説明

水処理装置および水処理方法

【課題】金属イオンと配位結合を形成する有機化合物を含む水に含有される当該有機化合物をフェントン反応で処理する水処理において、使用する薬剤および発生する汚泥量が低減される水処理装置を提供する。
【解決手段】金属イオンと配位結合を形成する有機化合物を含む水を処理対象とし、第二鉄イオン触媒と過酸化水素とを用いて前記水のフェントン処理を行うフェントン処理手段を有することを特徴とする水処理装置である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水処理装置および水処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
電子写真法等のように、静電潜像を経て画像情報を可視化する方法は、現在各種の分野で広く利用されており、前記電子写真法においては、帯電工程、露光工程等を経て形成された電子写真用感光体表面の静電潜像を静電潜像現像用トナー(以下、単に「トナー」と称する場合がある)により現像し、転写工程、定着工程等を経て前記静電潜像が可視化される。
【0003】
トナーの製造方法としては、従来、混練粉砕法で行われていたが、トナーの小径化や粒度分布の制御やオイルレス定着のための離型剤を内包させるなどの観点から、懸濁重合法や凝集合一法などの湿式製法が盛んに行われるようになってきた。これらの湿式製法では、トナー成分である樹脂、着色剤、離型剤の他にトナー製造工程で、分散性をあげるために界面活性剤や、金属イオンと配位結合を形成する多価アミノカルボン酸化合物等の有機化合物(以下、「キレート剤」と呼ぶ場合がある。)が加えられることがある。このため、トナー製造工程で、これらの成分を含む水溶液が発生することがある。
【0004】
通常、一般の水処理としては、凝集沈殿処理が利用される場合が多い。凝集沈殿処理に関しては、公害防止の技術と法規水質編等の一般文献に多く記載されている。水中の難処理成分を分解させて除去する方法として、フェントン反応を用いる例が知られており、キレート剤を含有するフッ素、リン含有水の処理方法として、フェントン処理を用いた例もある(例えば、特許文献1参照)。
【0005】
特許文献2には、キレート剤を含有するフッ酸および/またはリンを含む原水に、カルシウム化合物を作用させて不溶化物を形成する不溶化物形成工程と、形成した不溶化物を固液分離して処理水を得る固液分離工程とを有する方法であって、実質的に前記不溶化物形成工程の前に、第一鉄イオンと過酸化水素の存在下で原水をフェントン処理する工程を設け、前記第一鉄イオンを、第二鉄イオンまたは第二鉄塩を光触媒に接触させながら光を照射することにより発生させるキレート剤含有水のフッ素・リン処理方法が記載されている。
【0006】
特許文献3には、有機物を含む排水を鉄塩と過酸化水素を用いてフェントン処理する方法において、過酸化水素は2〜10の多段に分割してフェントン反応槽内に加えられ、かつ前記フェントン反応槽内には電極を設けてFe3+を電気化学的に還元しつつフェントン処理を行う排水処理方法が記載されている。
【0007】
特許文献4には、過酸化水素及び鉄塩を添加して廃水中の有機物を分解する廃水処理方法に於いて、前記鉄塩を複数回に分けて添加する廃水処理方法が記載されている。
【0008】
これらのフェントン反応では、触媒として第一鉄イオン(Fe2+)が用いられている。例えば、特許文献2では、第二鉄イオン(Fe3+)を光触媒に接触させながら光照射することにより発生させた第一鉄イオンをフェントン反応槽に供給している。また、特許文献3では、フェントン反応槽内で電極を用いて、第一鉄イオンを用いたフェントン処理により発生した第二鉄イオンを第一鉄イオンに電気化学的に還元しつつフェントン処理を行っている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2007−125481号公報
【特許文献2】特開2007−130518号公報
【特許文献3】特開2004−181446号公報
【特許文献4】特開2005−000801号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、金属イオンと配位結合を形成する有機化合物を含む水に含有される当該有機化合物をフェントン反応で処理する水処理において、使用する薬剤および発生する汚泥量が低減される水処理装置および水処理方法である。
【課題を解決するための手段】
【0011】
請求項1に係る発明は、金属イオンと配位結合を形成する有機化合物を含む水を処理対象とし、第二鉄イオン触媒と過酸化水素とを用いて前記水のフェントン処理を行うフェントン処理手段を有する水処理装置である。
【0012】
請求項2に係る発明は、前記第二鉄イオン触媒が塩化第二鉄である、請求項1に記載の水処理装置である。
【0013】
請求項3に係る発明は、前記フェントン処理手段が2つ以上の反応槽を備え、第一の反応槽において前記第二鉄イオン触媒と前記過酸化水素とを用いて前記水のフェントン処理が行われる、請求項1または2に記載の水処理装置である。
【0014】
請求項4に係る発明は、前記2つ以上の反応槽のうちの第二の反応槽以降の反応槽において過酸化水素を添加する過酸化水素添加手段を有する、請求項3に記載の水処理装置である。
【0015】
請求項5に係る発明は、前記第二の反応槽以降の反応槽において第一鉄イオン触媒を添加する第一鉄イオン触媒添加手段を有し、前記第一鉄イオン触媒添加手段によって、前記過酸化水素添加手段により添加された過酸化水素のモル濃度に対して1%以上100%以下の第一鉄イオン触媒が添加される、請求項4に記載の水処理装置である。
【0016】
請求項6に係る発明は、前記過酸化水素添加手段による過酸化水素の添加量を調整する過酸化水素量調整手段と、前記第一鉄イオン触媒添加手段による第一鉄イオン触媒の添加量を調整する第一鉄イオン触媒量調整手段とを有する、請求項5に記載の水処理装置である。
【0017】
請求項7に係る発明は、前記フェントン処理手段が3つ以上の反応槽を備え、第一の反応槽において前記第二鉄イオン触媒と前記過酸化水素とを用いて前記水のフェントン処理が行われ、第二の反応槽以降の反応槽において過酸化水素を添加する過酸化水素添加手段と、第二の反応槽以降の反応槽において第一鉄イオン触媒を添加する第一鉄イオン触媒添加手段と、第二の反応槽以降の反応槽における処理水の温度を測定する温度測定手段とを有し、前記温度測定手段により測定された前記第二の反応槽以降の反応槽における反応槽の温度が前段側の反応槽の温度よりも5℃以上下がった場合、前記第一鉄イオン触媒添加手段により、過酸化水素のモル濃度に対して1%以上100%以下の第一鉄イオン触媒が添加される、請求項1または2のいずれか1項に記載の水処理装置である。
【0018】
請求項8に係る発明は、金属イオンと配位結合を形成する有機化合物を含む水を処理対象とし、第二鉄イオン触媒と過酸化水素とを用いて前記水のフェントン処理を行うフェントン処理工程を含む水処理方法である。
【発明の効果】
【0019】
本発明の請求項1によると、フェントン反応の触媒として第二鉄イオン触媒を用いない場合に比べて、使用する薬剤および発生する汚泥量が低減される。
【0020】
本発明の請求項2によると、第二鉄イオン触媒が塩化第二鉄ではない場合に比べて、コストが低減される。
【0021】
