説明

水中油型乳化組成物

【課題】
光照射により劣化する油溶性薬剤の光安定性に優れ、保湿感、べたつきの無さ及び製剤安定性に優れる水中油型乳化組成物を提供すること。
【解決手段】
次の成分(A)〜(C);
(A)光照射により劣化する油溶性薬剤
(B)リン脂質
(C)特定の式で表される含フッ素単量体(a)及び別の特定の式で表されるアルコキシ基含有単量体を必須に含む単量体(b)とを必須に含む単量体を共重合して得られる含フッ素共重合体
を含有することを特徴とする水中油型乳化組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光照射により劣化する油溶性薬剤、リン脂質及び特定の含フッ素共重合体を含有することを特徴とする水中油型乳化組成物に関する。より詳細には、光照射により劣化する油溶性薬剤の光に対する安定性に優れ、保湿感、べたつきの無さ及び製剤の安定性に優れた水中油型乳化組成物に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、乳液、クリーム、化粧水、パック、分散液、洗浄料、軟膏、外用液等の水中油型乳化組成物には、これらに所定の薬効を付与することを目的として種々の薬剤が加えられている。
これら薬剤の中で、アスタキサンチン等のカロチノイド類は、抗酸化作用、活性酸素や一重項酸素の消去作用などを示し、老化防止、シミの予防・改善等の肌に有用な効果を有することが知られている。
また、ビタミンAなどのレチノイド類は、抗酸化作用を有しており光老化、夜盲症、角化性皮膚疾患等の治療・予防に有効であることが知られている。
また、コエンザイムQ10に代表されるユビキノンは、補酵素と呼ばれ、細胞が働くためのエネルギーを生み出す上で必要な栄養素である。たとえばコエンザイムQ10は、抗酸化、免疫力の向上、心臓機能の維持、動脈硬化の予防、血栓防止、悪玉コレステロールの減少、疲労回復、肌トラブルの改善などに有効であると言われており、化粧品や医薬品などに含有され、食品中にも含まれている。
【0003】
しかしながらこれら薬剤は製剤への配合を行う際に、その特徴的な構造のため、乳化が困難であったり、また低温での薬剤析出などの経時安定性に問題があった。
同時にこれら薬剤は、酸化安定性が悪く、特に光により酸化分解・変褪色が起こるため、製剤に配合した際にその薬剤効果を十分に発揮することが困難であった。
【0004】
そのため、これら薬剤を安定的に組成物中に含有させる検討がなされており、カロチノイド類にリン脂質、油性成分及び非イオン性界面活性剤を組み合わせることで、電解質を含有しても良好な乳化安定性を有する微細な乳化組成物を得る検討(例えば特許文献1参照)や、コエンザイムQ10をリン脂質、ポリグリセリン脂肪酸エステル及び多価アルコールと組み合わせることで低温での乳化安定性が良好な乳化組成物を得る検討(特許文献2参照)などがなされてきた。
その他にも、フラーレンを含有することによりカロチノイド類、レチノイド類及びユビキノンの光分解を抑制する検討(例えば特許文献3参照)や、ビタミンAを脂溶性抗酸化剤、水溶性抗酸化剤及びアミノ酸と組み合わせることで酸化分解を抑制する検討(例えば特許文献4)、コエンザイムQ10を抗酸化剤と組み合わせ、非水溶性被覆媒体で被覆することで安定化する検討(例えば特許文献5参照)などもなされてきた。
また、酸化チタンを容器素材中に練りこんだ遮光容器の利用によってこれら薬剤に対する露光を防ぐことによる薬剤安定化技術が取られてきた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2009−209146号公報
【特許文献2】特開2008−239580号公報
【特許文献3】特開2009−269915号公報
【特許文献4】特開平5−17350号公報
【特許文献5】国際公開第2005/035477号パンフレット
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1、2のように乳化滴を安定化させるために特定の非イオン性界面活性剤を含有し経時的に安定な乳化組成物を形成しても、光照射される環境においては、光照射により劣化する薬剤の安定化について効果は得られないため、薬剤の効果が十分に発揮されず、また界面活性剤特有のべたつきなどが有り、満足するものではなかった。
また特許文献3のようにフラーレンを含有したものにおいては保湿感などの肌効果において満足するものではなかった。
また、特許文献4の技術では、脂溶性抗酸化剤、水溶性抗酸化剤を配合することによって抗酸化剤特有のべたつきなどが有り、特許文献5の技術では、非水溶性被覆媒体で被覆することにより、保湿感などの肌効果において満足するものではなかった。
さらに、遮光容器を利用することで、光照射により劣化する薬剤や製剤を安定に保存できるが、カロチノイド類やユビキノン類特有の鮮やかな色彩が隠蔽されてしまうものであった。
以上のように、光照射により劣化する油溶性薬剤の光に対する安定性に優れ、保湿感、べたつきの無さ及び製剤の安定性に優れた水中油型乳化組成物の検討は十分ではなかった。
【課題を解決するための手段】
【0007】
かかる実情に鑑み、本発明者は上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、光照射により劣化する油溶性薬剤をリン脂質により乳化し、これに特定の含フッ素共重合体を添加することにより、油溶性薬剤の光安定性を向上できることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0008】
すなわち、本発明は次の成分(A)〜(C);
(A)光照射により劣化する油溶性薬剤
(B)リン脂質
(C)下記一般式(1)で表される含フッ素単量体(a)と、下記一般式(2)で表されるアルコキシ基含有単量体(b)とを必須に含む単量体を共重合して得られる含フッ素共重合体
CH=C(−X)−C(=O)−Y−[−(CH−Z−]−(CH−Rf ・・・・・(1)
