説明

水中油型乳化日焼け止め化粧料

【課題】(a)アクリル酸・メタクリル酸アルキル共重合体を高分子乳化剤として含有する水中油型乳化日焼け止め化粧料において、安定性と使用感に優れた日焼け止め化粧料を提供すること。
【解決手段】下記成分(a)〜(e)を含有することを特徴とする水中油型乳化日焼け止め化粧料。
(a)アクリル酸・メタクリル酸アルキル共重合体
(b)下記式(I)で示されるブロック型アルキレンオキシド誘導体
1O−[(AO)l(EO)m(AO)n]−R2 (I)
(式中、AOは炭素数3〜4のオキシアルキレン基、EOはオキシエチレン基、l、m及びnはそれぞれ前記オキシアルキレン基、オキシエチレン基の平均付加モル数で、1≦m≦70、1≦l+n≦70である。炭素数3〜4のオキシアルキレン基とオキシエチレン基の合計に対するオキシエチレン基の割合は20〜80質量%である。R1及びR2は同一もしくは異なっていてもよい炭素数1〜4の炭化水素基又は水素原子である。)
(c)紫外線吸収剤
(d)油分
(e)水

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は水中油型乳化日焼け止め化粧料に関する。さらに詳しくは、アクリル酸・メタクリル酸アルキル共重合体を高分子乳化剤として含有する水中油型乳化日焼け止め化粧料において、乳化安定性と使用感を向上させた水中油型乳化日焼け止め化粧料に関する。
【背景技術】
【0002】
日焼け止め化粧料に使用する水中油型乳化組成物は、高分子乳化剤としてアクリル酸・メタクリル酸アルキル共重合体を配合することが少なくない。
しかしながら、アクリル酸・メタクリル酸アルキル共重合体により乳化した水中油型乳化組成物は、その乳化力が比較的弱いため、高い乳化安定性を得ることは困難であった。 また、アクリル酸・メタクリル酸アルキル共重合体により乳化した水中油型乳化組成物においては、その乳化安定性を維持するために、増粘剤としてカルボキシビニルポリマーが併用されて配合されることが多い。
しかしながら、紫外線吸収剤が配合された水中油型乳化組成物に関しては、高い乳化安定性と優れた使用感とを両立させた水中油型乳化組成物を得ることは必ずしも容易ではない場合が多かった。
【0003】
特許文献1には、アクリル酸メタクリル酸アルキル共重合体を含有する外用組成物(水中油型乳化組成物)が開示されている。特許文献1の外用組成物では、通常、増粘剤として使用されるカルボキシビニルポリマーの代わりに、サクシノグルカンと水膨潤性粘土鉱物とが配合され、長期安定性及び使用感が改善されている。
しかしながら、当該乳化組成物は、結果としてほど良い使用感が得られているものの、カルボキシビニルポリマーとアクリル酸メタクリル酸アルキル共重合体を含有する場合に発揮される優れた使用感を得るまでには至っていない。
【0004】
また、アクリル酸メタクリル酸アルキル共重合体を高分子乳化剤として含有する先行文献として、特許文献2には、アクリル酸メタクリル酸アルキル共重合体、2−アクリルアミド−2メチルプロパンスルホン酸またはその塩/ポリオキシエチレンアルキルエーテルメタクリレートのコポリマー、アルキレンオキシド誘導体等を含有する水中油型乳化白濁皮膚化粧料が開示されている。
従来、アクリル酸・メタクリル酸アルキル共重合体等の高分子乳化剤で乳化した基剤は、ガラス瓶等の親水性の強い容器でしかその安定性を保つことが出来ず、比較的疎水的な容器(ポリエチレン容器やポリプロピレン容器等)においても、優れた安定性を保つことは極めて困難であった。
【0005】
一方、本発明の必須成分である(b)特定構造を有するブロック型アルキレンオキシド誘導体は公知の化粧料配合成分であり、例えば特許文献3には、当該特定構造のブロック型アルキレンオキシド誘導体を含有するゲル状組成物が開示され、クレンジングオイルやヘアオイルとして利用されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2000−159630号公報
【特許文献2】特開2009−215283号公報
