説明

水分が減少した含水アセトニトリルの取得方法

【課題】含水アセトニトリルから水分が減少した含水アセトニトリルを取得する新たな方法を提案する。
【解決手段】水およびアセトニトリルを含有す含水アセトニトリルから、水分が減少した含水アセトニトリルを取得する方法を提供し、この方法は、
前記の水およびアセトニトリルを含有する含水アセトニトリルと固体脱水剤とを混合する工程(1)、および
工程(1)で得られた固液混合物から液相を回収する液相回収工程(2)
を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水分が減少した含水アセトニトリルを取得する方法、詳しくは、含水アセトニトリルから水の一部を除去することによって、水分が減少した含水アセトニトリルを取得する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
触媒存在下、過酸化水素を用いてプロピレンからプロピレンオキシドを製造する際、溶媒としてアセトニトリル/水の混合溶媒を使用する方法が知られている。例えば、下記特許文献1には、アセトニトリルと水とを重量比で50:50の割合で含む混合溶媒中、プロピレンと過酸化水素とを反応させることによってプロピレンオキシドを得る方法が開示されている。
【0003】
この方法では、プロピレンオキシドに加えて、過酸化水素から水が副生成物として生成するため、混合溶媒中の水が増加する。即ち、アセトニトリル/水を混合溶媒として用いる場合、プロピレンオキシドの製造によって、混合溶媒中の水の割合が大きくなる。
【0004】
また、下記特許文献2には、プロピレンと過酸化水素とを反応させることによってプロピレンオキシドを得る方法において、混合溶媒としてのアセトニトリル/水中の水の濃度は、プロピレンオキシドの生成に影響を与えること、そして、過剰に多くの水を含む場合には、プロピレンオキシドの生成速度が小さくなることが開示されている。従って、過度に増加した水を除去しない場合には、混合溶媒中の水の割合が所望の範囲から逸脱して大きくなり過ぎ、反応に悪影響をもたらし得るため、そのように水が増加した混合溶媒から水の一部を除去する必要がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2003−327581号公報
【特許文献2】特開2009−256301号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
含水アセトニトリルから水分が減少した含水アセトニトリルを取得する方法として、含水アセトニトリルを蒸留処理に付して、水分が減少した含水アセトニトリルを得る方法がある。しかしながら、この方法は、除去すべき水を塔底から取り出し、残りを留出させる蒸留処理を用いるため、消費エネルギー量が多く、必ずしも充分に満足できる方法とは言えない。そこで、含水アセトニトリルから水を除去する方法を提案することが望まれている。尚、本明細書において使用する「含水アセトニトリル」なる用語は、アセトニトリル(ATN)および水(HO)を含有する液体混合物(ATN/HO)を意味する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、上記課題について検討を重ねた結果、本発明に到った。
【0008】
本発明は、水およびアセトニトリルを含有する含水アセトニトリルから、水分が減少した含水アセトニトリルを取得する方法を提供し、この方法は、
前記の水およびアセトニトリルを含有する含水アセトニトリルと固体脱水剤とを混合する工程(1)(「混合工程(1)」とも記す)、および
工程(1)で得られた固液混合物から液相を回収する工程(2)(「液相回収工程(2)」とも記す)
を含む。換言すれば、本発明の方法は、含水アセトニトリルから、含水アセトニトリルに含有される水の一部を除去する方法とも呼ぶことができ、液相回収工程(2)において回収される液相が、水分が減少した含水アセトニトリルに相当する。
【0009】
混合工程(1)において得られる固液混合物は、固相および液相によって構成される。液相は、水およびアセトニトリルを含有し、混合工程(1)における、除水すべき含水アセトニトリル(「元の含水アセトニトリル」とも記す)におけるより低い濃度で水を含む。固相は、固体脱水剤およびそれが取り込む水を含有し、水に同伴されるアセトニトリルをも更に含有してもよい。また、含水アセトニトリルが、他の成分をも含む場合、そのような成分も一部は固体脱水在に同伴される。
