説明

水処理用薬品の冷却装置

【課題】簡易な構造で水処理用薬品を冷却できる水処理用薬品の冷却装置を提供すること。
【解決手段】例えば次亜塩素酸ナトリウム溶液等の水処理用薬品を貯蔵する貯蔵槽2を、断熱材で形成された断熱壁3で覆い、貯蔵槽2と断熱壁3との間の空間Sを、冷却空気を有する空間とする。これにより、貯蔵槽2に貯蔵された水処理用薬品を、空間Sが有する冷却空気により冷却し、地下水等の冷却液体を用いる場合に比して、構造を強固にすることなく簡易とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水処理用薬品の冷却装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、水処理に用いられる水処理用薬品として、次亜塩素酸ナトリウム溶液、塩酸、硫酸、PAC(ポリ塩化アルミニウム)等が知られている。これら水処理用薬品は、時間の経過や保管温度等により、品質が劣化する場合がある。例えば、水道水の殺菌等に用いられる次亜塩素酸ナトリウム溶液では、時間の経過と共に、有効塩素が減少したり、不純物である塩素酸が増加する等し、品質が劣化する。また、このような次亜塩素酸ナトリウム溶液の品質の劣化は、保管温度が高いとその進行が増幅される。従って、次亜塩素酸ナトリウム溶液を用いた水処理においては、水道水への次亜塩素酸ナトリウム溶液の注入率の他、次亜塩素酸ナトリウム溶液の保存期間や保存温度等が重要な管理項目となっている。
【0003】
そこで、次亜塩素酸ナトリウム溶液の品質の劣化を防止するための装置として、例えば以下の特許文献1には、水道水へ添加する次亜塩素酸ナトリウム溶液の保存装置が開示されている。この保存装置は、円筒形の外槽と、当該外槽の内部に相互に間隔を持たせて平面的に環状に配設された六本の円筒形の内槽とを備えている。そして、内槽の内部に次亜塩素酸ナトリウム溶液を保存し、外槽の内部に地下水を流入させることで、内槽の次亜塩素酸ナトリウム溶液を地下水で冷却しながら保存している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−263161号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述の装置では、外槽の内部に地下水を流入させているため、地下水の重量に耐え得る構造にすべく、外槽や内槽を強固な構造にする必要がある。そのため、装置が複雑になり、高コスト化を招くおそれがある。
【0006】
本発明は、このような課題を解決するためになされたものであり、簡易な構造で水処理用薬品を冷却できる水処理用薬品の冷却装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る水処理用薬品の冷却装置は、水処理用薬品を貯蔵する貯蔵槽と、断熱材により形成され、貯蔵槽を覆う断熱壁と、を備え、貯蔵槽と断熱壁との間には、冷却気体を有する空間が形成されていることを特徴とする。
【0008】
本発明に係る水処理用薬品の冷却装置では、貯蔵槽と断熱壁との間に設けられた空間が有する冷却気体により、貯蔵槽の水処理用薬品が冷却される。このように、地下水等の冷却液体に比して比重が小さい冷却気体を水処理用薬品の冷却に用いることで、貯蔵槽や断熱壁等の構造を強固にすることなく簡易にすることができる。従って、簡易な構造で水処理用薬品を冷却できる。
【0009】
ここで、断熱壁は、置設されていることが好ましい。上述のように、冷却液体に比して比重が小さい冷却気体を用いる場合であれば、構造を強固にすることなく簡易にすることができるため、貯蔵槽を覆うように断熱壁を置設することで冷却装置として機能する。そして、断熱壁を置設するのであれば、その設置は容易であり、また、既設の貯蔵槽に対しても容易に断熱壁を設けることができる。このように、既設の貯蔵槽を用いて冷却装置を構成することも可能となる。なお、置設とは、架台、床、地面等に対して、固定せずに設置することを意味する。
【0010】
また、断熱壁は、断熱材により形成された複数の断熱パネルを並設して構成されており、複数の断熱パネルは、帯で縛られることで互いに固定されていると、容易に断熱壁を設けることができる。
【0011】
また、断熱壁の内周面には、内側に突出し、貯蔵槽と当接して空間を確保する突起が設けられており、突起は、断熱材により形成されていると、熱伝導率の高い金属等の部品を用いることなく空間を確保できるため、冷却気体に貯蔵槽からの熱以外は伝達されにくくなり、効率的に水処理用薬品を冷却できる。
