説明

水中油型乳化日焼け止め化粧料

【課題】 紫外線吸収剤を高配合して紫外線防御能を向上させるととともに、乳化安定性に優れ、なおかつ使用性も良好な水中油型乳化日焼け止め化粧料を提供する。
【解決手段】 (A)1〜7.5質量%のオクチルメトキシシンナメート、(B)0.5〜4質量%のt−ブチルメトキシジベンゾイルメタン及び/又は2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、(C)0.5〜3質量%の特定構造のポリオキシエチレン・ポリオキシアルキレンアルキルエーテルブロックポリマー、及び(D)総油分量に対して10質量%以上の非極性油を含有し、平均乳化粒子径が700nm以下であることを特徴とする水中油型日焼け止め化粧料。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水中油型乳化組成物に関し、より詳細には、特定の紫外線吸収剤の組み合わせ、特定構造の界面活性剤及び非極性油を選択して配合することによって、紫外線吸収剤を安定に高配合して優れた紫外線防御能を持つとともに、使用性も良好な水中油型乳化日焼け止め化粧料に関する。
【背景技術】
【0002】
日焼け止め化粧料は、太陽光線中の紫外線をカットし、紫外線による悪影響から肌を守ることを目的とする。その基剤としては、乳化タイプ、ローションタイプ、オイルタイプ等が挙げられるが、中でも水中油型乳化タイプは、みずみずしい使用感触を持ち、低SPFから高SPF製品までの製剤化が可能であることから広く用いられている(非特許文献1)。
【0003】
一方、日焼け止め化粧料に配合される紫外線吸収剤には油溶性のものと水溶性のものがあり、UVA領域(波長320〜400nm)及びUVB領域(波長290〜320nm)における紫外線を吸収して高い防御能を得るためには、UVB吸収剤とUVA吸収剤をバランス良く配合する必要がある。
【0004】
しかしながら、油溶性紫外線吸収剤を高配合して紫外線防御能を向上させるには乳化安定性を確保するために界面活性剤を多量に配合しなければならず、その結果油っぽさやべたつきといった使用性の問題を生じる傾向があった。特にUVA吸収剤は、油中の濃度が高くなると乳化安定性を低下させるという問題を有していた。
【0005】
例えば特許文献1には、水中油型乳化組成物に難溶性物質を安定に配合するため、特定の置換基を持つ多糖類誘導体、ポリオール類、HLB4〜9の非イオン性界面活性剤と油剤とを組み合わせて用いることにより、乳化粒子を従来より細かく均一に分散させることができると記載されている。しかしながら、難溶性物質に紫外線吸収剤は挙げられていない。
【0006】
特許文献2には、ポリオキシエチレン付加型ヒマシ油及びポリオキシエチレン付加型ソルビット脂肪酸エステルを乳化剤とすることにより、各種の油剤を安定に分散でき、感触が良く、肌に対するエモリエント効果及び保湿効果を持つ水中油型乳化化粧料が記載されている。しかしながら、配合される油剤として紫外線吸収剤は挙げられていない。
【0007】
また特許文献3には、界面活性剤を用いずにイオン性ポリマー粒子を配合し、4,4−ジアリールブタジエン型紫外線遮蔽剤を含有するエマルションにおいて、油滴の直径が500nm以下としたサンスクリーン組成物が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2006−182724号公報
【特許文献2】特開平10−95707号公報
【特許文献1】特開2004−315532号公報
【非特許文献】
【0009】
【非特許文献1】「新化粧品学 第2版」光井武夫編、南山堂、2001年、第497−504頁
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、上記の技術的背景の下でなされたものであり、紫外線吸収剤を高配合して紫外線防御能を向上させるととともに、乳化安定性に優れ、なおかつ使用性も良好な水中油型乳化日焼け止め化粧料を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
かかる課題を解決するため、本発明者等は鋭意検討を行った結果、オクチルメトキシシンナメートに加えてt−ブチルメトキシジベンゾイルメタン及び/又は2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノンを紫外線吸収剤として選択し、特定構造の界面活性剤、非極性油を組み合わせて用い、平均乳化粒子径を700nm以下とすることによって、安定性を保持しながら紫外線防御能を向上させることができることを見出し、本発明をなすに至った。