[式中、Xは、水素原子、炭素数1〜21の直鎖状又は分岐状のアルキル基、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、CFX基(但し、X及びXは、それぞれ水素原子、フッ素原子、塩素原子、臭素原子又はヨウ素原子である。)、シアノ基、炭素数1〜20の直鎖状又は分岐状のフルオロアルキル基、置換又は非置換のベンジル基、置換又は非置換のフェニル基であり;Yは、−O−又は−NH−であり;Zは、直接結合、−S−又は−SO−であり;Rfは、炭素数1〜6のフルオロアルキル基であり;mは1〜10、nは0〜10、pは0又は1である。]
CH=C(R)−C(=O)−O−(RO)−R ・・・・(2)
[式中、Rは、水素原子又はメチル基であり;Rは、水素原子の一部又は全部が水酸基で置換されていてもよい炭素数2〜4のアルキレン基;Rは、水素原子または炭素数1〜22の不飽和または飽和の炭化水素基であり;qは、1〜50の整数である。]を含有することを特徴とする水中油型乳化組成物に関するものである。
【0009】
また前記成分(A)がカロチノイド類、ビタミンA及びその誘導体、コエンザイムQ10から選ばれる一種又は二種以上であることを特徴とする水中油型乳化組成物に関するものである。
【0010】
また前記成分(C)の含有量が0.1〜5質量%であることを特徴とする水中油型乳化組成物に関するものである。
【発明の効果】
【0011】
本発明の水中油型乳化組成物は光照射により劣化する油溶性薬剤の光に対する安定性に優れ、保湿感、べたつきの無さ及び製剤の安定性に優れものである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明を詳細に説明する。
【0013】
本発明に用いられる成分(A)の光照射により劣化する油溶性薬剤は、カロチノイド類、ビタミンA及びその誘導体、コエンザイムQ10、ビタミンD及びその誘導体ビタミンE及びその誘導体、ビタミンK及びその誘導体等が挙げられ、これらは必要に応じて一種、又は二種以上用いることができる。
これらのうち製剤安定性の観点から特にカロチノイド類、ビタミンA及びその誘導体、コエンザイムQ10が好ましい。
【0014】
また本発明において「光照射により劣化する」とは、太陽光や店頭ディスプレー照明、家庭用蛍光灯による露光によって薬剤が酸化分解や変褪色などをすることである。
【0015】
本発明の成分(A)のカロチノイド類としてはアスタキサンチン、リコピン、β−カロチン、ゼアキサンチン、ルテイン、カンタキサンチン、クリプトキサンチン、ビオラキサンチン、カプサンチン、フコキサンチン及びこれらの誘導体が挙げられる。
誘導体としては、例えば、グリシン、アラニン等のアミノ酸とのエステル類、酢酸、クエン酸等のカルボン酸とのエステル及びその塩類、リン酸、硫酸等の無機酸とのエステル及びその塩類、またはエイコサペンタエン酸やドコサヘキサエン酸等の高度不飽和脂肪酸、オレイン酸やリノール酸等の不飽和脂肪酸や、パルミチン酸やステアリン酸等の飽和脂肪酸等との脂肪酸エステル類等から選択されるモノエステル体及び同種または異種のジエステル体、グルコシド等の配糖体類等が挙げられる。
本発明に用いられるカロチノイド類としては、化学合成品を用いてもよいし、また、植物、動物、微生物などの天然物から抽出されたものであってもよく、その原料の種類や産地、製法は特に限定されない。
【0016】
本発明の成分(A)のビタミンA及びその誘導体としては、レチノール、酢酸レチノール、パルミチン酸レチノール、酪酸レチノール、プロピオン酸レチノール、オクチル酸レチノール、ラウリル酸レチノール、オレイン酸レチノール、リノレン酸レチノール、レチナール、レチノイン酸、レチノイン酸メチル、レチノイン酸エチル、レチノイン酸レチノール、ビタミンAパルミチン酸エステルなどのビタミンA脂肪酸エステル、δ-トコフェリルレチノエート、α-トコフェリルレチノエートおよびβ-トコフェリルレチノエートなどが挙げられる。
本発明に用いられるビタミンA及びその誘導体としては、化学合成物を用いてもよいし、レチノールを含有する水産動物の組織等から得られる脂肪油、若しくはその濃縮物、又はそれらに植物油を適宜添加したものとして周知であるビタミンA油のように天然物から得られる抽出物を用いてもよい。
【0017】
本発明の成分(A)のコエンザイムQ10は、「ユビデカレノン」として日本薬局方に記載されている補酵素の一種であり、ユビキノン10、補酵素UQ10等と呼ばれることもある。自然界においては、酵母、鯖、鰯、小麦胚芽等の天然物に多く含まれており、熱水、含水アルコール、アセトン等の溶媒によってコエンザイムQ10を抽出することができる。工業的にも製造可能であり一般的には発酵法や合成法が知られている。
本発明に用いられるコエンザイムQ10は、化学合成物を用いてもよいし、天然物から抽出されたものであってもよい。
【0018】
本発明に用いられる成分(A)の含有量は、特に限定されないが、0.001〜1質量%(以下、単に「%」と略す)が好ましく、0.002〜0.5%がより好ましい。成分(A)をこの範囲で含有すると、製剤の安定性に優れる水中油型乳化組成物を得ることができる。
【0019】
本発明に用いられる成分(B)のリン脂質は光照射により劣化する油溶性薬剤の光安定性、保湿感、製剤の安定性を向上させる目的で含有するものである。
【0020】
成分(B)のリン脂質としては、化粧料に一般に用いられるものであれば、特に限定なく使用できるが、好ましい具体例としては、ホスファチジルコリン、ホスファチジルエタノールアミン、ホスファチジルセリン、ホスファチジルグリセロール、ホスファチジルイノシトール、スフィンゴリン脂質などが挙げられる。
