説明

水処理装置および水処理方法

【課題】処理水中に含まれる混入物を効果的に除去し得る水処理装置および水処理方法を提供する。
【解決手段】処理水を浄化するための水処理装置において、ポリビニルアルコールからなり、細孔を有し、微生物を固定化している担体を備えており、処理水を貯める、第1樹脂槽および第2樹脂槽と、活性炭を備えている活性炭吸着塔と、第1樹脂槽において浄化された該処理水を第2樹脂槽に輸送する第1経路と、第2樹脂槽において浄化された該処理水を該活性炭吸着塔に輸送する第2経路とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は水処理技術に関するものであり、特に、処理水を浄化するための水処理技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、液体から有機物などの物質を除去する技術が、様々な分野で用いられている。例えば、廃液処理においては、廃水中の様々な物質を除去するために、微生物の物質分解能力を利用した技術が用いられている。
【0003】
例えば、従来から、微生物固定化ゲル担体を用いる廃水処理装置が用いられている(例えば、特許文献1参照)。当該廃水処理装置は、浸漬膜濾過方式を採用した汚泥分離設備と、沈殿槽方式を採用した汚泥分離設備とを併用している。なお、当該廃水処理装置では、上記微生物固定化ゲル担体として、例えばポリビニルアルコール系含水ゲルが用いられている。
【0004】
また、従来から、異なる機能を有する複数の槽を用いる廃水処理方法が用いられている(例えば、特許文献2参照)。当該廃水処理方法では、担体が流動している曝気槽、第1の活性汚泥槽、第2の活性汚泥槽、沈殿槽の順番で、廃水が様々な処理を受けている。なお、当該廃水処理方法では、上記担体として、例えばポリビニルアルコール架橋ゲル担体が用いられている。
【0005】
また、従来から、微生物が固定化された担体が投入された廃水処理槽、および当該廃水処理槽から流出する処理水を濾過する膜モジュールを用いる廃水処理装置が用いられている(例えば、特許文献3参照)。なお、当該廃水処理装置では、上記担体としてポリビニルアルコール系含水ゲルが用いられている。
【0006】
一方、従来から、小さな直径を有する気泡(バブル)には様々な作用があることが知られており、現在、このような気泡を様々な分野に利用する試みがなされている。
【0007】
上記気泡は、その直径に応じて、マイクロバブル、マイクロナノバブルおよびナノバブルに分類することができる。具体的には、マイクロバブルは、その発生時において10μm〜数十μmの直径を有する気泡であり、マイクロナノバブルは、その発生時において数百nm〜10μmの直径を有する気泡であり、ナノバブルは、その発生時において数百nm以下の直径を有する気泡である。なお、マイクロバブルは、発生後の収縮運動によって、その一部がマイクロナノバブルに変化することがある。また、マイクロバブルの一部は水中にて収縮して、最後には消滅してしまうマイクロバブルもある。一方、ナノバブルは、長期に渡って液体中に存在することができるという性質を有している。
【0008】
例えば、従来から、様々なナノバブルの利用方法、およびナノバブルを利用した各種装置が知られている(例えば、特許文献4参照)。より具体的には、特許文献4には、ナノバブルが、浮力の減少、表面積の増加、表面活性の増大、局所高圧場の生成、または静電分極の実現によって、界面活性作用および殺菌作用を示すことが記載されている。更に、特許文献4には、ナノバブルが有する界面活性作用および殺菌作用を用いて、各種対象を洗浄する技術および汚濁水を浄化する技術が記載されている。更に、特許文献4には、ナノバブルを用いて生体の疲労を回復する方法が記載されている。なお、特許文献4では、水を電気分解するとともに、当該水に超音波振動を加えることによって、ナノバブルを作製している。
【0009】
また、従来から、液体を原料としてナノバブルを作製する方法が知られている(例えば、特許文献5参照)。上記作製方法は、液体中において、1)上記液体の一部を分解ガス化する工程、2)上記液体に超音波を印加する工程、または3)上記液体の一部を分解ガス化する工程および上記液体に超音波を印加する工程、からなるものである。なお、液体の一部を分解ガス化する工程として、電気分解法または光分解法を用いることができることが記載されている。
【0010】
また、従来から、オゾンガスからなるマイクロバブル(オゾンマイクロバブル)を利用する廃液処理装置が用いられている(例えば、特許文献6参照)。上記廃液処理装置では、オゾン発生装置によって作製されたオゾンガスと廃液とを、加圧ポンプを用いて混合することによって、オゾンガスからなるマイクロバブルを作製している。そして、当該マイクロバブルが廃液中の有機物と反応することによって、廃液中の有機物が酸化分解される。なお、マイクロバブルを利用した洗浄装置も従来から用いられており、当該装置は、機械油等が付着した金属の洗浄、牡蠣の洗浄、または入浴時における人体の洗浄等に利用されている。
【特許文献1】特開2007−185598号公報(平成19年7月26日公開)
【特許文献2】特開2001−145894号公報(平成13年5月29日公開)
【特許文献3】特開平11−42497号公報(平成11年2月16日公開)
【特許文献4】特開2004−121962号公報(平成16年4月22日公開)
【特許文献5】特開2003−334548号公報(平成15年11月25日公開)
【特許文献6】特開2004−321959号公報(平成16年11月18日公開)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
しかしながら、上記従来の水処理装置および水処理方法は、処理水内に含まれる混入物(例えば、有機物など)を効果的に除去することができないという問題点を有している。
【0012】
例えば、廃水を処理することを目的とした従来の微生物を用いた水処理装置および水処理方法では、微生物が固定化された担体に対して空気を供給する場合には、例えば粒子径の大きなバブルとして空気が供給されている。その結果、微生物に対して十分量の空気を供給することができないので、上記担体表面に十分量の微生物(例えば、好気性微生物)が繁殖することができない。なお、上記担体に細孔が設けられている場合には当該問題は更に深刻である。つまり、バブルの粒子径が大きいために当該バブルが細孔の内部に入ることができず、その結果、細孔の内部に微生物が繁殖することができない。その結果、従来の水処理方法および水処理方法は、担体の表面に固定化できる微生物の量が少ないので、処理水内に含まれる混入物を効果的に除去することができないという問題点を有している。
【0013】
また、上述したように、従来の微生物を用いた水処理装置および水処理方法では、担体上に固定化された微生物に対して十分量の空気を供給することができなかったので、当該微生物(例えば、好気性微生物)が有する物質分解能力を十分に発揮させることができない。なお、上記担体に細孔が設けられている場合には当該問題は更に深刻であることは、当業者であれば容易に理解できるであろう。その結果、従来の水処理方法および水処理方法は、担体の表面に固定化されている微生物を十分には活性化できないので、処理水内に含まれる混入物を効果的に除去することができないという問題点を有している。
【0014】
また、上記従来の微生物を用いた水処理装置および水処理方法は、基本的に微生物の物質分解能力のみに依存したものであるので、有機物などを十分に酸化するためには、大容量の微生物槽が必要である。その結果、従来の水処理装置および水処理方法は、装置が大型化するとともに莫大なコストを必要とするという問題点を有している。
【0015】
また、上記従来の微生物を用いた水処理装置および水処理方法では、担体が槽内で沈殿することを防止するために、様々な攪拌装置を用いている。しかしながら、例えば槽内の担体量を増加させればこれらの攪拌装置では、担体を十分に攪拌することができない。つまり、従来の水処理装置および水処理方法は、特に担体の量が多くなればなるほど、十分には担体を攪拌することができないという問題点を有している。
【0016】
また、上述したように、従来の微生物、またはバブルを用いた水処理装置および水処理方法は、処理水中の混入物を除去する能力が十分ではない。したがって、従来の水処理装置および水処理方法は、パーフルオロオクタスルホン酸(PFOS)またはパーフルオロオクタン酸(PFOA)などの有機フッ素化合物に代表される難分解性物質を効果的に除去することができないという問題点を有している。
【0017】
本発明は、上記従来の問題点に鑑みなされたものであって、その目的は、処理水中に含まれる混入物を効果的に除去し得る水処理装置および水処理方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0018】
本願発明者らは、上記課題に鑑み鋭意検討した結果、以下の1)〜7)を見出し、本願発明を完成させるに至った。つまり、
1)処理水を、細孔を有し、ポリビニルアルコールからなる樹脂が充填された微生物処理槽を2槽準備して処理し、その後活性炭吸着塔で処理すると、処理水に対する処理効率が改善し、かつ高度に処理できること、
2)上記樹脂が充填された、傾斜面を側面に有する微生物処理槽で、処理水を処理すると、該樹脂全体が効率よく流動して、処理効率が向上すること、
3)フィルターが設置された2つの水槽に上記樹脂を充填して撹拌すると、該樹脂が流動する際に該フィルターの膜表面に接触して、膜表面に付着する汚泥を物理的に洗浄すること、
