説明

水中適用における汚損(バイオフィルム汚損)を回避するためのミクロ構造化多機能無機コーティング添加剤

【課題】従来技術の添加剤の欠点を有しないか又は低減された程度でのみ有するに過ぎない、水、特に海水と接触しているか又は接触する物体を保護するための被覆系のための新規の汚損防止添加剤を提供する。
【解決手段】少なくとも1の無機及び/又は有機多孔質担体と、前記多孔質担体中に導入されている少なくとも1の汚損防止作用物質とを含む汚損防止添加剤において、XPSによる生成物系の最外原子層の試験による確認で、生成物系の最外表面の少なくとも一部が担体材料により形成されていることを特徴とする、汚損防止添加剤。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、新種の汚損防止添加剤、その製造法、本発明による汚損防止系を含有する被覆系、該被覆系の製造法、並びに、水と接触するか又は接触している物体の表面の水中汚損を防止するための本発明による汚損防止添加剤及び被覆系の使用に関する。
【背景技術】
【0002】
船体、水上交通標識、海上プラットフォーム及び淡水又は海水中に配備された他の全ての物体の有機的な水中汚損は、以前から重大な妨害要因、特にコスト要因である。このいわゆる生物汚損はしばしばまず第一には細菌性のバイオフィルムからなるが、しかしながら前記バイオフィルムはマクロ汚損物、例えば藻類、蔓脚類及びイガイ類により迅速に肥大する。未保護の船体は数ヶ月以内に完全に汚損により被覆され、それによりその摩擦抵抗は25%まで上昇し得る。この場合、莫大な経済的損失が生じる。生物汚損によって、世界市場の船隊の膨大な交通量において年間で数10億USドルの付加的な燃料コストがかかる。相応して、この汚損を防止するか又はせめて少なくとも強力に最小化する、種々のストラテジーが採られている。前記ストラテジーは、本質的に、物理的方法、化学的方法及び生物学的方法の3つのカテゴリーに分類することができる。物理的方法には、とりわけ、汚損防止のための煩雑な電気的防御法のサブクラスが属する。それに加えて特に、例えばシャークスキンのパターンによる構造化の意味での表面変性(WO2008/025538 A1)、もしくは、フルオロポリマー、シリコーン化合物による、又は変性された疎水性シリカの使用による表面の官能化(WO97/29157)が挙げられる。現時点で比較的高価な生物学的方法では、汚損生物の防御のために酵素及び細菌が用いられる。数十年間にわたり最も効果の高い方法のうちの一つが、化学的方法、即ち、水中領域での塗料に添加される不特定の多様な毒素の使用である。汚損防止物質のうち最も知られている作用物質は、有機スズ化合物であるトリブチルスズ(TBT)である。TBTは、これまで汚損に対して最も高い有効性を有する化合物であると見なされてきた。しかしながら、TBTは明らかに海洋ビオトープ及び堆積物中に蓄積し、かつその非特異的な多様な作用に基づき、海水性の植物相及び動物相に著しい影響を及ぼす。それにより生じる、例えば商業的に利用される牡蠣養殖場内での自然環境保護的損失並びに莫大な経済的損失により、2003年に国際海事機関(IMO)の決議でTBT含有塗料が禁止された。更に、TBTと同様にポリマーマトリックスの形で水中の物体に施与される銅ベースの塗料が存在する。前記施与はしばしば、汚損防止作用を強化する添加剤と組み合わせて行われる。従ってこれは"補助殺生物剤"とも称される。銅はTBTよりも毒性が低いため、同等の汚染保護結果を達成するには明らかにより高い作用物質濃度が必要とされる。海水性動物相に対するTBTの有害な副作用が証明されたことにより、自然環境保護的により相容性の高い代替物の開発が開始された。有機殺生物剤の範囲からのその最も重要な代表物は、とりわけIrgarol(R) 1051、Sea-NineTM 211又は亜鉛ピリチオンである。相容性がより良好であるにもかかわらず、前記物質も生態系に不利な影響を及ぼし、かつ部分的に、生分解性が不完全である。
【0003】
従って、環境に優しい生分解性の汚損防止作用物質の開発が、時事的な研究の重点である。ここで、予測不可能な多数の化学的添加剤の他に、天然の汚損防止作用物質としての赤−及び茶藻類の殺生物作用に関する研究も存在するが、商業的には利用されていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】WO2008/025538 A1
【特許文献2】WO97/29157
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従って本発明の課題は、従来技術の添加剤の上記の欠点を有しないか又は低減された程度でのみ有するに過ぎない、水、特に海水と接触しているか又は接触する物体を保護するための被覆系のための新規の汚損防止添加剤を提供することであった。
【0006】
本発明の特別な課題は、十分又は完全に生分解性でありかつ/又は生物学的に懸念のない汚損防止添加剤を提供することであった。
【0007】
もう1つの特別な課題は、船舶又は他の水、特に海水と接触しているか又は接触する物体の航行中のみならず停泊期間中にも十分な汚損防止保護を保証する汚損防止添加剤を提供することであった。
【0008】
さらに、本発明による汚損防止添加剤の製造法を提供することが課題であった。
【0009】
最後に、従来技術の添加剤の上記の欠点を有しないか又は低減された程度でのみ有するに過ぎない、水、特に海水と接触しているか又は接触する物体を保護するための被覆系を提供することが本発明の課題であった。
【0010】
明示されていない他の課題は、以下の明細書、実施例及び特許請求の範囲の全体の文脈から明らかである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明者は、驚異的にも、少なくとも1の無機及び/又は有機多孔質担体と、少なくとも1の汚損防止作用物質とを含む汚損防止添加剤であって、その際、生成物系の最外表面の大部分が担体材料により形成されるように汚損防止作用物質が多孔質担体中に導入されている汚損防止添加剤が、課題の解決に抜群に好適であることを見出した。本発明による汚損防止添加剤は、その構造により機械的に極めて安定であるという利点を有する。更に、担体の細孔構造の制御並びに作用物質の選択によって、作用物質の拡散制御された放出を比較的長時間にわたって調節することができる。
【0012】
特に有利な一実施態様において、本発明による添加剤は、該添加剤を優れた効果で塗料系に配合できるという利点を有する。即ち本発明者は、例えばアモルファスSiO2からの艶消し剤のように、塗料配合物のための添加剤として開発されかつそのために最適化された担体材料を選択した場合に、本発明による添加剤を特に良好に塗料に配合できることを見出した。何らかの理論に拘束されることなく、本発明者は、作用物質が十分に専ら担体の細孔中にのみ存在し、かつ添加剤の外側表面の大部分が依然として担体材料により形成されているという事実により、配合特性はあたかも担体中に作用物質が含まれていないかのようであるとの見解を有している。このことは、本質的に塗料と担体材料との間の相互作用のみが生じる、ということによって説明がつく。副作用として、担持シリカ粒子の使用によって付加的にバインダーの必要性が低減する。それというのも、細孔は活性物質によりすでに充填されているためである。
【0013】
本発明者は更に、作用物質のみならず保護物質をも担体材料の細孔中に導入した場合に本発明による汚損防止添加剤の長時間の有効性をさらに改善でき、それによって作用物質の放出を更に良好に調節できることを見出した。
【0014】
本発明による被覆系は、スポーツボートの範囲では少なくとも1年間、商業用船舶では少なくとも5年間の有効性を保証することができ、その際、航行中のみならず停泊期間中にも最適な汚損防止保護が保証されるという大きな利点を有する。
【0015】
本発明による汚損防止添加剤はさらに、該汚損防止添加剤が、課題のための、普遍的であって使用が容易であり、廉価で環境に優しくかつ生分解性の問題解決策であることが特徴的である。本発明による汚損防止添加剤によって、環境に有害な殺生物剤及び金属化合物をベースとする公知の汚損防止系と比較して、少なくとも同等の作用効果を達成するが、しかしながらさらに環境に優しくかつ少なくとも部分的に生分解性である被覆系を製造することが可能となる。
【0016】
従って本発明の対象は、少なくとも1の無機及び/又は有機多孔質担体と、前記多孔質担体中に導入されている少なくとも1の作用物質とを含む汚損防止添加剤において、XPSによる生成物系の最外原子層の試験による確認で、生成物系の最外表面の少なくとも一部が担体材料により形成されていることを特徴とする、汚損防止添加剤である。
【0017】
本発明の対象は更に、作用物質及び担体材料の他に少なくとも1の他の物質(外被物質)を含み、そのうち生成物系中に存在する全量の少なくとも一部が担体材料の細孔中に導入されていることを特徴とする汚損防止添加剤である。
【0018】
同様に本発明の対象は、本発明による添加剤の製造法において、少なくとも1の多孔質の、有利には無機固体と、少なくとも1の汚損防止作用物質とを、作用物質が固体の細孔中に吸収されるように接触させることを特徴とする方法である。
【0019】
更に、本発明の対象は、水、特に海水と接触しているか又は接触する物体の表面を保護するための方法において、本発明による被覆系を物体の表面に施与することを特徴とする方法である。
【0020】
最後に、本発明の対象は、水、特に海水と接触しているか又は接触する物体の表面を汚損から保護するための、本発明による汚損防止添加剤ないし本発明による被覆系の使用である。
【0021】
本発明の対象について以下に詳説する。
【0022】
本発明の意味での汚損防止添加剤とは、多孔質の非水溶性の担体材料、有利には無機担体と、少なくとも1の作用物質とを含む被吸収物質を表す。
【0023】
汚損防止作用物質と作用物質との概念は、本発明の範囲内で同義で用いられている。本発明の意味での該概念は、殺生物作用及び/又は汚損防止作用物質、即ち、水、特に海水と接触している物体上での微生物を含む動物及び植物による望ましくない表面生息を遅延、抑制又は防止することの可能な化学的化合物と解釈されるべきである。
【0024】
本発明の意味での生物学的分解可能性ないし生分解性とは、有機化学物質の、生物学的な分解、即ち生物ないしその酵素によるその分解能力を表す。理想的な場合、前記化学物質代謝は無機化まで完全に進行するため、有機化合物は無機物質、例えば二酸化炭素、酸素及びアンモニアにまで分解される。分析により、前記事象を例えば半減期のデータにより把握することができる。上記の定義の意味での完全な生物学的分解が不可能な場合には、本発明の意味で用いられる作用物質が生物学的に懸念のないことが保証される。即ち、作用物質は汚損生物に対して選択的に作用し、かつ他の生物に対して毒性又は危険な影響を及ぼさないか又はわずかに及ぼすに過ぎない。作用物質は水中に蓄積されないか又はごくわずかに蓄積されるに過ぎず、かつ環境に有害でないか又はごくわずかに有害であるに過ぎない。
【0025】
本発明の意味での環境に有害とは、ヒト、動物、植物、その生育地及び生息空間並びに特に土壌を間接的又は直接的に害するか又は長期にわたって不可逆的に変化させ得る物質及び物質混合物の特性を表す。
【0026】
本発明による汚損防止添加剤は、ミクロ構造化粒子を担体系として使用することによって、作用物質がまず第一に拡散により担体材料の細孔から抜け出ねばならないことを特徴とする。それにより、本発明による汚損防止添加剤で処理された物体を水中にさらした後の作用物質のゆっくりと長く持続する放出が達成される。放出された作用物質は、本発明による汚損防止添加剤で処理された物体の表面上での海洋生物のコロニー形成を効率的に妨害する。作用物質が放出される速度及び放出が生じる期間は、担体粒子の粒度及び/又は細孔構造の意図的な選択により制御することができる。特に被覆と周囲との間の界面上での一定の作用物質放出も同様に可能である。
【0027】
本発明の特別かつ有利な一実施態様において、作用物質は専ら担体粒子の細孔中にのみ存在する。水との接触後に初めて作用物質の放出が生じる。換言すれば、放出機序は水溶性により制御される。このようにして、本発明による汚損防止添加剤の製造、輸送及び加工の間のヒト、動物及び植物の望ましくない損傷を防止することができる。逆に言えば、粒子は作用物質の早期の分解及び失活を防ぐ。
【0028】
