説明

水処理装置

【課題】 被処理水の水質の悪化、紫外線照射装置の性能低下が生じても、所定の処理水水質の処理水を供給すること。
【解決手段】 循環タンク3と、酸化剤供給装置9および紫外線照射装置10を含む酸化手段1と、ポンプ4とを含む循環路5を形成する水処理装置において、循環タンク3への給水工程と、給水工程後に行われ、酸化手段3およびポンプ4を作動させて被処理水を循環路5にて循環処理する循環処理工程と、循環処理工程後に循環タンク3内の処理水を処理水タンク8へ送水する送水工程とを繰り返して行う制御手段18と、制御手段18は、循環路5内の処理水の有機物濃度を検出するセンサ17による検出有機物濃度が設定値以下となると循環処理工程から送水工程へ移行させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、有機物含有の被処理水を処理する水処理装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、被処理水に酸化剤を供給する酸化剤供給装置と、被処理水に紫外線を照射する紫外線酸化装置と、循環タンクとを含む循環路を形成して被処理水中の有機物を光酸化により循環処理する水処理装置は、特許文献1などにて知られている。
【0003】
この従来の水処理装置では、被処理水の水質が悪化したり、紫外線照射装置の性能が低下すると、所定の処理水水質を得ることができない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003−340472号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
この発明が解決しようとする課題は、被処理水の水質が悪化したり、紫外線照射装置の性能が低下しても、所定の処理水水質の処理水を供給することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、前記課題を解決するためになされたもので、請求項1に記載の発明は、循環タンクと、酸化剤供給装置および紫外線照射装置を含む酸化手段と、ポンプとを含む循環路を形成して有機物含有の被処理水を循環処理する水処理装置であって、前記循環タンクへ所定量の被処理水を貯留する給水工程と、この給水工程後に行われる工程であって前記酸化手段および前記ポンプを作動させて被処理水を前記循環路にて循環させて酸化処理する循環処理工程と、この循環処理工程後に前記循環タンク内の処理水を処理水タンクへ送水する送水工程とを繰り返して行う制御手段と、前記循環路内の処理水の有機物濃度を検出するセンサとを備え、前記制御手段は、前記センサにより検出される有機物濃度が設定値以下となると前記循環処理工程から前記送水工程へ移行させることを特徴としている。
【0007】
請求項1に記載の発明によれば、前記循環路内の処理水の有機物濃度が設定値以下となってから前記送水工程に移行するので、被処理水の水質が悪化したり、前記紫外線照射装置の性能が低下しても所定の水質の処理水を供給することができる。
【0008】
請求項2に記載の発明は、請求項1において、前記紫外線照射装置は、紫外線ランプからなり、前記給水工程,前記循環処理工程および前記送水工程中、連続的に運転されることを特徴としている。
【0009】
請求項2に記載の発明によれば、請求項1に記載の発明による効果に加えて、紫外線ランプを短時間でON−OFFしないので、紫外線ランプの寿命を長くすることができるという効果を奏する。
【0010】
請求項3に記載の発明は、請求項2において、前記循環路の前記酸化手段および前記ポンプを含む部分が前記循環タンクから前記処理水タンクへの送水路の一部をなすように構成され、前記送水工程時、前記ポンプの作動により前記循環タンク内の処理水が前記酸化手段による酸化作用を受けながら前記処理水タンクへ送水されることを特徴としている。
【0011】
請求項3に記載の発明によれば、請求項2に記載の発明による効果に加えて、送水工程時、前記処理水タンクへ送水される処理水が更に前記紫外線照射装置により酸化処理されるので、処理水水質をさらに高めることができるという効果を奏する。
【0012】
