説明

水位計システム

【課題】シンプルな構成で水位を計測できる水位計システムを提供する。
【解決手段】水位計システム100は、光源1から入射する光が光ケーブル41を伝搬して光サーキュレータ3のポート31に到達する。ポート31に到達した光がポート32から出力され、光ケーブル43を伝搬して全反射ミラー5に到達する。全反射ミラー5に到達した全ての光が反射され反射光として、再び光ファイバ43を伝搬してポート32に到達する。ポート32に到達した反射光がポート33から出力され、光ケーブル42を伝搬して光パワーメータ2に到達する。この光ケーブル43を水位が計測される水底に設置すると、光ケーブル43の光ファィバ43a部分に水圧がかかり、伝搬される光に水圧に比例した損失が発生する。水圧は水位に比例するので、光パワーメータ2がポート33から出力される反射光の光パワーを測定することで水位を計測する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水位計システムに係り、特に光ファイバを用いて水位を計測する水位計システムに関する。
【背景技術】
【0002】
光ファイバを用いる水位計システムの技術として特開2001−91334号公報(特許文献1)と特開2002−279575号公報(特許文献2)を挙げることができる。特許文献1の光式水位センサでは、圧力が加わると膨張するブルドン管を備えたセンサヘッドを河川などの水底に配置し、このブルドン管に水圧が加わることで、ブルドン管の表面に橋渡しされた圧力/歪み変換部材あるいは光式歪みセンサが光学的な変化を生じ、この光学的な変化が光ファイバを介して地上に配置された水位検出器に送信される。そして、光式水位センサの水位検出器が光学的な変化を検出することで、センサヘッドが配置された位置の水位を計測している。また、特許文献2の状態変化の監視システムでは、水位レベルが警報レベルに到達したかを検出するフロート部を備えたセンサを複数地点に配置し、浸水が始まり水位レベルが警報レベルに到達するとフロート部でフロートが押し上げられ、フロートの浮力による上向きの力が連結部材を介して曲げ付与手段に伝達されると、これに挿通されている光ファイバ部分に曲げを付与する。この光ファイバの曲げによって生じる後方散乱光の伝達損失分布の変化を多点位置に配置されたセンサが検知することでセンサが作動する。そして、状態変化の監視システムの光ファイバに接続されている処理装置が作動したセンサを検出することで、センサの位置を特定して浸水を監視している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2001−91334号公報
【特許文献2】特開2002−279575号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述したように、特許文献1の光式水位センサでは、圧力が加わると膨張するブルドン管を備えたセンサヘッドを河川などの水底に配置しなければならない。また、特許文献2の状態変化の監視システムでは、水位レベルが警報レベルに到達したかを検出するフロート部を備えたセンサを、浸水地点に配置しなければならない。このように、特許文献1と特許文献2では、水位を検出するセンサが水中に置かれるので、水圧や水流などによる影響を受けるためセンサを堅牢にしなければならない。また、下水道のような汚染水の水位を測定する場合には、センサが汚染水で浸食されることで故障や劣化する頻度が高くなる。このため、センサとしての信頼性を確保するために、これらのセンサについて頻繁にメンテナンスを行わなければならないという問題があった。
【0005】
本発明はこのような状況に鑑みてなされたものであり、上記課題を解決できる水位計システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の水位計システムは、光源と、前記光源から入射する光を反射光として反射する反射手段と、前記光と前記反射光を伝搬する光ファイバと、前記反射光の光パワーを測定する光パワー測定手段と、前記光ファイバを挟む凹凸基材とを備えたことを特徴としている。
