説明

水中生物着生用器具並びにその製造方法及びその設置方法

【課題】優れた強度を有し且つ固定用脚部が基盤側の取付孔から脱落しにくく、しかも低コストで製造可能な水中生物着生用器具を提供する。
【解決手段】製鋼スラグと金属Al含有材料を主体とし、必要に応じて、金属鉄及び/又は酸化鉄含有粉、粘土などを配合した原料混合物を成形し、焼成して得られた焼成体からなる。金属Alと酸化鉄とのテルミット反応により実現される高温焼成により鉄分が溶解・固化し、且つ原料成分により低融点化合物が生成することで強度が発現し、優れた強度が得られる。また、酸化鉄の溶解時に発生するガスにより気孔が形成されることで、表面に適度な粗さが付与され、この表面粗さにより、固定用脚部が基盤側の取付孔から脱落しにくくなる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水中にてサンゴや海藻類を着生させるための水中生物着生用器具並びにその製造方法及びその設置方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、沿岸海域において海水温の上昇や環境破壊などが原因とみられるサンゴ礁や藻場の衰退・消失が大きな問題となっており、衰退・消失したサンゴ礁や藻場を回復させるための様々な試みがなされている。
そのなかで、特殊な形状の着生用器具を用いてサンゴや海藻を増殖させる方法が、特許文献1,2において提案されている。
【特許文献1】特許第3530838号公報
【特許文献2】特開2004−121195号公報
【0003】
図1は、特許文献1,2の方法において用いられる着生用器具の基本的な形状を示すもので、図1(a)は側面図、図1(b)は平面図である。この着生用器具Aは、板状部xとこの板状部下面に突設された固定用脚部y(スペーサ部yおよび挿入部y)とからなり、前記板状部xの上面側には他の着生用器具Aの固定用脚部y(挿入部y)を差し込むための孔zが形成されている。この着生用器具Aは、直径が数cm程度の大きさであり、通常、素焼きの陶器からなる。
図4は、この着生用器具Aを用いてサンゴを増殖させる手法を示すもので、まず、図4(a)に示す着生工程においては、複数の着生用器具Aを、各々の板状部x上面側の孔zに他の着生用器具Aの固定用脚部y(挿入部y)を挿し込み、上下の着生用器具Aの板状部x間にサンゴの幼生が着生・生育可能な隙間D(スペーサ部yによる隙間)が形成されるように多段に積み上げた状態で、サンゴの幼生着生適地に置く。
【0004】
海中の基盤に着生するサンゴの幼生は、特に基盤下面の縁部近傍に着生しやすく、このように基盤下面に着生したサンゴは、基盤側面に向けて次第に成長していく。したがって、図4(a)のように多段に積み上げられた状態でサンゴの幼生着生適地に置かれた着生用器具群に対して、各着生用器具Aの板状部xの下面にサンゴの幼生sが着生する。そして、このように板状部xの下面に着生したサンゴの幼生sは、上下の板状部x間の隙間D(空間)内で生育するため、捕食者から適切に保護される。
【0005】
サンゴの幼生sが着生した着生用器具Aは幼生着生適地から回収され、必要に応じてサンゴ生育適地にてサンゴの幼生を生育させる過程を経た後、サンゴ移植地の基盤(天然岩礁や人工基盤など)に移植する。この移植では、図4(b)に示すように各着生用器具Aの固定用脚部y(挿入部y)を基盤Bの表面に形成された取付孔pに差し込んで接着剤などで接着し、その板状部xと基盤Bとの間にサンゴが生育可能な隙間Cが形成されるようにして、着生用器具Aを基盤Bに固定する。これにより、サンゴsは捕食者から保護されつつ次第に成長し、板状部xの側面・上面や基盤Bに順次増殖していく。
以上のように、特許文献1,2に示される着生用器具Aは、水中生物の幼生などをその特有の形状を利用して捕食者から保護しつつ、増殖させることを狙いとしている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、上記のような従来の着生用器具は陶器製であるため、以下のような欠点がある。
(i)固定用脚部(基盤側の取付孔に差し込む部分)やその付け根部分の強度が弱く、着生用器具を設置している海底において、例えば、波浪による転石などの衝突により、折れやすい。
(ii)固定用脚部を基盤側の取付孔に差し込み、接着剤で固定しても表面が滑らかであるため接着性が弱く、脱落しやすい。
このため、サンゴなどの生物が着生する前に、或いは着生しても十分成長する前に、着生用器具やその本体部分が基盤から脱落してしまうケースが少なくない。また、従来の着生用器具は陶器製であるため、材料コストや焼成のための燃料コストが高いという問題もある。
また、図1のような形状以外の陶器製器具(例えば、板状の器具)についても、図1の器具ほどではないものの、波浪による転石などの衝突により破損を生じたり、基盤に対する接着性に問題を生じたりするおそれがある。
【0007】
したがって本発明の目的は、優れた強度を有するとともに、接着された基盤から脱落しにくく、しかも低コストで製造可能な水中生物着生用器具を提供することにある。
また、本発明の他の目的は、特許文献1,2に示されるような形状の着生用器具であって、優れた強度を有するとともに、固定用脚部が基盤側の取付孔から脱落しにくく、しかも低コストで製造可能な水中生物着生用器具を提供することにある。
