説明

水処理ユニットおよび水処理装置

【課題】糖類の除去率を向上することか可能な水処理ユニットおよび水処理装置を提供する。
【解決手段】水処理ユニット3は、逆浸透膜を用いた水処理を行う水処理装置において使用可能である。該水処理ユニット3は、ケーシング30と、該ケーシング30内に装着されプリーツ状に屈曲された分離膜31と、分離膜31に装着され分離膜を補強する機能を有する補強部材と、分離膜31を回転させる回転機構42と、分離膜31を洗浄可能な洗浄装置41とを備える。分離膜31は、複数の島状部と、島状部から延び島状部よりも細幅である繊維状の複数の繊維状部とを有し、膜表面における繊維状部の面積を島状部の面積よりも大きくする。水処理装置は、被処理水に前処理を施すことが可能であり上述の構成を有する第1水処理ユニットと、被処理水に本処理を施すことが可能な第2水処理ユニットとを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水処理ユニットおよび該水処理ユニットを備えた水処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、逆浸透膜を使用した水処理装置は知られている。このタイプの水処理装置で、海水を淡水化する場合には、一般に逆浸透膜による処理の前に、原水から濁質やTEP(Transparent Exopolymer Particles:透明細胞外高分子粒子)等の有機性粒子を除去する前処理が行われる。
【0003】
この前処理において使用可能な前処理装置の一例が、たとえば特許第4525857号公報に記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第4525857号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許第4525857号公報に記載の前処理装置によれば、小さな設置面積で大きな処理量を得ることができ、かつ有機性粒子をも効果的に除去することができる。ここで、特許第4525857号公報に記載の前処理装置において使用された分離膜は、図5に模式的に示されるように、島状のノード5と、該ノード5を接続する極細の繊維状のフィブリル6とで主に構成される。
【0006】
本願発明者等は、前処理において糖類、特にTEPのように水で膨潤してゼリー状になった糖類を有効に除去可能な分離膜の構造について鋭意研究したところ、ノード5とフィブリル6との割合が、糖類の除去率に影響することを見出した。
【0007】
そこで、本発明は、ノード(島状部)やフィブリル(繊維状部)の割合が調整された分離膜を用い、被処理水からの糖類の除去率を向上することが可能な水処理ユニットおよび水処理装置(水処理システム)を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る水処理ユニットは、逆浸透膜を用いた水処理を行う水処理装置において使用可能である。該水処理ユニットは、ケーシングと、該ケーシング内に装着されプリーツ状に屈曲された分離膜と、分離膜に装着され分離膜を補強する機能を有する補強部材と、分離膜を回転させる回転機構と、分離膜を洗浄可能な洗浄装置とを備える。そして、分離膜は、複数の島状部と、島状部から延び島状部よりも細幅である繊維状の複数の繊維状部とを有し、膜表面における繊維状部の面積を島状部の面積よりも大きくする。
【0009】
上記補強部材の厚みを分離膜の厚みよりも大きくし、補強部材の水透過度を分離膜の水透過度よりも大きすることが好ましい。上記分離膜は、例えば疎水性膜で構成可能であり、補強部材は、金属メッシュ部材、不織布、織物から選ばれる少なくとも1種で構成可能である。
【0010】
被処理水からの糖類の除去率が50%以上であることが好ましい。上記分離膜の膜表面における繊維状部の面積は、島状部の面積の5倍以上とすることが好ましい。
【0011】
上記洗浄装置は、好ましくは、ケーシング内に洗浄液を供給可能な洗浄液供給手段と、分離膜に超音波を供給可能な超音波供給手段と、分離膜に水流や気泡流を供給可能な水流・気泡流供給手段との少なくとも1つを含む。
【0012】
本発明に係る水処理装置(水処理システム)は、逆浸透膜を用いた水処理を行うものである。該水処理装置は、被処理水に前処理を施すことが可能な第1水処理ユニットと、被処理水に本処理を施すことが可能な第2水処理ユニットとを備える。そして、第1水処理ユニットは、ケーシングと、該ケーシング内に装着されプリーツ状に屈曲された分離膜と、分離膜に装着され該分離膜を補強する機能を有する補強部材と、分離膜を回転させる回転機構と、分離膜を洗浄可能な洗浄装置とを含む。上記分離膜は、複数の島状部と、該島状部から延び島状部よりも細幅である繊維状の複数の繊維状部とを有し、膜表面における繊維状部の面積を島状部の面積よりも大きくする。