また、本発明の水位計システムは、前記光ファイバ、前記反射手段及び前記凹凸基材が防水された収納箱に収納されていることを特徴としている。
また、本発明の水位計システムは、前記光ファイバが渦巻き状の状態でかつ前記凹凸基材に挟まれた状態で前記収納箱に収納されていることを特徴としている。
また、本発明の水位計システムの前記収納箱の表面は、撓みが発生し易い素材で作られていることを特徴としている。
また、本発明の水位計システムは、光源と、前記光源から入射する光を反射光として反射する反射手段と、前記光と前記反射光を伝搬する光ファイバと、前記反射光の光パワーを測定する光パワー測定手段と、前記光ファィバを挟む凹凸基材と、溝を有するケーブルを備え、前記光ファイバ及び前記凹凸基材を前記溝に収納することを特徴としている。
また、本発明の水位計システムは、前記反射手段を前記溝に収納することを特徴としている。
また、本発明の水位計システムは、前記凹凸基材が水圧伝達部材で挟まれていることを特徴としている。
また、本発明の水位計システムの前記ケーブルの表面は、撓みが発生し易い素材で作られていることを特徴としている。
【発明の効果】
【0007】
本発明の水位計システムによれば、シンプルな構成で水位を計測することができるので、汚染水などの水位を計測するときに必要とされる測定器としての堅牢性、汚染水などの浸食に対する耐食性、及び故障や劣化に対する信頼性に対する対策を低減することができ、これによってメンテナンスを極力行わないメンテナンスフリーとすることが可能になる。更に、本発明の水位計システムは、従来技術のような後方散乱光ではなく、反射ミラーによる反射光を利用するので、高精度で高速な水位の計測が可能な水位計システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明の実施形態1における水位計システムの構成を示す図である。
【図2】図1に示す光ケーブルが水圧により1箇所曲げられた状態を示す図である。
【図3】図1に示す光ケーブルが水圧により2箇所曲げられた状態を示す図である。
【図4】光ファイバの押圧構造の側面とその断面を示す図である。
【図5】図1から図4における時間の経過による光パワーを示すグラフである。
【図6】押圧構造の光ファイバを収納する防水箱の断面図である。
【図7】光ファイバを防水箱に収納する場合の変形例の断面図である。
【図8】本発明の実施形態2における水位計システムのケーブルの断面図である。
【図9】複数箇所が計測できるように適用させた水位計システムを示す図である。
【図10】複数箇所が計測できるように適用させた水位計システムの他の構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施形態の詳細について説明する。
【0010】
(第1の実施形態)
本発明を実施するための第1の実施形態(以下、実施形態1という)の水位計システム100の構成について図1を用いて説明する。
【0011】
図1に示す水位計システム100は、光源1、光パワーメータ2、光サーキュレータ3、全反射ミラー5、光ケーブル41、光ケーブル42、及び光ケーブル43を有している。また、光サーキュレータ3は、ポート31、ポート32、及びポート33の3つのポート(端子)を備えている。光源1、光パワーメータ2、光サーキュレータ3、光ケーブル41、及び光ケーブル42が地上に設置される機器であり、光ケーブル43及び全反射ミラー5が水底に設置される機器である。
【0012】
光源1は、光ファイバ41を介して光サーキュレータ3のポート31に接続され、広帯域に出力が一様の自然放出光の光源である。全反射ミラー5は、光ケーブル43を介して光サーキュレータ3のポート32に接続され、光サーキュレータ3から受光した全ての光を反射(以下、全反射という)させる。光パワーメータ2は、光ケーブル42を介して光サーキュレータ3のポート33に接続され、光サーキュレータ3からの反射光を受光し、その光の強さ(以下、光パワーという)を測定する。光サーキュレータ3は、ポート31で光源1の光を受光すると、その光をポート32から全反射ミラー5に出力する。また、光サーキュレータ3は、ポート32で全反射ミラー5が反射する反射光を受光すると、その反射光をポート33から光パワーメータ2に出力する。
