説明

水処理システムの運転方法

【課題】前処理装置と逆浸透膜装置(以下「RO装置」という。)の各々制御を連携させることにより、前処理装置の再生処理中にもブロー処理を行えるようにし、これにより被処理水が無駄に排水されるのを極力避けつつ、逆浸透膜の詰まりを防止することができるようにした。
【解決手段】前処理装置は、(a)に示すように、通水と再生とを繰り返す。一方、RO装置は、(b)に示すように、処理水タンクの水位に応じて給水、待機を繰り返し、再生処理中は断水状態となる。そして、前処理装置の再生処理中は処理水タンク内の処理水の一部をRO装置に送還し、該処理水を使用してブローし、RO装置に滞留している濃縮水を排水する。一方、前処理装置の非再生処理中は、待機状態が一定時間以上持続し、所定長時間t2(t2≫t1)となった時点でブローし濃縮水をRO装置から排水する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は水処理システムの運転方法に関し、より詳しくは原水中に含まれる不純物を予め除去して被処理水を生成する前処理装置と、該前処理装置から給水される被処理水を逆浸透膜(以下、「RO膜」という。)を使用して処理する逆浸透膜装置(以下、「RO装置」という。)とを備えた水処理システムの運転方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、蒸気ボイラや温水ボイラ等では水源として濃縮水を含まない純度の高い水が必要とされ、そのための装置としてRO装置が広く使用されている。
【0003】
図5はRO装置の動作原理を示した模式図である。
【0004】
すなわち、RO装置にはRO膜101と呼称される半透膜が設けられており、図5(a)の矢印Xに示すように、浸透圧より高い圧力を被処理水側102から負荷すると、水はRO膜101を透過する一方で、イオンや塩類等、水以外の成分はRO膜101を透過せず、これにより純度の高い処理水と濃縮水とに分離することができる。
【0005】
そして、給水停止直後は、図5(b)に示すように、RO膜101を介して濃縮水と被処理水とに分離された状態となるが、給水停止後、しばらく放置すると、RO膜101を透過しなかった有機物が堆積してファウリングが生じたり、図5(c)に示すように、カルシウムやシリカ等の無機物がRO膜101にスケール103となって析出(以下、「スケーリング」という。)し、RO膜101の詰まりを招く。このため高価なRO膜101を頻繁に交換しなければならなくなり、保守・点検作業が煩雑になるばかりか、経済的負担も大きくなる。
【0006】
そこで、従来より、RO装置への給水を停止した直後にブロー処理(濯ぎ)を行い、RO膜101でファウリングやスケーリングが生じる前に濃縮水を排出することが行われていた。
【0007】
図6は、RO装置の運転タイムチャートである。
【0008】
すなわち、RO装置の後段には、通常、処理水を貯留する処理水タンクが配されており、処理水タンクの水位レベルに応じてRO装置に被処理水を給水し又は給水を停止している。したがって、通常は給水、待機(給水停止)を繰り返すこととなるが、待機状態を長時間放置すると、RO膜101には上述の如くファウリングやスケーリングが生じることから、給水停止直後にRO装置に被処理水を供給し、ブロー処理を行っている。
【0009】
しかしながら、上記のような方法では、給水が停止する毎に被処理水を使用してブロー処理を行なうこととなるため、本来は有用な被処理水が無駄に排水されることとなる。特に、短時間で給水と待機を繰り返すような運転プロファイルの場合、大量の被処理水が無駄に排水されることとなり、省資源化の観点からも好ましくない。
【0010】
そこで、従来より、被処理水を濾過する過程で逆浸透膜部に発生した懸濁物質濃縮排水を、積算時間毎にブローするようにした逆浸透膜部の目詰まり防止方法が提案されている(特許文献1)。
【0011】
図7は特許文献1における運転タイムチャートである、
すなわち、特許文献1では、給水終了直後に毎回ブロー処理を行うのではなく、給水終了後、待機状態が所定時間t1′を経過した時のみ、ブロー処理を行い、所定時間t1′に達しない場合、例えばt2′(t2′<t1′)のときはブロー処理を行わないようにし、被処理水が無駄に排水されるのを極力避けつつ、RO膜101が損傷するのを防止している。
【0012】