【0012】
即ち本発明は、
(A)1〜7.5質量%のオクチルメトキシシンナメート、
(B)0.5〜4質量%のt−ブチルメトキシジベンゾイルメタン及び/又は2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、
(C)0.5〜3質量%の下記一般式(1)又は(2)で示されるポリオキシエチレン・ポリオキシアルキレンアルキルエーテルブロックポリマー:
0−(AO)m−(EO)n−H ・・・(1)
[式中、Rは炭素数16〜18の炭化水素基、AOは炭素数3〜4のオキシアルキレン基であり、AOとEOとはブロック状に付加しており、m、nはそれぞれAO、EOの平均付加モル数を意味し、m>4、n>10、かつn>mである];
O−(AO)p−(EO)q−R ・・・(2)
[式中、R、Rは同一もしくは異なっていてもよく、それぞれ炭素数1〜4の炭化水素基、AOは炭素数3〜4のオキシアルキレン基、EOはオキシエチレン基であり、AOとEOとはブロック状に付加しており、p、qはそれぞれAO、EOの平均付加モル数を意味し、1≦p≦70、1≦q≦70、且つ0.2<(q/(p+q))<0.8である]、及び
(D)総油分量に対して10質量%以上の非極性油を含有し、
平均乳化粒子径が700nm以下である水中油型日焼け止め化粧料を提供する。
【発明の効果】
【0013】
本発明の水中油型乳化日焼け止め化粧料は、乳化安定性が悪いとさえていた紫外線吸収剤を安定に高配合できるため、優れた紫外線防御能を発揮する。さらに本発明の化粧料は、べたつきがなく、みずみずしい感触を持つといった使用性においても優れたものである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明の水中油型乳化組成物は、オクチルメトキシシンナメート(メトキシケイ皮酸エチルヘキシル)(成分A)を含有する。オクチルメトキシシンナメートは、常温で油状の紫外線(UVB)吸収剤である。本発明においては、例えば「パルソールMCX」(DSMニュートリションジャパン(株))等として市販されているものを使用することができる。
【0015】
本発明の組成物におけるオクチルメトキシシンナメートの配合量は、1〜7.5質量%、好ましくは2〜7質量%、より好ましくは4〜6質量%とする。配合量が1質量%未満であると十分な紫外線吸収能が得られず、7.5質量%を越えて配合すると使用感(べたつき)及び安定性が悪くなる傾向がある。
【0016】
本発明の水中油型乳化化粧料は、前記オクチルメトキシシンナメート(成分A)に加えて、t−ブチルメトキシジベンゾイルメタン及び/又は2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン(成分B)を配合したことを特徴とする。
t−ブチルメトキシジベンゾイルメタン及び2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノンは、ともに紫外線(UVA)吸収剤であり、各々「パルソール1789」(DSMニュートリションジャパン(株))及び「ユビナールM40」(BASF(株))等として市販されている。本発明においても、それらの市販品を使用することができる。
【0017】
本発明の化粧料におけるt−ブチルメトキシジベンゾイルメタン及び/又は2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノンの配合量は、単独で使用する場合も両方を共存させる場合も、それらの合計量を、0.5〜4質量%、好ましくは1〜4質量%、より好ましくは1.5〜3質量%とする。配合量が0.5質量%未満であると十分な紫外線吸収能が得られず、4質量%を越えて配合すると安定性が悪くなる傾向がある。
【0018】
本発明の化粧料は、下記一般式(1)又は(2)で示されるポリオキシエチレン・ポリオキシアルキレンアルキルエーテルブロックポリマー(以下、「ブロックポリマー」とする)の1種以上を乳化剤として用いることを特徴としている。
O−(AO)m−(EO)n−H ・・・(1)
一般式(1)において、Rは炭素数16〜18の炭化水素基であり、好ましくは飽和又は不飽和の脂肪族炭化水素基である。例えば、パルミチル、ステアリル、イソステアリル、オレイル、リノリル等が挙げられる。
AOは炭素数3〜4のオキシアルキレン基であり、例えば、オキシプロピル基、オキシブチル基が挙げられる。EOはオキシエチレン基である。