また、本発明の他の目的は、そのような水中生物着生用器具を適切且つ効率的に製造することができる方法を提供することにある。
また、本発明の他の目的は、そのような水中生物着生用器具を水中に安定的に設置することができる方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは、上記課題を解決するために、着生用器具の原材料と製造条件について検討を行い、その結果、製鋼スラグと金属Al含有材料を主体とし、必要に応じて金属鉄及び/又は酸化鉄含有粉、粘土などを配合した原料混合物を成形し、これを焼成することにより、上記課題を解決できる優れた性能を有する着生用器具を低コストで製造できることを見出した。
本発明は、このような知見に基づきなされたもので、その要旨は以下のとおりである。
【0009】
[1]製鋼スラグと金属Al含有材料を主体とする原料混合物の焼成体からなることを特徴とする水中生物着生用器具。
[2]上記[1]の水中生物着生用器具において、原料混合物は、さらに、金属鉄及び/又は酸化鉄含有粉(但し、粉が金属鉄及び/又は酸化鉄のみからなる場合を含む)を含むことを特徴とする水中生物着生用器具。
[3]上記[1]又は[2]の水中生物着生用器具において、原料混合物は、さらに、粘土を含むことを特徴とする水中生物着生用器具。
[4]上記[1]〜[3]のいずれかの水中生物着生用器具において、原料混合物は、さらに、粘土以外のSiO源を含むことを特徴とする水中生物着生用器具。
[5]上記[1]〜[4]のいずれかの水中生物着生用器具において、金属Al含有材料がアルミドロス及び/又はアルミ研磨ダストであることを特徴とする水中生物着生用器具。
【0010】
[6]上記[1]〜[5]のいずれかの水中生物着生用器具において、板状部と該板状部の下面側に突設された1又は2以上の固定用脚部を有することを特徴とする水中生物着生用器具。
[7]製鋼スラグと金属Al含有材料を主体とする原料に液状油を添加して混練した後、成形し、該成形体を焼成することを特徴とする水中生物着生用器具の製造方法。
[8]上記[7]の製造方法において、原料は、さらに、金属鉄及び/又は酸化鉄含有粉(但し、粉が金属鉄及び/又は酸化鉄のみからなる場合を含む)を含むことを特徴とする水中生物着生用器具の製造方法。
[9]上記[7]又は[8]の製造方法において、原料は、さらに、粘土を含むことを特徴とする水中生物着生用器具の製造方法。
[10]上記[7]〜[9]のいずれかの製造方法において、原料は、さらに、粘土以外のSiO源を含むことを特徴とする水中生物着生用器具の製造方法。
【0011】
[11]上記[7]〜[10]のいずれかの製造方法において、金属Al含有材料がアルミドロス及び/又はアルミ研磨ダストであることを特徴とする水中生物着生用器具の製造方法。
[12]上記[7]〜[11]のいずれかの製造方法において、成形体を600〜1200℃の雰囲気温度で焼成することを特徴とする水中生物着生用器具の製造方法。
[13]上記[7]〜[12]のいずれかの製造方法において、製造される水中生物着生用器具が、板状部と該板状部の下面側に突設された1又は2以上の固定用脚部を有することを特徴とする水中生物着生用器具の製造方法。
【0012】
[14]上記[1]〜[5]のいずれかの水中生物着生用器具を水中の基盤に設置するための方法であって、基盤に前記水中生物着生用器具を接着または固定することにより、水中生物着生用器具を水中の基盤に設置することを特徴とする水中生物着生用器具の設置方法。
[15]上記[1]〜[5]のいずれかの水中生物着生用器具を水中の基盤に設置するための方法であって、粉粒状の未炭酸化Ca含有原料を炭酸化反応で固結させて得られた炭酸固化体ブロックを、水中に設置すべき器具取付用の基盤として用い、該炭酸固化体ブロックに前記水中生物着生用器具を接着または固定することにより、水中生物着生用器具を水中の基盤に設置することを特徴とする水中生物着生用器具の設置方法。
【0013】
[16]上記[6]の水中生物着生用器具を水中の基盤に設置するための方法であって、基盤に形成された取付孔に、前記水中生物着生用器具の固定用脚部を差し込んで接着することにより、水中生物着生用器具を水中の基盤に設置することを特徴とする水中生物着生用器具の設置方法。
[17]上記[6]の水中生物着生用器具を水中の基盤に設置するための方法であって、粉粒状の未炭酸化Ca含有原料を炭酸化反応で固結させて得られた炭酸固化体ブロックを、水中に設置すべき器具取付用の基盤として用い、該炭酸固化体ブロックに形成された取付孔に、前記水中生物着生用器具の固定用脚部を差し込んで接着することにより、水中生物着生用器具を水中の基盤に設置することを特徴とする水中生物着生用器具の設置方法。
【発明の効果】
【0014】
本発明に係る水中生物着生用器具は、優れた強度を有するため破損を生じにくく、しかも、適度な表面粗さを有するため基盤への接着性が高く、基盤から脱落しにくい。また、原材料が安価であり、且つ低火度で焼成できるため、低コストで製造できる利点がある。さらに、適度な表面粗さを有すること、原料であるスラグ成分などからミネラル分が微量に溶出することなどにより、生物の付着性や成育性にも優れている。