4)フィルターでろ過した処理水は、浮遊物質が全く含有していない処理水なので、この処理水にナノバブルを含有させて活性炭吸着塔に導入すると、活性炭吸着塔全体の溶存酸素濃度が上昇して、活性炭に繁殖する微生物が活性化すること、
5)処理水中にマイクロナノバブルまたはナノバブルを含有させた後、当該処理水を、細孔を有するポリビニルアルコールからなる担体が充填された槽内に導入する。なお、当該担体の表面上には、微生物を繁殖させておく。そして、上記槽内の状態を、好気的な状態または嫌気的な状態に交互に変化させることによって槽内に好気性微生物と嫌気性微生物の両方を増殖させることが可能となり、その結果、処理水中に含まれている有機物などの処理効率(例えば、分解効率)が向上すること。そして、このとき上記担体は細孔を有するものなので、担体の表層に主として好気性微生物が繁殖するとともに、上記担体の細孔内に主として嫌気性微生物が繁殖する。つまり、好気性菌と嫌気性菌とを同時に多量に増殖させることができるので、処理水中に含まれている有機物などの処理効率を更に向上させることができること、
6)ポリビニルアルコールからなる担体は、比重が約1.025(粒子径は、例えば4mmなどに設定可能)である。また、マイクロナノバブルまたはナノバブルは当該担体の表面に付着し易い。そして、上記担体の表面にバブルが付着すれば、担体とバブルとの複合体の比重が1に近くなり、その結果、当該複合体が容易に処理水中を浮遊することが可能になる。換言すれば、上記複合体は槽の底部に沈殿し難いとともに、処理水の表面に浮上し難い。その結果、小さな撹拌エネルギーによって、槽内の担体を流動させることが可能になること、
7)有機フッ素系化合物(PFOS、PFOA)を合理的に処理する方法として、活性炭吸着法が存在するが、処理水中に有機フッ素化合物のみならず、他の有機物が存在する為、活性炭が短期間で破過(取替える必要)する課題があった。そこで有機フッ素化合物含有水にナノバブルを含有させ、その後に上記樹脂が充填された液中膜槽に導入して処理し、その後活性炭吸着塔で処理すると、有機フッ素化合物の除去率及び活性炭の寿命が延びること。
【0019】
本発明に係る水処理装置は、上記課題を解決するために、処理水を浄化するための水処理装置であって、ポリビニルアルコールからなり、細孔を有し、微生物を固定化している担体を備えており、処理水を貯める、第1樹脂槽および第2樹脂槽と、活性炭を備えている活性炭吸着塔と、第1樹脂槽において浄化された該処理水を第2樹脂槽に輸送する第1経路と、第2樹脂槽において浄化された該処理水を該活性炭吸着塔に輸送する第2経路とを備えていることを特徴としている。
【0020】
上記の構成によれば、上記処理水は、ポリビニルアルコールからなり、細孔を有し、微生物を固定化している担体を備えている二つの樹脂槽において浄化された後、活性炭を備えている活性炭吸着塔において浄化される。そのため、処理水中に含まれる混入物を効果的に除去することができる。
【0021】
上記水処理装置では、第1樹脂槽が、上記処理水を濾過するための第1フィルターをさらに備えており、第2樹脂槽が、該処理水を濾過するための第2フィルターをさらに備えていることが好ましい。
【0022】
上記の構成によれば、二つの樹脂層がそれぞれ上記処理水を濾過するためのフィルターを備えているので、さらに効果的に処理水中に含まれる混入物を効果的に除去することができる。
【0023】
上記水処理装置では、第1経路中において上記処理水中にナノバブルまたはマイクロナノバブルを発生させる第1バブル発生手段と、第2経路中において上記処理水中にナノバブルまたはマイクロナノバブルを発生させる第2バブル発生手段とをさらに備えていることが好ましい。
【0024】
上記の構成によれば、上記処理水にナノバブルまたはマイクロナノバブルが含有される。ナノバブルまたはマイクロナノバブルは、上記樹脂槽および上記活性炭吸着塔における微生物の活性を向上させることができる上、上記担体の流動を助け、上記活性炭の寿命を延ばすことができる。そのため、上記構成によれば、さらに効果的に処理水中に含まれる混入物を効果的に除去することができる。
【0025】
上記水処理装置では、第1樹脂槽が、底部に傾斜面を有しており、自槽内に気体を吐出する第1散気手段をさらに備えていることが好ましい。
【0026】
上記の構成によれば、第1散気手段が第1樹脂槽内に発生させた水流が、上記傾斜面によって、効果的に第1樹脂槽内を循環するようになるので、第1樹脂槽内の上記担体を効果的に流動化させることができる。
【0027】
上記水処理装置では、第2樹脂槽が、自槽内に気体を吐出する第2散気手段と、自槽内の上記担体を攪拌する攪拌手段とをさらに備えていることが好ましい。
【0028】
上記の構成によれば、第2散気手段による気体の吐出による上昇水流と、上記各半手段による水流とによって、第2樹脂槽内の上記担体を効果的に流動化させることができる。
【0029】
上記水処理装置では、上記攪拌手段が、第2樹脂槽において上昇水流を発生させる水中攪拌機であってもよい。
【0030】
上記の構成によれば、第1散気手段および上記攪拌手段によって生じる水流を互いに増強することができる。
【0031】
上記水処理装置では、上記攪拌手段が、第2樹脂槽において下降水流を発生させる水中攪拌機であってもよい。
【0032】
上記構成によれば、第1散気手段によって生じる水流と、上記攪拌手段によって生じる水流が互いに逆向きとなる。したがって、上記構成によれば、上記処理槽内に効率よく水流を発生させることができる。
【0033】
上記水処理装置では、上記攪拌手段が、水中エアレータであることが好ましい。
【0034】
上記の構成によれば、第2槽内の上記処理水を、水流による攪拌および空気曝気による攪拌の両方によって攪拌することができる。その結果、上記処理水の攪拌効果を増すことができるとともに、上記処理水中に気体を供給することができる。
【0035】
上記水処理装置では、第2散気手段および上記攪拌手段は共に、円筒形状のドラフト内に設けられており、前記ドラフトの2つの開口は、それぞれ、第2樹脂槽の底面、または第2樹脂槽内にためられた上記処理水の水面に対向するように配置されていることが好ましい。
【0036】
上記の構成によれば、第2散気手段および上記攪拌手段によって発生される水流の方向を規定することができる。その結果、第2樹脂槽内の上記担体を、より効果的に攪拌することができる。
【0037】
上記水処理装置では、第2樹脂槽内の処理水の酸化還元電位を測定する酸化還元電位計と、該酸化還元電位計の測定結果に基づいて、第2散気手段および上記攪拌手段を制御する酸素濃度調整手段とをさらに備えることが好ましい。
【0038】
上記構成によれば、上記酸化還元電位計によって第2樹脂槽内に導入された上記処理水の酸化還元電位が測定される。その結果、上記処理水が好気性条件または嫌気性条件の何れの状態であるか知ることができる。そして、当該測定結果に基づいて、上記酸素濃度調整手段を介して第2散気手段および上記攪拌手段の動作を制御すれば、第2樹脂槽内の酸素濃度を調整して好気性条件または嫌気性条件の何れかに設定することができる。例えば、第2樹脂槽内を好気的条件に設定する場合には、第2散気手段によって気体(例えば、酸素など)を吐出すればよい。一方、第2樹脂槽内を嫌気的条件に設定する場合には、例えば、第2散気手段の動作を停止するとともに、上記攪拌手段によって水流を発生させればよい。
【0039】
上記水処理装置では、上記酸素濃度調整手段が、第2樹脂槽内が好気状態となるように上記制御をするようになっていてもよい。
【0040】
上記の構成によれば好気性微生物の活性を高めることができる。
【0041】
上記水処理装置では、上記酸素濃度調整手段が、第2樹脂槽内が嫌気状態となるように上記制御をするようになっていてもよい。
【0042】
上記の構成によれば嫌気性微生物の活性を高めることができる。
【0043】
上記水処理装置では、上記酸素濃度調整手段が、第2樹脂槽内が交互に好気状態と嫌気状態とが入れ替わるように上記制御をするようになっていてもよい。
【0044】
上記の構成によれば好気性微生物および嫌気性微生物の両方の活性を高めることができる。
【0045】
上記水処理装置では、第2樹脂槽内の処理水のpHを測定するpH計と、該pH計の測定結果に基づいて、第2散気手段および上記攪拌手段を制御するpH調整手段とをさらに備えていてもよい。
【0046】
上記の構成によれば、第2樹脂槽内のpHを維持することができるので、有機フッ素化合物含有排水中に窒素分が存在した場合に、ナノバブルや空気によって、窒素分が酸化されて、硝酸イオンを生成することを抑制することができる。
【0047】
上記水処理装置では、第1樹脂槽および第2樹脂槽が、上部開放水槽であってもよい。
【0048】
上記の構成に寄れば、好気性処理が好適に実施することができる。
【0049】
上記水処理装置では、第2樹脂槽の横断面の形状が、長さがa(m)である第1辺、および、長さがb(m)である第2辺を有する四角形にて規定されるとともに、第2樹脂槽の縦方向の深さが、c(m)にて規定され、c:aおよびc:bにて示される比が、共に1:1.0〜1.3であることが好ましい。
【0050】
上記の構成によれば、第2樹脂槽内の処理水を効果的に流動させることができるので、上記担体が沈殿することを防止することができる。その結果、より効果的に、処理水中に含有される混入物を処理することができる。
【0051】
