でも、優れたハリ感、肌柔軟効果、良好な乳化安定性を得るには、モノオレイン酸ポリオキシエチレン(20)ソルビタンが好ましい。
【0021】
本発明における成分(E)の配合量は特に限定されるものではないが、0.01〜20%が好ましく、特に、0.1〜10%がより好ましい。この範囲で配合させると、肌にハリ感を付与する効果及び肌柔軟性効果、乳化安定性に特に優れるものとなる。
【0022】
本発明に用いる成分(F)水は、水中油型乳化化粧料とするために配合されるものであり、化粧料に一般に用いられるものであれば、特に制限されない。水の他にも精製水、温泉水、深層水、或いは植物の水蒸気蒸留水でもよく、必要に応じて1種または2種以上を適宜選択して用いることができる。また配合量は、特に限定されず、適宜、他の成分量に応じて配合することができるが、概ね30〜70%の範囲で用いることができる。
【0023】
本発明の水中油型乳化化粧料は、通常乳化化粧料で得られる肌に対しての水分、油分の付与だけでなく、特に肌に対してのハリ感を付与する効果及び肌柔軟効果を付与することを特徴とするものであり、スキンケア用の化粧料として特に好適に使用されるものである。
【0024】
本発明の水中油型乳化化粧料の製造方法は、公知の乳化方法であれば特に限定されることなく製造可能である。具体的には、分散乳化法、転送乳化法、ゲル乳化法、転相温度乳化法等である。好ましいものを例示するならば、あらかじめ成分(F)を含む水性成分を調製しておき、これに成分(A)〜(E)の油性成分を添加混合して得られる分散乳化法を用いることで、経時安定性に優れた水中油型乳化組成物とすることができる。
【0025】
本発明の化粧料には、上記必須成分の他に、本発明の効果を損なわない範囲で、上記必須成分以外に任意成分を加えることができる。この任意成分の例として、成分(A)、(B)、(C)、(D)以外の油性成分、成分(E)以外の界面活性剤、無機顔料、有機顔料及び体質顔料等の粉体、多価アルコール、低級アルコール、保湿剤等の水性成分、水溶性高分子、糖類、紫外線吸収剤、酸化防止剤、防腐剤、リパーゼやプロテアーゼ等の酵素類、レゾルシンやイオウ等の各種薬剤、清涼剤、色素、香料等を本発明の効果を妨げない範囲で配合することができる。以下にさらに詳細に記載する。
【0026】
油性成分(ただし、成分(A)、(B)、(C)、(D)以外)としては、化粧品に一般に使用される動物油、植物油、合成油等の起源の固形油、半固形油、液体油、揮発性油等の性状を問わず、炭化水素類、油脂類、ロウ類、硬化油類、エステル油類、脂肪酸類、高級アルコール類、シリコーン油類、フッ素系油類、油性ゲル化剤類等が挙げられる。具体的には、流動パラフィン、スクワラン、ポリイソブチレン、ポリブテン等の炭化水素類、オリーブ油、ヒマシ油、ホホバ油、ミンク油、マカデミアンナッツ油等の油脂類、モクロウ等のロウ類、セチルイソオクタネート、ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、ミリスチン酸オクチルドデシル、ジイソステアリン酸ポリグリセリル、ロジン酸ペンタエリトリットエステル、ジオクタン酸ネオペンチルグリコール等のエステル類、ステアリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、ベヘニン酸、イソステアリン酸、オレイン酸等の脂肪酸類、ラウリルアルコール等の高級アルコール類、メチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、トリメチルシロキシケイ酸、高重合度メチルポリシロキサン、高重合度メチルフェニルポリシロキサン、架橋型メチルポリシロキサン、架橋型メチルフェニルポリシロキサン、架橋型ポリエーテル変性メチルポリシロキサン、メタクリル変性ポリシロキサン、ステアリル変性メチルポリシロキサン、オレイル変性メチルポリシロキサン、ベヘニル変性メチルポリシロキサン、ポリビニルピロリドン変性メチルポリシロキサン、ポリエーテル変性ポリシロキサン低重合度ジメチルポリシロキサン、高重合度ジメチルポリシロキサン、ポリオキシアルキレン・アルキルメチルポリシロキサン・メチルポリシロキサン共重合体、アルコキシ変性ポリシロキサン、架橋型オルガノポリシロキサン、フッ素変性ポリシロキサン等のシリコーン類、パーフルオロデカン、パーフルオロオクタン、パーフルオロポリエーテル等のフッ素系油剤類、デキストリン脂肪酸エステル、蔗糖脂肪酸エステル、デンプン脂肪酸エステル、イソステアリン酸アルミニウム、ステアリン酸カリウム、12−ヒドロキシステアリン酸等の油性ゲル化剤類等が挙げられ、これらを1種または2種以上用いることができる。