また、板状部と該板状部の下面側に突設された1又は2以上の固定用脚部を有する水中生物着生用器具の場合には、優れた強度を有するため固定用脚部やその付け根部分の破損を生じにくく、しかも、適度な表面粗さを有するため接着性が高まり、固定用脚部が基盤側の取付孔から脱落しにくい。このため器具自体やその本体部分が基盤から脱落することを適切に防止できる。
【0015】
また、本発明に係る水中生物着生用器具の製造方法によれば、そのような水中生物着生用器具を適切且つ効率的に製造することができる。
さらに、本発明に係る水中生物着生用器具の設置方法によれば、基盤として多孔質体である炭酸固化体ブロックを用いることにより、着生用器具と基盤との高い接着性が得られ、器具自体が基盤から脱落することをより適切に防止できる。しかも、基盤となる炭酸固化体ブロックは、コンクリート製品のように水のpHを上昇させず、また、原料であるスラグ成分などからミネラル分を微量に溶出するため、生物の着生や成育にとって特に良好な環境を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
本発明は、サンゴや海藻類などの着生や増殖に有効である。以下の説明において、着生用器具を用いたサンゴや海藻類などの着生や増殖方法については、サンゴを例に説明するが、海藻類などについても同様の方法を適用することができる。
本発明の水中生物着生用器具の一実施形態は、特許文献1,2に示されるものと同じ形状であり、したがって、図1は本発明の水中生物着生用器具の形状の一例をも示している。すなわち、この着生用器具Aは、板状部xとこの板状部下面に突設された固定用脚部yとからなる。また、この例では、前記板状部xの上面側に他の着生用器具Aの固定用脚部y(挿入部y)を差し込むための孔zが形成されている。本実施形態では、前記固定用脚部yは、他の着生用器具Aの孔zに挿入される挿入部yと、孔zに挿入されないことで上下の着生用器具Aの板状部x間に隙間(後述する図3(a)に示す隙間D)を形成するスペーサ部yとからなっている。
【0017】
なお、固定用脚部yは、例えば、全体が円錐台状、円錐状、円柱状、角錐台状、角錐状、角柱状などに構成されたものでもよく、これらの場合でも固定用脚部yの太さや孔zの深さ・径に応じて、実質的にスペーサ部yと挿入部yに区分されることになる。また、固定用脚部yは2本以上設けてもよい。
また、板上部xの下面や側面には、生物の幼生や卵などが入り込んで着生・生育することができる穴、溝、スリット、凹凸などを形成してもよい。また、板状部x上面の孔zは、必ずしも設けなくてもよい。
本実施形態の着生用器具Aの大きさは特に限定しないが、サンゴの着生用として用いる場合には、生物が着生する板状部xの下面には光が当たる必要があり、板状部xの径を徒に大きくすると板状部xの下面の奥方には光が当たらず、生物は着生できない。したがって、一般には板状部xは20mm〜100mm程度の直径が適当であり、また、生物の着生・生育性と捕食者からの保護の観点から、スペーサ部yの長さは数mm〜20mm程度が適当である。
【0018】
本発明の着生用器具は、図1の実施形態に限らず、任意の形状・構造を有することができる。図5〜図9にいくつかの実施形態を示す。
図5は板状の着生用器具、図6はドーム型の着生用器具、図7は屋根型の着生用器具である。これら板状、ドーム型、屋根型の各着生用器具は、サンゴ礁リーフを被覆してサンゴ礁を補強するという機能も有する。
また、図8は上部が開放した箱型または上下部が開放した筒型の着生用器具であり、箱型の場合には上蓋を有していてもよい。さらに、図9は箱型の着生器具であって、その壁面を網状とした例である。これら箱型又は筒型の着生用器具は、例えば、サンゴ礁ラグーンに設置することにより、稚サンゴの保護、サンゴ片、有孔虫、貝殻などの島形成物質をトラップするという機能も有する。
【0019】
本発明の着生用器具は、製鋼スラグと金属Al含有材料を主体とし、必要に応じて、金属鉄及び/又は酸化鉄含有粉(但し、粉が金属鉄及び/又は酸化鉄のみからなる場合を含む)、粘土、粘土以外のSiO源などを含む原料混合物の焼成体からなる。すなわち、そのような原料混合物を器具の形状に成形し、この成形体を焼成して得られるものである。ここで、焼成体の上記原料はいずれも粉粒物である。
前記製鋼スラグは、鉄鋼製造プロセスの製鋼工程で発生するスラグである。このような製鋼スラグとしては、例えば、脱珪スラグ、脱燐スラグ、脱硫スラグ、脱炭スラグ、鋳造スラグ、鉱石還元スラグ、電気炉スラグなどを挙げることができ、これらの1種以上を用いることができる。
【0020】
製鋼スラグには相当量の酸化鉄が含まれており、この酸化鉄が焼成時に金属Alとの間でテルミット反応を生じ、このときの発熱反応により低火度(600〜1200℃程度)での高温焼成を実現する。このようなテルミット反応で実現する高温焼成により、焼成体が緻密化するとともに、鉄分が溶解(溶融)した後固化することで、焼成体の強度発現に寄与する。加えて、酸化鉄が溶解(分解)する際または焼成体生成時の気孔の形成などを通じて、器具表面に適度な粗さを付与するのに役立つ。さらに、製鋼スラグには相当量のCa分が含まれており、焼成時にそのCa分を含む低融点化合物が生成し、この低融点化合物が結合材として焼成体の強度発現に寄与する。また、多くの製鋼スラグにはAlも含まれており、このAlも上記低融点化合物の構成成分となり、結合材の一部として焼成体の強度発現に寄与する。