本発明のもう1つの特別かつ有利な一実施態様において、本発明による汚損防止添加剤は担体材料及び少なくとも1の作用物質の他にさらに、作用物質の望ましくない抜け出しをさらに効果的に防止する外被物質をも含むため、ヒト、動物及び植物の望ましくない損傷を更に良好に回避することができる。前記外被物質は細孔を閉塞するため、作用物質と水との接触は、保護物質が溶解した後か又は保護物質を通じて作用物質が拡散した後になって初めて可能である。従って、外被物質により、作用物質の早期の分解及び失活を更に良好に防止することができる。
【0029】
本発明による汚損防止添加剤が保護物質を有するか有しないかにかかわらず、該汚損防止添加剤は、生成物系の最外表面の少なくとも一部が担体材料により形成されていることを特徴としている。XPSによる生成物系の最外原子層の測定によれば、本発明による添加剤の外側表面の有利には少なくとも10%、特に有利には少なくとも15%、極めて特に有利には少なくとも20%は、担体材料により形成されているか、もしくは、1以上の作用物質及び/又は1以上の保護物質の分子により形成されていない。
【0030】
特別な適用のために、本発明による生成物系の外側表面が1以上の作用物質を含んでおらず、それゆえにこの作用物質分が早期の不所望な反応を引き起こさないこと、もしくはヒト、動物又は植物に対して不所望な悪影響を及ぼさないことが更に有利である。本発明の特別な一実施態様において、XPSによる最外原子層の測定によれば、本発明による生成物系の外側表面上には作用物質が存在しないか、もしくは、外側表面の最大10%、有利には最大5%、特に有利には最大1%が作用物質により被覆されている。
【0031】
担体材料として、本発明の範囲内では原則的に全ての多孔質の非水溶性の固体を使用することができる。有利には、多孔質の無機固体、特に多孔質SiO2、特に有利にはアモルファスSiO2、極めて特に有利には沈降シリカ、熱分解法シリカ、熱分解法シリカをベースとして製造されたシリカ、シリカゲル、シリケート又はその混合形が使用される。特に有利には、EP1398301A2又はEP1241135A1又はEP1648824A1又はEP0798348A1又はEP0341383A1又はEP0922671A1に記載の沈降シリカが使用される。ここで、前記出願の対象は本願明細書に明確に援用される。
【0032】
同様に有利には、熱分解法金属−又は遷移金属酸化物からの特別に噴霧乾燥された顆粒を使用することができる。極めて特に有利には、前記顆粒は商品名AEROPERL(R)でEvonik Degussa社から市販されており、AEROPERL(R) 300/30が特に有利である。このような熱分解法二酸化ケイ素からのAEROPERL(R)製品の製造はEP0725037に記載されており、ここでその内容は明確に本願明細書に援用される。
【0033】
アモルファス二酸化ケイ素、有利には沈降又は熱分解法シリカ及びシリカゲルは、すでに標準的に(例えばレオロジー調節又は艶消しのための)添加剤として塗料において使用されているため、使用される作用物質とは無関係に、塗料への汚損防止担体複合体の容易な配合及び均一な分配が保証され得る。従って、前記担体材料の使用は特に大きな利点をもたらす。なぜならば、前記担体材料はすでに被覆系、特に塗料における添加剤として使用されており、従って、被覆系の処方を新たにする必要なく、被覆系、有利には塗料配合物に配合できるためである。更に、エンドユーザーにとって、新たに開発された生成物の使用には付加的なコストが伴わない。
【0034】
最後に、アモルファスSiO2からの多孔質担体材料は、環境に優しくかつ生物学的に懸念がない、即ち、ヒト、動物及び植物にとって無害であるという利点を有する。例えば、沈降シリカは動物栄養の分野においてビタミンのための担体材料として使用されている。
【0035】
特に有利な無機担体材料、特にアモルファス二酸化ケイ素は、本発明の範囲内で、4〜70μm、有利には4〜50μm、特に有利には4〜20μm、極めて特に有利には4〜15μm、特に有利には5〜13μm、極めて特に有利には6〜12μmの平均粒度d50を特徴としている。すでに上で説明したように、このどちらかと言えば小さな担体材料は、例えば、良好な細孔長に基づく良好な吸収速度及び良好な放出特性、並びに汚損防止被覆剤における良好な分散性といった種々の利点を有している。
【0036】
汚損防止被覆の表面テクスチャ化のためには、即ち、汚損生物を寄せ付けない被覆を製造するためには、汚損防止添加剤の少なくとも一部が比較的大きな直径を有する担体材料を有する場合に有利であり得ることが判明した。この場合、本発明により使用される担体材料は、特に二酸化ケイ素担体材料の場合には、有利には20〜180μm、特に有利には50〜150μm、極めて特に有利には70〜130μmの平均粒度d50を有する。担体材料としてのエアロパール(Aeroperl)の場合には、4〜70μmの平均粒度d50が有利であり、5〜50μmが特に有利であり、6〜40μmが極めて特に有利である。
【0037】
上記のことから、本発明は、小さな平均直径を有する担体材料を有する汚損防止添加剤のみを含む被覆系だけでなく、むしろ大きな平均直径を有する汚損防止添加剤のみを含む被覆系をも包含することが明らかである。しかしながら、双方の種類の汚損防止添加剤を一緒に含む被覆系も含まれる。双方の種類の汚損防止添加剤を含む被覆系、及び、小さな平均直径を有する担体材料を有する汚損防止添加剤のみを含む被覆系は特に有利である。
【0038】
前記平均直径に加えて、本発明により使用される担体材料、特にアモルファス二酸化ケイ素は、(相応して小さな平均直径の場合に)18〜45μm、有利には20〜43μmのグラインドメーター値、及び/又は、50〜350g/l、有利には50〜300g/lのタップ密度、及び/又は、180〜360g/100gの吸油量、及び/又は、200〜450g/100g、有利には320〜400g/100gのDBP数、及び/又は、100〜600m2/g、有利には200〜550m2/g、特に有利には300〜550m2/g、極めて特に有利には350〜500m2/gのBET、及び/又は、6〜14ml/gの全細孔体積(0.0042〜414MPa、140゜)を有する。極めて特に有利には、担体材料は複数の上記物理化学的特性を組み合わせて有し、かつ特に有利には、上記特性の全てを組み合わせて有する。
【0039】
従って、平均粒度はとりわけ、粒子の核部からその表面までの細孔の長さが長すぎるか又は短すぎることのないように配慮される。このことはとりわけ、作用物質及び保護物質の吸収速度及び脱離速度に影響を及ぼす。更に、前記サイズ範囲では、塗料配合物内での良好な加工及び分散が保証されている。
【0040】
濃度、担体材料の平均直径及び塗料系に応じて、グラインドメーター値(DIN EN21524)は上記のように18〜100μm超の範囲内にある。このことは、ミクロ構造化粒子をコーティング配合物に導入することによって、このコーティング配合物で被覆された表面上に、バイオフィルム汚損に影響を及ぼすミクロ構造化を生じさせることができることを意味する。
【0041】
上記範囲内の吸油量ないしDBPにより、確実に十分に多くの作用物質及び/又は保護物質を粒子中に受容できる。作用物質は粒子の細孔中に受容されるべきであるため、相応する体積が粒子の細孔中に存在していなければならならい。これは、水銀圧入法を用いて測定される全細孔体積により表される。最後に、BET表面積は塗料系における十分な補強を達成し得るために重要である。
【0042】
作用物質として、殺生物作用及び/又は汚損防止作用を有し、淡水及び海水領域での使用に許容される全ての物質を使用することができる。この場合、生分解性であるか又は環境に無害ないしはわずかに有害であるに過ぎない物質が特に有利であり、生分解性でありかつ環境に無害ないしはわずかに有害であるに過ぎない物質が極めて特に有利である。環境に無害な物質が極めて特に有利であり、特に、天然油、植物抽出物及びその合成類似物が特に有利である。
【0043】
作用物質として、以下の抗菌作用物質を使用することができる:
有機酸(ソルビン酸、プロピオン酸、酢酸、乳酸、クエン酸、リンゴ酸、安息香酸)及びその塩、
PHBエステル及びその塩、亜硫酸ナトリウム及び相応する塩、ナイシン、ナタマイシン、ギ酸、ヘキサメチレンテトラミン、四ホウ酸ナトリウム、リゾチーム、アルコール、有機ハロゲン化合物、パラベン(メチル−、エチル−、プロピル−、ブチル−、イソブチル−、プロピルパラベン)、イソチアゾロン(ベンゾイソチアゾロン、メチルイソチアゾロン、オクチルイソチアゾロン)、フェノール、サリチレート、ニトリル、フレグランス、フレーバー並びに抗菌作用を有する他の植物性又は合成作用物質、並びに金属塩、例えば酸化亜鉛、亜鉛ピリチオン及びアルギン酸亜鉛)。
【0044】
特に、生分解性でありかつ環境に無害ないしはわずかに有害であるに過ぎない作用物質として、以下のものを使用することができる:
植物作用物質、例えばメントール、ペパーミント油、ゲラニオール、リモネン、シトロネロール、ネロール、ファルネソール、ティーツリー油、ケイ皮酸、レモングラス油、カプサイシン、タンニン酸、アマモ酸(ゾステル酸)、ヘリクリサム・イタリクム(Helichrysum italicum)(フラボノイド);コリダリス・パリダ(Corydalis pallida)(プロトベリン、アルカロイド);シライア・バンブシコラ(Shiraia bambusicola)(ペリレンキノン);フラキシナム・オムス(Fraxinum omus)(ヒドロキシクマリン);ポドカルプス・ナギ(Podocarpus nagi)(トタロール及びノルジテルペンジラクトン);ヘテロテカ・イヌロイデス(Heterotheca inuloides)(セスキテルペノイド);ペラルゴニウム(Pelargonium)spp.(精油);ピペル・サルメントスム(Piper sarmentosum)(フェニルプロパノイド);アリウム(Allium)spp.(抽出物);ジュニペルス・プロセラ(Juniperus procera)(ジテルペン);アキレア・コンフェルタ(Achillea conferta)(フラボノイド、フラボン、セスキテルペンラクトン);マグノリア・バージニアナ(Magnolia virginiana)(リグナン、ネオリグナン);ユーカリプトス・オイグローバル(Eucalyptus euglobal)(オイグローバル);アルミラリア・メレア(Armillaria mellea)(アルミラル酸(armillaric acid));ドラセナ・マンニイ(Dracena mannii)(スピロスタノールサポニン);ピペル・アドゥンクム(Piper aduncum)(クロメン、プレニル化安息香酸);クロウメモドキ科(Rhamnaceae)spp.(シクロペプチドアルカロイド);ブドレジャ・グロボサ(Buddleja globosa)(ベルバスコシド);セファロセレウス・セニリス(Cephalocereus senilis)(フィトアレキシンオーロン);サルビア・アルボカエルレア(Salvia albocaerulea)(ジテルペン);ゴンフレナ・マルチアナ(Gomphrena martiana)及びゴンフレナ・ボリビアナ(Gomphrena boliviana)(抽出物);パエパランツス(Paepalanthus)spp.(ビオキサンチン);ヘリクリサム・ストエカス(Helichrysum stoechas)及びヘリクリサム・クリスプム(Helichrysum crispum)(抽出物);アキレア・プタルミカ(Achillea ptarmica)(トランス−ピノカーベイル(pinocarveyl)ヒドロペルオキシド);デハアシア・インクラッサタ(Dehaasia incrassata)(アルカロイド);アステラセア(Asteraceae)spp.(抽出物);アルクトティス・オーリクレート(Arctotis auriculate)(抽出物);エリオセファルス・アフリカヌス(Eriocephalus africanus)(抽出物);フェリシア・エリゲロイデス(Felicia erigeroides)(抽出物);ヘメロカリス・フルバ(Hemerocallis fulva)(フィトステロール、脂肪酸エステル);プソラレア・ジュンセア(Psoralea juncea)(プリカチンB);プルケア・シンフィティフォリア(Pluchea symphytifolia)(コーヒー酸エステル);トボミトプシス・サイコトリフォリア(Tovomitopsis psychotrifolia)(ビタミンE誘導体);セロシア・アルゲンテア(Celosia argentea)(トリテルペノイド、サポニン及びフラボノイド);アザジラクタ・インジカ(Azadirachta indica)(トリテルペノイド、マーモオジン(mahmoodin)、プロトリモノイド、ナヘエジン(naheedin));モラセア(Moraceae)spp.