一般式(1)において、AO、EOはブロック状に結合していなければならない。ランダム状に結合している場合には、製剤安定性が十分に得られない。なお、アルキレンオキシドおよびエチレンオキシドの付加する順序は特に指定はない。またブロック状には2段ブロックのみならず、3段以上のブロックも含まれる。
m、nはそれぞれPO、EOの平均付加モル数を意味し、m>4、n>10、n>mである。
【0019】
一般式(1)のブロックポリマーの分子量は、好ましくは800以上、さらに好ましくは1500以上である。分子量800未満では効果が低い。また分子量の上限は特に規定しないが、分子量が大きくなっていくにつれべたつき感が生じる可能性がある。
一般式(1)で示されるブロックポリマーとしては、例えば、ニッコールPBC44(日光ケミカルズ(株))等の市販品を使用することができる。
【0020】
O−(AO)p−(EO)q−R ・・・(2)
一般式(2)において、R、Rは同一もしくは異なっていてもよく、それぞれ炭素数1〜4の炭化水素基であり、好ましくは飽和の脂肪族炭化水素基である。例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチルが挙げられ、より好ましくはメチル、エチルである。
AOは炭素数3〜4のオキシアルキレン基であり、オキシプロピル基、オキシブチル基が挙げられる。EOはオキシエチレン基である。
【0021】
一般式(2)において、AO、EOはブロック状に結合している。ランダム状に結合している場合には、製剤安定性が十分に得られない。なお、エチレンオキシドおよびアルキレンオキシドの付加する順序は特に指定はない。またブロック状には2段ブロックのみならず、3段以上のブロックも含まれる。
p、qはそれぞれAO、EOの平均付加モル数を意味し、1≦p≦70、1≦q≦70、且つ0.2<(q/(p+q))<0.8である。
【0022】
一般式(2)のブロックポリマーの分子量は、好ましくは1000以上、さらに好ましくは3000以上である。分子量1000未満では効果が低い。また分子量の上限は特に規定しないが、分子量が大きくなっていくにつれべたつき感が生じる可能性がある。
一般式(2)のブロックポリマーは、公知の方法で製造することができる。例えば、水酸基を有している化合物にエチレンオキシドおよび炭素数3〜4のアルキレンオキシドを付加重合した後、ハロゲン化アルキルをアルカリ触媒存在下にエーテル反応させることによって得ることができる(例えば、特開2004−83541号公報等)。
【0023】
一般式(2)のブロックポリマーとしては、具体的にはPOE(14)POP(7)ジメチルエーテル、POE(17)POP(4)ジメチルエーテル、POE(10)POP(10)ジメチルエーテル、POE(7)POP(12)ジメチルエーテル、POE(15)POP(5)ジメチルエーテル、POE(25)POP(25)ジメチルエーテル、POE(27)POP(14)ジメチルエーテル、POE(55)POP(28)ジメチルエーテル、POE(22)POP(40)ジメチルエーテル、POE(35)POP(40)ジメチルエーテル、POE(50)POP(40)ジメチルエーテル、POE(36)POP(41)ジメチルエーテル、POE(55)POP(30)ジメチルエーテル、POE(30)POP(34)ジメチルエーテル、POE(25)POP(30)ジメチルエーテル、POE(14)POB(7)ジメチルエーテル、POE(10)POP(10)ジエチルエーテル、POE(10)POP(10)ジプロピルエーテル、POE(10)POP(10)ジブチルエーテル等が挙げられる。
なお、上記POE、POP、POBは、それぞれポリオキシエチレン、ポリオキシプロピレン、ポリオキシブチレンの略である。
【0024】
上記のブロックポリマー(成分C)の配合量は、組成物中に0.5〜3質量%、さらには0.5〜2質量%、より好ましくは0.5〜1質量%とする。これらのブロックポリマーは、少量で成分(A)及び(B)を含有する油相を微細かつ安定に乳化することができるので、界面活性剤によるべたつきを生じることなく安定な水中油型乳化組成物を得ることができる。ただし、少なすぎると安定な水中油型乳化組成物が得られ難く、多すぎるとべたつきを生じやすい傾向がある。
【0025】
さらに本発明の化粧料は、総油分量の10質量%以上、好ましくは20質量%以上の非極性油(成分D)を含有する。
本発明における非極性油は、一般に非極性油又は低極性油として知られたものでよく、特に限定されないが、例えば、水添ポリデセン、ミネラルオイル、スクワラン等の炭化水素油から選択される。
【0026】