本発明の請求項3によると、フェントン処理手段が2つ以上の反応槽を備え、第一の反応槽において第二鉄イオン触媒と過酸化水素とを用いてフェントン処理が行われない場合に比べて、使用する薬剤および発生する汚泥量が低減される。
【0022】
本発明の請求項4によると、第二の反応槽以降の反応槽において過酸化水素を添加する過酸化水素添加手段を有さない場合に比べて、使用する薬剤および発生する汚泥量が低減される。
【0023】
本発明の請求項5によると、第二の反応槽以降の反応槽において第一鉄イオン触媒を添加する第一鉄イオン触媒添加手段によって、過酸化水素添加手段により添加された過酸化水素のモル濃度に対して1%以上100%以下の第一鉄イオン触媒が添加されない場合に比べて、使用する薬剤および発生する汚泥量が低減される。
【0024】
本発明の請求項6によると、過酸化水素添加手段による過酸化水素の添加量を調整する過酸化水素量調整手段と、第一鉄イオン触媒添加手段による第一鉄イオン触媒の添加量を調整する第一鉄イオン触媒量調整手段とを有さない場合に比べて、使用する薬剤および発生する汚泥量が低減される。
【0025】
本発明の請求項7によると、第二の反応槽以降の反応槽における処理水の温度を測定する温度測定手段により測定された第二の反応槽以降の反応槽における反応槽の温度が前段側の反応槽の温度よりも5℃以上下がった場合に、第一鉄イオン触媒添加手段により、過酸化水素のモル濃度に対して1%以上100%以下の第一鉄イオン触媒が添加されない場合に比べて、使用する薬剤および発生する汚泥量が低減される。
【0026】
本発明の請求項8によると、フェントン反応の触媒として第二鉄イオン触媒を用いない場合に比べて、使用する薬剤および発生する汚泥量が低減される。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明の実施形態に係る水処理装置の一例を示す概略構成図である。
【図2】本発明の実施形態に係る水処理装置の他の例を示す概略構成図である。
【図3】本発明の実施形態に係る水処理装置の他の例を示す概略構成図である。
【図4】本発明の実施形態に係る水処理装置の他の例を示す概略構成図である。
【図5】本発明の実施形態に係る水処理装置の他の例を示す概略構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
本発明の実施の形態について以下説明する。本実施形態は本発明を実施する一例であって、本発明は本実施形態に限定されるものではない。
【0029】
フェントン反応では、触媒として通常、第一鉄イオン(Fe2+)が用いられている。第一鉄イオンを用いたフェントン反応には濃度選択性がほとんどなく、かつ、高速反応であるため、処理対象水中の成分の変化に追従して反応を制御することは困難で、その結果、大量の薬剤を必要とすることが多い。本発明者らは、金属イオンと配位結合を形成する有機化合物(キレート剤)を含有する水のフェントン処理を、第二鉄イオン(Fe3+)と過酸化水素水とを用いて開始して反応を行うことにより、低速かつ長時間持続するフェントン反応が起こることを見出した。この方式ではフェントン反応の処理速度自体は緩慢となるが、少ない薬剤量で長時間にわたり反応が持続する。
【0030】
図1には本実施形態に係る水処理を行うための水処理装置の一例の概略構成を示す。本実施形態に係る水処理装置1は、フェントン処理手段として、第一フェントン反応槽10を備える。第一フェントン反応槽10の後段側に第二フェントン反応槽12を備えていてもよい。
【0031】
水処理装置1において、第一フェントン反応槽10の入口には原水配管14が接続され、第一フェントン反応槽10の出口と第二フェントン反応槽12の入口はフェントン処理液配管16により接続され、第二フェントン反応槽12の出口には処理水配管18が接続されている。第一フェントン反応槽10には、第二鉄イオン触媒添加手段としての第二鉄イオン触媒添加配管20がバルブ28を介して、過酸化水素添加手段としての過酸化水素添加配管22がバルブ30を介して、それぞれ接続されている。第二フェントン反応槽12には、過酸化水素添加手段としての過酸化水素添加配管24がバルブ32を介して、第一鉄イオン触媒添加手段としての第一鉄イオン触媒添加配管26がバルブ34を介して、それぞれ接続されている。バルブ28は、第二鉄イオン触媒の添加量を調整する第二鉄イオン触媒量調整手段として、バルブ30は、第一フェントン反応槽10における過酸化水素の添加量を調整する過酸化水素量調整手段として、バルブ32は、第二フェントン反応槽12における過酸化水素の添加量を調整する過酸化水素量調整手段として、バルブ34は、第一鉄イオン触媒の添加量を調整する第一鉄イオン触媒量調整手段として、それぞれ機能する。第一フェントン反応槽10および第二フェントン反応槽12には撹拌羽根等の撹拌手段が設置されてもよい。第二フェントン反応槽12の後段側に、凝集処理手段としての無機系凝集剤添加槽、高分子凝集剤添加槽および沈殿槽等を備える凝集処理装置、生物処理手段としての生物処理装置、活性炭吸着処理手段としての活性炭吸着処理装置等を備えていてもよい。
【0032】
本実施形態に係る水処理装置1の動作および水処理方法を、図1を参照して説明する。
【0033】
処理対象水であるキレート剤を含む原水は、原水槽等から原水配管14を通して第一フェントン反応槽10へ送液される。予め定めた量の第二鉄イオン触媒が第二鉄イオン触媒添加配管20を通して、予め定めた量の過酸化水素が過酸化水素添加配管22を通して、第一フェントン反応槽10の原水に添加される。第一フェントン反応槽10において、第二鉄イオン触媒および過酸化水素を用いてフェントン処理が行われる(フェントン処理工程)。フェントン処理工程において、第二鉄イオン(Fe3+)と過酸化水素との低速かつ長時間持続する反応により、第一鉄イオン(Fe2+)が生成する。生成した第一鉄イオン(Fe2+)は、即座に過酸化水素と反応し、ヒドロキシラジカルが生成し、生成したヒドロキシラジカルにより、原水中のキレート剤等の有機物が酸化分解される。
【0034】
キレート剤としては、金属イオンと配位結合を形成する有機化合物であればよく、特に制限はないが、例えば、金属イオンと配位結合を形成する酸基を2つ以上6つ以下有する有機化合物が挙げられる。酸基としては、カルボキシル基(−COOH基)、スルホ基(−SO3H)、ホスホ基(−P(=O)(OH)2)等が挙げられる。このようなキレート剤としては、例えば、ニトリロトリ酢酸(NTA)、エチレンジアミンテトラ酢酸(EDTA)、トリエチレンテトラアミンヘキサ酢酸(TTHA)、ジエチレントリアミンペンタ酢酸(DTPA)、ヒドロキシエチルイミノジ酢酸(HIDA)、ジカルボキシメチルグルタル酸テトラナトリウム塩(GLDA)、ジヒドロキシエチルグリシン(DHEG)、ヒドロキシエチルエチレンジアミンテトラ酢酸(HEDTA)、ヒドロキシエチルエチレンジアミントリ酢酸、エチレンジアミンジコハク酸(EDDS)、L−グルタミン酸ジ酢酸(GLDA)、3−ヒドロキシ−2,2’−イミノジコハク酸(HIDS)、L−アスパラギン酸−N,N−ジ酢酸(ASDA)、メチルグリシジンジ酢酸(MGDA)、ヘプトグルコン酸(GH−NA)、タウリン−N,N−ジ酢酸等の、2つ以上のカルボキシル基、好ましくは4つ以上のカルボキシル基を有するアミノ化合物である多価アミノカルボン酸化合物、ヒドロキシエチリデンジホスホン酸(HEDP)等の多価ホスホン酸化合物等、あるいはそれらのナトリウム等のアルカリ金属塩、水和物等が挙げられる。キレート剤は水溶性であることが好ましい。これらのうち、キレート剤がエチレンジアミン四酢酸四ナトリウム(EDTA・4Na)である場合に、本実施形態に係る水処理装置および水処理方法が好適に適用される。