さらに、請求項4に記載の発明は、請求項2において、前記酸化手段は、被処理水を前記循環タンクへ供給する被処理水供給路に配置され、前記循環路は、前記被処理水供給路の一部を含むことにより前記酸化手段を含むように構成され、前記給水工程時、被処理水が前記酸化手段による酸化作用を受けながら前記循環タンクへ送水されることを特徴としている。
【0013】
請求項4に記載の発明によれば、請求項2に記載の発明による効果に加えて、前記給水工程時、被処理水を酸化処理できるので、被処理水を短時間で所定の処理水水質とすることができるという効果を奏する。
【発明の効果】
【0014】
この発明によれば、被処理水の水質が悪化したり、紫外線照射装置の性能が低下しても、所定の処理水水質の処理水を供給することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の実施例1の概略構成を説明する図である。
【図2】同実施例1の制御手順の要部を説明するフローチャート図である。
【図3】同実施例1の給水工程を説明する図である。
【図4】同実施例1の循環処理工程を説明する図である。
【図5】同実施例1の送水工程を説明する図である。
【図6】本発明の実施例2の概略構成を説明する図である。
【図7】同実施例2の給水工程を説明する図である。
【図8】同実施例2の循環処理工程を説明する図である。
【図9】同実施例2の送水工程を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
つぎに、この発明の水処理装置の実施の形態について説明する。この発明の実施の形態は、有機物含有の被処理水を処理する水処理装置に好適に実施される。
【0017】
この実施の形態を具体的に説明する。この実施の形態の水処理装置は、循環タンクと酸化手段とポンプとを含む循環路を形成して、有機物(有機汚染物質と称することができる。)含有の被処理水を循環処理するものである。前記酸化手段は、被処理水中に酸化剤を供給(添加と称することができる。)する酸化剤供給装置と被処理水に対して紫外線を照射する紫外線照射装置とを含んでいる。
【0018】
そして、前記循環タンクへ所定量の被処理水を貯留する給水工程と、この給水工程後に行われる工程であって前記酸化手段および前記ポンプを作動させて被処理水を前記循環路にて循環させて酸化処理する循環処理工程と、この循環処理工程後に前記循環タンク内の処理水を処理水タンクへ送水する送水工程とを繰り返して行う制御手段を備えている。
【0019】
前記循環処理工程は、好ましくは、前記給水工程の途中,すなわち循環タンクにある程度の量の被処理水が貯留されると、開始するように構成する。これにより、前記給水工程の途中で前記循環処理工程を開始しないものと比較して、より短時間で被処理水の水質を設定値まで下げることができる。
【0020】
さらに、この実施の形態は、前記循環路内の処理水の有機物濃度を検出する有機物濃度センサとを備え、前記制御手段は、前記有機物濃度センサによる検出有機物濃度が設定値以下となると前記循環処理工程から前記送水工程へ移行させるように構成される。
【0021】
この実施の形態の水処理装置においては、前記制御手段は、前記給水工程,前記循環処理工程および前記送水工程をこの順で繰り返し行う。そして、前記循環処理工程において、前記循環タンク内の被処理水に含まれる有機物は、前記酸化手段により所謂光酸化(または促進酸化)と称される酸化により、酸化され、分解される。光酸化のメカニズムは、公知であるので、ここではその説明を省略する。
【0022】
光酸化により、被処理水中の有機物の分解が進行し、前記有機物濃度センサにより検出される有機物濃度が設定値以下となると、前記制御手段は、前記循環処理工程を終了して、前記送水工程へ移行する。そして、前記循環タンクに貯留された処理水は、前記処理水タンクへ送水されるが、その処理水の水質は、所定の値が保持されることになる。
【0023】
この実施の形態においては、好ましくは、前記紫外線照射装置は、紫外線ランプから構成され、繰り返し行われる一連の工程中,すなわち前記給水工程,前記循環処理工程および前記送水工程中、連続的に運転される(ONを続ける)ように構成される。
【0024】
このように前記紫外線ランプを連続運転することにより、短時間でON−OFFすると寿命を縮める紫外線ランプの寿命を長くすることができる。
【0025】
