説明

水中油型乳化組成物

【課題】
pHが2.0〜5.5の酸性領域において、みずみずしく、とろみのある感触を持ち、経時安定性に優れる水中油型乳化組成物を提供すること。
【解決手段】
成分(a):アクリル酸又はメタアクリル酸と、アクリル酸アルキルエステル又はメタアクリル酸アルキルエステルと、エチレン性不飽和基を2個以上有する化合物と、が少なくとも結合した共重合体からなり、電解質を含有させた場合に増粘性を発揮する水溶性高分子と、成分(b):水溶性薬剤、を含有し、pHが2.0〜5.5であることを特徴とする水中油型乳化組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水溶性薬剤を含有し、pHが2.0〜5.5の範囲である水中油型乳化組成物に関する。より詳細には、特定の水溶性高分子を配合することにより、みずみずしく、とろみのある感触を持ち、経時安定性に優れる水中油型乳化組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
水中油型乳化組成物としては、酸性、中性、アルカリ性と、幅広いpH領域のものが開発されており、これらの中で最も多く開発されているものはpHが6.5〜7.5付近の中性領域のものであるが、近年では酸性領域の組成物も多く開発されている。例えば、化粧品分野に関しては、肌表面のpHに近く、低刺激なものとしてpHが5.0〜6.5付近の微酸性領域の組成物が、またケミカルピーリングなど肌の角層の数層を溶解させるものとしてpHが2.0〜5.0付近の酸性〜弱酸性領域の組成物が数多く開発されている。また、食品分野に関しては、マヨネーズなどがpH4.6以下の酸性領域の組成物であり、医薬品分野では消炎、鎮痛剤としてサリチル酸誘導体を配合したpH4.5以下の酸性領域の組成物などがある。
このような、pHが2.0〜5.5の酸性領域下において適度な粘度を付与するために、カルボキシビニルポリマーに塩基性アミノ酸及びアルカリ金属水酸化物を組み合わせた弱酸性ゲル状化粧料(特許文献1)や、2種類の層状ケイ酸塩粘土鉱物を含有した弱酸性乳化組成物(特許文献2)などがある。
【0003】
また他には、酸性領域下において適度な粘度を付与し、製剤安定性を保つために常温で固体の特定化合物を含有したピーリング化粧料(特許文献3)や特定のアクリル酸アルキル共重合体を含有したピーリング剤(特許文献4)、更にはセルロースやキサンタンガムなど、pHや塩濃度に影響を受けにくい水溶性高分子を含有した化粧料(特許文献5)などがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開昭62−161711号公報
【特許文献2】特開2006−151851号公報
【特許文献3】特開平7−258020号公報
【特許文献4】特開2001−348309号公報
【特許文献5】特開2008−162960号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1の技術ではpHが6.0付近の比較的中性よりの領域に関しては粘度を維持できるが、pHが5.5以下において粘度低下を生じ、特許文献2の技術では、pHが4.5付近において、同様に粘度低下を生じてしまい、分離や排液など経時安定性の面でも問題が存在していた。特許文献3の技術では、粘度付与のために配合した特定の固形油により、伸び広がりが悪く、みずみずしさに欠け、重い使用感になってしまう場合があり、特許文献4の技術ではアクリル酸アルキル共重合体を10%以上と多量に配合する必要があり、特許文献3と同様に伸び広がりが悪く、みずみずしさに欠けてしまうという問題が存在していた。また、特許文献5の技術では、セルロースなどの水溶性高分子特有のなじみの悪さ、べたつきが生じてしまうという問題が存在していた。
前記のように、pHが2.0〜5.5の酸性領域における水中油型乳化組成物に関する研究開発は進みつつあるが、使用時のみずみずしさや、とろみのある感触、経時安定性に関しては、改善が期待されているのが現状である。
【0006】
そこで本発明では、pHが2.0〜5.5の酸性領域において、みずみずしく、とろみのある感触を持ち、経時安定性に優れる水中油型乳化組成物を提供することを主目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、鋭意研究を行った結果、pHが2.0〜5.5の酸性領域において、特定の水溶性高分子を用いた新規な水中油型乳化組成物を調製することにより、みずみずしく、とろみのある感触を持ち、経時安定性に優れる水中油型乳化組成物が得られることを見出し、本発明を完成させるに至った。
【0008】
即ち、本発明では、アクリル酸又はメタアクリル酸と、アクリル酸アルキルエステル又はメタアクリル酸アルキルエステルと、エチレン性不飽和基を2個以上有する化合物と、が少なくとも結合した共重合体からなり、成分(a)電解質を含有させた場合に増粘性を発揮する水溶性高分子と、成分(b)水溶性薬剤とを少なくとも含有し、pHが2.0〜5.5であることを特徴とする、水中油型乳化組成物を提供する。
【0009】
また、前記水溶性高分子(a)が、前記アクリル酸アルキルエステル又は前記メタアクリル酸アルキルエステルとして、アルキル基の炭素数が18以上24以下である前記アクリル酸アルキルエステル又は前記メタアクリル酸アルキルエステル2.43〜4.3質量%(以下、(%)と略す。)と、前記エチレン性不飽和基を2個以上有する化合物0.08〜0.29%と、を少なくとも含むことを特徴とする前記水中油型乳化組成物である。
【0010】
前記水溶性高分子(a)を、組成物中に0.1〜1.2%含有することを特徴とする前記水中油型乳化組成物である。
【0011】
さらに成分(c)として油性成分を0.01〜10.0%含有することを特徴とする前記水中油型乳化組成物である。
【0012】
組成物の25℃における粘度が100〜10000mPa・sであることを特徴とする前記水中油型乳化組成物である。
【0013】
前記水中油型乳化組成物のいずれかを含有することを特徴とする皮膚外用剤である。
【発明の効果】
【0014】