【0027】
粉体成分としては、化粧品に一般に使用される粉体として用いられる粉体であれば、球状、板状、針状等の形状、煙霧状、微粒子、顔料級等の粒子径、多孔質、無孔質等の粒子構造等により特に限定されず、無機粉体類、光輝性粉体類、有機粉体類、色素粉体類、金属粉体類、複合粉体類等が挙げられる。具体的に例示すれば、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化セリウム、硫酸バリウム等の白色無機顔料、酸化鉄、カーボンブラック、チタン・酸化チタン焼結物、酸化クロム、水酸化クロム、紺青、群青等の有色無機顔料、タルク、白雲母、金雲母、紅雲母、黒雲母、合成雲母、絹雲母(セリサイト)、合成セリサイト、カオリン、炭化珪素、ベントナイト、スメクタイト、無水ケイ酸、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、酸化ジルコニウム、酸化アンチモン、珪ソウ土、ケイ酸アルミニウム、メタケイ酸アルミニウムマグネシウム、ケイ酸カルシウム、ケイ酸バリウム、ケイ酸マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、ヒドロキシアパタイト、窒化ホウ素等の白色体質粉体、二酸化チタン被覆雲母、二酸化チタン被覆オキシ塩化ビスマス、酸化鉄雲母チタン、紺青処理雲母チタン、カルミン処理雲母チタン、オキシ塩化ビスマス、魚鱗箔等の光輝性粉体、ポリアミド系樹脂、ポリエチレン系樹脂、ポリアクリル系樹脂、ポリエステル系樹脂、フッ素系樹脂、セルロース系樹脂、ポリスチレン系樹脂、スチレン−アクリル共重合樹脂等のコポリマー樹脂、ポリプロピレン系樹脂、シリコーン樹脂、ウレタン樹脂等の有機高分子樹脂粉体、ステアリン酸亜鉛、N−アシルリジン等の有機低分子性粉体、シルク粉末、セルロース粉末等の天然有機粉体、赤色201号、赤色202号、赤色205号、赤色226号、赤色228号、橙色203号、橙色204号、青色404号、黄色401号等の有機顔料粉体、赤色3号、赤色104号、赤色106号、橙色205号、黄色4号、黄色5号、緑色3号、青色1号等のジルコニウム、バリウム又はアルミニウムレーキ等の有機顔料粉体あるいは更にアルミニウム粉、金粉、銀粉等の金属粉体、微粒子酸化チタン被覆雲母チタン、微粒子酸化亜鉛被覆雲母チタン、硫酸バリウム被覆雲母チタン、酸化チタン含有二酸化珪素、酸化亜鉛含有二酸化珪素等の複合粉体、等が挙げられ、これら粉体はその1種又は2種以上を用いることができ、更に複合化したものを用いても良い。
【0028】
界面活性剤としては、例えば、非イオン界面活性剤としては、グリセリン脂肪酸エステル及びそのアルキレングリコール付加物、ポリグリセリン脂肪酸エステル及びそのアルキレングリコール付加物、プロピレングリコール脂肪酸エステル及びそのアルキレングリコール付加物、ソルビタン脂肪酸エステル及びそのアルキレングリコール付加物、ソルビトールの脂肪酸エステル及びそのアルキレングリコール付加物、ポリアルキレングリコール脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、グリセリンアルキルエーテル、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ラノリンのアルキレングリコール付加物等が挙げられる。アニオン界面活性剤としては、ステアリン酸、ラウリン酸のような脂肪酸及びそれらの無機及び有機塩、アルキルベンゼン硫酸塩、アルキルスルホン酸塩、α−オレフィンスルホン酸塩、ジアルキルスルホコハク酸塩、α−スルホン化脂肪酸塩、アシルメチルタウリン塩、N−メチル−N−アルキルタウリン塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル硫酸塩、アルキル燐酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル燐酸塩、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル燐酸塩、N−アシルアミノ酸塩、N−アシル−N−アルキルアミノ酸塩、ο−アルキル置換リンゴ酸塩、アルキルスルホコハク酸塩等が挙げられる。両性界面活性剤としては、アミノ酸タイプやベタインタイプのカルボン酸型、硫酸エステル型、スルホン酸型、リン酸エステル型のものがあり、人体に対して安全とされるものが使用できる。例えば、N,N−ジメチル−N−アルキル−N−カルボキシルメチルアンモニウムベタイン、N,N−ジアルキルアミノアルキレンカルボン酸、N,N,N−トリアルキル−N−スルフォアルキレンアンモニウムベタイン、N,N−ジアルキル−N,N−ビス(ポリオキシエチレン硫酸)アンモニウムベタイン、2−アルキル−1−ヒドロキシエチル−1−カルボキシメチルイミダゾリニウムベタイン等が挙げられる。