【0035】
フェントン反応液は酸等によりpH1.5以上4.0以下の酸性に調整されることが好ましい。また、酸化分解処理後、フェントン反応液中の残留過酸化水素を分解するために例えばpH7.5以上11.0以下の条件で重亜硫酸ソーダ等の還元剤を用いて還元処理されてもよい。
【0036】
第二鉄イオン触媒としては、例えば、塩化第二鉄、硫酸第二鉄等が挙げられる。これらのうち、第二鉄イオン触媒として塩化第二鉄を用いると、フェントン処理の後段の凝集沈殿処理において凝集剤として塩化第二鉄を用いた場合にフェントン反応触媒と凝集沈殿処理の薬剤とが共通化され、コストが低減される。また、過酸化水素は、通常、過酸化水素水として添加される。
【0037】
第一フェントン反応槽10における過酸化水素の添加量は、例えば、キレート剤1質量部に対して1質量部以上10質量部以下の範囲である。第一フェントン反応槽10における第二鉄イオン触媒の添加量は、例えば、キレート剤1質量部に対して鉄量が0.1質量部以上10質量部以下の範囲である。
【0038】
第一フェントン反応槽10における滞留時間は、原水の性状、第一フェントン反応槽10の仕様等に応じて決めればよく、特に制限はないが、例えば、10分以上5時間程度である。
【0039】
本実施形態において、処理対象である原水中のキレート剤の量が、0.001質量%以上1質量%以下の範囲である場合に、本実施形態に係る水処理装置および水処理方法が好適に適用される。原水中のキレート剤の量が0.001質量%未満の場合は、分解効率が悪い場合があり、1質量%を超えると、分解生成物が多量に発生して、分解が進まなくなる場合があるので、別の処理方法で前処理を行うのが望ましい。
【0040】
第一フェントン反応槽10においてフェントン処理が行われた後、原水中のキレート剤等の濃度が低く、分解処理が十分に行われた場合(例えば、フェントン処理水中のキレート剤の濃度が100ppm未満)には、フェントン処理液は処理水として凝集処理装置へ送液され、凝集剤が添加されてフロックを成長させ、凝集処理が行われてもよい(凝集処理工程)。
【0041】
また、原水中のキレート剤等の濃度が高く、分解処理が十分に行われていない場合(例えば、フェントン処理水中のキレート剤の濃度が100ppm以上)には、図1のようにフェントン処理手段が2つ以上の反応槽を備え、第一フェントン反応槽10においてフェントン処理が行われた後、第二フェントン反応槽以降の反応槽、例えば第二フェントン反応槽12において、フェントン処理水に過酸化水素および第一鉄イオン触媒のうち少なくとも1つが添加されることが好ましい。
【0042】
この場合、第一フェントン反応槽10からフェントン処理液配管16を通して第二フェントン反応槽12へフェントン処理水が送液される。フェントン処理水に対しては、過酸化水素が過酸化水素添加配管24を通して、第一鉄イオン触媒が第一鉄イオン触媒添加配管26を通して、第二フェントン反応槽12のフェントン処理液に添加される。
【0043】
2つ以上の反応槽を備えることにより、第二フェントン反応槽12以降でのフェントン処理の後半に水の処理負荷に応じた処理が行われる。第一フェントン反応槽10での緩慢かつ長時間持続の反応を起点とし、第二フェントン反応槽12以降での処理後半の制御性が得られることで、汚泥の発生源になる鉄薬剤の量が従来よりも抑えられ、汚泥量が低減される。初期に用いる薬剤(触媒、過酸化水素)の量、過酸化水素の追加だけではなく、処理対象の水の組成等に応じて、動的に反応が制御される。
【0044】
また、2つ以上のフェントン反応槽を備え、第二フェントン反応槽12以降でのフェントン処理の後半に第一鉄イオン触媒、あるいは第一鉄イオン触媒と過酸化水素とが添加されることにより、第一フェントン反応槽10での緩慢かつ長時間持続の反応が起点とされ、水の処理負荷に応じて、第二フェントン反応槽12以降での処理後半で第一鉄イオン触媒による高速反応が行われて処理が行われるため、汚泥の発生源になる鉄薬剤の量が従来よりも抑えられ、汚泥量が低減される。
【0045】
ここで、第二フェントン反応槽12において、過酸化水素添加配管24を通して添加される過酸化水素のモル濃度に対して1%以上100%以下の第一鉄イオン触媒が添加されることが好ましい。第一鉄イオン触媒が過酸化水素のモル濃度に対して1%未満であると、本件の効果が現れにくい場合があり、100%を超えると、高速の反応が生じる場合がある。追添加される過酸化水素のモル濃度を越えない範囲の第一鉄イオン触媒が必要に応じて添加されることにより、少ない薬剤量で高速なフェントン反応がフェントン処理の後半に起こされ、分解対象であるキレート剤等のより確実な分解処理が行われる上に、鉄薬剤量が低減され、汚泥量が低減される。
【0046】
第二フェントン反応槽12において、過酸化水素および第一鉄イオン触媒の第二フェントン反応槽12への添加の有無や、添加量を任意に調節する過酸化水素量調整手段および第一鉄イオン触媒量調整手段として、それぞれバルブ32、バルブ34等を備える。これにより、水の処理負荷や反応の進行状況等に応じて、過酸化水素水および第一鉄イオン触媒の第二フェントン反応槽12への添加の有無、添加を行う場合にはそれらの添加量等が制御される。バルブ32,34等を、CPUやメモリ等を備えるコンピュータ等により構成された制御部と電気的接続等により接続して、制御部によりバルブ32,34等の開閉等を制御してもよい。
【0047】
第一鉄イオン触媒としては、例えば、硫酸第一鉄、塩化第一鉄等が挙げられる。第一鉄イオンは、即座に系内の過酸化水素と反応し、ヒドロキシラジカルが生成し、生成したヒドロキシラジカルにより、キレート剤等の有機物がさらに酸化分解される。
【0048】
第二フェントン反応槽12における滞留時間は、原水の性状、第二フェントン反応槽12の仕様等に応じて決めればよく、特に制限はないが、例えば、10分以上5時間程度である。
【0049】
第二フェントン反応槽12においてさらに処理が行われた後、処理水は凝集処理装置へ送液され、凝集剤が添加されてフロックを成長させ、凝集処理が行われてもよい(凝集処理工程)。
【0050】
図2には、本発明の実施形態に係る水処理装置の他の例の概略構成を示す。図2の水処理装置1において、原水配管14には処理対象の水中の成分濃度を測定する濃度測定手段として濃度測定装置36を備える。濃度測定装置36は、原水中の成分濃度を測定するように設置されればよく、設置位置には特に制限はない。第一フェントン反応槽10の前段側に原水槽を備える場合には、原水槽に濃度測定装置36が設置されてもよい。
【0051】
図2の水処理装置1において、原水中のキレート剤等の成分の濃度が濃度測定装置36により測定される。濃度測定装置36により測定された成分濃度に基づいて、第二フェントン反応槽12において過酸化水素が過酸化水素添加配管24を通して、バルブ32により制御されて添加される。また、濃度測定装置36により測定された成分濃度に基づいて、第二フェントン反応槽12において第一鉄イオン触媒が第一鉄イオン触媒添加配管26を通して、バルブ34により制御されて添加される。