【特許文献1】特開2005−279461号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
ところで、この種の水処理システムでは、RO装置の前段に活性炭濾過装置や軟水装置等の前処理装置を設け、原水に含まれる残留塩素や硬度成分等の不純物を前処理装置で予め除去することが行われる。
【0014】
この前処理装置では、一定時間毎に再生処理が行われるため、所定の前処理と再生処理とが繰り返されることとなる。しかし、前処理装置の再生処理中はRO装置への給水が停止し、RO装置は断水状態となるため、ブロー処理を行うことができない。したがって、再生処理に長時間を要し、かつ特許文献1のように積算時間毎にブロー処理を行うようにした場合は、RO膜101でファウリングやスケーリングが生じやすい状態で長時間放置されることとなる。このためRO膜101でファウリングやスケーリングが進行し、RO膜101の詰まりを招く。
【0015】
特に、複数の前処理装置が設けられている場合は、各前処理装置の再生処理が時間的に重ならないようにシステム設計されているため、RO装置は長時間に亙って断水状態となることがある。したがって、ブロー処理も長時間行うことができなくなり、このためRO膜101でファウリングヤスケーリングが一層進行するおそれがある。
【0016】
斯かる事態を回避する方法としては、前処理装置とRO装置との間に別途ブロー処理用の給水タンクを設け、前処理装置の再生処理中にもブロー処理を行なえるようにすることが考えられる。
【0017】
しかし、このような方法では、給水タンクを設置するためのスペースが別途必要となり、システムの大型化を招いたりコストアップを招くおそれがある。
【0018】
また、再生処理を考慮してRO装置のブロー処理を別途外部から制御するようにすると、使用形態毎に個別に制御方法を構築しなければならず、統一的なシステム設計をすることが困難である。
【0019】
また、前処理装置とRO装置とは、通常、それぞれ独自のタイミングで運転駆動されるため、RO装置への給水中に前処理装置が再生処理に入いるおそれがある。したがって、前処理装置とRO装置の各々制御を或る程度連携させてブロー処理を行うシステムを構築するのが望ましい。
【0020】
本発明はこのような事情に鑑みなされたものであって、前処理装置とRO装置の各々制御を連携させることにより、前処理装置の再生処理中にもブロー処理を簡単に行えるようにし、これにより被処理水を無駄に排水するのを避けつつ、RO膜の詰まりを極力防止することができる水処理システムの運転方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0021】
上記目的を達成するために本発明に係る水処理システムの運転方法は、原水中に含まれる不純物を予め除去して被処理水を生成する前処理装置と、前記前処理装置から給水される被処理水をRO膜を介して処理し処理水と濃縮水とに分離するRO装置と、前記処理水を貯溜する処理水タンクとを備え、前記前処理装置が再生処理を行うように構成された水処理システムの運転方法であって、前記処理水タンクに貯留された処理水の一部を前記RO装置に送還させる送還手段を設け、前記前処理装置が非再生処理中であってRO装置への被処理水の給水が一定時間以上停止しているときは、前記被処理水を前記RO装置に一時的に供給して濃縮水のブロー処理を行い、前記前処理装置が再生処理中のときは、前記処理タンク内の処理水の一部を前記送還手段を介して前記RO装置に供給し濃縮水のブロー処理を行うことを特徴としている。
【0022】
また、本発明の水処理システムの運転方法は、前記前処理装置を、複数備えていることを特徴としている。
【0023】
さらに、本発明の水処理システムの運転方法は、前記前処理装置が、前記原水中の懸濁物質を除去する砂濾過装置、前記原水中の鉄分及びマンガン成分を除去する除鉄除マンガン装置、前記原水中の残留塩素及び有機物を除去する活性炭濾過装置、及び前記原水中の硬度成分を除去する軟水装置の中から選択されることを特徴としている。
【発明の効果】
【0024】
