説明

水中用シューズ

【課題】足への付着性が高く靴脱げを防止できる一方で着脱も容易であり、かつ床面グリップ性にも優れる水中用シューズを提供する。
【解決手段】つま先を覆う先端から足首を囲む位置まで延在する靴本体材と、靴底材とを備え、前記靴本体材の足裏部の外面に一体的に固着する前記靴底材は、弾性を有すると共に少なくとも裏面側の接地面は粗面状とした弾性材から形成している一方、前記靴本体材は柔軟性を有するゴム材から形成し、足指を包む先端側は親指挿入部と残り4指挿入部とに分けた足袋形状とし、かつ、前記靴底材の外縁を立ち上げて靴本体材の下端縁を被覆し、さらに前記靴本体材の足首を囲む筒部の足表側中央部に履き口用の開閉部を設けると共に、該開閉部の閉鎖手段を設けている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水中用シューズに関し、特に、プール内でのアクアビクスや水中ウオーク時に着用するものである。
【背景技術】
【0002】
プールにおいてはアクアビクスや水中ウォーキングなどの水中エクササイズを行う場合、裸足で行われている。プールの底面は平滑面の場合が多く、滑りやすいためしっかりと歩きにくい。特に、水中エクササイズでは、水の抵抗を受けながら、床面をしっかりグリップして蹴ることによって筋力アップ等の効果が期するものであるため、滑りやすい状態では水中エクササイズの効果を十分に発揮できない。
一方、プールサイドや一部のプール底面には、滑り防止のために表面が粗くザラザラに仕上げられている場合があり、この場合には裸足であると、足裏が傷つきやすく、雑菌感染の恐れもあり、衛生面にも問題がある。
【0003】
そのため、近時、種々のプール用のシューズが提案され、足の保護および滑り防止については改善されつつある。
【0004】
例えば、特開2000−287704号(特許文献1)で提供されている水中運動用シューズは、図8に示すように、つま先部1aと履き口部1bを補強材で形成し、つま先部1aと履き口部1bとを同じく補強材からなる連結部1cで連結し、足甲被部1dをメッシュなどの通水性および伸縮性を備える素材で形成し、靴底1eの土踏まず部には水抜き穴1fを設けたシューズ1とされている。このシューズ1は、靴底1eからのみでなく足甲被部1dからも排水できるため、水中で足甲被部1dが不必要に伸びることを防ぎ、靴脱げやズレを防止できるとされている。
【0005】
また、特開2002−204701号(特許文献2)のプールサイド用の履物では、図9に示すように、足首に密着する筒状部2aと、該筒状部2aと一体に連なりつま先まで略密着する足袋状部2bとを、ラテックスを加硫したゴム材で形成したシューズ2が提案されている。該シューズ2は、前記筒状部2aにより、シューズ2内に水が浸入することを極力防止できるうえ、足首まで覆うことにより足への付着性がよく、水中でも靴脱げを防止できるとされている。
【0006】
しかしながら、図8に示す特許文献1のシューズは、足首まで覆われていないズック靴タイプであるため、運動中の靴脱げや靴のズレを確実には防止できない点に問題がある。
一方、図9に示す特許文献2のシューズ2は、足首まで覆っているが、水中ではシューズ2内への水の浸入を完全には防止できず、排水構造もないため、水中で着用した場合における足へのフィット性に問題がある。特に、前記筒状部2にはスリット等の開閉部がなく、肉薄化等により着脱できる程度に伸びる構造であるため、足首に密着するように形成されているとしても、水中運動のように激しく動くと、筒状部2が伸びて脱げやすくなると考えられる。また、この筒状部2の構造は、特に足が濡れた状態では、着脱も必ずしも容易でないと認められる。
【0007】
【特許文献1】特開2000−287704号公報
