説明

水処理装置

【課題】油田随伴水を被処理水とし、油田随伴水の環境放出のための浄化や、油田随伴水の再利用のために、被処理水中に含まれる油分および固形分、揮発性有機物、水溶性有機物を、それぞれ除去できる水処理装置を提供する。
【解決手段】原油生産時に排出される油田随伴水10が被処理水として導入され、この被処理水から油分及び固形分を分離除去する油分および固形分分離部11と、この油分および固形分分離部11で処理された処理水が被処理水として導入され、この被処理水から揮発性有機成分を吸着除去する吸着処理部12と、この吸着処理部12で処理された処理水が被処理水として導入され、この処理水から水溶性有機物を除去する水溶性有機物除去部13とを備えたことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、油田にて原油を採掘する際に随伴し排出される、油田随伴水の水処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、将来の化石燃料の枯渇が予想されることから、油田からの石油生産量が増加している。これに伴い、原油生産時に随伴する油田随伴水量が増加している。この油田随伴水は、高い塩分濃度であるほか、油分、固形分、揮発性有機物、水溶性有機物、などを含み、油田への還流処分の他、環境放出されている。
【0003】
しかし、この環境放出時には、油田随伴水のもつ、油分や諸有機物由来の環境汚染が注目され、様々な環境浄化方法が開発されている。例えば、多量の油を含む海水を処理する方法として、磁気による油分除去をする方法が提案されている(例えば、特許文献1参照)。また、油分除去した原油生産水中の水溶性有機物を除去する方法として、ゼオライト系素材による吸着除去方法が提案されている(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010−194461号公報
【特許文献2】特開2007−283203号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ここで、上記前者の方法では、油分は除去されるものの、揮発性有機物や水溶性有機物が残存し、水質環境汚染を引き起こす可能性があった。また、後者の方法では、有機酸やメタノール等の水溶性有機物を吸着除去しCOD濃度を低減できるが、同時に含有する塩分の影響があり、有機酸類を十分除去するためには大量の吸着剤にて処理する必要がある。このため、処理水に有機物が残存し、水質環境汚染を引き起こす可能性があった。
【0006】
本発明が解決しようとする課題は、油田随伴水を被処理水とし、油田随伴水の環境放出や、油田随伴水の再利用のための浄化ために、被処理水中に含まれる油分および固形分、揮発性有機物、水溶性有機物を、それぞれ除去できる水処理装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の実施の形態による水処理装置は、原油生産時に排出される油田随伴水が被処理水として導入され、この被処理水から油分及び固形分を分離除去する油分および固形分分離部と、この油分および固形分分離部で処理された処理水が被処理水として導入され、この被処理水から揮発性有機成分を吸着除去する吸着処理部と、この吸着処理部で処理された処理水が被処理水として導入され、この処理水から水溶性有機物を除去する水溶性有機物除去部とを備えたことを特徴とする。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明の一実施の形態に係る水処理装置を示すシステムブロック図である。
【図2】本発明の他の実施の形態に係る水処理装置を示すシステムブロック図である。
【図3】本発明のさらに他の実施の形態に係る水処理装置を示すシステムブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。
【0010】
図1はこの実施の形態による水処理装置を示している。この水処理装置は、油田随伴水を被処理水とし、該被処理水中に含まれる油分と固形分、揮発性有機物や水溶性有機物を除去し、随伴水を環境放出可能とするものである。なお、被処理水である油田随伴水とは、油田での原油生産時に排出される油田随伴水であり、原油生産時に油分分離された、油田随伴水であってもよい。
【0011】
図1において、この水処理装置は、油分および固形分分離部11、吸着処理部12、水溶性有機物除去部13により構成されている。油分および固形分分離部11は、原油生産時に排出される油田随伴水10が被処理水として導入され、この被処理水から油分及び固形分を分離除去する。吸着処理部12は、油分および固形分分離部11で処理された処理水が被処理水として導入され、この被処理水から揮発性有機成分を吸着除去する。水溶性有機物除去部13は、この吸着処理部12で処理された処理水が被処理水として導入され、この処理水から水溶性有機物を除去するもので、水溶性有機物処理工程と13aと固液分離工程13bとからなる。