さらに、成分(B)として、上記リン脂質の類似物あるいは上記リン脂質等を含有する組成物、すなわち大豆レシチン、卵黄レシチン、あるいはそれらの水素添加物、酵素処理によりリゾ化したリゾレシチン等も挙げられる。これらは、必要に応じて一種又は二種以上を適宜選択して組み合わせて用いることができる。具体的な商品としては日光ケミカルズ株式会社より提供されるNIKKOLレシノールS−10E、日清オイリオグループ株式会社より提供されるベイシスLS−60HR、キューピー株式会社より提供される卵黄リゾレシチンLPC−1等が挙げられる。
【0021】
本発明に用いられる成分(B)の含有量は、特に限定されないが、0.5〜5%が好ましく、1〜4%がより好ましい。この範囲であれば、光照射により劣化する油溶性薬剤の光安定性、製剤の安定性に優れる水中油型乳化組成物を得ることができる。
【0022】
本発明に用いられる成分(C)は、下記一般式(1)で表される含フッ素単量体(a)と、下記一般式(2)で表されるアルコキシ基含有単量体(b)とを必須に含む単量体を共重合して得られるものであり、光照射により劣化する油溶性薬剤の光安定性、べたつきの無さ及び製剤安定性を向上させる目的で配合されるものである。
【0023】
含フッ素単量体(a)は、下記一般式(1)で表される。
【0024】
CH=C(−X)−C(=O)−Y−[−(CH−Z−]−(CH−Rf ・・・・・(1)
[式中、Xは、水素原子、炭素数1〜21の直鎖状又は分岐状のアルキル基、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、CFX基(但し、X及びXは、それぞれ水素原子、フッ素原子、塩素原子、臭素原子又はヨウ素原子である。)、シアノ基、炭素数1〜20の直鎖状又は分岐状のフルオロアルキル基、置換又は非置換のベンジル基、置換又は非置換のフェニル基であり;Yは、−O−又は−NH−であり;Zは、直接結合、−S−又は−SO−であり;Rfは、炭素数1〜6のフルオロアルキル基であり;mは1〜10、nは0〜10、pは0又は1である。]
【0025】
アルコキシ基含有単量体(b)は、下記一般式(2)で表わされる。
CH=C(R)−C(=O)−O−(RO)−R ・・・・(2)
[式中、Rは、水素原子又はメチル基であり;Rは、水素原子の一部又は全部が水酸基で置換されていてもよい炭素数2〜4のアルキレン基;Rは、水素原子または炭素数1〜22の不飽和または飽和の炭化水素基であり;qは、1〜50の整数である。]
【0026】
上記一般式(1)において、pが0であることが好ましい。Xの好ましい例は水素原子である。
【0027】
上記一般式(1)において、Rfは一般にはパ−フルオロアルキル基および/または部分的にフッ素化されたフルオロアルキル基を表し、パ−フルオロアルキル基であることが好ましい。Rfのアルキル基の炭素数は1〜6であり、4、5または6が好ましく、特に6が好ましい。Rfの例は、−CF、−CFCF、−CFCFCF、CF(CF、−CFCFCFCF、−CFCF(CF、−C(CF、−(CFCF、−(CFCF(CF、−CFC(CF、−CF(CF)CFCFCF、−(CFCF等が挙げられる。
【0028】
(a)の含フッ素単量体は単独で使用することはもちろんのこと、二種以上を混合して用いてもよい。
【0029】
含フッ素単量体(a)としては、例えば、次のものが挙げられる。
CH=C(−X)−C(=O)−O−(CH−S−(CH−Rf
CH=C(−X)−C(=O)−O−(CH−SO−(CH−Rf
CH=C(−X)−C(=O)−O−(CH−Rf
CH=C(−X)−C(=O)−NH−(CH−Rf
[式中、Xは、水素原子、炭素数1〜21の直鎖状又は分岐状のアルキル基、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、CFX基(但し、X及びXは、それぞれ水素原子、フッ素原子、塩素原子、臭素原子又はヨウ素原子である。)、シアノ基、炭素数1〜20の直鎖状又は分岐状のフルオロアルキル基、置換又は非置換のベンジル基、置換又は非置換のフェニル基であり;Yは、−O−又は−NH−であり;Zは、直接結合、−S−又は−SO−であり;Rfは、炭素数1〜6のフルオロアルキル基であり;mは1〜10、nは0〜10、pは0又は1である。]
【0030】
上記一般式(1)のさらに具体的な例としては、以下のものが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
CH=C(−H)−C(=O)−O−(CH−S−Rf
CH=C(−H)−C(=O)−O−(CH−S−(CH−Rf
CH=C(−H)−C(=O)−O−(CH−SO−Rf
CH=C(−H)−C(=O)−O−(CH−SO−(CH−Rf
CH=C(−H)−C(=O)−O−(CH−Rf
CH=C(−H)−C(=O)−NH−(CH−Rf
CH=C(−H)−C(=O)−OCHCHN(C)SO−Rf
CH=C(−H)−C(=O)−OCHCHN(CH)SO−Rf
CH=C(−H)−C(=O)−OCHCH(OCOCH)SO−Rf
CH=C(−CH)−C(=O)−O−(CH−S−Rf
CH=C(−CH)−C(=O)−O−(CH−S−(CH−Rf
CH=C(−CH)−C(=O)−O−(CH−SO−Rf
CH=C(−CH)−C(=O)−O−(CH−SO−(CH−Rf
CH=C(−CH)−C(=O)−O−(CH−Rf
CH=C(−CH)−C(=O)−NH−(CH−Rf
CH=C(−CH)−C(=O)−OCHCHN(C)SO−Rf
CH=C(−CH)−C(=O)−OCHCHN(CH)SO−Rf
CH=C(−CH)−C(=O)−OCHCH(OCOCH)CH−Rf
【0031】
CH=C(−F)−C(=O)−O−(CH−S−Rf
CH=C(−F)−C(=O)−O−(CH−S−(CH−Rf
CH=C(−F)−C(=O)−O−(CH−SO−Rf
CH=C(−F)−C(=O)−O−(CH−SO−(CH−Rf
CH=C(−F)−C(=O)−O−(CH−Rf
CH=C(−F)−C(=O)−NH−(CH−Rf
CH=C(−Cl)−C(=O)−O−(CH−S−Rf
CH=C(−Cl)−C(=O)−O−(CH−S−(CH−Rf
CH=C(−Cl)−C(=O)−O−(CH−SO−Rf