【特許文献2】特開2002−204701号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は前記問題に鑑みてなされたもので、プール中での使用時に足への密着性と床面グリップ性がよく、靴が脱げたりズレることを防止できると共に、着脱性も良い水中用シューズの提供を課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記課題を解決するために、本発明は、つま先を覆う先端から足首を囲む位置まで延在する靴本体材と、靴底材とを備え、
前記靴本体材の足裏部の外面に一体的に固着する前記靴底材は、弾性を有すると共に少なくとも裏面側の接地面は粗面状とした弾性材から形成している一方、前記靴本体材は柔軟性を有するゴム材から形成し、
足指を包む先端側は親指挿入部と残り4指挿入部とに分けた足袋形状とし、かつ、前記靴底材の外縁を立ち上げて靴本体材の下端縁を被覆し、さらに前記靴本体材の足首を囲む筒部の足表側中央部に履き口用の開閉部を設けると共に、該開閉部の閉鎖手段を設けていることを特徴とする水中用シューズを提供している。
【0010】
前記靴本体材は、足甲表、足裏、踵、つま先、および足首を覆うものであり、該靴本体材の足裏部(即ち、靴本体材の靴底部)の外面に前記靴底材を一体的に付着している。
なお、靴底材の接地面と反対側の足裏側を靴本体材と同様の柔軟性を付与できる素材から形成すると、靴本体材は足裏部を有しない構成とし、靴本体材の足甲部に前記靴底材を直接に取り付けてもよい。
【0011】
前記したように、本発明の水中用シューズは、前記靴本体材に足首を囲む円筒部を備え、足首まで覆うと共に、つま先側は足袋形状としているため、水中で使用した場合でも、足への密着性に優れ、靴脱げや靴のズレも防止できる。また、足袋形状のつま先により床面へのグリップ性が向上すると共に、親指が動きやすくなるため、水中エクササイズを行うときに、親指で力強く床面を蹴ることができ、運動効果を高めることができる。さらに、足首まで覆うため、足首へのサポート力に優れ、足首をひねったり、筋肉を傷めることを軽減できる。
また、足首を囲む筒部に開閉部を設けているため、靴の着脱が容易であるうえ、着用時には、前記閉鎖手段により該筒部を足首に固定でき、安定感を高めることができる。
【0012】
さらに、少なくとも靴底は、前記靴底材と靴本体材との二重構成よりなるため、水中でふやける足への肌あたりを良好に保ちながら、プール底面やプールサイドの床面に接触する靴底材は粗面状の弾性材からなるためプール内やプールサイドでの滑りを防止できる。また、靴底材を、つま先、サイド、踵の下端周縁まで立ち上げているため、プールの側面や障害物との接触や衝突時に足を保護することができる。
【0013】
前記靴底材は、ウレタン、加硫ゴム、シリコーンゴムから選択され、前記靴本体材は、ネオプレーンゴムまたは弾性繊維材からなることが好ましい。
【0014】
詳しくは、前記靴底材については、表面が粗面となると共に弾性を有する発泡材から形成していることが好ましい。この靴底材の溶液中に前記靴本体材の靴底側をディッピングしたり、接着剤で貼り付けたり、靴底材と靴本体材とを溶着することにより、靴本体材に靴底材を簡単に固着することができる
また、靴本体材については、柔軟性およびフィット性の面でネオプレーンゴムが好適であるが、スパンデック入りのポリエステルやアクリル生地でもよい。逆に、ナイロンのように含水する素材は適さない。
【0015】
また、前記靴底材および靴本体材は撥水材から形成し、あるいは撥水性塗料を塗布していることが好ましい。
前記のように、撥水材で形成すると共に、足首回りの靴本体材の筒部を足首に密着させることで、シューズ内への水の浸入を防止でき、シューズ自体が重くなったり、膨らんで脱げやすくなることを防止できる。なお、靴本体材は、撥水処理を施した繊維素材で形成してもよい。
【0016】
さらに、前記靴本体材の足甲被部の表面側に、前記靴底材の左右両縁より架け渡したサポート材を設けていることが好ましい。このサポート材は、前記靴底材と同一素材、または前記靴底材よりも柔軟性および伸縮性を有する素材で形成していることが好ましい。
このサポート材により、足甲部の靴本体材を足に密着させることができ、靴脱げや靴のズレをより確実に防止することができる。