【0013】
光ケーブル41、光ケーブル42、及び光ケーブル43は、光ファイバを用いて光を伝搬するケーブルである。光ファイバは、ガラスやプラスチックなどの透明な誘導体でできた細い繊維で、その中心部分である軸に光を通すことで光が伝搬される。光ケーブル41及び光ケーブル42は、地上に敷設されるケーブルであるが、光ケーブル43は、水底に敷設されるケーブルである。このため、光ケーブル43に水圧がかかると光ファイバが曲がり、光の伝搬で一部の光が失われる現象(以下、損失という)が発生する。つまり、水圧が大きくなると光ファイバが大きく曲がるようになり、光ケーブル43の損失が大きくなる。従って、水位が高ければ水圧が大きくなるので光ケーブル43の損失が大きくなり、水位が低ければ水圧が小さくなるので光ケーブル43の損失が小さくなる。このように、光ケーブル43にかかる水圧と光ケーブル43の損失が比例する。
【0014】
次に、水位計システム100により水位を計測する原理について光ケーブル43の状態を示す図1、図2、及び図3と、時間の経過による光パワーを示すグラフである図5の(a)、(b)及び(c)を用いて説明する。
【0015】
図1は、光ケーブル43に水圧がかかっていない状態であり、光ファイバは曲がっていない。図2は、光ケーブル43に水圧がかかり、1箇所に曲がりが生じている状態であり、光ファイバが曲がっている。図3は、光ケーブル43に大きな水圧がかかることで、2箇所の曲がりが生じている状態であり、光ファイバが大きく曲がっている。
【0016】
水位計システム100は、光源1から入射する光が光ケーブル41を伝搬して光サーキュレータ3のポート31に到達する。次いで、ポート31に到達した光がポート32から出力され、光ケーブル43を伝搬して全反射ミラー5に到達する。このとき、光ケーブル43で伝搬される光は水位に比例した損失が発生する。次いで、全反射ミラー5に到達した全ての光が反射され反射光として、再び光ファイバ43を伝搬してポート32に到達する。このときに、光ケーブル43で伝搬される反射光も水位に比例した損失が発生する。
【0017】
例えば、図1に示すような光ケーブル43に水圧がかかっていない光ファイバが曲がっていない状態であれば、光がケーブル43を伝搬しても損失せずに全反射ミラー5に到達する。また、反射光が光ケーブル43を伝搬しても損失せずに光サーキュレータ3のポート32に到達する。図5の(a)は、図1の光ケーブル43に水圧がかからず光ファイバが曲がっていないときの時間の経過による光パワーを示すグラフである。このようなときには、図5(a)に示すように時間が経過しても光パワーは低下せず一定となる。
【0018】
しかし、図2に示すような光ケーブル43に水圧がかかり光ファイバが符号6で示した部分(以下、屈曲部6という)が時間tで曲がった状態になると、光が光ケーブル43を伝搬するときに屈曲部6で損失して全反射ミラー5に到達する。また、反射光が光ケーブル43を伝搬するときにも屈曲部6で損失して光サーキュレータ3のポート32に到達する。図5の(b)は、図2の光ケーブル43に水圧がかかることで光ファイバの1箇所(屈曲部6)が時間tで曲がったとしたときの時間の経過による光パワーを示すグラフである。このようなときには、図5(b)に示すように光ファイバが曲がった時間(t)から光パワーが低下する。
【0019】