【0021】
前記金属Al含有材料は、金属Alが含まれる粉粒状の材料であれば、特に種類を問わないが、金属Alを30質量%以上、好ましくは40質量%以上含むものが好ましい。このような金属Al含有材料としては、アルミドロス、アルミ研磨ダストなどが挙げられ、これらの1種以上を用いることができる。これらのうちアルミドロスは、アルミニウム製造工程で発生する金属Alを含む副産物であり、安価で大量に入手可能であるため、特に好ましい。
金属Al含有材料に含まれる金属Alは、焼成時に製鋼スラグ中の酸化鉄、さらに必要に応じて添加される金属鉄及び/又は酸化鉄含有粉との間でテルミット反応を生じ、このときの発熱反応により低火度(600〜1200℃程度)での高温焼成を実現する。また、焼成時に金属Alから生成したAl、さらには金属Al含有材料に元々含まれるAlが、上述した低融点化合物の構成成分となり、結合材の一部として焼成体の強度発現に寄与する。
【0022】
前記金属鉄及び/又は酸化鉄含有粉は、粉が金属鉄及び/又は酸化鉄のみからなるものでもよい。金属鉄及び/又は酸化鉄含有粉としては、例えば、焼結鉱粉(鉄鉱石の焼結プロセスで発生する返鉱などの焼結鉱粉)、鉄鉱石粉、ミルスケール、鋼材酸洗ライン回収粉(いわゆるルスナー酸化鉄など)、鉄鋼製造プロセスで生じる精錬ダスト、高炉ダストなどが挙げられ、これらの1種以上を用いることができる。なお、鉄鋼製造プロセスで生じる精錬ダストには、溶銑予備処理工程で生じる精錬ダスト、転炉脱炭工程で生じる精錬ダスト(転炉OGダスト)などが含まれる。これらの精錬ダストは、精錬工程で発生した排ガスから集塵することにより回収されたものである。
前記金属鉄及び/又は酸化鉄含有粉は、製鋼スラグに含まれる酸化鉄だけでは酸化鉄量が不十分な場合に、必要に応じて配合すればよい。上述したように酸化鉄は焼成時に金属Alとの間でテルミット反応を生じ、このときの発熱反応により低火度(600〜1200℃程度)での高温焼成を実現する。また、金属鉄は焼成雰囲気中の酸素で酸化されることで発熱し、この点でも高温焼成に寄与する。
【0023】
前記粘土は、原料混合物を成形(例えば、金型を用いたプレス成型)する際の保形剤として、必要に応じて配合される。また、粘土に含まれるSiOは、焼成時に生成する低融点化合物のSiO源にもなる。
前記粘土以外のSiO源も必要に応じて配合される。このSiO源としては、例えば、シリカフューム、フライアッシュなどが挙げられ、これらの1種以上を用いることができる。このSiO源は、焼成時に生成する低融点化合物の構成成分となる。また、このSiO源には、原料混合物を成形する際の成形性を高める効果もある。
【0024】
上記原料混合物の成形体を焼成すると、(イ)金属Al含有材料の金属Alと製鋼スラグ中の酸化鉄、さらには金属鉄及び/又は酸化鉄含有粉とのテルミット反応が生じるので、このときの発熱反応により低火度(600〜1200℃程度)であっても高温焼成が実現し、全体が適切に固化した焼成体が得られる、(ロ)テルミット反応により高温焼成が実現されるので、焼成体が緻密化するとともに、鉄分が溶解(溶融)しこれが固化することで、焼成体の強度発現に寄与する、(ハ)製鋼スラグに含まれるCa分と、金属Al含有材料の金属Alから生成するAlや製鋼スラグに含まれるAlと、製鋼スラグや粘土などに含まれるSiOとの反応により低融点化合物が生成し、これが結合材(ボンド)として焼成体の強度発現に寄与する、(ニ)テルミット反応による高温焼成により酸化鉄が溶解(分解)してガス(酸素)が発生し、これにより粗い気泡(気孔)が生じることなど(さらに、原料中に含まれる空気、水、COまたはCOの排出や高温下における低沸点化合物の蒸発などによっても、気孔が生じる可能性がある)により、器具表面に適度な粗さが付与される、という作用効果が得られる。
【0025】
これらの作用効果によって、得られる本発明の着生用器具は、全体に優れた強度を有するとともに、表面に適度な粗さを有するものとなる。このため破損を生じにくく、しかも、適度な表面粗さを有するため基盤への接着性が高く、基盤から脱落しにくい。また、特に図1に示される着生用器具Aの場合には、固定用脚部やその付け根部分の破損を生じにくく、また、固定用脚部が基盤側の取付孔から脱落しにくい。したがって、器具自体やその本体部分が基盤から脱落することを適切に防止できる。また、原材料が安価であり、且つ低火度で焼成できるため燃料コストも低減でき、低コストで製造できる。さらに、適度な表面粗さを有すること、原料であるスラグ成分などからミネラル分が微量に溶出することなどにより、生物の付着性や成育性にも優れている。
【0026】
上記原料混合物を構成する各材料は、優れた強度を有する緻密な焼成組織を得るために粉粒状であることが必要である。また、それらの粒度は、特に成型性の観点から120メッシュ以下であることが好ましい。したがって、上述した各材料は必要に応じて粉砕処理され、必要な粒度に調整される。