【0012】
このような水処理用薬品としては、次亜塩素酸ナトリウム溶液が代表例に挙げられる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、簡易な構造で水処理用薬品を冷却できる水処理用薬品の冷却装置を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の一実施形態に係る水処理用薬品の冷却装置を示す概略断面図である。
【図2】図1のII-II矢視図である。
【図3】側壁パネルを示す分解斜視図である。
【図4】帯を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明に係る水処理用薬品の冷却装置の好適な実施形態について、図面を参照しながら説明する。
【0016】
図1は本発明の一実施形態に係る水処理用薬品の冷却装置を示す概略断面図、図2は図1のII-II矢視図である。本実施形態に係る冷却装置1は、ここでは次亜塩素酸ナトリウム溶液を保存する装置となっており、例えば水処理プラント内の薬品室等に配置されている。この冷却装置1は、貯蔵槽2、断熱壁3、及びスポットクーラー4を備えている。貯蔵槽2は、次亜塩素酸ナトリウム溶液を貯蔵する槽であり、ここでは両端が閉塞された略円筒状の外形を呈している。この貯蔵槽2は、架台21上に設置されている。なお、貯蔵槽2の天面には円形の点検口が設けられており、点検口付近の側面には作業者が点検口近くまで登るための梯子が設けられている。
【0017】
断熱壁3は、貯蔵槽2を覆って当該貯蔵槽2との間に冷却空気(冷却気体)を介在させるものであり、上端が閉塞された略円筒状を呈している。断熱壁3は貯蔵槽2の側面及び天面との間に空間を空けて設けられており、この空間は空間Sとされている。断熱壁3は、複数の一段目側壁パネル34、複数の二段目側壁パネル35、天面パネル36、及び複数の帯37を有して構成されている。
【0018】
一段目側壁パネル34は断熱壁3の側面の下部を構成する板状の部材であり、二段目側壁パネル35は断熱壁3の側面の上部を構成する板状の部材である。図2に示すように、これら一段目側壁パネル34及び二段目側壁パネル35は、その各々が平面視略円弧状を呈している。そして、複数の一段目側壁パネル34を周方向に沿って互いに並設することで断熱壁3の側面の下部を構成し、さらにその上に複数の二段目側壁パネル35を周方向に沿って互いに並設することで断熱壁3の側面の上部を構成し、これにより、断熱壁3の側壁が構成されている。
【0019】
ここで、図3は側壁パネルを示す分解斜視図であり、ここでは二段目側壁パネル35を示している。二段目側壁パネル35は、断熱パネル35a、遮熱材35b、及び突起35cを備えている。
【0020】
断熱パネル35aは、断熱材により形成されており、平面視略円弧状の板状を呈している。この断熱パネル35aを形成する断熱材として、ここではビーズ法ポリスチレンフォーム材が用いられている。このビーズ法ポリスチレンフォーム材は、発泡率が30倍程度となっており、そのため断熱パネル35aの強度は比較的高く、断熱壁3を形成する際に、金属等により骨組みを形成することなく一段目側壁パネル34及び二段目側壁パネル35を積み上げて側壁を形成することが可能となっている(詳しくは後述)。また、このビーズ法ポリスチレンフォーム材は、熱伝導率が0.043W/(m・k)程度となっている。
【0021】
遮熱材35bは、断熱壁3の外部からの輻射熱が空間Sに伝わることを遮断するものであり、断熱パネル35aの外面に貼り付けられている。遮熱材35bとしては、例えばアルミ蒸着フィルムを用いることができ、ここでは裏地としてポリエチレンシートが粘着されたアルミ蒸着フィルムを、裏地のポリエチレンシートが断熱パネル35aと当接するように当該断熱パネル35aに貼り付けている。
【0022】
図2に示すように、突起35cは、貯蔵槽2と当接して貯蔵槽2と断熱パネル35aとの間に空間Sを確保するためのものであり、断熱パネル35aの内面から径方向内側に突出している。この突起35cは、断熱パネル35aにおいて、下端部の周方向両端部に2箇所、及び、上端部よりもやや下方の周方向両端部に2箇所設けられている(図3参照)。なお、上述した貯蔵槽2の梯子に対応する位置の二段目側壁パネル35では、径方向に突出する突起35dの内側に断熱パネル35aが位置する構成とされ、当該二段目側壁パネル35は他の二段目側壁パネル35よりも貯蔵槽2へ近接されており、これにより、外周側に梯子を配置するためのスペースが確保されている。
