説明

水中油型乳化組成物

【課題】 塩型の美白剤を配合しても経時安定性が低下することなく、みずみずしくべたつきのない使用感を有し、なおかつ優れたハリ感を付与することのできる水中油型乳化組成物を提供することを目的とする。
【解決手段】 塩型美白剤を水相に含有する水中油型乳化組成物であって、(a)炭素数14〜22の高級アルコールより選ばれる1種または2種以上と、(b)親水性のポリオキシエチレンアルキルエーテルより選ばれる1種または2種以上と、(c)グリセリンモノアルキルエーテルから選ばれる1種または2種以上と、(d)0.1〜5質量%の半固形油分とを含有し、前記(b)と(c)のアルキル部分が直鎖状の飽和アルキル鎖であり、(a)〜(c)のモル濃度が、[(b)+(c)]/(a)=0.1〜1.0の関係を満たし、粘度が30℃で1500〜10000mPa・sであることを特徴とする水中油型乳化化粧料。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水中油型乳化組成物に関する。より詳細には、塩型の美白剤を安定に配合し、なおかつ使用性が良好で優れたハリ感を実現できる水中油型乳化組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
水中油型乳化組成物は、そのみずみずしい使用感から、皮膚化粧料を含む皮膚外用剤の基剤として広く用いられている。その際、使用性や安定性等を高めるために増粘剤が使用されるのが一般的である。例えば、カルボキシビニルポリマーは、増粘性が高く、肌に塗布するとみずみずしく潰れ、べたつきのない使用感であることから、スキンケア製剤の基剤増粘に汎用されている。
【0003】
しかしながら、カルボキシビニルポリマーは耐塩性が低く、塩を高配合すると著しく粘度が低下することが知られている。これは、電離して負に帯電したカルボキシル基同士の静電的反発力が、塩により遮蔽されて低下するためであると考えられている。このような塩による粘度低下を補うために、高濃度のカルボキシビニルポリマーを配合すると、べたつきやヨレ(高分子のカス)が生じてしまい、使用感が損なわれるといった問題があった。
【0004】
特許文献1には、長鎖アシルスルホン酸塩型陰イオン性界面活性剤、高級脂肪族アルコール、水、及び油分から形成されるαゲル基剤を用いることにより、塩型美白剤であるアルコキシサリチル酸水を安定に配合できると記載されている。この組成物では、みずみずし使用感も得られるが、肌にハリ感を付与する効果は有していない。
【0005】
一方、ハリ感を得るためには、例えば、ポリビニルアルコール、アルギン酸ナトリウム、ムコ多糖やコラーゲン、卵殻タンパク質、およびそれらの分解物、アクリル系樹脂等の皮膜形成成分や、球状その他の粉末、架橋型メチルポリシロキサンなどが従来から用いられてきた(特許文献2及び3)。また、抱水性に優れたダイマー酸及び/又はダイマージオールのエステルを含有する油性基剤に、上記のような皮膜形成成分及び保湿成分と組み合わせて配合した化粧料が、肌に良好なツヤ感やハリ感を与えうることも知られている(特許文献4)。また特許文献5には、被膜成分と納豆エキスを配合したハリ感に優れた皮膚外用剤が記載されている。
【0006】
しかしながら、これら従来の成分をハリや弾力が十分に感じられる量で添加した場合、適用時によれやべたつきが生じる、長期間保管下での安定性に劣る、他の添加成分の安定性に影響する等の問題があった。さらに、従来よりハリ感・効果感の持続感のある基剤が求められていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2005−132806号公報
【特許文献2】特開平5−933号公報
【特許文献3】特開平9−315936号公報
【特許文献4】特開2007−269723号公報
【特許文献5】特開2000−34218号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、かかる従来技術の問題に鑑みてなされたものであり、塩型の美白剤を配合しても経時安定性が低下することなく、みずみずしくべたつきのない使用感を有し、なおかつ優れたハリ感を付与することのできる水中油型乳化組成物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