上記水処理システムの運転方法によれば、処理水タンクに貯留された処理水の一部をRO装置に送還させる送還手段を設け、前処理装置が非再生処理中であってRO装置への被処理水の給水が一定時間以上停止しているときは、被処理水をRO装置に供給して濃縮水のブロー処理を行い、前処理装置が再生処理中のときは、処理タンク内の処理水の一部を前記送還手段を介してRO装置に供給し濃縮水のブロー処理を行うので、非再生処理中のみならず、前処理装置の再生処理中にも簡単にブロー処理を行うことができ、RO膜の詰まりを極力防止することができる。また、前処理装置が非再生処理中のときは、RO装置への被処理水の給水が一定時間以上停止しているときに行われるので、ブロー処理が必要以上に行われることもなく、被処理水が無駄に排水されることもない。
【0025】
このように本発明によれば、ブロー処理用に別途給水タンク等を設ける必要もなく、被処理水が無駄に排水されるのを避けつつRO膜の詰まりを極力防止することができる運転方法を低コストで実現することができる。
【0026】
特に、水処理システムが複数の前処理装置を備えている場合のように、再生処理によりRO装置が長時間給水停止状態にあるときでも、前記送還手段を介して処理タンク内の処理水の一部をRO装置に供給し濃縮水のブロー処理を行うので、RO膜の詰まりを効果的に抑制することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
次に、本発明の実施の形態を図面に基づき詳説する。
【0028】
図1は本発明の運転方法が実施される水処理システムの一実施の形態(第1の実施の形態)を示すシステム構成図である。
【0029】
この水処理システムは、原水を汲み上げる原水ポンプ1と、原水中に含まれる不純物を予め除去して被処理水を生成する前処理装置2と、該前処理装置2の制御を司るシステム制御部3と、前処理装置2からの被処理水を供給して処理するRO装置4と、RO装置4からの処理水を貯留する処理水タンク5とを備えている。前処理装置2の頭頂部には自動再生バルブユニット6が装着されており、通水処理の内部流路と再生処理の内部流路とが切替可能に構成されている。
【0030】
RO装置4は、芳香族ポリアミドや酢酸セルロース等で形成されたRO膜が内蔵され、被処理水を処理水と濃縮水とに分離するRO装置本体4aと該RO装置本体4aを制御するRO制御部4bとを備えている。RO装置本体4aの底部には第1の排水管8が接続され、ブロー処理された濃縮水が排水バルブ9を介して排水されるように構成されている。
【0031】
また、処理水タンク5の下部側面には圧力検知式の水位センサ17が設けられると共に、該水位センサ17はRO制御部4bと電気的に接続され、処理水タンク5の水位がRO制御部4bによって制御される。
【0032】
そして、原水ポンプ1と前処理装置2の自動再生バルブユニット6とは配管10を介して接続され、該自動再生バルブユニット6とRO装置本体4aとは配管11及び給水バルブ12を介して接続され、さらにRO装置本体4aと処理水タンク5とは配管13を介して接続されている。また、自動再生バルブユニット6には第2の排水管7が接続され、濾材等の再生及び洗浄に使用された水が排水されるように構成されている。
【0033】
さらに、処理水タンク5の底部と配管11とは、管路中に送還バルブ15が介装された配管(送還手段)16により給水バルブ12の下流側で接続され、処理水タンク5内の処理水の一部が必要に応じてRO装置本体4aに送還されるように構成されている。
【0034】
そして、原水ポンプ1、自動再生バルブユニット6、及びRO制御部4bはシステム制御部3と電気的に接続されている。RO制御部4bはシステム制御部3に原水ポンプ運転信号aを送信し、該原水ポンプ運転信号aを受信したシステム制御部3は原水ポンプ1に駆動信号bを送信する。また、自動再生バルブユニット6にはタイマが内蔵されており、該タイマが所定の設定時刻を計時すると、前処理装置2は再生処理に突入し、再生中信号cをシステム制御部3に送信する。さらに、再生中信号cを受信したシステム制御部3はRO制御部4bに運転不許可信号dを送信し、前処理装置2の再生処理中はRO装置本体4aへの給水を強制的に遮断する。このように前処理装置2とRO装置4とは連携して運転するように構成されている。
【0035】
尚、前処理装置2としては、原水中の懸濁物質を除去する砂濾過装置、原水中の鉄分及びマンガン成分を除去する除鉄除マンガン装置、原水中の残留塩素及び有機物を除去する活性炭濾過装置、原水中の硬度成分を除去する軟水装置等があるが、本実施の形態では一例として活性炭濾過装置が使用されている。
【0036】
このように構成された水処理システムでは、以下のように運転駆動される。
【0037】