【0052】
濃度測定装置36により原水中のキレート剤等の成分濃度が測定され、処理負荷が事前に把握されてフェントン処理後半にフィードバックがかけられることにより、汚泥の発生源になる鉄薬剤の量が従来よりも抑えられ、汚泥量が低減される。例えば、原水のキレート剤等の成分濃度が予め定めた基準値よりも低濃度である場合には、第二鉄イオン触媒による反応で対処すればよい。また、例えば、原水のキレート剤等の成分濃度が予め定めた基準値以上の高濃度である場合には、第二フェントン反応槽12以降でのフェントン処理後半で過酸化水素および第一鉄イオン触媒のうち少なくとも1つが添加される。第一フェントン反応槽10における第二鉄イオン触媒による反応が低速反応であるために、水の処理負荷に応じて第二フェントン反応槽12以降でのフェントン処理後半の反応が制御される。
【0053】
濃度測定装置36やバルブ32,34等が、CPUやメモリ等を備えるコンピュータ等により構成された制御部と電気的接続等により接続されて、制御部によりバルブ32,34等の開閉等が制御されてもよい。
【0054】
図3には、本発明の実施形態に係る水処理装置の他の例の概略構成を示す。図3の水処理装置1において、第二フェントン反応槽12には過酸化水素の濃度を測定する過酸化水素濃度測定手段として過酸化水素濃度測定装置38を備える。過酸化水素濃度測定装置38は、フェントン処理水中の過酸化水素の濃度を測定するように設置されればよく、設置位置には特に制限はない。
【0055】
図3の水処理装置1において、第二フェントン反応槽12におけるフェントン処理水中の過酸化水素の濃度が過酸化水素濃度測定装置38により測定される。過酸化水素濃度測定装置38により測定された過酸化水素の濃度に基づいて、第二フェントン反応槽12において過酸化水素が過酸化水素添加配管24を通して、バルブ32により制御されて添加される。第二フェントン反応槽12における過酸化水素濃度が100mg/L以下となった場合に過酸化水素が過酸化水素添加配管24を通して添加されることが好ましい。第二フェントン反応槽12における過酸化水素濃度が100mg/Lを超える場合に過酸化水素が添加されると、水処理速度が安定しない場合がある。
【0056】
過酸化水素濃度測定装置38により第二フェントン反応槽12におけるフェントン処理水中の過酸化水素の濃度が測定され、オンタイムに過酸化水素の量が把握されてフェントン処理後半にフィードバックがかけられることにより、汚泥の発生源になる鉄薬剤の量が従来よりも抑えられ、汚泥量が低減される。
【0057】
また、第二フェントン反応槽12において、過酸化水素濃度測定装置38により測定された過酸化水素の濃度に基づいて過酸化水素添加配管24を通して添加される過酸化水素のモル濃度に対して1%以上100%以下の第一鉄イオン触媒が添加されることが好ましい。第一鉄イオン触媒が過酸化水素のモル濃度に対して1%未満であると、効果が低い場合があり、100%を超えると、反応速度の制御が困難になる場合がある。追添加される過酸化水素のモル濃度を越えない範囲の第一鉄イオン触媒が必要に応じて添加されることにより、少ない薬剤量で高速なフェントン反応がフェントン処理の後半に起こされ、分解対象であるキレート剤等のより確実な分解処理が行われる上に、鉄薬剤量が低減され、汚泥量が低減される。
【0058】
また、過酸化水素濃度測定装置38により第二フェントン反応槽12におけるフェントン処理水中の過酸化水素の濃度が測定され、第二フェントン反応槽12におけるフェントン処理水中の過酸化水素のモル濃度に対して1%以上100%以下の第一鉄イオン触媒が添加されることが好ましい。第一鉄イオン触媒が過酸化水素のモル濃度に対して1%未満であると、効果が低い場合があり、100%を超えると、反応速度の制御が困難になる場合がある。残存する過酸化水素のモル濃度を越えない範囲の第一鉄イオン触媒が必要に応じて添加されることにより、少ない薬剤量で高速なフェントン反応がフェントン処理の後半に起こされ、分解対象であるキレート剤等のより確実な分解処理が行われる上に、鉄薬剤量が低減され、汚泥量が低減される。
【0059】
過酸化水素濃度測定装置38やバルブ32,34等が、CPUやメモリ等を備えるコンピュータ等により構成された制御部と電気的接続等により接続されて、制御部によりバルブ32,34等の開閉等が制御されてもよい。
【0060】
図4には、本発明の実施形態に係る水処理装置の他の例の概略構成を示す。図4の水処理装置1は、フェントン処理手段として、第一フェントン反応槽10と、第二フェントン反応槽12と、第三フェントン反応槽40とを備える。図4の水処理装置1において、第二フェントン反応槽12の出口と第三フェントン反応槽40の入口はフェントン処理液配管52により接続され、第三フェントン反応槽40の出口には処理水配管18が接続されている。第三フェントン反応槽40には、過酸化水素添加手段としての過酸化水素添加配管42がバルブ46を介して、第一鉄イオン触媒添加手段としての第一鉄イオン触媒添加配管44がバルブ48を介して、それぞれ接続されている。バルブ46は、第三フェントン反応槽40における過酸化水素の添加量を調整する過酸化水素量調整手段として、バルブ48は、第三フェントン反応槽40における第一鉄イオン触媒の添加量を調整する第一鉄イオン触媒量調整手段として、それぞれ機能する。第三フェントン反応槽40には撹拌羽根等の撹拌手段が設置されてもよい。第二フェントン反応槽12および第三フェントン反応槽40には、過酸化水素の濃度を測定する過酸化水素濃度測定手段として過酸化水素濃度測定装置38,50をそれぞれ備える。過酸化水素濃度測定装置38,50は、フェントン処理水中の過酸化水素の濃度を測定するように設置されればよく、設置位置には特に制限はない。
【0061】
図4の水処理装置1において、第二フェントン反応槽12および第三フェントン反応槽40におけるフェントン処理水中の過酸化水素の濃度が過酸化水素濃度測定装置38,50により測定される。過酸化水素濃度測定装置38,50により測定された過酸化水素の濃度に基づいて、第二フェントン反応槽12または第三フェントン反応槽40において過酸化水素が過酸化水素添加配管24または過酸化水素添加配管42を通して、バルブ32またはバルブ46により制御されて添加される。過酸化水素濃度測定装置50により測定された第三フェントン反応槽40における過酸化水素の濃度と、その前段側の第二フェントン反応槽12における過酸化水素の濃度との濃度差が1%未満となった場合、第一鉄イオン触媒添加配管44を通してバルブ48を介して第一鉄イオン触媒が、過酸化水素濃度測定装置50による過酸化水素のモル濃度に対して1%以上100%以下で添加されることが好ましい。第一鉄イオン触媒が過酸化水素のモル濃度に対して1%未満であると、効果が低い場合があり、100%を超えると、反応速度の制御が困難になる場合がある。
【0062】
過酸化水素濃度測定装置38,50により第二フェントン反応槽12および第三フェントン反応槽40におけるフェントン処理水中の過酸化水素の濃度が測定され、オンタイムに処理状況が把握されてフェントン処理後半にフィードバックがかけられることにより、汚泥の発生源になる鉄薬剤の量が従来よりも抑えられ、汚泥量が低減される。
【0063】