(クマリン);ヒペリクム・エレクツム(Hypericum erectum)(フロログルシノール誘導体);ポドスポラ・アペンジクレート(Podospora appendiculate)(アペノリド(appenolide)A、B及びC、フラノン);アルテミシア・プリンセプス・バー・オリエンタリス(Artemisia princeps var. orientalis)、アルテミシア・カピラリス(Artemisia capillaris)、アルテミシア・メキシカナ(Artemisia mexicana)及びアルテミシア・スコパリア(Artemisia scoparia)(抽出物);破砕麦芽(麦汁抽出物)、キゲリア・ピンナタ(Kigelia pinnata)(抽出物);アカリファ・ウィルケシアナ(Acalypha wilkesiana)(抽出物);海藻、海草及びレモングラス(油抽出物;ボレリア・ラチホリア(Borreria latifolia)、ボレリア・セチデンス(Borreria setidens)、ヘジオチス・ジフサ(Hedyotis diffusa)、ヘジオチス・ヌジカウリス(Hedyotis nudicaulis)、モリンダ・エリプチカ(Morinda elliptica)、モリンダ・ウンベラタ(Morinda umbellata)、シダ・ロンビフォリア(Sida rhombifolia)及びビテキス・オバタ(Vitex ovata)(抽出物として);タベブイア・インペチギノサ(Tabebuia impetiginosa)、アキロクリン(Achyrocline)spp.、ラレア・ジバリカタ(Larrea divaricata)、ロサ・ボルボニアナ(Rosa borboniana)、プニカ・グラナツム(Punica granatum)、プシジウム・ギネエンス(Psidium guineense)、リトレア・テルニフォリア(Lithrea ternifolia)(抽出物として);レペキニア・カウレセンス(Lepechinia caulescens)、レピジウム・バージニカム(Lepidium virginicum)及びタナセツム・パルテニウム(Tanacetum parthenium)(それぞれ抽出物);タラロミセス・フラブス(Talaromyces flavus)(抽出物);ダウクス・カロタ(Daucus carota)(抽出物);フラベリア・ペチオラタ(Flabellia petiolata)、カウレルパ・プロリフェラ(Caulerpa prolifera)、ハリメダ・ツナ(Halimeda tuna)、コラリナ・エロンガタ(Corallina elongata)、リトフィルム・リケノイデス(Lithophyllum lichenoides)、フィロフォラ・クリスパ(Phyllophora crispa)、シストセイラ(Cystoseira)spp.、ハロプテリス(Halopteris)spp.、コジウム(Codium)spp.、バロニア・ウトリクラリス(Valonia utricularis)、ポシドニア・オセアニカ(Posidonia oceanica)、
ゾステラ・ノルチイ(Zostera noltii)及びシモドセア・ノドサ(Cymodocea nodosa)(抽出物);センタウレア・オリエンタリス(Centauraea orientalis)、ジオスピロス・カキ(Diospyros khaki)、シダ・ヘルマフロジタ(Sida hermaphrodita)、フォルシチア・インテルメジア(Forsythia intermedia)、スクテラリア・ポリドン(Scutellaria polydon)、ユーゲニア・マラセンシス(Eugenia malaccensis)及びユーゲニア・ジャンボラナ(Eugenia jambolana)(抽出物);フリチラリア(Fritillaria)L.spp.(エベイノン、ステロイド系アルカロイド);キゲリア・ピンナタ(Kigelia pinnata)、ペペロミア・ペルシダ(Peperomia pellucida)、ポプルス・ニグラ(Populus nigra)、ポプルス・バルサミフェラ(Populus balsamifera)及びポプルス・デルトイデス(Populus deltoides)(抽出物);メラロイカ・アルテルニフォリア(Melaleuca alternifolia)(精油);エルフビンギア・アプラナタ(Elfvingia applanata)(ナリンゲニン);フィクス・シコモルス(Ficus sycomorus)、グレープフルーツシード、ガーリック、アリシン、ピート、ストロファンツス・ヒスピズス(Strophantus hispidus)、セカモン・アフゼリ(Secamone afzeli)、ミトラカルプス・スカベリ(Mitracarpus scaberi)、エンタダ・アビッシニカ(Entada abyssinica)、テルミナリア・スピノサ(Terminalia spinosa)、ハリソニア・アビッシニカ(Harrisonia abyssinica)、キシミネア・カフラ(Ximinea caffra)、アザジラクタ・インジカ(Azadirachta indica)、スピランテス・マウリチアナ(Spilanthes mauritiana)、テルミナリア・スピノサ(Terminalia spinosa)(抽出物);シアノバクテリア(アンビゴールA及びB、Tjipanazol);カフェ(抽出物);スポロクヌス・ペドゥンクラツス(Sporochnus pedunculatus)、ダルベルギア・メラノジロン(Dalbergia melanozylon)、セラストルス・スカンデンス(Celastrus scandens)、ジュグランス・ニグラ(Juglans nigra)、カルミア・ラチフォリア(Kalmia latifolia)、ペラルゴニウム・コルトルム(Pelargonium xhortorum)、ルス・グラブラ(Rhus glabra)及びリンデラ・ベンゾイン(Lindera benzoin)(抽出物);ストリガ・デンシフロラ(Striga densiflora)、ストリガ・オロバンキオイデス(Striga orobanchioides)、ストリガ・ルテア(Striga lutea)、ピスタシア・レンチスクス(Pistacia lentiscus)L.、ミトラカルプス・ビロスス(Mitracarpus villosus)、ビキサ・オレラナ(Bixa orellana)、ブリデリア・フェルギネア(Bridelia ferruginea)、アルピニア・カツマダイ(Alpinia katsumadai)、アルピニア・オフィシナルム(Alpinia officinarum)、アルテミシア・カピラリス(Artemisia capillaris)、カシア・オブツシホリア(Casia obtusifolia)、デンドロビウム・モニリホルム(Dendrobium moniliforme)、エピメジウム・グランジフロルム(Epimedium grandiflorum)、グリチルリザ・グラブラ(Glycyrrhiza glabra)、リトスペルム・エリトロリゾン(Lithosperum erythrorhizon)、マグノリア・オボバタ(Magnolia obovata)、モルス・ボンビシス(Morus bonbycis)、ナトプテリギイ・インシシウム(Natopterygii incisium)、ポリゴヌム・マルチフロルム(Polygonum multiflorum)、プリムス・ムム(Primus mume)、ロイム・パルマツム(Rheum palmatum)、リシヌス・コンムニス(Ricinus communis)、ソホラ・フラベセンス(Sophora flavescens)、スウェルチア・ジャポニカ(Swertia japonica)、ブラックペッパー、ローズマリー、レッドペッパー、イソピルム・タリクトロイデス(Isopyrum thalictroides)、カロトロピス・プロセラ(Calotropis procera)、クリサンテムム(Chrysanthemum)spp.、ホラレナ・アンチダイセンテリカ(Holarrhena antidysenterica)、ルヌラリア・クルシアタ(Lunularia crusiata)、ズメルチエラ・ヒルスタ(Dumertiera hirsuta)、エキソルモテカ・ツベリフェラ(Exormotheca tuberifera)及びゼニゴケ類(抽出物);フィリペンドゥラ・ウルマリア(Filipendula ulmaria)、サリクス・グラウカ(Salix glauca)、ウスネア・フィリペンドゥラ(Usnea filipendula)、クラジナ・アルブスクラ(Cladina arbuscula)(サリチル酸化合物);タナセツム・パルテニウム(Tanacetum parthenium)、チムス・カピタツス(Thymus capitatus)及びエルフィンギア・アプラナタ(Elfingia applanata)(抽出物);フラキシヌス・オーヌス(Fraxinus ornus)(ヒドロキシクマリン、エスクリン、エスクレチン、フラキシン及びフラキセチン);ジジフス・ヌンムラリア(Zizyphus nummularia)、ロンゴ・ビタール(Longo Vital)、ペラルゴニウム(Pelargonium)spp.、スカエボラ・セリセア(Scaevola sericea)、サイコトリア・ハワイエンシス(Psychotria hawaiiensis)、ピプツルス・アルビジス(Pipturus albidis)、アロイリテス・モルッカナ(Aleurites moluccana)、ソラヌム・ニゲル(Solanum niger,)、ピペル・メチスチクム(Piper methysticum)、バリングトニア・アシアチカ(Barringtonia asiatica)、アダンソニア・ジギタタ(Adansonia digitata)、ハルンガナ・マダガスカリエンシス(Harungana madagascariensis)、ジャカランダ・ミモザエフォリア(Jacaranda mimosaefolia)、エリスロキシルム・カタウバ(Erythroxylum catauba)、ビデンス・ピロサ(Bidens pilosa)、レムナ・ミノル(Lemna minor)、ポタモゲトン(Potamogeton)spp.、ナスツルチウム・オフィシナル(Nasturtium officinale)、アピウム・ノディフロルム(Apium nodiflorum)、アガリクス・サブルチレセンス(Agaricus subrutilescens)、アマニタ・ビロサ(Amanita virosa)、アマニタ・パンテリナ(Amanita pantherina)、リコペルドン・ペルラツム(Lycoperdon perlatum)、プシジウム・グアジャバ(Psidium guajava)、アベロア・カランボラ(Averrhoa carambola)、ムサ・サピエンツム(musa sapientum)、カリカ・パパヤ(Carica papaya)、パッシフロラ・エドゥリス(Passiflora edulis)、ランシウム・ドメスチクム(Lansium domesticum)及びバッカウレア・モトレヤナ(Baccaurea motleyana)(抽出物);ホースラディッシュ、セランジン葉、ビデンス(Bidens)及びヤロウ(Yarrow)(抽出物);アブタ・グランディフォラ(Abuta grandifola)、シペルス・アルチクラツス(Cyperus articulatus)、グナファリウム・スピカツム(Gnaphalium spicatum)、ポトモルフェ・ペルタタ(Pothomorphe)、フィクス・シコモルス(Ficus sycomorus)、フィクス・ベンジャミナ(Ficus benjamina)、フィクス・ベンガレンシス(Ficus bengalensis)、フィクス・レリギオサ(Ficus religiosa)、アルコルネア・コルジホリア(Alchornea cordifolia)、ブリデリア・フェルギネア(Bridelia feruginea)、ユーカリプツス・シトリオドラ(Eucalyptus citriodora)、ヒメノカルディア・アシダ(Hymenocardia acida)、マプロウネア・アフリカナ(Maprounea africana)、モナコラ・アルブスクラ(Monachora arbuscula)、テダニア・イグニス(Tedania ignis)、アレノスクレラ(Arenosclera)spp.、アンフィメドン・ビリディス(Amphimedon viridis)、ポリマスチア・ジャネイレンシス(Polymastia janeirensis)、アプリシナ・フルバ(Aplysina fulva)、シューダキシネラ・ルナエカルタ(Pseudaxinella lunaecharta)、ネルンビウム・スペシオスム(Nelumbium speciosum)及びミカレ・アレノサ(Mycale arenosa)(抽出物);カーネーション(酢酸オイゲノール及びイソ−オイゲノール);クリサンセマム・ボレアル(Chrysanthemum boreale)(セスキテルペノイドラクトン);ユーカリプツス・グロブルス(Eucalyptus globulus)、プニカ・グラナツム(Punica granatum)、ボッコニア・アルボレア(Bocconia arborea)、