本発明の水中油型乳化組成物は、pHが2.0〜5.5の酸性領域においても、特定の水溶性高分子を配合することにより、みずみずしく、とろみのある感触を持ち、経時安定性に優れるものである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明を実施するための好適な形態について説明する。なお、以下に説明する実施形態は、本発明の代表的な実施形態の一例を示したものであり、これにより本発明の範囲が狭く解釈されることはない。
【0016】
成分(a):水溶性高分子
本発明に係る水中油型乳化組成物に用いることができる水溶性高分子(a)は、(a−1)アクリル酸又はメタアクリル酸と、(a−2)アクリル酸アルキルエステル又はメタアクリル酸アルキルエステルと、(a−3)エチレン性不飽和基を2個以上有する化合物と、が少なくとも結合した共重合体からなり、電解質を含有させた場合に増粘性を発揮する水溶性高分子である。pHが2.0〜5.5の酸性領域においても、みずみずしく、とろみのある感触を持ち、経時安定性に優れるものである。
【0017】
(a−1)アクリル酸、メタアクリル酸
アクリル酸又はメタアクリル酸(以下、「(メタ)アクリル酸」と称する。)の水溶性高分子(a)における構成比は、水溶性高分子(a)の特性を損なわない限り特に限定されず、自由に設定することができる。本発明では特に、95.42〜97.48%が好ましく、95.47〜97.46%がより好ましく、95.97〜96.94%が更に好ましい。(メタ)アクリル酸の水溶性高分子(a)における構成比が95.42%未満の場合、本発明の水中油型乳化組成物を調製した際に、低濃度の電解質存在下における粘度が著しく高くなり、所定の電解質濃度における粘度変化率が大きくなってしまい、使用しづらくなる場合がある。逆に、(メタ)アクリル酸の水溶性高分子(a)における構成比が97.48%を超える場合、本発明の水中油型乳化組成物を調製した際に、電解質存在下で充分な粘度が得られず、温度及び電解質濃度による粘度変化率が大きくて使用しづらくなる場合があるからである。
【0018】
(a−2)アクリル酸アルキルエステル、メタアクリル酸アルキルエステル
アクリル酸アルキルエステル又はメタアクリル酸アルキルエステル(以下「(メタ)アクリル酸アルキルエステル」と称する。)の種類は、水溶性高分子(a)の特性を損なわなければ特に限定されないが、本発明においては、アルキル基の炭素数が、18以上24以下であることが好ましい。アルキル基の炭素数が18〜24である(メタ)アクリル酸アルキルエステルとは、(メタ)アクリル酸と、アルキル基の炭素数が18〜24である高級アルコールとのエステルをいい、例えば、(メタ)アクリル酸とステアリルアルコールとのエステル、(メタ)アクリル酸とエイコサノールとのエステル、(メタ)アクリル酸とベヘニルアルコールとのエステル及び(メタ)アクリル酸とテトラコサノールとのエステル等を挙げることができる。これらは単独で用いても、2種以上を混合して用いてもよい。
【0019】
この中でも、本発明においては特に、本発明の水中油型乳化組成物、及び電解質存在下における該水中油型乳化組成物の粘度特性や質感を考慮すると、メタクリル酸ステアリル、メタクリル酸エイコサニル、メタクリル酸ベヘニル、及びメタクリル酸テトラコサニルが好ましく、少なくともメタクリル酸ベヘニルを50%以上含有する(メタ)アクリル酸アルキルエステルが更に好ましい。なお、アルキル基の炭素数が18〜24である(メタ)アクリル酸アルキルエステルとしては、例えば日本油脂株式会社製の商品名ブレンマーVMA70等の市販品を用いてもよい。
【0020】
(メタ)アクリル酸アルキルエステルの水溶性高分子(a)における構成比は、水溶性高分子(a)の特性を損なわない限り特に限定されず、自由に設定することができる。本発明では特に、2.43〜4.3%が好ましく、2.91〜3.84%がより好ましい。(メタ)アクリル酸アルキルエステルの水溶性高分子(a)における構成比が2.43%未満の場合、本発明の水中油型乳化組成物を調製した際、電解質存在下で充分な粘度が得られず、温度及び電解質濃度による粘度変化率が大きくて使用しづらくなる場合がある。逆に、(メタ)アクリル酸アルキルエステルの水溶性高分子(a)における構成比が4.3%を超える場合、本発明の水中油型乳化組成物を調製した際、低濃度の電解質存在下の粘度が著しく高くなり、所定の電解質濃度における粘度変化率が大きくて使用しづらくなる場合があるからである。
【0021】
(メタ)アクリル酸アルキルエステルの水溶性高分子(a)におけるより詳しい構成比としては、アルキル基の炭素数が18以上24以下である(メタ)アクリル酸アルキルエステルを2.43〜4.3%含有させることが好ましい。より具体的には、例えば、アルキル基の炭素数が18以上24以下の1種の(メタ)アクリル酸アルキルエステルを2.43〜4.3%含有させてもよく、アルキル基の炭素数が18以上24以下の2種以上の(メタ)アクリル酸アルキルエステルの混合体を2.43〜4.3%含有させてもよい。
【0022】
(a−3)エチレン性不飽和基を2個以上有する化合物
エチレン性不飽和基を2個以上有する化合物の種類は、水溶性高分子(a)の特性を損なわなければ特に限定されないが、本発明においては、例えば、エチレン性不飽和基がアリル基である化合物を好適に用いることができる。具体的には、ペンタエリトリトールジアリルエーテル、ペンタエリトリトールトリアリルエーテル、及びペンタエリトリトールテトラアリルエーテル等のペンタエリトリトールアリルエーテルや、ジエチレングリコールジアリルエーテル、ポリエチレングリコールジアリルエーテル並びにポリアリルサッカロースが特に好ましい。なお、これらエチレン性不飽和基を2個以上有する化合物は、それぞれ単独で、あるいは2種以上を併用してもよい。
【0023】
エチレン性不飽和基を2個以上有する化合物の水溶性高分子(a)における構成比は、水溶性高分子(a)の特性を損なわない限り特に限定されず、自由に設定することができる。本発明では特に、0.08〜0.29%が好ましく、0.11〜0.24%がより好ましく、0.15〜0.19%が更に好ましい。エチレン性不飽和基を2個以上有する化合物の水溶性高分子(a)における構成比が0.08%未満の場合、本発明の水中油型乳化組成物を調製した際、電解質存在下で充分な粘度が得られず、温度及び電解質濃度による粘度変化率が大きくて使用しづらくなる場合がある。逆に、エチレン性不飽和基を2個以上有する化合物の水溶性高分子(a)における構成比が0.29%を超える場合、本発明の水中油型乳化組成物を調製した際、低濃度の電解質存在下の粘度が高くなり、所定の電解質濃度における粘度変化率が大きくて使用しづらくなる場合があるからである。