第三フェントン反応槽40において、過酸化水素水および第一鉄イオン触媒の第二フェントン反応槽40への添加の有無や、添加量を任意に調節する過酸化水素量調整手段および第一鉄イオン触媒量調整手段として、それぞれバルブ46,48等を備える。これにより、水の処理負荷や反応の進行状況に応じて、過酸化水素水および第一鉄イオン触媒の第三フェントン反応槽40への添加の有無、添加を行う場合にはそれらの添加量等が制御される。
【0064】
図5には、本発明の実施形態に係る水処理装置の他の例の概略構成を示す。図5の水処理装置1において、第二フェントン反応槽12および第三フェントン反応槽40には、過酸化水素の濃度を測定する過酸化水素濃度測定手段として過酸化水素濃度測定装置38,50をそれぞれ備える。また、第二フェントン反応槽12および第三フェントン反応槽40にはフェントン処理水の温度を測定する温度測定手段として温度測定装置54,56を備える。過酸化水素濃度測定装置38,50、温度測定装置54,56は、フェントン処理水中の温度を測定するように設置されればよく、設置位置には特に制限はない。
【0065】
図5の水処理装置1において、第二フェントン反応槽12および第三フェントン反応槽40におけるフェントン処理水の温度が温度測定装置54,56により測定される。温度測定装置54,56により測定されたフェントン処理水の温度に基づいて、第二フェントン反応槽12または第三フェントン反応槽40において過酸化水素が過酸化水素添加配管24または過酸化水素添加配管42を通して、バルブ32またはバルブ46により制御されて添加される。温度測定装置56により測定された第三フェントン反応槽40におけるフェントン処理水の温度が、その前段側の第二フェントン反応槽12におけるフェントン処理水の温度との温度差が5℃以上下がった場合、第一鉄イオン触媒添加配管44を通してバルブ48を介して第一鉄イオン触媒が、過酸化水素濃度測定装置50による過酸化水素のモル濃度に対して1%以上100%以下で添加されることが好ましい。第一鉄イオン触媒が過酸化水素のモル濃度に対して1%未満であると、効果が低い場合があり、100%を超えると、反応速度の制御が困難になる場合がある。
【0066】
温度測定装置54,56により第二フェントン反応槽12および第三フェントン反応槽40におけるフェントン処理水の温度(すなわち、反応により生じる熱)が測定され、オンタイムに処理状況が把握されてフェントン処理後半にフィードバックがかけられることにより、汚泥の発生源になる鉄薬剤の量が従来よりも抑えられ、汚泥量が低減される。
【0067】
フェントン処理が行われたフェントン処理水は、例えば、凝集処理装置へ送液され、凝集剤が添加されてフロックを成長させ、凝集処理が行われる(凝集処理工程)。凝集処理装置は、凝集処理を行うことができるものであればよく、特に制限はない。凝集処理装置は、例えば、無機系凝集剤添加槽、高分子凝集剤添加槽、沈殿槽等を備える。凝集処理は、例えば、無機系凝集剤添加槽における、上記処理水への無機系凝集剤の添加および凝集反応を行い、凝集物を得る無機系凝集剤添加工程(凝集反応工程)と、高分子凝集剤添加槽における、凝集反応した凝集反応液への高分子凝集剤の添加および凝集物からフロックを形成するフロック形成工程と、沈殿槽における、凝集沈殿によりフロックを含む汚泥スラリと分離液とに分離する固液分離工程と、を含む。なお、凝集沈殿処理の代わりに加圧浮上処理等による固液分離処理を行ってもよい。また、無機系凝集剤添加槽と高分子凝集剤添加槽とを一体化した槽を使用して、1つの槽内で無機系凝集剤添加工程とフロック形成工程とが行われてもよい。
【0068】
この凝集処理工程において使用される凝集剤としては、一般の無機系凝集剤、有機系凝集剤を用いればよい。無機系凝集剤としては、例えば、硫酸アルミニウム、塩化第二鉄、ポリ塩化アルミニウム、ポリシリカ鉄凝集剤等が用いられ、安価であること、凝集性が良好であること等から、塩化第二鉄が用いられることが好ましい。また、汚泥の発生量を低減する点等から、シリカおよび鉄を含むポリシリカ鉄凝集剤が用いられてもよい。
【0069】
また、有機系凝集剤としては、例えば、ポリアクリルアミド系、ポリアクリル酸ソーダ系等のアニオン性高分子凝集剤;ポリアクリルアミド系、ポリアクリル酸エステル系、ポリメタクリル酸エステル系、ポリアミン系、ポリジシアンジアミド系等のカチオン性高分子凝集剤;ポリアクリルアミド系、ポリエチレンオキサイド系等のノニオン性高分子凝集剤;アクリル酸ジメチルアミノエチル系等の両性高分子凝集剤を使用すればよい。凝集性が良好であること等から、ポリアクリルアミド系アニオン性高分子凝集剤を使用することがより好ましい。また、凝集剤として、上記無機系凝集剤および有機系凝集剤から選択される2つ以上の凝集剤を組み合わせて使用してもよく、無機系凝集剤として塩化第二鉄を使用し、さらにフロックを成長させるために有機系凝集剤としてポリアクリルアミド系アニオン性高分子凝集剤を併用することが好ましい。有機系凝集剤は無機系凝集剤添加工程において添加してもよい。
【0070】
凝集処理工程において凝集処理された処理水は、再利用あるいは河川等に放流される。必要に応じて、凝集処理の後に、生物処理、活性炭吸着処理、砂ろ過処理等が行われてもよい。
【0071】
一方、沈殿槽において分離液と分離された汚泥スラリは、ポンプ等にて例えば汚泥濃縮装置等に送液される。汚泥濃縮装置において汚泥スラリは水分である汚泥分離液と固形分とに分離される(分離工程)。濃縮後の固形分は、例えば脱水装置で脱水処理された(脱水処理工程)後、産業廃棄物の汚泥として処理される。なお、汚泥濃縮装置および脱水装置で発生した濾過液である汚泥分離液は、新たな原水と混合された後、上述の水処理方法で処理されてもよい。
【0072】
本実施形態に係る水処理装置および水処理方法により、使用する薬剤および発生する汚泥量が低減される。
【0073】
本発明の実施の形態に係る水処理装置および水処理方法は、キレート剤を含む水を処理対象とするが、キレート剤を使用する静電荷像現像用トナーの製造工程から排出される水等の処理に適用される。例えば、乳化重合法、懸濁重合法、溶解懸濁法などの各種化学的トナー製造方法による製造工程から排出される水の処理により好ましく適用される。乳化重合法では、結着樹脂の重合性単量体を乳化重合させて形成された樹脂分散液と着色剤、離型剤、必要に応じて帯電制御剤等を水系溶媒中で撹拌、混合しながら、凝集、加熱融合させ、所定の粒径、粒度分布、形状、構造を有する着色樹脂粒子であるトナー粒子を作製する。乳化重合法は、トナーの原材料となる樹脂粒子の製造工程と、着色剤分散液、離型剤分散液等の分散液の製造工程と、現像用トナーの製造工程とに大きく分けられる。以下に、それぞれについて例を挙げて説明する。
【0074】
<静電荷像現像用トナー製造工程>
(樹脂粒子の製造工程)
樹脂粒子を生成するには、通常、重合性単量体と界面活性剤とを水に加え、撹拌してエマルションとする。重合性単量体エマルションが生成したら、該エマルションの好ましくは25質量%以下(すなわち、少量のエマルション)と、遊離基開始剤とを、水相に加えて混合し、所望の反応温度で種重合を開始する。種粒子の生成後、この種粒子含有組成物にさらに残りのエマルションを追加し、所定の温度で、所定の時間、重合を続けて重合を完了し、樹脂粒子(エマルション分散液)を生成させる。この樹脂粒子の製造工程から、製造工程で不要となったり、その製造工程の設備メンテナンス等にて発生した、界面活性剤、樹脂粒子等の固形分を含有するエマルション分散液、界面活性剤水溶液等が排出される。樹脂粒子が生成したら、着色剤分散液、離型剤分散液等とともに凝集させて凝集体粒子とし、次にこれを融合させてトナー粒子とする。