発明者等は、上記課題を解決するため鋭意研究を行った結果、高級アルコールと、ポリオキシエチレンアルキルエーテルと、グリセリンモノアルキルエーテルとを特定比率で配合した組成物が肌に弾力やハリ感をもたらす効果があり、更に半固形油分を併用することで塩型の美白薬剤による粘度低下を抑制できることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0010】
即ち本発明は、少なくとも1種の塩型美白剤を水相に含有する水中油型乳化組成物であって、
(a)炭素数14〜22の高級アルコールより選ばれる1種または2種以上と、
(b)親水性のポリオキシエチレンアルキルエーテルより選ばれる1種または2種以上と、
(c)グリセリンモノアルキルエーテルから選ばれる1種または2種以上と、
(d)0.1〜5質量%の半固形油分と、を含有し、
前記(b)と(c)のアルキル部分が直鎖状の飽和アルキル鎖であり、(a)〜(c)のモル濃度が、[(b)+(c)]/(a)=0.1〜1.0の関係を満たし、粘度が30℃で1500〜10000mPa・sであることを特徴とする水中油型乳化化粧料を提供する。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、塩型の美白薬剤による優れた美白効果が発揮されるのみならず、肌にハリ感を与えることができ、なおかつ経時安定性に優れ、みずみずしい使用感を有する水中油型乳化組成物を得ることができる。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の水中油型乳化組成物は、塩型美白剤を含有している。本発明における「塩型美白剤」とは、それ自体が塩型であるか、あるいはアルカリ剤により中和されて塩を形成する美白剤を意味し、アスコルビン酸系美白剤、アルコキシサチル酸系美白剤が好適に用いられる。本発明の乳化組成物においては、塩型美白剤を少なくとも一種含有する。
【0013】
本発明で使用しうる塩型美白剤の具体例としては以下のものが挙げられる。
アスコルビン酸系美白剤としては、L−アスコルビン酸、L−アスコルビン酸モノリン酸エステル、L−アスコルビン酸−2−硫酸エステル、dl−α−トコフェロール 2−L−アスコルビン酸リン酸ジエステル等のアスコルビン酸無機酸エステル類;L−アスコルビン酸モノステアレート、L−アスコルビン酸モノパルミテート、L−アスコルビン酸モノオレエート等のアスコルビン酸モノアルキルアステル類;L−アスコルビン酸ジステアレート、L−アスコルビン酸ジパルミテート、L−アスコルビン酸ジオレエート等のアスコルビン酸ジエステル類;L−アスコルビン酸トリステアレート、L−アスコルビン酸トリパルミテート、L−アスコルビン酸トリオレエート等のアスコルビン酸トリエステル類;2−O−α−D−グルコピラノシル−L−アスコルビン酸等のアスコルビン酸−2−グリコシドなどが挙げられ、特に好ましくはアスコルビン酸−2−グリコシドである。また、これらアスコルビン酸及びその誘導体の塩としては、アルカリ金属塩(Na塩、K塩等)、アルカリ土類金属塩(Ca塩、Mg塩等)、アンモニウム塩、アルカノールアミン塩、アミノ酸塩などが挙げられ、好ましくはアルカリ金属塩である。
【0014】
アルコキシサリチル酸系美白剤の例としては、例えば、特開平6−40886号公報に記載されたものが挙げられる。具体的には、下記一般式(I)で示されるものである。
【化1】

上記式中、Rはアルコキシ基、好ましくは炭素数1−4のアルコキシ基である。
具体的な化合物名としては、3−メトキシサリチル酸、3−エトキシサリチル酸、4−メトキシサリチル酸、4−エトキシサリチル酸、4−プロポキシサリチル酸、4−イソプロポキシサリチル酸、4−ブトキシサリチル酸、5−メトキシサリチル酸、5−エトキシサリチル酸、5−プロポシキサリチル酸が挙げられるが限定されるものではない。これらのアルコキシサリチル酸系美白剤の塩は、アルカリ金属塩(Na塩、K塩等)、アルカリ土類金属塩(Ca塩、Mg塩等)、アンモニウム塩、アルカノールアミン塩、アミノ酸塩などが挙げられ、好ましくはアルカリ金属塩である。
【0015】
本発明の水中油型乳化組成物は、以下に示す成分(a)〜(d)を含む乳化基剤の水相(外相)に前記の塩型美白剤を含有している。