上記水処理装置では、第2樹脂槽の内側面には、自槽の横断面の中央に向かって突出した凸部が設けられ、該凸部の縦断面の形状は、三角形であることが好ましい。
【0052】
上記の構成によれば、上記凸部によって、第2樹脂槽内における処理水の流動を円滑にすることができる。
【0053】
本発明に係る水処理方法は、処理水を浄化する水処理方法であって、ポリビニルアルコールからなり、細孔を有し、微生物を固定化している担体を備えている第1樹脂槽に処理水を貯める第1処理工程と、第1処理工程の後、第1樹脂槽内の該処理水を、該担体を備えている第2樹脂槽に貯める第2処理工程と、第2処理工程の後、第2樹脂槽内の該処理水を、活性炭を備えている活性炭吸着塔に輸送する第3処理工程とを含んでいることを特徴としている。
【0054】
上記の構成によれば、本発明に係る装置と同様の効果を奏することができる。
【0055】
上記水処理方法では、上記処理水が、有機フッ素化合物含有水、工業用水、工場排水、生活排水、工場排水処理水、地下水、上水および下水であってもよい。
【0056】
上記の構成によれば、処理水中に含有される混入物を効果的に除去することができる。
【0057】
上記水処理方法では、破過した上記活性炭をセメント工場で焼却する焼却工程をさらに含んでいてもよい。
【0058】
上記の構成によれば、破過した上記活性炭を1300℃以上の高温で効率的に処理することができる。
【発明の効果】
【0059】
本発明に係る水処理装置および水処理方法によれば、処理水中に含まれる混入物を効果的に除去し得る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0060】
本発明は、処理水を浄化するための水処理装置および水処理方法を提供する。本明細書において「水処理」とは、液体に任意の処理を施すことが意図される。また、「処理水」とは、処理対象の液体が意図される。また、「浄化」とは、処理水中に含まれる任意の物質を除去または分解することが意図される。
【0061】
〔第1実施形態〕
図1は、本発明の第1の実施形態に係る水処理装置の概略構成を示す模式図である。図1に示すように、本実施形態に係る水処理装置は、第1槽62、第2槽65(第1樹脂槽)、第3槽1(第1経路)、第4槽15(第2樹脂槽)、第5槽29(第2経路)、活性炭吸着塔、第6槽44、およびこれらの槽間の管を備えている。また、これらの槽および管上には、水流を制御するためのポンプ等の機構が備えられており、上記水処理装置には、当該ポンプ等を制御するためのシーケンサー14が含まれている。以下、各部の構造および動作について詳細に説明する。
【0062】
(第1槽62)
第1槽62は、処理水を貯めるための水槽であり、例えば、有機フッ素化号物含有排水が管61を通じて流入する。なお、処理水は有機フッ素化合物含有排水に限定されず、有機フッ素化合物含有水道水、工業用水、工場排水、生活排水、工場排水処理水、地下水、上水および下水等の広い範囲の処理水であってもよい。
【0063】
第1槽62に貯められた処理水は、ポンプ63によって管64を通じて第2槽65へと輸送される。なお、ポンプ63は、信号線11を介してシーケンサー14によって制御されている。
【0064】
(第2槽65)
第2槽65は、図1に示すように、微生物を固定化する担体69、フィルター71(第1フィルター)、および散気管67を備えており、底部に傾斜面66を有している。
【0065】
担体69は、処理水中の汚濁物質を生分解する微生物を固定化するための担体である。そのような微生物としては、嫌気性細菌および好気性細菌のいずれであってもよく、浄水分野において周知慣用されているものを用いればよく、例えば、微小の糸ミミズ類、原生動物、またはバクテリア等を用いることができる。
【0066】
担体69の具体的な構成としては、ポリビニルアルコールによって形成されているとともに、当該担体69に対して細孔が形成されているものが好ましい。ポリビニルアルコールからなる担体であれば、高含水、酸素透過性に優れ、微生物の内部棲息性が良好である。また、細孔を有する担体であれば、表面積が大きく、多数の微生物を繁殖させることができる上、当該細孔の内部に嫌気性細菌を繁殖させるとともに、当該担体の表面に好気性細菌を繁殖させることもできるため好ましい。さらに、担体69は、化学架橋構造により不溶化していることが好ましく、そのような担体は生分解を受けにくいため、長期間使用することができる。
【0067】
そのような担体69としては、特に限定されないが、例えば、ポバール樹脂を用いることが好ましい。さらに具体的には、上記担体69としては、株式会社クラレ製のクラゲール(登録商標)を用いることが好ましい。例えば、上記クラゲールは、直径約4mm、比重1.025の粒子であって、1粒子あたり約10億個の微生物を固定化することができる。したがって、上記構成によれば、担体69の表面上に固定化される微生物の量を多くすることができる。
【0068】
上記細孔の孔径としては特に限定されず、必要に応じて適宜設定することができる。例えば、上記孔径は、19μm〜21μmであることが好ましい。さらに好ましくは、略20μmである。また、細孔は、担体69内を全通していることが好ましい。
【0069】
担体69の形状としては特に限定されず、適宜目的にあった形状であり得る。例えば、上記担体69の形状は、粒子状であることが好ましい。上記構成によれば、担体69は第2槽15内を流動し易いので、弱い力によって担体69を攪拌することができる。また、上記構成によれば、担体69の表面積を増加させることができるので、担体69の表面上により多くの微生物を固定化させることができる。
【0070】
また、上記担体69は、第2槽65内を流動可能に備えられ得る。換言すれば、上記担体69は第2槽65の表面に固定されることなく、第2槽65内の処理水中を浮遊するように設けられ得る。また、上記担体69は、その一部が第2槽65内を流動可能に備えられ、担体69の残りが第2槽65内に固定化されて備えられていてもよい。なお、担体69の一部を流動可能とし、残りを固定化する場合には、全担体69の量に対する固定化される担体69の量の比率は特に限定されず、適宜設定することができる。このとき、固定化する担体69の量が多いほど嫌気性微生物の量を増やすことができるので、所望とする好気性微生物と嫌気性微生物との量比を考慮して、全担体69の量に対する固定化される担体69の量の比率を決定すればよい。
【0071】
散気管67は、第2槽65の底部に備えられており、気泡70を吐出する。散気管67から吐出する気泡70は、ブロワー12から吐出する空気で、管13と管68とを経由して、散気管67から吐出する。この気泡70により、第2槽65内を好気的な環境とすることもできる。また、吐出された気泡70が上昇する際に発生する水流78により、担体69が流動する。このとき、第2槽65において傾斜面66が設けられていることにより、担体69が効率良く流動する。
【0072】
フィルター71は、第2槽69中の処理水から微生物等の固形物を取り除くためのフィルターである。フィルター71は、微生物が透過し得ない細孔を有することによって、処理水から微生物等の固形物を取り除き得るものであれば特に限定されないが、例えば、PVDF、塩素化ポリエチレン等の合成樹脂からなる中空糸型フィルターまたは平膜型フィルターを用いることができる。フィルター71の上記細孔の孔径は、例えば0.2μm〜0.4μm程度のものを用いることが好ましいが、特に限定されない。
【0073】
フィルター71は、気泡70による水流78によって空気洗浄されるとともに、流動する担体69がフィルター71の膜表面に物理的に接触することによって洗浄される。なお、従来、フィルターを用いた排水処理システムにおいて、処理水中の活性汚泥の濃度が高く、処理水の粘度が高い場合に、フィルターが閉塞することが課題であったが、本実施形態に係る第2槽69では、上述したように、フィルター71が効率的に洗浄されるため、フィルター71の処理能力を維持し得るとともに、第2槽65内の微生物濃度を高めることができる。
【0074】
第2槽65において、微生物により有機物が生分解された処理水は、ポンプ73によってフィルター71および管23を経て第3槽1へと輸送される。このとき、処理水として有機フッ素化合物含有排水を用いた場合、第3槽1へと輸送された処理水中には、難分解性の有機フッ素化合物の大部分が分解されてない状態で存在する。有機フッ素化合物含有排水としては、例えば、半導体工場における反射防止膜またはレジストを含有する排水が挙げられる。有機フッ素化合物含有排水は、通常、難分解性有機フッ素化合物とその他の有機物とを含有しており、当該その他の有機物は、第2槽65において分解され、当該有機フッ素化合物は、第4槽15において分解される。
【0075】
(第3槽1)
第3槽1では、バブル発生部42(第1バブル発生手段)によって、マイクロナノバブルまたはナノバブルが処理水中に導入される。なお、本明細書において、マイクロバブルとは、直径が50ミクロン(μm)以下の微細気泡が意図される。マイクロバブルは、通常、水中で縮小していき、ついには消滅(完全溶解)してしまう。また、ナノバブルは、マイクロバブルよりさらに小さいバブル(直径が1ミクロン以下の100〜200nm)が意図される。ナノバブルは、通常、いつまでも水の中に存在することが可能である。マイクロナノバブルとは、マイクロバブルとナノバブルとが混合したバブルが意図される。
【0076】
バブル発生部42は、第1気体せん断部3を有する気液混合循環ポンプ2(過流ポンプ)、第2気体せん断部4、第3気体せん断部6、電気ニードルバルブ9、第2および第3気体せん断部を繋ぐ管5、気体を取り込むための管8、処理水を取り込むための管7などを含んでいる。