【発明の効果】
【0013】
本願発明等は、分離膜において、膜表面における繊維状部の面積を島状部の面積よりも大きくすること、つまり分離膜を繊維状部主体の膜とすることで、被処理水における糖類の除去率を向上できることを知得した。本発明に係る水処理ユニットおよび水処理装置(水処理システム)では、このような分離膜を使用しているので、被処理水からの糖類の除去率を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の1つの実施の形態における水処理装置(水処理システム)を示すブロック図である。
【図2】本発明の1つの実施の形態における水処理ユニットを示す断面図である。
【図3】(a)は、図2のIII−III線に沿う断面図であり、(b)は、(a)に示す断面図におけるノズル近傍の拡大図である。
【図4】本発明の1つの実施の形態における分離膜表面の部分拡大写真である。
【図5】従来の分離膜表面の一部の構造例を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施の形態について図1〜図5を用いて説明する。
本実施の形態の水処理装置(水処理システム)1は、逆浸透膜を用いて水処理を行う装置である。該水処理装置1は、海水、地下水、排水等の様々な不純物が含まれる水の処理に使用可能であるが、海水の淡水化処理に有用である。
【0016】
上記水処理装置1は、図1に示すように、ポンプ2と、被処理水に前処理を施すことが可能な第1水処理ユニット3と、被処理水に本処理を施すことが可能な第2水処理ユニット4と、逆浸透膜に高圧で逆水を与えるポンプ7とを備える。ポンプ2は、第1水処理ユニット3の前段に配置され、該ポンプ2により、図中の矢印に従う方向に被処理水(生産水)が送られることとなる。
【0017】
図1に示す水処理装置1では、例えば海水を、第1水処理ユニット3に送り込み、第1水処理ユニット3の分離膜(濾過膜)に通すことにより前処理を行う。それにより、海水中の有機性粒子や無機固形物を濾過して除去する。このように前処理が施された海水を、第2水処理ユニット4に送り込み、第2水処理ユニット4の逆浸透膜(図示せず)に通して脱塩する。それにより、海水から淡水を得ることができる。
【0018】
上記第1水処理ユニット3は、単数のユニットで構成してもよく、複数のユニットで構成してもよい。つまり、1段濾過の構成を採用してもよく、2段以上の濾過を行う複数段濾過の構成を採用してもよい。例えば、2段濾過を採用する場合、数μm程度の平均孔径を有する分離膜を用いた第1の濾過と、精密濾過(Microfiltration:MF)もしくは限外濾過(Ultrafiltration:UF)を用いた第2の濾過とを行うことが考えられる。
【0019】
第1水処理ユニット3は、図2に示すように、ケーシング30と、該ケーシング30内に装着されプリーツ状に屈曲された分離膜31と、分離膜31に装着され分離膜31を補強する機能を有する補強部材と、分離膜を回転させる回転機構42と、ケーシング30に装着され分離膜31を洗浄可能な洗浄装置41とを備える。分離膜31には、中空糸、メンブレンのいずれも用いることができるが、ここではメンブレンを用いる場合を示す。
【0020】
ケーシング30は、例えば角形や円筒形状を有し、必要とされる機械的強度を有するものであれば任意の材質で構成可能である。該ケーシング30は、蓋部32と、側壁部と、テーパ形状の底部33とを有する。図2の例では、蓋部32に、分離膜31を回動可能な回転機構42が装着され、底部33には排出流路39が設けられている。ケーシング30の側壁部には、該ケーシング30内に被処理水である海水を導入するための被処理水流路34が接続される。被処理水流路34の端部には、ノズル35が接続される。ノズル35の開口部は、分離膜31の外周面と対向するようにケーシング30内に配置される。上記開口部の形状は任意に設定可能であるが、図2の例では、矩形としている。また、図2の上下方向におけるノズル35の長さは、分離膜31の軸方向の長さと異ならせてもよいが、図2に示すように、これらを同程度の長さとしてもよい。このノズル35を介して、被処理水流路34からの被処理水を分離膜31に向けて噴流することができる。他方、排出流路39により、ケーシング30内に残余する未処理の海水等の不要な液体を排出することができる。
【0021】
回転機構42は、図2の例では、モータ36と、該モータから延びる回転軸36aとを有する。回転軸36aが、接続部材を介して分離膜31と接続され、この回転軸36aを介してモータ36からの動力を分離膜31に伝達し、分離膜31を時計回りあるいは反時計回りに回動することができる。
【0022】
