説明

水中油型毛髪処理剤

【課題】トリポリヒドロキシステアリン酸ジペンタエリスリチルの分散性が高い水中油型毛髪処理剤の提供。
【解決手段】トリポリヒドロキシステアリン酸ジペンタエリスリチルと共に、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油及び/又はポリグリセリンモノ脂肪酸エステル並びにソルビトール及び/又はジプロピレングリコールを配合する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トリポリヒドロキシステアリン酸ジペンタエリスリチルが配合された水中油型毛髪処理剤に関するものである。
【背景技術】
【0002】
シャンプー、トリートメント、整髪剤などの公知の毛髪処理剤には、油性原料が配合されることがある。その配合される油性原料の種類によって、毛髪の艶、まとまり、ボリューム、しっとり感、柔らかさなどの毛髪特性が向上することがある。
【0003】
トリポリヒドロキシステアリン酸ジペンタエリスリチルは、ヘアミスト等の毛髪処理剤に配合する油性原料として特許文献1に開示されている(特許文献1の実施例1等で用いられている日清オイリオ社製「サラコスWO−6」)。この特許文献1においては、トリポリヒドロキシステアリン酸ジペンタエリスリチルには毛髪損傷抑制作用があるとされている。
【0004】
また、特許文献2にも、トリポリヒドロキシステアリン酸ジペンタエリスリチルを毛髪処理剤に配合することが開示されている(特許文献2における実施例31〜36のエステル化反応生成物として、トリポリヒドロキシステアリン酸ジペンタエリスリチルが開示されている。)。そして、その開示されている毛髪処理剤は、具体的には、コンディショニングシャンプー、キューティクル保護ジェル、ヘアリンス、ヘアコンディショナー、ヘアクリーム、ヘアワックスであり、これら毛髪処理剤を用いた後の毛髪の官能評価によれば、毛髪の保湿感、艶、柔軟性、まとまりに優れると特許文献2には記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2009−13144号公報
【特許文献2】国際公開第2006/080389号
【0006】
上記特許文献1〜2に開示されている通り、トリポリヒドロキシステアリン酸ジペンタエリスリチルが毛髪処理剤の配合原料となるが、水中油型毛髪処理剤においては、油相原料となるトリポリヒドロキシステアリン酸ジペンタエリスリチルの分散性を高めることが望まれる。その分散性が高めることで、水中油型毛髪処理剤の製造の容易化につながり、毛髪の感触の均一化なども期待される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、上記事情に鑑み、トリポリヒドロキシステアリン酸ジペンタエリスリチルの分散性が高い水中油型毛髪処理剤の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者等が、トリポリヒドロキシステアリン酸ジペンタエリスリチルの分散性を高めるべく鋭意検討を行った結果、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油及び/又はポリグリセリンモノ脂肪酸エステル並びにソルビトール及び/又はジプロピレングリコールを配合すれば、その分散性が高まることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0009】
すなわち、本発明に係る水中油型毛髪処理剤は、下記原料(A)、(B)、及び(C)が配合されたものである。
原料(A):トリポリヒドロキシステアリン酸ジペンタエリスリチル
原料(B):ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油及び/又はポリグリセリンモノ脂肪酸エステル
原料(C):ソルビトール及び/又はジプロピレングリコール
【0010】
本発明に係る水中油型毛髪処理剤において、前記原料(B)は、下記式(I)で表されるポリオキシエチレン硬化ヒマシ油及び/又は下記式(II)で表されるポリグリセリンモノ脂肪酸エステルであると良い。
【化1】

[上記式(I)において、平均付加モル数l、m、n、o、p、及びqの総和は10以上100以下である。]
【化2】

[上記式(II)において、Rは高級脂肪酸残基又は水素原子を表し、平均付加モル数xは4以上10以下である。]
【0011】
本発明の水中油型毛髪処理剤には、原料(D)として、ベヘニルトリメチルアンモニウム塩が更に配合されるのが好適である。当該原料(D)が配合されれば、原料(A)であるトリポリヒドロキシステアリン酸ジペンタエリスリチルの分散性が更に高まる。
【0012】
また、本発明の水中油型毛髪処理剤には、原料(E)として、HLB値が9.0以上12.0以下である下記式(III)で表される高級アルコールとポリエチレングリコールとのエーテルが更に配合されるのが好適である。当該原料(E)が配合されれば、原料(A)の分散性がより高まり、原料(D)と共に配合される場合の分散性の高まりは、相乗的である。
【化3】