こうした紫外線ランプを連続運転する実施の形態において、前記酸化手段の配置位置は、特定のものに限定されないが、好ましくは、つぎの二つの形態とする。
【0026】
第一の形態においては、前記循環路の前記酸化手段および前記ポンプを含む部分が前記循環タンクから前記処理水タンクへの送水路の一部をなすように構成される。前記酸化手段および前記ポンプの順序は、前記酸化手段が前記ポンプの下流側となるように配置する。そして、前記送水工程時、前記ポンプの駆動により、前記循環タンク内の処理水が前記酸化手段による酸化作用を受けながら前記処理水タンクへ送水される。前記酸化手段を構成する酸化剤供給手段は、前記循環路を循環する被処理水中の有機物濃度が設定値以下とるように制御(ON−OF制御または比例制御)される。「路」は、ラインと称することができる。
【0027】
この第一の形態によれば、前記送水工程時、前記処理水タンクへ送水される処理水が更に前記酸化手段による光酸化処理を受けるので、前記循環処理工程終了時の水質より高い水質の処理水を前記処理水タンクへ供給することができる。
【0028】
第二の形態においては、前記酸化手段は、被処理水を前記循環タンクへ供給する被処理水供給路に配置されるとともに、前記循環路は、前記被処理水供給路の一部を含むことにより前記酸化手段を含むように形成される。そして、前記給水工程時、被処理水が前記酸化手段による酸化作用を受けながら前記循環タンクへ供給される。
【0029】
この第二の形態によれば、前記給水工程時、前記循環タンクへ送水される被処理水が前記酸化手段により酸化処理されるので、前記給水工程時に酸化処理されない装置と比較して被処理水を短時間で所定の処理水水質とすることができる。
【0030】
ここで、この発明の実施の形態の水処理装置を構成する構成要素を説明する。前記循環タンクへ供給される被処理水は、好ましくは、種々の装置で使用された廃水(例えば、汚泥処理後に得らる排水)とするが、廃水でなくても高濃度に有機物を含有する原水であっ
てもよい。
【0031】
前記酸化手段の酸化剤供給装置と紫外線照射装置とは、好ましくは、近接して配置し一つの酸化装置として構成するが、離れた位置に配置してもよい。また、酸化剤供給手段および紫外線照射装置の好ましい順序は、被処理水の流れ方向に沿って酸化剤供給手段,紫外線照射手段の順である。
【0032】
前記酸化剤供給装置は、次亜塩素酸(NaOCL),過酸化水素(H22),オゾンなどの酸化剤を被処理水へ添加して、被処理水中の有機物を酸化処理してCOD(chemical
oxigen demand;化学的酸素要求量)値またはTOC(Total Organic Carbon;全有機炭素)値を低減させるものである。
【0033】
また、前記紫外線照射装置は、紫外線、すなわち比較的短波長(100〜400nm)領域の電磁波を被処理水へ照射するものであり、紫外線照射用の光源として、好ましくは、低圧水銀ランプを用いる。
【0034】
前記循環タンクは、特定の構造のタンクに限定されないものであり、被処理水の貯留量を検出する水位センサを備える。
【0035】
前記循環ポンプも特定の構造のものに限定されないものであり、前記循環路を循環する単位時間当たりの被処理水量に応じた容量のものが選定される。
【0036】
前記有機物濃度センサは、被処理水の有機物濃度を検出するセンサで、紫外線の透過度を検出して、COD換算値として出力できるものなどが利用可能である。この有機物濃度センサは、前記循環路および前記循環路に含まれる循環タンクなどの構成要素に備えることができるが、好ましくは、循環タンクに設ける。
【0037】
前記制御手段は、予め記憶した制御手順に基づき、前記給水工程,前記循環処理工程および前記送水工程などを制御する。具体的には、前記制御手段は、前記有機物濃度センサ,水位センサなどからの信号を入力して、前記循環ポンプや各種バルブ類を制御する。前記制御手順には、前記有機物濃度センサによる有機物濃度が設定値以下となると前記循環処理工程から前記送水工程へ移行させる手順を含んでいる。
【実施例1】
【0038】
以下、この発明の水処理装置の実施例1を図面に基づいて詳細に説明する。図1は、同実施例1の概略構成を説明する図であり、図2は、同実施例1の制御手順の要部を説明するフローチャート図であり、図3は、同実施例1の給水工程を説明する図であり、図4は、同実施例1の循環処理工程を説明する図であり、図5は、同実施例1の送水工程を説明する図である。