【0023】
突起35c,35dは、例えば断熱パネル35aと同じビーズ法ポリスチレンフォーム材で形成することが可能であり、ここでは断熱パネル35aに接着剤により固定されている。なお、突起35c,35dを断熱パネル35aと同じ材料で形成する場合、突起35c,35dと断熱パネル35aとを一体成形してもよい。
【0024】
図1,2に示すように、一段目側壁パネル34は、二段目側壁パネル35と略同様に構成されており、断熱パネル34a、遮熱材34b、及び突起34c,34dを備えている。この一段目側壁パネル34は、二段目側壁パネル35より上下方向に短くされ、その突起34c,34dは、上端部の周方向の両端部のみに設けられている。そして、一段目側壁パネル34及び二段目側壁パネル35は、平面視において、突起34c,34dと突起35c,35dとが重なるように配置されている。
【0025】
図1に示すように、天面パネル36は、断熱壁3の天面を構成する円板状の部材であり、一段目側壁パネル34及び二段目側壁パネル35と同様の材料で形成された断熱パネル及び遮熱材を含んで構成されている。なお、天面パネル36の底面には、たわみを抑制するためのアングル36aが設けられている。
【0026】
図4は、帯を示す平面図である。この帯37は、一段目側壁パネル34、二段目側壁パネル35、天面パネル36を縛って互いに固定するものであり、略円環状を呈している。この帯37は、例えばステンレス、布、ナイロンなどの樹脂等で形成され、一段目側壁パネル34、二段目側壁パネル35、天面パネル36を締め付けるための締付ボルト37aを備えている。
【0027】
このような一段目側壁パネル34、二段目側壁パネル35、天面パネル36、及び帯37で構成される断熱壁3は、例えば以下のようにして組み立てられている。
【0028】
すなわち、まず、貯蔵槽2を取り囲むように、架台21上に複数の一段目側壁パネル34を円環状に並設する。この際、一段目側壁パネル34を、架台21には固定はせずに設置する。すなわち、一段目側壁パネル34を、架台21上に置設する。
【0029】
次に、一段目側壁パネル34上に、複数の二段目側壁パネル35を円環状に積み上げて並設する。二段目側壁パネル35を並設し終えたら、二段目側壁パネル35上に天面パネル36を積み上げて並設する。ここで、これらの部材を並設する際、断熱壁3の気密性を向上させるために、架台21と一段目側壁パネル34との間、一段目側壁パネル34同士の間、一段目側壁パネル34と二段目側壁パネル35との間、二段目側壁パネル35同士の間、二段目側壁パネル35と天面パネル36との間等に、ウレタン等の充填材を介在させる。
【0030】
そして、一段目側壁パネル34の下端部、一段目側壁パネル34と二段目側壁パネル35との境界部、二段目側壁パネル35の上端部よりもやや下方の部分、及び、二段目側壁パネル35と天面パネル36との境界部に帯37をそれぞれ巻き、締付ボルト37aを締めて帯37を締め付けることで、一段目側壁パネル34、二段目側壁パネル35、及び天面パネル36を縛って互いに固定する。これにより、断熱壁3が置設構成される。
【0031】
また、図1に示すように、いずれかの一段目側壁パネル34には、流入口31が設けられており、この流入口31には、スポットクーラー4から冷却空気を吸気するための配管が接続されている。また、流入口31の対角に位置する二段目側壁パネル35には、排出口32が設けられており、この排出口32には、空間Sからスポットクーラー4へ排気を行うための配管が接続されている。
【0032】
一段目側壁パネル34と貯蔵槽2との間、及び二段目側壁パネル35と貯蔵槽2との間には、冷却空気の通り道となる切り欠き部が一部に設けられた円環状の整流板(不図示)が複数上下方向に離間して挿入されており、これにより、貯蔵槽2の周りを冷却空気が旋回する流路が画設されている。整流板は、例えば断熱パネル34a,35aと同様なビーズ法ポリスチレンフォーム材で形成することが可能であり、この場合、例えば接着剤により断熱パネル34a,35aに固定したり、断熱パネル34a,35aと一体成形すること等が可能である。
【0033】
スポットクーラー4は、所定温度に冷却した冷却空気を断熱壁3の流入口31から空間Sに給気すると共に、空間S内の気体を排出口32から吸引して回収し、再度冷却した上で冷却空気として空間Sに給気する。