[上記式(III)において、Rは高級アルコール残基を表し、平均付加モル数yは4以上10以下である。]
【発明の効果】
【0013】
本発明に係る水中油型毛髪処理剤は、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油及び/又はポリグリセリンモノ脂肪酸エステル並びにソルビトール及び/又はジプロピレングリコールの配合により、トリポリヒドロキシステアリン酸ジペンタエリスリチルの分散性が高いものとなる。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本実施形態の毛髪処理剤に基づき、本発明を以下に説明する。
本実施形態の毛髪処理剤は、下記原料(A)、(B)、及び(C)が配合された水中油型毛髪処理剤である(本実施形態の毛髪処理剤における水の配合量は、例えば70質量%以上)。また、本実施形態の毛髪処理剤には、毛髪処理剤原料として公知のものが任意に配合される。
原料(A):トリポリヒドロキシステアリン酸ジペンタエリスリチル
原料(B):ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油及び/又はポリグリセリンモノ脂肪酸エステル
原料(C):ソルビトール及び/又はジプロピレングリコール
【0015】
(原料(A):トリポリヒドロキシステアリン酸ジペンタエリスリチル)
原料(A)であるトリポリヒドロキシステアリン酸ジペンタエリスリチルは、ヒドロキシステアリン酸の重合体とペンタエリスリトールとのトリエステルであり、市販品としては、日清オイリオグループ社製「サラコスWO−6」が挙げられる。原料(A)自体は、公知の油性原料の中でも毛髪のねじり剛性を特に低くできるものであるが、原料(B)及び(C)と共に配合して原料(A)を分散させれば、毛髪のねじり剛性を更に低くできる。
【0016】
原料(A)を得るための上記ヒドロキシステアリン酸の重合体は、12−ヒドロキシステアリン酸同士の分子間エステル化反応により得られるものである。この重合体の平均重合度は、例えば2以上12以下である。
【0017】
原料(A)の特性は、特開2009−13144号公報において、水酸基価が20mgKOH/g以上70mgKOH/g以下、酸価が3mgKOH/g以下が良いと開示されている。
【0018】
本実施形態の水中油型毛髪処理剤における原料(A)の配合量は、例えば0.05質量%以上15質量%以下であり、0.5質量%以上10質量%以下であると良い。0.05質量%未満であると、原料(A)による毛髪特性への影響が小さくなりすぎ、15質量%を超えると、毛髪処理剤を安価にすることが困難である。
【0019】
(原料(B):ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油及び/又はポリグリセリンモノ脂肪酸エステル)
ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油及び/又はポリグリセリンモノ脂肪酸エステルが、本実施形態の水中油型毛髪処理剤に原料(B)として配合される。ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油を配合するのが、ポリグリセリンモノ脂肪酸エステルを配合するよりも、原料(A)の分散性を高くできる。
【0020】
ポリオキシエチレン酸硬化ヒマシ油を配合する場合、例えば、下記式(I)で表されるポリオキシエチレン硬化ヒマシ油から選ばれた一種又は二種以上を配合する。
【化4】

上記式(I)において、平均付加モル数l、m、n、o、p、及びqの総和は、10以上100以下であり、10以上80以下が良く、20以上60以下が好ましく、20以上40以下がより好ましい。
【0021】
また、ポリグリセリンモノ脂肪酸エステルを配合する場合、例えば、下記式(II)で表されるポリグリセリンモノ脂肪酸エステルから選ばれた一種又は二種以上を配合する。
【化5】