【0024】
本発明に係る水中油型乳化組成物に含有する水溶性高分子(a)は、以上説明した(a−1)アクリル酸又はメタアクリル酸と、(a−2)アクリル酸アルキルエステル又はメタアクリル酸アルキルエステルと、(a−3)エチレン性不飽和基を2個以上有する化合物と、が少なくとも結合した共重合体からなる。重合方法は特に限定されず、公知のあらゆる方法から自由に選択して用いることができる。例えば、これらの構成成分を不活性ガス雰囲気下、溶媒中で攪拌し、重合開始剤を用いて重合させる方法等の通常の方法を用いることができる。
【0025】
重合に用いる不活性ガス雰囲気を得るための不活性ガスは、特に限定されないが、例えば、窒素ガスやアルゴンガス等を挙げることができる。
【0026】
重合に用いる溶媒も特に限定されないが、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸アルキルエステル、及びエチレン性不飽和基を2個以上有する化合物を溶解するが、得られる水溶性高分子(a)を溶解しないものであって、当該重合反応を阻害しないものであれば特に限定されない。溶媒の具体例としては、n−ペンタン、n−ヘキサン、n−ヘプタン、シクロペンタン、及びシクロヘキサン等の炭化水素溶媒が挙げられる。これらは単独で用いても、2種以上を混合して用いてもよい。これらの中でも特に、n−ヘキサン、及びn−へプタンを好適に用いることができる。また、これら炭化水素溶媒は、ケトン、エステル、エーテル、及び飽和アルコール等の有機溶媒と組み合わせて使用することもできる。好ましい有機溶媒の具体例としては、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸イソプロピル、酢酸プロピル、酢酸ブチル、メチルエチルケトン、プロピオン酸ブチル、シクロヘキサノン等が挙げられる。
【0027】
重合に用いる前記溶媒の量は、攪拌操作性を向上させる観点及び経済性の観点から、(メタ)アクリル酸100質量部に対して、300〜5000質量部であることが好ましい。
【0028】
重合に用いる重合開始剤も特に限定されないが、例えば、ラジカル重合開始剤を好適に用いることができる。具体例としては、α,α’−アゾイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス−2,4−ジメチルバレロニトリル及び2,2’−アゾビスメチルイソブチレート等を挙げることができる。これらの中でも特に、高分子量の水溶性高分子(a)を得るためには、2,2’−アゾビスメチルイソブチレートを用いることが好ましい。
【0029】
重合に用いる前記重合開始剤の量は、重合開始剤の使用量は、(メタ)アクリル酸1モルに対して0.00003〜0.002モルであることが好ましい。重合開始剤の使用量が0.00003モル未満の場合、反応速度が遅くなるため経済的でなくなるおそれがある。逆に、重合開始剤の使用量が0.002モルを超える場合、重合が急激に進行し、反応の制御が困難になるおそれがあるからである。
【0030】
重合における反応温度は、目的の水溶性高分子(a)が得られれば、特に限定されないが、50℃以上90℃以下で行うのが好ましく、55℃以上75℃以下で行うのがより好ましい。反応温度が50℃未満の場合、反応溶液の粘度が上昇し、均一に攪拌することが困難になるおそれがある。逆に、反応温度が90℃を超える場合、反応が急激に進行し、反応の制御が困難になるおそれがあるからである。反応時間は、反応温度によって適宜設定することができるが、通常、0.5〜5時間で行うことが好ましい。
【0031】
反応終了後、反応溶液を例えば80℃以上130℃以下で加熱して前記溶媒を揮散除去することにより、本発明に係る水中油型乳化組成物に含有する水溶性高分子(a)を得ることができる。加熱温度が80℃未満の場合、乾燥に長時間を要するおそれがあり、130℃を超える場合、得られる水溶性高分子(a)の水への溶解性を損なうおそれがあるからである。
【0032】
水溶性高分子(a)は、その基礎物性として、該水溶性高分子1%及び塩化ナトリウム1%を含む中和粘稠水溶液の25℃における粘度は、皮膚外用剤等に用いた際に、べたつきのないみずみずしい質感を得るために、少ない添加量で増粘できるという観点から、40000mPa・s以上であることが好ましく、42000mPa・s以上であることがより好ましい。
【0033】
水溶性高分子(a)は、その基礎物性として、該水溶性高分子1%及び塩化ナトリウム1%を含む中和粘稠水溶液の25℃における粘度1に対して、50℃における粘度が、皮膚外用剤等に用いた際に、気温変動の影響を受けにくいという観点から、0.8以上1.2以下であることが好ましく、0.9以上1.1以下であることがより好ましい。
【0034】
水溶性高分子(a)は、その基礎物性として、該水溶性高分子1%及び塩化ナトリウム1%を含む中和粘稠水溶液の25℃における粘度1に対して、水溶性高分子(a)1%及び塩化ナトリウム0.5%を含む中和粘稠水溶液の25℃における粘度が、皮膚外用剤等に用いた際に、電解質濃度の異なる種々の配合処方に活用しやすいという観点から、0.7以上1.2以下であることが好ましく、0.9以上1.0以下であることがより好ましい。
【0035】
以上説明した水溶性高分子(a)を含有することにより、本発明に係る水中油型乳化組成物は、pHが2.0〜5.5の酸性領域においても、みずみずしく、とろみのある感触を持ち、経時安定性に優れる水中油型乳化組成物を得ることができる。
【0036】
これは、水溶性高分子(a)に導入されたアルキル基が、水溶液中で疎水性相互作用により会合体を形成することにより増粘性が増し、pHが低い領域においてもゲル構造が維持されていることが推察される。また、水溶性高分子(a)に導入されたエチレン性不飽和基を2個以上有する化合物が、架橋剤として作用して粘度を増加させると共に、疎水性相互作用の自由度が低下してpHの影響を低減させているものとも推察される。
【0037】
水溶性高分子(a)の含有量は、本発明の目的を損なわない限り、特に限定されず、目的や他の構成成分の配合により、適宜調整することが可能であるが、固形分換算で0.1〜1.2%であることが好ましく、更に好ましくは0.2〜1.0%であることがより好ましい。