【0039】
実施例1の水処理装置は、酸化手段1と、電動弁よりなる第一弁2と、循環タンク3と、ポンプ4とを含む循環路5を形成して、被処理水中の有機物を循環処理するように構成している。そして、循環路5の第一弁2上流側から送水路7を分岐している。この送水路7は、処理水を処理水タンク8へ供給するためのもので、電動弁よりなる第二弁6を有している。
【0040】
酸化手段1は、一端がポンプ4の下流側(吐出側)に接続されるとともに、他端が送水路7の分岐部,すなわち第一弁2と第二弁6との間に接続される。こうして、ポンプ4,酸化手段1を含む循環路5の一部は、送水路7の一部を構成,すなわち兼用している。
【0041】
また、酸化手段1は、被処理水中に酸化剤を供給する酸化剤供給装置9と被処理水に対して紫外線を照射する紫外線照射装置10とを含んで構成され、被処理水の流れ方向に沿って酸化剤供給装置9→紫外線照射装置10に設けている。
【0042】
酸化剤供給装置9は、この実施例1では、次亜塩素酸を注入する装置であり、その注入量を制御可能な構成としている。前記注入量の制御は、後記有機物濃度センサ17で被処理水中の有機物濃度を計測し、有機物濃度を設定値以下とする制御である。また、紫外線照射装置10は、低圧水銀ランプよりなる紫外線ランプを光源として用いた公知の構成のものを使用している。
【0043】
そして、前記循環タンク3へ被処理水タンク(原水タンクと称することができる。)11から被処理水を重力差またはポンプ(図示省略)により供給する被処理水供給路12が接続されている。この被処理水供給路11には、電動弁よりなる第三弁13を備えている。符号14は、被処理水が被処理水タンク11へ流入する被処理水流入路である。
【0044】
処理水タンク8には、処理水利用設備(図示省略)からの要求に応じて処理水利用設備へ処理水を供給する処理水供給路15を備えている。この処理水供給路15には前記要求に応じて作動されるポンプ(図示省略)を備えている。
【0045】
また、循環タンク3には、水位センサ16を備えている。この水位センサ16は、異常低水位LLと、水位制御範囲の下限水位L(>LL)と、水位制御範囲の上限水位H(>L)と、異常高水位HH(>H)とを検出可能に構成されている。
【0046】
循環路5の酸化手段1の下流側に被処理水の有機物濃度を検出する有機物濃度センサ17を備えている。この有機物濃度センサ17は、試料水に光をあて可視光線と紫外線の吸光度を測定して、COD換算値で出力する公知のセンサを用いている。
【0047】
前記ポンプ4,第一弁2,第二弁6,第三弁13は、前記水位センサ16および前記有機物濃度センサ17などからの信号を入力する制御器18により予め記憶した制御手順に基づき制御される。
【0048】
前記制御手順には、循環タンク3へ所定量の被処理水を貯留する給水工程と、この給水工程後に行われ酸化手段3およびポンプ4を作動させて被処理水を循環路5にて循環させて酸化処理する循環処理工程と、この循環処理工程後に行われ循環タンク3内の処理水を処理水タンク8へ送水する送水工程とをこの順に繰り返して行う手順が含まれている。そして、この処理手順には、前記給水工程,前記循環処理工程および前記送水工程中、紫外線照射手段10を連続的に運転させる手順と、有機物濃度センサ17による検出有機物濃度が設定値以下となると前記循環処理工程から前記送水工程へ移行させる手順とを含んでいる。前記設定値は、処理水使用設備の要求に応じて設定され、例えば、COD:30mg/Lとする。この処理手順の一例を図2示す。
【0049】
つぎに、この実施例1の水処理装置の動作を図面に基づき説明する。図3〜図5において、黒く塗りつぶしている弁は閉じ、黒く塗りつぶしていない弁は開いていることを表している。図2を参照して、実施例1の水処理装置を運転させるべく、運転スイッチ(図示省略)をONすると、処理ステップS1(以下、処理ステップSNは、単にSNという。)においてONが判定され、S2へ移行する。S2では、紫外線照射装置10を作動(ON)し、所定時間経過後につぎの給水工程へ移行する。このように、給水工程開始前に紫外線照射装置10を作動させるのは、紫外線ランプが安定するまでに時間がかかるからである。