CH=C(−Cl)−C(=O)−O−(CH−SO−(CH−Rf
CH=C(−Cl)−C(=O)−O−(CH−Rf
CH=C(−Cl)−C(=O)−NH−(CH−Rf
【0032】
CH=C(−CF)−C(=O)−O−(CH−S−Rf
CH=C(−CF)−C(=O)−O−(CH−S−(CH−Rf
CH=C(−CF)−C(=O)−O−(CH−SO−Rf
CH=C(−CF)−C(=O)−O−(CH−SO−(CH−Rf
CH=C(−CF)−C(=O)−O−(CH−Rf
CH=C(−CF)−C(=O)−NH−(CH−Rf
CH=C(−CFH)−C(=O)−O−(CH−S−Rf
CH=C(−CFH)−C(=O)−O−(CH−S−(CH−Rf
CH=C(−CFH)−C(=O)−O−(CH−SO−Rf
CH=C(−CFH)−C(=O)−O−(CH−SO−(CH−Rf
CH=C(−CFH)−C(=O)−O−(CH−Rf
CH=C(−CFH)−C(=O)−NH−(CH−Rf
CH=C(−CN)−C(=O)−O−(CH−S−Rf
CH=C(−CN)−C(=O)−O−(CH−S−(CH−Rf
CH=C(−CN)−C(=O)−O−(CH−SO−Rf
CH=C(−CN)−C(=O)−O−(CH−SO−(CH−Rf
CH=C(−CN)−C(=O)−O−(CH−Rf
CH=C(−CN)−C(=O)−NH−(CH−Rf
【0033】
CH=C(−CFCF)−C(=O)−O−(CH−S−Rf
CH=C(−CFCF)−C(=O)−O−(CH−S−(CH−Rf
CH=C(−CFCF)−C(=O)−O−(CH−SO−Rf
CH=C(−CFCF)−C(=O)−O−(CH−SO−(CH−Rf
CH=C(−CFCF)−C(=O)−O−(CH−Rf
CH=C(−CFCF)−C(=O)−NH−(CH−Rf
CH=C(−F)−C(=O)−O−(CH−S−Rf
CH=C(−F)−C(=O)−O−(CH−S−(CH−Rf
CH=C(−F)−C(=O)−O−(CH−SO−Rf
CH=C(−F)−C(=O)−O−(CH−SO−(CH−Rf
CH=C(−F)−C(=O)−O−(CH−Rf
CH=C(−F)−C(=O)−NH−(CH−Rf
【0034】
CH=C(−Cl)−C(=O)−O−(CH−S−Rf
CH=C(−Cl)−C(=O)−O−(CH−S−(CH−Rf
CH=C(−Cl)−C(=O)−O−(CH−SO−Rf
CH=C(−Cl)−C(=O)−O−(CH−SO−(CH−Rf
CH=C(−CF)−C(=O)−O−(CH−S−Rf
CH=C(−CF)−C(=O)−O−(CH−S−(CH−Rf
CH=C(−CF)−C(=O)−O−(CH−SO−Rf
CH=C(−CF)−C(=O)−O−(CH−SO−(CH−Rf
CH=C(−CFH)−C(=O)−O−(CH−S−Rf
CH=C(−CFH)−C(=O)−O−(CH−S−(CH−Rf
CH=C(−CFH)−C(=O)−O−(CH−SO−Rf
CH=C(−CFH)−C(=O)−O−(CH−SO−(CH−Rf
【0035】
CH=C(−CN)−C(=O)−O−(CH−S−Rf
CH=C(−CN)−C(=O)−O−(CH−S−(CH−Rf
CH=C(−CN)−C(=O)−O−(CH−SO−Rf
CH=C(−CN)−C(=O)−O−(CH−SO−(CH−Rf
CH=C(−CFCF)−C(=O)−O−(CH−S−Rf
CH=C(−CFCF)−C(=O)−O−(CH−S−(CH−Rf
CH=C(−CFCF)−C(=O)−O−(CH−SO−Rf
CH=C(−CFCF)−C(=O)−O−(CH−SO−(CH−Rf
[上記式中、Rfは、1〜6のフルオロアルキル基である。]
【0036】
これらのうち、特に
CH=C(−H)−C(=O)−O−(CH−Rf
CH=C(−CH)−C(=O)−O−(CH−Rf
が好ましい。
【0037】
アルコキシ基含有単量体(b)は、非フッ素単量体であり、下記一般式(2)で表される化合物(アルキレングリコ−ル(メタ)アクリレ−ト)である。
【0038】
CH=C(R)−C(=O)−O−(RO)−R・・・・(2)
[式中、Rは、水素原子又はメチル基であり;Rは、水素原子の一部又は全部が水酸基で置換されていてもよい炭素数2〜4のアルキレン基;Rは、水素原子または炭素数1〜22の不飽和または飽和の炭化水素基であり;qは、1〜50の整数である。]
【0039】
一般式(2)において、Rは水素原子が好ましい。
また、qは1〜30が好ましく、より好ましくは2〜10であり、特に2〜5であることが好ましい。
【0040】
さらにまた、一般式(2)において、Rは、エチレン又はプロピレンが好ましく、特にエチレンであることが好ましい。一般式(2)中のRは一種または二種類以上のアルキレンの組み合わせであっても良い。その場合、少なくともRの一つはエチレンであることが好ましい。Rの組合せとしては、例えば、エチレン基/プロピレン基の組合せ、エチレン基/ブチレン基の組合せが挙げられる。
【0041】
アルコキシ基含有単量体(b)は、二種類以上の混合物であっても良い。
【0042】
アルコキシ基含有単量体(b)の具体例は、例えば以下のものを例示できるが、これらに限定されるものではない。
CH=C(R)COO−(CHCHO)−R
CH=C(R)COO−(CHCH(CH)O)−R
CH=C(R)COO−(CHCHO)q’−(CHCH(CH)O)q”−R
[式中、q’+q”=q]
【0043】
さらにより具体的な例としては、以下のもの等が挙げられる。
CH=C(H)COO−CHCHO−H
CH=C(H)COO−(CHCHO)−H
CH=C(H)COO−(CHCHO)−H
CH=C(H)COO−(CHCHO)−H
CH=C(H)COO−(CHCHO)30−H
CH=C(CH)COO−(CHCHO)−H
CH=C(CH)COO−(CHCHO)23−H
CH=C(CH)COO−(CHCHO)50−H
CH=C(CH)COO−(CHCH(CH)O)−H
CH=C(CH)COO−(CHCHCHO)−H