【0010】
本発明において用いる固体脱水剤は、それ自体固体であり、アセトニトリルとの比較において水を優先的に取り込む性質を有するものであれば、特に限定されるものではない。取り込むメカニズムは、特に限定されるものではなく、固体脱水剤への吸着および/または吸収であってよい。吸着は化学的であっても、あるいは物理的であってもよく、別の態様では、これらの双方が機能してもよい。
【0011】
固体脱水剤は、いずれの好ましい形態であってもよく、例えば粒状、粉末状、あるいは塔、槽等に充填する充填物として用いられる種々の形状(例えばポールリング、ラシヒリング等のような形態)等であってよい。このような固体脱水剤は、多孔質であるものが好ましく、その内部に水を優先的に取り込むことができる点で有利である。より具体的には、固体脱水剤は、ゼオライト、シリカゲル、吸水性ポリマー(例えばポリアクリル酸ナトリウム等)でできているものを固体脱水剤として使用できる。
【0012】
本発明において、より好ましい脱水剤としては、例えば、ポリアクリル酸ナトリウム等でできた種々の形態のものを例示でき、これらは、水を選択的に吸水し、また、吸水後のポリアクリル酸ナトリウムに塩水などの電解質溶液を加えることで脱水できる点で有利である。
【0013】
液相回収工程(2)では、固液混合物から全ての液相を除去する必要は必ずしも無い。液相の回収は、いずれの適当な固液分離操作によって実施してもよく、固液混合物から直接液相を回収するか、あるいは固相を除去することによって残る液相を回収することによって実施する。
【0014】
前者の場合、例えば固体脱水剤中を含水アセトニトリルが通るように操作することによって固液混合物を得る混合工程(1)を実施し、その後、固体脱水剤を通過して出てくる液相を回収することによって液相回収工程(2)を実施できる。より具体的には、例えば固定床としての固体脱水剤に含水アセトニトリルを通過させて、固定床から出る液相を回収することによって本発明方法を実施できる。
【0015】
また、後者の場合、固体脱水剤と含水アセトニトリルとを一体に混合することによって固液混合物を得る混合工程(1)を実施し、その後、固液混合物を実質的に液相のみから成る部分と、液相を含む固体脱水剤から成る部分とに分割し、液相のみから成る部分を回収することによって液相回収工程(2)を実施できる。より具体的には、固体脱水剤を含水アセトニトリル中に実質的に均一に強制的に分散させ、その後、分散状態を解除して実質的に液相のみから成る部分と、液相を含む固体脱水剤から成る部分とに分割し、前者の部分を回収することによって本発明の水の除去方法を実施できる。この場合、後者の部分は、固体脱水剤が同伴する液相をある程度の量で含むことがある。従って、好ましくは、後者の部分を除去するに際して、十分な固液分離操作を実施して液相の量を可及的に少なくして、前者の部分を可及的に多くすることが好ましい。
【0016】
上述のように固体脱水剤は、水を優先的に取り込むため、液相回収工程(2)において得られる液相に含まれる水の濃度は、混合工程(1)における元の含水アセトニトリルに含まれる水の濃度より低くなる。即ち、元の含水アセトニトリルから水の一部が除去された含水アセトニトリルを液相回収工程(2)にて得ることができる。
【0017】
混合する固体脱水剤の量は、元の含水アセトニトリルにおけるより低濃度で水を含む液相を得ることができる限り、特に限定されるものではなく、採用する固液分離操作および固体脱水剤の種類に応じて適当に選択できる。上述の後者の場合、固体脱水剤の量は、例えば、元の含水アセトニトリルに含まれる水1重量部に対して、好ましくは0.01〜10.0重量部である。また、上述の前者の場合、本発明の方法を実施する期間、含水アセトニトリル中から除去すべき水の量等をも考慮して、固定床としての固体脱水剤の量を選択できる。
【0018】