【0034】
このような冷却装置1では、スポットクーラー4から断熱壁3の流入口31を通して空間Sに導入された冷却空気は、図1中の破線で示すように、整流板により画設された流路に従って貯蔵槽2の周りを旋回しながら、空間Sを上昇する。この際、冷却空気により貯蔵槽2が冷却され、これにより、貯蔵槽2の内部の次亜塩素酸ナトリウム溶液が冷却される。
【0035】
ここで、次亜塩素酸ナトリウム溶液が例えば20℃以下まで冷却されると、時間経過に伴う有効塩素濃度の減少及び塩素酸の増加を良好に抑制することができ、これにより、次亜塩素酸ナトリウム溶液の保存期間の延長や、次亜塩素酸ナトリウム溶液の水道水への注入率の抑制が可能となる。その結果、次亜塩素酸ナトリウム溶液の搬入頻度の減少による運送コストの低減、次亜塩素酸ナトリウム溶液による水処理コストの低減、次亜塩素酸ナトリウム溶液に不純物として含まれる臭素酸の水道水への注入量の低減等を実現できる。
【0036】
そして、空間Sの上部に達した冷却空気は、排出口32からスポットクーラー4に戻され再度冷却空気とされて空間Sに給気される。このように、冷却装置1では、空間Sとスポットクーラー4との間を冷却空気が循環する。
【0037】
以上のように、本実施形態に係る次亜塩素酸ナトリウム溶液の冷却装置1では、断熱壁3により貯蔵槽2が覆われ、貯蔵槽2と断熱壁3との間に設けられた空間Sが有する冷却空気により、貯蔵槽2の次亜塩素酸ナトリウム溶液が冷却される。このように、地下水等の冷却液体に比して比重が小さい冷却空気を次亜塩素酸ナトリウム溶液の冷却に用いることで、貯蔵槽2や断熱壁3等の構造を強固にすることなく簡易にすることができる。従って、簡易な構造で水処理用薬品を冷却できる。
【0038】
また、冷却装置1では、冷却液体に比して比重が小さい冷却空気を用いるため、構造を強固にすることなく簡易にすることができ、貯蔵槽2を覆うように断熱壁3を置設することができる。そして、このように、断熱壁3を置設しているため、その設置は容易であり、また、既設の貯蔵槽2に対しても容易に断熱壁3を設けることができる。このように、既設の貯蔵槽2を用いて冷却装置1を構成することも可能となる。
【0039】
また、冷却装置1では、断熱壁3は、複数の一段目側壁パネル34、複数の二段目側壁パネル35、及び天面パネル36を並設して構成されており、これらのパネルは、帯37で縛られることで互いに固定されているため、容易に断熱壁3を設けることができる。このような効果は、貯蔵槽2が既設のものである場合に、特に好適に発揮される。
【0040】
また、冷却装置1では、断熱壁3の内周面には、貯蔵槽2と当接して空間Sを確保する突起34c,35cが設けられており、これら突起34c,35cは一段目側壁パネル34及び二段目側壁パネル35と同様な断熱材により形成されているため、熱伝導率の高い金属等の部品を用いることなく空間Sを確保でき、冷却空気に貯蔵槽2からの熱以外は伝達されにくく、従って、効率的に次亜塩素酸ナトリウム溶液を冷却できる。加えて、冷却装置1では、一段目側壁パネル34と貯蔵槽2との間、及び二段目側壁パネル35と貯蔵槽2との間に挿入されている整流板も、一段目側壁パネル34及び二段目側壁パネル35と同様な断熱材により形成されているため、冷却空気には貯蔵槽2からの熱以外は一層伝達されにくく、従って、一層効率的に次亜塩素酸ナトリウム溶液を冷却できる。さらに、空間Sに面する断熱パネル34a,35a、突起34c,35c、及び整流板がビーズ法ポリスチレンフォーム材で形成されているため、次亜塩素酸ナトリウム溶液が揮発した場合でも、これらの部材の腐食を防止することができる。
【0041】
また、冷却装置1では、空間Sとスポットクーラー4との間を冷却空気が循環するようになっているため、次亜塩素酸ナトリウム溶液の冷却に使用されなかった冷却エネルギーを回収して、再度冷却に使用することができる。
【0042】
また、冷却装置1では、一段目側壁パネル34と貯蔵槽2との間、及び二段目側壁パネル35と貯蔵槽2との間に整流板が設けられていることで、流入口31から流入した冷却空気が、ショートカットして排出口32に向かうことなく、貯蔵槽2の周りを旋回しながら上昇するようにされているため、貯蔵槽2の次亜塩素酸ナトリウム溶液を効率的に冷却できる。
【0043】
