説明

水中油型乳化組成物

【課題】水中油型乳化組成物に関し、さらに詳細には、セラミド類を結晶化させることなく、水中油型乳化組成物中に安定に配合することが可能であり、乳化安定性や保湿効果に優れる水中油型乳化組成物を提供すること。
【解決手段】次の成分(A)〜(E);
(A)セラミド類
(B)以下の条件(1)〜(3)を満たすデキストリン脂肪酸エステル
(1)グルコース単位あたりの該脂肪酸の置換度が1.4〜1.8である
(2)該脂肪酸組成が、(a)炭素数12〜22の直鎖飽和脂肪酸と(b)炭素数8〜22の分岐飽和脂肪酸であり、(a)、(b)の含有モル比が60:40〜95:5である
(3)デキストリン部分のグルコースの平均重合度が3〜150である
(C)リン脂質
(D)HLB10〜15.5の非イオン性界面活性剤
(E)炭素数18〜24の分岐を有する高級アルコール及び/又は炭素数8〜18の脂肪酸と炭素数2〜16の一価アルコールのエステル
を含有することを特徴とする水中油型乳化組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水中油型乳化組成物に関し、さらに詳細には、セラミド類を結晶化させることなく、水中油型乳化組成物中に安定に配合することが可能であり、乳化安定性や保湿効果に優れる水中油型乳化組成物に関する。また該水中油型乳化組成物を用いた化粧料並びに皮膚外用剤に関する。
【背景技術】
【0002】
セラミドは、皮膚の角層における細胞間脂質の主要な成分として存在し、細胞膜の裏打ちタンパク質であるコーニファイドエンベロップと結合することによって皮膚の水分を蒸散させないバリア機能としての役割を果たしている。皮膚のバリア機能の低下は、皮膚の水分量も低下することで皮膚老化の初期症状とも言える小皺の発生や、アレルゲン等の外的因子からの抵抗力が無くなり、様々な皮膚トラブルが発生する。
【0003】
このようなセラミドの有用な機能に着目し、セラミドを配合した化粧料や皮膚外用剤への配合検討がなされている。しかしながら、セラミドは結晶性が高いため乳化化粧料への安定配合が困難な場合があり、従来から種々の成分との組み合わせや、製造方法などを工夫等がなされている。また、セラミドの他にも、植物セラミド、合成セラミド、プソイドセラミド(合成擬似セラミド)などのセラミド様物質もセラミドと同様な効果が期待されているが、これらの安定配合に関しても種々の技術検討されている。例えば、特許文献1には、セラミド類、α−トコフェリルリン酸エステル類、バチルアルコールを組み合わせた水中油型乳化組成物の技術があり、また特許文献2には、セラミド類と炭素数10〜30の脂肪酸を含む油相と水相とを、高圧にて分散させ、特定のpH領域または電導度を有する微細エマルジョンの水性化粧料の技術がある。
【0004】
一方、従来からデキストリン脂肪酸エステルは、液状の油剤をゲル化させる作用を有することから、特許文献3では、油性剤系の増粘や安定性を向上させる技術があり、特許文献4には、デキストリン脂肪酸エステルが、油中水系乳化化粧料において粉末の分散および経時での安定性を向上させる技術がある。
【特許文献1】特開2011−016761号公報
【特許文献2】特開2010−083802号公報
【特許文献3】特開2010−083866号公報
【特許文献4】特開2010−116354号公報
【0005】
上記特許文献1の技術は、保管される温度環境によってはセラミド類の結晶析出が見られる場合があった。特許文献2の技術では、特定の高圧機器にてセラミド類を含む乳化物を微細化する技術であるが、偏光顕微鏡などで微視的に観察した場合、十分なセラミドの結晶化を抑制させる効果が発揮されない場合があった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
すなわち、上記記載のとおり、セラミド類を配合した化粧料の技術はあるが、セラミド類は結晶性が高く、保存環境によっては安定性が十分でない場合があった。特に温度が短期間で変化する環境(以下、温度サイクル環境)においては、特にセラミド類の結晶化が進行する場合がある。例えば、化粧料の使用期間によっては、季節による長期的な温度変化を受ける場合や、冷暖房の環境下における短期的な温度変化等によっても起こりうる可能性がある。この場合、セラミド類の結晶化物は、偏光顕微鏡等による微視的観察などから、存在が確認できる。
そして、セラミド類は、製剤中で結晶化してしまうと、皮膚への付着効果や閉塞効果が十分に得られにくくなり、保湿効果にも影響する場合がある。
【0007】
以上のような状況からセラミド類を化粧料中にさらに安定に配合できる技術を開発する必要があった。すなわち、本発明の目的は、温度サイクル環境においてもセラミド類を結晶化させることなく安定に配合できる水中油型乳化組成物を開発することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
かかる実情に鑑み、本発明者らは鋭意検討した結果、セラミド類を溶解するために、特定の油剤が必要であるという知見を得、さらに温度サイクル環境においても、セラミド類の溶解性を維持させるために、セラミド類の融点を下げることが必要だと考えられ、更なる検討を重ねた結果、セラミド類と共に油剤に溶解できる成分として特定のデキストリン脂肪酸エステルにのみ、セラミド類の溶解性を向上させ、さらに溶解性を維持する効果があるという知見を見出した。また特定のデキストリン脂肪酸エステルの含有により、油剤の粘度を高めることも溶解性の維持には重要であるという知見も見出した。そしてこれらの油剤を水中油型乳化組成物として安定に配合できる乳化剤についても検討を重ねた結果、特定の乳化剤を用いることで、セラミド類を経時的にも結晶化させることなく安定に配合できるという技術を見出した。
【0009】
すなわち本発明は、次の成分(A)〜(E);
(A)セラミド類
(B)以下の条件(1)〜(3)を満たすデキストリン脂肪酸エステル
(1)グルコース単位あたりの該脂肪酸の置換度が1.4〜1.8である
(2)該脂肪酸組成が、炭素数12〜22の直鎖飽和脂肪酸(a)と炭素数8〜22の分岐飽和脂肪酸(b)であり、(a)、(b)の含有モル比が60:40〜95:5である
(3)デキストリン部分のグルコースの平均重合度が3〜150である
(C)リン脂質