分離膜31は、図3(a)に示すように、環状の形状を有し、回転機構42により回転可能にケーシング30内に装着される。分離膜31の上下面には、該分離膜31で囲まれる内部空間を、ケーシング30内の周囲の空間から水密に隔離する隔離部材が設置されている。分離膜31で囲まれる内部空間内に延在するように中心配管37が配設される。中心配管37は、取水穴37aを有しており、分離膜31によって濾過された後の濾過水が流れる濾過水流路38と接続される。
【0023】
分離膜31は、例えば、フッ素樹脂やポリオレフィン等の疎水性高分子材料で作製可能である。フッ素樹脂としては、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)等を挙げることができ、ポリオレフィンとしては、ポリエチレンや他のポリ−α−オレフィン等を挙げることができる。特に、PTFEを用いることで、高度にフィブリル構造が発達した膜を得ることができる。分離膜31の厚みは、例えば500μm以下程度であればよい。
【0024】
図4に示すように、本実施の形態の水処理装置1において使用される分離膜31は、島状部であるノードと、該ノードから延び該ノードよりも細幅である繊維状のフィブリルとを備える。図4の例では、多数のノードおよびフィブリルが存在するが、ノードの中には直線状あるいは曲線状に長く延びるものも存在する。本願発明では、このように直線状あるいは曲線状に長く延びるノードも、上記の「島状部」の概念に含まれるものと定義する。
【0025】
分離膜31では、例えば図4に示される膜表面におけるフィブリル(繊維状部)の面積をノード(島状部)の面積よりも大きくする。つまり、分離膜31をフィブリル主体の膜とする。好ましくは、フィブリルの面積をノードの面積の3倍以上とし、より好ましくは、5倍以上とする。図4の例では、フィブリルの面積は、ノードの面積の約5倍である。このように分離膜31をフィブリル主体の膜とすることにより、被処理水における糖類の除去率を向上することができる。例えば、分離膜31の表面におけるフィブリルの面積とノードの面積とを適切に調節することにより、被処理水における糖類の除去率を50%以上とすることができる。なお、フィブリルとノードの面積は、例えば分離膜31表面の顕微鏡写真を撮影し、該写真上での面積を測定すればよい。
【0026】
図4に示すように、分離膜31は、多数の微小の孔を有しているが、これらの孔の平均孔径は、例えば1〜10μmの範囲内、より好ましくは、2〜5μmの範囲内である。ここで、「分離膜31の平均孔径」とは、バブルポイント法(エアーフロー法)で求めた孔径を意味する。具体的には、この孔径は、イソプロピルアルコールを用いASTM F316に基づき測定されたIPAバブルポイント値(圧力)をP(Pa)、液体の表面張力(dynes/cm)をγ、Bを毛細管定数としたとき、d=4Bγ/Pで表わされる径d(μm)を意味する。
【0027】
次に、上述の分離膜31の製造方法について説明する。なお、以下には、PTFE製の分離膜31の製造方法について記載する。
【0028】
例えば、乳化重合によりPTFEの粉末を製造し、この粉末を、押出しにより膜状に成形する。その後、得られた膜を延伸し、熱処理を施すことにより分離膜31を製造することができる。ここで、PTFEの粉末の押出、延伸の条件を適宜調整することにより、分離膜31の平均孔径、機械的強度等を調節することができる。また、PTFE粉末の粒度、押出、延伸、熱処理の条件を調整することで、フィブリルの面積とノードの面積の割合をも調整することができる。
【0029】
図3(a)に示すように、分離膜31の内側には、補強部材40を装着する。この補強部材40により分離膜31を補強できるので、分離膜31の形状を保持することができる。このことも、被処理水における糖類の除去率の向上に寄与し得る。本実施の形態では、補強部材40は、分離膜31の裏面全面に装着されているが、分離膜31の裏面に選択的に補強部材40を設置することも可能である。例えば、補強部材40を格子状の形状とすることも可能である。また、本実施の形態では、補強部材40の数は単数であるが、複数の補強部材40を分離膜31に貼り付けることも考えられる。また、分離膜31の透過性能を妨げない格子状の補強部材40なら分離膜31の表面に複合化しても良い。
【0030】
補強部材40の厚みは、分離膜31の厚みよりも大きくすることが好ましい。それにより、分離膜31を効果的に補強することができる。しかし、水透過度については、補強部材40の水透過度を、分離膜31の水透過度よりも大きくすることが好ましい。それにより、補強部材40を設けた場合においても、分離膜31を通過する被処理水の量を確保することができる。補強部材40は、例えば、金属メッシュ部材、不織布、織物から選ばれる少なくとも1種で構成可能である。
【0031】