【0050】
(給水工程)
この給水工程S3では、まず、図3のように、制御器18は、第一弁2および第三弁13を開き、第二弁6を閉じる。初期状態では、循環タンク3の水位は、LL以下であり、被処理水タンク11内の被処理水が被処理水供給路12を通して循環タンク3へ供給される。
【0051】
循環タンク3内の水位がL以上となると、ポンプ4を駆動するとともに、酸化剤供給装置9を作動(ON)する。これにより、後記の循環処理工程S5と同様な循環処理が開始される。ここでは循環処理の説明を省略する。
【0052】
循環タンク3内の水位がH以上となる,すなわち所定量の被処理水の貯留が判定されると、S4にてYESが判定され、給水工程S3を終了する。そして、図4に示すS5の循環処理工程へ移行する。
【0053】
(循環処理工程)
この循環処理工程S5では、制御器18は、第一弁2を開き、第二弁6および第三弁13を閉じる。ポンプ4および酸化手段1の作動は、給水工程S2から継続される。酸化剤供給装置9は、有機物濃度センサ17により計測される被処理水中の有機物濃度が設定値以下となるように制御される。
【0054】
これにより、循環タンク3内に貯留された被処理水は、循環路5を循環しながら、含まれている有機物が酸化手段3による光酸化により、酸化され、分解される。その結果、被処理水中の有機物濃度が低下する。この濃度低下は、有機物濃度センサ17により検出され、検出値が設定値以下となると、S6でYESが判定され、循環処理工程S5を終了する。そして、図5に示す送水工程へ移行する。
【0055】
(送水工程)
この送水工程S7では、制御器18は、第二弁6を開き、第一弁2および第三弁13を閉じるとともに、ポンプ4を作動させ、酸化手段1の紫外線照射装置10作動を継続し、酸化剤供給装置9の作動を停止する。
【0056】
これにより、循環タンク3に貯留された有機物濃度が設定値以下となった被処理水,すなわち処理水は、酸化手段1を含む循環路5の一部と送水路7を通して処理水タンク8へ供給される。この送水工程S6時、循環タンク3内の処理水が酸化手段3による光酸化作用を受けながら処理水タンク8へ送水される。その結果、処理水タンク8の処理水は、前記設定値よりも有機物濃度が低い水質の高い処理水となっている。
【0057】
循環タンク3の水位がL以下となると、S8でYESが判定され、送水工程S7を終了して、S9へ移行する。S9で前記運転スイッチのOFFが判定されない限り、前述の給水工程S3,循環処理工程S5および送水工程S7が繰り返される。
【0058】
S9で、前記運転スイッチのOFFが判定されると、S10へ移行して、停止処理S工程10が行われる。この停止処理工程S10では、酸化手段3,ポンプ4および各弁2,6,13への通電を停止する。なお、S9の判断は、給水工程S3,循環処理工程S5および送水工程S7の途中でも行っている。
【0059】
以上の如く構成される実施例1によれば、有機物濃度センサ17により検出される有機物濃度が設定値以下となると、循環処理工程4を終了して、送水工程S7へ移行するので、被処理水の水質が悪化したり、紫外線照射装置10の性能が低下しても、処理水タンク8へ送水する処理水の水質を設定値に維持することができる。また、被処理水を循環処理
しているので、酸化手段3の容量を最小化することができる。
【0060】
また、この実施例1によれば、給水工程S3,循環処理工程S5および送水工程S7中、紫外線照射装置10を構成する紫外線ランプが連続的に運転されるので、紫外線ランプの寿命を長くすることができる。
【0061】
また、送水工程S7時において、処理水タンク8へ送水される処理水が酸化手段3による酸化作用を受けるので、循環処理工程S5終了時の水質より高い水質の処理水を処理水タンク8へ供給することができる。
【実施例2】
【0062】
つぎに、この発明の水処理装置の実施例2を図面に基づいて詳細に説明する。図6は、同実施例2の概略構成を説明する図であり、図7は、同実施例2の給水工程S3を説明する図であり、図8は、同実施例2の循環処理工程S5を説明する図であり、図9は、同実施例2の送水工程S7を説明する図である。図7〜図9において、黒く塗りつぶしている弁は閉じ、黒く塗りつぶしていない弁は開いていることを表している。以下の実施例2の説明において、実施例1と異なる構成を中心に説明し、同じ構成は、同じ符号を付してその説明を省略する。