(D)HLB10〜15.5の非イオン性界面活性剤
(E)炭素数18〜24の分岐を有する高級アルコール及び/又は炭素数8〜18の脂肪酸と炭素数2〜16の一価アルコールのエステル
を、含有することを特徴とする水中油型乳化組成物に関する。
【0010】
また、本発明は、成分(B)が、(a)パルミチン酸、(b)2−エチルヘキサン酸とデキストリンとのエステル化物であることを特徴とする請求項1記載の水中油型乳化組成物に関する。
【0011】
また、本発明は、成分(A)、(B)の含有質量比が、(A)/(B)=0.001〜2であることを特徴とする水中油型乳化組成物に関する。
【0012】
また、本発明は、成分(D)が、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油であることを特徴とする水中油型乳化組成物に関する。
【0013】
また、本発明は、化粧料であることを特徴とする水中油型乳化組成物。
【0014】
また、本発明は、皮膚外用剤であることを特徴とする水中油型乳化組成物。
【発明の効果】
【0015】
本発明の水中油型乳化組成物は、セラミド類の結晶を抑制することができるため、セラミドの有する保湿効果を十分に発揮させることが可能であり、また乳化安定性にも優れるものである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明について詳細に説明する。なお、本明細書において、「〜」はその前後の数値を含む範囲を意味するものとする。
本発明の成分(A)のセラミド類は、保湿効果を付与させる成分として含有されるもので、セラミド及びその誘導体を包含するものであり、天然抽出物であっても、合成物であってもよい。また、本発明におけるセラミド類とは、通常、化粧料等に使用できる物であれば限定されないが、以下のものとして定義することができる。すなわち、分子中に1個以上の長鎖の直鎖および/もしくは分岐アルキル又はアルケニル基、さらに、少なくとも2個以上の水酸基、1個以上のアミド基(および/またはアミノ基)を有する非イオン系両親媒性物質、あるいは当該非イオン系両親媒性物質の水酸基にフォスファチジルコリン残基、または糖残基が結合した誘導体として表現される一連のセラミド類である。例えば、スフィンゴシン、フィトスフィンゴシン及びそれらの長鎖脂肪酸アミドであるセラミド1、セラミド2、セラミド3、セラミド3B、セラミド4、セラミド5、セラミド6、セラミド6I、セラミド6IIなどの天然セラミド類;スフィンゴシン、フィトスフィンゴシンのリン脂質誘導体であるスフィンゴミエリン、フィトスフィンゴミエリン等のスフィンゴリン脂質;それらの配糖体であるセレブロシドやガングリオシドなどのスフィンゴ糖脂質およびフィトスフィンゴ糖脂質などが例示され、一種または二種以上を組み合わせて用いることができる。これらの中でも、特に優れた保湿効果が得られるためには、セラミド2またはセラミド3が好ましい。
【0017】
本発明の水中油型乳化組成物における成分(A)の含有量は、0.001〜2質量%(以下、「%」と略記する)が好ましく、さらに好ましくは0.1〜1.5%である。この範囲であると、セラミドを結晶化させることなく安定に配合することが可能であり、乳化安定性や保湿効果に優れる。
【0018】
本発明の成分(B)は、以下の条件(1)〜(3)を満たすデキストリン脂肪酸エステル
(1)グルコース単位あたりの該脂肪酸の置換度が1.4〜1.8である
(2)該脂肪酸組成が、炭素数12〜22の直鎖飽和脂肪酸(a)と炭素数8〜22の分岐飽和脂肪酸(b)であり、(a)、(b)の含有モル比が60:40〜95:5である
(3)デキストリン部分のグルコースの平均重合度が3〜150である
である。
以下、更に成分(B)の構成について説明する。
【0019】
[デキストリン脂肪酸エステルのグルコース単位当たりの脂肪酸の置換度]
置換度とは、デキストリンの構成単位であるグルコースの水酸基が脂肪酸により置換されている数の平均値を示し、本発明においては、グルコース単位当たり1.4〜1.8、好ましくは1.45〜1.75である。置換度が1.4より低くなるに従って液状油への溶解温度が高くなり乳化し難くなる、または溶解性が低下することでエステル化物自身が水中油型乳化組成物において結晶化してしまう、または水中油型乳化組成物における着色や特異なにおいが生じ好ましくない。また、置換度が1.8より大きくなるにつれてべたつき生じ、乳化組成物における滑らかさや保湿効果が得られ難いのとなる。
【0020】
[デキストリン脂肪酸エステルの脂肪酸部分]
本発明のデキストリン脂肪酸エステルにおいて、デキストリンとエステル化する脂肪酸は2種類であることを特徴としている。該脂肪酸は、(a)炭素数12〜22の脂肪酸と、(b)炭素数8〜22の分岐飽和脂肪酸であり、好ましくはそれぞれが炭素数14〜22の直鎖飽和脂肪酸と炭素数8〜20の分岐飽和脂肪酸である。これらの各脂肪酸は、一種又は二種以上であってもよい。
本発明において、成分(B)の脂肪酸部分は、(a)と(b)のを含むことを特徴としており、この組合せにおいてのみ、セラミド類の結晶を抑制し、セラミド類の溶解性を向上させることができるものである。すなわち脂肪酸部分が、(a)又は(b)のいずれか一種とデキストリンとのエステル化物では、本発明のセラミド類の結晶を抑制する効果は顕著に見られない。
また脂肪酸の炭素数が11以下の直鎖脂肪酸と炭素数が7以下の分岐脂肪酸との混合脂肪酸とデキストリンとのエステルである場合、脂肪酸の炭素数が23以上の直鎖脂肪酸と炭素数が21以上の分岐飽和脂肪酸との混合脂肪酸とデキストリンとのエステルである場合のいずれにおいても、本発明のセラミド類の結晶を抑制する効果は得られないものである。さらにこのような脂肪酸の炭素数が大きいものでは、水中油型乳化組成物としてのべたつきなども生じる可能性がある。
【0021】
具体的に本発明に用いられる(a)炭素数12〜22の直鎖飽和脂肪酸としては、例えば、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、アラキン酸、ベヘン酸等が挙げられ、これらの1種又は2種以上を適宜、選択又は組み合わせて使用することができる。これらのうち、特にパルミチン酸が好ましい。また、本発明に用いられる(b)炭素数8〜22の分岐飽和脂肪酸としては、例えば、2−エチルヘキサン酸、イソノナン酸、イソデカン酸、イソトリデカン酸、イソミリスチン酸、イソパルミチン酸、イソステアリン酸、イソアラキン酸等が挙げられ、これらの1種又は2種以上を適宜選択又は組み合わせて使用することができる。これらのうち、2−エチルヘキサン酸が特に好ましい。