CH=C(H)COO−(CHCH(CH)O)−H
CH=C(CH)COO−(CHCH(CH)O)−H
CH=C(CH)COO−(CHCHO)−(CHCH(CH)O)−H
CH=C(CH)COO−(CHCHO)−(CHCH(CH)O)−H
CH=C(H)COO−(CHCHO)−(CHCH(CH)O)−CH
【0044】
これらのうち、特に
CH=C(H)COO−CHCHO−H
CH=C(H)COO−(CHCHO)−H
CH=C(H)COO−(CHCHO)−H
CH=C(CH)COO−CHCHO−H
CH=C(CH)COO−(CHCHO)−H
CH=C(CH)COO−(CHCHO)−H
が好ましい。
【0045】
本発明の含フッ素共重合体(C)は、本発明の効果を損なわない範囲であれば、上記一般式(1)で表される含フッ素単量体(a)と、上記一般式(2)で表されるアルコキシ基含有単量体(b)と、他の共重合可能な単量体(c)とを共重合して得られる共重合体であってもよい。
他の共重合可能な単量体(c)としては、特に限定されないが、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、イソクロトン酸、マレイン酸、ビニルスルホン酸、アリルスルホン酸、アクリル酸アミドメチルプロパンスルホン酸、アクリル酸アシッドホスホアキシアルキル等の重合性酸、アクリル酸アルキル、メタクリル酸アルキル等の重合性エステル、N−ビニルホルムアミド、N−ビニルピロリドン等の重合性ビニル誘導体、シリコーンマクロマー、ポリアクリルマクロモノマー、ポリエステルマクロモノマー、ポリアミドマクロモノマー、ポリオキシアルキレンマクロモノマー等の重合性マクロモノマーや、重合性糖、スチレン等を挙げることができる。
【0046】
また、他の共重合可能な単量体(c)としては、さらに架橋性単量体を含んでもよい。
架橋性単量体は、少なくとも2つの反応性基および/または炭素−炭素二重結合を有し、フッ素を含有しない化合物とすることができる。架橋性単量体は、少なくとも2つの炭素−炭素二重結合を有する化合物、あるいは少なくとも1つの炭素−炭素二重結合および少なくとも1つの反応性基を有する化合物とすることができる。反応性基の例は、ヒドロキシル基、エポキシ基、クロロメチル基、ブロックドイソシアネ−ト、カルボキシル基などである。本発明においては、アミノ基を有する単量体を使用しない。架橋性単量体を含有すると、水溶性が上がり、保湿感が向上して、べたつきの無い水中油型乳化組成物が得られる。
【0047】
架橋性単量体は非フッ素架橋性単量体であることが好ましく、ジ(メタ)アクリレ−トであることがより好ましい。
【0048】
架橋性単量体は、一般式;
【0049】
CH=C(R)−C(=O)−O−(RO)−C(=O)−C(R)=CH……(3)
【0050】
[式中、それぞれのRは、水素原子またはメチル基であり;Rは、水素原子の一部または全部が水酸基で置換されていてもよい炭素数2〜10のアルキレン基であり;sは、1〜50の整数である。]
で示される化合物(アルキレングリコ−ルジ(メタ)アクリレ−ト)であることが特に好ましい。
なお、Rの炭素数は、2〜10、例えば2〜6、特に2〜4であることが好ましく、Rが、エチレン基であることが好ましい。
【0051】
本発明の含フッ素共重合体(C)を構成する各モノマ−の分子量やモル比をコントロ−ルすることで、溶解性や粘稠性を調製できる。本発明の含フッ素共重合体(C)の重量平均分子量は、1000〜1000000程度、好ましくは5000〜500000程度とすることができる。
1000未満であると皮膜形成能が弱くポリマ−としての特性が十分に発揮されない場合があり、1000000より大きいと粘稠でポリマ−の溶解性が悪くなるばかりか分散性が悪化する場合がある。
なお、この重量平均分子量は、ゲルパ−ミエ−ションクロマトグラフィ−によりポリスチレン換算で求めた値である。
【0052】
本発明の含フッ素共重合体(C)において含フッ素単量体(a)100質量部に対するアルコキシ基含有単量体(b)の量は、10〜400質量部、好ましくは25〜150質量部、より好ましくは43〜100質量部である。
(b)の量が少ないと親水性が得られない場合があり、大きいと撥油性が低下する場合がある。
また、他の共重合可能な単量体(c)を用いる場合は、その割合は共重合体に対し30質量%未満が好ましい。
特に、架橋性単量体を含有させる場合、架橋性単量体の量は、含フッ素単量体(a)100質量部に対し、30質量部以下、例えば0.1〜20質量部、特に0.5〜10質量部が好ましい。30質量部より大きいと硬い皮膜になり使用感触が悪くなる場合がある。
なお、本発明において使用する含フッ素共重合体(C)の重合方法は、特に限定されず、塊状重合、溶液重合、乳化重合、放射線重合などの種々の方法を選択できる。例えば一般的には有機溶剤を用いた溶液重合や、水又は有機溶剤と水を併用する乳化重合が選定される。さらに一般的には、重合後に水で希釈したり、乳化剤を加えて水に乳化することで処理液に調製し、化粧料、外用医薬品等に配合される。
具体的には、例えば、特開2000−290640号公報やWO2009/142047号パンフレットの共重合体の製造例として開示される方法で製造可能であるがこれに限定されるものではない。
【0053】
本発明の水中油型乳化組成物における成分(C)の含フッ素共重合体は、一種又は二種以上を組み合わせて用いることができ、その配合量は、特に限定はされないが、0.1〜5%が好ましく、0.5〜3%がより好ましい。成分(C)をこの範囲で配合すると、光照射により劣化する油溶性薬剤の光安定性に優れる水中油型乳化組成物を得ることができる。
【0054】
本発明の水中油型乳化組成物は、単独で用いてもよく、また他の成分と組み合わせて皮膚外用剤や化粧料等として用いてもよい。
【0055】
本発明の水中油型乳化組成物には、本発明の効果を妨げない範囲で通常の水中油型乳化組成物に含有される任意成分、すなわち、アルコール類、粉体、水溶性高分子、皮膜形成剤、界面活性剤、油溶性ゲル化剤、有機変性粘土鉱物、樹脂、紫外線吸収剤、防腐剤、抗菌剤、香料、酸化防止剤、pH調整剤、キレート剤、成分(A)以外の薬剤等を含有することができる。