シジギウム・ブラッザビレンス(Syzygium brazzavillense)、シジギウム・ギネエンス(Syzygium guineense)、カルタムス・チンクトリウス(Carthamus tinctorius)、ギンコ・ビロバ(Ginkgo biloba)、モスラ・キネンシス(Mosla chinensis)、サルビア・オフィシナリス(Salvia officinalis)及びシンナモム・カッシア(Cinnamomum cassia)(抽出物);クリプトレピス・サングイノレンタ(Cryptolepis sanguinolenta)(アルカロイド、クリプトレピン);ケリドニウム・マジュス(Chelidonium majus)(アルカロイド、ベルベリン、コプチシン);ビテックス・アグヌス・カスツス(Vitex agnus-castus)(抽出物);クラドニア・スブステラタ(Cladonia substellata)(ウスニン酸);エラグ酸、フリゴ・セプチカ(Fuligo septica)、ツビフェラ・ミクロスペルマ(Tubifera microsperma)(抽出物);ムンドゥレア・モナンタ(Mundulea monantha)、テフロシア・リネアリス(Tephrosia linearis)(フラボノイド);イポモエア・フィスツロサ(Ipomoea fistulosa)(抽出物);ピメンタ・ディオイカ(Pimenta dioica)(精油);ラチビダ・ラチパレアリス(Ratibida latipalearis)、テロキシス・グラベオレンス(Teloxys graveolens,)、ドドナエア・ビスコサ(Dodonaea viscosa)、ヒペリクム・カリシヌム(Hypericum calycinum)、ヒプチス・アルビダ(Hyptis albida)、ヒプチス・ペクチナタ(Hyptis pectinata)、ヒプチス・スアベオレンス(Hyptis suaveolens)及びヒプチス・ベルチシラタ(Hyptis verticillata)(抽出物);アステリスクス・グラベオロネス(Asteriscus graveolones)(ビサボロンヒドロペルオキシド);デリス・スカンデンス(Derris scandens)、アルヌス・ルブラ(Alnus rubra)、アラリアセア科(抽出物);ビンカ・ロセア(Vinca rosea)、オーストラリアンティーツリー油、ペパーミント油、セージ油、チモール、オイゲノール及びツジャ・オリエンタリス(Thuja orientalis)(抽出物);アナカルジウム・オクシデンタレ(Anacardium occidentale)(フェノール脂質);オイジオデンドロン・テヌイッシム(Oidiodendron tenuissimum)(抽出物);アカシア・ニロチカ(Acacia nilotica)及びアカシア・ファルネシアナ(Acacia farnesiana)(ポリフェノール、タンニン);テミナリア・アラタ(Teminalia alata)及びマロツス・フィリピネンシス(Mallotus phillipinensis)(抽出物);ピエクトランタス・グランディデンタツス(Piectranthus grandidentatus)(アビエタンジテルペノイド);プミカ・グラナツム(Pumica granatum)及びダツラ・メテル(Datura metel)(抽出物);茶、アガベ・レケグイラ(Agave lecheguilla)、カマエシセ・ヒルタ(Chamaesyce hirta)、バッカリス・グルチノサ(Baccharis glutinosa)及びラレア・トリデンタタ(Larrea tridentata)(抽出物);カメリア・シネンシス(Camelia sinensis)及びユーフォルビア・ヒルタ(Euphorbia hirta)(テアフラビン、ポリフェノン60);タベルナエモンタナ・パンダカキ(Tabernaemontana pandacaqui)、ユッカ・シジゲラ(Yucca shidigera)、ヘミステパ・リラタ(Hemistepa lyrata)、ヨウギア・ジャポニカ(Yougia japonica)、プルネラ・ブルガリス(Prunella vulgaris)、ラミウム・アンプレキシカウル(Lamium amplexicaule)、ジュニペルス・キネンシス(Juniperus chinensis,)、イキセリス・デンタタ(Ixeris dentata)、グナファリウム・アフィネ(Gnaphalium affine)、ケリドニウム・マジュス(Chelidonium majus)、スピレア・プルニフォリア(Spirea prunifolia)、エリスロニウム・ジャポニクム(Erythronium japonicum)、タキスス・ワリキアナ(Taxus wallichiana)、ガノデルマ・ルシドゥム(Ganoderma lucidum)、ドラバ・ネモロサ(Drava nemorosa)、ヨウンギア・カピラリス(Youngia capillaris)、エキセツム・アルベンス(Equisetum arvense)、オーストラリアン・ラベンダー、ブラック・キャロウェイ(black carroway)、カツアバ・カスカ(Catuaba casca)、シネオール、ダミアナ(Damiana)、ディクラヌム・スコパリウム(Dicranum scoparium)、ユーカリプツス油、ジンジャー及びブドウ核(抽出物);ニーム種、樹皮及び葉抽出物;ニーム油;ニュージーランド・マヌカ抽出物;ニコチアナ・タバクム抽出物;オリーブ葉抽出物;α−ピネン及びβ−ピネン抽出物;ルバーブ根抽出物;シリンガ・ブルガリス(Syringa vulgaris)抽出物;ティーツリー油(テルピネン−4−オール、α−テルピネン、γ−テルピネン、α−テルピネオール、テルピノレン);タイム(抽出物)及びビタミンE(抽出物)。
【0045】
同様に、とりわけ、藻類、海綿、サンゴ類及びイガイ類からの汚損防止活性抽出物、例えば、テルペン、グラミン、ピロール、ピラゾール、フェノール、アミド及びステロイド、及びその誘導体を使用することができる。
【0046】
本発明の生成物系は、1以上の作用物質を含むことができる。ここで、作用物質は多孔質担体の内部で均一な混合物として存在することもできる。更に、作用物質は多孔質担体の内部で層状に配置されていてもよく、その際、多孔質担体は、作用物質の種類及び組成が異なっていてよい2、3又はそれを上回る層を有することができる。
【0047】
作用物質の他に、本発明による汚損防止添加剤は、本発明の特に有利な一実施態様において、作用物質のための保護系を形成する1以上の外被物質を含むことができる。保護系とは、本発明の範囲内で、作用物質が分解及び/又は早期に反応及び/又は不所望に担体材料から流れ出るのを防ぐ、1種の外被物質/複数の外被物質からの組み合わせと解釈される。「保護系」なる概念は、本発明において、作用物質の制御された放出を達成するために、担体粒子が完全に外被物質で被覆されている通常の被覆を使用しないことを明確にするために選択されたものである。むしろ、該系は、保護系の高い機械的安定性が保証されるように設計されている。本発明による汚損防止添加剤の外側表面の大部分が担体材料により形成され、かつ保護系が十分ないしは完全に細孔中に存在していることによって、本発明による添加剤は、例えばコアシェル複合粒子に対して明らかに利点を有する。直前に挙げた粒子の場合、細孔は完全に作用物質を負荷しており、その上更に、完全に負荷された粒子の周囲には外被物質からなる保護外被が生成されている。この外被が例えば機械的作用によって完全又は部分的に破壊された場合、作用物質は妨害なしに放出され得る。本発明による保護系は、十分に、即ち、作用物質の使用量に対してそれぞれ有利には少なくとも30質量%、特に有利には50質量%、極めて特に有利には70質量%が、予め作用物質が含浸された担体材料の細孔中に導入される。特に有利には、前記実施態様において、粒子の表面上には作用物質は存在しない。従って、本発明による添加剤は有利には、細孔中に、担体材料の核部の近傍に配置されている作用物質層と、担体材料の外側表面に向かって配置されている保護層とが形成されていることを特徴としている。これにより、作用物質は周囲の影響から遮断されている。
【0048】
保護系が十分又は完全に担体材料の細孔中に導入されていることによって、本発明による汚損防止添加剤の外側が乾燥粉末、有利には自由流動性の粉末であることが達成される。このことは、DIN53492により流下漏斗で測定された生成物の流動性が、有利には1の値を有することを意味する。従って、本発明による添加剤は特に良好な加工及び輸送が可能である。
【0049】
保護系の作用様式に関して、例えば、保護作用を有する化合物によって、部分的に作用物質を備えている多孔質担体の細孔が閉塞されると仮定することができる。この細孔の閉塞を部分的に解消するか又は部分的に破壊した後に、作用物質を放出させることができる。1以上の作用物質のための保護系は、有利には保護系が水中で溶解し、それにより作用物質を放出させることができるように形成されている。しかしながら、本発明による添加剤が保護系をマトリックスの形で有し、該マトリックスによって作用物質が拡散し得るか、又は水が作用物質にまで達し得ることも有利である。
【0050】
時間的に遅延された作用物質の放出は、例えば担体材料の選択、例えば細孔サイズ分布によりかつ/又は作用物質の選択により制御することができる。しかしながら、種々の汚損防止添加剤を、例えば種々の外被物質で生成するか、又は、種々の汚損防止添加剤をそれぞれ同じ外被物質で、しかしながら異なる量又は厚さの外被物質で生成して混合し、それにより、拡散時間を、種々の粒子の外被材料又は外被材料の溶解速度により異なる長さとすることも可能である。作用物質と担体との組み合わせの選択は、種々の要求プロフィールに適合させて行われる。これに関連するものは、地理的な使用領域(気候、環境要求)、メンテナンス間隔、停泊期間、運行速度及び処理基準の問題である。相応して、作用物質及び外被物質の選択は、以下の基準によって行われる:必要な期間にわたる有効性、法的な認可制限、必要な放出時間、塗料系の溶剤。当業者は簡単な試験によって相応する最適化を行うことができる。
【0051】
外被物質として、多糖類、ブロックコポリマー、カプロラクトン、ラクチドポリマー及びグリコリドポリマー、ポリ酸無水物、ポリエステル、ヒドロキシ酪酸、ポリホスファゼン、ポリホスホエステル、例えばポリエチレングリコール、ポリビニルアルコール、ポリビニルアセテート、アルギネート、ゼラチン、寒天、ペクチン及びキトサンのクラスからの、水溶性、水膨潤性又は生分解性ポリマーが特に好適である。
【0052】
保護系対作用物質の質量比が10:1〜1:10の範囲内である場合に、有利であることが判明した。理想的な比は、作用物質及び担体材料並びに保護物質の化学的性質及び物理化学的特性に依存し、かつ各々の材料組み合わせのために簡単な一連の試験により決定することができる。担体材料の負荷がこれよりも高い場合には、もはや十分な保護物質を細孔中に導入できなくなることがある。負荷が低すぎる場合には、経済的に合理的でない。特に有利には、保護系対作用物質の質量比は10:1〜1:10の範囲内、極めて特に有利には5:1〜1:5の範囲内、特に有利には2:1〜1:3の範囲内である。
【0053】