【0077】
まず、管8を介して気体(例えば、酸素など)が第1気体せん断部3中に供給されるとともに、管7を介して処理水が第1気体せん断部3中に供給される。第1気体せん断部3中の気体と処理水とは、気液混合循環ポンプ2によって混合・せん断され、その結果、上記気体からなるマイクロバブルおよびマイクロナノバブルが形成される。
【0078】
上記気液混合循環ポンプ2は高揚程のポンプであればよく、適宜公知のポンプを用いることができる。具体的には、上記気液混合循環ポンプ2は、揚程40m以上の高揚程のポンプ、換言すれば4kg/cm以上の圧力で気液混合物を押し出すことができるポンプであることが好ましい。上記構成によれば、多量のマイクロバブルを作製することができる。さらに、気液混合循環ポンプ2は、2ポールを有するポンプであることが好ましい。ポンプには、2ポールを有するポンプと4ポールを有するポンプとが存在し、2ポールを有するポンプの方が、4ポールを有するポンプと比較してトルクが安定している。したがって、より安定に多量のマイクロバブルを作製することができる。
【0079】
第1気体せん断部3の形状は特に限定されないが、当該第1気体せん断部3中にて回転せん断流を効率よく発生させるためにも、円筒形の流路を有するものであることが好ましい。なお、当該流路中を、上記バブル含有水が通過する。
【0080】
第1気体せん断部3中の気体および処理水には気液混合循環ポンプ2によって圧力がかけられ、その結果、第1気体せん断部3中に、処理水および気体の混相旋回流が発生する。さらに詳細には、気液混合循環ポンプ2にはインペラと呼ばれる羽根が備えられており、当該羽根を高速回転させることによって、混相旋回流が形成される。上記第1気体せん断部3の中心部には、上記混相旋回流が高速にて旋回する結果生じる気体空洞部が形成される。そして、気液混合循環ポンプ2によってさらに気体空洞部に圧力を加えることによって、気体空洞部は竜巻状の細長い形状になる。その結果、より高速で旋回する回転せん断流を発生させることができる。なお、上記気体空洞部内は負圧となるので、当該負圧を利用すれば、外部から当該気体空洞部に対して気体を自給することが可能になる。
【0081】
上記管8を介して、上記気体空洞部に気体(例えば、酸素など)を自給させながら混相旋回流を高速旋回させることによって、上記混相旋回流を切断・粉砕することができる。なお、切断・粉砕は、第1気体せん断部3の出口近傍における、第1気体せん断部3の内外の気液混合物の旋回速度の差によって生じる。
【0082】
上記回転せん断流の回転速度は特に限定されないが、500〜600回転/秒であることが好ましい。なお、上記回転せん断流の回転速度は、上記羽根(インペラ)の回転速度を調節することによって設定することができる。上記構成によれば、上記第1気体せん断部3によって、多量のマイクロバブルを作製することができる。
【0083】
すなわち、第1気体せん断部3において、流体力学的に気液混合物の圧力を制御することによって負圧形成部から気体(例えば、酸素など)を吸入し、気液混合循環ポンプ2によって上記気液混合物を高速流体運動させることによって負圧部を形成し、これによって、マイクロバブルを発生させることができる。換言すれば、気液混合循環ポンプ2によって処理水と気体とを効果的に自給混合溶解し、気液混合物を圧送することによって、マイクロバブル白濁水を製造することができる。そして、第1気体せん断部3にて作製されたマイクロバブルは、管を介して第2気体せん断部4に圧送される。つまり、上記マイクロバブル白濁水に圧力をかけた状態にて、当該マイクロバブル白濁水を第2気体せん断部4内に送り込む。このとき気液混合循環ポンプ2は高揚程のポンプであるので、揚程が40m以上であれば、4kg/cm以上の圧力をかけた状態にて、マイクロバブル白濁水を第2気体せん断部4内に送り込むことができる。
【0084】
第2気体せん断部4の形は特に限定されないが、当該第2気体せん断部4中にて回転せん断流をさらに細くするためにも、円筒形の流路を有するものであることが好ましい。
【0085】
上記構成によれば、第1気体せん断部3にて形成された回転せん断流を第2気体せん断部4に圧送することによって、第2気体せん断部4中にて、上記第1気体せん断部3にて形成された回転せん断流をより細くすることができるとともに、回転せん断流の回転速度を上昇させることができる。その結果、第1気体せん断部3にて形成されたマイクロバブルを用いてナノバブルおよびマイクロナノバブルを作製することができるとともに、超高温の極限反応場を形成することができる。
【0086】
極限反応場では、局所的に高温高圧状態となる。そして、当該極限反応場では、フリーラジカルが発生する。フリーラジカルは安定化するために他の原子から電子を奪う性質があり、それ故に、強力な酸化作用を示す性質、および熱を発生する性質を有している。したがって、本実施の形態の水処理装置は、フリーラジカルに由来する酸化作用によっても、処理水中に含まれる混入物を酸化分解することができる。
なお、ナノバブルは水中に長時間存在することができる。具体的には、ナノバブルは2ヶ月以上、水中に存在し続けることができる。したがって、上記酸化作用および後段における微生物活性化作用は、長時間維持することができる。
【0087】
上記第2気体せん断部4にて形成されたバブル含有水は、管5を介して第3気体せん断部6に供給される。上記第2気体せん断部4にて作製されたバブルは、当該第3気体せん断部6にてさらにせん断されて、バブルサイズがさらに小さくなる。なお、第3気体せん断部6としては、上記第2気体せん断部4と同じ構成を用いることが可能である。なお、第2気体せん断部4については既に説明したので、ここでは第3気体せん断部6の説明を省略する。
【0088】
なお、本実施の形態の水処理装置におけるバブル発生部42としては、市販されているものを用いることができる。具体的には、株式会社 協和機設の商品を用いることができる(例えば、バビダスHYK型など)が、これに限定されない。
【0089】
上記第3気体せん断部6によって、マイクロナノバブルまたはナノバブルを含有する処理水が第3槽1内に、水流26として吐出される。
【0090】
なお、本実施の形態の水処理装置では、信号線11を介して、シーケンサー14によって、電気ニードルバルブ9の開閉動作および気液混合循環ポンプの動作が制御される。これによって、第3気体せん断部6から吐出されるナノバブルおよびマイクロナノバブルの量を調節することができる。
【0091】
第3槽1においてナノバブルまたはマイクロナノバブルを含有することとなった処理水は、管10を経て第4槽15に流入する。
【0092】
(第4槽15)
第4槽15は、微生物を固定化する担体16、第4槽15中の水流を発生させるための散気管19および水中攪拌機58、微生物等の固形物と処理水とを分離するためのフィルター25などを備えている。第4槽15では、ナノバブルまたはマイクロナノバブルを含有することとなった上記処理水中の分解すべき物質が、当該バブルによって発生したフリーラジカルによって酸化分解されるとともに、当該バブルによって活性化された担体16上の微生物により生分解される。
【0093】
担体16は、担体69と同様のものを用いることができる。なお、担体16の細孔の孔径は、担体69と同様、19μm〜21μmであることが好ましく、略20μmであることがより好ましい。上記構成によれば、上記担体16の表面積を増すことができるとともに、当該細孔中に容易にマイクロナノバブルおよびナノバブルを拡散させることができる。また、ポリビニルアルコールの表面には、ナノバブルおよびマイクロナノバブルが付着しやすい。これにより、ナノバブルまたはマイクロナノバブルを含有することとなった上記処理水中の担体16は、固定化する微生物がより活性化され、バブルの付着により流動化され易くなっている。
【0094】
第4槽15としては特に限定されず、適宜公知の槽を用いることができる。上記第4槽15の形状としては特に限定されないが、例えば、第4槽15における処理水の収容部の形状は、立方体または直方体であることが好ましい。このとき、第4槽15の横断面の形状(上記収容部の横断面の形状)が、長さがa(m)である第1辺、および、長さがb(m)である第2辺を有する四角形にて規定されるとともに、前記処理槽の縦方向の深さ(上記収容部の縦方向の深さ)が、c(m)にて規定され、c:aおよびc:bにて示される比が、共に1:1.0〜1.3であることがさらに好ましい。
【0095】
第4槽15には、蓋が設けられていることが好ましい。上記蓋は、第4槽15の内部を密閉構造にすることができるものであればよく、具体的な構成は特に限定されない。また、当該蓋には、空気抜きに用いられる管46が設けられていることが好ましい。
【0096】
上記構成によれば、第4槽15内の処理水を外部環境から隔離することができるので、第4槽15の内部を好気的条件または嫌気的条件に厳密に設定することができる。例えば、第4槽15内を嫌気的条件に設定する場合には、第4槽15内の処理水を外気から隔離することができるので、嫌気的条件をより厳密に制御することができる。また、第4槽15内を好気的条件に設定する場合には、上記管46によって過剰な気体(例えば、酸素など)を取り除くことができるので、好気的条件をより厳密に制御することができる。
【0097】