また、原料混合物の配合割合としては、上述したような各材料の機能を適切に発揮させるために、通常、製鋼スラグ100質量部に対して、金属Al含有材料を金属Al換算で5〜20質量部程度配合することが好ましい。また、他の材料については、必要に応じて、製鋼スラグ100質量部に対して金属鉄及び/又は酸化鉄含有粉を金属Fe換算で5〜20質量部、粘土又は粘土以外のSiO源を10〜60質量部程度の割合で配合することが好ましい。
【0027】
次に、以上述べたような本発明の水中生物着生用器具の製造方法について説明する。
この製造方法では、上述したような原料、すなわち、製鋼スラグと金属Al含有材料を主体とし、必要に応じて、金属鉄及び/又は酸化鉄含有粉(但し、粉が金属鉄及び/又は酸化鉄のみからなる場合を含む)、粘土、粘土以外のSiO源などを含む原料に液状油を添加して混練した後、成形し、この成形体を焼成する。
原料を構成する各材料については、さきに述べたとおりである。
【0028】
原料に水ではなく液状油を添加するのは、水を添加すると金属Al含有材料の金属Alが水酸化し、発熱するからである。また、液状油を用いることにより、成形体を脱型する際の脱型性も向上する。使用できる液状油に特に制限はなく、植物油、鉱物油などを使用できるが、例えば、使用済みの食用油(天ぷら油)、エンジンオイルなどの廃油を使用すれば製造コストの面で有利である。
液状油の添加量は、成形体の保形性などの面から、原料100質量部に対して8〜15質量部程度が適当である。
【0029】
液状油を添加した原料は、モルタルミキサーなどの混練手段で混練され、次いで、器具の形に成形される。通常、この成形は金型を用いたプレス成型で行われるが、原料に液状油が含まれているため、金型からの脱型が容易である。
次いで、成形体は600〜1200℃、好ましくは800〜1000℃程度の酸化性雰囲気中で焼成される。したがって、通常の陶器の焼成窯(設備)でも焼成可能である。この焼成では、原料に含まれる金属Alと酸化鉄とのテルミット反応により部分的に2700℃以上の高温焼成が実現し、成形体は焼成・固化する。その際、さきに述べたような(イ)〜(ニ)の作用効果によって、優れた強度を有し且つ表面に適度な粗さを有する焼成体が得られる。
【0030】
本発明の水中生物着生用器具を、サンゴや海藻類などを着生させるための器具として水中の基盤に設置する形態に特別な制限はない。例えば、図1に示すような形態の器具では、図4(b)に示すように、水中の基盤Bに形成された取付孔pに、器具の固定用脚部yを差し込んで接着剤で接着する。また、図5〜図9に示す形態の器具では、水中の基盤Bの表面に接着剤などで直に接着するか、若しくはボルトなどのような機械的固定手段で固定すればよい。いずれも、例えば、サンゴ礁リーフなどの基盤に設置することで、サンゴの着生用器具として使用できる。図10は、そのような方法による図5の着生用器具aの設置例を、図11は、同じく図6の着生用器具aの設置例を、それぞれ示している。図11は、サンゴ礁リーフRを複数のドーム型着生用器具aで被覆した例を示している。これらの場合には、サンゴ礁の補強効果が期待できる場合があり、また、図5〜図7に示すような形状の着生用器具の場合には、図1に示す着生用器具Aの植え付け用基盤として使用することもできる。また、図12は、図5に示す板状の器具aを連結具eで複数枚連結して使用したものであり、この状態で基盤Bに設置してもよいし、或いはこの状態でサンゴの幼生を着生させた後、連結具eを外して各板状の器具aを分離し、それらを例えば図10に示すような形態で基盤Bに設置してもよい。
【0031】
次に、本発明の水中生物着生用器具を水中の基盤に設置するための好ましい方法について説明する。
この設置方法では、粉粒状の未炭酸化Ca含有原料を炭酸化反応で固結させて得られた炭酸固化体ブロックを、水中に設置すべき器具取付用の基盤として用い、この炭酸固化体ブロックに本発明の着生用器具を接着することにより、着生用器具を水中の基盤に設置する。また、図1に示すような形態の器具(以下、説明の便宜上「着生用器具A」という)の場合には、炭酸固化体ブロックに形成された取付孔に、着生用器具Aの固定用脚部を差し込んで接着することにより、着生用器具Aを水中の基盤に設置する。
【0032】
以下、着生用器具Aの場合を例に、この設置方法について説明する。
炭酸固化体ブロックに対する着生用器具Aの取り付けは、炭酸固化体ブロックの水中への沈設前に行ってもよいし、水中に沈設した後に行ってもよい。
炭酸固化体ブロックは、水分を添加した粉粒状の未炭酸化Ca含有原料(例えば、鉄鋼スラグ)を型枠に充填し、この原料充填層に炭酸ガスを吹き込むことによって原料に含まれる未炭酸化Ca(CaO)に炭酸化反応を生じさせ、この炭酸化反応で生成した炭酸カルシウムを主たるバインダーとして原料充填層を固結させて得られる。このような炭酸固化体ブロックは、鉄鋼スラグやその他のCaO含有廃材を原料として利用できるため、資源のリサイクル化という観点から非常に有用なものであるだけでなく、水中で用いた場合にはコンクリート製品のように水のpHを上昇させるおそれがなく、環境にやさしい資材であると言える。
【0033】