【0056】
本発明の水中油型乳化組成物の形状は、特に限定されないが、液状、半固形状、固形状のものが挙げられる。また、本発明の水中油型乳化組成物の用途は、化粧水、乳液、クリーム、アイクリーム、美容液、マッサージ料、パック料、ハンドクリーム、ボディ−クリーム、クレンジングクリーム、化粧下地、日焼け止め等の皮膚用化粧料、ヘアミスト、シャンプー、リンス、トリートメント、ヘアトニック、ヘアクリーム、ポマード、チック、液体整髪料、セットローション、ヘアスプレー、染毛料等の頭髪用化粧料、ファンデーション、コンシーラ−、白粉、マスカラ、アイカラー、アイライナー、アイシャドウ、アイブロウ、口紅、リップクリーム等のメーキャップ化粧料として使用できる。またその使用法は、手や指で使用する方法、不織布等に含浸させて使用する方法等が挙げられる。この中でも特に化粧水、乳液、クリーム、アイクリーム、美容液、マッサージ料、パック料、ハンドクリーム、ボディークリーム、クレンジングクリーム、化粧下地、日焼け止め等の顔、手足、ボディ用等の皮膚用化粧料がより顕著に本発明の効果が発揮されるので、好ましい。
【実施例】
【0057】
以下に実施例を挙げて、本発明を更に詳細に説明する。尚、これらは本発明を何ら限定するものではない。
[参考製造例1〜7]:含フッ素共重合体の参考製造例
本発明において使用する含フッ素共重合体の参考製造例を以下に示した。
【0058】
[参考製造例1]
還流冷却管、窒素導入管、温度計および攪拌装置を備えた100ml四つ口フラスコに、含フッ素モノマ−CH=C(H)C(=O)O−CHCH13(以下、「C6FA(a)」と記す)を18.6g、ポリエチレングリコ−ルアクリレ−トCH=C(H)C(=O)O−(CHCHO)n−H(BLEMMER AE90 日油株式会社製 nの平均値は2.0、 以下、「AE90(b)」と記す)を11.4gとメチルエチルケトン(以下、「MEK」と記す)を45g仕込んで、30分間窒素バブリングした。窒素気流下で内温を50〜65℃に昇温後、パ−ブチルPV(以下、「PV」と記す)を0.4g添加し、60〜65℃で6時間反応させた。得られた溶液を減圧条件下にて約70℃でMEKを留去、淡黄色ポリマ−残渣を得た後、精製水を122.4g添加し、内温を約80℃で1時間以上保った後、冷却して固形分濃度が約20%の水分散液を調製した。
得られた共重合体の重量平均分子量(Mw)は、ポリスチレン換算のGPC測定にて18200であった。
【0059】
[参考製造例2]
参考製造例1におけるAE90をポリエチレングリコ−ルメタアクリレ−トCH=C(CH)C(=O)O−(CHCHO)−H(BLEMMER PE350 日油株式会社製 nの平均値は8.0、 以下「PE350(b)」と記す)に置き換えて参考製造例1と同様の重合反応を行い、固形分濃度が約20%の水分散液を調製した。
得られた共重合体の重量平均分子量(Mw)は、ポリスチレン換算のGPC測定にて16400であった。
【0060】
[参考製造例3]
還流冷却管、窒素導入管、温度計および攪拌装置を備えた100ml四つ口フラスコに、C6FA(a)を18.6g、AE90(b)を5.7g、ポリエチレングリコ−ルアクリレ−トCH=C(H)C(=O)O−(CHCHO)−H(BLEMMER AE200 日油株式会社製 nの平均値は4.5、 以下、「AE200(b)」と記す)を5.7gとMEKを仕込んで、参考製造例1と同様の重合反応を行い、固形分濃度が約20%の水分散液を調製した。
得られた共重合体の重量平均分子量(Mw)は、ポリスチレン換算のGPC測定にて15500であった。
【0061】
[参考製造例4]
還流冷却管、窒素導入管、温度計および攪拌装置を備えた100ml四つ口フラスコに、C6FA(a)を18.6g、PE350(b)を10.5g、ポリエチレングリコ−ルジアクリレ−トCH=C(H)C(=O)O−(CHCHO)−C(=O)CH=CH(BLEMMER ADE300 日油株式会社製 nの平均値は7.0、 以下、「ADE300(c)」と記す)を0.9g、イソプロパノ−ル(以下、「IPA」と記す)45.0gを仕込んで、参考製造例1と同様の重合反応を行い、固形分濃度が約20%の水分散液を調製した。
得られた共重合体の重量平均分子量(Mw)は、ポリスチレン換算のGPC測定にて16400であった。
【0062】
[参考製造例5]
還流冷却管、窒素導入管、温度計および攪拌装置を備えた100ml四つ口フラスコに、C6FA(a)を18.6g、ヒドロキシエチルアクリレ−ト(東京化成工業社製、以下「HEA(c)」と記す)を2.5g、AE200(b)を8.0g、ADE300(c)を0.9gとIPAを45g仕込んで、30分間窒素バブリングした。窒素気流下で内温を50−65℃に昇温後、PVを0.4g添加し、60〜65℃で6時間反応させた。得られた溶液を減圧条件下にて70℃でIPAを除去し、淡黄色の共重合体を得た。
得られた共重合体の重量平均分子量(Mw)は、ポリスチレン換算のGPC測定にて16280であった。
この共重合体を精製水で洗浄後、IPAを添加し、固形分濃度30%の溶液を調製した。
【0063】
[参考製造例6]
還流冷却管、窒素導入管、温度計および攪拌装置を備えた100ml四つ口フラスコに、C6FA(a)を18.6g、HEA(c)を2.5g、AE90(b)を8.0g、ADE300(c)を0.9gとIPAを45g仕込んで、参考製造例5と同様の重合反応を行い、淡黄色の共重合体を得た。
得られた共重合体の重量平均分子量(Mw)は、ポリスチレン換算のGPC測定にて17900であった。
この共重合体を参考製造例5と同様、精製水で洗浄後、IPAを添加し、固形分濃度30%の溶液を調製した。
【0064】
[参考製造例7]