すなわち、RO制御部4bから原水ポンプ運転信号aがシステム制御部3に送信されると、原水ポンプ運転信号aを受信したシステム制御部3はポンプ駆動信号bを原水ポンプ1に送信する。そしてこれにより、原水が前処理装置2(活性炭濾過装置)に供給され、該前処理装置2で原水中の残留塩素や有機物が除去された後、被処理水としてRO装置本体4aに供給される。そして、RO装置本体4a内のRO膜の作用により処理水と濃縮水とに分離され、処理水が処理水タンク5に貯留される。
【0038】
そして、処理水タンク5内の処理水の水位が上限レベルに達すると、その信号が水位センサ17からRO制御部4bに送信され、給水バルブ12が閉弁されてRO装置本体4aへの被処理水の供給が停止し、給水待機状態となる。一方、処理水タンク5内の処理水の水位が低下すると、再び給水バルブ12が開弁してRO装置本体4aには前処理装置4から被処理水が給水される。
【0039】
このようにRO装置本体4aは処理水タンク5の水位に応じて給水・待機を繰り返すこととなる。
【0040】
また、自動再生バルブユニット6に内蔵されたタイマが設定時刻を計時し、前処理装置2が再生処理に突入すると、再生中信号cが前処理装置2からシステム制御部3に送信される。そして、再生中信号cを受信したシステム制御部3はRO制御部4bに運転不許可信号dを送信し、給水バルブ12を閉弁し、RO装置本体4aへの給水を停止する。また、前処理装置2からの水は第2の排水管7から排水される。
【0041】
そして、本実施の形態では、上述したように前処理装置2とRO装置4とが連携をとりながら必要に応じてブロー処理を行っている。
【0042】
図2は前処理装置2とRO装置4の運転タイムチャートである。
【0043】
前処理装置2は、図2(a)に示すように、通水と再生とを繰り返している。すなわち、上述したように原水ポンプ1の駆動により前処理装置2には原水が供給され、所定時間経過後に再生処理を行い、再生処理が終了すると原水が再び供給される。
【0044】
一方、RO装置4は、図2(b)に示すように、処理水タンク5の水位に応じて給水、待機を繰り返す一方、再生処理中は被処理水は供給されず、断水状態となる。
【0045】
そして、待機状態が所定短時間t1のときは、ブロー処理を行わずに次回給水を待機し、待機状態が一定時間以上持続し、所定長時間t2(t2≫t1)となった時点で給水バルブ12及び排水バルブ9を一時的に開弁し、RO装置本体4a内の濃縮水をブローして第1の排水管8から排水している。
【0046】
一方、前処理装置2が再生処理に突入し、RO装置4に被処理水が給水されなくなった時点で、送還バルブ15を開弁し、処理水の一部を配管16を介してRO装置本体4aに送還し、排水バルブ9を開弁し、ブロー処理を行ってRO装置本体4aに滞留している濃縮水を第1の排水管8から排水する。
【0047】
このように本実施の形態では、前処理装置2が非再生処理中は、被処理水をRO装置本体4aに一時的に供給して濃縮水のブロー処理を行い、一方、前処理装置2が再生処理に突入したときは、処理タンク5内の処理水の一部を配管16を介してRO装置本体4aに供給し濃縮水のブロー処理を行っているので、前処理装置の再生処理中にも簡単にブロー処理を行うことができる。また、前処理装置が非再生処理中のときは、RO装置への被処理水の給水が一定時間以上停止しているときに行われるので、ブロー処理が必要以上に行われることもなく、被処理水が無駄に排水されることもない。
【0048】
このように本第1の実施の形態では、ブロー処理用に別途給水タンク等の設備を設ける必要もなく、被処理水が無駄に排水されるのを避けつつRO膜の詰まりを極力防止することができる運転方法を低コストで実現することができる。
【0049】
図3は本発明の運転方法が実施される水処理システムの第2の実施の形態を示すシステム構成図である。
【0050】
すなわち、本第2の実施の形態では、前処理装置として除鉄除マンガン装置20a、活性炭濾過装置20b、及び軟水装置20cが直列に連設され、これらの前処理装置20a〜20cで前処理装置群20を構成している。
【0051】