【0012】
油分および固形分分離部11は、前述のように、被処理水としての油田随伴水10から油分及び固形分を分離除去するものであり、(1)油分吸着メディアを用いた油分分離方法や、(2)微細気泡を用いた油分浮上分離方法、また、(3)油分浮上分離方法に凝集剤添加を併用した方法など、既往に技術を用いればよい。
【0013】
ここで、油分吸着メディアとは、公知の油分吸着材や、スポンジのような吸着機能を有する媒体などであり、これらにより、被処理水中から、油分及び固形分を吸着して分離除去する。
【0014】
いずれの方法においても、鉛直上方に、分離油分および固形分の除去機構を排した技術を適用することが望ましい。また、浮上分離方法は、高塩濃度である被処理水中で安定した微細気泡の生成を促進することができるため、適用に適する。
【0015】
上述した(1)(2)(3)のいずれを採用するかは、種々の条件によって決まる。例えば、被処理水中に含まれる油分の質が比較的よく、分離した油分をリサイクルしたい場合は上述の(1)を用い、吸収して分離した油を精製することでリサイクル使用することができる。これに対し、被処理水中に含まれる油分の質が悪く、分離した油分は燃やすか捨てるしかできない場合は上述の(2)又は(3)を用いる。
【0016】
また、海上油田の場合は、廃棄物の取り扱いが難しいので廃棄物が出ない処理方法が望まれる。この場合は、(1)では油分吸着メディアを自施設内で再生使用できるので、適している。また(3)は、凝集剤を用いることから、油分除去性能は高いが、多量の廃棄物が生じるので、廃棄物処理能力のある地上油田には適するが、廃棄物の取り扱いが難しい海上油田には適さない。
【0017】
なお、油分および固形分分離部11の出口に油分計測器を設け、上述した(1)(2)(3)の各方法において、油分吸着メディアの導入量や、凝集剤添加量、処理時間などを制御するようにしてもよい。
【0018】
このように、油田随伴水10から、先ず、油分および固形分を分離除去することで、粘着性の成分が取り除かれることとなり、後続する処理設備の素線を防止でき、取り扱いが容易となる。
【0019】
上述した油分および固形分分離部11の処理水は、吸着処理部12へ被処理水として導入される。吸着処理部12は、吸着剤を用いた吸着プロセスであり、被処理水中の揮発性有機成分や一部の水溶性有機成分を吸着除去する。固定床、流動床等の既知の吸着プロセスを適用することができる。吸着剤としては、揮発性有機成分の吸着性能に優れたものが使用される。一般には活性炭が多く用いられるが、この他に、疎水性の有機物から構成される多孔質粒子であり、表面が芳香族化合物やアルキル鎖などで構成される有機高分子材を用いてもよい。また、吸着剤の形状は、吸着プロセスに応じて任意に選定する。吸着剤としては、被処理水中の揮発性有機成分等を適切に吸着除去できるものを事前に選定することが望ましく、例えば、活性炭を用いる場合は、活性炭細孔や、表面賦活処理物などを、任意に選定する。なお、活性炭を微粒子状で用いる場合は、例えば、沈殿工程やフィルターを用いた分離工程を設けて、処理水から活性炭を分離する必要がある。
【0020】
一般に、油田随伴水10から、油分および固形分を分離除去した処理水であっても、その中には、例えば、トルエンやベンゼンなどの発癌性を有する揮発成分が含まれている。このような処理水に対して、例えば、後段の処理において曝気処理が行われると、これら発癌性を有する揮発成分が大気中に放出されるという問題が生じる。
【0021】
そこで、この実施の形態では、前工程で油分および固形分を分離除去した処理水を被処理水として吸着処理を行うこととした。すなわち、被処理水に含まれる揮発成分は、吸着処理部12で吸着除去される。したがって、後段で曝気処理が行われても発癌性の揮発成分が大気中に放出されることはない。
【0022】
この吸着処理部12の処理水は、水溶性有機物除去部13に被処理水として導入される。この水溶性有機物除去部13は、前述のように水溶性有機物処理工程13aと、固液分離工程13bとからなる。
【0023】
このうち、水溶性有機物処理工程13aとしては、生物による水質浄化プロセスである嫌気性処理、好気性処理等から選定することができる。また、選定する生物処理によっては、任意に異なる生物処理工程を多段に配することができる。例えば、嫌気性処理を前段に、好気性処理を後段に配置し、これらの組み合わせによって被処理水を処理することもできる。