本発明の方法は、アセトニトリルと水とを含んで成る混合溶媒中でアルケン(例えばプロピレン)と過酸化水素とを反応させることによってアルケンオキシド(例えばプロピレンオキシド)を製造するに際して、反応生成物であるアルケンオキシドを反応混合物から取り出す工程を経て得られる、アセトニトリルおよび水を含有する含水アセトニトリルから水の一部を除去するのに好適に使用できる。このような場合、含水アセトニトリルは、アルケン、アルケンオキシドおよびアルケンに由来する多価アルコール(例えばプロパンジオール)の少なくとも一種をも含むことがある。即ち、そのような「含水アセトニトリル」は、アセトニトリルおよび水に加えて、アルケンオキシドを生成する反応に関連する成分、即ち、反応原料および反応生成物(副生物を含む)を他の成分として追加的に含んでよい。
【発明の効果】
【0019】
本発明の方法では、元の含水アセトニトリルと固体脱水剤とを混合し、その後、液相を回収することによって、元の含水アセトニトリルより水分が減少した含水アセトニトリルを取得することができるので、非常に簡単な操作によって元の含水アセトニトリルから水の一部を除去できるという点で有利である。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】図1は、本発明の1つの態様の方法を模式的に示すフローシートである。
【図2】図2は、本発明の別の態様の方法を模式的に示すフローシートである。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本発明の方法では、混合工程(1)および液相回収工程(2)はいずれの適当な方法で実施してもよい。含水アセトニトリルと固体脱水剤とを混合し、その後、液相を回収する操作は、本来的には、固液混合操作および固液分離操作に相当する。元の含水アセトニトリルに含まれている過剰な水を固体脱水剤が取り込むことによって、元の含水アセトニトリルにおけるより、水濃度が低下した含水アセトニトリルを液相として得る。
【0022】
例えば、撹拌装置を有する混合槽に、含水アセトニトリルと、粉末状または粒状の固体脱水剤とを供給して、これらを撹拌装置によって一体に混合することによって混合工程(1)を実施し、その後、撹拌装置を停止して静置して、あるいは混合物を別の容器に移し、静置して固体脱水剤を沈降させて上方に液相を生成させ、それを回収することによって液相回収工程(2)を実施する。この時、固体脱水剤は、固相として生成するが、優先的に水を取り込み、また、それに同伴されるアセトニトリルをも取り込んだ状態にあってもよい。この場合、本発明の方法を回分式で実施することになる。
【0023】
本発明の方法では、元の含水アセトニトリルと比較して、水濃度が低下したアセトニトリルに富む相を液相として得る。含水アセトニトリルと混合した固体脱水剤は、含水アセトニトリルの密度より大きいため、液相の下方に固相として沈降する。尚、固体脱水剤が、通常粒状または微細粒状(即ち、粉末状)である場合、これらの粒子の間に液相が存在することは言うまでもない。
【0024】
この態様では、固相をそのまま取り出し、これを適当な処理によって含まれている水およびアセトニトリルを固体脱水剤から除去することによって、固体脱水剤を回収して、再使用するのが好ましい。別の態様では、混合工程(1)から得られる固液混合物を濾過操作によって液相を濾液として回収することによって液相回収工程(2)を実施してよい。この態様では、濾滓として固体脱水剤およびそれに同伴する液相が得られる。固体脱水剤からの水およびアセトニトリルの除去は、使用する固体脱水剤の性質に応じて、例えば加熱することによって蒸発(または脱着)させることによって実施してよい。別の態様では、固体脱水剤中に空気、不活性気体(例えば窒素)を流して乾燥させることによって実施してよい。更に別の態様では、使用する固体脱水剤の性質に応じて、例えば塩などの電解質を添加することによって、水およびアセトニトリルを除去することができる。
【0025】
別の態様では、連続的に固液抽出操作を実施できる装置、例えば、ミキサー−セトラー装置を用いて、ミキサーに含水アセトニトリルおよび固体脱水剤を連続的に供給し、そこでこれらを混合し、ミキサーからこれらの固液混合物を連続的または間欠的に取り出してセトラーに連続的に供給して、固体脱水剤を沈降させ、セトラーの上方から液相を連続的に回収する。この場合、固相およびそれに同伴する液相を連続的または間欠的にセトラーの下方から取り出すことができる。更に別の態様では、例えば固体脱水剤の使用量が少ない場合、固相を運転期間中取り出すことなく、セトラー内に溜めておいてもよい。尚、セトラーは、重力を利用した沈降装置であるが、別の態様では、遠心力を利用した固液分離装置を使用してもよい。更に別の態様では、固液分離に濾過操作を使用して機械的に液相を回収することもできる。