質量比に加えて、材料の組み合わせに応じて、DBP吸収と吸収された作用物質の量との所定の比を保持することが有利な場合がある。何らかの理論に拘束されることなく、本発明者は、DBP、吸収すべき作用物質及び保護物質が、担体材料の細孔中でしばしば類似の占有空間を有しており、かつ類似の大きさの細孔中に侵入するとの見解を有している。従って、前記比によって、保護物質が出入り可能な細孔中にあとどの位の空間が存在しているかという情報がもたらされるため、十分な量の作用物質並びに保護物質を細孔中に確実に導入することが可能である。従って、多孔質担体への作用物質の負荷が、多孔質担体のDBP吸収に対して少なくとも10質量%〜90質量%、有利には10質量%〜80質量%、特に有利には20〜70質量%、極めて特に有利には30質量%〜60質量%であるのが有利であることが判明した。特別な一実施態様において、多孔質担体への作用物質の負荷は、多孔質担体のDBP吸収に対して1質量%〜9質量%である。
【0054】
すでに説明した通り、本発明によるシリカの本質的な特徴は、極めて多量の保護物質が担体材料の細孔の内部に存在しており、かつ担体材料の表面上では吸収されていないことである。それにより、保護系が例えば摩耗により損傷及び失活されるのを防ぐことができる。同じ理由から、吸収される保護物質の量を担体材料のDBP吸収と関連付けて規定するのが有利であることが判明した。多孔質担体への保護物質の負荷が、多孔質担体のDBP吸収に対して少なくとも10質量%〜90質量%、有利には10質量%〜80質量%、特に有利には20〜70質量%、極めて特に有利には20質量%〜50質量%であるのが特に有利であることが判明した。この負荷が少なすぎると、担体材料の細孔構造によっては保護系の作用の悪化を招くことがある。保護系の量が多すぎる場合には、意図的な失活に不利な作用が及ぼされ得るか、もしくは経済的に非効率である。なぜならば、出来る限り多くの作用物質と出来る限り少ない保護物質とが受容されることが望ましいためである。
【0055】
本発明による汚損防止添加剤は、少なくとも1の多孔質の、有利には無機固体と、少なくとも1の殺生物作用及び/又は汚損防止作用を有する作用物質とを、作用物質が固体の細孔中に吸収されるように接触させることにより製造することができる。
【0056】
液体の作用物質の場合には、作用物質を担体材料中に直接吸収させることができる。このために、担体材料を好適な混合機中に装入し、かつ作用物質を、計量供給、滴加、噴霧等により添加することができる。相応する技術は当業者に公知である。
【0057】
非液体の作用物質の場合には、該作用物質を分散剤中に分散させるか、又は溶剤中に溶解させることができる。引き続き、担体材料を溶液ないし分散液と接触、例えば含浸させるか、又は、溶液ないし分散液を噴霧し、かつ作用物質を溶剤ないし分散剤と一緒に担体の細孔中に吸収させる。溶剤ないし分散剤を、引き続き例えば蒸発により除去する。
【0058】
本発明による方法の変法において、本来の作用物質は担体材料の内部で初めて生成される。これは、作用物質の1以上の前駆体を担体材料中に吸収させ、引き続き化学反応又は物理作用により作用物質を生成させることにより行うことができる。物理作用は、例えば高温での温度処理(か焼)であってよい。
【0059】
担体内部での化学的な作用物質合成の一例は、担体にアルギン酸ナトリウムを負荷させ、引き続きZnCl溶液を負荷させ、それにより担体の細孔中でアルギン酸亜鉛を活性物質として形成させることである。
【0060】
担体材料中に非液体の作用物質を吸収させるためのもう1つの方法は、作用物質を溶融させ、それによって、溶融した作用物質を担体材料に吸収させることである。しかしながらこの方法は、分解せずに溶融可能な作用物質の場合にのみ可能である。
【0061】
すでに説明したように、本発明による汚損防止添加剤がその外側表面上に作用物質を有していないのが特に有利である。外側表面とは、担体粒子の内部の細孔又はその他の空洞によって形成されたものではない表面を指す。これは、負荷された粒子を、作用物質が可溶である溶剤で洗浄することにより達成することができる。洗浄プロセスは、本質的に粒子の表面上に付着している作用物質のみが洗浄除去され、細孔中に吸収された作用物質は洗浄除去されないように、迅速に行われるよう制御されねばならない。細孔からの作用物質放出は拡散制御されているため、即ち、ゆっくりとしたプロセスにより制御されているため、迅速な洗浄の場合には作用物質がわずかに細孔から抜け出るに過ぎない。それとは異なり、担体粒子の表面上に付着している作用物質を阻害することもできる。これは例えば、好適な試薬を用いた化学反応により行うことができる。
【0062】
本発明の特別な一実施態様において、本発明による汚損防止添加剤は保護系を有する。この本発明による添加剤は、作用物質を多孔質担体と接触させ、かつ作用物質の吸収後に少なくとも1の外被物質と接触させることにより保護系を生成させることにより製造することができる。
【0063】
本発明の特に有利な一変法において、本発明による方法は以下の工程:
a)少なくとも1の担体材料を固体混合ユニットに供給する工程
b)場合により、固体混合ユニットを排気する工程
d)少なくとも1の作用物質を固体混合ユニットに添加する工程
e)担体に作用物質を含浸させる工程
f)場合により、担体材料の外側粒子表面に付着している作用物質を阻害し、かつ/又は洗浄し、かつ/又は乾燥させる工程
を含む。
【0064】
付加的に保護系が生成される場合には、さらに以下の工程:
c)場合により、吸収値(DBP数に相当)が最高で50質量%に達するまで、担体材料に少なくとも1の保護物質を予備含浸させる工程
g)少なくとも1の保護物質を添加する工程
h)担体に少なくとも1の保護物質を含浸させる工程
i)場合により、洗浄し、かつ/又は乾燥させる工程
j)場合により、担体材料の外側粒子表面に付着している作用物質を反応により阻害し、かつ/又は洗浄し、かつ/又は乾燥させる工程
のうち1つ又はそれ以上が含まれていてもよい。
【0065】
工程a)における固体混合ユニットとして、例えば以下のものを使用することができる:ニーダ、パドルドライヤー、タンブラミキサー、バーチカルミキサー、パドルミキサー、シュギーミキサー、セメントミキサー、ゲリッケ(Gericke)連続ミキサー、アイリッヒミキサー及び/又はサイロミキサー。混合ユニット中の温度は、保護系及び作用物質に応じて有利には5℃〜250℃である。
【0066】
工程b)はオプションであり、即ち必ず実施しなければならないわけではない。しかしながら、担体材料を添加した後に固体混合ユニットを排気することにより、担体材料の細孔が排気され、かつその中に含まれているガスないし空気が抜き出されるため、1以上の作用物質及び1以上の保護物質での担体材料の完全な負荷を達成することができる。
【0067】
工程d)において、1以上の作用物質を固体混合ユニットに入れる。複数の作用物質を添加することが望ましい場合には、これらの作用物質を同時か又は連続して添加することができる。作用物質を、 −液体の場合には− 直接添加するか、又は溶融物として、また溶液としてか又は分散液又は懸濁液の形で添加することもできる。作用物質のクラスには、殺生物作用及び/又は汚損防止作用を有し、水中領域での使用のために認可されており、生分解性であって、環境に無害な全ての物質が属し得る。
【0068】
工程e)において、1以上の作用物質を、担体材料ないし予備含浸された担体材料の中/上に導入する。この場合、混合時間/導入時間を、細孔への作用物質の出来る限り完全な侵入ないし完全な付着が保証されるように設定する。作用物質の含浸を、DIN53492により流下漏斗で測定された −以下の測定法の記載も参照のこと− 生成物の流動性が1〜4、有利には1〜3、特に有利には1〜2の値、極めて特に有利には1の値を有したら終了する。特に有利な一実施態様において、作用物質を溶剤中に溶解させ、この溶液を担体の中/上に施与し、そのようにして得られた生成物を乾燥させて溶剤を除去する。
【0069】
本発明の特別な一変法において、殺生物剤及び汚損防止作用を有する作用物質並びに保護系は十分又は完全に担体材料の細孔中に埋め込まれるため、担体材料の外側表面の部分は露出している。本発明によれば、保護すべき物体の表面上に付着している生物以外の生物に対する作用物質の影響を出来る限り回避すべきである。しかしながら、工程e)における含浸の場合、即ち、細孔中への作用物質の吸収の場合には、通常は、担体の外側表面への少なくとも若干の作用物質分子の付着は防げないため、実際に細孔中にのみ活性作用物質が存在することを保証するためには、この作用物質分子を場合による工程f)において阻害するか、又は洗浄により担体の外側表面から除去するのが合理的である。阻害の場合には、表面上に存在する作用物質を相応する反応物により非反応性物質へと変換させる。洗浄の場合には、好適な溶剤により作用物質を洗浄除去する。作用物質によっては複数の洗浄プロセスが必要である。1以上の作用物質が溶液又は懸濁液の形で添加されていることが望ましい場合には、有利には、溶剤を保護物質の添加前に有利には排気又は加熱により除去する。
【0070】
保護系が生成される場合には、以下の工程を場合により実施することができる。
【0071】
工程c)はオプションであり、担体材料の既存の細孔構造に応じて実施される。本発明による保護系の作用のためには、細孔が出来る限り完全に外側へ向かって保護物質で閉塞されており、それにより作用物質を溶剤との接触から保護することが必要である。大抵の多孔質担体材料において、細孔は多少なりとも複雑な系で相互に結合されている。それにより、作用物質も保護物質も例えば粘度のために侵入できないが溶剤は侵入可能な担体材料の内部の狭い細孔が、作用物質が侵入可能な細孔との接続を有することができる。このようにして、作用物質は、該作用物質が吸収されている本来の細孔からは抜け出ることができないものの、より小さな"二次的な細孔"を通じて担体内部の溶剤が作用物質と接触し、それにより若干の作用物質が抜け出る。担体材料に保護系を予備含浸させることにより、そのような望ましくない効果を回避することができる。なぜならば、これにより、作用物質が吸収される前にこの"側路"を閉鎖することができるためである。特に有利な実施態様において、保護物質を溶液の形か又は溶融物として導入する。
【0072】
工程g)において、1以上の保護物質を固体混合ユニットに入れる。複数の保護物質を添加することが望ましい場合には、これらの保護物質を同時か又は連続して添加することができる。保護物質は、 −液体の場合には− 直接添加するか、又は溶融物として、また溶液としてか又は分散液又は懸濁液の形で添加することもできる。特に有利な実施態様において、保護物質を溶液の形か又は溶融物として導入する。工程h)では、細孔が出来る限り完全に充填されているように配慮する必要がある。なぜならば、担体粒子の表面から核部まで通じている細孔は中間細孔路により相互に結合されており、この中間細孔路を溶剤が通過し、それにより作用物質の放出が生じ得るためである。1以上の保護物質が溶液又は懸濁液の形で添加されていることが望ましい場合には、有利には溶剤を排気又は加熱により除去する。
【0073】
過剰の保護物質を除去するために、必要な場合には、工程i)において洗浄工程を後続の乾燥を伴って行うことができる。
【0074】
作用物質及び保護系に応じて、担体の外側表面に付着している作用物質を工程f)において阻害ないし洗浄除去する代わりに、この阻害ないし洗浄プロセスを保護層の施与の後、即ち工程j)で実施することが合理的であり得る。通常、洗浄ないし阻害を工程f)ではなく工程j)で行うことがより効果的である。なぜならば、工程g)で細孔は保護物質によって閉塞されているため、工程j)ではあとわずかに、外側表面に付着している作用物質分子のみが除去されるに過ぎないためである。工程f)及び工程j)の双方において洗浄及び/又は阻害を行うことも可能である。工程f)及び/又はj)において洗浄及び阻害の双方を行うことも可能である。
【0075】
特別な場合には、工程b)〜e)及び/又はg)〜h)を複数回実施し、その際、工程d)及びe)及び/又はg)及びh)を繰り返す場合にはそれぞれ同じか又は異なる作用物質ないし保護物質を使用することができる。さらに、工程c)、d)、e)、g)及びh)における保護物質ないし作用物質並びに混合条件を、作用物質ないし保護物質が常に液体のままであり、かつ粒子の表面上で乾燥ないし晶出しないように選択することが有利である。
【0076】
本発明による方法の特別な一実施態様において、工程d)を工程a)の後ではなく前に実施し、即ち、担体材料と1以上の作用物質とを混合した後、これらを固体混合ユニットに充填する。この場合、担体粒子中での作用物質の分配の均一性が特に有利である。このことは、作用物質が高負荷されている場合に、引き続き全ての粒子に均一に保護系を負荷できるようにするために極めて重要である。
【0077】