なお、図2および図3(a),(b)に示す形状の分離膜31および補強部材40を得るには、上述の手法で分離膜31を作製し、例えば不織布からなり分離膜31と同じ大きさの補強部材40を別途準備し、分離膜31と補強部材40とを重ね合わせて互いに接合し、接合された状態の分離膜31と補強部材40とを全体にわたって複数回折り曲げた後、これらの端部同士を接合すればよい。
【0032】
被処理水は、図3(b)に示すように、被処理水流路34を通過してノズル35の開口部から噴射され、分離膜31の外周面にジェット水流として当てられる。被処理水の一部は、分離膜31を通過し、補強部材40で囲まれる内部空間内に達する。この際に、分離膜31によって濾過されることとなる。分離膜31は、例えば50rpm程度の回転数で回転機構42により回転駆動されており、被処理水の他の部分(未処理水)は、ケーシング30内を分離膜31の回転と同方向に流れることとなる。分離膜31は、ノズル35からのジェット水流により洗浄される。つまり、本実施の形態の水処理ユニットによれば、分離膜31の表面を洗浄しながら被処理水を濾過することができる。濾過されなかった未処理水や、ケーシング30内に沈殿した濁質分等は、ケーシング30底部の排出流路39から順次排出される。他方、分離膜31により濾過された濾過水は中心配管37に設けられた取水穴37aを通して濾過水流路38に導かれ、第1水処理ユニット3の外部に流出することとなる。
【0033】
洗浄装置41としては、例えば、ケーシング30内に洗浄液を供給可能な洗浄液供給手段(図示せず)、分離膜31に超音波を供給可能な超音波供給手段(図示せず)、分離膜31に水流や気泡流を供給可能な水流・気泡流供給手段(図示せず)等を挙げることができる。水流・気泡流供給手段は、例えばジェット水流や気泡を含むジェット水流等を供給可能である。これらの各手段を単独で使用してもよく、これらを組合せて使用してもよい。また、上記各手段の数や設置位置も任意に選択可能である。
【0034】
洗浄液供給手段としては、ケーシング30内に洗浄液を供給可能なものであれば、周知の構成を採用可能である。洗浄液としては、次亜塩素酸、界面活性剤等が使用可能であるが、特に例えばリモネン(d−limonene:下記化学式1参照)含有水を挙げることができる。リモネン含有水は、分離膜31の内側の領域に、例えば30ppm〜1000ppm程度供給し、逆洗浄により膜に詰まったTEPや濁質等を取り除く。このようにリモネン含有水を分離膜31の内側の領域に供給して分離膜31の逆洗を行うことにより、分離膜31の目詰まりを効果的に除去することができる。特に、膜に絡み合ったTEPを浮かせて効果的に除去することができる。
【0035】
【化1】

【0036】
リモネン含有水による逆洗の後には、クエン酸水溶液や酢酸水溶液等の弱酸溶液や、イソプロピルアルコール水溶液やエタノール水溶液等のアルコール溶液を用いたリンス処理を行うことが好ましい。それにより、上記逆洗後の被処理水の水質を改善することができる。具体的には、SDI(Silt Density Index)の値を小さくすることができる。
【0037】
超音波供給手段としては、超音波振動子等の周知の超音波発生装置を使用可能である。該超音波発生装置からの超音波(例えば15〜400kHz程度)を、ケーシング30内の被処理水や分離膜エレメントを介して分離膜31に間接的に与えてもよく、分離膜31に直接超音波を与えてもよい。
【0038】
水流・気泡流供給手段としては、水流及び/又は気泡流を噴射可能なノズル等の様々な器具や装置を挙げることができる。水流・気泡流供給手段は、例えば分離膜31の周囲に複数配置すればよい。
【0039】
第2水処理ユニット4は、本実施の形態の水処理装置1では、脱塩処理を行う。該第2水処理ユニット4は、孔径が1〜2nm程度の逆浸透膜を備える。逆浸透膜は、スパイラル型やチューブラー型に構成してもよく、中空糸膜で構成してもよいが、大量の海水を処理可能な構造を有することが好ましい。
【0040】
次に、被処理水中の糖類の量(糖量)の測定方法について説明する。
糖量の測定は、濃縮した被処理水の液体クロマトグラフィーにより行うことができる。具体的には、被処理水を濃縮し、得られた濃縮サンプルを加水分解した後に、液体クロマトグラフィー、特にイオンクロマトグラフィーにより分析し、得られたクロマトグラムの糖のピーク強度に基づいて定量することができる。被処理水の濃縮は、被処理水中の水分の留去や被処理水を凍結乾燥した後の残渣を、少量の純水で再溶解する方法等により行うことができる。
【0041】
イオンクロマトグラフィーによる場合は、液体クロマトグラフィーでの定量に供せられる前に、被処理水中の多糖類を単糖類に変えるための加水分解が行われる。また、他の前処理として、被処理水中の濁質を除去するために濾過や遠心分離、被処理水中に溶解しているイオンを除去するためのイオン交換樹脂による処理等が行われる場合もある。
【0042】