【0075】
前記重合性単量体の種類としては、遊離基開始剤と反応しうるものであれば特に制限はない。重合性単量体の具体例としては、スチレン、パラクロロスチレン、α−メチルスチレン等のスチレン類;アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−プロピル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸ラウリル、アクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸n−プロピル、メタクリル酸ラウリル、メタクリル酸2−エチルヘキシル等のビニル基を有するエステル類;アクリロニトリル、メタクリロニトリル等のビニルニトリル類等が挙げられ、これらの重合性単量体は重合されて、単独重合体あるいは共重合体とされる。
【0076】
また、自己乳化性を持つポリエステル類、ポリウレタン類のような樹脂を界面活性剤とともに水系媒体中でせん断し、分散させてもよい。また、樹脂粒子として、アンモニア成分を含むものも用いられる。あるいは転相乳化法で樹脂粒子分散液を作製してもよい。転相乳化法は、ポリエステルなどの樹脂を有機溶媒に溶解させ、必要に応じて中和剤や分散安定剤を添加して、撹拌下にて、水系溶媒を滴下して、乳化粒子を得た後、樹脂分散液中の溶媒を除去して、乳化液を得る方法である。
【0077】
樹脂粒子の製造に使用される界面活性剤としては、アニオン系界面活性剤、カチオン系界面活性剤または非イオン系界面活性剤を使用すればよく、一般的にはアニオン系界面活性剤が、分散力が強く、樹脂粒子の分散に優れているため、好ましく用いられる。非イオン系界面活性剤は、前記アニオン系界面活性剤またはカチオン系界面活性剤と併用されるのが好ましい。前記界面活性剤は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用して使用してもよい。
【0078】
遊離基開始剤としては、特に制限はない。具体的には、過酸化水素、過酸化アセチル、過酸化クミル、過酸化tert−ブチル、過酸化プロピオニル、過酸化ベンゾイル、過酸化クロロベンゾイル、過酸化ジクロロベンゾイル、過酸化ブロモメチルベンゾイル、過酸化ラウロイル、過硫酸アンモニウム、過硫酸ナトリウム、過硫酸カリウム等が挙げられる。
【0079】
本実施形態において、樹脂粒子の大きさは、レーザ回折式粒度分布測定装置(日機装社製マイクロトラック)で測定した体積平均粒径で、0.05μm以上1μm以下程度である。
【0080】
(着色剤分散液、離型剤分散液の製造工程)
着色剤分散液は、着色剤、界面活性剤等を、水相中で混合し、分散処理をすることによって得られる。同様にして、離型剤分散液は、離型剤、界面活性剤等を、水相中で混合し、分散処理をすることによって得られる。この着色剤分散液、離型剤分散液の製造工程から、製造工程で不要となったり、その製造工程の設備メンテナンス等にて発生した、界面活性剤、着色剤等の固形分を含有する着色剤分散液や、界面活性剤、離型剤等の固形分を含有する離型剤分散液、界面活性剤水溶液等が排出される。
【0081】
着色剤としては、例えばカーボンブラック、クロムイエロー、ハンザイエロー、ベンジジンイエロー、スレンイエロー、キノリンイエロー、パーマネントオレンジGTR、ピラゾロンオレンジ、バルカンオレンジ、ウオッチヤングレッド、パーマネントレッド、ブリリアントカーミン3B、ブリリアントカーミン6B、デュポンオイルレッド、ピラゾロンレッド、リソールレッド、ローダミンBレーキ、レーキレッドC、ローズベンガル、アニリンブルー、ウルトラマリンブルー、カルコオイルブルー、メチレンブルークロライド、フタロシアニンブルー、フタロシアニングリーン、マラカライトグリーンオキサレート、などの種々の顔料;アクリジン系、キサンテン系、アゾ系、ベンゾキノン系、アジン系、アントラキノン系、ジオキサジン系、チアジン系、アゾメチン系、インジコ系、チオインジコ系、フタロシアニン系、アニリンブラック系、ポリメチン系、トリフェニルメタン系、ジフェニルメタン系、チアゾール系などの各種染料などが挙げられる。これらの着色剤は1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0082】
また、着色剤分散液中の着色剤の大きさは、例えば、上記レーザ回折式粒度分布測定装置(日機装社製マイクロトラック)で測定した体積平均粒径で、0.05μm以上0.5μm以下程度である。
【0083】
また離型剤として働くワックスの種類としては特に制限はないが、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン等の低分子量ポリオレフィン類;軟化点を有するシリコーン類;オレイン酸アミド、エルカ酸アミド、リシノール酸アミド、ステアリン酸アミド等の脂肪酸アミド類;カルナウバワックス、ライスワックス、キャンデリラワックス、木ロウ、ホホバ油等の植物系ワックス;ミツロウ等の動物系ワックス類;モンタンワックス、オゾケライト、セレシン、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、フィッシャトロプシュワックス等の鉱物・石油系ワックス類;ステアリン酸ステアリル、ベヘン酸ベヘニル等の高級脂肪酸と高級アルコールとのエステルワックス類;などが挙げられる。
【0084】
また、離型剤分散液中の離型剤の大きさは、例えば、上記レーザ回折式粒度分布測定装置(日機装社製マイクロトラック)で測定した体積平均粒径で、0.05μm以上0.5μm以下程度である。
【0085】
界面活性剤としては、上記樹脂粒子の製造に使用される界面活性剤と同様のものが挙げられる。
【0086】
(トナーの製造工程)
上記調製法により得られた樹脂粒子は、次のような方法でトナーの調製に用いられる。上記調製法により得られた樹脂粒子と、着色剤分散液と、離型剤分散液と、必要に応じて凝集剤と、必要に応じて帯電制御剤と、および必要に応じて他の添加剤とを混合し、得られた混合物を樹脂粒子のガラス転移温度(Tg)近辺の温度、好ましくは、樹脂粒子のTg±10℃で、凝集体を生成するのに効果的な時間、例えば1時間以上8時間以下加熱して、トナー大の凝集体を生成する。次に、この凝集体懸濁液を、樹脂粒子のTgまたはそれより高い温度、好ましくは樹脂粒子のTg+40℃、例えば約60℃以上約120℃以下に加熱して合体または融合させてトナー粒子を造粒し、このトナー粒子をろ過などの手段で母液から分離して、イオン交換水などで洗浄(洗浄工程)した後、乾燥する。
【0087】
樹脂粒子は、通常トナーの結着樹脂として用いられ、トナーの固形分に対して60質量%以上98質量%以下程度トナー内に存在する。
【0088】
着色剤は、通常トナー中に、着色に効果的な量、例えばトナーの固形分に対して1質量%以上25質量%以下程度、好ましくは3質量%以上15質量%以下程度存在する。
【0089】
離型剤として働くワックス類の好ましい量としては、トナーの固形分に対して、5質量%以上20質量%以下程度である。
【0090】