【0029】
水性成分としては、水に可溶な成分であれば何れでもよく、例えば、エチルアルコール、プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、ブチルアルコール等の低級アルコール、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、1、2−ペンタンジオール、ジプリピレングリコール、ポリエチレングリコール等のグリコール類、グリセリン、ジグリセリン、ポリグリセリン等のグリセロール類、タンパク質、ムコ多糖、コラーゲン、エラスチン、ケラチン等の保湿剤、アロエベラ、ウイッチヘーゼル、ハマメリス、キュウリ、レモン、ラベンダー、ローズ等の植物抽出液が挙げられる。このような水溶性高分子としては、グアーガム、コンドロイチン硫酸ナトリウム、ヒアルロン酸ナトリウム、アラビアガム、アルギン酸ナトリウム、カラギーナン等の天然系のもの、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース等の半合成系のもの、カルボキシビニルポリマー、アルキル付加カルボキシビニルポリマー、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリアクリル酸ナトリウム等の合成系のものを挙げることができる。
【0030】
酸化防止剤としては、例えばα−トコフェロール、アスコルビン酸等、美容成分としては例えばビタミン類、消炎剤、生薬等、防腐剤としては、例えばパラオキシ安息香酸エステル、フェノキシエタノール等が挙げられる。
【0031】
紫外線吸収剤としては、例えばベンゾフェノン系、PABA系、ケイ皮酸系、サリチル酸系、4−tert−ブチル−4’−メトキシジベンゾイルメタン、オキシベンゾン等が挙げられる。
【0032】
本発明の水中油型乳化化粧料の剤型としては、他の成分との併用により液状、ゲル状、ペースト状、クリーム状、固形状等、種々の剤型にて実施することができ、用途としては乳液、クリーム、ボティ用クリーム、目元用クリーム、美容液、日焼け止め、ヘアクリーム、ヘアワックス等の基礎化粧品や頭髪化粧品用いることができる。その使用方法は、手に直接とって使用する方法、コットンや不織布を用いて使用する方法等と特に限定されるものではない。
【0033】
本発明においては、特にハリ感を付与し、かつ肌柔軟効果等に優れることを特徴とすることから、上記用途において、パック化粧料、マッサージ用化粧料、抗老化用化粧料、抗シワ化粧料としての利用することができる。特に肌に対して即時的にハリ感を付与することが特徴であることから、本発明は、物理的効果としての抗老化用化粧料として好適に利用できる。
【実施例】
【0034】
次に実施例を挙げて本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらにより何等限定されるものではない。
【0035】
実施例1〜18及び比較例1〜7:水中油型乳化クリーム
下記表1〜表3に示す処方の水中油型乳化クリームを調製し、ハリ感、肌柔軟効果、乳化安定性について下記の方法により評価した。その結果も併せて表1〜表3に示す。
【0036】
【表1】

【0037】
【表2】

【0038】
【表3】

【0039】
(製造方法)
A:成分1〜22を70℃で均一に溶解混合する。
B:成分23〜28を70℃で均一に溶解混合する。
C:BにAを添加し70℃で乳化する
D:Cに成分29を添加混合した後、40℃まで冷却して水中油型クリームを得た。
【0040】
(評価項目)
イ.ハリ感(官能評価)
ロ.肌柔軟性効果(官能評価及び機器評価)
ハ.乳化安定性
【0041】
(評価方法)
[イ、ロについて(官能評価)]
各試料について専門パネル20名が皮膚に塗布した時に感じるハリ感、肌柔軟効果をパネル各人が下記絶対評価にて7段階に評価し評点を付け、各試料ごとにパネル全員の評点合計から、その平均値を算出し、下記4段階判定基準により判定した。
【0042】
(ハリ感の評価)
絶対評価基準
(評点):(評価)
6点:ハリ感を非常に感じる
5点:ハリ感を感じる
4点:ややハリ感を感じる
3点:普通