【0038】
成分(b):水溶性薬剤
本発明に用いられる成分(b)の水溶性薬剤は、前記成分(a)の水溶性高分子の粘度を増加させる。成分(b)を含有することで、成分(a)の水溶性高分子の膨潤性をコントロールし、前記アルキル基どうしの相互作用が増大するため、ゲル構造の形成に貢献する。
【0039】
成分(b)の種類は、皮膚外用剤に通常用いられる水溶性成分であれば特に制限はない。具体的には、保湿効果のある水溶性薬剤としては、乳酸、クエン酸、ピロリドンカルボン酸等の有機化合物と、それらのカリウム、ナトリウム、マグネシウム、カルシウム等の金属塩、L−アラニン、β−アラニン、L−アルギニン、L−アルギニン塩酸塩、L−アスパラギン一水和物、L−アスパラギン酸、ポリアスパラギン酸、L−シトルリン、L−システイン、L−システイン塩酸塩一水和物、L−シスチン、L−ドーパ、L−グルタミン酸、L−グルタミン酸塩酸塩、L−グルタミン、ポリグルタミン酸、グリシン、トリメチルグリシン、L−ヒスチジン、L−ヒスチジン塩酸塩一水和物、L−ヒドロキシプロリン、L−イソロイシン、L−ロイシン、L−リジン、L−リジン塩酸塩、L−メチオニン、L−オルニチン塩酸塩、L−プロリン、L−フェニルアラニン、L−セリン、L−スレオニン、L−トリプトファン、L−チロシン、L−バリン等のアミノ酸及びその誘導体や塩類が挙げられる。また、美白効果のある水溶性薬剤としては、アスコルビン酸、アスコルビン酸リン酸エステル、アスコルビン酸硫酸エステル、アスコルビン酸グルコシド等とそれらのナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウム等の金属塩等の水溶性アスコルビン酸類が挙げられる。さらに、グリチルリチン酸塩類、グリチルレチン酸塩、サリチル酸塩、トラネキサム酸塩、尿素、ミョウバンや海洋深層水、温泉水等、これら水溶性薬剤を含む天然由来の水溶液、水酸化ナトリウム等のアルカリ金属水酸化物や、トリエタノールアミン、ジイソプロパノールアミン等のアミン類等も挙げられる。これらは一種又は二種以上を組み合わせて用いる事ができる。これらの水溶性薬剤の中でも、アルカリ金属塩あるいはアミン類を含む成分が好ましく、特に好ましくは、アスコルビン酸、乳酸、アミノ酸、ピロリドンカルボン酸、グリチルリチン酸、及びこれらの水溶性誘導体、並びにこれらの塩類が挙げられる。
【0040】
成分(b)の含有量は、本発明の目的を損なわない限り、特に限定されず、目的や他の構成成分の配合により、適宜調整することが可能であるが、pHが2.0〜5.5に調整でき、0.001〜10.0%であることが好ましく、更に好ましくは0.01〜5.0%であることがより好ましい。
【0041】
成分(c):油性成分
本発明に用いられる成分(c)の油性成分は、エモリエント効果に優れ、含有することで、使用後の肌を柔らかくすることができる。成分(c)は通常皮膚外用剤に使用される原料であれば特に限定されず、用いることができる。例えば、動物油、植物油、合成油等の起源や、固形油、半固形油、液体油、揮発性油等の性状を問わず、炭化水素類、油脂類、高級アルコール類、ロウ類、硬化油類、エステル油類、脂肪酸類、シリコーン油類、フッ素系油類、ラノリン誘導体類、油性ゲル化剤類、親油性界面活性剤類、油溶性紫外線吸収剤類等が挙げられる。具体的には、流動パラフィン、スクワラン、ワセリン、ポリイソブチレン、ポリブテン、パラフィンワックス、セレシンワックス、マイクロクリスタリンワックス、フィッシャトロプスワックス等の炭化水素類、オリーブ油、ヒマシ油、ホホバ油、ミンク油、マカデミアンナッツ油等の植物油類、ミツロウ、カルナウバワックス、キャンデリラワックス、ゲイロウ、モクロウ等のロウ類、モンタンワックス、2−エチルヘキサン酸セチル、ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、ミリスチン酸オクチルドデシル、トリ2−エチルヘキサン酸グリセリル、ジイソステアリン酸ポリグリセリル、トリイソステアリン酸ジグリセリル、トリベヘン酸グリセリル、ロジン酸ペンタエリトリットエステル、ジオクタン酸ネオペンチルグリコール、コレステロール脂肪酸エステル、N−ラウロイル−L−グルタミン酸ジ(コレステリル・ベヘニル・オクチルドデシル)等のエステル類、ステアリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、ベヘニン酸、イソステアリン酸、オレイン酸等の脂肪酸類、低重合度ジメチルポリシロキサン、高重合度ジメチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、架橋型オルガノポリシロキサン、フッ素変性シリコーン等のシリコーン類、パーフルオロポリエーテル、パーフルオロデカン、パーフルオロオクタン等のフッ素系油剤類、ラノリン、酢酸ラノリン、ラノリン脂肪酸イソプロピル、ラノリンアルコール等のラノリン誘導体、デキストリン脂肪酸エステル、蔗糖脂肪酸エステル、デンプン脂肪酸エステル、12−ヒドロキシステアリン酸、ステアリン酸アルミニウム、ステアリン酸カルシウム等の油性ゲル化剤類、モノステアリン酸グリセリル、トリステアリン酸ソルビタン、セスキオレイン酸ソルビタン等の親油性界面活性剤類、パラアミノ安息香酸エチル、パラメトキシケイ皮酸−2−エチルヘキシル、4−tert−ブチル−4’−メトキシジベンゾイルメタン、オキシベンゾン等の油溶性紫外線吸収剤類等が挙げられる。これらの油剤は必要に応じて一種、又は二種以上を用いることができる。
【0042】
成分(c)の含有量は、本発明の目的を損なわない限り、特に限定されず、目的や他の構成成分の配合により、適宜調整することが可能であるが、0.01〜10.0%であることが好ましく、更に好ましくは0.1〜5.0%であることがより好ましい。
【0043】
以上説明した本発明に係る水中油型乳化組成物は、通常、その必須構成成分である成分(a)の水溶性高分子を、水により膨潤させた状態で、化粧料や皮膚外用剤に用いる。
本発明の水中油型乳化組成物の用途は、水中油型乳化組成物をそのまま使用することも可能であり、また、水中油型乳化組成物を好ましくは1〜95%の範囲で用いて、これに他の成分を配合して皮膚外用剤とすることもできる。
【0044】