本発明による方法のもう1つの特別な変法において、作用物質及び/又は保護系を添加する前に、担体材料を界面活性剤又はシランで前処理することができる。これによって担体の疎水化をもたらすことができ、それにより、 −担体の極性に応じて− 1以上の作用物質をより容易に深く細孔中に侵入させることができる。しかしながらまた他方ではこれにより、望ましいことに超微細な細孔を閉塞させることができる。なぜならば、これによって望ましくない迅速な作用物質放出を防止できるためである。
【0078】
基本的に、工程c)及びd)を同時に実施し、かつ、少なくとも1の作用物質と少なくとも1の保護物質とからなる混合物を添加することも可能である。このことは、保護物質が作用物質よりも小さな細孔に侵入可能である場合に特に合理的であり、それにより、保護物質と作用物質とを同時に導入した場合にも、前記の効果、即ち側方細孔の"封止"が可能である。
【0079】
本発明による添加剤の可能な最良な機能性、特に機械的安定性を保証するためには、一方では担体表面上に作用物質が存在しないように、しかしまた他方では、担体の外側表面上に出来る限り保護物質が存在しないようにすることが必要である。双方の成分共に、理想的には完全に担体材料の細孔中に吸収されていることが望ましい。これを達成するために、工程g)での1以上の保護物質の添加量を、生成物系の製造の際に添加される1以上の作用物質と1以上の保護物質との全量が担体材料の吸収値(DIN53601による)の50%〜100%に相当するように調節することが望ましい。
【0080】
しかしながらそれとは異なり、製造プロセスの制御を細孔体積によって行うこともでき、この場合有利には、工程g)での1以上の保護物質の添加量を、汚損防止添加剤の製造の際に添加される1以上の作用物質と1以上の保護物質との全量が担体材料の全細孔体積よりも大きくなるようにし、かつ過剰の1以上の保護物質が担体材料及び/又は1以上の作用物質が負荷された担体材料の添加によって吸収されるように調節する。
【0081】
本発明による方法における混合の強さ及び計量は、施与プロセスの終了時の流動性が保証されるように、即ち、全ての時点で混合機中に流動性粉末が存在するように相互に調整されていることが望ましい。それにより、保護物質ないし作用物質を完全に細孔中に受容させ、かつ担体の外側表面に付着させないことを保証することができる。計量供給が迅速すぎるか又は混合が弱すぎる場合には粒子の負荷が不均一になることがあり、それにより最終的に、若干の粒子の細孔が完全に作用物質で充填されてしまい、もはや保護物質が侵入できないことがある。この方法の詳細はDE102008000290から引用することができる。これにより前記特許出願の内容は本願明細書に明確に援用される。
【0082】
多くの活性物質を迅速に担体材料に施与する従来の方法は、細孔中にガスの包含が生じ得る、即ち、細孔が所望のように作用物質で充填されるのではなく、ガスで充填されてしまうという欠点を有する。
【0083】
混合装置の選択と関連して、撹拌部材、例えば計量混練機H60 又はSomakon MP中のIKA Duplex混合部材を、剪断応力により生じる摩耗が出来る限りわずかであるか又は摩耗が生じないように選択することにも留意することが望ましい。粒子の摩耗試験を粒度分布の測定により行う。そのために、後で使用する混合ユニット中に担体材料を装入し、かつ混合操作を後続の様式に相応して開始する。所定の混合時間後に試料を取り出し、粒度分布を測定する。粒度分布は初期試料のd50値から5%以下の偏差であることが望ましい。例えば、混合前の粒度分布の結果が:
平均粒度d50=23.72μm
であり、かつ混合後の粒度分布の結果が:
平均粒度d50=22.74μm
である場合には、前記条件を満たす。
【0084】
本発明による被覆系は、有利には、侵食型(erodierend)、自己研磨型(selbstpolierend)塗料系又は不溶性マトリックスを有する塗料系であることができる。本発明による汚損防止添加剤を使用することにより、付加的に、付着防止被覆の意味での付着防止特性を有するミクロ構造化を達成することができる。侵食、自己研磨系は、連続的に比較的長期間にわたって加水分解される可溶性のバインダーマトリックスであり、それにより同時に本発明による汚損防止添加剤が周囲の媒体へと放出される。意図的な摩耗によって、より深部の塗料層から新たな汚損防止添加剤が被覆の表面に繰り返し現れるため、特に効果的な生物汚損の防御がもたらされる。
【0085】
不溶性マトリックスを有する塗料の場合、単に作用物質が塗料層から抜け出るのみであるため、多孔質塗料ネットワークは作用物質濃度の連続的な低下を伴っている。この場合、汚損防止添加剤によってのみならず塗料マトリックスによっても作用物質放出の時間的経過を制御することができる。
【0086】
汚損防止被覆、特にシリコーンポリマー又はフルオロポリマーを含有する汚損防止被覆は、物理的な防御法の一つである。前記被覆は汚損の増大を回避するものではない。むしろその効果は、わずかな表面エネルギーに基づき生物の付着が困難になるか、もしくは、わずかな機械的消費で、即ちわずかな周囲流でより容易な清浄化が達成されることに基づいている。ユーザーにとって、このことは、汚損の清浄化を達成するためには、わずかな航行速度ないしわずかな清浄化コストで十分であることを意味する。例えばシャークスキンのパターンに基づくミクロ構造化された塗料の使用は、同じ原理に基づいている。前記塗料系中に本発明による汚損防止添加剤を混入させると、物理的防御と化学的防御とを理想的に組み合わせることができ、かつ相乗効果を達成することができる。従って、例えばその機械的安定性がわずかであること、それにより塗料表面が損傷した場合に効果が著しく妨害されることを覚悟しなければならないこと、といった純粋な物理的防御法の欠点が排除される。さらに、物理的作用のためには物体のある程度の航行速度ないし水中構造体のある程度の周囲流が前提とされているという欠点も排除され得る。本発明による系は、理想的には、汚損防止作用の他に容易な清浄化をも保証するはずである。
【0087】
本発明による汚損防止添加剤は、従来の全ての汚損防止被覆系に配合することができる。そのような被覆系の組成及びその他の内容物は当業者に公知である。このための非排他的な例は、WO2007030389、第52段落〜第75段落に記載されている。これにより、前記出願及び特に上記段落の内容並びにそこに記載された量比は、明確に本願明細書に援用される。
【0088】
本発明による被覆系は、粒子担体のみならず作用物質もが環境に優しいという利点を有する。作用物質系と担体系とからの好適な組み合わせにより、種々の要求プロフィール(スポーツボート、商業用船舶)に個々に適合させることができる。
【0089】
本発明による汚損防止添加剤は、すでに示した通り種々の被覆配合物と相容性であり、従って多様な使用が可能である。このことによって、作用物質放出におけるフレキシビリティがさらに高まる。すでに示した通り、担体材料と作用物質との好適な組み合わせによって放出を制御することができる。放出を制御するためのもう1つの手段は、保護物質の添加である。最後に、放出を被覆配合物に応じてさらに制御することができる(侵食型又は非侵食型塗料系)。
【0090】
本発明による被覆系は、生物汚損の危険に曝されている全ての物体を被覆することができる。これは特に、スポーツボート、商業用船舶、水中に浸された建築構造物及び設備、例えば防波堤、埠頭、石油掘削プラットフォーム等、水上交通標識、その他の浮標、測定プローブである。
【0091】
水中領域での使用に加え、本発明による添加剤は湿った場所での適用にも使用することができる。これには例えば、ペイント、塗料及びシールが含まれる。
【0092】
測定法
XPSによる表面組成の試験
上記複合粒子の重要な特徴は、シリカ粒子表面の維持にある。作用物質ないし外被物質は細孔系中にのみ存在するため、粒子の表面は依然としてSiO2から成っている。前記特徴は、前記複合粒子を使用することにより元の加工特性及び種々のコーティング配合物との相容性に影響を及ぼさないままであることにとって極めて重要である。純粋な清浄なシリカ粒子表面は、X線光電子分光分析法(XPS)により検出される。それにより、元素組成の表面感受性検出並びに結合状態の分析を行うことができる。
【0093】
測定原理
材料表面に超高真空条件下で軟X線(例えばMgKα、AlKα)を照射する。これによりいわゆる光電子が放出され、材料表面を去った後のその運動エネルギーを電子分光計を用いて分析する(図1)。分光計と導電接触している金属試料を測定する場合には、放出された光電子の運動エネルギーに関して、以下:
kin=hν−E−Φsp’
が成り立ち、即ち、放出された光電子の運動エネルギーは入射X線のエネルギー(hν)から結合エネルギー(E)及び分光計の仕事関数(Φsp’)を減じたものである。非導電性材料の場合には、更に寄与を考慮すべきである。
【0094】
従って、このような励起エネルギーと測定された運動エネルギーとの関係から、試料原子への電子の結合エネルギーを決定することができる。これは、元素の化学結合状態に直接依存している。例えば、担体上の金属白金の場合、二価又は四価の白金とは異なる値が測定される。スルフェートの硫黄は、スルフィドの硫黄又はスルファンの硫黄とは異なる値をもたらし、かつPMMAはポリカーボネート、ポリオキシメチレン又はテフロンとは異なる酸素シグナル及び炭素シグナルをもたらす。
【0095】
XPSの結果についての古典的な一例を図2に示す。トリフルオロ酢酸エチルエステル中の炭素の異なる結合状態ですら、Cシグナルの"化学シフト"を元に同定可能であることが明らかである。従って、XPSシグナルのいわゆる"化学シフト"を元に、異なって結合する原子を相互に区別することができ、それにより、本発明による汚損防止添加剤の表面上での担体原子ないし作用物質原子ないし保護物質原子の割合の大きさを確認することができる。異なって結合している原子を相互に区別できるという可能性に基づき、前記測定法について、K.Siegbahnによって"ESCA"(化学分析のための電子分光法:Elektronenspektroskopie zur Chemischen Analyse)なる名称が生み出された。なぜならば、化学的な情報がもたらされるためである。XPSスペクトルを元に、いずれの原子がどのような濃度で材料の最上原子層の範囲内に存在しているかを定めることができ、かつXPSシグナルの"化学シフト"を元に、該原子がどのような化学結合状態にあるかを定めることができる。
【0096】
EDV援助評価法により、これを良好な再現性で定量化することが可能である。この場合に定められる値は、通常、面積パーセントでの数値に相応する。
【0097】
概観表面分析に基づき、例えば表面0.5cmを一体的に把握することができるが、しかしながらその際、分析の侵入深さは最上原子層に限定されている。このようにして、場合により存在するミクロ不均質性が平均化される。
【0098】
例えばXPS/ESCA技術で行われるように試料から放出された光電子を測定することにより、専ら最上原子層の範囲のみが把握される。なぜならば、前記電子の平均自由行程は若干の原子層のみであるためである。イオン化プロセスによってより深い層で放出される電子はもはや表面には到達できないため、試料を去ることはできない。従って、励起軟X線を使用し、かつそれにより放出された低エネルギーの光電子を測定するXPS技術は、自動的に表面特異的であり、かつ材料の表面特性に焦点が合わせられている。XPSのもう1つの利点は、 −水素及びヘリウム以外に− 軽元素、例えばホウ素、炭素、窒素及び酸素も定量的に検出でき、かつその化学結合状態を直接観察できることである。
【0099】
図3は、XPS法の機能の一般的な実証として、請求項15に記載の本発明による方法による20質量%の2−メチルイミダゾールが負荷されたSipernat(R) 50のXPS概観スペクトルを示す。どの位のSiO2及び2−メチルイミダゾール(これは本発明による作用物質ではなく、XPS法を説明するための単なる実証物質である)の表面部分が形成されているかが、明らかに見て取れる。バックグラウンドのサブトラクション及び元素の相対感度因数の使用により、標準化された方法によって、前記データから表面組成に関する定量的な情報を決定することができる。
【0100】
XPS測定の実施