【0024】
ここで、嫌気性処理では、油田随伴水中の硫黄成分の影響を抑制する機構を任意に追加することができる。また、嫌気性処理では、浮遊式、UASB式等の処理プロセスを選定することができるが、嫌気性処理の後段には、好気性処理プロセスを配する必要がある。ただし、被処理水の処理濃度が低濃度の場合は、嫌気性処理は省略し、好気性処理のみでもかまわない。
【0025】
好気性処理プロセスは、標準活性汚泥法、膜分離型活性汚泥法、担体添加型活性汚泥法、好気性散水ろ床、接触酸化槽、ラグーンなど、既往技術を任意に選定することができる。これらはその設置場所、処理能力などに応じて任意に選定すればよい。エアレーションを伴う好気性処理プロセスを導入する際は、槽内DO値や、出口の諸水質に応じて、エアレーション量を制御するとよい。このような制御は、処理プロセスの動力削減に寄与することができ、より好適である。
【0026】
また、油田随伴水中では生物処理運用のための窒素分、リン分などの栄養塩類が不足する場合が多い。このような場合、生物が増殖できないため、任意に栄養塩類を添加するとよい。添加する栄養塩類としては、上述した窒素分、リン分などがある。
【0027】
水溶性有機物処理工程13aから排出される液は、好気性微生物に由来する固形分を具有するため、固液分離工程13bに導入され、固液分離される。本工程は、水溶性有機物処理工程13aに膜分離型活性汚泥法を適用する場合は、省略することができる。この固液分離工程13bに適用できる技術としては、重力型沈降槽や、膜分離など、公知の技術を用いればよい。なお、固形分の分離性向上のため、汚泥分離促進剤として、凝集剤等を用いてもよい。凝集剤を用いると重金属を除去することも可能になる。また、水質に応じて、固液分離工程13bの前後に、処理水中の色度等を低減するための活性炭などの吸着剤や、オゾン処理等の公知の脱色処理工程を配してもよい。
【0028】
次に、本実施の形態における作用効果について記す。被処理水は、原油生産にともなって排出される油田随伴水10であり、通常、塩分、油分、固形分、揮発性有機成分、水溶性有機成分を含有する。このため、そのままでは、例えば、吸着剤を用いるプロセスでは、この固形分や油分が吸着剤に付着することによって、吸着剤の汚損を引き起こしてしまう。またエアレーションを用いた生物処理では、環境中への揮発性有機物の飛散が生じる。特に、生物難分解な揮発性有機分は、生物処理による浄化が行われずに環境放出される。このため、その処理に長時間必要となり、装置規模が大きくなる可能性がある。
【0029】
そこで、この実施の形態では、油分および固形分分離部11によって、油田随伴水10である被処理水中の固形分と油分を排除する。油田随伴水10中の揮発性有機物は、油分および固形分分離部11の処理水中にも存在するが、吸着処理部12にて吸着処理される。このとき、被処理水中の固形分と油分は前工程で分離除去されているので、吸着メディアが、油分や固形分による汚損されることなく揮発性有機物を除去することができる。
【0030】
次に、揮発性有機分が除去された処理水は、水溶性有機物除去部13に被処理水として導入され、ここで水溶性有機物が除去される。このとき、エアレーション等が行われても、揮発性有機分が除去されているため、揮発性有機物の環境放出を抑制でき、安全に生物分解性の高い有機酸やメタノールなど、被処理水中に含まれる主要なCOD・BOD成分を処理することができる。また、水溶性有機物処理工程13aにて増殖する微生物による固形分は、固液分離工程13bにて除去されるため、環境への有機固形分排出を抑制することができ、被処理水1を環境放出することができる。
【0031】
上述の実施の形態に示された水処理装置によれば、被処理水中の油分、固形分、揮発性有機成分、水溶性有機成分等の水質汚濁要因を適切に除去することができ、油田随伴水を環境放出するための浄化が適切に運用される。
【0032】
次に、図2で示す実施の形態を説明する。図2に示された実施の形態の水処理装置は、油田随伴水10の処理水の再利用可能とするため、水溶性有機物除去部13の後段に、脱塩処理部14を配したものであり、その他は図1の実施の形態で示した水処理装置と同じである。
【0033】
脱塩処理部14は、被処理水である油田随伴水10中の油分や固形分、揮発性有機成分や、水溶性有機成分を浄化し、水溶性有機物除去部13から排出される液から塩分を除去するものである。油田随伴水10は、高い塩分濃度のため、水資源として利用する場合は、その塩分が利用の弊害となる。このため、水溶性有機物除去部13から排出された処理水を被処理水として脱塩処理部14により塩分を除去する。
【0034】