<皮膚外用剤>
本発明に係る水中油型乳化組成物は、pHが2.0〜5.5の酸性領域において、みずみずしく、とろみのある感触を持ち、経時安定性に優れる皮膚外用剤に好適に用いることができる。用いることができる皮膚外用剤の種類は特に限定されず、あらゆる種類の皮膚外用剤を自由に選択して、含有させることができる。例えば、医薬品や医薬部外品、ローション、乳液、クリーム、美容液などのスキンケア化粧料、ファンデーション、コンシーラー、化粧下地、口紅、頬紅、アイシャドウ、アイライナーなどのメイクアップ化粧料、日焼け止め化粧料などに含有させることができる。
【0045】
本発明に係る水中油型乳化組成物には、通常皮膚外用剤に用いることができる成分を、必要に応じて適宜選択して配合することが可能である。例えば、塩化ナトリウムなどの無機塩、保湿剤、紫外線吸収剤、香料、酸化防止剤、防腐防黴剤、体質顔料、着色顔料、アルコール、水等、1種若しくは2種以上自由に選択して配合することができる。
【0046】
本発明に係る皮膚外用剤の有効成分となり得る薬剤は特に限定されず、あらゆる薬剤を自由に選択して用いることができる。例えば、生理活性剤、抗菌剤、消炎鎮痛剤、ステロイド剤、麻酔剤、抗真菌剤、気管支拡張剤、鎮咳剤、冠血管拡張剤、抗高血圧剤、降圧利尿剤、抗ヒスタミン剤、催眠鎮静剤、精神安定剤、ビタミン剤、性ホルモン剤、抗うつ剤、脳循環改善剤、制吐剤、抗腫瘍剤など、あらゆる薬剤を配合することができる。これらの薬剤は、経皮吸収により全身又は局所においてその効果を発揮したり、あるいは貼付された部位において、局所的に効果を発揮する。
【0047】
本発明に係る皮膚外用剤には、本発明に係る水中油型乳化組成物に加え、薬理学的に許容される添加剤を必要に応じて適宜選択して配合することが可能である。例えば、基剤、界面活性剤、保存剤、乳化剤、着色剤、矯臭剤、香料、安定化剤、防腐剤、酸化防止剤、潤沢剤、溶解補助剤、懸濁化剤等の、医薬製剤の分野で通常使用し得る全ての添加剤を含有させることができる。
【実施例】
【0048】
以下、合成例及び実施例に基づいて本発明を更に詳細に説明する。なお、以下に説明する合成例及び実施例は、本発明の代表的な一例を示したものであり、これにより本発明の範囲が狭く解釈されることはない。
【0049】
〔合成例1〕
攪拌機、温度計、窒素吹き込み管及び冷却管を備えた500mL容の四つ口フラスコに、アクリル酸45g(0.625モル)、アルキル基の炭素数が18〜24である(メタ)アクリル酸アルキルエステルとしてのブレンマーVMA70(日本油脂株式会社製:メタクリル酸ステアリルが10〜20質量部、メタクリル酸エイコサニルが10〜20質量部、メタクリル酸ベヘニルが59〜80質量部及びメタクリル酸テトラコサニルの含有量が1質量部以下の混合物)1.35g、ペンタエリトリトールアリルエーテル0.05g、ノルマルヘキサン150g及び2,2’−アゾビスメチルイソブチレート0.081g(0.00035モル)を仕込んだ。引き続き、均一に攪拌、混合した後、反応容器の上部空間、原料及び溶媒中に存在している酸素を除去するために、溶液中に窒素ガスを吹き込んだ。次いで、窒素雰囲気下、60〜65℃に保持して4時間反応させた。反応終了後、生成したスラリーを90℃に加熱して、ノルマルヘキサンを留去し、さらに、110℃、10mmHgにて8時間減圧乾燥することにより、白色微粉末状の(メタ)アクリル酸/(メタ)アクリル酸アルキルエステル共重合体43gを得た。
【0050】
〔合成例2〕
合成例1において、ブレンマーVMA70(日本油脂株式会社製)の使用量を1.58gに変更した以外は、実施例1と同様にして、白色微粉末状の(メタ)アクリル酸/(メタ)アクリル酸アルキルエステル共重合体44gを得た。
【0051】
〔合成例3〕
合成例1において、ブレンマーVMA70(日本油脂株式会社製)の使用量を1.80gに変更した以外は、実施例1と同様にして、白色微粉末状の(メタ)アクリル酸/(メタ)アクリル酸アルキルエステル共重合体45gを得た。
【0052】
〔合成例4〕
合成例1において、ペンタエリトリトールアリルエーテルの使用量を0.07gに変更した以外は、実施例1と同様にして、白色微粉末状の(メタ)アクリル酸/(メタ)アクリル酸アルキルエステル共重合体43gを得た。
【0053】
〔合成例5〕
合成例1において、ブレンマーVMA70(日本油脂株式会社製)の使用量を1.58g、ペンタエリトリトールアリルエーテルの使用量を0.07gに変更した以外は、実施例1と同様にして、白色微粉末状の(メタ)アクリル酸/(メタ)アクリル酸アルキルエステル共重合体44gを得た。
【0054】
〔合成例6〕
合成例1において、ペンタエリトリトールアリルエーテルの使用量を0.09gに変更した以外は、実施例1と同様にして、白色微粉末状の(メタ)アクリル酸/(メタ)アクリル酸アルキルエステル共重合体42gを得た。
【0055】
〔合成例7〕
合成例1において、ブレンマーVMA70(日本油脂株式会社製)の使用量を1.80g、ペンタエリトリトールアリルエーテルの使用量を0.09gに変更した以外は、実施例1と同様にして、白色微粉末状の(メタ)アクリル酸/(メタ)アクリル酸アルキルエステル共重合体44gを得た。
【0056】
〔合成例8〕
合成例1において、ペンタエリトリトールアリルエーテルの使用量を0.14gに変更した以外は、実施例1と同様にして、白色微粉末状の(メタ)アクリル酸/(メタ)アクリル酸アルキルエステル共重合体43gを得た。
【0057】
[実施例1〜17]:水中油型乳化組成物
表1〜3に示す水中油型乳化組成物を以下に示す調製方法により調製した。まず、水溶性高分子(a)と、1,3−ブチレングリコール、精製水とを、80℃にて均一に混合溶解した。次に、クエン酸、クエン酸ナトリウム、または乳酸、及び水酸化ナトリウムを加えて、均一に混合溶解させ、15℃まで冷却した。実施例10〜17に関しては、水添レシチンと油性成分を70℃に加熱したものに、前記水溶液を70℃にて添加し、乳化させることで実施例1〜17に係る水中油型乳化組成物を調製した。
【0058】
[比較例1〜6]:水中油型乳化組成物