本発明の水中油型乳化化粧料においては、油相の平均乳化粒子径を700nm以下にしたことも特徴とする。粒子径が700nmを超えていると製剤安定性や使用感が悪くなる傾向がある。
乳化方法は、油相を700nm以下にまで微細に乳化できる限り任意の方法を採用できる。例えば、高圧乳化法や、少量の水の存在下(あるいは非存在下)で多価アルコールなどの親水性溶媒を用いる微細乳化法(例えば特公昭57−29213号公報、特開2006−182724号公報など)などが挙げられるが、これらに制限されるものではない。
【0027】
具体的な製法としては、例えば、水の一部と油相成分と乳化剤を混合し、高圧乳化機で乳化し、その他の成分を添加混合する方法、あるいは、水相成分の一部と乳化剤とを混合し、これに油相成分を混合溶解したものを添加して、ホモミキサーで乳化し、この乳化物にその他の成分を添加混合する方法などが好適に用いられる。
【0028】
本発明の化粧料には、上記必須成分に加えて、本発明の効果を特に阻害しない限り、化粧料に配合可能な他の成分を配合してよい。例えば、粉末成分、液体油脂、固体油脂、ロウ、炭化水素、高級脂肪酸、高級アルコール、エステル、シリコーン、アニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤、両性界面活性剤、非イオン界面活性剤、保湿剤、水溶性高分子、増粘剤、皮膜剤、紫外線吸収剤、紫外線散乱剤、金属イオン封鎖剤、低級アルコール、多価アルコール、糖、アミノ酸、有機アミン、高分子エマルジョン、pH調整剤、皮膚栄養剤、ビタミン、酸化防止剤、酸化防止助剤、香料、水等を必要に応じて適宜配合することができる。
【0029】
例えば、本発明の化粧料には、前記成分(A)及び(B)以外の有機紫外線吸収剤を含有してもよい。配合可能な有機紫外線吸収剤としては、化粧料に通常使用される油性紫外線吸収剤が挙げられる。例えば、トリアジン系紫外線吸収剤(例えば、ビスレゾルシニルトリアジン等);オクチルトリアゾン(2,4,6−トリス[4−(2−エチルヘキシルオキシカルボニル)アニリノ]1,3,5−トリアジン);安息香酸系紫外線吸収剤(例えば、パラアミノ安息香酸(以下、PABAと略す)、PABAモノグリセリンエステル、N,N−ジプロポキシPABAエチルエステル、N,N−ジエトキシPABAエチルエステル、N,N−ジメチルPABAエチルエステル、N,N−ジメチルPABAブチルエステル、N,N−ジメチルPABAエチルエステル等);アントラニル酸系紫外線吸収剤(例えば、ホモメンチル−N− アセチルアントラニレート等);サリチル酸系紫外線吸収剤(例えば、アミルサリシレート、メンチルサリシレート、ホモメンチルサリシレート、オクチルサリシレート、フェニルサリシレート、ベンジルサリシレート、p−イソプロパノールフェニルサリシレート等);3−(4‘−メチルベンジリデン)−d,l−カンファー、3−ベンジリデン−d,l−カンファー;2−フェニル−5−メチルベンゾキサゾール;2,2’−ヒドロキシ−5−メチルフェニルベンゾトリアゾール;2−(2‘−ヒドロキシ−5’−t−オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール;2−(2‘−ヒドロキシ−5’−メチルフェニルベンゾトリアゾール;ジベンザラジン;ジアニソイルメタン;4−メトキシ−4‘−t−ブチルジベンゾイルメタン;5−(3,3−ジメチル−2−ノルボルニリデン)−3−ペンタン−2−オン、メチレンビスベンゾトリアゾリルテトラメチルブチルフェノール、4,4−ジアリールブタジェン等が挙げられる。
【0030】
本発明の水中油型乳化化粧料は、日焼け止め機能が望まれる各種化粧料に適用可能であり、乳液、クリーム、化粧下地料の他、ファンデーション、口紅などのメークアップ化粧料にも適用可能である。
本発明の化粧料は、水中油型乳化物が元来有するみずみずしい使用感触を持ち、なおかつ優れた紫外線防御能を発揮するため、水中油型乳化タイプの日焼け止め化粧料としての用途に特に適したものである。
【実施例】
【0031】
以下に具体例を挙げて本発明を更に詳細に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。また、以下の実施例等における配合量は特に断らない限り質量%を示す。
【0032】
(実施例及び比較例)
下記表1に掲げた組成の乳化組成物を調製し、次に示す特性について評価した。
評価項目:
(1)乳化安定性
被験試料を50℃で1ヵ月保存した後の外観を肉眼で観察し、下記の基準で評価した。
○:油浮きやクリーミングなどがない。
×:油浮きやクリーミングがある。
(2)平均乳化粒子径