脱塩処理部14としては、塩分を除去する公知の技術を用いればよく、例えば、逆浸透膜による脱塩技術や、蒸発法による脱塩技術を適用する。この逆浸透膜や蒸発法を適用する場合、水資源として利用するための要求水質に応じて、脱塩処理部14を多段に配置してもよい。また、脱塩処理部14への固形分流入濃度制限がある場合、その前段に配置された水溶性有機物除去部13の固液分離工程13bは、その要求水質に併せて、任意の公知の固液分離技術を適用すればよく、また、異なる固液分離技術を複数多段に配してもよい。さらに、飲用とする場合は、被処理水中から酵素を除去する必要があるため、酵素の除去手段として濾過膜を2段構成とすることなどが考えられる。
【0035】
次に、本実施の形態における作用効果について記す。
【0036】
脱塩処理部14の前段までの工程では、被処理水中のイオン性物質である有機酸に代表される水溶性有機物や、揮発性有機物、油分、固形分が除去されているため、脱塩処理部14での脱塩媒体である分離膜や蒸発管の汚損が生じることなく脱塩処理できる。また、処理負荷となる有機物類が除去された後に、塩分除去されるため、被処理水中の含まれる水質汚濁成分による負荷なく、脱塩処理することができる。
【0037】
すなわち、この実施の形態の水処理装置によれば、被処理水中の不純物と塩分を除去し、油田随伴水を水資源としてリサイクル利用することができる。
【0038】
次に、図3で示す実施の形態を説明する。
【0039】
この実施形態の水処理装置では、被処理水である油田随伴水10の処理に付随して発生する油分や有機物の資源の再利用のため、焼却処理部15を設けた。すなわち、水処理装置を構成する油分および固形分分離部11、及び/又は吸着処理部12、及び/又は水溶性有機物除去部13の固液分離工程13bから排出される、それぞれ被処理水から除去された廃棄物の焼却処理部15をさらに備えている。また、この焼却処理部15にて発生する熱を、熱利用施設(脱塩処理部14や水溶性有機物除去部13等)へ供給する経路を設けている。その他は図2の実施の形態で示した水処理装置と同じである。
【0040】
焼却処理部15は、被処理水である油田随伴水10中の油分や固形分、揮発性有機物や、水溶性有機物を浄化する工程から排出される廃棄物・汚泥分を焼却する。なお、焼却処理部15の前段に、任意に濃縮・脱水・乾燥等の工程を配することも好適であり、ここでは公知の技術を用いることができる。この焼却処理部15で発生した熱の利用先としては、前述した脱塩処理部14や水溶性有機物除去部13の他に、濃縮・脱水・乾燥工程の熱源として利用することができる。これら、任意に配した濃縮・脱水・乾燥工程で排出される液体成分は、油分および固形分分離部11の前段に返送されることが望ましい。また、焼却処理部15での発生熱は、このほか、吸着処理部12で利用する吸着剤の熱再生や、水溶性有機物除去部13では、温度調節熱源に利用することも好適である。
【0041】
次に、本実施の形態における効果作用について記す。
【0042】
焼却処理部15にて、被処理水中から除去された油分や有機物を焼却することにより、水処理装置から排出される廃棄物量を削減することができ、同時に、廃棄物中に含まれる熱量源となる成分を有効に利用することができる。また、脱塩処理部14に熱供給することにより、逆浸透法による脱塩においては、水の粘性を低下させることができるため、送液装置等の負荷を軽減することができる。また、蒸発法による脱塩においては、蒸発に用いる熱量の一部を廃棄物の焼却熱から供給することができ、所要エネルギーを削減することができる。また、生物処理による水溶性有機性除去部13においては、特に外気温が低温の時に、加温運用することにより、生物処理活性を維持した運用ができる。
【0043】
この実施の形態の水処理装置によれば、被処理水中から除去された油分や有機物のもつ熱ポテンシャルを有効に利用した水資源製造と、廃棄物発生量削減を図ることができる。
【0044】
このように、油田随伴水10に対して、油分および固形分分離部11により油分および固形分除去後に吸着処理工程12で吸着処理するので、吸着剤の吸着細孔が油分や固形分にて汚損され吸着能を低下することを防ぐことができる。また、水溶性有機物除去部13による処理工程前に、吸着処理部12を配置したので、高濃度に存在するイオン性かつ生分解性の水溶性有機物を処理する前に、微量にふくまれる揮発性有機物を除去することができるため、水溶性有機物処理工程で処理される際に揮発する有機物による環境汚染を抑制することができる。また、油田随伴水10の水溶性有機物処理水を基に、再生水を製造することは、油田から排出される水資源を有効に活用することができる。また、該水処理装置から排出される汚泥焼却時に排出される熱を再生水製造の熱源に利用することは、油田随伴水の有する有機成分のもつ熱量を有効に活用しつつ、水処理工程から排出される汚泥を減容化し、油田随伴水処理に係る環境負荷を軽減することができる。