2点:あまりハリ感を感じない
1点:ハリ感を感じない
4段階判定基準
(判定):(評点の平均点)
◎ :5点を超える :非常に良好
○ :3.5点を超える5点以下 :良好
△ :2点を超える3.5点以下 :やや不良
× :2点以下 :不良
【0043】
(肌柔軟性効果の評価:官能評価)
絶対評価基準
(評点):(評価)
6点:非常に肌が柔らかくなったと感じる
5点:肌が柔らかくなったと感じる
4点:やや肌が柔らかくなったと感じる
3点:普通
2点:あまり肌が柔らかくなったと感ない
1点:肌が柔らかくなったと感ない
4段階判定基準
(判定):(評点の平均点)
◎ :5点を超える :非常に良好
○ :3.5点を超える5点以下 :良好
△ :2点を超える3.5点以下 :やや不良
× :2点以下 :不良
【0044】
[ロについて(機器評価)]
専門パネル20名を用い、上腕内側部について、各試料の塗布前と塗布後のそれぞれにおいてAXIOM社製のヴィーナストロン(Venustron)を用いて、20g(±10%)加重時のΔf(肌のかたさ)を測定した。
なおこの測定は、公知の角質の柔軟性測定法(尾股ら、「皮膚のメカニズムの解明と計測・評価法」、P262〜P278、技術情報協会参照)に従って行った。Venustronは、プローブからある一定の周波数(Hz)を出し、物体に接触した時の周波数の差Δfで柔らかさを評価する。具体的には、柔らかいものに触れると周波数が低くなるのでΔfがマイナスに、硬いものに触れると周波数が高くなるのでΔfがプラスになる。
本発明においても、これに基づき行った。すなわち、上腕内側の所定部位(3cm×3cm)に各試料塗布前のΔfを計測し、前記部位に各試料1.0gを塗布し、5分おいた後、各試料塗布後のΔfを計測した。肌柔軟性効果は、[各試料塗布後のΔf]−[各試料塗布前のΔf]を評価する専門パネルごとにそれぞれ算出し、20人分の平均値から柔軟性効果の指標とした。なおここで、これらの値がマイナスであって、その絶対値が大きいほど、肌の柔軟性効果が大きいと判断した。
【0045】
(肌柔軟性効果の評価:機器評価)
4段階判定基準
(判定):(評点の平均点)
◎ :−18点未満 :非常に良好
○ :−18点を超える−10点以下:良好
△ :−10点を超える−5点以下 :やや不良
× :−5点以上 :不良
【0046】
[ハについて]
各試料を50℃の高温槽に1ヶ月保管した後、室温環境に戻したものと、室温1ヶ月保管したものとを比較し、分離の有無及びキメ悪化の有無の観点により下記4段階に評価した。
【0047】
(経時安定性評価)
4段階判定基準
◎:変化なし
○:ごく僅かに変化がある
△:やや変化がある
×:かなり変化がある
【0048】
表1〜表3の結果から明らかな如く、本発明の実施例1〜18の水中油型乳化クリームは、比較例1〜7の水中油型乳化クリームに比べハリ感の付与効果、肌柔軟性効果、乳化安定性の全てにおいて優れたものであった。
これに対して成分(A)の配合されていない比較例1では特にハリ感の付与効果、肌柔軟性効果の点で満足いくものが得られなかった。また、成分(B)の配合されていない比較例2では特に乳化安定性の点で、満足いくものが得られなかった。また成分(C)、成分(D)のいずれも配合されていない比較例6は、ハリ感の付与が×であり、他の比較品に比べて特に劣っていた。成分(C)を配合せずに代わりに成分(D)を増量した比較例3、成分(D)を配合せず、代わりに成分(C)を増量した比較例4は、両方を配合する実施例1と比較しても、ハリ感の付与効果は劣ったものであり、これらの結果からも成分(D)、成分(E)の併用による効果は明らかなものであった。また、成分(E)の配合されていない比較例5では特にハリ感の付与効果、肌柔軟性効果の点で、満足いくものが得られず、比較例7においては、乳化安定性にも劣るものであった。
以上の検討結果から、本発明品である成分(A)〜成分(E)の全てを配合したものでなければ、ハリ感の付与効果、肌柔軟性効果の両方を同時に満足できるものとはならず、また経時安定性に優れるものとはならないことが示された。
【0049】
実施例19:水中油型乳化美容液
(成分) (%)
1.ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノオレエート(HLB15) 0.5
2.モノオレイン酸ポリエチレングリコール(10)(HLB11) 1.5
3.グリセリルモノステアレート 0.5
4.イソオクタン酸セチル 5.0
5.イソヘキサデカン 2.0
6.イソステアリルアルコール 1.0