表4に示す水中油型乳化組成物を以下に示す調製方法により調製した。まず、水溶性高分子(a)の代わりに、比較例1〜3については市販のアクリル酸アクリル酸アルキル共重合体(商品名:ペミュレンTR−2 NOVEON社製)と、比較例4〜6については市販のアクリル酸アクリル酸アルキル共重合体(商品名:カーボポール1342 LUBRIZOL ADVANCED MATERIALS A社製)とに、1,3−ブチレングリコール、精製水を、80℃にて均一に混合溶解した。次に、クエン酸、クエン酸ナトリウム、及び水酸化ナトリウムを加えて、均一に混合溶解させ、15℃まで冷却することで、比較例1〜6に係る水中油型乳化組成物を調製した。
【0059】
【表1】

【0060】
【表2】

【0061】
【表3】

【0062】
【表4】

*1:ペミュレンTR−2(NOVEON社製)
*2:カーボポール1342(LUBRIZOL ADVANCED MATERIALS A社製)
*3:ニッコール レシノール S−10(日光ケミカルズ社製)

【0063】
<各品質特性の評価>
前記で調製した実施例1〜17、比較例1〜6に係る水中油型乳化組成物について、化粧料評価専門パネル20名の官能評価試験により、i)塗布時のみずみずしい使用感、ii)塗布時のとろみのある使用感、iii)後肌の柔軟性の3項目に関し、下記に示す評価基準に従って比較評価した。
【0064】
i)塗布時のみずみずしい使用感
(点数):(評価基準)
4:非常にみずみずしい使用感であった
3:みずみずしい使用感であった
2:あまりみずみずしい使用感ではなかった
1:みずみずしい使用感ではなかった
【0065】
ii)塗布時のとろみのある使用感
(点数):(評価基準)
4:非常にとろみのある使用感であった。
3:とろみのある使用感であった。
2:あまりとろみのある使用感ではなかった。
1:とろみのある使用感ではなかった。
【0066】
iii)後肌の柔軟性
(点数):(評価基準)
4:非常に柔らかくなった。
3:柔らかくなった。
2:あまり柔らかくならなかった。
1:柔らかくならなかった。
【0067】
また、それぞれの経時安定性を下記評価基準に従って評価した。
経時安定性評価である、iv)、v)に関しては、水中油型乳化組成物をそれぞれ5℃、25℃の恒温層に1ヶ月間保存したものを評価した。
【0068】
iv)分離・排液
(点数):(評価基準)
4:全く分離・排液が見られなかった。
3:わずかに分離・排液が見られた。
2:分離・排液が見られた。
1:分離・排液が著しかった。
【0069】
v)高分子の凝集・沈殿
(点数):(評価基準)
4:高分子の凝集・沈殿が全く見られなかった。
3:高分子の凝集・沈殿がわずかに見られた。
2:高分子の凝集・沈殿が見られた。
1:高分子の凝集・沈殿が著しかった。
【0070】
各項目の評価結果の点数をそれぞれ合計し(80点満点)、下記に示す判定基準に従って判定し、結果をあわせて表1〜4に示した。なお、本発明では、B以上の判定が、本発明において好適であると考えられる。
【0071】
(判定基準)
(判定):(合計点数)
AA:75点以上
A:70点以上74点以下
B:60点以上69点以下
C:40点以上59点以下
D:30点以上39点以下
E:29点以下
【0072】
表1〜4の各試料について、pH値及び粘度値を下記測定法により測定し、その結果を併せて表1〜4に示した。
pH値:25℃にて、ガラス電極のpHメーター(HORIBA社製)を用いて測定した。
粘度値:30℃にて24時間保管し、B型回転粘度計(芝浦システム株式会社)を用いて、3号ローターで6回転、1分後の粘度値を測定した。
【0073】
<結果>
表1〜4に示す通り、実施例1〜17に係る水中油型乳化組成物については、i)塗布時のみずみずしい使用感、ii)塗布時のとろみのある使用感、iii)後肌の柔軟性、iv)分離・排液、v)高分子の凝集・沈殿の全ての評価項目において、B評価以上の結果を示し、良好なものであった。
特に、水溶性高分子(a)を0.2〜1.0%含有する実際例2〜6、更にそこへ油性成分(c)を0.01〜10.0%含有する実施例11〜13、15は、全ての項目においてA評価以上の結果を示していた。その中でも成分(c)を0.1〜5.0%含有する実施例12、15は全てAA評価と非常に優れた結果を示していた。
この結果から、本発明に係る水中油型乳化組成物中の水溶性高分子(a)の好適な含有量は、0.2〜1.0%であり、また、油性成分(c)の好適な含有量は、0.1〜5.0%であることが分かった。
【0074】
一方、比較例1〜6に係る水中油型乳化組成物については、i)塗布時のみずみずしい使用感、iv)25℃1ヶ月における分離・排液については、比較的良好であったが、ii)塗布時のとろみのある使用感、iii)後肌の柔軟性、v)25℃1ヶ月の高分子の凝集・沈殿については不良な結果が見受けられた。また、iv)5℃1ヶ月の分離・排液、v)5℃一ヶ月の高分子の凝集・沈殿については、全ての比較例に係る水中油型乳化組成物がD評価以下で不良であった。
【0075】
実施例18 化粧水
(成分) (%)
1.合成例1記載の水溶性高分子(a) 0.2
2.アスコルビン酸2−グルコシド 2.0
3.クエン酸 適量
4.リン酸一水素ナトリウム 適量
5.精製水 残量
6.エタノール 8.0
7.ポリオキシエチレン(30モル)ポリオキシプロピレン(6モル)
デシルテトラデシルエーテル 0.3
8.防腐剤 適量
9.香料 適量
【0076】
《調製方法》
成分1〜6に成分7〜9を加え、均一に攪拌し、可溶化を行い、pHが4.0の化粧水を得た。
【0077】
《評価》
実施例18の化粧水は、みずみずしく、とろみのある感触を持ち、経時安定性に優れるものであった。
【0078】
実施例19 乳液
(成分) (%)
1.モノステアリン酸ポリオキシエチレン(20モル)ソルビタン 1.0
2.テトラオレイン酸ポリオキシエチレン(40モル)ソルビトール 1.5
3.親油型モノステアリン酸グリセリル 1.0
4.ステアリン酸 0.5
5.ベヘニルアルコール 1.5
6.スクワラン 5.0
7.2−エチルヘキサン酸セチル 5.0
8.ジメチルポリシロキサン 100mm2/s(25℃) 0.5
9.合成例2記載の水溶性高分子(a) 0.2
10.キサンタンガム 0.1
11.乳酸ソーダ 1.0
12.水酸化ナトリウム 適量
13.クエン酸 適量
14.リン酸一水素ナトリウム 適量
15.1,3−ブチレングリコール 7.0
16.防腐剤 適量
17.精製水 残量
【0079】
《調製方法》