【特許文献3】特開2008−19239号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明者は、上述の観点に鑑み、高分子乳化剤としてアクリル酸・メタクリル酸アルキル共重合体と紫外線吸収剤とを配合する水中油型乳化日焼け止め化粧料において、優れた安定性と使用感を発揮する水中油型乳化組成物を得るべく鋭意研究を重ねた結果、特定構造を有するブロック型アルキレンオキシド誘導体を配合すると、優れた安定性と優れた使用感とを有する水中油型乳化日焼け止め化粧料が得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0008】
本発明の目的は、高分子乳化剤としてアクリル酸・メタクリル酸アルキル共重合体を配合する水中油型乳化日焼け止め化粧料において、優れた安定性と使用感を有する水中油型乳化日焼け止め化粧料を提供することにある。
また、従来、アクリル酸・メタクリル酸アルキル共重合体等の高分子乳化剤で乳化した基剤は、ガラス瓶等の親水性の強い容器でしかその安定性を保つことが出来なかったが、比較的疎水的な容器(ポリエチレン容器やポリプロピレン容器等)においても、優れた安定性を保つことが可能な水中油型乳化日焼け止め化粧料を提供することも、本発明の目的である。
【課題を解決するための手段】
【0009】
すなわち、本発明は、下記成分(a)〜(e)を含有することを特徴とする水中油型乳化日焼け止め化粧料を提供するものである。
(a)アクリル酸・メタクリル酸アルキル共重合体
(b)下記式(I)で示されるブロック型アルキレンオキシド誘導体
[化1]
1O−[(AO)l(EO)m(AO)n]−R2 (I)
(式中、AOは炭素数3〜4のオキシアルキレン基、EOはオキシエチレン基、l、m及びnはそれぞれ前記オキシアルキレン基、オキシエチレン基の平均付加モル数で、1≦m≦70、1≦l+n≦70である。炭素数3〜4のオキシアルキレン基とオキシエチレン基の合計に対するオキシエチレン基の割合は20〜80質量%である。R1及びR2は同一もしくは異なっていてもよい炭素数1〜4の炭化水素基又は水素原子である。)
(c)紫外線吸収剤
(d)油分
(e)水
【0010】
また、本発明は、前記ブロック型アルキレンオキシド誘導体が、POE(22)POP(40)ジメチルエーテル、POE(35)POP(40)ジメチルエーテル、POE(50)POP(40)ジメチルエーテルからなる群から選択される1種又は2種以上であることを特徴とする上記の水中油型乳化日焼け止め化粧料を提供するものである。
【0011】
さらに、本発明は、水中油型乳化日焼け止め化粧料の全量に対して、前記(a)成分の配合量が0.01〜0.1質量%であり、前記(b)成分の配合量が0.01〜1質量%
であり、前記(c)成分の配合量が3〜15質量%であり、前記(d)成分の配合量が1〜25質量%であることを特徴とする上記の水中油型乳化日焼け止め化粧料を提供するものである。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、優れた安定性と優れた使用感を有する水中油型乳化日焼け止め化粧料を提供出来る。
従来、アクリル酸・メタクリル酸アルキル共重合体等の高分子乳化剤で乳化した水中油型乳化日焼け止め化粧料は、ガラス等の親水性の強い容器でしかその安定性を保つことが出来なかったが、本発明によれば、比較的疎水的な容器(ポリエチレン容器やポリプロピレン容器等)においても優れた安定性を保つことが出来る。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明について詳述する。
【0014】
「(a)アクリル酸・メタクリル酸アルキル共重合体」
本発明で用いるアクリル酸・メタクリル酸アルキル共重合体は、高分子乳化剤として機能する配合成分であり、例えば、カーボポール(Carbopol)1342、ペミュレン(Pemulen)TR-1、ペミュレン(Pemulen)TR-2の商品名で知られている市販品を使用することができる。
【0015】
アクリル酸メタクリル酸アルキル共重合体の配合量は特に限定されないが、水中油型乳化日焼け止め化粧料全量に対して、0.3質量%以下が好ましい。特に好ましくは、水中油型乳化日焼け止め化粧料全量に対して、0.01〜0.1質量%である。
【0016】