【0022】
そして本発明においては、これらの脂肪酸が特定比率で含有していることが必要である。具体的には、組成物中の全デキストリン脂肪酸エステルの脂肪酸部分の組成が、(a)炭素数12〜22直鎖飽和脂肪酸が60〜95モル%、(b)炭素数8〜22の分岐飽和脂肪酸が5〜40モル%である。直鎖飽和脂肪酸の割合が95モル%より多くなると油剤への溶解温度が高くなり乳化し難くなる、または溶解温度が高くなることでデキストリン脂肪酸エステル自身が水中油型乳化組成物において結晶化してしまう。分岐脂肪酸の割合が40モル%より多くなると、セラミド類の結晶化を抑制させる効果が顕著に見られない。
【0023】
[デキストリン脂肪酸エステルのデキストリン部分]
本発明のデキストリン脂肪酸エステルに使用されるデキストリンは、α−グルコースがグリコシド結合によって重合した化合物であり、デンプンの加水分解により得られるものである本発明においては、グルコースの平均重合度3〜150、特に10〜100のデキストリンが好ましい。グルコースの平均重合度が2以下では、得られたデキストリンエステルがワックス様となって油剤への溶解性が低下する。また、グルコースの平均重合度が150を超えると、デキストリン脂肪酸エステルの油剤への溶解温度が高くなる、または溶解性が悪くなる等の問題を生ずることがある。デキストリンの糖鎖は直鎖状、分岐鎖状、環状のいずれでもよい。
なお、デキストリン部分のグルコースの平均重合度は、グルコースを標準としてソモギー・ネルソン法で還元糖を、フェノール硫酸法で全糖を測定し(還元糖の定量法、学会出版センター発行)、次式により算出される。
グルコースの平均重合度=全糖(質量%)/還元糖(質量%)
【0024】
従来より、化粧料等に配合可能なデキストリン脂肪酸エステルとしては種々のものが知られているが、本願発明のセラミド類の結晶化を抑制する効果に優れるのは、上記記載の特定構造を有するものであることを特徴とする。成分(B)の製造は、例えば、特許第3019191号などに示されている製法に従って得ることは可能であるが、市販品としても入手可能である。例えば、市販品としてグルコース単位当たりの脂肪酸の置換度が1.6、脂肪酸部分が炭素数16の直鎖脂肪酸パルミチン酸87モル%と、炭素数8の分岐脂肪酸である2−エチルヘキサン酸13モル%で構成され、デキストリン平均重合度が30のデキストリン脂肪酸エステル;レオパールTT2(千葉製粉社製)が挙げられる。
【0025】
本発明の水中油型乳化組成物における成分(B)の含有量は、0.001〜2%が好ましく、さらに好ましくは0.1〜1.5%である。
【0026】
成分(B)のデキストリンと脂肪酸とのエステル化物は、成分(A)のセラミド類に対して高い結晶防止効果を有し、本発明における水中油型乳化組成物の乳化安定性も付与させるものであるが、成分(A)、(B)の含有質量比が、(A)/(B)=0.001〜2の範囲にすることが好ましく、より好ましくは、0.01〜1の範囲である。
【0027】
本発明の成分(C)のリン脂質は、水中型乳化組成物の乳化剤として含有されるものであり、乳化安定性を向上させる効果がある。また、リン脂質自体が持つ保湿効果により、セラミド類と相乗して本発明の水中油型乳化組成物に保湿効果を付与することができる。このようなリン脂質は、通常の化粧料に使用されるものであれば特に限定されず、例えば、大豆由来リン脂質、大豆由来水素添加リン脂質、大豆由来リゾリン脂質、大豆由来水素添加リゾリン脂質、卵黄由来リン脂質、卵黄由来水素添加リン脂質、卵黄由来リゾリン脂質、卵黄由来水素添加リゾリン脂質、が挙げられ、これらのリン脂質は必要に応じて一種、又は二種以上用いることができ、より好ましくは、大豆由来水素添加リン脂質、大豆由来水素添加リゾリン脂質、卵黄由来水素添加リン脂質、卵黄由来水素添加リゾリン脂質が挙げられる。これらのリン脂質は必要に応じて一種又は二種以上を組み合わせて用いることができる。
【0028】
本発明の水中油型乳化組成物における成分(C)の含有量は、特に限定されないが、0.1〜4%が好ましく、この範囲であると、セラミド類の結晶を抑制することができ、セラミド類の有する保湿効果を十分に発揮させることが可能であり、また乳化安定性に優れる水中油型乳化組成物が得られる。
【0029】
本発明の水中油型乳化組成物における成分(D)のHLB10〜15.5の非イオン性界面活性剤は、水中型乳化組成物の乳化剤として配合されるものである。成分(D)のHLBは10〜15.5であるが、好ましくは、11.0〜14.0、より好ましくは11.5〜13.5である。HLBが10より小さいのものでは、本発明における水中油型乳化組成物において、乳化滴が大きくなり、安定した乳化物が作成できず経時での乳化安定性が保持できない。またHLBが15.5より大きいものでは、乳化滴が小さくなり、合一や凝集が生じ、経時での乳化安定性が保持できない。
【0030】
本発明の水中油型乳化組成物における成分(D)は、通常の化粧料等に使用されるものであれば特に限定されず、例えば、ポリオキシエチレン(以下、POEと略し、括弧内はポリオキシエチレンの重合度を示す)コレステリルエーテルとして、POE(10)コレステロールエーテル(HLB=10.0、EMALEX CS-10 日本エマルジョン社製)、POE(15)コレステロールエーテル(HLB=11.0、EMALEX CS-15 日本エマルジョン社製)、POE(20)コレステロールエーテル(HLB=12.0、EMALEX CS-20 日本エマルジョン社製)、POE(24)コレステロールエーテル(HLB=13.0、EMALEX CS-24 日本エマルジョン社製)、POE(30)コレステロールエーテル(HLB=14.0、EMALEX CS-30 日本エマルジョン社製)、POEフィトステロールエーテルとして、POE(10)フィトステロール(HLB=12.5、NIKKOL BPS-10 日光ケミカルズ社製)、POE(20)フィトステロール(HLB=15.5、NIKKOL BPS-20 