塩型美白剤の配合量は、通常は0.001〜30質量%、好ましくは0.001〜5質量%である。
【0016】
本発明の乳化組成物における成分(a)は、炭素数14〜22の高級アルコールである。具体例としては、ミリスチルアルコール、セチルアルコール、ステアリルアルコール、ベヘニルアルコール、オレイルアルコールなどを挙げることができる。これらの高級アルコールの1種又は2種以上が用いられる。
特に、直鎖状の飽和アルキル基を有するものが好ましく、中でも、セチルアルコール、ステアリルアルコール、及びベヘニルアルコールから選択される1種以上が含まれていることが好ましい。
【0017】
本発明の乳化組成物における、高級アルコール(成分a)の配合量は、通常は0.01〜10質量%、好ましくは、0.01〜5質量%である。
【0018】
本発明の乳化組成物における成分(B)は親水性のポリオキシエチレンアルキルエーテルであり、直鎖状の飽和アルキル鎖とポリオキシエチレン鎖とがエーテル結合により結合した構造を有するものであって親水性を示すものである。
なお、本明細書における「親水性」とは親水基と疎水基の相対的な強さによって求められるHLB値が10より大きいものを意味するものとする。
【0019】
本発明における親水性のポリオキシエチレンアルキルエーテル(成分b)としては、例えば、ポリオキシエチレン(10)ステアリルエーテル、ポリオキシエチレン(11)ステアリルエーテル、ポリオキシエチレン(20)ステアリルエーテル、ポリオキシエチレン(30)ステアリルエーテル、ポリオキシエチレン(20)ベヘニルエーテル、ポリオキシエチレン(30)ベヘニルエーテル等が挙げられる。
本発明で用いられるポリオキシエチレンアルキルエーテルは、特にポリオキシエチレン鎖の平均付加モル数が10〜30であるものが好適であり、例えば、ポリオキシエチレン(20)ステアリルエーテル、ポリオキシエチレン(20)ベヘニルエーテルが好ましく使用される。
【0020】
本発明の乳化組成物における、親水性のポリオキシエチレンアルキルエーテルの配合量は、通常は0.01〜10質量%、好ましくは0.01〜5質量%である。
【0021】
本発明の乳化組成物における成分(c)はグリセリンモノアルキルエーテルであり、直鎖状の飽和アルキル鎖と、グリセリンとがエーテル結合により結合した構造を有するものである。具体例としては、グリセリンモノセチルエーテル(キミルアルコール)、グリセリンモノステアリルエーテル(バチルアルコール)等が挙げられる。特に、グリセリンモノステアリルエーテルが好ましく使用される。
【0022】
本発明の乳化組成物における、グリセリンモノアルキルエーテルの配合量は、通常は0.01〜10質量%、好ましくは、0.01〜5質量%である。
【0023】
本発明の乳化組成物においては、前記成分(a)〜(c)のモル濃度が、(a):[(b)+(c)]=1:(0.1〜1.0)の関係を満たすことが必要であり、特に、(a):[(b)+(c)]=1:(0.1〜0.9)とするのが好ましく、1:(0.2〜0.8)とするのが最も好ましい。モル濃度比(a)/[(b)+(c)]が0.11より小さい場合には、長期間の保管中に高級アルコールが析出しやすくなり、また1.0より大きい場合には、高温下で分離や粘度変化などの状態不良が起こる傾向があり、いずれも安定性に劣るものとなる。
【0024】
また、本発明の乳化組成物においては、前記成分(a)〜(c)のモル濃度が、[(a)+(c)]/(b)=3〜20の関係を満たすのが好ましい。モル濃度比[(a)+(c)]/(b)が上記範囲内にあると、経時安定性に特に優れたものとなる。
【0025】
本発明の乳化組成物は、前記成分(a)から(c)に加えて、(d)0.1〜5質量%の半固形油分を更に含有している。前記所定量の半固形油分を配合することにより、ハリ感及び効果の持続性に優れたものとすることができる。
【0026】
本発明で用いられる半固形油分は、皮膚外用剤や化粧料で使用されている半固形油分であれば特に限定されないが、例えば、ワセリン、水添パーム油、パーム核油、マカデミアナッツ油フィトステリル、テトラ(ベヘン酸/安息香酸/エチルヘキサン酸)ペンタエリスリット等が挙げることができる。
【0027】