還流冷却管、窒素導入管、温度計および攪拌装置を備えた100ml四つ口フラスコに、C6FA(a)を18.6g、HEAを3.5g、AE200(b)を7.2g、ADE300(c)を0.7gとIPAを45g仕込んで、参考製造例5と同様の重合反応を行い、淡黄色の共重合体を得た。
得られた共重合体の重量平均分子量(Mw)は、ポリスチレン換算のGPC測定にて17200であった。
この共重合体を参考製造例5と同様、精製水で洗浄後、IPAを添加し、固形分濃度40%のIPA溶液を調製した。
【0065】
(実施例1〜9、比較例1〜9):化粧水(水中油型乳化組成物)
表1および表2に示す組成の化粧水を下記製造方法により調製した。アスタキサンチンの光安定性、保湿感、べたつきの無さ及び製剤の安定性を以下に示す評価方法及び判定基準により評価判定し、結果を併せて表1および表2に示した。
【0066】
【表1】

【0067】
【表2】

【0068】
(製造方法)
A:成分1〜6を70℃に加熱し均一に分散する。
B:成分7〜9を70℃に均一に加熱溶解する。
C:成分10〜15を70℃に均一に加熱溶解する。
D:AにBを添加し、ディスパーミキサーにて混合攪拌する。
E:DにCを添加し、ディスパーミキサーにて混合攪拌する。
F:70℃に加熱した16、17をEに添加しディスパーミキサーにて混合攪拌する。
G:Fを室温まで冷却し、化粧水を得た。
【0069】
〔評価方法1〕
<アスタキサンチンの光安定性>
上記表1および表2に示す処方及び製造方法にて化粧水を調製し、下記の試験及び評価方法により、アスタキサンチンの残存率を求め、その値からアスタキサンチンの光安定性を評価した。
【0070】
各化粧水について、調製直後(試験前)、および、8号ガラス規格瓶に各化粧水50gを充填し、蛍光灯により8000ルクスの光が照射された30℃のチャンバー内に2週間放置後(試験後)の各化粧水1gに対してアルコール2g、酢酸エチル2gを添加した後、遠心分離器にて20℃で5分間遠心分離操作を行い、上澄みのアスタキサンチン抽出液を得た。この抽出液を用いてアスタキサンチンに特徴的な吸収波長である470nmにおける吸光度を測定し、下記式により、アスタキサンチンの残存率を求め、下記判定基準によりアスキサンチンの光安定性として判定した。
アスタキサンチンの残存率=(試験後の吸光度/試験前の吸光度)×100(%)
【0071】
(判定基準)
◎:アスタキサンチンの残存率が90%以上
○:アスタキサンチンの残存率が60%以上90%未満
△:アスタキサンチンの残存率が30%以上60%未満
×:アスタキサンチンの残存率が30%未満
【0072】
〔評価方法2、3〕
<保湿感、べたつきの無さ>
前記実施例及び比較例の化粧水を20名の専門パネルに使用してもらい、使用後の「保湿感」、「べたつきの無さ」について、各自が以下の評価基準に従って5段階評価し化粧水毎に評点を付し、更に全パネルの評点の平均点を以下の判定基準に従って判定した。
(評価基準)
[評価結果] :[評 点]
非常に良好 : 5点
良好 : 4点
普通 : 3点
やや不良 : 2点
不良 : 1点
(判定基準)
[評点の平均点] :[判 定]
4.5以上 : ◎
3.5以上〜4.5未満 : ○
1.5以上〜3.5未満 : △
1.5未満 : ×
【0073】
〔評価方法4〕
<製剤の安定性>
前記、本実施例及び比較例の化粧水の製剤安定性に関しては各試料を遮光容器に充填して50℃の恒温槽にて1ヶ月放置し、外観の変化(分離、クリーミング)を目視で観察し、下記の4段階絶対判定基準で判定した。
4段階絶対判定基準
(変化の度合い):(判定)
変化なし
: ◎
わずかに変化あり:

やや変化あり
: △
大きく変化あり
: ×
【0074】
表1および表2から明らかなように、本実施例1〜9の化粧水はアスタキサンチンの光安定性、保湿感、べたつきの無さ及び製剤の安定性に非常に優れていた。一方、成分(C)を含有していない比較例1や成分(C)に代えて他の高分子を含有した比較例2や比較例3はアスタキサンチンの光安定性、保湿感、べたつきの無さ及び製剤の安定性に劣っているものであった。また成分(B)を含有していない比較例4ではアスタキサンチンの光安定性、保湿感、べたつきの無さ及び製剤の安定性に劣っているものであった。また成分(B)に代えて、他の活性剤を含有した比較例5〜7でもアスタキサンチンの光安定性、保湿感、べたつきの無さ及び製剤の安定性に劣っているものであった。また成分(C)を含有せずに紫外線吸収剤を含有した比較例8、9でもアスタキサンチンの光安定性、保湿感、べたつきの無さ及び製剤の安定性に劣っているものであった。
【0075】
実施例10:化粧水(水中油型乳化組成物)
(成分) (%)
1.水素添加大豆リン脂質*7 1.0
2.1,3―ブチレングリコール 3.0
3.1,2−ペンタンジオール 1.0
4.グリセリン 5.0
5.ビタミンAパルミチン酸エステル 0.2
6.2―エチルヘキサン酸セチル 1.0
7.ラウロイルグルタミン酸ジ(フィトステリル/オクチルドデシル)0.5
8.含フッ素共重合体(参考製造例7) 0.5
9.含フッ素共重合体(参考製造例5) 0.5
10.アルコール 5.0
11.精製水 残量
*7ベイシスLS−60HR(日清オイリオグループ社製)
【0076】
(製造方法)
A:成分1〜4を70℃で均一に混合する。
B:成分5〜7を70℃で均一に溶解する。
C:成分8〜10を70℃で均一に溶解する。
D:AにBを添加し均一に混合する。
E:DにCを添加し均一に混合する。
F:Eに70℃に加熱した11を添加し冷却し水中油型乳化組成物を得た。
【0077】
実施例10の化粧水は、光照射により劣化する油溶性薬剤であるビタミンAパルミチン酸エステルの光に対する安定性、保湿感、べたつきの無さ及び製剤の安定性に非常に優れるものであった。
【0078】
実施例11:乳液(水中油型乳化組成物)
(成分) (%)
1.卵黄レシチン*8 1.0
2.1,3―ブチレングリコール 3.0
3.グリセリン 5.0
4.コエンザイムQ10 0.1
5.2―エチルヘキサン酸セチル 1.0