日光ケミカルズ社製)、POEフィトスタノールエーテルとして、POE(25)フィトスタノール(HLB=12.5、NIKKOL BPSH-25 日光ケミカルズ社製)、POEラノリンとして、POE(10)ラノリン(HLB=12.0 NIKKOL TW-10 日光ケミカルズ社製)、POE(20)ラノリン(HLB=13.0 NIKKOL TW-20 日光ケミカルズ社製)、POE(30)ラノリン(HLB=14.0 NIKKOL TW-30 日光ケミカルズ社製)、ラノリンアルコールとして、POE(5)ラノリンアルコール(HLB=12.5 NIKKOL BWA-5 日光ケミカルズ社製)、POE(10)ラノリンアルコール((HLB=15.5 NIKKOL BWA-10 日光ケミカルズ社製)、POEソルビタン脂肪酸エステルとして、POE(60)モノステアリン酸ソルビタン(HLB=14.9 NIKKOL TS−10V 日光ケミカルズ社製)、POE20)トリステアリン酸ソルビタン(HLB=10.5 NIKKOL TS−30V 日光ケミカルズ社製)、POE(20)イソステアリン酸ソルビタン(HLB=15.0 NIKKOL TI−10V 日光ケミカルズ社製)、POE(20)モノオレイン酸ソルビタン(HLB=15.0 NIKKOL TO−10V 日光ケミカルズ社製)、POE(6)モノオレイン酸ソルビタン(HLB=10.0 NIKKOL TO−106V 日光ケミカルズ社製)、POE(20)トリオレイン酸ソルビタン(HLB=11.0 NIKKOL TO−30V 日光ケミカルズ社製)、POE(6)モノラウリン酸ソルビット(HLB=15.5 NIKKOL GL−1 日光ケミカルズ社製)、POE(60)テトラステアリン酸ソルビット(HLB=13.0 NIKKOL GS−460 日光ケミカルズ社製)、POE(30)テトラオレイン酸ソルビット(HLB=11.5 NIKKOL GS−430NV 日光ケミカルズ社製)、POE(40)テトラオレイン酸ソルビット(HLB=12.5 NIKKOL GS−430NV 日光ケミカルズ社製)、POE(60)テトラオレイン酸ソルビット(HLB=14.0 NIKKOL GS−460V 日光ケミカルズ社製)、(ポリオキシエチレンソルビトール脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステルとして、モノラウリン酸ポリグリセリル(6)(HLB=14.5 NIKKOL Hexaglyn 1−L 日光ケミカルズ社製)、ミリスチン酸ポリグリセリル(6)(HLB=11.0 NIKKOL Hexaglyn 1−M 日光ケミカルズ社製)、モノラウリン酸ポリグリセリル(10)(HLB=15.5 NIKKOL Decaglyn 1−L 日光ケミカルズ社製)、モノミリスチン酸ポリグリセリル(10)(HLB=14.0 NIKKOL Decaglyn 1−M 日光ケミカルズ社製)、モノステアリン酸ポリグリセリル(10)(HLB=12.0 NIKKOL Decaglyn 1−SV 日光ケミカルズ社製)、モノステアリン酸ポリグリセリル(10)ポリグリセリン(10)(HLB=15.0 NIKKOL Decaglyn 1−50SV 日光ケミカルズ社製)、モノイソステアリン酸ポリグリセリル(10)(HLB=12.0 NIKKOL Decaglyn ISV 日光ケミカルズ社製)、モノオレイン酸ポリグリセリル(10)(HLB=12.0 NIKKOL Decaglyn 1−OV 日光ケミカルズ社製)、モノリノール酸ポリグリセリル(10)(HLB=12.0 NIKKOL Decaglyn 1−LN 日光ケミカルズ社製)、ジイソステアリン酸ポリグリセリル(10)(HLB=10.0 NIKKOL Decaglyn 2−ISV 日光ケミカルズ社製)、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油として、POE(20)硬化ヒマシ油(HLB=10.5 NIKKOL HCO−20 日光ケミカルズ社製)、POE(30)硬化ヒマシ油(HLB=11.0 NIKKOL HCO−30 日光ケミカルズ社製)、POE(40)硬化ヒマシ油(HLB=12.5 NIKKOL HCO−40 日光ケミカルズ社製)、POE(50)硬化ヒマシ油(HLB=13.5 NIKKOL HCO−50 日光ケミカルズ社製)、POE(60)硬化ヒマシ油(HLB=14.0 NIKKOL HCO−60 日光ケミカルズ社製)、POE(80)硬化ヒマシ油(HLB=15.0 NIKKOL HCO−80 日光ケミカルズ社製)、ポリオキシエチレンアルキルエーテルとして、POE(4)ラウリルエーテル(HLB=11.5 NIKKOL BL−4.2 日光ケミカルズ社製)、POE(9)ラウリルエーテル(HLB=14.5 NIKKOL BL−9EX 日光ケミカルズ社製)、POE(6)セチルエーテル(HLB=10.5 NIKKOL BC−5.5 日光ケミカルズ社製)、POE(7)セチルエーテル(HLB=11.5 NIKKOL BC−7 日光ケミカルズ社製)、POE(10)セチルエーテル(HLB=13.5 NIKKOL BC−10 日光ケミカルズ社製)、POE(15)セチルエーテル(HLB=15.5 NIKKOL BC−15 日光ケミカルズ社製)、POE(7)オレイルエーテル(HLB=10.5 NIKKOL BO−7V 日光ケミカルズ社製)、POE(10)オレイルエーテル(HLB=14.5 NIKKOL BO−10V 日光ケミカルズ社製)、POE(10)ベヘニルエーテル(HLB=10.0 NIKKOL BB−10 日光ケミカルズ社製)、POE(4)(炭素数12−15)アルキルエーテル(HLB10.5 NIKKOL BD−4 日光ケミカルズ社製)、POE(10)(炭素数12−15)アルキルエーテル(HLB15.5 NIKKOL BD−10 日光ケミカルズ社製)、ポリエチレングリコール(以下、PEGと省略、括弧内はポリエチレングリコールの重合度を示す)脂肪酸エステルとして、PEG(10)モノラウリン酸(HLB=12.5 NIKKOL MYL−10 日光ケミカルズ社製)、PEG(10)モノステアリン酸(HLB=11.0 NIKKOL MYS−10V 日光ケミカルズ社製)、PEG(40)モノラウリン酸(HLB=15.0 NIKKOL MYS−40V 日光ケミカルズ社製)などが挙げられ、これらを一種または二種以上用いることができる。