上記式(II)において、Rはラウロイル基などの高級脂肪酸残基又は水素原子を表し、平均付加モル数xは4以上10以下である。
【0022】
上記ポリグリセリンモノ脂肪酸エステルの具体例としては、モノラウリン酸ヘキサグリセリル、モノミリスチン酸ヘキサグリセリル、モノステアリン酸ヘキサグリセリル、モノオレイン酸ヘキサグリセリル、モノラウリン酸デカグリセリル、モノミリスチン酸デカグリセリル、モノステアリン酸デカグリセリル、モノオレイン酸デカグリセリル、モノリノール酸デカグリセリルが挙げられる。
【0023】
本実施形態の毛髪処理剤における原料(B)の配合量は、例えば1.0質量%以上8.0質量%以下であり、1.5質量%以上8.0質量%以下が良い。
【0024】
(原料(C):ソルビトール及び/又はジプロピレングリコール)
ソルビトール及び/又はジプロピレングリコールが、本実施形態の水中油型毛髪処理剤に原料(C)として配合される。ソルビトールを配合するのが、ジプロピレングリコールを配合するよりも、原料(A)の分散性を高くできる。
【0025】
本実施形態の毛髪処理剤における原料(C)の配合量は、特に限定されないが、例えば0.01質量%以上10質量%以下であり、2.5質量%以上5.0質量%以下が良い。
【0026】
(任意原料)
本実施形態の毛髪処理剤には、上記原料(A)、(B)、及び(C)以外に、原料(A)の分散性を確保できる限度において、公知の毛髪処理剤原料を任意原料として配合しても良い。当該任意原料は、アニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤、両性界面活性剤、ノニオン界面活性剤、高級アルコール、低級アルコール、多価アルコール、糖類、油脂、エステル油、脂肪酸、炭化水素、ロウ、高分子化合物、シリコーン、蛋白、アミノ酸、動植物抽出物、微生物由来物、無機化合物、香料、防腐剤、金属イオン封鎖剤などである。
【0027】
以下の原料(D)及び/又は原料(E)を本実施形態の毛髪処理剤に配合した場合、原料(A)の分散性をより高める。
【0028】
(原料(D):ベヘニルトリメチルアンモニウム塩)
原料(D)であるベヘニルトリメチルアンモニウム塩は、ステアリルトリメチルアンモニウム塩などの原料(D)以外の4級アンモニウム塩と異なり、原料(A)の分散性を高める。
【0029】
本実施形態の毛髪処理剤における原料(D)の配合量は、例えば5.0質量%以下であり、1.0質量%以上4.0質量%以下が良く、2.0質量%以上3.5質量%以下が好ましい。
【0030】
また、本実施形態の毛髪処理剤において、原料(B)の配合量と原料(D)の配合量の比(原料(B)の配合量:原料(D)の配合量)は、1:0.25以上4.0以下が良く、1:0.30以上3.0以下が好ましく、1:0.60以上2.0以下がより好ましい。
【0031】
(原料(E):高級アルコールとポリエチレングリコールとのエーテル)
原料(E)は、HLB値が所定値の下記式(III)で表される高級アルコールとポリエチレングリコールとのエーテルである。
【化6】