なお、本発明においては、増粘剤として通常用いられている、アルキル変性されていないカルボキシビニルポリマー、例えば、カーボポール(Carbopol)941、シンタレンK、シンタレンL等を必須成分のアクリル酸・メタクリル酸アルキル共重合体と組み合わせて配合すると、乳化粒子の均一性に優れた安定な水中油型乳化日焼け止め化粧料を調製することができる。
【0017】
「(b)ブロック型アルキレンオキシド誘導体」
本発明で用いるブロック型アルキレンオキシド誘導体は、下記式(I)で示される。
[化2]
1O−[(AO)l(EO)m(AO)n]−R2 (I)
(式中、AOは炭素数3〜4のオキシアルキレン基、EOはオキシエチレン基、l、m及びnはそれぞれ前記オキシアルキレン基、オキシエチレン基の平均付加モル数で、1≦m≦70、1≦l+n≦70である。炭素数3〜4のオキシアルキレン基とオキシエチレン基の合計に対するオキシエチレン基の割合は20〜80質量%である。R1及びR2は同一もしくは異なっていてもよい炭素数1〜4の炭化水素基又は水素原子である。)
【0018】
上記式(I)において、AOは炭素数3〜4のオキシアルキレン基であり、具体的には、オキシプロピレン基、オキシブチレン基、オキシイソブチレン基、オキシトリメチレン基、オキシテトラメチレン基などが挙げられる。好ましくは、オキシプロピレン基、オキシブチレン基が挙げられる。なお、EOはオキシエチレン基である。
mはオキシエチレン基の平均付加モル数であり、1≦m≦70、好ましくは5≦m≦55である。l、nは炭素数3〜4のオキシアルキレン基の平均付加モル数であり、1≦l+n≦70、好ましくは2≦l+n≦50である。炭素数3〜4のオキシアルキレン基またはオキシエチレン基が0であるとなめらかさが落ち、70を超えると洗浄後のべたつき感がでてくる傾向にある。
【0019】
1及びR2は炭素数1〜4の炭化水素基もしくは水素原子であり、炭化水素基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基などが挙げられる。好ましくはメチル基、エチル基である。炭素数5以上の炭化水素基では親水性が低下し、潤い感が低下する傾向にある。
また、R1及びR2はそれぞれ同種のものを用いても、炭素数1〜4の炭化水素基と水素原子とが混在しても、異種の炭素数1〜4の炭化水素基が混在してもよい。より好ましくは、R1及びR2が同一もしくは異なっていてもよい炭素数1〜4の炭化水素基である。R1及びR2が共に水素原子、又は炭化水素と水素原子が混在するものでは、ベタツキ感がやや劣る。
【0020】
本発明に用いるアルキレンオキシド誘導体としては、具体的には、POE(9)POP(2)ジメチルエーテル、POE(14)POP(7)ジメチルエーテル、POE(10)POP(10)ジメチルエーテル、POE(6)POP(14)ジメチルエーテル、POE(15)POP(5)ジメチルエーテル、POE(25)POP(25)ジメチルエーテル、POE(7)POP(12)ジメチルエーテル、POE(22)POP(40)ジメチルエーテル、POE(35)POP(40)ジメチルエーテル、POE(50)POP(40)ジメチルエーテル、POE(55)POP(30)ジメチルエーテル、POE(30)POP(34)ジメチルエーテル、POE(25)POP(30)ジメチルエーテル、POE(27)POP(14)ジメチルエーテル、POE(55)POP(28)ジメチルエーテル、POE(36)POP(41)ジメチルエーテル、POE(7)POP(12)ジメチルエーテル、POE(17)POP(4)ジメチルエーテル、POE(9)POB(2)ジメチルエーテル、POE(14)POB(7)ジメチルエーテル、POE(10)POP(10)ジエチルエーテル、POE(10)POP(10)ジプロピルエーテル、POE(10)POP(10)ジブチルエーテル、POE(52)POB(32)ジメチルエーテル、POE(34)POB(14)ジメチルエーテル、POE(35)POB(32)ジメチルエーテル、POE(23)POB(32)ジメチルエーテル、POE(45)POB(28)ジメチルエーテル、POE(35)POP(30)グリコール、POE(35)POB(32)グリコール等が挙げられる。