本発明の乳化組成物における半固形油分の配合量は前記の通り0.1〜5質量%であるが、この配合量は、組成物に配合される液状油分の総量に対して1〜50質量%の範囲となるように調整するのが好ましい。本発明の乳化組成物に配合される液状油分は、通常は1〜30質量%、好ましくは5〜15質量%である。
【0028】
塩型の美白剤と、前記成分(a)〜(d)とを必須成分として含有し、それらの配合量が前記モル濃度比の関係を満たす本発明の乳化組成物は、30℃における粘度が1500〜10000mPa・sであることも特徴としている。このような粘度範囲の組成物とすることにより、みずみずしく、べたつきのない使用感を得ることができる。
【0029】
また、本発明の水中油型乳化組成物には、上記必須成分以外に、通常化粧品や医薬品等の皮膚外用剤に用いられる成分、例えば、その他の美白剤、保湿剤、酸化防止剤、油性成分、紫外線吸収剤、界面活性剤、保湿剤、増粘剤、アルコール類、粉末成分、色材、水性成分、水、各種皮膚栄養剤等を必要に応じて適宜配合することができる。
【0030】
油性成分としては、例えば、ツバキ油、マカデミアナッツ油、オリーブ油、ヒマシ油、サフラワー油、大豆油、茶実油、カカオ脂、ヤシ油、硬化ヤシ油、パーム油、モクロウ、硬化ヒマシ油、ミツロウ、カンデリラロウ、カルナウバロウ、ラノリン、液状ラノリン、ジョジョバロウ、硬質ラノリン、ポリオキシエチレンラノリンアルコールエーテル、ポリオキシエチレンコレステロールエーテル等の天然油脂類、流動パラフィン、オゾケライト、スクワレン、パラフィン、セレシン、ワセリン、マイクロクリスタリンワックス等の炭化水素系油脂類、ミリスチン酸イソプロピル、ミリスチン酸オクチルドデシル、パルミチン酸イソプロピル、12−ヒドロキシステアリン酸コレステリル、ジ−2−エチルヘキシル酸エチレングリコール、ジペンタエリスリトール脂肪酸エステル、テトラ−2−エチルヘキシル酸ペンタエリスリトール、トリ−2−エチルヘキシル酸グリセリン、トリイソステアリン酸トリメチロールプロパン、セチル−2−エチルヘキサノエート、ヒマシ油脂肪酸メチルエステル等の合成油性成分、ジメチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、メチルハイドロジェンポリシロキサン等の鎖状ポリシロキサン、デカメチルポリシロキサン、ドデカメチルポリシロキサン、テトラメチルテトラハイドロジェンポリシロキサン等の環状ポリシロキサン、3次元網目構造を形成し得るシリコン樹脂およびシリコンゴム等のシリコン類等が挙げられる。
【0031】
紫外線吸収剤としては、例えば、パラアミノ安息香酸、パラアミノ安息香酸モノグリセリンエステル、N,N−ジプロポキシパラアミノ安息香酸エチルエステル、N,N−ジメチルパラアミノ安息香酸エチルエステル等の安息香酸系紫外線吸収剤、ホモメンチル−N−アセチルアントラニレート等のアントラニル酸系紫外線吸収剤、アミルサリシレート、ホモメンチルサリシレート、オクチルサリシレート、フェニルサリシレート、ベンジルサリシレート、p−イソプロパノールフェニルサリシレート等のサリチル酸系紫外線吸収剤、オクチルシンナメート、エチル−4−イソプロピルシンナメート、メチル−2,5−ジイソプロピルシンナメート、エチル−2,4−ジイソプロピルシンナメート、プロピル−p−メトキシシンナメート、イソアミル−p−メトキシシンナメート、オクチル−p−メトキシシンナメート(2−エチルヘキシル−p−メトキシシンナメート)、2−エトキシエチル−p−メトキシシンナメート、2−エチルヘキシル−α−シアノ−β−フェニルシンナメート、グリセリルモノ−2−エチルヘキサノイル−ジ−p−メトキシシンナメート等の桂皮酸系紫外線吸収剤、2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2,2’,4,4’−テトラヒドロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン−5−スルホン酸塩、4−フェニルベンゾフェノン、2−エチルヘキシル−4’−フェニルベンゾフェノン−2−カルボキシレート等のベンゾフェノン系紫外線吸収剤、3−(4’−メチルベンジリデン)−d,l−カンファー、3−ベンジリデン−d,l−カンファー、ウロカニン酸、ウロカニン酸エチルエステル、2,2’−ヒドロキシ−5−メチルフェニルベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−5’−t−オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール、ジベンザラジン、ジアニソイルメタン、4−メトキシ−4’−t−ブチルジベンゾイルメタン、5−(3,3−ジメチル−2−ノルボルニリデン)−3−ペンタン−2−オン等が挙げられる。