このような炭酸固化体ブロックは、着生用器具Aを設置するための水中の基盤として非常に好適なものであることが判った。すなわち、炭酸固化体ブロックは多孔質体であるため、これに形成する取付孔の内面も適度な表面粗さを有しており、このような適度な表面粗さを有する取付孔に、同じく適度な表面粗さを有する着生用器具Aの固定用脚部を差し込んで接着することにより、両者間で高い接着強度が得られ、このため器具自体が基盤から脱落することをより適切に防止することができる。しかも、基盤となる炭酸固化体ブロックは、コンクリート製品のように水のpHを上昇させず、また、原料であるスラグ成分などからミネラル分を微量に溶出するため、生物の着生や成育にとって特に良好な環境が提供される。
【0034】
以上のような着生用器具Aの設置方法は、サンゴを増殖させる方法に適している。図2は、図1に示すような形状の着生用器具Aを用いてサンゴ増殖を行う場合の設置例を示しており、着生用器具Aを、その固定用脚部yを基盤Bm(炭酸固化体ブロック)の表面に形成された取付孔pに差し込んで接着剤で固着し、その板状部xと基盤Bmの表面との間にサンゴが着生・生育可能な隙間Cが形成されるような状態で、基盤Bmに固定する。
また、このような着生用器具Aの設置方法を利用して、特に効率的にサンゴを増殖させるには、以下のような工程(i)〜(iii)を経て器具を設置するのが好ましい。
【0035】
(i)着生工程: 着生用器具Aをサンゴの幼生着生適地に置くことにより、その板状部xの少なくとも下面にサンゴの幼生を着生させる。好ましくは、図3(a)に示すように、複数の着生用器具Aを、各々の板状部x上面側の孔zに他の着生用器具Aの固定用脚部y(挿入部y)を差し込み、上下の着生用器具Aの板状部x間にサンゴの幼生が着生・生育可能な隙間D(スペーサ部yによる隙間)が形成されるように多段に積み上げた状態で、サンゴの幼生着生適地に置く。海中の基盤に着生するサンゴの幼生は、特に基盤下面の縁部近傍に着生しやすく、このように基盤下面に着生したサンゴは、基盤側面に向けて次第に成長していく。したがって、図3(a)のように多段に積み上げられた状態でサンゴの幼生着生適地に置かれた着生用器具群に対して、各着生用器具Aの板状部xの下面にサンゴの幼生sが着生する。そして、このように板状部xの下面に着生したサンゴの幼生sは、上下の板状部x間の隙間D(空間)内で生育するため、捕食者から適切に保護される。
【0036】
(ii)回収工程: 前記着生工程においてサンゴの幼生が着生した着生用器具Aを幼生着生適地から回収する。
(iii)移植工程: 回収した着生用器具Aを、必要に応じてサンゴ生育適地にてサンゴの幼生を生育させる過程を経た後、サンゴ移植地の基盤(炭酸固化体ブロック)に移植する。この移植では、図3(b)に示すように各着生用器具Aの固定用脚部y(挿入部y)を基盤Bmの表面に形成された取付孔pに差し込んで接着剤で固着し、その板状部xと基盤Bmとの間にサンゴが生育可能な隙間Cが形成されるようにして、着生用器具Aを基盤Bmに固定する。これにより、サンゴsは捕食者から保護されつつ次第に成長し、板状部xの側面・上面や基盤Bmに順次増殖していく。
なお、場所の制約やコストなどの理由で、上述した(i)〜(iii)の工程の実施が難しい場合には、炭酸固化体ブロックに着生用器具Aを取り付けたものを、幼生着生適地または増殖予定地に直接設置(沈設)し、サンゴの幼生を着生させるようにしてもよい。この場合も、炭酸固化体ブロックに対する着生用器具Aの取り付けは、炭酸固化体ブロックの水中への沈設前に行ってもよいし、水中に沈設した後に行ってもよい。
【0037】
次に、本発明の設置方法をサンゴの増殖に適用する場合において、炭酸固化体ブロックの形状、着生用器具(着生用器具A又は他の着生用器具)の取付形態、基盤となる炭酸固化体ブロックの配置形態などに関する好ましい条件について説明する。
着生用器具の取り付け(植え付け)の容易性、着生用器具Aの取り替え時の孔開け作業の容易性、炭酸固化体ブロックの水中での安定性などの観点から、基盤として使用する炭酸固化体ブロックの形状は直方体(例えば、1000mm×1000mm×500mmのフラットな形状)が好ましい。
着生用器具を炭酸固化体ブロックに取り付ける場合、所望のサンゴ群体密度(例えば、10群体/m)を得ること、メンテナンス時の表面清掃の容易性などの点からして、着生用器具の取付間隔は200mm〜250mm程度とすることが好ましい。また、特に着生用器具を炭酸固化体ブロックの側面に取り付ける場合には、側面下部側は漂砂や堆積泥の影響によりサンゴが生育しにくいため、基盤側面下部が漂砂や堆積泥の影響で埋まる可能性がある場合には、着生用器具は基盤の側面上部に取り付けることが好ましい。
【0038】
着生用器具Aを炭酸固化体ブロックに取り付ける場合、炭酸固化体ブロックに着生用器具Aの固定用脚部に対応した取付孔をドリルで開け、この取付孔に水中接着剤を充填し、着生用器具Aの固定用脚部を挿入して取り付ける。
海底での炭酸固化体ブロックの配置は、着生用器具を設置する際の作業性、作業者自身による設置済み着生用器具Aの毀損の防止などの観点から、配置間隔を2.5m以上とすることが好ましい。
着生用器具を炭酸固化体ブロックに取り付ける作業は、着生用器具に着生したサンゴの幼生を保護するため海中で行われる。炭酸固化体ブロックの取付孔の形成は、未設置の炭酸固化体ブロックの場合には、陸上で行うことができるが、既設置の炭酸固化体ブロックの場合には、水中で行われる。
【0039】