本発明において、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油は使用性が良好で、乳化安定性に優れた水中油型乳化組成物が得られ、この中でもPOE(40)硬化ヒマシ油(HLB=12.5)が特に好適なものとして例示できる。
【0031】
本発明の水中油型乳化組成物における成分(D)の含有量は、特に限定されないが、0.3〜6%が好ましく、この範囲であると、セラミド類の結晶を抑制することができ、セラミド類の有する保湿効果を十分に発揮させることが可能であり、また乳化安定性に優れる水中油型乳化組成物が得られる。
【0032】
本発明の水中油型乳化組成物における成分(E)の炭素数18〜24の分岐を有する高級アルコール及び/又は炭素数8〜18の脂肪酸と炭素数2〜16の一価アルコールのエステルは、成分(A)のセラミドおよび成分(B)のデキストリンと脂肪酸とのエステル化物を分散させる油剤として配合されるものである。このような炭素数18〜24の分岐を有する高級アルコール及び/又は炭素数8〜18の脂肪酸と炭素数2〜16の一価アルコールのエステルは、通常の化粧料に使用されるものであれば特に限定されず、例えば、炭素数18〜24の分岐を有する高級アルコールとしては、イソステアリルアルコール、2−オクチルドデカノール、2−デシルテトラデカノールなどが挙げられ、炭素数8〜18の脂肪酸と炭素数2〜16の一価アルコールのエステルとしては、ミリスチン酸イソプロピル、イソノナン酸イソノニル、オレイン酸エチル、ジ2−エチルヘキサン酸ネオペンチレングリコールなどが挙げられ、これらを一種または二種以上用いることができる。
【0033】
本発明の水中油型乳化組成物における成分(E)の含有量は、特に限定されないが、乳化およびセラミド類の配合量に応じて1〜25%が好ましく、この範囲であると、成分(A)のセラミドおよび成分(B)のデキストリンと脂肪酸とのエステル化物を良好に分散させることができ、セラミドの結晶を抑制することができ、セラミドの有する保湿効果を十分に発揮させることが可能であり、また乳化安定性に優れる水中油型乳化組成物が得られる。
【0034】
本発明の水中油型乳化組成物は、上記必須成分の他に水を含有するが、化粧料等に一般に用いられるものであれば、特に制限されない。水の他にも精製水、温泉水、深層水、或いは植物の水蒸気蒸留水でもよく、必要に応じて1種または2種以上を適宜選択して用いることができる。また含有量は、特に限定されず、適宜、他の成分量に応じて含有することができるが、概ね50〜90%の範囲で用いることができる。
【0035】
本発明の水中油型乳化組成物の製造方法としては、水相や油相の粘度に応じて分散乳化法、転相乳化法、ゲル乳化法、PIT乳化法など種々の方法を使用することができるが、その一つの例としては、次の転相乳化による方法が挙げられる。すなわち、成分(A)、成分(B)、成分(C)、成分(D)および成分(E)を70℃以上の温度で均一に分散させ、ついでこの分散液へ70℃以上に加温した水を徐々に添加撹拌して、徐々に室温まで冷却させることにより得られる。
【0036】
また、本発明の水中油型乳化組成物には、上記必須成分の他に一般に化粧料等に使用される成分、例えば、水可溶性成分、保湿剤、増粘剤、粉体、色素、紫外線吸収剤、被膜形成性剤、pH調整剤、褪色防止剤、酸化防止剤、消泡剤、美容成分、防腐剤、香料等、通常の化粧料等に用いられる成分を本発明の効果を損なわない量的質的範囲において適宜配合することができる。これらの成分は水中油型乳化組成物に含有させることも可能であるが、後述する各種の水中油型乳化組成物成分として配合させることも可能である。
【0037】
本発明の水中油型乳化組成物は、種々の用途の化粧料として利用できる。例えば、化粧水、乳液、クリーム、美容液、マッサージ化粧料、パック化粧料、ハンドクリーム、ボディローション、ボディクリーム、メーキャップ化粧料、化粧用下地化粧料等の化粧料を例示することができる。その使用方法は、手や指、コットンで使用する方法、不織布等に含浸させて使用する方法等が挙げられる。
【0038】
本発明の水中油型乳化組成物は、皮膚外用剤の用途としても利用可能である。例えば、外用液剤、外用ゲル剤、クリーム剤、軟膏剤、リニメント剤、ローション剤、ハップ剤、硬膏剤、噴霧剤、エアゾール剤等が挙げられる。またその使用方法は、前記した化粧料と同様に挙げることができる。
【実施例1】
【0039】
以下、実施例をあげて本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれら実施例により何ら限定されるものではない。
【0040】
本発明品1〜23および比較品1〜14:水中油型乳化化粧料
表1〜表5に示す水中油型乳化化粧料を下記の製法により調整した。得られた水中油型乳化化粧料の乳化状態、セラミド類の結晶の有無、保湿効果について下記の方法により評価し、結果と併せて表1〜表5に示した。
なお、本発明において、セラミド類の溶存状態が、温度変化に起因して変化することから、高温安定性試験だけでなく、低温及び、サイクル温度試験(20℃、40℃の各温度を48時間おきに設定変更する20−40℃サイクル)にて評価を行った。
また表4、表5において、評価結果の「−」は、乳化不良状態若しくは結晶析出が認められたもので、経時観察は省略したものを表している。
【0041】
【表1】

【0042】
【表2】

【0043】
【表3】

【0044】
【表4】

【0045】
【表5】

【0046】
*1 レシノールS−10(日光ケミカルズ社製)
*2 CERAMIDE3(コスモファーム社製)
*3 レオパールTT2(千葉製粉社製)
(グルコースの平均重合度30、脂肪酸置換率1.6、パルミチン酸:2−エチルヘキサン酸=87:13)
*4 レオパールKL2(千葉製粉社製)
(グルコースの平均重合度20、脂肪酸置換率2.1)
*5 レオパールTL2(千葉製粉社製)
(グルコースの平均重合度20、脂肪酸置換率1.5)
*6 ユニフィルマーHVY(千葉製粉社製)
(グルコースの平均重合度30、脂肪酸置換率2.2)
*7 レオパールISL2(千葉製粉社製)
(グルコースの平均重合度23、脂肪酸置換率2.7)