【0045】
なお、上述したいずれの実施形態においても、吸着処理部12と水溶性有機物除去部13との間に、図示しないが被処理水の貯留部を設け、水溶性有機物除去部13への被処理水量を調整可能としてもよい。すなわち、油分および固形分分離部11や吸着処理部12では、処理量が大幅に変動しても特に問題はないが、水溶性有機物除去部13は、その処理量がほぼ一定でなければならず、被処理水の貯留部を設けることにより、これをバッファとして機能させ、水溶性有機物除去部13への供給量(処理量)がほぼ一定となるように調整することができる。
【0046】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他のさまざまな形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これらの実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると共に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0047】
10…油田随伴水
11…油分および固形分分離部
12…吸着処理部
13…水溶性有機物除去部
13a…水溶性有機物処理工程
13b…固液分離工程
14…脱塩処理部
15…焼却処理部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
原油生産時に排出される油田随伴水が被処理水として導入され、この被処理水から油分及び固形分を分離除去する油分および固形分分離部と、
この油分および固形分分離部で処理された処理水が被処理水として導入され、この被処理水から揮発性有機成分を吸着除去する吸着処理部と、
この吸着処理部で処理された処理水が被処理水として導入され、この処理水から水溶性有機物を除去する水溶性有機物除去部と、
を備えたことを特徴とする水処理装置。
【請求項2】
前記水溶性有機物除去部を、生物処理により実現することを特徴とする請求項1に記載の水処理装置。
【請求項3】
前記生物処理が好気性生物処理、又は嫌気性生物処理と好気性生物処理との組み合わせであることを特徴とする請求項2記載の水処理装置。
【請求項4】
前記好気性生物処理が、標準活性汚泥法、膜分離型活性汚泥法、担体添加型活性汚泥法、好気性散水ろ床、接触酸化槽、ラグーンのいずれかによる処理であることを特徴とする請求項3に記載の水処理装置。
【請求項5】
前記吸着処理部で使用する吸着剤として、活性炭、又は疎水性の有機物から構成される多孔質粒子であり、表面が芳香族化合物やアルキル鎖などで構成される有機高分子材を用いたことを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の水処理装置。
【請求項6】
前記水溶性有機物除去部で処理された処理水が被処理水として導入され、この被処理水から塩分を除去する脱塩処理部をさらに備えたことを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれかに記載の水処理装置。
【請求項7】
脱塩処理部は、逆浸透膜法又は蒸発法による脱塩処理法を用いたことを特徴とする請求項6に記載の水処理装置。
【請求項8】
前記吸着処理部と水溶性有機物除去部との間に貯留部を設け、水溶性有機物除去部への被処理水量を調整可能としたことを特徴とする請求項1乃至請求項7のいずれかに記載の水処理装置。
【請求項9】
前記油分および固形分分離部及び/又は吸着処理部及び/又は水溶性有機物除去部から排出される、それぞれ被処理水から除去された廃棄物の焼却処理部をさらに備えたことを特徴とする請求項1乃至請求項8のいずれかに記載の水処理装置。
【請求項10】
前記焼却処理部から発生する熱の供給先が脱塩処理部であることを特徴とする請求項9記載の水処理装置。
【請求項11】
前記焼却処理部から発生する熱の供給先が水溶性有機物除去部であることを特徴とする請求項9記載の水処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2013−71057(P2013−71057A)
【公開日】平成25年4月22日(2013.4.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−212382(P2011−212382)
【出願日】平成23年9月28日(2011.9.28)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】