上記式(III)において、Rはラウリル基などの高級アルコール残基を表し、平均付加モル数yは4以上10以下である。
【0032】
原料(E)のHLB(Hydrophile−Lipophile
Balance)値は、9.0以上12.0以下である。ここで、当該HLB値は、次式から算出される値を採用する。
HLB値=E/5
E:原料(E)における平均付加モル数yから算出される酸化エチレンの質量%
【0033】
原料(E)としては、例えば、ポリオキシエチレン(4)ラウリルエーテル(HLB値9.7)、ポリオキシエチレン(4.2)ラウリルエーテル(HLB値10.0)、ポリオキシエチレン(5)ラウリルエーテル(HLB値10.8)、ポリオキシエチレン(6)ラウリルエーテル(HLB値11.7)、ポリオキシエチレン(5)セチルエーテル(HLB値9.5)、ポリオキシエチレン(5.5)セチルエーテル(HLB値10.0)、ポリオキシエチレン(6)セチルエーテル(HLB値10.4)、ポリオキシエチレン(7)セチルエーテル(HLB値11.2)、ポリオキシエチレン(8)セチルエーテル(HLB値11.9)、ポリオキシエチレン(6)ステアリルエーテル(HLB値9.9)、ポリオキシエチレン(7)ステアリルエーテル(HLB値10.7)、ポリオキシエチレン(8)ステアリルエーテル(HLB値11.3)、ポリオキシエチレン(7)オレイルエーテル(HLB値10.7)、ポリオキシエチレン(8)オレイルエーテル(HLB値11.4)、ポリオキシエチレン(9)オレイルエーテル(HLB値11.9)、ポリオキシエチレン(10)ベヘニルエーテル(HLB値11.5)が挙げられる。原料(E)を配合する場合には、一種又は二種以上の原料(E)を配合すると良い。
【0034】
(剤型)
本実施形態の毛髪処理剤を使用する際の剤型は、特に限定されず、例えば液状、乳液状、ローション状、クリーム状、フォーム状(泡状)、霧状が挙げられる。いずれの剤型においても、原料(A)を含む油相が分散しており、その油相の平均粒子径は、例えば100nm以上500nm以下である。
【0035】
(用途)
本実施形態に係る毛髪処理剤を、ヘアケア剤、パーマ剤、カラーリング剤、ブリーチ剤、スタイリング剤等として使用すると良い。その使用の際には、その使用の目的に応じて、公知のアケア剤、パーマ剤、カラーリング剤、ブリーチ剤、スタイリング剤等の公知の毛髪処理剤と同様の使用方法を採用すると良い。
【0036】
なお、「ヘアケア剤」とは、毛髪の手入れ、手当て等を行うために用いられる毛髪処理剤である。ヘアケア剤としては、例えば、シャンプー、リンス、コンディショナー、トリートメント(例えば、洗い流さないトリートメント、洗い流すトリートメント、整髪兼用トリートメント、多剤式トリートメントの一構成剤、パーマの前処理のためのトリートメント、パーマの後処理のためのトリートメント、カラーリングの前処理のためのトリートメント、カラーリングの後処理のためのトリートメント、ブリーチの前処理のためのトリートメント、ブリーチの後処理のためのトリートメント)が挙げられる。「パーマ剤」とは、還元反応、酸化反応等の化学反応を利用して毛髪形状を変化させるために用いられる毛髪処理剤である。パーマ剤としては、例えば、毛髪をウェーブ状に形成するためのウェーブ剤、ウェーブ状等の毛髪を直毛に近づけるためのストレート剤が挙げられ、1剤式パーマ剤、2剤式パーマ剤の還元剤が配合された第1剤及び2剤式パーマ剤の酸化剤が配合された第2剤のいずれも本実施形態に係る毛髪処理剤に該当する。「カラーリング剤」とは、毛髪を着色するために用いられる毛髪処理剤である。カラーリング剤としては、例えば直接染料が配合された染毛料、毛髪の染毛時に反応が必要になる反応型染料が配合された染毛剤、毛髪への着色を一時的に施す毛髪着色料が挙げられる。「ブリーチ剤」とは、毛髪の色素を脱色させるために用いられる毛髪処理剤である。「スタイリング剤」とは、髪型を一時的に保持するために用いられる毛髪処理剤である。
【実施例】
【0037】
以下に実施例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明の趣旨を逸脱することがない限り、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
【0038】
実施例及び比較例の毛髪処理剤を調製し、原料(A)であるトリポリヒドロキシステアリン酸ジペンタエリスリチルの分散性を確認した。また、一部の毛髪処理剤を用いて毛髪を処理し、その処理した毛髪のねじり剛性率を測定した。詳細は以下の通りである。
【0039】
(毛髪処理剤)
80℃以上に加熱した下記油相に、ディスパ攪拌羽根で攪拌(回転数3000〜4000rpm)しつつ、80℃以上の水を徐々に添加した。水の添加が完全に終了した後、攪拌を継続しながら、常温になるまで水冷して実施例及び比較例の各毛髪処理剤を調製した。但し、比較例6bのみは、原料(A)であるトリポリヒドロキシステアリン酸ジペンタエリスリチルを、そのまま毛髪処理剤とした。
【0040】
実施例及び比較例の毛髪処理剤の調製で用いた油相は、下記表1−1、1−2、及び2〜6に記載の原料を80℃以上の温度で混合したものであり、原料の配合質量比は、同表に記載の数値比とした(表中の数値は、毛髪処理剤における配合濃度である。)。表3〜6に記載の、塩化ベヘニルトリメチルアンモニウムの配合についてはClariant社製「GENAMIN KDM−P」を用い、塩化ステアリルトリメチルアンモニウムの配合については日光ケミカル社製「NIKKOL CA−2450」を用い、塩化セチルトリメチルアンモニウムの配合については日光ケミカル社製「NIKKOL CA−2330」を用いた。
【0041】
(分散性の評価)
「分散状態」と「平均粒子径」のいずれかにより、毛髪処理剤における原料(A)の分散性を評価した。評価基準等は以下の通りとした。
【0042】
分散状態(製造後)
○:製造してから間も無く、目視により、2つの相が確認されなかった。
×:製造してから間も無く、目視により、2つの相が確認された。
【0043】
分散状態(2週間後)
○:製造してから2週間経過後の目視により、油相の分散が均一と確認された。
×:製造してから2週間経過後の目視により、油相の分散が不均一と確認された。
【0044】
平均粒子径
製造してから間も無くの各毛髪処理剤における油相の体積平均粒子径を、日機装社製「Microtrac MT3000」を用いて測定し、この測定値を平均粒子径とした。
【0045】
(毛髪処理)
一般女性から採取した毛髪を、過酸化水素5.8質量%、アンモニア1.3質量%の水溶液に15分間浸漬し、洗浄後、温風乾燥させた。これら浸漬から乾燥までを20回繰り返した毛髪を、毛髪処理における対象毛髪とした。対象毛髪を、毛髪処理剤中に5分間又は3時間浸漬した後、毛髪表面の毛髪処理剤を拭き取ることで毛髪処理とした。
【0046】
(ねじり剛性率)
毛髪10本のねじり剛性率を測定し、平均値を算出した。ここでのねじり剛性率は、カトーテック社製ねじり試験機「KES−YN1」を用いて測定した。測定条件は、温度25℃、湿度50%の恒温恒湿室内に毛髪を24時間以上放置し、この毛髪の長径と短径を測定した後、ねじり試験機にセットし、120度/secの速度で左右に3回転ねじった。
【0047】
下記表1−1、1−2、及び2〜6に毛髪処理剤に配合した原料、分散状態、平均粒子径、ねじり剛性率を示す。
【0048】
【表1−1】