【0032】
親油性非イオン性界面活性剤としては、例えば、ソルビタンモノオレエート、ソルビタンモノイソステアレート、ソルビタンモノラウレート、ソルビタンモノパルミテート、ソルビタンモノステアレート、ソルビタンセスキオレエート、ペンタ−2−エチルヘキシル酸ジグリセロールソルビタン等のソルビタン脂肪酸エステル類、モノステアリン酸グリセリン、α,α’−オレイン酸ピログルタミン酸グリセリン、モノステアリン酸グリセリンリンゴ酸エステル等のグリセリンまたはポリグリセリンのエステル類、モノステアリン酸プロピレングリコール等のプロピレングリコール脂肪酸エステル類、硬化ヒマシ油誘導体、グリセリンアルキルエーテル等が挙げられる。
【0033】
アニオン性界面活性剤としては、例えば、ラウリン酸ナトリウム、パルミチン酸ナトリウム等の脂肪酸石鹸、ラウリル硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸カリウム等の高級アルキル硫酸エステル塩、 ポリオキシエチレンラウリル硫酸トリエタノールアミン、ポリオキシエチレンラウリル硫酸ナトリウム等のアルキルエーテル硫酸エステル塩、ラウロイルサルコシンナトリウム等のN−アシルサルコシン酸、N−ミリストイル−N−メチルタウリンナトリウム、ヤシ油脂肪酸メチルタウリッドナトリウム、ラウリルメチルタウリッドナトリウム等の高級脂肪酸アミドスルホン酸塩、ポリオキシエチレンオレイルエーテルリン酸ナトリウム、ポリオキシエチレンステアリルエーテルリン酸ナトリウム等のリン酸エステル塩、ジ−2−エチルヘキシルスルホコハク酸ナトリウム、モノラウロイルモノエタノールアミドポリオキシエチレンスルホコハク酸ナトリウム、ラウリルポリプロピレングリコールスルホコハク酸ナトリウム等のスルホコハク酸塩、リニアドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、リニアドデシルベンゼンスルホン酸トリエタノールアミン、等のアルキルベンゼンスルホン酸塩、N−ラウロイルグルタミン酸モノナトリウム、N−ステアロイルグルタミン酸ジナトリウム等のN−アシルグルタミン酸、硬化ヤシ油脂肪酸グリセリン硫酸ナトリウム等の高級脂肪酸エステル硫酸エステル塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテルカルボン酸塩、α−オレフィンスルホン酸塩、高級脂肪酸エステルスルホン酸塩、二級アルコール硫酸エステル塩、高級脂肪酸アルキロールアミド硫酸エステル塩、ラウロイルモノエタノールアミドコハク酸ナトリウム、N−パルミトイルアスパラギン酸、ジトリエタノールアミン、ヤシ油脂肪酸コラーゲン加水分解アルカリ塩等が挙げられる。
【0034】
カチオン界面活性剤としては、例えば、塩化ステアリルトリメチルアンモニウム、塩化ラウリルトリメチルアンモニウム等のアルキルトリメチルアンモニウム塩、塩化ジステアリルジメチルアンモニウム等のジアルキルジメチルアンモニウム塩、塩化ポリ(N,N’−ジメチル−3,5,−メチレンピペリジニウム)、塩化セチルピリジニウム等のアルキルピリジニウム塩、アルキル四級アンモニウム塩、アルキルジメチルベンジルアンモニウム塩、アルキルイソキノリニウム塩、ジアルキルモリホニウム塩、ポリオキシエチレンアルキルアミン、アルキルアミン塩、ポリアミン脂肪酸誘導体、アミルアルコ−ル脂肪酸誘導体、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、カチオンポリマー、アクリル酸β−N−N−ジメチル−N−エチルアンモニオエチル塩化ビニルピロリドン共重合体等が挙げられる。
【0035】
両性界面活性剤としては、例えば、2−ウンデシル−N,N,N,−(ヒドロキシエチルカルボキシメチル)−2−イミダゾリンナトリウム、2−ココイル−2−イミダゾリニウムヒドロキサイド−1−カルボキシエチロキシ2ナトリウム塩等のイミダゾリン系両性界面活性剤、2−ヘプタデシル−N−カルボキシメチル−N−ヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタイン、ラウリルジメチルアミノ酢酸ベタイン、アルキルベタイン、アミドベタイン、スルホベタイン等のベタイン系両性界面活性剤等が挙げられる。