組成物の調製直後の乳化粒子の粒度分布をゼータサイザー(Zetasizer Nano ZS (シスメックス株式会社))で測定した。また、表中「以上」又は「以下」と記載されているものは、目視判定により「700nm以上」又は「700nm以下」とされたことを意味する。
(3)使用感(べたつき)
女性パネラー20名によって各組成物を顔部に手で塗布してもらい、なじみ際のべたつき具合についてアンケートを行い、以下の基準で評価した。
○:べたつかないと答えたパネラーが16名以上。
△:べたつかないと答えたパネラーが6名以上、15名以下。
×:べたつかないと答えたパネラーが5名以下。
(4)紫外線防御能
各組成物の紫外線防御能をin vitro SPECTRO PHOTOMETER U−4100(HITACHI)で測定し、下記の基準で評価した。
高:(310nmでの吸光度が基準サンプル(in vivo測定値SPF30)よりも高い。
Std:(310nmでの吸光度が基準サンプル(in vivo測定値SPF16)よりも高い。
低:(310nmでの吸光度が基準サンプル(in vivo測定値SPF16)よりも低い。
(5)溶解安定性
各組成物の油分を溶解させた後低温(0℃)に1ヶ月保存した後の析出物を肉眼で観察し、下記の基準で評価した。
○:結晶が析出しない。
×:結晶が析出した。
【0033】
【表1】

【0034】
表1の実施例1の組成において、油(水添ポリブテン又はミネラルオイル)を下記表2に掲げた油に置換した場合の特性を同様にして評価した。
【表2】

【0035】
表1の実施例1の組成において、界面活性剤(PPG−8セテス−20又はPEG/PPG−50/40ジメチルエーテル)を下記表3に掲げた界面活性剤に置換した場合の特性を同様にして評価した。
【表3】

【0036】
表1の実施例1の組成において、各必須成分の配合量を下記表4に記載したように変化させた場合の特性を同様にして評価した。
【表4】

【0037】
以上の結果から明らかなように、本発明の水中油型乳化化粧料は、オクチルメトキシシンナメート又はt−ブチルメトキシジベンゾイルメタン及び/又は2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノンのいずれか一方を含まない場合、あるいは所定量未満しか含まない場合には、十分な紫外線防御能が得られず、安定性にも劣っている。逆に、いずれかを過剰に含む場合は、紫外線防御能は向上するが安定性は低下してしまう傾向がある。
また、非極性油を十分に配合しない場合にも安定性が低下する傾向がある。
さらに、特定構造のブロックポリマーを用いない場合、あるいは所定量で用いない場合は、700nm以下の平均乳化粒子径が達成されず、安定性にも劣るものとなった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)1〜7.5質量%のオクチルメトキシシンナメート、
(B)0.5〜4質量%のt−ブチルメトキシジベンゾイルメタン及び/又は2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、
(C)0.5〜3質量%の下記一般式(1)又は(2)で示されるポリオキシエチレン・ポリオキシアルキレンアルキルエーテルブロックポリマー:
0−(AO)m−(EO)n−H ・・・(1)
[式中、Rは炭素数16〜18の炭化水素基、AOは炭素数3〜4のオキシアルキレン基であり、AOとEOとはブロック状に付加しており、m、nはそれぞれAO、EOの平均付加モル数を意味し、m>4、n>10、かつn>mである];
O−(AO)p−(EO)q−R ・・・(2)
[式中、R、Rは同一もしくは異なっていてもよく、それぞれ炭素数1〜4の炭化水素基、AOは炭素数3〜4のオキシアルキレン基、EOはオキシエチレン基であり、AOとEOとはブロック状に付加しており、p、qはそれぞれAO、EOの平均付加モル数を意味し、1≦p≦70、1≦q≦70、且つ0.2<(q/(p+q))<0.8である]、及び
(D)総油分量に対して10質量%以上の非極性油を含有し、
平均乳化粒子径が700nm以下であることを特徴とする水中油型日焼け止め化粧料。

【公開番号】特開2011−157282(P2011−157282A)
【公開日】平成23年8月18日(2011.8.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−17893(P2010−17893)
【出願日】平成22年1月29日(2010.1.29)
【出願人】(000001959)株式会社 資生堂 (1,748)
【Fターム(参考)】