なお、該サポート材は、その大部分を靴本体材に接着や縫着せず、浮かしておいてもよい。
【0017】
さらに、サポート材として、前記靴本体材の足甲被部の表面側に掛け渡した足甲サポート部から連続して足首部の背面側へと連続させた足首サポート部を設けても良い。さらに、足首背面側の中央から垂下して前記靴底材に連結した足首裏サポート部を設け、該足首裏サポート部は前記靴本体材の足首背面側に固着してもよい。前記足首サポート部と、足首裏サポート部はいずれか一方を設けてもよいし、足首サポート部の足首背面がわから足首裏サポート部を連続して設けてもよい。
【0018】
前記の足首サポート部、足首裏サポート部を設けると、特に、ウォーキング時に伸びやすい靴本体材のヒール部の伸びを前記足首裏サポート部で抑制できる。また、前記足首サポート部によって、靴脱げや足首のひねり等を軽減・防止できる。
【0019】
本発明の水中シューズをプール専用シューズとする場合は、前記一体化した靴本体材および靴底材の土踏まず部分に排水用開口を設けてもよい。
前記のように排水用開口を設けると、シューズ内に浸入が生じても、排水することができ、水の重みで靴本体材が伸びたり、シューズが脱げることを防止できる。
ただし、海浜用のシューズには、砂利等の入り込みを防止するために、靴底材には排水用開口を設けないことが好ましい。
【0020】
さらに、前記靴本体材の足甲被部あるいは/およびヒール部の側面に排水用開口を設けてもよい。これにより、シューズ内に水が浸入した場合に最も膨らみやすい足甲被部およびヒール部から効果的に排水できるため、シューズの変形を防止し、足への付着性を一層高めることができる。
【0021】
前記のように、排水用開口を設ける場合には、この排水用開口からシューズ内部への浸水が生じ、浸水した水によって足甲部が最も伸びやすくなるが、前記足甲サポート材により足甲被部の伸びや膨らみを抑制でき、足への密着性を高めることができる、
【0022】
前記履き口用の開閉部の閉鎖手段として、閉鎖部の両側縁に取り付けたチャックあるいは面ファスナーを設け、あるいは、
足首背面側にバンドの中央部を縫着し、該バンドの両側に面ファスナー等の係止材を取り付け、該バンドを足首表側に回して前記係止材同士を係止する構成としている。
なお、着脱を一層容易化するために、前記開閉部は、履き口の上端から足首の屈曲位置にかけて設けることが好ましい。
【発明の効果】
【0023】
上述したように、本発明によれば、足首が靴本体材で覆われると共に、足先を足袋形状としているため、水中で使用した場合でも、従来のズック靴タイプのものと異なり、足への密着性がよく、靴脱げや靴のズレを防止できる。また、前記足袋形状により床面グリップ性が向上すると共に、親指が動きやすくなるため、水中エクササイズを行うときに、親指で力強く床面を蹴ることができ、運動効果を高めることができる。
【0024】
また、足首を囲む筒部に開閉部を設けているため、靴の着脱が容易であるうえ、着用時には、該開閉部を閉鎖手段により閉鎖して筒部を足首に密着できるため、水中での横方向運動に対しても優れた安定感で足にフィットする。
【0025】
さらに、サポート材を足甲被部、さらには、足首部、足首裏部にも設けることにより、シューズ内に浸入した水による靴本体材の伸びや膨らみなどを効果的に抑制できる。
【0026】
さらにまた、靴底材の土踏まず部分や、靴本体材の足甲被部あるいは/およびヒール部の側面に排水用開口を設けることにより、シューズ内に浸入した水を効率よく排水でき、靴脱げや靴のズレを効果的に防止できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
以下、本発明の実施形態を図面を参照して説明する。
図1乃至図3に本発明の第一実施形態に係るプール専用の水中用シューズ10を示す。
前記水中用シューズ10は、図1に示すように、つま先から足首回りを覆う略足袋形状の靴本体材11と、該靴本体材11の足裏部の外面に縫着する靴底材12と、靴本体材11の足甲部の表面に接着する足甲サポート材13を備えている。
【0028】