以下、基盤として用いる炭酸固化体ブロックの基本的な製造条件について説明する。
炭酸固化体ブロックは、粉粒状の未炭酸化Ca含有原料を水の存在下で炭酸ガスと接触させ、水を介した未炭酸化Caと炭酸ガスとの反応(炭酸化反応)により炭酸カルシウムを生成させ、この炭酸カルシウムをバインダーとして原料を固化(固結)させることにより製造される。
未炭酸化Ca含有原料中に含まれる未炭酸化Ca、すなわちCaO及び/又はCa(OH)は、少なくとも固体粒子の組成の一部として含まれるものであればよく、したがって、鉱物としてのCaO、Ca(OH)の他に、2CaO・SiO、3CaO・SiO、ガラスなどのように組成の一部として固体粒子中に存在するものも含まれる。
【0040】
使用する粉粒状の未炭酸化Ca含有原料の種類に特別な制限はないが、例えば、鉄鋼製造プロセスで発生したスラグ(例えば、脱炭スラグ、脱燐スラグ、脱硫スラグ、脱珪スラグなどの製鋼スラグ)、コンクリート(例えば、コンクリート廃材など)、モルタル、ガラス、アルミナセメント、CaO含有耐火物などが挙げられ、これらの1種以上を単独でまたは混合して使用することができる。これらの材料は必要に応じて粉粒状に破砕処理され、原料として用いられる。
【0041】
未炭酸化Ca含有原料は、その全量が未炭酸化Caを含む固体粒子である必要はない。すなわち、未炭酸化Ca含有原料に含まれる未炭酸化Caの炭酸化によって炭酸固化体のバインダーとして十分な量のCaCOが生成されるのであれば、未炭酸化Ca含有原料に未炭酸化Caを含まない固体粒子が含まれていてもよい。このような固体粒子としては、例えば、天然石、砂、可溶性シリカ、金属(例えば、金属鉄、酸化鉄)などが挙げられる。
また、これらのうち金属鉄、酸化鉄、可溶性シリカなどは、海中の硫黄や燐の固定剤、水生植物などの栄養源などとして有効に作用する。また、これら以外にも任意の成分(粒子)を適量、すなわち炭酸固化体の強度低下などを招かない限度で含むことができる。
【0042】
また、粉粒状の未炭酸化Ca含有原料の粒度にも特別な制限はないが、COとの接触面積を確保して反応性を高めるためには、ある程度粒度が細かい方が好ましい。また、未炭酸化Ca含有原料の粒度が大き過ぎると、原料粒子内部に炭酸化しきれないCaが残存するため、製造された炭酸固化体中の原料粒子が膨張崩壊し、亀裂などの原因となる場合もある。
炭酸固化体ブロックは、一般に型枠を用いて製造される。すなわち、型枠に水を適当に含有させた未炭酸化Ca含有原料を充填して原料充填層を形成し、この原料充填層内に炭酸ガス又は炭酸ガス含有ガスを吹き込むことにより原料充填層全体を固結させる。
【0043】
炭酸化反応を生じさせるために使用される炭酸ガス又は炭酸ガス含有ガスとしては、例えば、一貫製鉄所内で排出される石灰焼成工場排ガス(通常、CO:25容量%前後)や加熱炉排ガス(通常、CO:6.5容量%前後)などが好適であるが、これらに限定されるものではない。また、ガス中のCO濃度が低すぎると処理効率が低下するという問題を生じるが、それ以外の問題は格別ない。したがって、CO濃度は特に限定しないが、効率的な処理を行うには3容量%以上のCO濃度とすることが好ましい。
また、炭酸ガスの供給量にも特別な制限はないが、一般的な目安としては0.004〜0.5m/min・t(原料ton)程度のガス供給量が確保できればよい。また、ガス供給時間(炭酸化処理時間)にも特別な制約はないが、目安としては炭酸ガスの供給量が未炭酸化Ca含有原料の質量の3質量%以上となる時点、すなわち、ガス量に換算すると原料1t当たり15m以上、好ましくは200m以上の炭酸ガスが供給されるまでガス供給を行うことが好ましい。
【実施例】
【0044】
原料はいずれも125メッシュ以下の粒度のものを用いた。製鋼スラグ(脱燐スラグ)100質量部に対して、アルミドロス(金属Al含有量:40質量%)40質量部、酸化鉄粉10質量部、粘土50質量部を配合して原料混合物とした。この原料混合物100質量部に液状油8〜15質量部を添加してモルタルミキサーで混練した後、プレス成型し、図1に示すような形状の成形体を得た。この成形体を酸化性雰囲気中において900℃で8時間焼成することにより、高強度で且つ適度な表面粗さを有する着生用器具を製造することができた。
この着生用器具を成分分析した結果では、T・Fe:5.5質量%、FeO:0.4質量%、MnO:0.1質量%、CaO:1.2質量%、SiO:26.5質量%、MgO:0.5質量%、Al:54.5質量%、P:0.3質量%であった。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】従来技術及び本発明の水中生物着生用器具の形状の一例を示す説明図
【図2】本発明の水中生物着生用器具を炭酸固化体ブロックからなる基盤に設置する場合の一実施形態を示す説明図
【図3】本発明の水中生物着生用器具をサンゴの増殖に利用した場合の一実施形態を示す説明図
【図4】従来技術の水中生物着生用器具の使用形態の一例を示す説明図
【図5】本発明の水中生物着生用器具の形状の他の例を示す説明図
【図6】本発明の水中生物着生用器具の形状の他の例を示す説明図
【図7】本発明の水中生物着生用器具の形状の他の例を示す説明図
【図8】本発明の水中生物着生用器具の形状の他の例を示す説明図