【0047】
(製造方法)
A:成分(1)〜(31)を75℃に加熱し、均一に混合する。
B:成分(32)および成分(33)を75℃に加熱し、均一に混合する。
C:AにBを徐々に添加し、デスパミキサーにて乳化する。
D:Cを室温まで冷却し、水中油型乳化化粧料を得た。
【0048】
(評価方法:乳化安定性)
製造直後および5℃、15℃、40℃、20−40℃(48時間サイクル)の恒温槽に1ヶ月間保管した各試料の乳化滴の平均粒子径を、コールターカウンター(ベックマン・コールター株式会社製:サブミクロン粒子アナライザーN5)による測定でおこない、製造直後を基準に平均粒子径の変化率を以下の基準にて評価した。
また外観性状は目視にて、以下の4段階判定基準に従って乳化状態を評価した。なお、各表の判定基準が「−」のものは、製造直後から乳化不良のため経時観察省略を意味する。
【0049】
4段階評価判断基準
(評価) (判定基準)
平均粒子径の変化率が、±25%未満 :◎
平均粒子径の変化率が、±25%以上±50%未満 :○
平均粒子径の変化率が、±50%以上、乳液にわずかな離しょう :△
平均粒子径の変化率が、±50%以上、乳化不良もしくは著しく離しょう :×
【0050】
(評価方法:結晶析出抑制)
製造直後および5℃、15℃、40℃、20−40℃(48時間サイクル)の恒温槽に1ヶ月間保管した各試料を、倍率100倍、露光時間1/200秒にて正立型顕微鏡(オリンパス社製)を用いて偏光下にて観察した。偏光下では、セラミド類が組成物中に結晶として存在する場合、白色の光輝物として観察される。また結晶光輝物になっていなくても、結晶化が進行している場合、顕微鏡にて不明瞭なセラミド類の光輝物として灰色調の像として観察される。セラミド類の結晶析出の有無を、以下の4段階判定基準に従って評価した。なお、各表の判定基準が「−」のものは、製造直後からセラミドの結晶光輝物が観察されるので経時観察省略を意味する。
【0051】
4段階評価判断基準
(評価) (判定基準)
全くセラミドの結晶光輝物が観察されない :◎
不明瞭なセラミドの光輝物が観察される :○
一部に小さなセラミドの結晶光輝物が観察される :△
明瞭なセラミドの結晶光輝物が観察される :×
【0052】
(評価方法:保湿効果)
はじめに前腕内側部において何も化粧料が塗布されていない皮膚の初期水分量を、SKICON−200EX(アイ・ビイ・エス社製)にて測定した後、製造直後の各サンプルを塗布してから24時間後における皮膚水分量を測定する。各サンプルは、5人の健常人にて測定し、初期状態の水分量を100とした場合、24時間後の水分量を相対値として算出し、各パネルの相対値平均水分量により以下の4段階判定基準に従って保湿効果を評価した。
【0053】
4段階評価判断基準
(評価) (判定基準)
初期水分量に対して相対値平均水分量が150%以上 :◎
初期水分量に対して相対値平均水分量が150%未満130%以上 :○
初期水分量に対して相対値平均水分量が130%未満110%以上 :△
初期水分量に対して相対平均水分量が110%未満 :×
【0054】
表1〜表5の結果からも明らかなように、本発明に係わる本発明品1〜23は、セラミド類の結晶を抑制することができ、セラミド類の有する保湿効果を十分に発揮させることが可能であり、また乳化安定性に優れる水中油型乳化化粧料であった。比較例1〜3は、本発明と異なる構成のデキストリンおよび脂肪酸のエステル化物、比較例4は、本発明のデキストリンとは異なる糖化合物であるイヌリンと脂肪酸のエステル化物を用いた場合、製造直後からエステル化合物自身が析出したり、均一な乳化滴の製造ができなかったり、セラミド類の結晶化抑制効果が見られなかった。比較例5〜7は、本発明から外れるHLBの活性剤を用いた場合、HLBが10未満のものでは乳化滴は不均一で10−50μmの大きな乳化滴となり、HLB15.5より大きいものでは0.1μm未満の非常に微細な乳化滴になり、40℃や20−40℃サイクルにおける経時保管において、乳化滴の崩壊や合一により、乳化滴におけるセラミド類を含む油相が外側の水相に分散した結果、セラミド類の結晶が観察された。比較例8〜11は、本発明とは異なる高級アルコールもしくは脂肪酸と一価アルコールのエステルを用いた場合、比較例10を除いて乳化ができなかった。比較例10は、乳化状態は良好であるが、セラミド類との相溶性が低下するため、偏光下における顕微鏡観察において、セラミドの結晶光輝物が見られた。本発明において乳化剤として働くリン脂質を抜去した比較例12は、これ以外で構成される本発明の成分を乳化することができない。本発明におけるセラミド類の結晶化防止と乳化安定性に寄与するデキストリンと脂肪酸とのエステル化物を抜去した比較例13は、乳化状態はあまり良好でなく、セラミド類の結晶も多く観察された。発明において乳化剤として働くHLB10〜15.5の非イオン性界面活性剤を抜去した比較例14は、これ以外で構成される本発明の成分を乳化できなかった。
【0055】
実施例2:化粧水
(成分) (%)
(1)セラミド2(*8) 0.1
(2)(パルミチン酸/2−エチルヘキサン酸)(*3) 0.1
(3)水素添加大豆リゾリン脂質*9 0.1
(4)POE(60)硬化ヒマシ油(HLB14.0) 0.3
(5)オレイン酸エチル 1
(6)精製水 10
(7)1,3−ブチレングリコール 20
(8)防腐剤 適量
(9)クインスシードエキス 1
(10)精製水 残量
*8 セラミドTIC−001(高砂香料工業社製)
*9 HP70H(日本精化社製)
【0056】
下記の製法により、化粧水を調製した
(製造方法)
A:成分(1)〜(5)を75℃に加熱し、均一に混合する。
B:成分(6)を75℃に加熱し、均一に混合する。
C:AにBを徐々に添加し、デスパミキサーにて乳化する。
D:Cを室温まで冷却し、これに成分(7)〜(10)と混合し、化粧水を得た。
【0057】
実施例2の化粧水は、セラミド類の結晶を抑制することができ、セラミド類の有する保湿効果を十分に発揮させることが可能であり、また乳化安定性に優れる水中油型乳化化粧料であった。
【0058】
実施例3:乳液(水中油型)
(成分) (%)
(1)セラミド1(*10) 1
(2)(パルミチン酸/2−エチルヘキサン酸)デキストリン(*3) 1
(3)水素添加大豆リン脂質*11 2