更に、図3に示すように光ケーブル43に大きな水圧がかかり光ファイバが符号7で示した部分(以下、屈曲部7という)でも時間t2で曲がった状態になると、光が光ケーブル43を伝搬するときに屈曲部6と屈曲部7との2箇所で損失して全反射ミラー5に到達する。また、反射光が光ケーブル43を伝搬するときにも屈曲部6と屈曲部7とで損失して光サーキュレータ3のポート32に到達する。図5の(c)は、図3の光ケーブル43に大きな水圧がかかることで光ファイバの2箇所(屈曲部6と屈曲部7)とが時間t、t2で曲がったとしたときの時間の経過による光パワーを示すグラフである。このようなときには、図5(c)に示すように光ファイバが屈曲部6で1箇所曲がった時間(t)から1段目の光パワー低下があり、更に屈曲部7でもう1個所が曲がった時間(t)から更に2段目の光パワー低下がある。
【0020】
次いで、光サーキュレータ3のポート32に到達した反射光がポート33から出力され、光ケーブル42を伝搬して光パワーメータ2に到達する。そして、光パワーメータ2がこの反射光の光パワーを測定する。このように光ケーブル43の光ファイバが曲がることにより、光ケーブル43で伝搬される光源1から入射する光とその反射光に損失が発生し、光パワーメータ2は、損失が発生したこの反射光の光パワーを測定することになる。つまり、この光パワーメータ2がこの反射光の光パワーを測定することで、光源1から入射する光パワーが水圧でどのぐらい低下するかがわかる。
【0021】
このように、水位計システム100によれば、光源1から入射し、全反射ミラー5により反射される反射光の光パワーを光パワーメータ2で測定することで、光源1から入射する光と全反射ミラー5から反射される反射光が光ケーブル42によりどのぐらい光パワーが損失したかを測定できる。この光ケーブル42による光パワーの損失は、光ケーブル42にかかる水圧に比例し、この水圧は水位に比例するので、光パワーメータ2が光源1から入射し、全反射ミラー5により反射される反射光の光パワーを測定することで、水位が測定できる。
【0022】
次に、実施形態1の水位計システム100において、図2、図3に示した屈曲部6、屈曲部7の発生を効果的に実現し、水位を測定するための押圧構造110について説明する。この押圧構造110を備えることで、水位を測定する水底に設置される光ケーブル43により大きな圧力をかけることができる。光ケーブル43の押圧構造110を図4に示す。図4(1)は、押圧構造110の側面図(B−B断面)である。図4(2)は、図4(1)の押圧構造110のA−A断面図である。図4に示すように、押圧構造110は、テープ状の比較的硬い基材8aの片方の面に凹凸部8bを形成した凹凸基材8で光ケーブル43の光ファイバ43a部分のみを上下から挟む構造であり、凹凸基材8における凹凸部8bの一つひとつの凸部が屈曲部6、屈曲部7のそれぞれを実現する押圧構造となっている。光ファイバ43aの上面と下面を、凹凸基材8で挟む押圧構造110を水面に設置すると、水位により水圧が僅かに変化した場合でも、多数の凹凸部により光ファイバ43aにより大きな圧力をかけることができる。このため、水圧の僅かな変化でも大きな押圧が光ファイバ43aにかかることで光パワーの損失が大きくなるので、僅かな水位の変化も測定できる。
【0023】
図5の(d)に示す時間の経過による水圧の変化に対する光パワーを示すグラフを用いて、図4の押圧構造110におけ時間の経過により光パワーの変化について説明する。図5の(d)は、図4の光ファイバ43aに大きな水圧がかかるときの時間の経過による光パワーを示すグラフである。このようなときには、図5(d)に示すように光ファイバ43aに1段目の小さな押圧がかけられた時間(t)から光パワーが低下する。次に、1段目より大きな2段目の押圧がかけられた時間(t)から更に光パワーが低下する。光ファイバ43aを押圧構造110とすることで、押圧が小さい場合でも、光パワーが変化するので、水位計システム100は小さな水位の変化でも測定できる。
【0024】
次に、図6に示す防水箱9について説明する。防水箱9は、図4に示す押圧構造110の光ファイバ43aを収納する防水加工された箱で、水位を測定する水底に設置される。このように押圧構造110の光ファイバ43aを防水箱9に収納することで、汚染水による浸食を防止することができる。図6(1)は、図6(2)の防水箱9のD−D断面図である。図6(2)は、図6(1)の防水箱9のC−C断面図である。図6(3)は、図6(2)のE−E断面図である。図7は、図6における光ファイバ43aを防水箱に収納する場合の変形例で、図6(2)のE−E断面図に同じである。防水箱9は、表面に水圧がかけられたときに防水箱9に収納される凹凸基材8に撓みが発生し易いようにするために、撓みが発生し易く腐食が生じない樹脂製の材料、例えばポリエチレンなどが適当である。