また、第4槽15には、当該第4槽15内の処理水の酸化還元電位を測定するための酸化還元電位計47が設けられていることが好ましい。酸化還元電位計47としては特に限定されず、適宜公知の酸化還元電位計を用いることができる。なお、当該酸化還元電位計47の機能については、後述する。
【0098】
第4槽15内の流動部56には、第4槽15内に気体を吐出する散気管19が設けられていることが好ましい。上記散気管19によって第2槽15内の処理水に対して気体(気泡18)を吐出することによって、第4槽15の内部を好気的条件に設定することができる。また上記気体は処理水中を水面に向かって上昇するので、上昇水流を発生させることができる。そして、これによって、第4槽15内の処理水および担体16を攪拌することができる。
【0099】
散気管19には、管13を介してブロワー12から気体が供給されており、当該気体が、散気管19から第4槽15内に吐出されている。散気管19およびブロワー12の具体的な構成としては特に限定されず、適宜公知の構成を用いることができる。また、ブロワー12から散気管19に対して供給される気体としても特に限定されない。例えば、空気または酸素などを用いることが可能であるが、これらに限定されない。
【0100】
また、第4槽15内の流動部56には、第4槽15内の処理水および担体16を攪拌するために下向き(第4槽15の底面に向かう方向)に水流51を発生させる水中攪拌機58(攪拌手段)が設けられていることが好ましい。水中攪拌機58の具体的な構成としては特に限定されず、適宜公知の構成を用いることができる。例えば、水中攪拌機58としては、処理水に対して気体を吐出しないものであることが好ましい。上記構成によれば、第4槽15の内部を嫌気的条件に設定したままで、処理水および担体16を攪拌することができる。さらに具体的には、攪拌機58としては、水中エアレータであることが好ましいが、これに限定されない。
【0101】
散気管19および水中攪拌機58は、上記第4槽15内の流動部56に設けられた水流発生管17内(ドラフト)に設けられることが好ましい。水流発生管17が設けられる位置は特に限定されず、第4槽15内のどの位置に設けられている場合であっても、上記水流発生管17は第2槽15内の処理水および担体16を攪拌することができる。
【0102】
水流発生管17の形状としては特に限定されないが、例えば、円筒形状であることが好ましい。そして、このとき、水流発生管17の2つの開口は、それぞれ、第4槽15の底面、または第4槽15内に導入された処理水の水面に対向するように配置されていることが好ましい。
【0103】
また、水流発生管17の内部には、水中攪拌機58の下部に水中攪拌機58を固定支持するための支持板21が設けられていることが好ましい。さらに、支持板21には、担体16が通過し得るサイズを有する複数の開口が設けられていることが好ましい。例えば、担体16の形状が直径4mmの略球形である場合には、上記開口の直径は6mmであることが好ましい。上記構成によれば、上記開口を介して自由に担体16が流動することができるので、第4槽15内の処理水および担体16を効果的に流動させることができる。
【0104】
上記水中攪拌機58および散気管19の第4槽15内の配置は特に限定されないが、両構成共に、水流発生管17の内部に設けられることが好ましい。上記構成によれば、第4槽15内の水流51の方向を容易に制御することができる。
【0105】
また、このとき水流発生管17内における水中攪拌機58の位置は、散気管19よりも第2槽15の底面側であることが好ましい。上記構成によれば、散気管19によって形成される水流を、水中攪拌機58によって妨げることを防止することができる。これによって、第4槽15内の上側に存在する処理水および担体16をより効果的に攪拌することができる。
【0106】
上記第4槽15内の液中膜部57には、フィルター25(第2フィルター)が備えられていることが好ましい。フィルター25は、フィルター71と同様のものを用いることができる。また、フィルター71の下部に散気管67が設けられていたのと同様に、フィルター25の下部には散気管24が設けられていることが好ましい。これにより、フィルター71と同様に、フィルター25は、散気管24から発生する気泡18により空気洗浄されるとともに、流動部56において流動化された担体16が、フィルター25の表面に物理的に接触することによってフィルター25を洗浄する。その結果、フィルター25に浮遊物等が付着することに起因するフィルター25の透過量の減少を抑制することができる。
【0107】
第4槽15において、ナノバブルおよび微生物により有機物等が分解された処理水は、ポンプ28の動作によって、フィルター25において浮遊物等が濾過された後、管23を経て第5槽29へと輸送される。
【0108】
(第5槽29)
第5槽29では、バブル発生部43(第2バブル発生手段)によって、マイクロナノバブルまたはナノバブルが処理水中に導入される。バブル発生部43は、第1気体せん断部36を有する気液混合循環ポンプ35(過流ポンプ)、第2気体せん断部37、第3気体せん断部38、電気ニードルバルブ39、第2および第3気体せん断部を繋ぐ管49、気体を取り込むための管40、処理水を取り込むための管34などを含んでいる。バブル発生部43の構造および動作の詳細は、バブル発生部42と同様であり、説明は省略する。第5槽29においてナノバブルまたはマイクロナノバブルを含有することとなった処理水は、ポンプ30によって管32および31を経て第4槽15に輸送される。
【0109】
(活性炭吸着塔33)
活性炭吸着塔33では、処理水中に残存する難分解性の有機フッ素化合物を確実に活性炭に吸着させて処理する。また、活性炭吸着塔33が備える活性炭に繁殖する好気性の微生物は、処理水中の微量有機物を処理する。
【0110】
ここで、上記処理水中には、ナノバブルまたはマイクロナノバブルが含有されている。これにより、活性炭吸着塔33の内部を好気性に保ち、好気性微生物の繁殖可能な条件を整え、好気性微生物の活性化が図られる。その上、処理水中の難分解性の有機フッ素化合物のうち、ナノバブルで酸化分解できるものは酸化分解して、活性炭吸着塔33の活性炭の負荷を減少させて、活性炭の寿命(活性炭が破過するまでの期間)を延ばすことができる。
【0111】
なお、一般的には、活性炭吸着塔33の前には、急速ろ過塔が設置されるが、本実施形態においては、第4槽15にフィルター25が備えられているため、処理水の浮遊物質は確実に除去されており、急速ろ過塔の設置の必要性はない。
【0112】
また、有機フッ素化合物を吸着した活性炭は、活性炭が破過した時点(吸着しなくなった時点)で、セメント工場60に輸送されて、有機フッ素化合物の分解温度である1300℃以上で焼却処分される。元来、セメント工場60では、燃料として石炭を多量に使用してきたので、容易に使用済みの活性炭を燃料の代替として有効利用することができる。
【0113】
(シーケンサー14)
上述したポンプ73、28、および30、気液混合循環ポンプ2および35、電動ニードルバルブ9および39、ブロワー12、散気管19、ならびに水中攪拌機58は、信号線11および41を介してシーケンサー14に接続されている。シーケンサー14は、これらの動作を制御している。すなわち、上述したポンプの動作を制御することにより、各槽間の処理水の輸送を制御して、円滑に処理水が処理されるようにしている。また、上述した気液混合循環ポンプおよび電動ニードルバルブを制御することにより、処理水に適宜ナノバブルを含有させている。
【0114】
さらに、シーケンサー14は、酸化還元電位調節計48からの信号に基づいて、ブロワー12、散気管19、および水中攪拌機58を制御することにより、第4槽15内を好気的条件または嫌気的条件に調整している。これを詳しく述べれば、まず、酸化還元電位計47によって第4槽15内の処理水の酸化還元電位が測定される。上記測定値は、酸化還元電位調節計48に送られる。酸化還元電位調節計48では、上記測定値に基づいて、第4槽15内の処理水が好気的条件にあるのか嫌気的条件にあるのか判断する。なお、酸化還元電位調節計48には、予め第4槽15内の処理水の所望の状態(嫌気的または好気的)を記憶させておくことも可能である。なお、処理水の所望の状態は、経時的に変化するものであってもよい。例えば、好気的条件と嫌気的条件とを繰り返すものであってもよい。そして、酸化還元調節計48から、各種情報がシーケンサー14に伝達される。
【0115】
シーケンサー14は、酸化還元電位調節計48の判断に基づいて、気液混合循環ポンプ2、電動ニードルバルブ9、ブロワー12、散気管19および水中攪拌機58の動作を制御することができる。これによって、第4槽15内の状態を好気的条件または嫌気的条件に設定することができるので、担体16の表面上に固定化される微生物の種類(好気性微生物または嫌気性微生物)を制御することができる。つまり、本実施の形態の水処理装置では、好気性微生物と嫌気性微生物の両方を同時に繁殖させて、両方の微生物によって混入物を処理(分解除去)することができる。すなわち、従来技術では1つの槽にて好気性微生物と嫌気性微生物との両方を充分に繁殖させることができなかったが、本実施の形態の水処理装置では、1つの槽にて好気性微生物と嫌気性微生物との両方を充分に繁殖させることができる。
【0116】
酸化還元電位計47の値がプラスである場合には、第4槽15の内部は好気的条件であり、逆にマイナスである場合には、第4槽15の内部は嫌気的条件である。そして、本実施の形態の水処理装置では、第4槽15の内部条件を適切に制御することによって、好気性微生物と嫌気性微生物との両方が、適切に共存できる環境を生み出している。