【0026】
更に別の態様では、充填剤の形態で固体脱水剤を充填した吸着装置、例えば吸着塔に含水アセトニトリルを供給し、吸着塔を通過する間に、固体脱水剤が水を優先的に取り込み、吸着装置からは、水濃度が低下した含水アセトニトリルが液相として排出される。この場合、固体脱水剤が吸着した水の量が増えて飽和状態に近づくと、固体脱水剤から水を除去する吸着操作が必要となる。従って、吸着装置を並列で複数系列設けると、このような吸着操作の間、他の吸着装置によって本発明の方法を実施できる。
【0027】
本発明の方法では、いずれの適当な操作条件で実施してもよい。例えば固液分離が速やかに進むように、一般的には比較的高い操作温度で実施する。好ましくは0℃〜100℃、例えば20℃〜80℃で実施するのが好都合である。
【0028】
本発明の方法は、アセトニトリルと水とを含有する混合溶媒中でアルケン(例えばプロピレン)と過酸化水素とを反応させることによってアルケンオキシド(例えばプロピレンオキシド)を製造するに際して、反応生成物であるアルケンオキシドを反応混合物から取り出す工程を経て得られる、アセトニトリルおよび水を含有する含水アセトニトリルから、水の一部を除去するのに使用できる。具体的には、プロピレンオキシド製造プロセスにおいて、プロピレンオキシドを含む反応混合物からプロピレンオキシドを取り出した後、得られた含水アセトニトリルを元の含水アセトニトリルとして取り出す。混合溶媒中の水濃度は、プロピレンオキシドの製造条件に応じて、一般的には20〜60重量%の範囲の所定濃度領域、例えば約30重量%で維持してプロピレンオキシド製造プロセスが継続される。プロピレンオキシドが生成するにつれて混合溶媒中の水濃度が増加するので、本発明の方法を用いて、含水アセトニトリルから水の一部を除去する。
【0029】
より具体的には、プロピレンオキシド製造プロセスにおいて反応今後物からプロピレンオキシドを取り出すことによって生成する含水アセトニトリルの少なくとも一部分と固体脱水剤とを混合し、そして、固液分離して液相を回収する。固体脱水剤は、水を優先的に取り込むので、液相は、水濃度が減少したアセトニトリルに富む相であり、これをプロぴ連製造プロセスに戻して反応の混合溶媒として使用する。
【0030】
次に、図1および図2を参照して本発明の方法を更に具体的に説明する。これらの図面は、例えばプロピレンオキシド製造プロセスからプロピレンオキシドを取り出した後に得られる含水アセトニトリル、即ち、元の含水アセトニトリルから水の一部を除去して、水分が減少した含水アセトニトリルを得るプロセスの模式的フローシートを示す。
【0031】
図1を参照して本発明の方法の1つの態様を説明する。この態様では、プロピレンオキシド製造プロセスにおいて、プロピレンオキシドを取り出した後に得られる元の含水アセトニトリル(ATN/HO)10および固体脱水剤しての例えばゼオライト12を、図示するように槽14に供給して撹拌装置16によってこれらを混合して固液混合物を得、その後、撹拌を停止して固体脱水剤を沈降させる。別の態様では、図示するように、混合して得られた固液混合物を固液分離槽18に移し、液相20およびその下方に沈降する固体脱水剤層22を生成させる。生成した液相20を回収し、水分が減少した含水アセトニトリル24を得る。
【0032】
得られた水分が減少した含水アセトニトリル24の水濃度は、元の含水アセトニトリルの水濃度より低い。上述のようなプロピレンオキシドの製造プロセスでは、例えば元の含水アセトニトリル10に含まれる水の濃度(例えば33重量%)は、図1に示す方法の操作条件に応じて、液相20において減少している(例えば30重量%)ので、この液相24をプロピレンオキシドの製造プロセスで混合溶媒として再使用できる。
【0033】
固液分離槽18において沈降する固体脱水剤層22は、固体脱水剤およびそれを形成する粒子間に存在する液相(液相18と同じ組成を有する)を含む。固体脱水剤層22を固液分離槽18から取り出して固体脱水剤26を得、これを適当な処理、例えば加熱下(または減圧下)における乾燥に付して、固体脱水剤に取り込まれた水およびアセトニトリルを除去(即ち、脱着)して、固体脱水剤を回収する。回収した固体脱水剤を再使用して元の含水アセトニトリルと混合して、本発明の方法を実施できる。尚、槽14で得られた固液混合物を濾過操作に付して液相のみの部分と残りの固体脱水剤を含む部分とに分割してもよい。