陰イオン交換樹脂を用いたイオンクロマトグラフィーの場合は、移動相としては、水酸化ナトリウム溶液等を挙げることができる。検出器としては、示差屈折計等も挙げることができるが、イオンクロマトグラフィーによる場合は、電気化学検出器が好ましく用いられる。
【0043】
なお、本願明細書において「糖類の量(糖量)」とは、ラムノース量、ガラクトース量、グルコース量、マンノース量の合計量をいい、「糖類の除去率」とは、ラムノース量、ガラクトース量、グルコース量、マンノース量の測定値の合計量の「海水(被処理水)」に対する減少率をいう。
【0044】
以上のように本発明の実施の形態について説明を行なったが、上述の実施の形態を様々に変形することも可能である。また、本発明の範囲は上述の実施の形態に限定されるものではない。本発明の範囲は、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更を含むことが意図される。
【符号の説明】
【0045】
1 水処理装置、2、7 ポンプ、3 第1水処理ユニット、4 第2水処理ユニット、5 ノード、6 フィブリル、30 ケーシング、31 分離膜、32 蓋部、33 底部、34 被処理水流路、35 ノズル、36 モータ、36a 回転軸、37 中心配管、37a 取水穴、38 濾過水流路、39 排出流路、40 補強部材、41 洗浄装置、42 回転機構。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
逆浸透膜を用いた水処理を行う水処理装置において使用可能な水処理ユニットであって、
ケーシングと、
前記ケーシング内に装着され、プリーツ状に屈曲された分離膜と、
前記分離膜に装着され、前記分離膜を補強する機能を有する補強部材と、
前記分離膜を回転させる回転機構と、
前記分離膜を洗浄可能な洗浄装置と、
を備え、
前記分離膜は、複数の島状部と、前記島状部から延び前記島状部よりも細幅である繊維状の複数の繊維状部とを有し、膜表面における前記繊維状部の面積を前記島状部の面積よりも大きくした、水処理ユニット。
【請求項2】
前記補強部材の厚みを前記分離膜の厚みよりも大きくし、
前記補強部材の水透過度を前記分離膜の水透過度よりも大きくした、請求項1に記載の水処理ユニット。
【請求項3】
前記分離膜を疎水性膜で構成し、
前記補強部材を、金属メッシュ部材、不織布、織物から選ばれる少なくとも1種で構成した、請求項1または請求項2に記載の水処理ユニット。
【請求項4】
前記分離膜の膜表面における前記繊維状部の面積を前記島状部の面積の3倍以上とした、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の水処理ユニット。
【請求項5】
被処理水からの糖類の除去率が50%以上である、請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の水処理ユニット。
【請求項6】
前記洗浄装置は、前記ケーシング内に洗浄液を供給可能な洗浄液供給手段と、前記分離膜に超音波を供給可能な超音波供給手段と、前記分離膜に水流や気泡流を供給可能な水流・気泡流供給手段との少なくとも1つを含む、請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の水処理ユニット。
【請求項7】
逆浸透膜を用いた水処理を行う水処理装置であって、
被処理水に前処理を施すことが可能な第1水処理ユニットと、
被処理水に本処理を施すことが可能な第2水処理ユニットとを備え、
前記第1水処理ユニットは、
ケーシングと、
前記ケーシング内に装着され、プリーツ状に屈曲された分離膜と、
前記分離膜に装着され、前記分離膜を補強する機能を有する補強部材と、
前記分離膜を回転させる回転機構と、
前記分離膜を洗浄可能な洗浄装置とを含み、
前記分離膜は、複数の島状部と、前記島状部から延び前記島状部よりも細幅である繊維状の複数の繊維状部とを有し、膜表面における前記繊維状部の面積を前記島状部の面積よりも大きくした、水処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図5】
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【図4】
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【公開番号】特開2013−85977(P2013−85977A)
【公開日】平成25年5月13日(2013.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−225558(P2011−225558)
【出願日】平成23年10月13日(2011.10.13)
【出願人】(000002130)住友電気工業株式会社 (12,747)
【Fターム(参考)】