【0049】
【表1−2】

【0050】
上記1−2は、原料(B)及び(C)の一方又は全てが配合されなかった比較例1a〜1gでは、製造後の分散状態が「×(目視により2つの相が確認された。)」であったことから、原料(A)の分散性が不十分であったことを示す。一方、上記表1−1は、原料(B)及び(C)が共に配合された実施例1a〜1fでは、製造後の分散状態が「○(目視により2つの相が確認されなかった。)」であったことから、原料(B)及び(C)の双方を配合することで原料(A)の分散性が高まることを示す。また、実施例1a〜1cと実施例1d〜1fとを目視比較したところ、実施例1a〜1cの方が油相が高分散していた(平均粒子径については、実施例1bは実施例1d〜1fよりも小さかった。)。
【0051】
【表2】

【0052】
上記表2において、実施例2a〜2bの原料(C)をグリセリンに置換した比較例2の平均粒子径は、実施例2a〜2bの3倍以上であったことを確認できる。このことは、原料(C)を採用することが、原料(A)の分散に有意であることを示す。
【0053】
【表3】

【0054】
上記表3における実施例3bは、実施例3aの原料(B)の一部を原料(D)に置き換えたものである。この実施例3bは、2週間後の分散状態、及び平均粒子径が実施例3aよりも良好であった。
【0055】
【表4】

【0056】
【表5】

【0057】
上記表5において、実施例5aよりも実施例5bの方が小さい平均粒子径であり、このことは原料(E)の配合により原料(A)の分散性が向上したことを示す。また、実施例5aよりも実施例5cの方が小さい平均粒子径であり、このことは原料(D)の配合により原料(A)の分散性が向上したことを示す。そして、実施例5cよりも実施例5dの方が小さい平均粒子径であり、このことは原料(D)及び(E)の併用により原料(A)の分散性がより向上したことを示す。
【0058】
【表6】

【0059】
上記表6における実施例6のねじり剛性率は、比較例6a及び6bのいずれよりも低い値であった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記原料(A)、(B)、及び(C)が配合された水中油型毛髪処理剤。
原料(A):トリポリヒドロキシステアリン酸ジペンタエリスリチル
原料(B):ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油及び/又はポリグリセリンモノ脂肪酸エステル
原料(C):ソルビトール及び/又はジプロピレングリコール
【請求項2】
前記原料(B)が、下記式(I)で表されるポリオキシエチレン硬化ヒマシ油及び/又は下記式(II)で表されるポリグリセリンモノ脂肪酸エステルである請求項1に記載の水中油型毛髪処理剤。
【化1】

[上記式(I)において、平均付加モル数l、m、n、o、p、及びqの総和は10以上100以下である。]
【化2】

[上記式(II)において、Rは高級脂肪酸残基又は水素原子を表し、平均付加モル数xは4以上10以下である。]
【請求項3】
原料(D)として、ベヘニルトリメチルアンモニウム塩が配合された請求項1又は2に記載の水中油型毛髪処理剤。
【請求項4】
原料(E)として、HLB値が9.0以上12.0以下である下記式(III)で表される高級アルコールとポリエチレングリコールとのエーテルが配合された請求項1〜3のいずれか1項に記載の水中油型毛髪処理剤。
【化3】

[上記式(III)において、Rは高級アルコール残基を表し、平均付加モル数yは4以上10以下である。]

【公開番号】特開2013−43855(P2013−43855A)
【公開日】平成25年3月4日(2013.3.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−182273(P2011−182273)
【出願日】平成23年8月24日(2011.8.24)
【出願人】(592255176)株式会社ミルボン (138)
【Fターム(参考)】