【0117】
シーケンサー14によるポンプ等の動作の制御方法は特に限定されない。上記制御方法は、例えば、各構成の運転時間、および/または、運転する構成の組み合わせを適切に制御する方法であり得る。例えば、第4槽15の内部を好気的条件に設定する場合には、ブロワー12および散気管19を駆動させればよい。一方、第4槽15の内部を嫌気的条件に設定する場合には、ブロワー12および散気管19を停止させるとともに、水中攪拌機58を駆動させればよい。また、第4槽15の内部を、好気的条件と嫌気的条件とに連続的に変化させることも可能である。
【0118】
〔第2実施形態〕
本発明の第2実施形態を図2に示す。
【0119】
図2に示す第2実施形態は、第1実施形態と比較して、第1実施形態における下吐出水中撹拌機58が上吐出水中撹拌機59に置き換えられている。よって、第1実施形態と同じ部分については、同じ符号を付けて、詳細説明を省略する。第1実施形態と異なる部分のみ、説明する。
【0120】
第2の実施形態は、第1実施形態における下吐出水中撹拌機58が上吐出水中撹拌機59に置き換えられているので、散気管19による上昇水流による撹拌と同様に、上吐出水中撹拌機59による上昇水流による撹拌方式である。よって、第4槽15(第2樹脂槽)の流動部56の撹拌方式は、上昇水流のみの担体16の撹拌である。
【0121】
ここで、一局面において、担体16が、ポリビニルアルコールからなる場合、比重が1.025程度である。本局面において、第1実施形態のように、下吐出水中撹拌機58により撹拌した場合、担体16は、第4槽15の流動部56の底部に比較的高密度に集まって流動する。一方、本実施形態のように、上吐出水中撹拌機59を使用する場合、上昇水流による撹拌であるから、担体16が水面近くまで上昇する。これにより、流動部56の全容量が撹拌され、処理水と担体16との接触が最大となる。したがって、担体16に固定化された微生物による処理水中の有機物の処理をより確実に行うことができる。
【0122】
下吐出水中撹拌機58が良いか、上吐出撹拌機59が良いかは、排水の種類によって選定すればよい。
【0123】
〔第3実施形態〕
本発明の第3実施形態を図3に示す。
【0124】
図3に示す第3実施形態は、第1実施形態と比較して、第1実施形態における第4槽15の流動部56と液中膜部57にさらに活性炭52が添加されている。その点のみが第3実施形態は、第1実施形態と異なっている。よって、第1実施形態と同じ部分については、同じ符号を付けて、詳細説明を省略する。第1実施形態と異なる部分のみ、説明する。
【0125】
第3の実施形態は、第1実施形態における第4槽15に、活性炭52が追加添加されているので、活性炭が有機フッ素化合物や有機物を吸着することできる。
【0126】
破過した使用済みの活性炭は取り出して、セメント工場で焼却処分することもできるので、焼却処分すれば、処理が確実となると同時に、後段の活性炭吸着塔33の活性炭の寿命が延びることになる。
【0127】
また、フィルター25は、担体16と活性炭52との両方によって膜表面が物理的に洗浄されることになる。
【0128】
〔第4実施形態〕
本発明の第4実施形態を図4に示す。
【0129】
図4に示す第4実施形態は、第2実施形態と比較して、第2実施形態における第4槽15の流動部56と液中膜部57に新たに活性炭52が添加されている。その点のみが第4実施形態は、第2実施形態と異なっている。よって、第2の実施形態と同じ部分については、同じ符号を付けて、詳細説明を省略する。第2実施形態と異なる部分のみ、説明する。
【0130】
第4実施形態は、第2実施形態における第4槽15に、活性炭52が追加添加されているので、活性炭が有機フッ素化合物や有機物を吸着することできる。
【0131】
破過した使用済みの活性炭は取り出して、セメント工場で焼却処分することもできるので、焼却処分すれば、処理が確実となると同時に、後段の活性炭吸着塔33の活性炭の寿命が延びることになる。
【0132】
また、フィルター25は、担体16と活性炭52との両方によって膜表面が物理的に洗浄されることになる。
【0133】
〔第5実施形態〕
本発明の第5実施形態に係る水処理装置を図5に示す。
【0134】
図5に示す第5実施形態は、第1実施形態における第4槽15の流動部56の上部側面周囲に三角形の凸部55が設置されている。その部分のみが、第1実施形態と異なっている。よって、第1実施形態と同じ部分については、同じ符号を付けて、詳細説明を省略する。第1実施形態と異なる部分のみ、説明する。
【0135】
第5実施形態では、第4槽15の流動部56の上部側面周囲に三角形の凸部55が設置されているので、水流の流れに変化が起き、その水流に従って、担体16も流動部56内の下部を中心に流動する様になる。
【0136】
従って、嫌気状態での処理を重要視する場合は、適合する内容となる。すなわち、担体16が流動部56の下部での流動状態となるので、空気と接触することなく、またポバール樹脂16が高密度となるので、嫌気状態が維持される。
【0137】
特に、下吐出水中撹拌機58の運転時間を長くし、ブロワー12の運転時間を短くすれば、より嫌気状態を維持できる。
【0138】
本実施形態は、有機フッ素化合物含有排水の中でも窒素分が多く、脱窒が必要な嫌気性の微生物を主体に処理を実施する場合に好適である。
【0139】
〔第6実施形態〕
本発明の第6実施形態を図6に示す。
【0140】
図6に示す第6実施形態は、第1実施形態における第4槽15の上部に蓋としてのスラブ(コンクリート蓋)が設置されていない。すなわち開放形である。第6実施形態は、その点のみが、第1実施形態と異なっている。よって、第1実施形態と同じ部分については、同じ符号を付けて、詳細説明を省略する。第1実施形態と異なる部分のみ、説明する。
【0141】
第6実施形態は、第1実施形態における第4槽15の上部に蓋としてのスラブが設置されていないので、第4槽15内を嫌気性の状態とする場合も好気性の状態とする場合に好適である。
【0142】
有機フッ素化合物含有排水中の有機物を処理して、最終的に活性炭吸着処理が最も可能性の高い合理的処理システムであるから、第6実施形態が最も採用されやすい排水処理システムとなる。
【0143】
すなわち、上部蓋の無い第4槽15で有機フッ槽化合物含有排水中の有機物を好気性微生物で効率的に処理することになる。
【0144】
〔第7実施形態〕
本発明の第7実施形態を図7に示す。
【0145】
図7に示す第7実施形態は、第1実施形態と比較して、第1実施形態における第4槽15の上部に設置してある酸化還元電位計47がpH計53に置き換わり、また酸化還元電位調節計48がpH調節計54に置き換わっている。その点のみが、第1実施形態と異なっている。よって、第1実施形態と同じ部分については、同じ符号を付けて、詳細説明を省略する。第1実施形態と異なる部分のみ、説明する。
【0146】
第7実施形態は、第1実施形態における第4槽15の上部に設置してある酸化還元電位計47がpH計53に置き換わり、また酸化還元電位調節計48がpH調節計54に置き換わっているので、第4槽15のpHを測定して、そのpH値によって、すなわちpH調節計54の信号で、シーケンサー14を介して気液混合循環ポンプ2の運転時間やブロワー12の運転時間を制御している。
【0147】
有機フッ素化合物含有排水中に窒素分が存在するとナノバブルや空気によって、窒素分が酸化されて、硝酸イオンを生成して、処理水のpHを低下させる。よって、硝酸イオンを多量に生成しない様に、シーケンサー14を介して気液混合循環ポンプ2の運転時間やブロワー12の運転時間を制御している。
【0148】
尚、第4槽15の処理水のpHが低下しても、処理上は気液混合循環ポンプ2の運転やブロワー12の運転が必要な場合は、苛性ソーダ等のアルカリを添加(処理水を中和)してもよい。
【0149】
有機フッ素化合物含有排水をナノバブルを含有させて、第4槽15で、処理すると、ナノバブルの強力な酸化力で処理水のpH値がpH4以下となる場合もあるが、本実施形態によれば、pHを調整管理することができる。
【0150】
〔第8実施形態〕
本発明の第8実施形態を図8に示す。
【0151】
図8に示す第8実施形態は、第2実施形態と比較して、第2実施形態における第4槽15の上部に設置してある酸化還元電位計47がpH計53に置き換わり、また酸化還元電位調節計48がpH調節計54に置き換わっている。その点のみが、第2実施形態と異なっている。よって、第2実施形態と同じ部分については、同じ符号を付けて、詳細説明を省略する。第2実施形態と異なる部分のみ、説明する。
【0152】
第8実施形態は、第2実施形態における第4槽15の上部に設置してある酸化還元電位計47がpH計53に置き換わり、また酸化還元電位調節計48がpH調節計54に置き換わっているので、第4槽15のpHを測定して、そのpH値によって、すなわちpH調節計54の信号で、シーケンサー14を介して気液混合循環ポンプ2の運転時間やブロワー12の運転時間を制御している。
【0153】
有機フッ素化合物含有排水中に窒素分が存在するとナノバブルや空気によって、窒素分が酸化されて、硝酸イオンを生成して、処理水のpHを低下させる。よって、硝酸イオンを多量に生成しない様にシーケンサー14を介して気液混合循環ポンプ2の運転時間やブロワー12の運転時間を制御している。尚、第4槽15の処理水のpHが低下しても、処理上は気液混合循環ポンプ2の運転やブロワー12の運転が必要な場合は、苛性ソーダ等のアルカリを添加(処理水を中和)してもよい。