7.パラフィン(融点55℃) 0.3
8.ベヘニルアルコール(融点70℃) 0.5
9.グリセリン 12.0
10.1,3−ブチレングリコール 8.0
11.精製水 残部
12.キサンタンガム 0.1
13.ヒドロキシプロピルメチルセルロース 0.1
14.防腐剤 適量
15.香料 適量
【0050】
(製造方法)
A:成分1〜8を70℃で均一に溶解混合する。
B:成分9〜13を70℃で均一に混合する。
C:AにBを添加し70℃で乳化する
D:Cを40℃まで冷却し、成分14〜15を添加して均一に混合し、水中油型乳化美容液を得た。
以上のようにして得られた水中油型乳化美容液は肌にハリ感を付与する効果及び肌柔軟効果に優れ、さらに乳化安定性に優れた水中油型乳化化粧料であった。
【0051】
実施例20:水中油型乳化アイクリーム
(成分) (%)
1.水素添加大豆リン脂質 1.0
2.ポリオキシエチレン(30)フィトステロール 1.0
3.トリオレイン酸ポリオキシエチレン(20)ソルビタン(HLB11) 1.0
4.イソドデカン 5.0
5.スクワラン 3.0
6.セタノール(融点55℃) 1.0
7.パラフィン(融点70℃) 1.0
8.オレイルアルコール 1.0
9.グリセリン 10.0
10.1,3−ブチレングリコール 10.0
11.精製水 残部
12.アルキル変性カルボキシビニルポリマー 0.3
13.トリエタノールアミン 0.1
14.無水ケイ酸 3.0
15.エタノール 5.0
16.防腐剤 適量
17.香料 適量
【0052】
(製造方法)
A:成分1〜9を70℃で均一に溶解混合する。
B:成分10〜12を70℃で均一に溶解混合する。
C:AにBを添加し70℃で乳化する
D:Cを40℃まで冷却し、成分13〜17を添加して均一に混合し、水中油型乳化アイクリームを得た。
以上のようにして得られた水中油型乳化アイクリームは肌にハリ感を付与する効果及び肌柔軟効果に優れ、さらに乳化安定性に優れた水中油型乳化化粧料であった。
【0053】
実施例21:水中油型乳化アイクリーム
(成分) (%)
1.水素添加大豆リン脂質 1.0
2.水素添加大豆リゾリン脂質 0.5
3.トリオレイン酸ポリオキシエチレン(20)ソルビタン(HLB11) 1.0
4.イソドデカン 5.0
5.重質流動イソパラフィン 3.0
6.ステアリルアルコール(融点60℃) 1.0
7.パラフィン(融点70℃) 1.0
8.2−オクチルドデカノール 1.0
9.グリセリン 10.0
10.1,2−ペンタンジオール 2.0
11.精製水 残部
12.アルキル変性カルボキシビニルポリマー 0.3
13.トリエタノールアミン 0.1
14.グリコシルトレハロース 0.5
15.エタノール 5.0
16.ミズキエキス 0.1
17.フランスカイガンショウ樹皮エキス 0.1
18.フェノキシエタノール 適量
19.香料 適量
【0054】
(製造方法)
A:成分1〜9を70℃で均一に溶解混合する。
B:成分10〜12を70℃で均一に溶解混合する。
C:AにBを添加し70℃で乳化する
D:Cを40℃まで冷却し、成分13〜17を添加して均一に混合し、水中油型乳化アイクリームを得た。
以上のようにして得られた水中油型乳化アイクリームは肌にハリ感を付与する効果及び肌柔軟効果に優れ、さらに乳化安定性に優れた水中油型乳化化粧料であった。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
次の成分(A)〜(F);
(A)揮発性炭化水素
(B)25℃にて液状の高級アルコール
(C)融点が55℃以上〜65℃未満の油剤
(D)融点が65℃以上〜75℃未満の油剤
(E)HLB10〜16のオレイン酸系ノニオン性界面活性剤
(F)水
を配合することを特徴とする水中油型乳化化粧料。
【請求項2】
成分(A)、成分(C)、成分(D)の配合質量比(A)/[(C)+(D)]が、1〜5の範囲であることを特徴とする請求項1記載の水中油型乳化化粧料。
【請求項3】
成分(A)の配合量が、5〜15質量%であることを特徴とする請求項1又は2記載の水中油型乳化化粧料。


【公開番号】特開2012−214448(P2012−214448A)
【公開日】平成24年11月8日(2012.11.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−66627(P2012−66627)
【出願日】平成24年3月23日(2012.3.23)
【出願人】(000145862)株式会社コーセー (734)
【Fターム(参考)】