【0034】
図2を参照して本発明の方法の別の態様を説明する。この態様では、プロピレンオキシド製造プロセスにおいて、プロピレンオキシドを取り出した後に得られる元の含水アセトニトリル(ATN/HO)30を、固体脱水剤としての充填物の形態の例えばゼオライト32を充填した吸着塔の形態の脱水装置34に供給する。含水アセトニトリルが吸着塔を通過する間、充填されている固体脱水剤と含水アセトニトリルとが混在した状態となる、即ち、含水アセト二トリルと固体脱水剤とが混合して固液混合物の状態となり、それに含まれている水を固体脱水剤が優先的に吸着する。その結果、吸着塔から排出され、回収される液相36は、その水濃度が元の含水アセトニトリルよりも低下する。尚、固定床としての固体脱水剤中を含水アセトニトリルが通過する状態は、これらが相互に接触してあたかも混合して固液混合物の状態となる。このような状態となるようにする操作をも、本明細書では「混合工程(2)」なる用語は含む。
【0035】
図示した態様では、脱水装置を2つ並列で設け、一方の脱水装置34の固体脱水剤32の水の吸着状況が飽和状態に近づくと、固体脱水剤32’を充填した他方の脱水装置34’を運転し、その間、前者の脱水装置34の脱着操作に例えば窒素を流すことによって、あるいはその代わりにもしくはそれに加えて、加熱することによって、固体脱水剤32’を再生することができる。
【実施例】
【0036】
種々の固体脱水剤を用いて、水−アセトニトリル(ATN)からの脱水実験を実施した。具体的には表1〜3に示す量で各成分を秤量してビーカーに仕込み、スターラーにて15分間撹拌して固液混合物を得、その後、撹拌を停止して静置して固体脱水剤を沈降させ、その上に液相を生成させた。液相を回収し、その組成を分析した。その結果も表1〜3に示す。
【0037】
尚、固体脱水剤は以下を用いた:
シリカゲル(関東化学製、品番37039−02、形態:粒状(粒径1.68〜4,00mmが80%以上))
吸水性ポリマー(ポリアクリル酸ナトリウム系ポリマー、和光純薬工業製、品番197−12451、形態:粉末(粒径0.15〜1.4mm)
【0038】
【表1】

測定温度:20℃;固体脱水剤:吸水性ポリマー
【0039】
【表2】

測定温度:20℃;固体脱水剤:シリカゲル
【0040】
【表3】

測定温度:20℃;固体脱水剤:シリカゲル:
【符号の説明】
【0041】
10…元の含水アセトニトリル(ATN/HO)、12…固体脱水剤、
14…混合槽、16…撹拌装置、18…固液分離槽、20…液相、
22…固体脱水剤層、24…水が減少したアセトニトリル、26…固体脱水剤、
30…含水アセトニトリル、32…充填ゼオライト、34…脱水装置、36…液相。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
水およびアセトニトリルを含有する含水アセトニトリルから、水分が減少した含水アセトニトリルを取得する方法であり、
前記の水およびアセトニトリルを含有する含水アセトニトリルと固体脱水剤とを混合する工程(1)、および
工程(1)で得られた固液混合物から液相を回収する工程(2)
を含む方法。
【請求項2】
固体脱水剤は、ゼオライト、シリカゲルおよび吸水性ポリマーから選択される少なくとも一種の材料でできていることを特徴とする請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記の水およびアセトニトリルを含有する含水アセトニトリルは、アセトニトリルと水とを含んで成る混合溶媒中でプロピレンと過酸化水素とを反応させることによって得られる反応混合物からプロピレンオキシドを取り出す工程を経て得られる含水アセトニトリルであることを特徴とする請求項1または2記載の方法。

【図1】
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【図2】
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