【0154】
有機フッ素化合物含有排水をナノバブルを含有させて、第4槽15で処理すると、ナノバブルの強力な酸化力で処理水のpH値がpH4以下となる場合もあるが、本実施形態によれば、pHを調整管理することができる。
【0155】
〔第9実施形態〕
次に本発明の第9実施形態を図9に示す。
【0156】
図9に示す第9実施形態は、第1実施形態と比較して、第1実施形態における第1層62と第2槽65との間に(ポンプ63の後に)前段ナノバブル発生槽75が設置され、前段ナノバブル発生槽75を出た処理水は、第2槽65に導入されている。その点のみが、第1実施形態と異なっている。よって、第1実施形態と同じ部分については、同じ符号を付けて、詳細説明を省略する。第1実施形態と異なる部分のみ、説明する。
【0157】
第1実施形態におけるポンプ63の後に前段ナノバブル発生槽75が設置され、前段ナノバブル発生槽75を出た処理水は、第2槽65に導入されているので、ナノバブルを処理水としての有機フッ素化合物含有排水に含有させて、第2槽65に導入している。
【0158】
従って、ナノバブルが有するフリーラジカルによる強力な酸化力や微生物の活性化により、第2槽65の処理能力が向上して、全体排水処理システムの水質が向上する。
【0159】
また、第2槽65での処理が確実となるので、活性炭吸着塔33の活性炭の寿命が長くなる。
【0160】
〔第10実施形態〕
次に本発明の第10実施形態を図10に示す。
【0161】
図10に示す第10実施形態は、第1実施形態と比較して、第1実施形態における第1層62と第2槽65との間に(ポンプ63の後に)マイクロナノバブル発生槽76が設置され、マイクロナノバブル発生槽76を出た処理水は、第2槽65に導入されている。その点のみが、第1実施形態と異なっている。よって、第1実施形態と同じ部分については、同じ符号を付けて、詳細説明を省略する。第1実施形態と異なる部分のみ、説明する。
【0162】
第1実施形態におけるポンプ63の後にマイクロナノバブル発生槽76が設置され、マイクロナノバブル発生槽76を出た処理水は、第2槽65に導入されているので、マイクロナノバブルを処理水としての有機フッ素化合物含有排水に含有させて、第2槽65に導入している。
【0163】
従って、ナノバブルの酸化力程ではないが、マイクロナノバブルが有するフリーラジカルによる酸化力や微生物の活性化により、第2槽65の処理能力が向上して、全体排水処理システムの水質が向上する。
【0164】
また、第2槽65での処理が向上するので、活性炭吸着塔33の活性炭の寿命が長くなる。
【0165】
〔実施例〕
図1に基づき、本発明に係る水処理装置を製作した。上記水処理装置における第1槽62の容量を約0.5mとし、第2槽65の容量を約4mとし、第3槽1の容量を約0.1mとし、第4槽15の容量を6mとし、第2槽65に充填する担体(ポバール樹脂、株式会社クラレのクラゲール)16の量を約0.8mとし、第4槽15内二十点する担体16の量を約1.2m(水槽容量の約20%)とし、第1ナノバブル発生機42と第2ナノバブル発生機43を株式会社協和機設としてバビタスHYK−32を用いた。バビタスHYK−32の気液混合循環ポンプ2と気液混合循環ポンプ35の動力は3.7kwであった。
【0166】
また、下吐出水中撹拌機58として新明和工業株式会社の水中エアレータSJ型を用い、第5槽29の容量を1mとし、活性炭吸着塔33の容量を0.6mとし、第6槽44の容量を0.7mとして上記処理装置を準備した。
【0167】
そして、処理水として、有機フッ素化合物含有排水であるPFOS〔パーフルオロオクタンスルホン酸〕を含有する有機フッ素化合物含有排水を準備して、上記水処理装置に約2ヶ月間に渡って導入した。
【0168】
そして2ヶ月間の試運転後、導入した水と処理後の水のPFOS〔パーフルオロオクタンスルホン酸〕を3回計6検体側定して、処理後の水の導入した水に対する除去率を求め、3回の平均値を算出したところ、99.5%であった。
【0169】
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【0170】
また、本明細書中に記載された学術文献および特許文献の全てが、本明細書中において参考として援用される。
【0171】
本発明はまた、以下(1)〜(26)のように表すことができる。
【0172】
(1)処理水を第1ポリビニルアルコール担体槽、続いて第2ポリビニルアルコール担体槽の2槽で処理した後、活性炭で吸着処理する、水処理方法。
【0173】
(2)処理水を第1ポリビニルアルコール担体槽、続いて第2ポリビニルアルコール担体槽の2槽で処理した後、活性炭で吸着処理する、水処理装置。
【0174】
(3)処理水を、液中膜を設置した第1ポリビニルアルコール担体槽、続いて液中膜を設置した第2ポリビニルアルコール担体槽の2槽で処理した後、活性炭で吸着処理する、水処理方法。
【0175】
(4)処理水を、液中膜を設置した第1ポリビニルアルコール担体槽、続いて液中膜を設置した第2ポリビニルアルコール担体槽の2槽で処理した後、活性炭で吸着処理する、水処理装置。
【0176】
(5)処理水を、液中膜を設置した第1ポリビニルアルコール担体槽、続いてナノバブルを含有させて、液中膜を設置した第2ポリビニルアルコール担体槽の2槽で処理した後、さらにナノバブルを含有させて、活性炭で吸着処理する、水処理方法。
【0177】
(6)処理水を、液中膜を設置した第1ポリビニルアルコール担体槽、続いてナノバブルを含有させて、液中膜を設置した第2ポリビニルアルコール担体槽の2槽で処理した後、さらにナノバブルを含有させて、活性炭で吸着処理する、水処理装置。
【0178】
(7)(3)〜(6)の発明において、前記液中膜を空気とポリビニルアルコール担体で洗浄する、水処理方法。
【0179】
(8)(3)〜(6)の発明において、前記液中膜を空気とポリビニルアルコール担体で洗浄する、水処理装置。
【0180】
(9)処理水を、液中膜を設置した第1のポリビニルアルコール担体開放水槽で処理した後、ナノバブルを含有させて、第2のポリビニルアルコール担体密閉水槽に、酸化還元電位計と液中膜を設置して処理し、さらにナノバブルを処理水に追加含有させて、その後、活性炭吸着塔に導入して処理する、水処理方法。
【0181】
(10)処理水を、液中膜を設置した第1のポリビニルアルコール担体開放水槽で処理した後、ナノバブルを含有させて、第2のポリビニルアルコール担体密閉水槽に、酸化還元電位計と液中膜を設置して処理し、さらにナノバブルを処理水に追加含有させて、その後、活性炭吸着塔に導入して処理する、水処理装置。
【0182】
(11)処理水を、液中膜を設置した第1のポリビニルアルコール担体開放水槽で処理した後、ナノバブルを含有させて、第2のポリビニルアルコール担体密閉水槽に、pH計と液中膜を設置して処理し、さらにナノバブルを処理水に追加含有させて、その後、活性炭吸着塔に導入して処理する、水処理方法。
【0183】
(12)処理水を、液中膜を設置した第1のポリビニルアルコール担体開放水槽で処理した後、ナノバブル含有させて、第2のポリビニルアルコール担体密閉水槽に、酸化還元電位計と液中膜を設置して処理し、さらにナノバブルを処理水に追加含有させて、その後、活性炭吸着塔に導入して処理する、水処理装置。
【0184】
(13)(9)の水処理方法において、前記第2のポリビニルアルコール担体密閉水槽を好気状態または嫌気状態とする、水処理方法。
【0185】
(14)(9)の水処理方法において、前記第2のポリビニルアルコール担体密閉水槽を好気状態または嫌気状態とする、水処理装置。
【0186】
(15)(9)の水処理方法において、前記第2のポリビニルアルコール担体密閉水槽を好気状態または嫌気状態とを交互に経過させる、水処理方法。
【0187】
(16)(9)の水処理方法において、前記第2のポリビニルアルコール担体密閉水槽の中心付近に上下が開放されている筒を配置し、その筒中に上昇流動水流を発生させる為の散気管と上昇流動水流を発生させる為の水中攪拌機を設置する、水処理装置。
【0188】
(17)(9)の水処理方法において、前記第2のポリビニルアルコール担体密閉水槽の中心付近に上下が開放されている筒を配置し、その筒中に上昇流動水流を発生させる為の散気管と下降流動水流を発生させる為の水中攪拌機を設置する、水処理装置。
【0189】
(18)(1)〜(17)の水処理方法および水処理装置において、前記処理水が、有機フッ素化合物含有水、工業用水、工場排水、生活排水、工場排水処理水、地下水、上水および下水である、水処理方法および水処理装置。
【0190】
(19)(1)〜(18)の水処理方法および水処理装置において、前記密閉水槽が、通常の上部開放水槽である、水処理方法および水処理装置。
【0191】
(20)(1)〜(19)の水処理方法および水処理装置において、前記第のポリビニルアルコール担体密閉水槽における流動部の縦の寸法(深さ方向の寸法)と横の寸法(深さの寸法を除く2方向寸法)の比率を1対1.0から1.3とする、水処理方法および水処理装置。
【0192】
(21)(1)〜(19)の水処理方法および水処理装置において、前記第2のポリビニルアルコール担体密閉水槽のポリビニルアルコール担体が、液中膜部に移動循環して、液中膜の表面を洗浄する、水処理方法および水処理装置。
【0193】
(22)(1)〜(19)の水処理方法および水処理装置において、前記第2のポリビニルアルコール担体密閉水槽に設置する水中攪拌機が、下向き方向に水流を発生させる下吐出撹拌水流タイプである、水処理方法および水処理装置。