【0063】
この実施例2において、水処理回路の構成に関して実施例1の図1と異なるのは、図6に示すように、酸化手段1が、被処理水を循環タンク3へ供給する被処理水供給路12に配置され、循環路5が、被処理水供給路12の一部を含むことにより酸化手段1を含むように構成されている点である。そして、給水工程S3時、被処理水が酸化手段1による酸化作用を受けながら循環タンク3へ送水されるように構成している点である。
【0064】
すなわち、酸化手段1,循環タンク3,ポンプ4,第一弁2の順で循環路5を形成するとともに、酸化手段1は、被処理水供給路12兼循環路5となる箇所に配置される。また、ポンプ4を含む循環路5の一部が送水路7を兼用している。
【0065】
制御器18による制御手順は、基本的には、図2に示す通りであるが、実施例1においては、前述のように、給水工程S3の途中で循環処理工程を開始している。これに対して、この実施例2においては、給水工程S3の途中で循環処理工程S5を開始せず、給水工程S3が終了した後、循環処理工程S5を開始する点で異なっている。給水工程S3の途中で循環処理工程を開始しないのは、給水工程S3の途中で、第一弁2を開き、ポンプ4を作動させると、被処理水タンク11から循環タンク3への給水が妨げられるからである。
【0066】
この実施例2によれば、給水工程S3時において、循環タンク3へ送水される被処理水が酸化手段1により酸化処理されるので、給水工程時に被処理水を酸化処理しない装置と比較して被処理水を短時間で所定の処理水水質とすることができる。その他の作用および効果は実施例1と同様であるので、その説明を省略する。
【符号の説明】
【0067】
1 酸化手段
3 循環タンク
4 ポンプ
5 循環路
8 処理水タンク
9 酸化剤供給装置
10 紫外線照射手段
17 有機物濃度センサ(センサ)
18 制御器(制御手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
循環タンクと、酸化剤供給装置および紫外線照射装置を含む酸化手段と、ポンプとを含む循環路を形成して有機物含有の被処理水を循環処理する水処理装置であって、
前記循環タンクへ所定量の被処理水を貯留する給水工程と、この給水工程後に行われる工程であって前記酸化手段および前記ポンプを作動させて被処理水を前記循環路にて循環させて酸化処理する循環処理工程と、この循環処理工程後に前記循環タンク内の処理水を処理水タンクへ送水する送水工程とを繰り返して行う制御手段と、
前記循環路内の処理水の有機物濃度を検出するセンサとを備え、
前記制御手段は、前記センサにより検出される有機物濃度が設定値以下となると前記循環処理工程から前記送水工程へ移行させることを特徴とする水処理装置。
【請求項2】
前記紫外線照射装置は、紫外線ランプからなり、前記給水工程,前記循環処理工程および前記送水工程中、連続的に運転されることを特徴とする請求項1に記載の水処理装置。
【請求項3】
前記循環路の前記酸化手段および前記ポンプを含む部分が前記循環タンクから前記処理水タンクへの送水路の一部をなすように構成され、
前記送水工程時、前記ポンプの作動により前記循環タンク内の処理水が前記酸化手段による酸化作用を受けながら前記処理水タンクへ送水されることを特徴とするは請求項2に記載の水処理装置。
【請求項4】
前記酸化手段は、被処理水を前記循環タンクへ供給する被処理水供給路に配置され、
前記循環路は、前記被処理水供給路の一部を含むことにより前記酸化手段を含むように構成され、
前記給水工程時、被処理水が前記酸化手段による酸化作用を受けながら前記循環タンクへ送水されることを特徴とする請求項2に記載の水処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2011−121026(P2011−121026A)
【公開日】平成23年6月23日(2011.6.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−282663(P2009−282663)
【出願日】平成21年12月14日(2009.12.14)
【出願人】(000175272)三浦工業株式会社 (1,055)
【Fターム(参考)】