【0036】
保湿剤としては、例えば、コレステリル−12−ヒドロキシステアレート、乳酸ナトリウム、dl−ピロリドンカルボン酸塩、尿素、ジグリセリンエチレンオキサイド・プロピレンオキサイド付加物等が挙げられ、特にコンドロイチン硫酸やヒアルロン酸等の酸性ムコ多糖類を配合した場合にはアルコキシサリチル酸および/またはその塩の美白効果に対して増強作用がある。
【0037】
増粘剤としては、例えば、アラビアガム、カラギーナン、トラガントガム、クインスシード(マルメロ)、カゼイン、カゼインナトリウム、デキストリン、ゼラチン、アルギン酸ナトリウム、メチルセルロース、エチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸ナトリウム、カルボキシビニルポリマー、グアーガム、キサンタンガム、ケイ酸アルミニウムマグネシウム、ベントナイト、ヘクトライト等が挙げられる。
【0038】
多価アルコールとしては、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、グリセリン、エリスリトール、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ソルビトール、マルチトール、ジグリセリン、ポリエチレングリコール等が挙げられる。
【0039】
粉末成分としては、例えば、タルク、カオリン、雲母、絹雲母(セリサイト)、金雲母、合成雲母、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、ケイ酸アルミニウム、シリカ、ゼオライト、硫酸バリウム、焼成硫酸カルシウム(焼セッコウ)、リン酸カルシウム、弗素アパタイト、ヒドロキシアパタイト、セラミックパウダー、金属石鹸(ミリスチン酸亜鉛、パルミチン酸カルシウム、ステアリン酸アルミニウム等)、窒化ホウ素等の無機粉末、ポリアミド樹脂粉末(ナイロン粉末)、ポリエチレン粉末、ポリメタクリル酸メチル粉末、ポリスチレン粉末、スチレンとアクリル酸の共重合体樹脂粉末、ポリメチシルセスキオキサン粉末、セルロース粉末等の有機粉末、二酸化チタン、酸化亜鉛、酸化鉄(ベンガラ)、チタン酸鉄、黄酸化鉄、黒酸化鉄、カーボンブラック、低次酸化チタン、マンゴバイオレット、コバルトバイオレット、酸化クロム、群青、紺青等の無機顔料、酸化チタンコーティッドマイカ、酸化チタンコーティッドオキシ塩化ビスマス、着色酸化チタンコーティッドマイカ、オキシ塩化ビスマス、魚鱗箔等のパール顔料、アルミニウムパウダー等の金属粉末顔料、赤色201号、赤色202号、橙色203号、黄色205号、黄色401号、青色404号等の有機顔料、赤色3号、黄色4号、緑色3号、青色1号等のジルコニウム、バリウム、アルミニウムレーキ等の有機顔料、クロロフィル、β−カロチン等の天然色素等が挙げられる。合成樹脂エマルジョンとしては、例えば、アクリル樹脂エマルジョン、ポリ酢酸ビニル樹脂エマルジョン等が挙げられる。
【0040】
アミノ酸としては、グリシン、ロイシン、フェニルアラニン、チロシン、アスパラギン酸、グルタミン酸、グルタミン酸ナトリウム、アルギニン、ヒスチジン、リジン、シスチン、システイン、アシルサルコシンナトリウム(ラウロイルサルコシンナトリウム)、アシルグルタミン酸塩、グルタチオン、ピロリドンカルボン酸等が挙げられる。
【0041】
有機アミンとしては、例えば、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、モルホリン、トリイソプロパノールアミン、2−アミノ−2−メチル−1,3−プロパンジオール、2−アミノ−2−メチル−1−プロパノール等が挙げられる。
【0042】