必要に応じて使用される凝集剤は、融合に効果的な量、例えばトナーの固形分に対して0.01質量%以上10質量%以下程度を用いればよい。使用する凝集剤としては、一価以上の電荷を有する化合物が好ましく、その化合物の具体例としては、前述のアニオン系界面活性剤類;塩酸、硫酸、硝酸、酢酸、シュウ酸等の酸類;塩化マグネシウム、塩化ナトリウム、硫酸アルミニウム、硫酸カルシウム、硫酸アンモニウム、硝酸アルミニウム、硝酸銀、硫酸銅、炭酸ナトリウム、ポリ塩化アルミニウム等の塩類;等が挙げられるが、これらに限るものではない。好ましい凝集剤としては、硝酸等の窒素成分を有するものが挙げられる。
【0091】
また、凝集体を生成する凝集工程等において、キレート剤が用いられることがある。
【0092】
帯電制御剤は、帯電させるのに効果的な量、例えばトナーの固形分に対して0.1質量%以上5質量%以下で使用してもよい。適当な帯電制御剤としては、アルキルピリジニウムハロゲン化物類、重硫酸塩類、シリカ等の帯電制御剤類、アルミニウム錯体のような陰帯電制御剤等が挙げられるが、これらに限るものではない。
【0093】
その他必要に応じて添加剤として、無機粒子等を湿式添加してもよい。湿式添加する無機粒子としては、シリカ、アルミナ、チタニア、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、リン酸三カルシウムなど、通常トナー表面の外添剤として使用される全てのものを、イオン性界面活性剤や高分子酸、高分子塩基等で水に分散して、シリカ等の無機粒子分散液として湿式添加してもよい。
【0094】
本実施形態において使用される無機粒子の分散液中の大きさは、上記レーザ回折式粒度分布測定装置(日機装社製マイクロトラック)で測定した体積平均粒径で、4nm以上150nm以下程度である。
【0095】
以上のような樹脂粒子の製造工程、着色剤分散液の製造工程、離型剤分散液の製造工程、トナー製造工程等の製造工程(トナーの洗浄工程を含む)から、製造工程で不要となったり、その製造工程の設備メンテナンス等にて発生した、界面活性剤、着色剤、離型剤、無機粒子、トナー等の固形分を含有する界面活性剤水溶液、エマルション分散液、着色剤分散液、離型剤分散液、無機粒子分散液、トナー分散液、装置洗浄水等の界面活性剤含有液が排出される。また、凝集体を生成する凝集工程等において、キレート剤を用いた場合に、この製造工程で不要となったり、その製造工程の設備メンテナンス等にて発生した、キレート剤含有溶液が発生することがある。これらの原水は通常、原水槽に集められ、上記水処理装置および水処理方法による処理が施される。
【実施例】
【0096】
以下、実施例および比較例を挙げ、本発明をより具体的に詳細に説明するが、本発明は、以下の実施例に限定されるものではない。
【0097】
(ポリエステル樹脂分散液の調製)
転相乳化法により、ポリエステル樹脂分散液を調製した。ポリエステル樹脂の精製品を100質量部、メチルエチルケトン50質量部および2−プロピルアルコール20質量部を混合し、スリーワンモータで撹拌させながら、樹脂を溶解させた後、10%アンモニア水溶液を5質量部加えた。さらに、イオン交換水350質量部を徐々に加えて、転相乳化を行った後、脱溶媒を行った。その後、イオン交換水を加えて固形分濃度を30質量%に調整し、ポリエステル樹脂分散液を得た。
【0098】
(シアン顔料分散液の調製)
シアン顔料(C.I.ピグメントブルー15:3、銅フタロシアニン、大日精化社製)100質量部、アニオン界面活性剤(ネオゲンRK、第一工業製薬社製)5質量部およびイオン交換水450質量部を混合し、高圧衝撃式分散機アルチマイザ(HJP30006、スギノマシン社製)を用いて、圧力250mPaで1時間分散させて、シアン顔料分散液)を得た。
【0099】
(ブラック顔料分散液の調製)
黒顔料カーボンブラック(R660R、キャボット社製)100質量部、アニオン界面活性剤(ネオゲンRK、第一工業製薬社製)7質量部およびイオン交換水650質量部を混合し、高圧衝撃式分散機アルチマイザ(HJP30006、スギノマシン社製)を用いて、圧力250mPaで1時間分散させて、ブラック顔料分散液を得た。
【0100】
(離型剤分散液の調製)
パラフィンワックス(HNP−9、日本精鑞社製)60質量部、アニオン性界面活性剤ネオゲンRK(第一工業社製)6質量部およびイオン交換水200質量部を110℃で加熱溶融させた後、マントンゴーリン高圧ホモジナイザ(ゴーリン社製)で分散処理を行い、離型剤分散液を得た。
【0101】
(トナー作製と処理対象水A)
ポリエステル樹脂分散液100質量部、シアン顔料分散液10質量部、離型剤分散液15質量部と水150質量部とを丸型ステンレス製容器に加えて混合した後、凝集剤として、ポリ塩化アルミニウムの10質量%硝酸水溶液を0.75質量部加えた後、44℃まで昇温して、コア粒子を形成させた。その後、シェル層を形成させるためにポリエステル樹脂分散液50質量部とエチレンジアミン四酢酸(EDTA)2.5質量部とを加えて、コア粒子表面にシェル粒子を被覆させた後、さらに粒子を合一させるために90℃まで昇温した。90℃に2時間保持後、ろ過し、水により洗浄、乾燥して、体積平均粒径6.1μmのトナー粒子を得た。このときの洗浄ろ液を処理対象水Aとした。液体クロマトグラフにより測定したところ、処理対象水A中のEDTAの含有量は720ppmであった。
【0102】
(トナー作製と処理対象水B)
ポリエステル樹脂分散液100質量部、ブラック顔料分散液8質量部、離型剤分散液12質量部と水150質量部とを丸型ステンレス製容器に加えて混合した後、凝集剤として、ポリ塩化アルミニウムの10質量%硝酸水溶液を0.75質量部加えた後、45℃まで昇温して、コア粒子を形成させた。その後、シェル層を形成させるためにポリエステル樹脂分散液50質量部と3−ヒドロキシ−2,2’−イミノジコハク酸(HIDS)2質量部とを加えて、コア粒子表面にシェル粒子を被覆させた後、さらに粒子を合一させるために90℃まで昇温した。90℃に2時間保持後、ろ過し、水により洗浄、乾燥して、体積平均粒径6.1μmのトナー粒子を得た。このときの洗浄ろ液を処理対象水Bとした。処理対象水B中のHIDSの含有量は580ppmであった。
【0103】
<実施例1>
処理対象水Aを原水槽に入れた。処理対象水AのpHを2.2に調整した後、第一フェントン反応槽へ送液し、塩化第二鉄をFeとして(以下同じ)100mg/L、過酸化水素水を過酸化水素として(以下同じ)7,000mg/Lとなるように加えて、滞留時間30分にて、撹拌しながらフェントン反応を行った。処理水について、逆滴定法でEDTAの残存量および全炭素量(TC)を測定した。
【0104】
処理水を無機系凝集剤添加槽に送液し、水酸化ナトリウム水溶液を添加してpHを5.0に調整しながら、無機系凝集剤(第二塩化鉄)をFeとして400mg/Lとなるように加えて、滞留時間30分にて撹拌しながら凝集反応を行った。凝集反応液を高分子凝集剤添加槽に送液して、水酸化ナトリウム水溶液を添加して凝集pHを6.0に調整した後、アニオン系高分子凝集剤(栗田工業製、PA331)を5mg/L加えて、撹拌しながらフロック形成させた後、沈殿槽に送液して、固液分離して、上澄み液(処理水)と汚泥スラリとを分離した。汚泥の発生量は18g/Lであった。結果を表1に示す。
【0105】
<実施例2>