そして、原水ポンプ1と除鉄除マンガン装置20aとは配管21を介して接続され、除鉄除マンガン装置20aと活性炭濾過装置20bとは配管22を介して接続され、活性炭濾過装置20bと軟水装置20cとは配管23を介して接続され、軟水装置20cとRO装置本体4aとは配管24及び給水バルブ12を介して接続されている。また、各前処理装置20a〜20cの各自動再生バルブユニット6a〜6cは、第1の実施の形態と同様、それぞれタイマが内蔵されると共に、システム制御部25と電気的に接続され、再生中信号c1〜c3がシステム制御部25に送信される。さらに、各自動再生バルブユニット6a〜6cには、それぞれ第2の排水管7a〜7cが接続され、各前処理装置20a〜20cにおいて濾材等の再生及び洗浄に使用された水が排水されるように構成されている。
【0052】
このように構成された水処理システムでは、上記第1の実施の形態と同様、RO制御部4bから原水ポンプ運転信号aがシステム制御部3に送信されると、原水ポンプ運転信号aを受信したシステム制御部25はポンプ駆動信号bを原水ポンプ1に送信する。そしてこれにより、原水は薬剤としての次亜塩素酸ナトリウム26と共に除鉄除マンガン装置20aに供給され、該除鉄除マンガン装置20aで原水中に含まれる鉄分及びマンガン成分が除去される。次いで、鉄分及びマンガン成分が除去された原水は、活性炭濾過装置20bに供給され、該活性炭濾過装置20bで原水中に含まれる残留塩素や有機物が除去される。次いで、鉄分、マンガン成分、残留塩素、有機物等が除去された原水は軟水装置20cに供給され、該軟水装置20cで原水中の硬度分が除去されて被処理水が生成される。そして該被処理水はRO装置本体4aに供給され、第1の実施の形態と同様、RO装置本体4a内のRO膜の作用により処理水と濃縮水とに分離され、処理水が処理水タンク5に貯留される。
【0053】
一方、各自動再生バルブユニット6a〜6cに内蔵されたタイマが設定時刻を計時すると、各前処理装置20a〜20cは再生処理に突入し、再生中信号c1〜c3がシステム制御部25に送信される。そして、再生中信号c1〜c3を受信したシステム制御部25はRO制御部4bに運転不許可信号dを送信し、給水バルブ12を閉弁し、RO装置本体4aへの給水を停止し、各前処理装置20a〜20cからの水はそれぞれ第2の排水管7a〜7cから排水される。
【0054】
尚、各自動再生バルブユニット6a〜6cのタイマの設定時刻は、再生処理が時間的に重ならないように設定されている。
【0055】
そして、本第2の実施の形態でも、上記第1の実施の形態と同様、前処理装置群20とRO装置4とが連携をとりながら必要に応じてブロー処理を行っている。
【0056】
図4は前処理装置群20の各前処理装置20a〜20cとRO装置4の運転タイムチャートである。
【0057】
すなわち、図4(a)〜(c)に示すように、まず最初に軟水装置20cが再生処理に入り、該軟水装置20cが再生処理中のときは、活性炭濾過装置20b及び除鉄除マンガン装置20aには原水が供給される。そして、軟水装置20cの再生処理が終了すると軟水装置20cは断水状態となって活性炭濾過装置20bの再生処理が行われる。さらに、活性炭濾過装置20bの再生処理が終了すると、該活性炭濾過装置20cは断水状態となり且つ軟水装置20cは断水状態を持続し、除鉄除マンガン装置20aの再生処理が行われる。
【0058】
このように本第2の実施の形態では、前処理装置群20における再生処理は、互いに時間的に重ならないように、軟水装置20c→活性炭濾過装置20b→除鉄除マンガン装置20aの順番で逐次連続的に実行される。
【0059】
そして、これら各前処理装置20a〜20cの一連の今回再生処理が終了すると給水バルブ12が開弁して被処理水がRO装置本体4aに供給されることとなる。
【0060】
本第2の実施の形態では、軟水装置20c、活性炭濾過装置20b、除鉄除マンガン装置20aが逐次連続的に再生処理を行っているため、この再生処理期間中、RO装置本体4aへの給水は停止され、断水状態となる。
【0061】
そこで、第1の実施の形態と同様、RO装置4に被処理水が供給されなくなった時点で、送還バルブ15を開弁し、処理水の一部を配管16を介してRO装置本体4aに送還すると共に、排水バルブ9を開弁し、ブロー処理を行ってRO装置本体4aに滞留している濃縮水を第1の排水管8から排水している。
【0062】
このように本第2の実施の形態では、各前処理装置20a〜20cが非再生処理中は、被処理水をRO装置本体4aに一時的に供給して濃縮水のブロー処理を行い、一方、前処理装置20a〜20cのうちのいずれか(本第2の実施の形態では軟水装置20c)が再生処理に突入したときは、処理タンク5内の処理水の一部を配管16を介してRO装置本体4aに供給し濃縮水のブロー処理を行っているので、別途ブロー処理用タンク等を要することなく前処理装置群20の再生処理中にもブロー処理を間単に行うことができる。そして、被処理水を無駄に捨てるのを避けつつ、高価なRO膜の詰まりを極力防止することが可能な運転方法を低コストで実現することができる。