XPS測定を粉末層上で実施し、その際、それぞれ0.5cmを一体的に把握する。試料の汚染及び測定アーテファクトを回避するために、試料を金で被覆された超高純度タンタル試料容器(Alfa、99.98%、厚さ約0.25mm、サイズ約1.5〜2cm)中に、試料の凝結、粘着又は圧密が生じないように装入する。試料の量を、ホルダーが十分に充填されているか、もしくは少なくとも0.5cmの面積を測定できるように選択する。さらに、各試料をXPS分光計(XPS装置Leybold LHS 12又はLeybold MAX 100)の予備チャンバに移し、このチャンバを室温で約2時間、10-8ミリバールに排気する。その後、試験すべき試料をXPS分光計のメインチャンバに移し、真空を4×10-10ミリバールに高めて、場合による炭素不純物ないし相互汚染による汚染及び測定アーテファクトを防ぐ。XPS分光計の測定チャンバ中の真空純度ないし残留ガスの純度を、連続的に残留ガス質量分析計(Quadrex 200、Inficon)を用いてモニタリングする。XPS測定をESCA法により実施し、その際、150Wのエネルギーを有するMgKα線を使用する。電子エネルギーの分析装置(Leybold EA200)を、72eVのパスエネルギーで、"fixed analyser transmission mode"(FATモード)で運転する。分光計の結合エネルギースケールのための参照として、National Physics Laboratory(NPL、英国、テディントン)のSCAA83標準のAu7/2シグナルを84eV(試験すべき試料の測定前及び後に測定)で使用する。試験すべき試料の静電荷を、試料ホルダー近傍に配置された制御された白熱電子源からの低いエネルギーを有する電子により補正する。この放出源を覆って断熱し、試験すべき試料への直接の伝熱を防ぐ。
【0101】
評価を、DINテクニカルレポートNo.39による一般的推奨、及び、National Physics Laboratory DMAA(A)97、英国、テディントン、1987年1月のレポート、及び、作業委員会"表面−及びミクロ領域分析"NMP816(DIN)の従来の知識に従って実施する。XPSデータを標準ルーチンにより評価(X線サテライト及びバックグラウンドのサブトラクション、並びに、使用する分光計に好適なその都度示される電子レベルの相対感度因数(分光計のデータシステム中に記憶されている)を考慮)するために、DS100データセットを利用する。全ての数値を面積パーセントで示す。
【0102】
担体材料の物理化学的特性の分析
DBP数の測定:
多孔質担体材料の吸収度のための尺度であるDBP吸収(DBP数)を、規格DIN53601に基づき以下のようにして測定する:
0〜10%の含水率を有する粉末状又は球状の担体材料12.50g(場合により、含水率は乾燥キャビネット中での105℃での乾燥によって調節する)を、ブラベンダー社製の吸収測定器"E"の混練チャンバ(商品番号279061)に入れる(トルクセンサの出力フィルタの減衰なし)。顆粒の場合に、1〜3.15mmの分級物(Retsch社のステンレス鋼篩)を使用する(顆粒を、3.15mmの細孔幅を有する篩を通じてプラスチックへらで適度に加圧することによって)。絶え間なく混合しつつ(混練羽根の回転速度125rpm)、室温で、"Dosimaten Brabender T 90/50"によってジブチルフタレートを4ml/分の速度で混合物中に滴加する。混和を少ない所要力のみで行い、デジタル表示器をもって追跡する。測定の終わりに向かって混合物はペースト状となり、これは所要力の急激な上昇によって表示される。600ディジットの表示(0.6Nmのトルク)の場合に、電気接点によって混練機もDBP配量もスイッチを切る。DBP供給のための同期モータは、デジタルメータと接続されているので、DBPの消費をmlで読み取ることができる。
【0103】
DBP吸収は、小数位なしにg/(100g)の単位で示され、以下の式をもって算出される:

【0104】
DBP吸収は、水不含の乾燥された担体材料について定義されている。湿った担体材料、特に沈降シリカ又はシリカゲルを使用する場合には、DBP吸収を計算するために較正値Kを考慮すべきである。この値は以下の較正表をもとに決定できる、例えば、担体材料の含水率5.8%は、DBP吸収のために33g/(100g)の上乗せを意味する。担体材料の含水率は、下記の方法"含水率もしくは乾燥減量の測定"に従って測定する。
【0105】
【表1】

【0106】
吸油量の測定
吸油量の測定をDIN EN ISO787−5によりアマニ油を用いて行う。
【0107】
含水率もしくは乾燥減量の測定
担体材料の含水率又は乾燥減量(TV)を、ISO787−2に従って、105℃で2時間乾燥させた後に測定する。この乾燥減量は、主に水分からなる。
【0108】
実施
粉末状、球状又は顆粒状の担体材料10gを、0.1mgまで正確に、摺り合わせ蓋を備えた乾燥した秤量瓶(直径8cm、高さ3cm)中に量り入れる(初期重量E)。試料を、蓋を開けて乾燥キャビネット中で105±2℃で2時間乾燥させる。引き続き、秤量瓶を閉め、デシケータキャビネット中で乾燥剤としてシリカゲルを用いて室温に冷却する。秤量瓶/ガラスビーカーを、最終重量Aの測定のために精密天秤で0.1mgまで正確に秤量する。含水率(TV)(%)を、
TV=(1−A/E)*100
により決定し、ここで、Aは最終重量(g)であり、Eは初期重量(g)を意味する。
【0109】
平均粒度d50
本発明による生成物系の粒子分布の測定を、レーザ回折の原理によりレーザ回折計(Horiba社、LA-920)で行う。粉末の粒度測定のために、粉末を撹拌しながら水中に入れることにより、約1質量%のSiO2の質量割合を有する分散液を製造する。分散の直後に、分散液の部分試料からレーザ回折計(Horiba社、LA-920)を用いて粒度分布を測定する。測定のために、1.09の相対屈折率を選択すべきである。全ての測定を室温で行う。粒度分布並びに関連する変数、例えば平均粒度d90は、装置によって自動的に計算され、図示される。操作マニュアルにおける指示を遵守すべきである。
【0110】
BET表面積の測定
粉末状の、ほぼ球状粒子を有する、又は顆粒状のシリカの窒素比表面積(以下にBET表面積と呼称する)を、ISO5794−1/アネックスDに基づき、TRISTAR 3000(Micromeritics社)を用いてDIN−ISO9277による多点測定に従って測定する。
【0111】
タップ密度の測定
タップ密度の測定をDIN EN ISO787−11に従って行った。
【0112】
全細孔体積の測定
全細孔体積の測定を水銀ポロシメトリーにより行う。該測定はDIN66133によるHg圧入に基づいており(表面張力480mN/m及び接触角140゜)、その際、Micromeritics社のAutoPore IV-9500装置を使用する。
【0113】
シリカを測定前に加圧処理にかける。このために、Manual Hydraulic Press(注文番号15011、Specac Ltd.社、River House, 97 Cray Avenue, Orpington, Kent BR5 4HE、英国)を使用する。ここで、Specac Ltd.社製の内径13mmの「ペレットダイ」にシリカ250mgを量り入れ、ディスプレイにより1tの負荷をかける。この負荷を5秒間保持し、かつ場合により後調節する。次いで、この試料を放圧し、空気循環乾燥キャビネット中で105±2゜で4時間乾燥させる。
【0114】
タイプ10の針入度計へのシリカの秤量を0.001gの精度で行い、測定の良好な再現性のために、「ステム使用率」、即ち針入度計の充填のために消費される百分率でのHg体積が20〜40%となるように選択する。引き続き、針入度計をゆっくりと排気してHg50μmにし、この圧力で5分間放置する。Autopore装置の操作を、操作マニュアルに従ってSoftware Version IV 1.05を用いて行う。各測定値を針入度計の空測定分だけ補正する。測定範囲は0.0042〜414MPaである。
【0115】
グラインドメーター値の測定
グラインドメーター値の測定をDIN EN21524により行う。
【0116】
流動性の測定
流動性の評価を、種々の流出直径のガラス流出容器を用いて行う。評価を評点1〜7で行う(第2表参照)。粉末がなおも停滞せずに流出する測定容器を示す。
【0117】
【表2】

【0118】
以下の実施例は本発明を具体的に示すためのものであるが、これに限定されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0119】
【図1】X線光電子分光法XPS/ESCAの原理を示す図。
【図2】トリフルオロ酢酸に関するXPS/ESCAスペクトルを示す図。
【図3】本発明による方法により製造された2−Mi20質量%が負荷されたSipernat(R) 50のXPS概観スペクトルを示す図。
【実施例】
【0120】
一般的な方法規定
a)多孔質担体への作用物質導入
担体材料、例えば多孔質SiO2を混合機(例えばSomakon、IKA混練機)に装入し、混合操作を開始する。液体作用物質をゆっくりと滴加により計量供給する(例えばSiO2 30質量%に対して液体作用物質70質量%の比)。粒子は流動性を保持している。エネルギー導入及び多孔質SiO2構造の内部への吸収力ないし毛管力により、作用物質を担体の中心へと輸送する。非液体の作用物質を相応する溶剤中に溶解させ、引き続き上記のように続けることも同様に可能である。作用物質を溶融物から施与することも同様に可能である。そのために、混合機を調温することができる。作用物質濃度を調節するために、操作を任意にしばしば繰り返すか、又は相応する濃度の溶液を製造することができる。しかしながら、溶剤の分離除去のために、工程の間に乾燥工程を実施しなければならない。
【0121】
詳細についてはc)試験規定に記載する。
【0122】
b)作用物質が負荷された担体における保護系の製造
含浸された材料を混合機中に装入する。保護外被を溶液からゆっくりとした滴加により計量供給することができる。作用物質を溶解させない溶剤を選択するのが有利である。有利には、多孔質担体への出来るだけ高い導入を達成するために、溶液は外被物質で飽和されている。引き続き、乾燥工程を実施しなければならない。そのために、温度を外被物質の溶融温度未満でかつ溶剤の沸点未満に選択する。乾燥を上記条件下に真空中で行うこともできる。粒子が完全に乾燥した後、更なる外被層を施与するために操作を繰り返すことができる。粒子は引き続き流動性である。
【0123】
密な外被層を溶融物により施与することも同様に可能である。この場合、作用物質は外被物質の溶融範囲内で安定であるべきである。
【0124】
c)試験規定
実施例1:
ゲラニオールのカプセル化を、前記の一般的な製造規定に従い以下の試験工程で達成した:
1. エタノール中のゲラニオール50質量%混合物20mlをSiO2(Sipernat(R) 820A)35gに施与した。
【0125】
2. 負荷された粒子を真空乾燥キャビネット中で35℃で24時間乾燥させた。
【0126】
3. H2O中のPEG10000の50質量%溶液20mlを施与した。
【0127】
4. 負荷された粒子を真空乾燥キャビネット中で35℃で24時間乾燥させた。
【0128】
5.−6. 項目3及び4を繰り返した。
【0129】
7. マイクロカプセルを引き続き有機溶剤(例えばエタノール、シクロヘキサン)で洗浄し、濾過し、かつ4.に記載の通りに乾燥させた。
【0130】
実施例2:
メントールのカプセル化を、前記の一般的な製造規定に従い以下の試験工程で達成した:
1. メントール10gを50℃で溶融物からSiO235gに施与した。
【0131】
2. 負荷された粒子を引き続き室温に冷却した。
【0132】
3. H2O中のPEG10000の50質量%溶液20mlを施与した。
【0133】
4. 負荷された粒子を真空乾燥キャビネット中で35℃で24時間乾燥させた。
【0134】
5.−6. 項目3及び4を繰り返した。
【0135】
7. マイクロカプセルを引き続き有機溶剤(例えばエタノール、シクロヘキサン)で洗浄し、濾過し、かつ4.に記載の通りに乾燥させた。
【0136】
実施例3:
アルギン酸亜鉛を用いたカプセル化
1. 実施例1.1−1.2及び2.1−2.2による含浸された粒子に、水中のアルギン酸ナトリウムの2質量%溶液20mlを施与した。
【0137】
2. 負荷された粒子をZnCl1質量%溶液250ml中に1時間分散させた。
【0138】
3. 粒子を引き続き濾過し、かつ真空乾燥キャビネット中で50℃で24時間乾燥させた。
【0139】
4.−5. 項目2及び3を繰り返した。
【0140】
実施例4
ゲラニオールのカプセル化を、前記の一般的な製造規定に従い以下の試験工程で達成した:
1. エタノール中のゲラニオール50質量%混合物20mlをSiO2(Aeroperl 300/30(R))30gに施与した。
【0141】
2. 負荷された粒子を真空乾燥キャビネット中で35℃で24時間乾燥させた。