成分1〜8及び成分9〜17をそれぞれ80℃に加温し、攪拌しながら乳化した。続いて、攪拌しながら冷却し、pHが4.5の乳液を得た。
【0080】
《評価》
実施例19の乳液は、みずみずしく、とろみのある感触を持ち、後肌の柔軟性や経時安定性に優れるものであった。
【0081】
実施例20 美容液
(成分) (%)
1.合成例3記載の水溶性高分子(a) 0.2
2.リン酸アスコルビン酸マグネシウム 3.0
3.水酸化ナトリウム 適量
4.クエン酸 適量
5.エデト酸4ナトリウム 0.1
6.1,3−ブチレングリコール 7.0
7.グリセリン 8.0
8.精製水 残量
9.美容成分 適量
10.防腐剤 適量
11.エタノール 5.0
【0082】
《調製方法》
成分1〜11を常温にて混合溶解し、攪拌し、pHが4.8の美容液を得た。
【0083】
《評価》
実施例20の美容液は、みずみずしく、とろみのある感触を持ち、経時安定性に優れるものであった。
【0084】
実施例21 クリーム
(成分) (%)
1.ペンタオレイン酸デカグリセリル 3.0
2.ミツロウ 2.0
3.セタノール 2.0
4.スクワラン 5.0
5.トリー2−エチルヘキサン酸グリセリル 2.0
6.ジメチルポリシロキサン 0.5
7.グリセリン 5.0
8.アスコルビン酸2−グルコシド 2.0
9.クエン酸 適量
10.クエン酸ナトリウム 適量
11.エデト酸4ナトリウム 0.05
12.合成例4記載の水溶性高分子(a) 0.15
13.水酸化ナトリウム 適量
14.防腐剤 適量
15.精製水 残量
【0085】
《調製方法》
成分1〜6及び成分7〜15をそれぞれ80℃に加温し、攪拌しながら乳化した。続いて、攪拌しながら冷却し、pHが3.5のクリームを得た。
【0086】
《評価》
実施例21のクリームは、みずみずしく、とろみのある感触を持ち、後肌の柔軟性や経時安定性に優れるものであった。
【0087】
実施例22 クリームパック
(成分) (%)
1.ポリオキシエチレン(20モル)ポリオキシプロピレン(4モル)
セチルエーテル 0.8
2.モノステアリン酸ジグリセリル 0.2
3.トリ−2−エチルヘキサン酸グリセリル 1.0
4.メドウホーム油 1.0
5.グリセリン 5.0
6.1,3−ブチレングリコール 3.0
7.合成例5記載の水溶性高分子(a) 0.5
8.水酸化ナトリウム 適量
9.ヒドロキシエチルセルロース 0.3
10.アスコルビン酸2−グルコシド 2.0
11.防腐剤 適量
12.精製水 残量
【0088】
《調製方法》
成分1〜4及び成分5〜12をそれぞれ80℃に加温し、攪拌しながら乳化した。続いて、攪拌しながら冷却し、pHが3.0のクリームパックを得た。
【0089】
《評価》
実施例22のクリームパックは、みずみずしく、とろみのある感触を持ち、後肌の柔軟性や経時安定性に優れるものであった。
【0090】
実施例23 マッサージクリーム
(成分) (%)
1.ポリオキシエチレン(20モル)セチルエーテル 2.0
2.親油型モノステアリン酸グリセリル 4.0
3.セタノール 2.0
4.白色ワセリン 6.0
5.スクワラン 30.0
6.トリー2−エチルヘキサン酸グリセリル 5.0
7.メチルポリシロキサン 100mm/s(25℃) 0.5
8.合成例6記載の水溶性高分子(a) 1.0
9.水酸化ナトリウム 適量
10.グリセリン 5.0
11.ピロリドンカルボン酸ナトリウム 1.0
12.防腐剤 適量
13.精製水 残量
【0091】
《調製方法》
成分1〜7及び成分8〜13をそれぞれ80℃に加温し、攪拌しながら乳化した。続いて、攪拌しながら冷却し、pHが2.5のマッサージクリームを得た。
【0092】
《評価》
実施例23のマッサージクリームは、みずみずしく、とろみのある感触を持ち、後肌の柔軟性や経時安定性に優れるものであった。
【0093】
実施例24 クレンジングジェル
(成分) (%)
1.合成例7記載の水溶性高分子(a) 1.0
2.精製水 残量
3.水酸化カリウム 適量
4.塩化ナトリウム 0.5
5.乳酸 1.0
6.パラオキシ安息香酸エステル 適量
7.エタノール 8.0
8.1,3−ブチレングリコール 5.0
9.ラウロイルメチルアラニンナトリウム 5.0
【0094】
《調製方法》
成分1〜5を均一に混合・膨潤する。ついで、成分6〜9を添加・混合し、均一ゲル状にすることで、pHが4.6のクレンジングジェルを得た。
【0095】
《評価》
実施例24のクレンジングジェルは、クレンジング効果に優れ、更にみずみずしく、とろみのある感触を持ち、経時安定性に優れるものであった。
【0096】
実施例25 クレンジングジェル
(成分) (%)
1.デカメチルシクロペンタシロキサン 20.0
2.ジメチルポリシロキサン 100mm/s(25℃) 1.0
3.流動パラフィン 5.0
4.ポリオキシエチレン(10モル)イソステアリン酸 5.0
5.合成例8記載の水溶性高分子(a) 1.5
6.水酸化ナトリウム 適量
7.塩化ナトリウム 0.7
8.L−セリン 0.5
9.ヒドロキシエチルセルロース 0.02
10.パラオキシ安息香酸エステル 適量
11.精製水 残量
【0097】
《調製方法》
80℃に加熱溶解させた成分1〜4に、均一に混合・膨潤した成分5〜11を加え、攪拌しながら30℃まで冷却することで、pHが3.6のクレンジングジェルを得た。
【0098】
《評価》
実施例25のクレンジングジェルは、クレンジング効果に優れ、更にみずみずしく、とろみのある感触を持ち、後肌の柔軟性や経時安定性に優れるものであった。
【0099】
実施例26 クレンジングジェル
(成分) (%)
1.トリ(カプリル・カプリン酸)グリセリル 30.0
2.モノオレイン酸ポリオキシエチレン(6モル)ソルビタン 20.0
3.グリセリン 40.0
4.合成例1記載の水溶性高分子(a) 2.0
5.水酸化ナトリウム 適量
6.塩化ナトリウム 2.0
7.アルブチン 0.5
8.パラオキシ安息香酸エステル 適量
9.精製水 残量
【0100】
《調製方法》成分1〜3に、均一に混合・膨潤した成分4〜9を加え、均一ゲル状にすることで、pHが3.7のクレンジングジェルを得た。
【0101】
《評価》
実施例26のクレンジングジェルは、クレンジング効果に優れ、更にみずみずしく、とろみのある感触を持ち、経時安定性に優れるものであった。