なお、貯蔵槽2の外周面には配管等の部品等が設けられている場合があり、貯蔵槽2の周りに冷却液体を流す場合には、冷却液体からの流体抵抗に耐え得る構造とすべく、配管等の部品を強固に設ける必要がある。これに対し、冷却装置1では、貯蔵槽2の周りに冷却空気を流しているため、冷却液体を用いる場合に比して配管等の部品にかかる流体抵抗は小さく、これらの部品を簡易に設けることができる。
【0044】
因みに、冷却装置1では、断熱壁3に覆われた空間Sの空気のみを冷却しているため、例えば薬品室全体(冷却装置1を収容する部屋全体)を断熱材で覆い、薬品室全体の空気を冷却して次亜塩素酸ナトリウム溶液を冷却するという従来から知られた構造に比して、必要最小限の冷却エネルギーで次亜塩素酸ナトリウム溶液を冷却することができ、薬品室全体を覆うための断熱材に係る材料費用や、電力費等の運用費を低減することができる。また、冷却装置1では、空間Sの空気を冷却して次亜塩素酸ナトリウム溶液を冷却しているため、例えばチタン等の耐腐食性を有する材料で形成された熱交換器等を貯蔵槽2の内部に設置し、当該熱交換器等により次亜塩素酸ナトリウム溶液を直接冷却するという従来から知られた構造に比して、簡易な構造にすることができ、チタン等の高額な材料に係る材料費用や、電力費等の運用費を低減することができる。
【0045】
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されない。例えば、上記実施形態では、水処理用薬品を、特に好適であるとして、次亜塩素酸ナトリウム溶液としているが、塩酸、硫酸、PAC等としてもよい。
【0046】
また、上記実施形態では、冷却気体として空気を用いているが、空気以外の気体を用いてもよい。また、上記実施形態では、空間Sの冷却空気はスポットクーラー4から供給されているが、他の手段により供給されてもよい。
【0047】
また、上記実施形態では、断熱材としてビーズ法ポリスチレンフォーム材を用いているが、例えば断熱性を有するセラミック等を用いてもよく、要は、断熱性を有し、且つ、骨組みを必要とすることなく壁を形成できる程度の強度を持つ材料を用いることができる。
【0048】
また、上記実施形態では、断熱壁3の気密性を向上させるために断熱壁3の構成部材間にウレタン等の充填材を介在させているが、断熱壁3の気密性がある程度確保できれば充填材を介在させなくてもよい。また、上記実施形態では、断熱壁3は架台21上に置設されているが、薬品室の床等に直接置設されていてもよい。
【符号の説明】
【0049】
1…冷却装置、2…貯蔵槽、3…断熱壁、34…一段目側壁パネル(断熱パネル)、34c…突起、35…二段目側壁パネル(断熱パネル)、35c…突起、36…天面パネル(断熱パネル)、37…帯、S…空間。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
水処理用薬品を貯蔵する貯蔵槽と、
断熱材により形成され、前記貯蔵槽を覆う断熱壁と、を備え、
前記貯蔵槽と前記断熱壁との間には、冷却気体を有する空間が設けられていること、
を特徴とする水処理用薬品の冷却装置。
【請求項2】
前記断熱壁は、置設されていること、
を特徴とする請求項1に記載の水処理用薬品の冷却装置。
【請求項3】
前記断熱壁は、前記断熱材により形成された複数の断熱パネルを並設して構成されており、
前記複数の断熱パネルは、帯で縛られることで互いに固定されていること、
を特徴とする請求項1又は2に記載の水処理用薬品の冷却装置。
【請求項4】
前記断熱壁の内周面には、内側に突出し、前記貯蔵槽と当接して前記空間を確保する突起が設けられており、
前記突起は、前記断熱材により形成されていること、
を特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の水処理用薬品の冷却装置。
【請求項5】
前記水処理用薬品は、次亜塩素酸ナトリウム溶液であること、
を特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の水処理用薬品の冷却装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2013−96624(P2013−96624A)
【公開日】平成25年5月20日(2013.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−239060(P2011−239060)
【出願日】平成23年10月31日(2011.10.31)
【出願人】(598067603)住重環境エンジニアリング株式会社 (36)
【Fターム(参考)】