(4)POE(20)硬化ヒマシ油(HLB10.5) 2
(5)ラウリン酸ポリグリセリル(HLB15.5) 2
(6)イソステアリルアルコール 15
(7)イソノナン酸イソトリデシル 10
(8)防腐剤 適量
(9)カルボキシビニルポリマー 0.1
(10)水酸化ナトリウム 0.05
(11)グリセリン 5
(12)1,3−ブチレングリコール 7
(13)精製水 残量
(14)エタノール 3
(15)香料 適量
*10 CeramideI(和光純薬社製)
*11 ニッコールS−10EZ(日光ケミカルズ社製)
【0059】
下記の製法により、乳液を調製した
(製造方法)
A:成分(1)〜(8)を75℃に加熱し、均一に混合する。
B:成分(9)〜(13)を75℃に加熱し、均一に混合する。
C:BにAを徐々に添加し、デスパミキサーにて乳化する。
D:Cを室温まで冷却し、これに成分(14)および(15)と混合し、乳液(水中油型)
を得た。
【0060】
実施例3の乳液(水中油型)は、セラミド類の結晶を抑制することができ、セラミド類の有する保湿効果を十分に発揮させることが可能であり、また乳化安定性に優れる水中油型乳化組成物であった。
【0061】
実施例4:クリーム(水中油型)
(成分) (%)
(1)セラミド6(*12) 2
(2)(パルミチン酸/2−エチルヘキサン酸)デキストリン(*3) 1
(3)水素添加レシチン(*13) 3
(4)POE(20)硬化ヒマシ油(HLB10.5) 4
(5)テトラオレイン酸ポリオキシエチレン(30)ソルビット 2
(HLB11.5)
(6)2−デシルテトラデカノール 5
(7)2−エチルヘキサン酸セチル 20
(8)防腐剤 適量
(9)精製水 残量
(10)カルボキシビニルポリマー 0.2
(11)水酸化ナトリウム 0.1
(12)グリセリン 7
(13)1,3−ブチレングリコール 3
(14)ポリアクリルアミド 0.1
(15)香料 適量
*12 Ceramid VI Evonik Goldschmidt GmbH社製
*13 卵黄レシチンPL−100P(キューピー社製)
【0062】
下記の製法により、クリームを調製した
(製造方法)
A:成分(1)〜(8)を75℃に加熱し、均一に混合する。
B:成分(9)〜(13)を75℃に加熱し、均一に混合する。
C:BにAを徐々に添加し、デスパミキサーにて乳化する。
D:Cを室温まで冷却し、これに成分(14)および(15)と混合し、クリーム(水中油型)
を得た。
【0063】
実施例4のクリーム(水中油型)は、セラミド類の結晶を抑制することができ、セラミド類の有する保湿効果を十分に発揮させることが可能であり、また乳化安定性に優れる水中油型乳化組成物であった。
【0064】
実施例5:美容液(水中油型)
(成分) (%)
(1)セラミド3(*14) 0.25
(2)(パルミチン酸/2−エチルヘキサン酸)デキストリン(*3) 1
(3)水素添加大豆リン脂質(*13) 2
(4)ジイソステアリン酸ポリグリセリル−10(HLB10.0) 2
(5)オレイン酸ポリグリセリル−10(HLB12.0) 2
(6)ジ2−エチルヘキサン酸ネオペンチルグリコール 15
(7)防腐剤 適量
(8)キサンタンガム 0.3
(9)グリセリン 5
(10)1,3−ブチレングリコール 15
(11)精製水 残量
(12)エタノール 2
(13)ヘキシジルカルバミン酸コレステリルプルラン 0.05
(14)香料 適量
*14 CeramideI(和光純薬社製)
【0065】
下記の製法により、美容液を調製した
(製造方法)
A:成分(1)〜(7)を75℃に加熱し、均一に混合する。
B:成分(8)〜(11)を75℃に加熱し、均一に混合する。
C:AにBを徐々に添加し、デスパミキサーにて乳化する。
D:Cを室温まで冷却し、これに成分(12)〜(13)と混合し、美容液(水中油型)を得た。
【0066】
実施例5の美容液(水中油型)は、セラミド類の結晶を抑制することができ、セラミド類の有する保湿効果を十分に発揮させることが可能であり、また乳化安定性に優れる水中油型乳化化粧料であった。
【0067】
実施例6:ボディ用化粧料(水中油型)
(成分) (%)
(1)セラミド2(*15) 1.5
(2)(パルミチン酸/2−エチルヘキサン酸)デキストリン(*3) 2
(3)水素添加大豆リン脂質(*16) 1
(4)POE(20)硬化ヒマシ油(HLB10.5) 3
(5)テトラオレイン酸ポリオキシエチレン(60)ソルビット 1
(HLB14.0)
(6)2−オクチルドデカノール 4
(7)イソノナン酸イソノニル 16
(8)防腐剤 適量
(9)ヒドロキシエチルセルロース 0.2
(10)カラギーナン 0.1
(11)グリセリン 10
(12)ジプロピレングリコール 15
(13)精製水 残量
(14)香料 適量
*15 CeramideII(和光純薬社製)
*16 レシノールS−PIE(日光ケミカルズ社製)
注)(2)は 平均重合度30 脂肪酸置換率1.6 パルミチン酸:2−エチルヘキサン酸=87:13*3
【0068】
下記の製法により、ボディ用化粧料を調製した
(製造方法)
A:成分(1)〜(8)を75℃に加熱し、均一に混合する。
B:成分(9)〜(13)を75℃に加熱し、均一に混合する。
C:BにAを徐々に添加し、デスパミキサーにて乳化する。
D:Cを室温まで冷却し、これに成分(14)と混合し、ボディ用化粧料を得た。
【0069】
実施例6のボディ用化粧料(水中油型)は、セラミド類の結晶を抑制することができ、セラミド類の有する保湿効果を十分に発揮させることが可能であり、また乳化安定性に優れる水中油型乳化組成物であった。
【0070】
実施例7:パック化粧料(水中油型)
(成分) (%)
(1)セラミド2(*1) 0.05
(2)(パルミチン酸/2−エチルヘキサン酸)デキストリン(*3) 0.05
(3)水素添加大豆リン脂質 0.5
(4)オレイン酸ポリグリセリル(HLB12.0) 1
(5)ミリスチン酸イソプロピル 4
(6)精製水 15
(7)エタノール 5
(8)防腐剤 適量
(9)ポリエチレングリコール6000 5
(10)カルボキシビニルポリマー 1
(11)水酸化ナトリウム 0.5
(12)精製水 残量
(13)香料 適量
【0071】
下記の製法により、パック化粧料を調製した