【0025】
図6に示すように、押圧構造110の光ファイバ43aと全反射ミラー5が防水箱9に収納される。押圧構造110の光ファイバ43aは、防水箱9の中央を通り、光ファイバ43aの終端側に設置される全反射ミラー5に接続される。防水箱9の外側の押圧構造110でない光ファイバ43aは、光ケーブル10などで被覆する。このような防水箱9に押圧構造110の光ファイバ43aを収納することで、防水箱9の表面にかかる全ての水圧が光ファイバ43aの上面と下面を挟む凹凸基材8にかかるようになり、効果的に光パワーを低下させることができる。図7は、押圧構造110の光ファイバ43aを防水箱9に渦状に配置するものである。図7に示すように、押圧構造110の光ファイバ43aを防水箱9に渦状に配置することで、図6に示すように光ファイバ43aを防水箱9の中央に通すのに比べ、光ファイバ43aが押圧される距離を長くすることができる。この結果、防水箱9に渦状に光ファイバ43aを配置すると、光ファイバ43aを防水箱9の中央に通すのに比べ、光ファイバ43aの光の損失が大きくなり、光パワーが更に低下するのでごく僅かな水位の変化も測定できる。
【0026】
このように実施形態1の水位計システム100は、光源1から入射する光が水底に敷設される光ケーブル43を伝搬して全反射ミラー5に到達し、更に全反射ミラー5で反射される反射光が光ケーブル43を伝搬して光パワーメータ2に到達し、光パワーメータ2で反射光の光パワーを測定することで、光ファイバ43aの光の損失を計測する。そして、この計測された光の損失が水位に比例するので、水位を測定することができる。このように、シンプルな構成とすることで、多数の機器で構成される水位計システムに比べ、汚染水などの水位を計測するときに必要とされる測定器としての堅牢性、汚染水などの浸食に対する耐食性、及び故障や劣化に対する信頼性に対する対策を低減することができ、更に高精度で高速に水位の計測ができる。
【0027】
(第2の実施形態)
本発明を実施するための第2の実施形態(以下、実施形態2という)の水位計システム200について説明する。水位計システム200の構成は、実施形態1における光ファイバ43aを覆う溝付きケーブル(以下、スロットケーブルという)210が設けられている以外は、実施形態1の水位計システム100の構成に同じである。光ファイバ43aと全反射ミラー5を覆うスロットケーブル210の構造について、図8を用いて説明する。
【0028】
図8(1)は、図8(2)の水位計システム200のスロットケーブル210のF−F断面図である。図8(2)は、図8(1)のスロットケーブル210のG−G断面図である。図8に示すように、水位計システム200のスロットケーブル210は、スロットケーブル210に幅が約10mmのスロット構造の溝11(以下、スロット溝11という)を形成し、そのスロット溝11に光ファイバ43a、凹凸基材12、及び全反射ミラー5を収納している。また、スロットケーブル210は、表面を覆う表面素材13、中心軸14、及びスロット溝11以外の部分である内部素材15により形成されている。
【0029】
光ファイバ43aと全反射ミラー5は、実施形態1に同じである。スロット溝11は、スロットケーブル210の上部に形成される溝である。凹凸基材12は、上面部分と下面部分からなり、その上面部分と下面部分で光ファイバ43aを挟んでいる。凹凸基材12の上面部分は、水圧を光ファイバ43aに伝達し易い部材12a(以下、水圧伝達部材12aという)とその下側の凹凸部12bから形成されている。凹凸基材12の下面部分は、水圧伝達部材12cとその上側の凹凸部12dから形成されている。表面素材13は、スロットケーブル210の表面を被覆するためのもので、水圧が伝わり易い薄い素材である。中心軸14は、スロットケーブル210の中心に通され軸とするためのもので、鋼のような硬い素材である。内部素材15は、スロットケーブル210を形成するためにスロット溝11の外側部分に注入される素材で、ポリエチレンなどの樹脂である。