靴本体材11は、ネオプレーンゴムからなり、図2に示すように、足甲表を覆う足甲被部15と、足裏を覆う足裏部16と、踵を覆うヒール部17と、つま先を覆うつま先部18と、足首周りを覆う足首筒部19を備えている。
【0029】
前記足甲被部15には、つま先寄りの位置に、左右一対の排水用開口20を設けている。また、前記ヒール部17の左右側面、即ち、左右の踝付近にも、左右一対の排水用開口21を設けている。
前記つま先部18は、親指挿入部18aと残りの4指挿入部18bとに分かれた足袋形状としている。
【0030】
前記足首筒部19の足表側中央部には、図1に示すように、足首の屈曲位置Pに相当する位置から足首筒部19の上端縁19aにかけて履き口用のスリット22を縦方向に設け、該スリット22の両側縁に取り付けたチャック23によって、該スリット22を開閉できる構成としている。
前記チャック23は、スリット22の一側縁に沿って取り付けた歯23aと、他側縁に沿って取り付けた歯23bと、これら歯23a、23bを噛合、分離させるためのスライダー23cとからなる。シューズ10の使用時には、前記両歯23a、23bを噛合させてスリット22を閉鎖し、着脱時には、前記両歯23a、23bを分離させてスリット22を開き、履き口24を大きく開口させる構成としている。
【0031】
前記靴底材12はウレタンで成形しており、図1および図3に示すように、靴本体材11の足裏部16の外面全体に被覆する接地部25と、該接地部25の外縁に沿って立ち上げて、靴本体材11のつま先部18、足甲被部15、およびヒール部17の下端縁を被覆する立ち上がり部26とからなる。
【0032】
具体的には、金型にはめた前記靴本体材11を、ウレタン樹脂の溶液中にディッピング(含浸加工)し、該靴底材12を靴本体材11の足裏部16と下端縁に沿って付着し、靴底材12を靴本体材11に固着している。
なお、靴本体材11の足裏部16に靴底材12を接着剤を介して接着しても良いし、互いに溶着してもよい。
この靴底材12の接地面となる表面はクロス状の微小な凹凸を設けて粗面化している。
【0033】
足指を囲む先端部10Aでは、図1に示すように、靴本体材11のつま先部18の形状に対応させて、靴底材12も、親指挿入部26aと残り4指挿入部26bとを分離した足袋形状としている。
【0034】
前記足甲サポート材13は、靴本体材11の足甲被部15の表面に足幅方向に架け渡し、中足骨から足根骨群にかけての甲高部を覆う位置に設けている。詳細には、図1に示すように、靴底材12の左右両側の立ち上がり部26から足甲中心に向けてハの字状に連続させ、足甲中心で両側部を連続させ、該足甲中心の連続部は前記チャック23で開閉するスリット22の終端に位置させている。
【0035】
該足甲サポート材13は靴底材12と同一のウレタンで形成して、靴本体材11に接着固定している。
なお、足甲サポート材12は、靴底材12よりも柔軟性と伸縮性が高く、かつ、前記靴本体材11よりも緊締力が大きくなる素材で形成しても良い。
【0036】
本発明の水中用シューズ10は、前記したように、つま先側の先端部10Aを足袋形状としているうえ、肌に接触する靴本体材11を柔軟性とフィット性に富んだネオプレーンゴムで形成し、かつ、足首まで覆う形状としているため、着用時の付着性および安定感に優れ、水中エクササイズのような横方向の動きに対しても、靴脱げや靴のズレを確実に防止できる。
【0037】
また、靴本体材11、靴底材12およびサポート材13の全てを含水性の低い素材で形成しているため、水中で水を含まず、シューズ自体が重くなることを防ぐことができる。かつ、靴本体材11の足甲被部15およびヒール部17に、それぞれ排水用開口を設けているため、排水効率が高く、水の浸入によるシューズ10の変形を防止できる。この点からも靴脱げや靴のズレを効果的に防止できる。
【0038】
さらに、先端部10Aの足袋形状により、親指を動かしやすくなり、床面グリップ性が高まるため、水中エクササイズの効果を高めることができる。