【0063】
尚、本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく、要旨を逸脱しない範囲において変更可能なことはいうまでもない。上記第1及び第2の実施の形態では、再生処理の突入時にブロー処理を行っているが、RO装置本体4aへの給水が停止している再生処理中であればよく、再生処理の突入時に限定されるものではない。
【0064】
また、上記第2の実施の形態では、各前処理装置20a〜20cの再生処理を逐次連続的に行っているが、各前処理装置20a〜20c間で一定の間隔を有して再生処理をおこなってもよい。また、再生処理の順番も必要に応じて変更可能なのはいうまでもない。
【0065】
また、前処理装置の個数についても、4段以上の多段構成とした場合も適用できるのはいうまでもない。特に、本発明では、前処理装置とRO装置とを連携させて運転を制御していることから、より効果的である。
【0066】
また、上記各実施の形態では、水位センサとして圧力検知式のものを使用しているが、フロートスィッチ等、他の水位センサを使用してもよいのはいうまでもない。
【図面の簡単な説明】
【0067】
【図1】本発明の運転方法が実施される水処理システムの一実施の形態(第1の実施の形態)を示すシステム構成図である。
【図2】第1の実施の形態における前処理装置2とRO装置4の運転タイムチャートである。
【図3】本発明の運転方法が実施される水処理システムの第2の実施の形態を示すシステム構成図である。
【図4】第1の実施の形態における前処理装置2とRO装置4の運転タイムチャートである。
【図5】RO装置の動作原理を説明するための模式図である。
【図6】従来より行われている一般的なRO装置の運転タイムチャートである。
【図7】特許文献1の方法でブロー処理を行った場合のRO装置の運転タイムチャートである。
【符号の説明】
【0068】
2 前処理装置
4 RO装置
5 処理水タンク
16 配管(送還手段)
20a 除鉄除マンガン装置
20b 活性炭濾過装置
20c 軟水装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
原水中に含まれる不純物を予め除去して被処理水を生成する前処理装置と、前記前処理装置から給水される被処理水を逆浸透膜を介して処理し処理水と濃縮水とに分離する逆浸透膜装置と、前記処理水を貯溜する処理水タンクとを備え、前記前処理装置が再生処理を行うように構成された水処理システムの運転方法であって、
前記処理水タンクに貯留された処理水の一部を前記逆浸透膜装置に送還させる送還手段を設け、
前記前処理装置が非再生処理中であって前記逆浸透膜装置への被処理水の給水が一定時間以上停止しているときは、前記被処理水を前記逆浸透膜装置に一時的に供給して濃縮水のブロー処理を行い、
前記前処理装置が再生処理中のときは、前記処理タンク内の処理水の一部を前記送還手段を介して前記逆浸透膜装置に供給し濃縮水のブロー処理を行うことを特徴とする水処理システムの運転方法。
【請求項2】
前記前処理装置を、複数備えていることを特徴とする請求項1記載の水処理システムの運転方法。
【請求項3】
前記前処理装置は、前記原水中の懸濁物質を除去する砂濾過装置、前記原水中の鉄分及びマンガン成分を除去する除鉄除マンガン装置、前記原中の残留塩素及び有機物を除去する活性炭濾過装置、及び前記原水中の硬度成分を除去する軟水装置の中から選択することを特徴とする請求項1又は請求項2記載の水処理システムの運転方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2008−246281(P2008−246281A)
【公開日】平成20年10月16日(2008.10.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−87185(P2007−87185)
【出願日】平成19年3月29日(2007.3.29)
【出願人】(000175272)三浦工業株式会社 (1,055)
【出願人】(504143522)株式会社三浦プロテック (488)
【Fターム(参考)】