【0102】
実施例27 洗顔フォーム
(成分) (%)
1.N−ラウロイルグルタミン酸ナトリウム 10.0
2.ポリオキシエチレン(20モル)ラウリルエーテル 2.0
3.アスコルビン酸2−グルコシド 2.0
4.合成例2記載の水溶性高分子(a) 1.0
5.水酸化ナトリウム 適量
6.塩化ナトリウム 0.5
7.リンゴ酸 0.03
8.海洋性コラーゲン 0.5
9.パラオキシ安息香酸エステル 適量
10.精製水 残量
【0103】
《調製方法》
80℃に加熱溶解させた成分1〜2に、均一に混合・膨潤した成分3〜10を加え、攪拌しながら30℃まで冷却することで、pHが4.6の洗顔フォームを得た。
【0104】
《評価》
実施例27の洗顔フォームは、洗浄効果に優れ、更にみずみずしく、とろみのある感触を持ち、経時安定性に優れるものであった。
【0105】
実施例28 シャンプー
(成分) (%)
1.ココイルメチルタウリンナトリウム 4.0
2.ポリオキシエチレン(12モル)ラウリルエーテル硫酸ナトリウム 8.0
3.ラウリルジメチルアミノ酢酸ベタイン 4.0
4.ココアンホ酢酸ナトリウム 3.0
5.ヤシ油脂肪酸ジエタノールアミド 5.0
6.パラオキシ安息香酸エステル 適量
7.クエン酸 適量
8.1,2−ペンタンジオール 5.0
9.合成例3記載の水溶性高分子(a) 0.5
10.水酸化ナトリウム 適量
11.プロリン 0.05
12.精製水 残量
【0106】
《調製方法》
70℃に加熱溶解させた成分1〜6に、均一に混合・膨潤した成分7〜12を徐々に加え、攪拌しながら冷却することで、pHが5.5のシャンプーを得た。
【0107】
《評価》
実施例28のシャンプーは、洗髪効果に優れ、更にみずみずしく、とろみのある感触を持ち、経時安定性に優れるものであった。
【0108】
実施例29 シャンプー
(成分) (%)
1.ポリオキシエチレン(8モル)ラウリルエーテル硫酸ナトリウム 12.0
2.ポリオキシエチレン(3モル)ラウリルエーテル硫酸アンモニウム 10.0
3.ラウリルジメチルアミノ酢酸ベタイン 2.0
4.アクリルアミド・アクリル酸・塩化ジメチルジアリル
アンモニウム共重合体液 1.0
5.塩化O−[2−ヒドロキシ−3−(トリメチルアンモニウム)プロピル]
ヒドロキシエチルセルロース 0.3
6.ヤシ油脂肪酸ジエタノールアミド 5.0
7.ジステアリン酸エチレングリコール 2.0
8.高重合メチルポリシロキサンエマルション 0.5
9.1,3−ブチレングリコール 3.0
10.パラオキシ安息香酸メチル 0.2
11.合成例4記載の水溶性高分子(a) 0.5
12.塩化ナトリウム 0.5
13.グリシン 0.01
14.リンゴ酸 1.0
15.アルギニン 適量
16.精製水 残量
【0109】
《調製方法》
80℃に加熱溶解させた成分1〜10に均一に混合・膨潤した成分11〜16を徐々に加え、攪拌しながら冷却することで、pHが4.5のシャンプーを得た。
【0110】
《評価》
実施例29のシャンプーは、洗髪効果に優れ、更にみずみずしく、とろみのある感触を持ち、後肌の柔軟性や経時安定性に優れるものであった。
【0111】
実施例30 ボディーシャンプー
(成分) (%)
1.ラウロイルメチルアラニンナトリウム 13.0
2.ココアンホ酢酸ナトリウム 5.0
3.ヤシ油脂肪酸カリウム 10.0
4.ヤシ油脂肪酸ジエタノールアミド 5.0
5.ジステアリン酸エチレングリコール 2.0
6.パラオキシ安息香酸メチル 0.5
7.合成例5記載の水溶性高分子(a) 0.25
8.アスコルビン酸2−グルコシド 2.0
9.水酸化ナトリウム 適量
10.N−アセチル−Lグルタミン酸 適量
11.精製水 残量
【0112】
《調製方法》
80℃に加熱溶解させた成分1〜6に、均一に混合・膨潤した成分7〜11を徐々に加え、攪拌しながら冷却することで、pHが5.3のボディーシャンプーを得た。
【0113】
《評価》
実施例30のボディーシャンプーは、洗浄効果に優れ、更にみずみずしく、とろみのある感触を持ち、後肌の柔軟性や経時安定性に優れるものであった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
成分(a):アクリル酸又はメタアクリル酸と、アクリル酸アルキルエステル又はメタアクリル酸アルキルエステルと、エチレン性不飽和基を2個以上有する化合物と、が少なくとも結合した共重合体からなり、電解質を含有させた場合に増粘性を発揮する水溶性高分子
成分(b):水溶性薬剤
を含有し、pHが2.0〜5.5であることを特徴とする水中油型乳化組成物。
【請求項2】
前記水溶性高分子(a)が、
前記アクリル酸アルキルエステル又は前記メタアクリル酸アルキルエステルとして、アルキル基の炭素数が18以上24以下である前記アクリル酸アルキルエステル又は前記メタアクリル酸アルキルエステル2.43〜4.3質量%と、
前記エチレン性不飽和基を2個以上有する化合物0.08〜0.29質量%と、
を少なくとも含むことを特徴とする請求項1に記載の水中油型乳化組成物。
【請求項3】
前記水溶性高分子(a)を、組成物中に0.1〜1.2質量%含有することを特徴とする請求項1または2に記載の水中油型乳化組成物。
【請求項4】
さらに成分(c)として油性成分を0.01〜10.0質量%含有することを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の水中油型乳化組成物。
【請求項5】
組成物の25℃における粘度が100〜10000mPa・sであることを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載の水中油型乳化組成物。
【請求項6】
請求項1から5のいずれか一項に記載の水中油型乳化組成物を含有することを特徴とする皮膚外用剤。











【公開番号】特開2011−213676(P2011−213676A)
【公開日】平成23年10月27日(2011.10.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−84480(P2010−84480)
【出願日】平成22年3月31日(2010.3.31)
【出願人】(000145862)株式会社コーセー (734)
【Fターム(参考)】