【0194】
(23)(1)〜(19)の水処理方法および水処理装置において、前記前記第2のポリビニルアルコール担体密閉水槽に設置する水中攪拌機が、下向き方向に水流を発生させる下吐出撹拌水流タイプであり、かつ前記水中攪拌機に空気が供給される、水処理方法および水処理装置。
【0195】
(24)(1)〜(19)の水処理方法および水処理装置において、前記第2のポリビニルアルコール担体密閉水槽四方の壁面に三角形状の凸部を設置する、水処理方法および水処理装置。
【0196】
(25)(1)〜(24)の水処理方法および水処理装置において、第1のポリビニルアルコール担体槽が、曝気が散気管方式の傾斜面を側面に有する傾斜曝気槽、または散気管と傾斜面を側面に有する傾斜曝気槽である、水処理方法。
【0197】
(26)(1)〜(25)の水処理方法および水処理装置において、前記活性炭吸着塔の使用済活性炭をセメント工場で、1300℃で焼却処理する、水処理方法。
【産業上の利用可能性】
【0198】
本発明によれば、処理水中に含まれる混入物(例えば、有機物)を効果的に除去することができる。そのため、本発明は、廃水処理装置および水浄化装置に代表される各種水処理装置やその部品を製造する分野に利用することができるだけでなく、さらには、混入物が除去された純度の高い液体を用いる必要がある分野に、広く応用することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0199】
【図1】本発明の第1実施形態に係る水処理装置の概略構成を示す模式図である。
【図2】本発明の第2実施形態に係る水処理装置の概略構成を示す模式図である。
【図3】本発明の第3実施形態に係る水処理装置の概略構成を示す模式図である。
【図4】本発明の第4実施形態に係る水処理装置の概略構成を示す模式図である。
【図5】本発明の第5実施形態に係る水処理装置の概略構成を示す模式図である。
【図6】本発明の第6実施形態に係る水処理装置の概略構成を示す模式図である。
【図7】本発明の第7実施形態に係る水処理装置の概略構成を示す模式図である。
【図8】本発明の第8実施形態に係る水処理装置の概略構成を示す模式図である。
【図9】本発明の第9実施形態に係る水処理装置の概略構成を示す模式図である。
【図10】本発明の第10実施形態に係る水処理装置の概略構成を示す模式図である。
【符号の説明】
【0200】
1 第3槽
2 気液混合循環ポンプ
3 第1気体せん断部
4 第2気体せん断部
5、7、8 管
6 第3気体せん断部
9 電動ニードルバルブ
10、13 管
11 信号線
12 ブロワー
14 シーケンサー
15 第4槽(第2樹脂槽)
16 担体
17 水流発生管(ドラフト)
18 気泡
19 散気管(第2散気手段)
20 三角壁
21 支持板
22、23、27 管
24 散気管
25 フィルター
26 バブル流
28 ポンプ
29 第5槽
30 ポンプ
31、32、34 管
33 活性炭吸着塔
35 気液混合循環ポンプ
36 第1気体せん断部
37 第2気体せん断部
38 第3気体せん断部
39 電動ニードルバルブ
40、45、49 管
41 信号線
42 第1ナノバブル発生機(第1バブル発生手段)
43 第2ナノバブル発生機(第2バブル発生手段)
44 第6槽
46 空気抜き
47 酸化還元電位計
48 酸化還元電位調節計(酸素濃度調整手段)
50 管
51 水流
52 活性炭
53 pH計
54 pH調節計(pH調整手段)
55 凸部
56 流動部
57 液中膜部
58 下吐出水中撹拌機(攪拌手段)
59 上吐出水中撹拌機(攪拌手段)
60 セメント工場
61、64、68 管
62 第1槽
63 ポンプ
65 第2槽(第1樹脂槽)
66 傾斜面
67 散気管(第1散気手段)
69 担体
70 気泡
71 フィルター
72、77 管
73 ポンプ
74 水流
75 前段ナノバブル発生槽
76 マイクロナノバブル発生槽

【特許請求の範囲】
【請求項1】
処理水を浄化するための水処理装置であって、
ポリビニルアルコールからなり、細孔を有し、微生物を固定化している担体を備えており、処理水を貯める、第1樹脂槽および第2樹脂槽と、
活性炭を備えている活性炭吸着塔と、
第1樹脂槽において浄化された該処理水を第2樹脂槽に輸送する第1経路と、
第2樹脂槽において浄化された該処理水を該活性炭吸着塔に輸送する第2経路とを備えていることを特徴とする水処理装置。
【請求項2】
第1樹脂槽が、上記処理水を濾過するための第1フィルターをさらに備えており、
第2樹脂槽が、該処理水を濾過するための第2フィルターをさらに備えていることを特徴とする請求項1に記載の水処理装置。
【請求項3】
第1経路中において上記処理水中にナノバブルまたはマイクロナノバブルを発生させる第1バブル発生手段と、
第2経路中において上記処理水中にナノバブルまたはマイクロナノバブルを発生させる第2バブル発生手段とをさらに備えていることを特徴とする請求項1または2に記載の水処理装置。
【請求項4】
第1樹脂槽が、底部に傾斜面を有しており、自槽内に気体を吐出する第1散気手段をさらに備えていることを特徴とする請求項1〜3の何れか一項に記載の水処理装置。
【請求項5】
第2樹脂槽が、自槽内に気体を吐出する第2散気手段と、自槽内の上記担体を攪拌する攪拌手段とをさらに備えていることを特徴とする請求項1〜4の何れか一項に記載の水処理装置。
【請求項6】
上記攪拌手段が、第2樹脂槽において上昇水流を発生させる水中攪拌機であることを特徴とする請求項5に記載の水処理装置。
【請求項7】
上記攪拌手段が、第2樹脂槽において下降水流を発生させる水中攪拌機であることを特徴とする請求項5に記載の水処理装置。
【請求項8】
上記攪拌手段が、水中エアレータであることを特徴とする請求項5〜7の何れか一項に記載の水処理装置。
【請求項9】
第2散気手段および上記攪拌手段は共に、円筒形状のドラフト内に設けられており、
前記ドラフトの2つの開口は、それぞれ、第2樹脂槽の底面、または第2樹脂槽内にためられた上記処理水の水面に対向するように配置されていることを特徴とする請求項5〜8の何れか一項に記載の水処理装置。
【請求項10】
第2樹脂槽内の処理水の酸化還元電位を測定する酸化還元電位計と、
該酸化還元電位計の測定結果に基づいて、第2散気手段および上記攪拌手段を制御する酸素濃度調整手段とをさらに備えることを特徴とする請求項5〜9の何れか一項に記載の水処理装置。
【請求項11】
上記酸素濃度調整手段が、第2樹脂槽内が好気状態となるように上記制御をするようになっていることを特徴とする請求項10に記載の水処理装置。
【請求項12】
上記酸素濃度調整手段が、第2樹脂槽内が嫌気状態となるように上記制御をするようになっていることを特徴とする請求項10に記載の水処理装置。
【請求項13】
上記酸素濃度調整手段が、第2樹脂槽内が交互に好気状態と嫌気状態とが入れ替わるように上記制御をするようになっていることを特徴とする請求項10に記載の水処理装置。
【請求項14】
第2樹脂槽内の処理水のpHを測定するpH計と、
該pH計の測定結果に基づいて、第2散気手段および上記攪拌手段を制御するpH調整手段とをさらに備えることを特徴とする請求項5〜13の何れか一項に記載の水処理装置。
【請求項15】
第1樹脂槽および第2樹脂槽が、上部開放水槽であることを特徴とする請求項1〜14の何れか一項に記載の水処理装置。
【請求項16】
第2樹脂槽の横断面の形状が、長さがa(m)である第1辺、および、長さがb(m)である第2辺を有する四角形にて規定されるとともに、第2樹脂槽の縦方向の深さが、c(m)にて規定され、
c:aおよびc:bにて示される比が、共に1:1.0〜1.3であることを特徴とする請求項1〜15の何れか1項に記載の水処理装置。
【請求項17】
第2樹脂槽の内側面には、自槽の横断面の中央に向かって突出した凸部が設けられ、
該凸部の縦断面の形状は、三角形であることを特徴とする請求項1〜16の何れか一項に記載の水処理装置。
【請求項18】
処理水を浄化する水処理方法であって、
ポリビニルアルコールからなり、細孔を有し、微生物を固定化している担体を備えている第1樹脂槽に処理水を貯める第1処理工程と、
第1処理工程の後、第1樹脂槽内の該処理水を、該担体を備えている第2樹脂槽に貯める第2処理工程と、
第2処理工程の後、第2樹脂槽内の該処理水を、活性炭を備えている活性炭吸着塔に輸送する第3処理工程とを含んでいることを特徴とする水処理装置。
【請求項19】
上記処理水が、有機フッ素化合物含有水、工業用水、工場排水、生活排水、工場排水処理水、地下水、上水および下水であることを特徴とする請求項18に記載の水処理方法。
【請求項20】
破過した上記活性炭をセメント工場で焼却する焼却工程をさらに含んでいることを特徴とする請求項18または19に記載の水処理方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2009−233549(P2009−233549A)
【公開日】平成21年10月15日(2009.10.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−81645(P2008−81645)
【出願日】平成20年3月26日(2008.3.26)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【出願人】(000245531)野村マイクロ・サイエンス株式会社 (116)
【Fターム(参考)】