(製造方法)
A:成分(1)〜(5)を75℃に加熱し、均一に混合する。
B:成分(6)を75℃に加熱し、均一に混合する。
C:AにBを徐々に添加し、デスパミキサーにて乳化する。
D:Cを室温まで冷却し、これに成分(7)〜(13)と混合し、乳化物を得た。
E:Dで得た乳化物を、不織布(目、鼻、口部分に穴や切り込みのある略顔形)に不織布質量の10倍程度含浸させてパック料を調製した。
【0072】
実施例7のパック化粧料(水中油型)は、セラミド類の結晶を抑制することができ、セラミド類の有する保湿効果を十分に発揮させることが可能であり、また乳化安定性に優れる水中油型乳化組成物であった。
【0073】
実施例8:マッサージ化粧料(水中油型)
(成分) (%)
(1)セラミド1(*17) 1
(2)(パルミチン酸/2−エチルヘキサン酸)(*3) 1
(3)水素添加大豆リゾリン脂質(*9) 0.5
(4)水素添加卵黄リン脂質(*18) 0.5
(5)POE(60)硬化ヒマシ油(HLB14.0) 1
(6)ジイソステアリン酸ポリグリセリル(HLB10.0) 3
(7)イソステアリルアルコール 2
(8)2−デシルテトラデカノール 15
(9)防腐剤 適量
(10)カルボキシビニルポリマー 0.3
(11)水酸化ナトリウム 0.15
(12)ポリアクリル酸ナトリウム 0.05
(13)1,3−ブチレングリコール 10
(14)精製水 残量
(15)香料 適量
*17 CeramideI(Evonik Goldschmidt GmbH社製)
*18 粉末卵黄レシチンR−20(旭化成工業社製)
【0074】
下記の製法により、マッサージ化粧料を調製した
(製造方法)
A:成分(1)〜(9)を75℃に加熱し、均一に混合する。
B:成分(10)〜(14)を75℃に加熱し、均一に混合する。
C:BにAを徐々に添加し、デスパミキサーにて乳化する。
D:Cを室温まで冷却し、これに成分(15)と混合し、マッサージ化粧料を得た。
【0075】
実施例9のマッサージ化粧料(水中油型)は、セラミド類の結晶を抑制することができ、セラミド類の有する保湿効果を十分に発揮させることが可能であり、また乳化安定性に優れる水中油型乳化組成物であった。
【0076】
実施例10:化粧用下地化粧料(水中油型)
(成分) (%)
(1)セラミド2(*8) 0.05
(2)セラミド6(*12) 0.05
(3)(パルミチン酸/2−エチルヘキサン酸)デキストリン(*3) 1
(4)水素添加大豆リン脂質(*16) 3
(5)POE(40)硬化ヒマシ油 2
(6)POE(60)硬化ヒマシ油 1
(7)イソノナン酸イソトリデシル 5
(8)2−エチルヘキサン酸セチル 15
(9)精製水 50
(10)ポリエチレングリコール400 1.5
(11)カルボキシビニルポリマー 0.2
(12)アルギニン 0.2
(13)精製水 残量
(14)エタノール 7
(15)防腐剤 適量
(16)ポリビニルピロリドン 0.5
(17)合成金雲母 1
(18)メタクリル酸メチルクロスポリマー 0.5
(19)酸化亜鉛 0.1
(20)シリカ 0.05
(21)酸化鉄 0.05
(22)タルク 0.5
*12 Ceramid VI Evonik Goldschmidt GmbH社製
【0077】
下記の製法により、化粧用下地化粧料を調製した
(製造方法)
A:成分(1)〜(8)を75℃に加熱し、均一に混合する。
B:成分(9)を75℃に加熱し、均一に混合する。
C:AにBを徐々に添加し、デスパミキサーにて乳化する。
D:Cに成分(10)〜(13)を加え均一に混合する
E:Dを室温まで冷却し、成分(14)〜(22)と混合し、化粧用下地化粧料を得た。
【0078】
実施例10の化粧用下地化粧料(水中油型)は、セラミド類の結晶を抑制することができ、セラミドの有する保湿効果を十分に発揮させることが可能であり、また乳化安定性に優れる水中油型乳化組成物であった。
【産業上の利用可能性】
【0079】
以上詳述したように、本発明の水中油型乳化組成物は、セラミド類の結晶を抑制することができ、セラミド類の有する保湿効果を十分に発揮させることが可能であり、また乳化安定性に優れたものである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
次の成分(A)〜(E);
(A)セラミド類
(B)以下の条件(1)〜(3)を満たすデキストリン脂肪酸エステル
(1)グルコース単位あたりの該脂肪酸の置換度が1.4〜1.8である
(2)該脂肪酸組成が、(a)炭素数12〜22の直鎖飽和脂肪酸と(b)炭素数8〜22の分岐飽和脂肪酸であり、(a)、(b)の含有モル比が60:40〜95:5である
(3)デキストリン部分のグルコースの平均重合度が3〜150である
(C)リン脂質
(D)HLB10〜15.5の非イオン性界面活性剤
(E)炭素数18〜24の分岐を有する高級アルコール及び/又は炭素数8〜18の脂肪酸と炭素数2〜16の一価アルコールのエステル
を含有することを特徴とする水中油型乳化組成物。
【請求項2】
前記成分(B)が、(a)パルミチン酸、(b)2−エチルヘキサン酸とデキストリンとのエステル化物であることを特徴とする請求項1記載の水中油型乳化組成物。
【請求項3】
前記成分(A)、(B)の含有質量比が、(A)/(B)=0.001〜2であることを特徴とする請求項1または2記載の水中油型乳化組成物。
【請求項4】
前記成分(D)が、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油であることを特徴とする請求項1〜3の何れかの項記載の水中油型乳化組成物。
【請求項5】
化粧料であることを特徴とする請求項1〜4の何れかの項記載の水中油型乳化組成物。
【請求項6】
皮膚外用剤であることを特徴とする請求項1〜4の何れかの項記載の水中油型乳化組成物。

【公開番号】特開2012−206971(P2012−206971A)
【公開日】平成24年10月25日(2012.10.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−72901(P2011−72901)
【出願日】平成23年3月29日(2011.3.29)
【出願人】(000145862)株式会社コーセー (734)
【Fターム(参考)】