特に好ましくは、POE(22)POP(40)ジメチルエーテル、POE(35)POP(40)ジメチルエーテル、POE(50)POP(40)ジメチルエーテルからなる群から選択される1種又は2種以上である。
なお、上記POE、POP、POBは、それぞれポリオキシエチレン、ポリオキシプロピレン、ポリオキシブチレンの略であり、以下、このように略して記載することがある。
【0021】
上記の(b)ブロック型アルキレンオキシド誘導体は公知の方法で製造することができる。例えば、水酸基を有している化合物にエチレンオキシド及び炭素数3〜4のアルキレンオキシドを付加重合した後、ハロゲン化アルキルをアルカリ触媒の存在下にエーテル反応させることによって得られる。
【0022】
ブロック型アルキレンオキシド誘導体の配合量は、水中油型乳化日焼け止め化粧料全量に対して、0.01〜1質量%が好ましく、さらに好ましくは0.1〜0.5質量%である。配合量が0.01質量%未満では、配合による効果の発現が十分でない場合があり、また1質量%を超えると、塗布中にぬめりを感じる場合がある。
【0023】
「(c)紫外線吸収剤」
本発明で用いる紫外線吸収剤は、例えば、メトキシケイヒ酸エチルヘキシル、オクトクリレン、ジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシル等が好ましく使用される。特に本発明では、(c)成分として、メトキシケイヒ酸エチルヘキシル、オクトクリレン、ジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシルの三種のうち一種以上の紫外線吸収剤を配合することが好ましく、三種全てを配合することも好ましい。
【0024】
紫外線吸収剤の配合量は、特に限定されないが、水中油型乳化日焼け止め化粧料全量に対して、3質量%以上が好ましく、さらに好ましくは3〜15質量%である。
【0025】
「(d)油分」
本発明で用いる油分は、特に限定されず、通常化粧料に使用される炭化水素油、高級脂肪酸、高級アルコール、合成エステル油、シリコーン油などが挙げられ、上記(b)アルキレンオキシド誘導体を溶解しうる、一種類以上の油分を用いることができる。
特に好ましい油分としては、ワセリン、流動パラフィン、イソドデカン、アミノ変性高分子シリコーン/ジメチルポリシロキサンなどである。
【0026】
炭化水素油としては、例えば、流動パラフィン、オゾケライト、スクワラン、プリスタン、パラフィン、セレシン、スクワレン、ワセリン、マイクロクリスタリンワックス等が挙げられる。
【0027】
高級脂肪酸としては、例えば、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘン酸、オレイン酸、ウンデシレン酸、トール酸、イソステアリン酸、リノール酸、リノレイン酸、エイコサペンタエン酸(EPA)、ドコサヘキサエン酸(DHA)等が挙げられる。
【0028】
高級アルコールとしては、例えば、直鎖アルコール(例えば、ラウリルアルコール、セチルアルコール、ステアリルアルコール、ベヘニルアルコール、ミリスチルアルコール、オレイルアルコール、セトステアリルアルコール等);分枝鎖アルコール(例えば、モノステアリルグリセリンエーテル(バチルアルコール)、2-デシルテトラデシノール、ラノリンアルコール、コレステロール、フィトステロール、ヘキシルドデカノール、イソステアリルアルコール、オクチルドデカノール等)等が挙げられる。
【0029】
合成エステル油としては、例えば、ミリスチン酸イソプロピル、オクタン酸セチル、ミリスチン酸オクチルドデシル、パルミチン酸イソプロピル、ステアリン酸ブチル、ラウリン酸ヘキシル、ミリスチン酸ミリスチル、オレイン酸デシル、ジメチルオクタン酸ヘキシルデシル、乳酸セチル、乳酸ミリスチル、酢酸ラノリン、ステアリン酸イソセチル、イソステアリン酸イソセチル、 