【0030】
このように、実施形態2の水位計システム200は、光ファイバ43aの上面と下面を凹凸基材12で挟み、スロットケーブル210の上部に形成したスロット溝11に収納することで、水圧の小さな変化でも押圧が光ファイバ43aにかかるので、水位の小さな変化を計測することができる。また、光ファイバ43aと全反射ミラー5をスロットケーブル210のスロット溝11に収納するので、汚染水などの水位を計測する場合でも、光ファイバ43aと全反射ミラー5を汚染水などによる浸食を防止できる。
【0031】
尚、本発明の実施形態1と実施形態2は、シンプルな構成で1箇所の水位を計測することができる水位計システムとしたが、複数箇所の水位を計測できるよう適用させることも可能である。図9に実施形態1と実施形態2を複数箇所の水位を計測できるように適用した水位計システム300の構成を示す。このような水位計システム300において、光ケーブル43に複数の光分岐カプラー16を接続し、各々の光分岐カプラー16と波長選択性ミラー17a、波長選択性ミラー17b、及び波長選択性ミラー17cを光ケーブル44で接続する。また、光ファイバ44aの水圧かかる部分については、図8に示すような凹凸基材12で挟み、波長選択性ミラー17a、波長選択性ミラー17b、波長選択性ミラー17cと凹凸基材12については、水位を測定する水底に設置される図6に示すような防水箱9に収納する。このような構成とすることで、光サーキュレータ3から出力される光が複数の光分岐カプラー16により分岐され、光ケーブル44を伝搬して波長選択性ミラー17a、波長選択性ミラー17b、波長選択性ミラー17cに到達する。また、波長選択性ミラー17a、波長選択性ミラー17b、波長選択性ミラー17cによってそれぞれ反射する波長が異なっており、複数の波長の異なる反射光が光分岐カプラー16と光サーキュレータ3を経由して光パワーメータ2に到達する。光パワーメータ2は、反射光の波長でどの光分岐カプラー16を経由して来た光かを識別でき、また、水位を測定する水底に設置される防水箱9の光ファイバ44aにかかる水圧による光パワーの損失を計測することができるので、複数地点の水位が計測可能となる。波長選択性ミラー17a、波長選択性ミラー17b、波長選択性ミラー17cについては、光を反射するFBG(Fiber Bragg Grating)とすることも可能である。
【0032】
更に、実施形態1と実施形態2を複数箇所の水位を計測できるように適用した他の水位計システム400の構成を図10に示す。図10に示す水位計システム400は、図9に示す水位計システム300における複数の光分岐カプラー16を複数の光サーキュレータ18に代え、波長選択性ミラー17a、波長選択性ミラー17b、及び波長選択性ミラー17cを全反射ミラー19に代え、更に光ケーブル43にFBG20a、FBG20b、及びFBG20cを設けている以外は、水位計システム300の構成に同じである。このような構成の水位計システム400では、光サーキュレータ3から出力される光が光ケーブル43を伝搬して光サーキュレータ18を通過すると、FBG20a、FBG20b、及びFBG20cに到達する。FBG20a、FBG20b、及びFBG20cは、所定の波長と同じ波長の光のみを反射する特性があるので、反射波長の異なるFBG20a、FBG20b、及びFBG20cを用いることでそれぞれ特定の波長の光を各々の光サーキュレータ18に反射する。次いで、FBG20a、FBG20b、及びFBG20cの各々により反射された反射光は、光サーキュレータ18から光ケーブル44を伝搬して全反射ミラー19に到達する。そして、全反射ミラー19によって反射された反射光が、光ケーブル44を伝搬し、光ケーブル43に設けられた光サーキュレータ18と光サーキュレータ3を経由して光パワーメータ2に到達する。光パワーメータ2は、反射光の波長でどの光サーキュレータ18を経由して来た光かを識別でき、また、水位を測定する水底に設置される防水箱9の光ファイバ44aにかかる水圧による光パワーの損失を計測することができるので、複数地点の水位が計測可能となる。