また、足首筒部19に設けたスリット22により、着脱が容易となると共に、着用時にはスリット22をチャック23で閉鎖することができるため、足首回りにフィットし、優れた安定感を併せ持つことができる。
【0039】
さらにまた、靴本体材11の表面に前記サポート材13を配設しているため、シューズ10内に水が浸入した場合でも、靴本体材11の足甲被部15が必要以上に伸びたり膨らむことを抑制でき、高いフィット性を維持することができる。
【0040】
また、靴底材12を弾性材で形成しているため、運動時の衝撃を緩和できると共に、粗面状に形成しているため、摩擦が大きく、プールやプールサイドの床面での滑りを軽減できる。また、該靴本体材11のつま先や踵などを靴底材12の立ち上がり部26で被覆しているため、障害物と接触、衝突しやすい部分が補強され、足の怪我を防止することができる。
【0041】
図4乃至図6に第二実施形態を示す。
第二実施形態では、サポート材として、前記足甲サポート部13と共に、該足甲サポート部13から連続して前記足首筒部19の背面側に架け渡した足首サポート部32と、該足首サポート部32の足首背面側の中央から靴底材12の上端縁まで垂下した足首裏サポート部33を設けている。
前記足首サポート部32および足首裏サポート部33は足甲サポート部13と同様にウレタンから形成し、靴本体材11の表面に接着固定している。
前記した足首サポート部32、足首裏サポート部33を設けると、足首回りのサポート力を高くでき、足へのフィット性を高めて、運動中の足の捻りや筋肉の傷みを軽減できる。
【0042】
なお、足甲サポート部13の左右両端部を靴底材12の左右中央部に縫着すると共に、足首サポート部32は足首裏の部分を縫着し、その他の部分は縫着せず、靴本体材11から浮かせた状態としてもよい。
【0043】
また、第二実施形態では、図6に示すように、互いに密着した靴本体材11と靴底材12の二重構成からなる靴底部の土踏まず部分に、靴本体材11と靴底材12とを貫通させた排水用開口27を設けている。
前記排水用開口27を靴底部に設けると、排水効率が高く、水の浸入によるシューズ10の変形を防止でき、靴脱げや靴のズレをより効果的に防止できる。
【0044】
第二実施形態のシューズは、前記した構成以外は第一実施形態と同様の構成として、同様の作用効果を持たせており、同一符号を付して説明を省略する。
【0045】
図7に本発明の第三実施形態を示す。
第三実施形態は、靴本体材11の足首筒部19に設けたスリット22の閉鎖手段として、面ファスナー29を用いている。また、靴本体材11の足表面には、足甲サポート材13’を配設している。
【0046】
詳しくは、足首筒部19の背面側中央部に、足首に巻きつけるバンド28の中央部を縫着H4し、該バンド28の両端部の重合面に雌ファスナー29a、雄ファスナー29bをそれぞれ縫着している。
【0047】
これにより、シューズ10の着脱時には、図7(A)に示すように、雌雄ファスナー29a、29bを分離してバンド28を解くことにより、スリット22を開いて履き口24を大きく開口できる。シューズ10の使用時には、バンド28を足首筒部19に巻き付け、雌雄ファスナー29a、29bを係合してバンド28の両端部を結合することにより、図7(B)に示すように、スリット22を閉鎖して、足首筒部19を足首回りに密着させることができる。特に、雌雄ファスナー29a、29bの係合位置を調節することにより、着用者の足首周りのサイズに合わせることができ、足首の安定感を一層高めることができる。
【0048】
第三実施形態では、第一実施形態と同様に、靴本体材11の足甲被部15にのみサポート材13’を取り付けているが、足甲被部15は面積が大きく、シューズ内に水が浸入したときに特に伸びたり膨らんだりしやすく、その大きな変形が靴脱げの原因となるため、該足甲被部15を足甲サポート材13’で押さえることによって、シューズ10の変形を効率よく抑制し、靴脱げを効果的に防止できる。
【0049】