12-ヒドロキシステアリン酸コレステリル、ジ-2-エチルヘキサン酸エチレングリコール、ジペンタエリスリトール脂肪酸エステル、モノイソステアリン酸N-アルキルグリコール、ジカプリン酸ネオペンチルグリコール、リンゴ酸ジイソステアリル、ジ-2-ヘプチルウンデカン酸グリセリン、トリ-2-エチルヘキサン酸トリメチロールプロパン、トリイソステアリン酸トリメチロールプロパン、テトラ-2-エチルヘキサン酸ペンタエリスリトール、トリ-2-エチルヘキサン酸グリセリン、トリオクタン酸グリセリン、トリイソパルミチン酸グリセリン、トリイソステアリン酸トリメチロールプロパン、セチル2-エチルヘキサノエート、2-エチルヘキシルパルミテート、トリミリスチン酸グリセリン、トリ-2-ヘプチルウンデカン酸グリセライド、ヒマシ油脂肪酸メチルエステル、オレイン酸オレイル、アセトグリセライド、パルミチン酸2-ヘプチルウンデシル、アジピン酸ジイソブチル、N-ラウロイル-L-グルタミン酸-2-オクチルドデシルエステル、アジピン酸ジ-2-ヘプチルウンデシル、エチルラウレート、セバシン酸ジ−2-エチルヘキシル、ミリスチン酸2-ヘキシルデシル、パルミチン酸2-ヘキシルデシル、アジピン酸2-ヘキシルデシル、セバシン酸ジイソプロピル、コハク酸2-エチルヘキシル、クエン酸トリエチル等が挙げられる。
【0030】
シリコーン油としては、例えば鎖状ポリシロキサン(例えば、ジメチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、ジフェニルポリシロキサン等);環状ポリシロキサン(例えば、オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、ドデカメチルシクロヘキサシロキサン等)、3次元網目構造を形成しているシリコーン樹脂、シリコーンゴム、各種変性ポリシロキサン(アミノ変性ポリシロキサン、ポリエーテル変性ポリシロキサン、アルキル変性ポリシロキサン、フッ素変性ポリシロキサン等)、アクリルシリコーン類等が挙げられる。
【0031】
油分の配合量は特に限定されないが、水中油型乳化日焼け止め化粧料全量に対して、1〜25質量%が好ましく、さらに好ましくは3〜15質量%である。
油分の配合量が1質量%未満では使用性が損なわれ、25質量%を超えると安定性に問題を生じる場合がある。
【0032】
「(e)水」
本発明で用いる水は特に限定されず、具体的に示すとすれば、精製水、イオン交換水等が挙げられる。
水の配合量は、上記アルキレンオキシド誘導体と油分の配合量にもよるが、水中油型乳化日焼け止め化粧料全量に対してに対して50〜95質量%が好ましく、さらに好ましくは、60〜85質量%である。
水の配合量が上記範囲外であると、水中油型乳化日焼け止め化粧料の安定性が損なわれる場合が生じる。
【0033】
「水中油型乳化日焼け止め化粧料」
本発明の水中油型乳化日焼け止め化粧料は、上記必須成分の他、本発明の効果を損なわない範囲で、保湿剤、粉末、アルコール、天然高分子、合成高分子、界面活性剤、糖類、酸化防止剤、各種抽出液、色素、香料等の通常化粧料に配合される成分を適宜配合することができ、常法によって製造される。
本発明の水中油型乳化日焼け止め化粧料は極めて優れた安定性を有する乳化日焼け止め化粧料である。
本発明の水中油型乳化日焼け止め化粧料は、みずみずしさ、しっとりさ、なじみの早さ、べたつきのなさの点で、優れた使用感を有し、例えば、O/W型乳液やO/W型ジェルとして好適に利用される。
【実施例】
【0034】
以下に実施例を挙げて本発明を更に具体的に説明するが、本発明はこれによって限定されるものではない。なお、特に断りのない限り、配合量は全量に対する質量%を表す。
【0035】
「表1」及び「表2」に示す処方にて、常法により、水中油型乳化日焼け止め化粧料である乳液を製造し、以下の評価を行った。
【0036】
「乳化安定性」
試料を、ガラス瓶(ガラス製容器)、ポリエチレン製容器、ポリプロピレン製容器に充填し、50℃の恒温槽に4週間放置した。放置後の状態を目視及び顕微鏡にて観察し、実施例及び比較例の安定性を下記の評価基準に従って評価した。
【0037】
<評価基準>
◎:初期状態から乳化粒子の大きさがほとんどかわらず、その大きさは10μm程度以下である。
○:乳化粒子の大きさが10〜20μm程度で収まっている。
△:20μm以上の大きさに乳化粒子が合一しており、油浮きが散見される。
×:乳化破壊を起こしている。
【0038】
「使用感」
研究員10名により、実施例及び比較例の乳液を腕に塗布して実使用試験を行い、べたつきのなさについて、以下の評価基準により評価した。