【0033】
以上のように、本発明の水位計システムによれば、シンプルな構成で水位を計測し、更に高精度で高速応答が可能な水位計システムを提供することができる。また、堅牢性、汚染水などの浸食に対する耐食性、及び故障や劣化に対する信頼性に対する対策を必要最小限にすることができるので、メンテナンスを極力行わないメンテナンスフリーとすることが可能になる。
【符号の説明】
【0034】
1・・・光源
2・・・光パワーメータ
3・・・光サーキュレータ
5・・・全反射ミラー
6・・・屈曲部
7・・・屈曲部
8・・・凹凸基材
8a・・基材
8b・・凹凸部
9・・・防水箱
10・・・光ケーブル
11・・・スロット溝
12・・・凹凸基材
12a・・水圧伝達部材
12b・・凹凸部
12c・・水圧伝達部材
12d・・凹凸部
13・・・表面素材
14・・・中心軸
15・・・内部素材
16・・・光分岐カプラー
17a・・波長選択性ミラー
17b・・波長選択性ミラー
17c・・波長選択性ミラー
18・・・光サーキュレータ
19・・・全反射ミラー
20a・・FBG
20b・・FBG
20c・・FBG
31・・・ポート
32・・・ポート
33・・・ポート
41・・・光ケーブル
42・・・光ケーブル
43・・・光ケーブル
43a・・光ファイバ
44・・・光ケーブル
44a・・光ファイバ
100・・・水位計システム
110・・・押圧構造
200・・・水位計システム
210・・・スロットケーブル
300・・・水位計システム
400・・・水位計システム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光源と、
前記光源から入射する光を反射光として反射する反射手段と、
前記光と前記反射光を伝搬する光ファイバと、
前記反射光の光パワーを測定する光パワー測定手段と、前記光ファイバを挟む凹凸基材とを備えた
ことを特徴とする水位計システム。
【請求項2】
前記光ファイバ、前記反射手段及び前記凹凸基材が防水された収納箱に収納されていることを特徴とする請求項1に記載の水位計システム。
【請求項3】
前記光ファイバが渦巻き状の状態でかつ前記凹凸基材に挟まれた状態で前記収納箱に収納されていることを特徴とする請求項2に記載の水位計システム。
【請求項4】
前記収納箱の表面は、撓みが発生し易い素材で作られていることを特徴とする請求項2または請求項3に記載の水位計システム。
【請求項5】
光源と、
前記光源から入射する光を反射光として反射する反射手段と、
前記光と前記反射光を伝搬する光ファイバと、
前記反射光の光パワーを測定する光パワー測定手段と、
前記光ファィバを挟む凹凸基材と、
溝を有するケーブルを備え、
前記光ファイバ及び前記凹凸基材を前記溝に収納することを特徴とする水位計システム。
【請求項6】
前記反射手段を前記溝に収納することを特徴とする請求項5に記載の水位計システム。
【請求項7】
前記凹凸基材が水圧伝達部材で挟まれていることを特徴とする請求項5または請求項6に記載の水位計システム。
【請求項8】
前記ケーブルの表面は、撓みが発生し易い素材で作られていることを特徴とする請求項5から請求項7のいずれか1項に記載の水位計システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2013−36775(P2013−36775A)
【公開日】平成25年2月21日(2013.2.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−171071(P2011−171071)
【出願日】平成23年8月4日(2011.8.4)
【出願人】(303040585)株式会社オーシーシー (47)
【Fターム(参考)】