処理対象水Aを原水槽に入れた。処理対象水AのpHを3.8に調整した後、第一フェントン反応槽へ送液し、塩化第二鉄を100mg/L、過酸化水素水を7,000mg/Lとなるように加えて、滞留時間60分にて、撹拌しながらフェントン反応を行った。
【0106】
フェントン処理水を第二フェントン反応槽に送液し、過酸化水素水を800mg/L、硫酸第一鉄を400mg/L(添加する過酸化水素に対して50%)添加して、滞留時間30分にて、撹拌しながらフェントン反応を行った。処理水について、実施例1と同様にして、EDTAの残存量および全炭素量(TC)を測定した。その後、実施例1と同様にして凝集処理を行い、汚泥の発生量を測定した。結果を表1に示す。
【0107】
<実施例3>
第二フェントン反応槽において添加する硫酸第一鉄を780mg/L(添加する過酸化水素に対して98%)とした以外は実施例2と同様にして、処理対象水Aの処理を行った。結果を表1に示す。
【0108】
<実施例4>
第二フェントン反応槽において添加する硫酸第一鉄を8.8mg/L(添加する過酸化水素に対して1.1%)とした以外は実施例2と同様にして、処理対象水Aの処理を行った。結果を表1に示す。
【0109】
<実施例5>
第二フェントン反応槽において添加する硫酸第一鉄を850mg/L(添加する過酸化水素に対して106%)とした以外は実施例2と同様にして、処理対象水Aの処理を行った。結果を表1に示す。
【0110】
<実施例6>
第二フェントン反応槽において添加する硫酸第一鉄を7.5mg/L(添加する過酸化水素に対して0.94%)とした以外は実施例2と同様にして、処理対象水Aの処理を行った。結果を表1に示す。
【0111】
<実施例7>
原水槽に処理対象水A中のEDTAの濃度を測定する濃度測定装置を設置し、測定したEDTAの濃度に基づいて、第二フェントン反応槽において添加する硫酸第一鉄および過酸化水素水の量を制御した以外は実施例2と同様にして、処理対象水Aの処理を行った。結果を表1に示す。
【0112】
<実施例8>
第二フェントン反応槽にフェントン処理水中の過酸化水素の濃度を測定する過酸化水素濃度測定装置を設置し、測定した過酸化水素の濃度に基づいて、第二フェントン反応槽において添加する硫酸第一鉄および過酸化水素水の量を制御した以外は実施例2と同様にして、処理対象水Aの処理を行った。結果を表1に示す。
【0113】
<実施例9>
第二フェントン反応槽の後段側に第三フェントン反応槽を設置し、第二フェントン反応槽および第三フェントン反応槽にフェントン処理水中の過酸化水素の濃度を測定する過酸化水素濃度測定装置を設置し、測定した過酸化水素の濃度に基づいて、第三フェントン反応槽において添加する硫酸第一鉄および過酸化水素水の量を制御した以外は実施例2と同様にして、処理対象水Aの処理を行った。結果を表1に示す。
【0114】
<実施例10>
第二フェントン反応槽の後段側に第三フェントン反応槽を設置し、第二フェントン反応槽および第三フェントン反応槽にフェントン処理水の温度を測定する温度測定装置を設置し、測定したフェントン処理水の温度に基づいて、第三フェントン反応槽において添加する硫酸第一鉄および過酸化水素水の量を制御した以外は実施例2と同様にして、処理対象水Aの処理を行った。結果を表1に示す。
【0115】
<実施例11>
実施例2と同様にして、処理対象水Bの処理を行った。結果を表1に示す。
【0116】
<比較例1>
塩化第二鉄の代わりに硫酸第一鉄700mg/L、過酸化水素水130mg/Lを用いた以外は、実施例1と同様にして処理対象水Aの処理を行った。結果を表1に示す。
【0117】
<比較例2>
塩化第二鉄の代わりに硫酸第一鉄100mg/L、過酸化水素水95mg/Lを用いた以外は、実施例1と同様にして処理対象水Aの処理を行った。結果を表1に示す。
【0118】
【表1】

【0119】
実施例1〜11のように、フェントン反応の触媒として第二鉄イオン触媒である塩化第二鉄を用いた場合、第一鉄イオン触媒である硫酸第一鉄を用いるよりも使用する鉄触媒の量および発生する汚泥の量を低減できた。
【符号の説明】
【0120】
1 水処理装置、10 第一フェントン反応槽、12 第二フェントン反応槽、14 原水配管、16,52 フェントン処理液配管、18 処理水配管、20 第二鉄イオン触媒添加配管、22,24,42 過酸化水素添加配管、26,44 第一鉄イオン触媒添加配管、28,30,32,34,46,48 バルブ、36 濃度測定装置、38,50 過酸化水素濃度測定装置、40 第三フェントン反応槽、54,56 温度測定装置。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
金属イオンと配位結合を形成する有機化合物を含む水を処理対象とし、
第二鉄イオン触媒と過酸化水素とを用いて前記水のフェントン処理を行うフェントン処理手段を有することを特徴とする水処理装置。
【請求項2】
前記第二鉄イオン触媒が塩化第二鉄であることを特徴とする、請求項1に記載の水処理装置。
【請求項3】
前記フェントン処理手段が2つ以上の反応槽を備え、第一の反応槽において前記第二鉄イオン触媒と前記過酸化水素とを用いて前記水のフェントン処理が行われることを特徴とする、請求項1または2に記載の水処理装置。
【請求項4】
前記2つ以上の反応槽のうちの第二の反応槽以降の反応槽において過酸化水素を添加する過酸化水素添加手段を有することを特徴とする、請求項3に記載の水処理装置。
【請求項5】
前記第二の反応槽以降の反応槽において第一鉄イオン触媒を添加する第一鉄イオン触媒添加手段を有し、
前記第一鉄イオン触媒添加手段によって、前記過酸化水素添加手段により添加された過酸化水素のモル濃度に対して1%以上100%以下の第一鉄イオン触媒が添加されることを特徴とする、請求項4に記載の水処理装置。
【請求項6】
前記過酸化水素添加手段による過酸化水素の添加量を調整する過酸化水素量調整手段と、前記第一鉄イオン触媒添加手段による第一鉄イオン触媒の添加量を調整する第一鉄イオン触媒量調整手段とを有することを特徴とする、請求項5に記載の水処理装置。
【請求項7】
前記フェントン処理手段が3つ以上の反応槽を備え、
第一の反応槽において前記第二鉄イオン触媒と前記過酸化水素とを用いて前記水のフェントン処理が行われ、
第二の反応槽以降の反応槽において過酸化水素を添加する過酸化水素添加手段と、第二の反応槽以降の反応槽において第一鉄イオン触媒を添加する第一鉄イオン触媒添加手段と、第二の反応槽以降の反応槽における処理水の温度を測定する温度測定手段とを有し、
前記温度測定手段により測定された前記第二の反応槽以降の反応槽における反応槽の温度が前段側の反応槽の温度よりも5℃以上下がった場合、前記第一鉄イオン触媒添加手段により、過酸化水素のモル濃度に対して1%以上100%以下の第一鉄イオン触媒が添加されることを特徴とする、請求項1または2のいずれか1項に記載の水処理装置。
【請求項8】
金属イオンと配位結合を形成する有機化合物を含む水を処理対象とし、
第二鉄イオン触媒と過酸化水素とを用いて前記水のフェントン処理を行うフェントン処理工程を含むことを特徴とする水処理方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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