【0039】
<塗布後のべたつきのなさ>
○:6名以上がべたつきのなさに優れていると回答した。
△:3〜5名がべたつきのなさに優れていると回答した。
×:2名未満がべたつきのなさに優れていると回答した。


【0040】
【表1】

*1:ペミュレン(Pemulen)TR-2






【0041】
【表2】

*1:ペミュレン(Pemulen)TR-2
【0042】
上記「表1」及び「表2」の実施例と比較例との結果より、(a)〜(e)成分を有する本発明の実施例は、比較例に比べ、顕著に安定性に優れかつ使用感にも優れていることが分かる。
以下に本発明のその他の実施例を挙げる。
【0043】
〔実施例7:O/W型乳液〕
配合成分 質量%
(1) エタノール 15
(2) 1,3―ブチレングリコール 2
(3) エデト酸3−ナトリウム 適量
(4) アクリル酸・メタクリル酸アルキル共重合体 0.1
(5) カルボキシビニルポリマー 0.1
(6) ラウリルジメチルアミノ酢酸ベタイン 0.1
(7) トリエタノールアミン 0.3
(8) POE(35)POP(40)ジメチルエーテル 0.1
(9) イソドデカン 1
(10)ポリオキシブチレンポリオキシプロピレングリコール 2
(11)メトキシケイヒ酸エチルヘキシル 7.5
(12)オクトクリレン 2
(13)ベヘニルアルコール 0.1
(14)バチルアルコール 0.1
(15)ジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシル 2
(16)無水ケイ酸 1
(17)ジメチコン 2
(18)精製水 残余
製造方法:
(18)に(2)〜(5)を混合し、水相とする。次に(9)〜(12)を混合し、その中で(13)〜(15)を加熱溶解する(油相)。水相に(6)〜(8)を加え、次に油相と混合し乳化を行う。その後、(16)を分散させた(1)、(17)の順番で水相に混合する。最後に乳化機にて乳化処理を行う。
【産業上の利用可能性】
【0044】
本発明の水中油型乳化日焼け止め化粧料は乳化安定性と使用感に優れているので、日焼け止め化粧料として極めて有用である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記成分(a)〜(e)を含有することを特徴とする水中油型乳化日焼け止め化粧料。
(a)アクリル酸・メタクリル酸アルキル共重合体
(b)下記式(I)で示されるブロック型アルキレンオキシド誘導体
[化1]
1O−[(AO)l(EO)m(AO)n]−R2 (I)
(式中、AOは炭素数3〜4のオキシアルキレン基、EOはオキシエチレン基、l、m及びnはそれぞれ前記オキシアルキレン基、オキシエチレン基の平均付加モル数で、1≦m≦70、1≦l+n≦70である。炭素数3〜4のオキシアルキレン基とオキシエチレン基の合計に対するオキシエチレン基の割合は20〜80質量%である。R1及びR2は同一もしくは異なっていてもよい炭素数1〜4の炭化水素基又は水素原子である。)
(c)紫外線吸収剤
(d)油分
(e)水
【請求項2】
前記ブロック型アルキレンオキシド誘導体が、POE(22)POP(40)ジメチルエーテル、POE(35)POP(40)ジメチルエーテル、POE(50)POP(40)ジメチルエーテルからなる群から選択される1種又は2種以上であることを特徴とする請求項1記載の水中油型乳化日焼け止め化粧料。
【請求項3】
水中油型乳化日焼け止め化粧料全量に対して、前記(a)成分の配合量が0.01〜0.1質量%であり、前記(b)成分の配合量が0.01〜1質量%であり、前記(c)成分の配合量が3〜15質量%であり、前記(d)成分の配合量が1〜25質量%であることを特徴とする請求項1又は2記載の水中油型乳化日焼け止め化粧料。

【公開番号】特開2012−140342(P2012−140342A)
【公開日】平成24年7月26日(2012.7.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−292493(P2010−292493)
【出願日】平成22年12月28日(2010.12.28)
【出願人】(000001959)株式会社 資生堂 (1,748)
【Fターム(参考)】