6.ベヘニルアルコール 0.3
7.モノステアリン酸グリセリル 0.3
8.イソステアリン酸 1.0
9.セラミド2 0.2
10.含フッ素共重合体(参考製造例1) 1.0
11.エタノール 5.0
12.精製水 残量
13.カルボキシビニルポリマー 0.1
14.トリエタノールアミン 0.1
15.精製水 10
*8卵黄レシチン PL100P(キューピー社製)
【0079】
(製造方法)
A:成分1〜3を70℃で均一に混合する。
B:成分4〜9を70℃で均一に溶解する。
C:成分10、11を70℃で均一に溶解する。
D:AにBを添加し均一に混合する。
E:DにCを添加し均一に混合する。
F:Eに70℃に加熱した12を添加し均一に混合する。
G:Fを冷却し13〜15を添加し均一に混合して乳液を得た。
【0080】
実施例11の乳液は、光照射により劣化する油溶性薬剤であるコエンザイムQ10の光に対する安定性、保湿感、べたつきの無さ及び製剤の安定性に非常に優れるものであった。
【0081】
実施例12:乳液(水中油型乳化組成物)
(成分) (%)
1.水素添加大豆リン脂質*9 1.0
2.1,3―ブチレングリコール 3.0
3.グリセリン 5.0
4.アスタキサンチン 0.0025
5.オレイン酸オレイル 1.0
6.セトステアリルアルコール 0.3
7.モノステアリン酸グリセリル 0.3
8.含フッ素共重合体(参考製造例3) 1.0
9.エタノール 5.0
10.精製水 適量
11.キサンタンガム 0.1
12.ヒアルロン酸Na 0.1
13.精製水 10
*9ベイシスLS−60HR(日清オイリオグループ社製)
【0082】
(製造方法)
A:成分1〜3を70℃で均一に混合する。
B:成分4〜7を70℃で均一に溶解する。
C:成分8、9を70℃で均一に溶解する。
D:AにBを添加し均一に混合する。
E:DにCを添加し均一に混合する。
F:Eに70℃に加熱した10を添加し均一に混合する。
G:Fを冷却し11〜13を添加し均一に混合して乳液を得た。
【0083】
実施例12の乳液は、光照射により劣化する油溶性薬剤であるアスタキサンチンの光に対する安定性、保湿感、べたつきの無さ及び製剤の安定性に非常に優れるものであった。
【0084】
実施例13:美容液(水中油型乳化組成物)
(成分) (%)
1.水素添加大豆リン脂質*10 1.0
2.水素添加大豆リゾリン脂質*11 0.5
3.1,3―ブチレングリコール 3.0
4.グリセリン 5.0
5.アスタキサンチン 0.0025
6.オレイン酸オレイル 2.0
7.セトステアリルアルコール 0.3
8.モノステアリン酸グリセリル 0.3
9.含フッ素共重合体(参考製造例4) 0.8
10.エタノール 5.0
11.精製水 残量
12.キサンタンガム 0.02
13.ポリメタクリロイルオキシエチレンホスホリルコリン*12 0.1
14.精製水 10
*10NIKKOLレシノールS−10E(日光ケミカルズ社製)
*11卵黄リゾレシチンLPC−1(キューピー社製)
*12LIPIDURE HM−600(日油社製)
【0085】
(製造方法)
A:成分1〜4を70℃で均一に混合する。
B:成分5〜8を70℃で均一に溶解する。
C:成分9、10を70℃で均一に溶解する。
D:AにBを添加し均一に混合する。
E:DにCを添加し均一に混合する。
F:Eに70℃に加熱した11を添加し均一に混合する。
G:Fを冷却し12〜14を添加し均一に混合して美容液を得た。
【0086】
実施例13の美容液は、光照射により劣化する油溶性薬剤であるアスタキサンチンの光に対する安定性、保湿感、べたつきの無さ及び製剤の安定性に非常に優れるものであった。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
次の成分(A)〜(C);
(A)光照射により劣化する油溶性薬剤
(B)リン脂質
(C)下記一般式(1)で表される含フッ素単量体(a)と、下記一般式(2)で表されるアルコキシ基含有単量体(b)とを必須に含む単量体を共重合して得られる含フッ素共重合体
CH=C(−X)−C(=O)−Y−[−(CH−Z−]−(CH−Rf ・・・・・(1)
[式中、Xは、水素原子、炭素数1〜21の直鎖状又は分岐状のアルキル基、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、CFX基(但し、X及びXは、それぞれ水素原子、フッ素原子、塩素原子、臭素原子又はヨウ素原子である。)、シアノ基、炭素数1〜20の直鎖状又は分岐状のフルオロアルキル基、置換又は非置換のベンジル基、置換又は非置換のフェニル基であり;Yは、−O−又は−NH−であり;Zは、直接結合、−S−又は−SO−であり;Rfは、炭素数1〜6のフルオロアルキル基であり; mは1〜10、nは0〜10、pは0又は1である。]
CH=C(R)−C(=O)−O−(RO)−R ・・・・(2)
[式中、Rは、水素原子又はメチル基であり;Rは、水素原子の一部又は全部が水酸基で置換されていてもよい炭素数2〜4のアルキレン基;Rは、水素原子または炭素数1〜22の不飽和または飽和の炭化水素基であり;qは、1〜50の整数である。]
を含有することを特徴とする水中油型乳化組成物。
【請求項2】
成分(A)がカロチノイド類、ビタミンA及びその誘導体、コエンザイムQ10から選ばれる一種又は二種以上であることを特徴とする請求項1記載の水中油型乳化組成物。
【請求項3】
成分(C)の含有量が0.1〜5質量%であることを特徴とする請求項1又は2記載の水中油型乳化組成物。

【公開番号】特開2011−178748(P2011−178748A)
【公開日】平成23年9月15日(2011.9.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−46650(P2010−46650)
【出願日】平成22年3月3日(2010.3.3)
【出願人】(000145862)株式会社コーセー (734)
【Fターム(参考)】