その他、エデト酸二ナトリウム、エデト酸三ナトリウム、クエン酸ナトリウム、ポリリン酸ナトリウム、メタリン酸ナトリウム、グルコン酸等の金属封鎖剤、カフェイン、タンニン、ベラパミル、トラネキサム酸およびその誘導体、甘草抽出物、グラブリジン、火棘の果実の熱水抽出物、各種生薬、酢酸トコフェロール、グリチルリチン酸およびその誘導体またはその塩等の薬剤、ビタミンC、アスコルビン酸リン酸マグネシウム、アスコルビン酸グルコシド、アルブチン、コウジ酸等の他の美白剤、グルコース、フルクトース、マンノース、ショ糖、トレハロース等の糖類なども適宜配合することができ、特に酢酸トコフェロール等のビタミンEエステル類を配合した場合には、アルコキシサリチル酸および/またはその塩の美白効果増強作用がある。
【0043】
本発明の水中油型乳化組成物は、乳液、クリーム、美容液、ファンデーション、化粧下地等の形態で提供することができ、特に限定されるものではない。例えば、液状の皮膚化粧料として提供してもよく、コットン等の支持体に含浸させた形態で提供することも可能である。
【実施例】
【0044】
本発明について以下に実施例を挙げてさらに詳述するが、本発明はこれにより何ら限定されるものではない。配合量は特記しない限り質量%で示す。
【0045】
実施例1〜4及び比較例1〜3
下記表1に示す処方で水中油型乳化化粧料を調製した。次いで、調製した各水中油型乳化化粧料の特性評価を行った。その結果を表1に併せて示す。評価項目は、粘度、べたつきのなさ、ハリ感、効果の持続感という使用性、経時安定性、並びに美白効果である。粘度は、B型粘度計にて、30℃(製造1日後測定)ローターNo.3、12rpmの条件で測定した。それ以外の項目の評価方法を下記に示す。
【0046】
(べたつきのなさ)
専門パネル20名により、肌へ適用後のべたつきのなさを評価した。
○(良好):べたつきがないと評価したパネルが15名以上
△(やや不良):べたつきがないと評価したパネルが8名以上14名以下
×(不良):べたつきがないと評価したパネルが7名以下
【0047】
(ハリ感)
専門パネル20名により、肌へ適用後のはり感を評価した。
○(良好):はり感があると評価したパネルが15名以上
△(やや不良):はり感があると評価したパネルが8名以上14名以下
×(不良):はり感があると評価したパネルが7名以下
【0048】
(効果の持続感)
専門パネル20名により、効果の持続感を評価した。
○(良好):効果が持続すると評価したパネルが15名以上
△(やや不良):効果が持続すると評価したパネルが8名以上14名以下
×(不良):効果が持続すると評価したパネルが7名以下
【0049】
(経時安定性)
試料を50℃にて3ヶ月保管し、その安定性を評価した。
○(良好):外観の変化がなく、初期と比較して粘度低下・上昇は25%未満である。
△(やや不良):気液界面での若干の油浮きまたは/かつ25%以上50%未満の粘度低下・上昇が見られる。
×(不良):分離や50%以上の粘度低下・上昇が見られる。
【0050】
(美白効果)
専門パネル20名により、美白効果を評価した。
○(良好):美白効果があると評価したパネルが15名以上
△(やや不良):美白効果があると評価したパネルが8名以上14名以下
×(不良):美白効果があると評価したパネルが7名以下
【0051】
【表1】

*1)ポリオキシエチレン(2)ベヘニルエーテル
【0052】
表1に示した結果から明らかなように、美白剤を含まない比較例1及び2では当然のことながら美白効果は得られないが、0.5質量%の半固形油分(ワセリン)を配合した比較例2は、それを含有しない比較例1によりハリ感及び効果の持続感に優れていた。逆に、半固形油分(ワセリン及びマカダミアナッツ油フィトステリル)を合計で10質量%含有する比較例3は、ハリ感や効果の持続感は得られるが、べたつきを生じ、経時安定性も劣るものとなった。これらに対して、本発明の乳化組成物(実施例1〜4)は、使用性、安定性及び美白効果の全てにおいて満足できる特性を有していた。
【0053】
以下、さらに本発明の他の実施例を示す。
なお、以下の実施例についても前記と同様の特性評価を行ったところ、いずれも優れた結果が得られた。
【0054】
実施例5:乳液
配合成分 配合量(質量%)
精製水 残余
グリセリン 10
エタノール 5
ブチレングリコール 4
ジプロピレングリコール 4
キサンタンガム 0.1
べへネス−20 1.4
ベヘニルアルコール 1.4
バチルアルコール 0.8
硬化油 1
トリ2−エチルヘキサン酸グリセリル 6
スクワラン 3
メチルポリシロキサン 1
ワセリン 1
4−メトキシサリチル酸カリウム 1
パラベン 0.2
香料 適量
【0055】
製造方法:
油溶性成分を油分に溶解後、70℃に加温した(油相)。他方、水溶性成分を精製水に溶解し、70℃に加温した(水相)。この水相に前述の油相を添加攪拌混合した後、室温まで冷却した。
【0056】
実施例6:乳液
配合成分 配合量(質量%)
精製水 残余
エチルアルコール 3
グリセリン 10
ブチレングリコール 5
ジプロピレングリコール 5
キシリトール 3
カルボキシビニルポリマー 0.1
キサンタンガム 0.05
水酸化カリウム 0.4
べへネス−20 1.5
ベヘニルアルコール 1
バチルアルコール 0.5
マカダミアナッツ油フィトステリル 1
エチルヘキサン酸セチル 8
水添ポリデセン 3
メチルポリシロキサン 3
アスコルビルグルコシド 2
フェノキシエタノール 0.5
香料 適量
【0057】
製造方法:
油溶性成分を油分に溶解後、70度に加温した(油相)。他方、水溶性成分を精製水に溶解し、70℃に加温した(水相)。この水相に前述の油相を添加攪拌混合した後、室温まで冷却し、乳液を得た。
【0058】
実施例7:美容液
配合成分 配合量(質量%)
精製水 残余
エチルアルコール 3
グリセリン 8
ブチレングリコール 5
(アクリル酸/アクリル酸アルキル(C10−30))コポリマー 0.1
アミノメチルプロパンジオール 0.05
べへネス−20 0.8
ベヘニルアルコール 1.5
バチルアルコール 0.5
テトラエチルヘキサン酸ペンタエリスリチル 8
メチルポリシロキサン 1
ワセリン 1
テトラ(ベヘン酸/安息香酸/エチルヘキサン酸)
ペンタエリスリット 0.5
4−メトキシサリチル酸カリウム 1
トラネキサム酸 1
フェノキシエタノール 0.35
香料 適量
【0059】
製造方法:
油溶性成分を油分に溶解後、70度に加温した(油相)。他方、水溶性成分を精製水に溶解し、70℃に加温した(水相)。この水相に前述の油相を添加攪拌混合した後、室温まで冷却し、美容液を得た。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1種の塩型美白剤を水相に含有する水中油型乳化組成物であって、
(a)炭素数14〜22の高級アルコールより選ばれる1種または2種以上と、
(b)親水性のポリオキシエチレンアルキルエーテルより選ばれる1種または2種以上と、
(c)グリセリンモノアルキルエーテルから選ばれる1種または2種以上と、
(d)0.1〜5質量%の半固形油分と、を含有し、
前記(b)と(c)のアルキル部分が直鎖状の飽和アルキル鎖であり、(a)〜(c)のモル濃度が、[(b)+(c)]/(a)=0.1〜1.0の関係を満たし、粘度が30℃で1500〜10000mPa・sであることを特徴とする水中油型乳化化粧料。
【請求項2】
(a)高級アルコールのアルキル部分が直鎖状の飽和アルキル鎖であることを特徴とする、請求項1に記載の水中油型乳化化粧料。
【請求項3】
(a)〜(c)のモル濃度が、[(b)+(c)]/(a)=0.1〜0.9の関係を満たすことを特徴とする請求項1又は2に記載の水中油型乳化化粧料。
【請求項4】
(c)グリセリンモノアルキルエーテルがグリセリンモノステアリルエーテルであることを特徴とする、請求項1から3のいずれか一項に記載の水中油型乳化化粧料。
【請求項5】
(b)ポリオキシエチレンアルキルエーテルのポリオキシエチレン鎖の平均付加モル数が10〜30であることを特徴とする、請求項1から4のいずれか一項に記載の水中油型乳化化粧料。
【請求項6】
(a)〜(c)のモル濃度が、[(a)+(c)]/(b)=3〜20の関係を満たすことを特徴とする、請求項1から5のいずれか一項に記載の水中油型乳化化粧料。
【請求項7】
塩型美白剤が、4−メトキシサリチル酸カリウム及びアスコルビン酸−2−グリコシドから選択されることを特徴とする請求項1から6のいずれか一項に記載の水中油型乳化化粧料。

【公開番号】特開2012−31088(P2012−31088A)
【公開日】平成24年2月16日(2012.2.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−171390(P2010−171390)
【出願日】平成22年7月30日(2010.7.30)
【出願人】(000001959)株式会社 資生堂 (1,748)
【Fターム(参考)】