【図9】本発明の水中生物着生用器具の形状の他の例を示す説明図
【図10】図5に示す水中生物着生用器具の設置例を示す説明図
【図11】図6に示す水中生物着生用器具の設置例を示すものであって、図6(イ)は斜視図、図6(ロ)は図6(イ)のI−I方向からの矢視図
【図12】図5に示す水中生物着生用器具の使用例を示す説明図
【符号の説明】
【0046】
a,A 着生用器具
B,Bm 基盤
x 板状部
y 固定用脚部
スペーサ部
挿入部
z 孔
e 連結具
R サンゴ礁リーフ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
製鋼スラグと金属Al含有材料を主体とする原料混合物の焼成体からなることを特徴とする水中生物着生用器具。
【請求項2】
原料混合物は、さらに、金属鉄及び/又は酸化鉄含有粉(但し、粉が金属鉄及び/又は酸化鉄のみからなる場合を含む)を含むことを特徴とする請求項1に記載の水中生物着生用器具。
【請求項3】
原料混合物は、さらに、粘土を含むことを特徴とする請求項1又は2に記載の水中生物着生用器具。
【請求項4】
原料混合物は、さらに、粘土以外のSiO源を含むことを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の水中生物着生用器具。
【請求項5】
金属Al含有材料がアルミドロス及び/又はアルミ研磨ダストであることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の水中生物着生用器具。
【請求項6】
板状部と該板状部の下面側に突設された1又は2以上の固定用脚部を有することを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の水中生物着生用器具。
【請求項7】
製鋼スラグと金属Al含有材料を主体とする原料に液状油を添加して混練した後、成形し、該成形体を焼成することを特徴とする水中生物着生用器具の製造方法。
【請求項8】
原料は、さらに、金属鉄及び/又は酸化鉄含有粉(但し、粉が金属鉄及び/又は酸化鉄のみからなる場合を含む)を含むことを特徴とする請求項7に記載の水中生物着生用器具の製造方法。
【請求項9】
原料は、さらに、粘土を含むことを特徴とする請求項7又は8に記載の水中生物着生用器具の製造方法。
【請求項10】
原料は、さらに、粘土以外のSiO源を含むことを特徴とする請求項7〜9のいずれか一項に記載の水中生物着生用器具の製造方法。
【請求項11】
金属Al含有材料がアルミドロス及び/又はアルミ研磨ダストであることを特徴とする請求項7〜10のいずれか一項に記載の水中生物着生用器具の製造方法。
【請求項12】
成形体を600〜1200℃の雰囲気温度で焼成することを特徴とする請求項7〜11のいずれか一項に記載の水中生物着生用器具の製造方法。
【請求項13】
製造される水中生物着生用器具が、板状部と該板状部の下面側に突設された1又は2以上の固定用脚部を有することを特徴とする請求項7〜12のいずれか一項に記載の水中生物着生用器具の製造方法。
【請求項14】
請求項1〜5のいずれか一項に記載の水中生物着生用器具を水中の基盤に設置するための方法であって、
基盤に前記水中生物着生用器具を接着または固定することにより、水中生物着生用器具を水中の基盤に設置することを特徴とする水中生物着生用器具の設置方法。
【請求項15】
請求項1〜5のいずれか一項に記載の水中生物着生用器具を水中の基盤に設置するための方法であって、
粉粒状の未炭酸化Ca含有原料を炭酸化反応で固結させて得られた炭酸固化体ブロックを、水中に設置すべき器具取付用の基盤として用い、該炭酸固化体ブロックに前記水中生物着生用器具を接着または固定することにより、水中生物着生用器具を水中の基盤に設置することを特徴とする水中生物着生用器具の設置方法。
【請求項16】
請求項6に記載の水中生物着生用器具を水中の基盤に設置するための方法であって、
基盤に形成された取付孔に、前記水中生物着生用器具の固定用脚部を差し込んで接着することにより、水中生物着生用器具を水中の基盤に設置することを特徴とする水中生物着生用器具の設置方法。
【請求項17】
請求項6に記載の水中生物着生用器具を水中の基盤に設置するための方法であって、
粉粒状の未炭酸化Ca含有原料を炭酸化反応で固結させて得られた炭酸固化体ブロックを、水中に設置すべき器具取付用の基盤として用い、該炭酸固化体ブロックに形成された取付孔に、前記水中生物着生用器具の固定用脚部を差し込んで接着することにより、水中生物着生用器具を水中の基盤に設置することを特徴とする水中生物着生用器具の設置方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2008−271960(P2008−271960A)
【公開日】平成20年11月13日(2008.11.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−88894(P2008−88894)
【出願日】平成20年3月29日(2008.3.29)
【出願人】(000001258)JFEスチール株式会社 (8,589)
【出願人】(593065556)芙蓉海洋開発株式会社 (7)
【Fターム(参考)】