また、前記実施形態では、土踏まずや足甲部に排水用開口を設けているが、シューズ内部への浸水をより確実に防止できる構成とすることにより、排水用開口を必ずしも設ける必要がない。このように、排水用開口を設けない構成とすると、海浜用シューズとしても用いることができ、シューズ内への砂の侵入を防止することがきる。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1】本発明の第一実施形態に係る水中用シューズを示す斜視図である。
【図2】図1に示す水中用シューズの靴本体材の斜視図である。
【図3】図1に示す水中用シューズの底面図である。
【図4】本発明の第二実施形態に係る水中用シューズを示す斜視図である。
【図5】図4に示す水中用シューズの背面図である。
【図6】図4に示す水中用シューズの底面図である。
【図7】本発明の第三実施形態に係る水中用シューズを示し、(A)は着脱時の斜視図、(B)は使用時の斜視図である。
【図8】従来例の図である。
【図9】他の従来例の図である。
【符号の説明】
【0051】
10 水中用シューズ
10A 先端部
10B 靴底部
11 靴本体材
12 靴底材
13、13’ 足甲サポート材
15 足甲被部
19 足首筒部
20、21、27 排水用開口
22 スリット(開閉部)
23 チャック(閉鎖手段)
24 履き口
25 靴底部
26 立ち上がり部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
つま先を覆う先端から足首を囲む位置まで延在する靴本体材と、靴底材とを備え、
前記靴本体材の足裏部の外面に一体的に固着する前記靴底材は、弾性を有すると共に少なくとも裏面側の接地面は粗面状とした弾性材から形成している一方、前記靴本体材は柔軟性を有するゴム材から形成し、
足指を包む先端側は親指挿入部と残り4指挿入部とに分けた足袋形状とし、かつ、前記靴底材の外縁を立ち上げて靴本体材の下端縁を被覆し、さらに前記靴本体材の足首を囲む筒部の足表側中央部に履き口用の開閉部を設けると共に、該開閉部の閉鎖手段を設けていることを特徴とする水中用シューズ。
【請求項2】
前記靴底材は、ウレタン、加硫ゴム、シリコーンゴムから選択され、
前記靴本体材は、ネオプレーンゴムまたは弾性繊維材からなる請求項1に記載の水中用シューズ。
【請求項3】
前記靴底材および靴本体材は撥水材から形成し、あるいは撥水性塗料を塗布している請求項1または請求項2に記載の水中用シューズ。
【請求項4】
前記靴本体材の足甲被部の表面側に、前記靴底材の左右両縁より架け渡した足甲サポート材を設け、前記靴本体材前記サポート材は前記靴底材と同一素材または前記靴底材よりも柔軟性および伸縮性を有する素材で形成している請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の水中用シューズ。
【請求項5】
前記サポート材として、さらに、前記足甲サポート部から連続して足首部の背面側へと連続させた足首サポート部と、該足首サポート部の足首背面側の中央から垂下して前記靴底材に連結した足首裏サポート部を備え、該足首裏サポート部は前記靴本体材の足首背面側に固着している請求項4に記載の水中用シューズ。
【請求項6】
前記一体化した靴本体材および靴底材の土踏まず部分に排水用開口を設けている請求項1乃至請求項5のいずれか1項に記載の水中用シューズ。
【請求項7】
前記靴本体材の足甲被部あるいは/およびヒール部の側面に排水用開口を設けている請求項1乃至請求項6のいずれか1項に記載の水中用シューズ。
【請求項8】
前記履き口用の開閉部の閉鎖手段として、閉鎖部の両側縁に取り付けたチャックあるいは面ファスナーを設け、あるいは、
足首背面側にバンドの中央部を縫着し、該バンドの両側に面ファスナー等の係止材を取り付け、該バンドを足首表側に回して前記係止材同士を係止する構成としている請求項1乃至請求項7のいずれか1項に記載の水中用シューズ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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