【0142】
3. H2O中のPEG10000の50質量%溶液20mlを施与した。
【0143】
4. 負荷された粒子を真空乾燥キャビネット中で35℃で24時間乾燥させた。
【0144】
5.−6. 項目3及び4を繰り返した。
【0145】
7. マイクロカプセルを引き続き有機溶剤(例えばエタノール、シクロヘキサン)で洗浄し、濾過し、かつ4.に記載の通りに乾燥させた。
【0146】
実施例5
本発明による汚損防止添加剤は、従来の海洋コーティング系と相容性である。実例を挙げて、エポキシ−シロキサン−ハイブリッド系をベースとする本発明による被覆の製造を記載する。
【0147】
個々の成分(第3表参照)から、公知の方法によりベース塗料を製造する。第二の工程において、添加剤への強度の機械的応力を回避するために、硬化剤及び汚損防止添加剤を13.2%の濃度で実施例1〜4に相応してわずかな剪断応力下に分散させる(例えばDispermat、直径:80mm、2000rpm)。
【0148】
【表3】

【0149】
引き続き、該塗料を従来の被覆法(例えば噴霧、ロール塗り)によって、被覆すべき下地に施与する。下地は適用範囲の要求に相応して準備されているべきである(例えば腐食保護プライマー)。8時間後、本発明による被覆は硬化されており、かつ使用の準備が整っている。
【0150】
実施例6
実施例4による汚損防止添加剤を含む実施例5による被覆の弾性挙動を試験する。
【0151】
被覆の弾性を測定するために、Erichsen社製の形式202Cの塗料−及びペイント−試験機を用いてDIN ISO1520によりエリクセンカッピング試験を行う。形式202Cは薄鋼板ケーシング、試験シリンダー、油圧ユニット及び制御パネルからなるベンチトップ型装置である。
【0152】
塗装された試験薄板を、試験の実施のため、試験面を上方に向けて試験シリンダーに挿入すると、自動的に堅固にセットされる。ボールパンチを薄板に押出して変形させる。被覆中に初めて亀裂が認められたらすぐに、押しボタンを操作してボールパンチの進みを停止させる。引き続き、圧痕の深さに相当するエリクセンカッピング値を読み取ることができる。
【0153】
本発明による汚損防止添加剤を塗料に配合することにより、その弾性挙動の低下は1%未満であることが判明した。これは実地では無視し得る低下であり、かつ、本発明による汚損防止添加剤が塗料の機械的特性に不利な影響を及ぼさないことを裏付けている。
【0154】
実施例7:
この実施例では、実施例4による汚損防止添加剤を含む実施例5による被覆の摩耗挙動を試験する。
【0155】
摩耗試験のために、エリクセン標準摩耗試験装置形式305をASTM D4060−07に従って使用する。回転する試料ホルダーに所定の力(例えば1000g)で作用する2つの摩耗ローラーにより摩耗を生じさせる。評価のために減量法を用いる。試験すべき材料を若干のサイクルにかけ、摩耗した試料分を示差秤量により測定する。この場合、実施例5による本発明による被覆系がベース塗料と同等の摩耗挙動を示すことが認められた。このことはまたもや、本発明による添加剤が汚損防止被覆の機械的特性に不利な影響を及ぼさないことを証明している。
【0156】
実施例8
この実施例では、実施例4による汚損防止添加剤の作用物質放出を試験する。
【0157】
本発明による汚損防止添加剤は、液体の塗料配合物の内部で出来る限り完全な潜在性を示すべきであり、即ち、作用物質放出が生じないかもしくは出来る限りわずかであるべきである。作用物質は、海水と接触して初めて放出されるべきである。これを試験するために、即ち潜在特性及び放出を分析するために、本発明による汚損防止添加剤を溶剤(例えばシクロヘキサン、酢酸ブチル、エタノール)ないし水中に分散させる。所定の時間間隔で(例えば24時間、1日、7日、14日)、ガスクロマトグラフィー(Agilent 6890N ガスクロマトグラフ)を用いて、放出された作用物質の濃度測定を行う。
【0158】
本発明による汚損防止添加剤の放出分析により、好適な外被物質を使用することにより、カプセル化されていない系と比較して、拡散制御された放出を少なくとも2倍遅延させることができることが示された。この試験により、上記方法によって、作用物質が液体の塗料配合物の内部で保護されている(カプセル化、潜在性)だけでなく、水と接触した際の拡散制御された放出(制御放出)も生じることが示された。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下:
少なくとも1の無機及び/又は有機多孔質担体、
前記多孔質担体中に導入されている少なくとも1の汚損防止作用物質
を含む汚損防止添加剤において、
XPSによる生成物系の最外原子層の試験による確認で、生成物系の最外表面の少なくとも一部が担体材料により形成されていることを特徴とする、汚損防止添加剤。
【請求項2】
生成物系の最外原子層の少なくとも10%、有利には少なくとも20%が担体材料により形成されている、請求項1記載の汚損防止添加剤。
【請求項3】
担体材料が、アモルファス二酸化ケイ素、有利には沈降シリカ、シリカゲル、熱分解法シリカ、熱分解法シリカをベースとして製造されたシリカ、シリケート又はその混合形である、請求項1又は2記載の汚損防止添加剤。
【請求項4】
アモルファス二酸化ケイ素が、4〜70μm、有利には4〜50μm、特に有利には4〜20μm、極めて特に有利には4〜15μm、特に有利には5〜13μm、極めて特に有利には6〜12μmの平均粒度d50を有するか、又は、有利には20〜180μm、特に有利には50〜150μm、極めて特に有利には70〜130μmのd50を有する造粒された二酸化ケイ素である、請求項3記載の汚損防止添加剤。
【請求項5】
アモルファス二酸化ケイ素が、4〜70μm、有利には5〜50μm、特に有利には6〜40μmの平均粒度d50を有するエアロパール(Aeroperl)である、請求項3記載の汚損防止添加剤。
【請求項6】
アモルファス二酸化ケイ素が、18〜45μm、有利には20〜43μmのグラインドメーター値、及び/又は、50〜350g/l、有利には50〜300g/lのタップ密度、及び/又は、180〜360g/100gの吸油量、及び/又は、200〜450g/100g、有利には320〜400g/100gのDBP数、及び/又は、100〜600m2/g、有利には200〜550m2/g、特に有利には300〜550m2/g、極めて特に有利には350〜500m2/gのBET、及び/又は、6〜14ml/gの全細孔体積(0.0042〜414MPa、140゜)を有する、請求項3から5までのいずれか1項記載の汚損防止添加剤。
【請求項7】
作用物質の他に少なくとも1の他の物質を含み、そのうち生成物系中に存在する全量の少なくとも一部が担体材料の細孔中に導入されている、請求項1から6までのいずれか1項記載の汚損防止添加剤。
【請求項8】
保護物質が、有利には、多糖類、ブロックコポリマー、カプロラクトン、ラクチドポリマー及びグリコリドポリマー、ポリ酸無水物、ポリエステル、ヒドロキシ酪酸、ポリホスファゼン及びポリホスホエステルからなる群から選択された、水溶性及び/又は水膨潤性及び/又は生分解性ポリマーである、請求項7記載の汚損防止添加剤。
【請求項9】
保護系対作用物質の質量比が10:1〜1:10の範囲内である、請求項7又は8記載の汚損防止添加剤。
【請求項10】
多孔質担体への作用物質の負荷が、多孔質担体のDBP吸収に対して少なくとも10質量%である、請求項1から9までのいずれか1項記載の汚損防止添加剤。
【請求項11】
多孔質担体への保護系の負荷が、多孔質担体のDBP吸収に対して少なくとも10質量%である、請求項7から10までのいずれか1項記載の汚損防止添加剤。
【請求項12】
作用物質が、有利には、二次的な植物作用物質の群からか、又は、天然油、ビタミン、藻類抽出物、植物抽出物、金属塩、テルペン、グラミン、ピロール、ピラゾール、フェノール及びステロイドからなる群から選択された生分解性作用物質である、請求項1から11までのいずれか1項記載の汚損防止添加剤。
【請求項13】
1〜4、有利には1〜3、特に有利には1〜2の範囲内、極めて特に有利には1の、DIN53492により流下漏斗で測定された流動性を有する、請求項1から12までのいずれか1項記載の汚損防止添加剤。
【請求項14】
請求項1から13までのいずれか1項記載の汚損防止添加剤の製造法において、少なくとも1の多孔質の、有利には無機固体と、少なくとも1の作用物質とを、作用物質が固体の細孔中に吸収されるように接触させることを特徴とする方法。
【請求項15】
好適な洗浄プロセス及び/又は阻害工程により、作用物質が粒子の外側表面上に存在しないことを保証する、請求項14記載の方法。
【請求項16】
作用物質を多孔質担体中に導入し、かつ更に保護系を生成させる、請求項14又は15記載の方法。
【請求項17】
以下の工程:
a)少なくとも1の担体材料を固体混合ユニットに供給する工程
d)少なくとも1の作用物質を固体混合ユニットに添加する工程
e)担体に作用物質を含浸させる工程
を含む、請求項16記載の方法。
【請求項18】
更に、以下の工程:
b)固体混合ユニットを排気する工程
f)担体材料の外側粒子表面に付着している作用物質を阻害し、かつ/又は洗浄し、かつ/又は乾燥させる工程
のうち少なくとも1つを含む、請求項17記載の方法。
【請求項19】
以下の付加的な工程:
c)DBP吸収値が最高で50質量%に達するまで、担体材料に少なくとも1の保護物質を予備含浸させる工程
g)少なくとも1の保護物質を添加する工程
h)担体に少なくとも1の保護物質を含浸させる工程
i)洗浄し、かつ/又は乾燥させる工程
j)担体材料の外側粒子表面に付着している作用物質を反応により阻害し、かつ/又は洗浄し、かつ/又は乾燥させる工程
のうち1つ又はそれ以上を含む、請求項17又は18記載の方法。
【請求項20】
工程b)〜e)及び/又はg)〜h)を複数回実施し、その際、工程d)及びe)及び/又はg)及びh)を繰り返す場合には、それぞれ同じか又は異なる作用物質ないし保護物質を使用することができる、請求項18又は19記載の方法。
【請求項21】
担体材料と1以上の作用物質とを混合し、その後、これらを固体混合ユニットに充填する、請求項17から20までのいずれか1項記載の方法。
【請求項22】
工程g)における1以上の保護物質の添加量を、生成物系の製造の際に添加される1以上の作用物質及び1以上の保護物質の全量が担体材料のDBP吸収値の50質量%〜100質量%に相当するように調節する、請求項19から21までのいずれか1項記載の方法。
【請求項23】
工程g)における1以上の保護物質の添加量を、生成物系の製造の際に添加される1以上の作用物質及び1以上の保護物質の全量が担体材料の全細孔体積よりも大きくなるように調節し、かつ、過剰の1以上の保護物質を、担体材料及び/又は1以上の作用物質が負荷された担体材料を添加することによって吸収させる、請求項19から22までのいずれか1項記載の方法。
【請求項24】
請求項1から13までのいずれか1項記載の少なくとも1の汚損防止添加剤を、有利には5〜15質量%の割合で含む、被覆系、有利には塗料系。
【請求項25】
侵食型塗料系、又は不溶性マトリックスを有する塗料系、又は付着防止被覆、又はミクロ構造化塗料である、請求項24記載の被覆系。
【請求項26】
水、特に海水と接触している物体の表面を保護するための方法において、請求項24又は25記載の被覆系を物体の表面に施与することを特徴とする方法。
【請求項27】
水、特に海水と接触している物体の表面を生物汚損から保護するための、請求項1から13までのいずれか1項記載の汚損防止添加剤又は請求項24又は25記載の被覆系の使用。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2011−32476(P2011−32476A)
【公開日】平成23年2月17日(2011.2.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−176637(P2010−176637)
【出願日】平成22年8月5日(2010.8.5)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.テフロン
【出願人】(501073862)エボニック デグサ ゲーエムベーハー (837)
【氏名又は名称原語表記】Evonik Degussa GmbH
【住所又は居所原語表記】Rellinghauser Strasse 1−11, D−45128 Essen, Germany
【Fターム(参考)】